クォーツ時計のムーブメントを交換してみる
- 2026/04/24 15:10
- カテゴリー:備忘録, マニアックなおはなし, make:
中学生の娘は腕時計をする習慣がありません。だからといって時間にルーズというわけではなく,相応に時間を気にして動いてはるのですが,特に通学時の時刻管理については,リュックにぶら下げたカラビナウォッチを常用しています。
腕時計のバンドの代わりにカラビナを設けてあり,これを鞄にぶら下げて使うというものなのですが,腕に時計をするのが気に入らないけど時刻は気になるという,複雑な中学生の心理にマッチしているようです。
いやいや自分の体にくっついてくるから意味があるんだろうと私などは思うのですが,それまで全く時計を持ち歩くことがなかった彼女が,祖母からの何気ないプレゼントであるこのカラビナウォッチをいたく気に入り,時計と共に行動することが日常になったと言うのは,なかなか興味深いところですし,大事にしたいことでもあります。
その時計は,GY050という名称で,3000円弱で販売されているものです。針がスズランを模していて,短針と長針が葉,秒針が花になっています。針が湾曲しているので見にくいことこの上ないのですが,慣れれば問題ないのでしょう。
で,ある時娘が「長針が12時の位置の時に短針が真ん中に来るのよ」とおかしな事を言い出しました。見せてもらうと,確かに短針が30分の位置にあります。多分ぶつけたかなにかでズレてしまったのでしょう。
直せるというと喜んで修理を任せてくれたのですが,調べることもせずいきなり分解する私の悪い癖が出てしまい,壊してしまったのです。
短針のズレを直そうと,針を外さず回したのが悪かったようです。いや,経験的にそれくらいのことは出来ると思いましたし,そうでないと短針と長針の位置決めってきちんと出来ないですよね・・・
動かして見ると,短針の動きが変です。時々止まります。おかしいと思ってよくよくムーブメントを観察すると,なんとギアの歯が欠けていました。
最初はこれが原因で短針の位置がおかしいのではと思ったのですが,冷静に考えると私が横着して長針を動かしたからで,こんなくらいで壊れてしまうのかと絶望すると共に娘に悪いことをしたと誤りました。
このままではいかんと新しいものを買うことにしたのですが,改めてケースや風防を見ると傷だらけです。この傷も彼女の持ち物なんだよなあと思うと,新品を買って終わりに出来るようなものでもなく,本人が臨まない限り元の状態に戻すことをまず最初に考えないといけないと思いました。
となると修理ですが,この手のクォーツ時計は安い汎用のムーブメントを使っています。交換すれば簡単に修理出来ることは分かっていたのですが,問題は交換可能なムーブメントを見つけて購入出来るかどうかです。
ムーブメントには,Y121と刻印されていました。エプソンのY121シリーズだとすぐに分かるのですが,Y121にはいくつかのバージョンがあるので,そこを特定しないといけません。
加えてamazonで調べてみると,Y121はあまり売られておらず,入手性が低いです。目に入ってくるのは業界標準で名高いミヨタの2035というムーブメントです。
個人的にシチズンとミヨタには信頼を置いているので,この際このムーブメントに交換を考えてみました。外形には違いはありますが,寸法は同一で,今回の時計の内部のフレームにもぴったり合いそうです。
ただ,針を取り付ける軸の直径が僅かに違うことと,Y121のどのバージョンか不明だったことで軸の長さが合わないことが心配でした。
しかし,送料込みで700円弱で2035が買えると言うことで,勉強にもなるしと1つ買うことにしたわけです。
果たして3日後届いた2035は,電池とリューズの軸が同梱されていました。この軸ははめ込む時計に合わせてカットしないといけません。
切りすぎると取り返しがつかないので少しずつ短くしていきます。一応これでOKと言う長さになったら,針を取り付けます。
簡単にできると思ったのですが,径の違いのせいで,全然はまりません。
まず短針はY121の1.10mmに対し2035が1.20mm,長針はY121の0.656mmに対し2035が0.700mm,秒針はY121が0.2065mmに対し2035が0.170mmと結構違っています。
0.1mmくらいなら押し込めばどうにかなると思ったのですが全然ダメで,やむなく針の穴を小さいヤスリで少しずつ削って広げました。おかげで短針はぴったり取り付けできました。
長針はわずか0.05mmの差ですから,これこそ押し込めばと思いましたがやっぱりダメで,同じようにヤスリで広げるも削りすぎてしまい,固定できません。やってしまった,とうなだれるも,少し穴をかしめてなんとか固定できるようにしました。
秒針については0.035mmとさらに差が小さい上,2035の方が細いのでそのまま取り付けできました。動作を確認して問題がないことを取り急ぎ確認出来たら,ケースに入れて様子を見ます。
しかし,衝撃を加えると秒針がズレることがわかりました。なんどか衝撃を加えるととうとう外れてしまい,わずか0.035mmでもダメなものはダメだと,時計の世界をなめていたことを恥じました。
もう一度分解し,秒針も少し軸を差し込む穴をかしめたのですが,あまりに小さいため穴を潰してしまいます。あわててコンパスの針を使って広げてはかしめ,広げてはかしめを繰り返して,どうにかきちんと固定できるようになりました。
元通り組み立ててから何度か衝撃を加えますが,今のところ大丈夫みたいです。丸一日持ち出してテストを行っていますが,これも今のところ問題なさそうです。
しかし,きちんと寸法があっておらず,かなり適当にはめ込んである針ですので,いずれ外れることは間違いないと思います。こういう場合接着剤で固定するのがよいのですが,適当な接着剤もないし,失敗した時にムーブメントごと壊してしまう可能性を考えて,今回は見送り,もし外れるなどしたらその時に使うことにしました。
ということで,非常に細かい作業が続き疲れてしまいましたが,日本製ムーブメントが業界標準になっていること(ミヨタの2035など40年以上の実績です),使いやすく高精度で安価なムーブメントがあることで,デザイン重視の時計が低価格で買えるのだなあと,安心した次第です。
また,ムーブメントによって微妙な違いがあることもわかりました。こんなの共通にしつぃまえば互換性もあっていいのにと思うのですが,そうもいかない事情があるんでしょうね。Y121と2035では電池寿命が全然違っていて,Y121は2年,2035は3年,ちょっと高価な2035の上位版なら4年も持つんだそうです。一般消費者にとって2年と4年では雲泥の差ですよね,やっぱりミヨタは優秀だなあ。