ミニギター,JR2Sを買った話
- 2026/07/21 15:28
- カテゴリー:散財
ある日曜日の夕方,楽器屋さんのメールマガジンに出ていた小さなギターに目が行きました。ほほー,いつの間にやらミニギターなるカテゴリーが出来ていたんですね。知りませんでした。
確かに,日本の住宅事情を考えると,フォークギターの良く通る大きな音という性能はかえって欠点になりますし,そもそもフォークギターがなんであんなに大きいサイズで許されているのかという疑問に対し,昔からそうだったからとしか返せない自分に,腹立たしくなりました。
住宅事情がからむと俄然勢いづくのが日本のメーカーで,なるほど目の前のメールにはヤマハのミニギター,JR2が紹介されています。
弦長がわずか540mm,全長も857mmと小型ですが,見た目はヤマハのFGシリーズをモチーフに一回り小さくしたという格好の良さ。これで音量だけ小さく,伸びやかな音が出てくれれば文句はなしです。
お値段は標準モデルのJR2が2万円弱,上位モデルのJR2Sでも25000円弱です。安いですね,気軽に手が出せる価格です。
しかも専用ケース付き。学校まで担いで持ち歩く学生さん,特に小柄な女性には負担が少ないですよね。小さい軽いは正義です。しかも安いから初めてギターを手にする人でも買ってもらえますね。
正直,小さい楽器は音が良くないわけですが,そこはヤマハです。悪いものは作らないでしょう。ヤマハという真面目なメーカーの作る楽器だという期待をこめて,私も買うことにしたのです。
そういえば,私がギターを始めたのって13歳の時でした。母の実家に夏休みに帰省した際,叔父が持っているギターをねだって譲ってもらったのです。いわゆるドレッドノートというやつで,こんなに大きな音が出るのかと最初はびっくりしました。
今思い出すと,トーカイのCat's EyeでCE-400じゃなかったかと思います。叔父は安物だといってましたが,私の耳にはとても安物には聞こえない,迫力も伸び柔らかさもある,とてもいいギターだと思いました。つくづく捨てたのが惜しいです。
大阪の片田舎で,今のように情報も商品も手軽に手に入る時代ではありませんでしたので,見よう見まねの独学で,とにかくギターに触っていることが楽しいということだけを理由に,毎日かき鳴らしていました。
高校に入るとキーボードに手を出すのでギターからは遠ざかりますが,今思えば結局ギターが伸び悩んだからでしょう。ある時から急に面白くなくなったですからねえ。
大人になってからエレキギターを買いましたが,やはりそれは別物。フォークギターをまた思う存分演奏したいという気持ちも募りましたが,近所迷惑を考えるとそうもいきません。
そういう理由もあって,叔父からもらった青春のギターは実家が処分されるときに引き上げることを断念し,共に処分されてしまったのでした。本当に惜しいことをしたものです。
今回新たに買ったギターは,JR2Sという上位版です。大人ですしね,数千円をケチってもつまりません。スプルース単板は音が良いといいますが,過度な期待は禁物で,むしろ横と裏側がつやあり塗装になっているのがいいじゃないですか。
さて,数日後に手元に届いたJR2Sですが,私なりに感想を。私は詳しいことはさっぱりわかりませんし,マニアでもありません。そんなに種類を触ったこともありませんので,比較基準はかつての相棒Cat's Eyeです。
(1)質感,仕上げ
値段相応という事だと思います。値段まで考えたら悪くはないのでしょうが,値段を伏せて見てみれば,あちこち粗が目に付きます。明らかなキズ,ボディの塗装の刷毛のあと,ネックのゴツゴツした仕上げ,フレットが綺麗に磨かれていないなど,見た目も演奏上の問題も,期待を下回りました。
繰り返しますが実質2万円を割るギターですから過度な期待は禁物ですが,付属のケースが思いのほか良い仕上がりなので,なおさら残念に思いました。
接着剤のはみ出し,塗装の荒っぽさなど,品質にがっかりしたところも正直あって,「さすがヤマハ!」と褒める準備は無駄になってしまいました。
(2)音
音は,これもまた価格相応というか,悪くはないかなという印象です。1弦はピーンといい音がしますし,5,6弦も開放弦はなかなかいい音がしていると思います。
ですが,4弦の2フレット,5弦の4フレットあたりは音も小さく伸びがなく,音が籠もって前に出てきません。ポンポンと,いかにも調子の悪いギターの音がするのです。演奏していると,ある音だけ前に出てこなくなるので違和感も大きいです。
2弦についても,開放だといい音がするのですが,3フレットくらいからピーンがピン,という感じになりますし,これは不良品なのではないかと疑ったくらいです。
(3)演奏のしやすさ
ネックも細すぎず太すぎず,フレットの間隔も標準に近いので,演奏に特別気を遣うようなことはなく,とても楽しく演奏出来ました。(音の問題を除いては)
弦はライトゲージを指定してあるギターなのですが,もともと私もライトゲージを好んで使っていた人ですので,この点も問題ありません。
ペグもナットもサドルも高級品ではないのでしょうが,実用上なんの問題もありません。チューニングも特に狂いやすいという印象はありませんし,弦の高さもほぼ大丈夫。私は0.5mmほどサドルを削りましたが,これくらいなら削る必要などそもそもなかったのではないかと思います。
(4)見た目,取り回し
見た目は実にかわいらしく,大きさや重さは想像以上に小さいので持った瞬間ににやけてしまいました。で音を出せば,なかなか頑張った音がするわけで,こりゃオモチャじゃないなと心を入れ替えてギターを持ち直すわけです。
繰り返しますがバッグ(ケース)も良く出来ているので,学生さんにはお奨め出来ると思います。ぶつけたり擦ったりすることが日常的でしょうし,持ち運びに気を遣わない安くて小さなギターなら少々ラフに圧扱って傷がついても,それはむしろ勲章でしょう。
(5)まとめ
安いこと,小さいこと,軽いこと,それでいてちゃんと演奏出来て,それなりの音が出ることは,とにかく素晴らしいですし,楽しいです。安いから出てこない,小さいから演奏しにくい,なんてことがあったら,それはもうギターの形をした置物ですからね。
演奏出来て,しかもそれが楽しいというのは,やっぱりヤマハという大手の楽器メーカーだからこそ出来た商品なんだろうなと思います。
ただ,ネットで見る,仕上がりは綺麗とか,品質は良いとか,さすがヤマハとか,そういう意見はちょっと割り引いて考えるべきかも知れません。ベテランが「まあこんなもんよね」という気持ちで見ればその通りの感想でしょうし,値段のことまで考えればもちろん文句も出ないのですが,値段が安くてもいい楽器はいくらでもあるわけで,私は値段を言い訳にしたらダメだと思っています。
その観点で言うと,やっぱり細かいところでがっかりすることもありますし,前述の通り音も満足なものとは言えません。ですので,実際に買うのであればちゃんとした楽器屋さんで,試奏しながら買って欲しいと思います。そう,ミニギターも立派な楽器です。
それはそれとして,特別に構えることなく,普通のフォークギターとして演奏出来る演奏性には感激します。そして音を出せば確かにフォークギター。小さいだけで完全にフォークギターですから,これが楽しくないはずはありません。
多少の失敗があっても大きな心で許せる人,キズも楽器の個性だと割り切れる人,様々な事情からドレッドノードやジャンボは無理という人,加えてこれからギターを始める人には,私は真面目にお奨め出来ると思います。
また,持ち運びが大変だと,それが理由で演奏から遠ざかる人が出てきます。フォークギターなんて人前で演奏してなんぼ,ですから,持ち運びが手軽に出来る事は,音の良さよりも重要な性能だと思いませんか。
そんなわけでJR2S,良い買い物をしたと思います。演奏していて楽しい事がその理由ですが,一方でちょっと残念な事は品質管理でしょうか。
いずれも個体差かも知れませんので,ぜひ試奏して頂きたいなあと思います。
ん?これからギターを始める人はどうするの?
うーん,そんな人だからこそ,楽器屋さんでいろいろなギターを見て欲しいのですよ。ほんと,見るだけでもいいです。きっと,向こうから「買ってくれ」といってくるギターが出てきます。
(次回予告)
JR2Sの高い演奏性にすっかり心酔し,あっというまに数時間の時が流れた週末,思った以上に大きな音に気を遣いながら,実は私には,音の大きさを犠牲にすると一般に言われるエレアコのミニギターの方が適切だったんじゃないかと,そんな風にふと思いました。
フォークのJR2Sにするか,エレアコのAPX-T2にするか,実はかなり迷ったのですが,エレアコ未体験の私は,まずは無難なフォークでということで,JR2Sを選んだわけです。
しかし,JR2Sの(いろいろな意味での)負担の軽さを味わうと,これでエレアコだったらどんなだったのだろうと,好奇心がおさまりません。
・・・気が付いたら,APX-T2をポチっていました。数日後に届くことになるAPX-T2は,これまた私の想像を超えたギターだったのです。まて次号。