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Pebbleの復活,そして届いたPebble Time 2

 覚えていますか,Pebble。いやいや,それやない,そうそう,スマートウォッチのPebbleです。

 今から15年ほど前,次はウェラブルコンピューティングだと様々なメーカーが参入したこの新しい商品は,実際に使ってみると電池寿命が短い,常時表示が出来ない,大きい,分厚い,と言う技術的な問題点が解決出来ておらず,飛びついた消費者を,1000円の腕時計にも劣るとがっかりさせていたのです。

 そんな中,2013年にクラウドファンディングで発売にこぎ着けたPebbleは電子ペーパーを使った常時表示と長い連続動作時間を両立し,しかも腕時計として小さく薄く違和感がないことが支持されて,スマートウォッチの理想型として知られた存在だったのです。

 Pebbleは,公式サイトからダウンロードすることで,重要な機能である時計の表示を様々に変更出来たり,アプリによって機能を追加する事が出来る,ユーザーがカスタマイズできる腕時計でした。SDKやAPIも公開されていて,自分でアプリを作ったりすることも出来ましたし,それを公開することも出来ました。だから自ずとそこに遊び心が宿るわけです。

 やがてスマートウォッチは,何でも出来る便利な腕時計であることを諦め,健康管理に特化したデバイスとして生きることに賭けます。アプリもインストール出来ず,自作も出来ません。デザインや素材もいかにもスポーツ向けという体裁で,普段使いも出来なければ,インドアの私のような人間には抵抗のある見た目です。醜悪です。

 しかし,Pebbleは第一世代のモノクロバージョンから,第二世代のカラー版であるpebble Timeと円形のPebble TIme Roundを投入,健康管理に軸足を置かないスマートウォッチのくせに普通の腕時計と変わらないサイズと着け心地に良く出来たOSで,唯一無二の存在だったと思います。

 順調に売り上げを伸ばすと思っていたPebbleは,一説によるとシチズンやインテルからの買収提案も断ってしまうわけですが,大量の在庫を抱えてしまい,一気に資金繰りに困るようになります。

 そして第三世代のモノクロモデルであるPebble 2の出荷が始まった2016年末,とうとう同業のFitbitに買収されることになってしまいます。Fitbitは健康管理に特化したスマートウォッチのメーカーでしたが,結局Pebbleは継承されず,2018年には公式サイトも閉鎖,公式アプリも配布されなくなってしまいます。

 そのFitbitも2021年に結局googleに買収されてしまい,これで完全にPebbleは死んだと思われたのです。

 しかし,ここで面白い事が起こります。

 Pebbleは,公式アプリを窓口に,サーバーにあるアプリやウォッチフェイスをPebbleにダウンロードする仕組みですので,公式アプリがないとなにも出来ません。
 
 そのサーバーと公式アプリを,有志が維持することになったのです。2018年に立ち上がったRebble.ioは,Pebbleを使い続けたいというユーザーの願いそのものでした。

 そして時は流れ2025年,googleはPebbleOSをオープンソース化します。これを受け,創業者であるエリック・ミギコフスキーはPebbleの復活を目指し,Core Device社を立ち上げます。

 同年,Core DeviceはCore 2 DuoとCore Time 2を発表し,予約注文を開始します。Core 2 DuoはPebble2を,Core Time 2は発売予定だったPebble Time 2をそれぞれベースに,タッチパネルや防水機能を追加したものになっていました。

 さらに追い風になったのは,googleがPebbleの商標を譲渡したことで,Core 2 DuoとCore Time 2はそれぞれ,Pebble 2 DuoとPebble Time 2という,本来の名前を取り戻すことに成功したことです。

 2026年には丸形のPebble Round 2の予約を開始,Pebbleは現在の技術で,本来なりたかった姿に着実に歩みを進めて再登場することになったのでした。

 しかし,良いことばかりではありません。消えそうになったPebbleを残し続けたRebbleとの確執です。Core Device社もRebbleをまるで無視してPebbleを立ち上げようとしていますし,Rebbleにしてみれば自分たちこそPebbleの命を繋いだという自負があるわけで,一番大変だった時期の貢献が正当に評価されていないと考えるには,無理もないところがあると私は思います。

 PebbleとRebbleが対立したまま,新しいPebbleが発売に至るわけですが,現在は互いに歩み寄りも見られるようで,Pebbleの公式アプリからRebbleにアクセス出来るようになっています。

 いい話ばかりではないんですね,やっぱり人間のやることですし,ちょっとした言動で誤解が生まれ,それが大きくなって一人歩きして,目指すものが同じなのに仲違いするようになるというのは,良くあることなのかも知れません。

 さて,前置きが長くなりましたが,私はPebble Time Roundを2016年に手に入れて楽しく使っていました。なにせ当時使っていた母艦がBlackberryQ10というアンドロイドですらないマシンで,散々苦労しました。

 とはいえ,メールやLINEがすぐに確認出来る便利さは他に代えがたく,電池を交換して長く使っていたのですが,コロナ禍で引き籠もるようになってから,使うのをやめていました。

 そのPebbleが,まさかの復活というのですから,これはもう注文するしかありません。今さらモノクロモデルを買う気も起きず,ここは迷わずPebble Time 2を2025年3月に注文したのです。

 そして1年以上を経て,2026年5月20日,ようやく私の手元にPebble Time 2が届いたのです。


・お値段

 いきなりお値段ですが,結構しました。本体の価格は225ドル,送料が25ドルに税金が27.25ドルでしたから,合計で277.25ドルでした。1ドル160円として44048円ですか。こりゃー高いです。

 もともとの価格はそれほど高価でもないと思うのですが,やはり円安が厳しいです。

・サイズ感,質感

 箱から出すと,創造していたよりもずっと小さく,薄い,まさに腕時計そのものが出てきました。スマートウォッチだからと身構える必要はありません。ステンレス製のケースは質感も高く,スマートウォッチにありがちな安物っぽさや割り切りがありません。私は今でも信じていませんが,IPX8というのは本当かも知れません。

 ボタン類もしっかりしていて,普通の時計と同じ感覚で扱えます。かたまり感もあるので,身につけていて不安になることもありません。

 ベルトは22mmが適合します。純正のバンドも一緒に届きましたが,シリコンバンドがもともと嫌いな私は,手持ちのNATOバンドにしました。ブラックのケースにぴったりです。


・ディスプレイ

 伝統の電子ペーパーです。バックライトがないときの発色は見事で,美しいウォッチフェイスを見ているとワクワクします。一方でバックライトはマルチカラーでありながら,どうも発色が悪く,色の再現性が悪い上にコントラストも下がります。


・メモリサイズと電池寿命

 私が以前使っていたPebble Time RoundはRAMが256kB,ストレージが16MBでした。Pebble Time 2はRAMこそ同じですが,ストレージは32MBと倍になっているようです。そのせいかアプリもウォッチフェイスも一々母艦からロードせず,その場で切り替えが出来るインストール数が増えました。

 電池寿命も30日と驚異的です。Pebble Time Roundはもともと薄型モデルで,2日間しか電池が持たないモデルだったのですが,厚みがあるとはいえ十分許容出来る範囲なのに30日も電池が持つというのは,バランスとしてこちらの方が優れていると感じました。


・互換性

 従来のPebbleと全く同じと言っていいです。昔のウォッチフェイスもアプリもそのまま動きます。懐かしくてたまりませんよ。


・公式アプリ

 公式アプリは以前のものよりも安定性が増していますし,使い勝手も良くなっていると感じます。なんと言ってもセットアップがとても簡単になりました。

 特筆すべきは,本体の日本語化がサポートされたことです。以前は自分で日本語パックを印スールしないといけなかったのですが,ファイルのインストールする順番を考えたり,メモリサイズを考慮したりと面倒でしたし,OSのアップデートの度に入れ直しが発生して大変でした。

 しかし公式アプリでサポートされれば,なにも心配ありません。ただ,あくまで日本語の文字が正常に表示可能になったという話で,メッセージが日本語化される訳ではありません。日本語パックのなかには,メッセージも一部日本語になったものがあったのですが,もしメッセージの日本語化が必要なら,そうした日本語パックを自分でインストールする必要があると思います。


・まとめ

 懐かしいこともそうですが,10年の年月を経てハードウェアが格段に進歩しました。技術的な進化もそうですし,製造を行う中国の製造技術も格段に向上しているので,時計としての満足度も高いです。

 新しいウォッチフェイスもアプリも出てきましたし,懐かしさと新しさを,Pebble独特の遊び心で味わえると言うのは,本当に楽しいです。

 スマートウォッチというと,実質Apple Watchしか生き残っていないように感じますが,Apple WatchはiPhoneユーザーにとって便利である一方で,どうも私には馴染めない空気感があります。

 それに比べるとPebbleのゆるさは私にはぴったりで,気乗りしないような外出も少しだけ楽しみになっています。AppleWatchのような妙な存在感も威圧感もなく,かといってオモチャっぽい感じもありませんから,気兼ねせず身につけていられることもうれしいですね。


 さてさて,調子に乗った私は,Pebble Round 2も予約してしまいました。いや,本命はやっぱり丸形なんですよ,私としては。

 Pebble Round 2の予約が始まった時,Pebble Time 2の予約から切り替える事もできたんですが,この時すでに両方欲しかった私は,迷いつつも追加で予約することしたのです。

 気持ちが冷めてしまわないか心配していましたが,Pebble Time 2の満足度をk考えると,杞憂に終わりそうです。しかし,このまま円安が続くと想像以上に出費がかさみますねえ。


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