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5月の修理びより その1 PIXUS PRO-100

 5月に連休は,普段出来ずにいた修理やメンテを一気に行う絶好の機会です。滅多に使うものではなくても,壊れていることが分かったら,そしてその原因がなんとなくつかめていたら,修理して元の状態に戻したくなると言うのが,これ人情というもの。

 なにかと理由をつけては後回しにすることが増えてしまった昨今,重い腰を上げていろいろ気がかりだったことを片付けてみました。

 今回はCANON PIXUS PRO-100です。

 慢性的に発生していたヘッドの目詰まりがいよいよひどくなり,復活にはクリーニングを繰り返して何本ものインクを無駄にするという,私のフォトプリンタであるPIXUS PRO-100。

 すでに12年もの間使い続けているプリンタですが,コストが高いという問題はありつつも,いちいち写真屋さんやコンビニに行かなくてもいいですし,紙を選べばもっと高画質で印刷でき,しかもA3ノビまで好きなサイズで印刷出来ると言う素晴らしさ。

 もはやこれなくして私の写真生活は成り立ちません。最近は手ごろな価格で高品質な写真用紙が手に入りにくくなってきつつありますが,ILFORDの写真用紙などは安いのに画質も良いので,ぜひカラーインクジェットプリンタをお持ちの方は,ちょっとだけ奮発した写真用紙で2Lサイズを印刷して飾ってみて下さい。生活が賑やかになりますよ。

 PRO-100はプロ用のフォトプリンタで,今なお名前の挙がる名機です。プリンタの市場そのものが大幅に縮小している今日,その選択肢は年々狭まるばかりですが,プロ用のプリンタについてはキヤノンもエプソンも,数機種のラインナップが残っています。ありがたい事ではありますが,価格は大幅に上がってしまい,ちょっと無理すれば買えるというレベルを超えていると感じます。

 また,印刷可能な紙の大きさや画質も重要ですが,プロ用のプリンタに大事なことはソフトウェアやワークフローです。ちゃんとLightroomから16ビット印刷が出来るかどうか,カラーマネジメントはどうなっているか,おかしな色補正を勝手にやらないかなど,作者の意図が正しく反映され,その作業を邪魔しないものになっているかどうかが,本当に大事なことです。

 私が思いきってPRO-100を買って良かったなと思うのはまさにここで,勝手なカラーマネジメントを行われて画面と印刷の色調が大きくズレてしまうことがなくなったことで,どれほど気分良く写真を楽しめるようになったか分かりません。

 そんなPRO-100もさすがに10年を超えたあたりから,もう今回限りかもと思うほどのインク詰まりを繰り返しては,クリーニングでどうにか復活という綱渡りで印刷をしていました。クリーニングで大量にインクを無駄にする上,時間もかかるので困っていました。

 年末にはいよいよ黒が完全に出なくなってしまい,何度クリーニングを繰り返しても全く治らなくなってしまいました。黒が全く出なくなったということは,すべてのノズルが詰まってしまったという可能性だけではなく,ヘッドそのものがダメになった可能性も出てきます。だとすれば,このままクリーニングを繰り返しても回復する見込みはありません。

 そこで思い切って,ヘッドの交換を検討しました。aliexpressでは安いものは1万円程度,高いものだと4万円程度で売られています。箱に入った純正部品の新品もあれば,新品と言いつつも明らかな再生品だったり,なかには梱包時にヘッドを保護するカバーがなさそうなものまであり,まさに玉石混淆です。

 aliexpressではリスクが大きすぎて腰が引けた私は,amazonで買えないか調べてみました。PRO-100もしくはPRO-100Sのヘッドの型名は,QY6-0084といいます。しかしamazonでは高めのものしか見当たらず,安いものは見るからに怪しい物でした。

 とはいえ,詰まった私のヘッドよりもずっとましだろうと,16000円ほどのものを注文しました。数日後に届いたものは,銀色の真空パックに入ったヘッドユニットでした。

 寒いときに開封して交換して無事に直ったとしても,また詰まるかも知れません。そもそも黒は消費量の少ないインクです。使わないと詰まりがちなインクの中でも,最も目詰まりを起こしやすいので,暖かくなるのを待って修理することにしたのです。

 で,4月30日,いよいよ暖かくなってきました。時間もあります。写真も溜まってきました。

 意を決して交換作業です。

 真空パックを開封して見ると,傷だらけのヘッドユニットが出てきました。ヘッドの保護カバーはありませんが,綺麗に清掃されていて,保護液もちゃんと染み込ませてあります。

 交換前にテスト印刷をしますが,黒だけ全く出ない状況は変わりません。インクを取り外し,ヘッドを外して新しいものに交換して電源を入れます。

 ドキドキして待っていますが,あいにくエラーが出ています。調べてみるとB200というハードウェアに関するエラーで,修理するしかないという絶望的なエラーの1つです。海外でも困っている人がいます。

 ヘッドを古いものに戻すとエラーは出ません。ということはヘッドが認識されていないという事になります。うーん,これはやられました。

 いろいろ手を尽くしましたが改善しません。aliexpressに出品されているヘッドのレビューを見ると,B200エラーが出て使えないと言う評価を頻繁に目にします。ということは,私のヘッドもダメな奴かも知れません。

 このままではにっちもさっちもいきません。ヘッドを買い直す(もっと高価で箱入りの純正と銘打ったものを選ぶ)か,その値段で買えそうな別機種の新品を買うか迷います。

 新しいプリンタを買うことにしようかと考えると同時に,私は壊す覚悟でさらに修理を試みます。ヘッドを分解し,フレキの裏面にあるEEPROMを発見。なるほど,ここに書かれた情報で正規品以外のヘッドを排除するのでしょう。

 ならばEEPROMを移植するまで。さくっと移植して組み直し,これでいけるだろうと余裕で電源を入れますが,まさかのB200エラーです。EEPROMが原因ではないということか・・・とよく見ると,フレキが切れていました。

 分解時にくしゃくしゃになっていたのですが,大丈夫だろうと気にせずいたところ,ルーペでよく見ると切れていました。私が切ったのではないのですが,切れてしまっていてはこれはもうただのゴミです。

 ここまでくると,意地でも古いヘッドを蘇生しないといけなくなりました。アルコールをヘッドに注入し,指で圧力をグイグイかけて,インクを溶かします。さらにシリンジからアルコールを押し込み,ノズルからアルコールが出るようになるまで根気よくインクを溶かして行きます。最初は全く出てこなかった黒のインクですが,徐々に出てくるようになりました。

 ということは,ヘッドで詰まっていたということですね。もちろん可能性としてヘッドにインクを供給する経路でも詰まっていたことも考えられますので,これは新しいヘッドユニットから転用します。

 組み上げたところB200エラーは出ません。クリーニングを何度か試してみると,黒のノズルがいくつか開通していることがわかりました。この調子です。ガンガンクリーニングを行いましょう。

 そしてめでたく全部のノズルが開通。元のように綺麗なテスト印刷の結果が出てきました。

 早速写真の印刷を行いますが,いつも通りの綺麗な結果です。4700枚以上の印刷を行ったプリンタですが,まだまだ画質に影響するような劣化はないようです。

 ということで,めでたくPRO-100は復活しました。このプリンタの復活は本当にうれしくて,買い換えの結果が必ずしも良いものではないかも知れないという状況から考えると,原状復帰こそが最善だっただけに,もうしばらくこの理想的な写真環境が維持出来て,ホッとしました。

 ところでインクについて。インクはクリーニングで大量消費します。さらにキヤノンのインクカートリッジは,実際のインクの残量を見ているわけではなく,何回噴射したかという回数を数えて,インクが空っぽになったことを検出する仕組みです。

 なので,ノズルの詰まりが解消しなければクリーニングを繰り返してもインクは満タンのままだったりしますが,にもかかわらず空っぽになったと言い出して,インクの交換を迫ってきます。

 私はこのことで何千円ものインクを満タンのままゴミ箱に入れてきましたが,これ,なんと回避する手段があったんですね。知りませんでした。

 インク切れの警告でエラーランプが点灯し,印刷が中断したら,エラーからの復帰ボタン(リセットボタンと言うらしいです)を5秒押すと,インク検出を無効に出来ます。その代わりインクが本当に空っぽになってもそのまま止まらず印刷を続けてしまうので,空気を噛み込んで故障する可能性が出てきます。

 こまめにインクの残量を自分で見ればなんとかなるわけで,これを知っていればインクを無駄に捨てることはなかったのにと,後悔しました。

 残念ながら,クリーニングの時にエラーを無効化することはできないのですが,テスト印刷を含む通常の印刷時には無効化出来るので,今後はこの方法でインクを有効利用しようと思います。というか,正常に動作するようになった今,現在使っているインクが空っぽに出来たら,あとは無効化する必要もないのですが。

 とりあえず,よかった。

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