APX-T2のサドルとナットをTUSQにしてみる~その2
- 2026/08/19 14:42
- カテゴリー:マニアックなおはなし, make:
この夏休みは,いじっているうちにどんどん傷口が広がってしまったAPX-T2の手当に費やしてしまいました。もともと技術も素材も機材もないなかで取り組んだものでしたので,妥協しないといけないものだったわけですが,ここまでくるともう損切りという感じです。
(1)TUSQのナット
ナットをTUSQに交換したくて,PQ-6114-00という品番のものを買ったところが,弦と弦の間が狭くて失敗という話を先日書きました。
リベンジという事で今度は,PQ-6116-00という品番のものを用意しました。
・Width(幅):約4.88mm
・Length(長さ):約43.36mm
・Height(高さ):約8.41mm
・E to E Spacing:約36.45mm
という仕様になっているのですが,オリジナルの実測値がEtoEが36mmですので,このくらいなら許せるはず。ちなみに失敗したPQ-6114-00はというと,
・Width(幅):約4.83mm
・Length(長さ):約43.12mm
・Height(高さ):約9.01mm
・E to E Spacing:約34.5mm
わずか2mm,隣り合う弦の間隔は0.4mmやし大丈夫やろ,と思ったのが甘かったです。ちょっと考えれば分かりそうなもんですが。
ということで今度は大丈夫そうなのですが,他のサイズも微妙に違っていて,特に高さが低いです。もし溝が深く切られていたらアウトです。
現物が届いたので早速試しますが,前回と違って一切削る必要はありませんでした。しかし,やっぱり溝は深くて,前回同様0.5mmほど1弦側をかさ上げする必要がありました。
弦と弦の間隔は問題なし。さっと弾いてみましたが,弾き心地はオリジナルと同じになりました。開放弦の音の伸びは素晴らしく,とても綺麗な音になりました。
ただ,フレットを押さえてしまうと,もうナットの効果は小さくなってしまいますので,改造前の音とそんなに変わらず,伸びもなく籠もったような音になります。この落差が大きくて,積極的に開放弦を使いたくなります。
ということで,TUSQの話はこれで完了。
(2)ヘッドの塗装その1
私のAPX-T2は購入時にあちこちにキズがあり,まあそれも味だと割り切っていたんですが,弦を外した機会に,ブリッジとヘッドのキズをつや消しクリヤーでさっと消しておこうと考えました。(スプレーはスーパークリヤーUVカットです)
どっちも綺麗に消えたのはよかったのですが,ブリッジは良いとして,ヘッドは塗膜が弱くて,ちょっと擦っただけでキズが出るようになってしまいました。これなら塗装しない方がよかったです。
このまま傷だらけになってしまったヘッドを放置するわけにもいかず,やり直す事にしました。スーパークリヤーのようなプラモデル用のラッカー塗料はエタノールで剥がせるので,ウレタン塗装の下地が耐えられる程度に溶かしてしまおうと考えて,エタノールで拭いてみました。
すると,クリヤー塗装は剥がれましたし,下地のウレタン塗装は大丈夫だったのですが,なんとまあYAMAHAロゴと渦巻きのような模様が溶けて消えてしまいました。
なんと,これってウレタン塗装の上にプリントしてあったものなんですね。
溶けてしまったものは仕方がありません。綺麗に剥がしてみたのですが,うーん,どうにも格好悪くていけません。もともと安いギターだったわけで,ブランドロゴがないともう完全にパチモンです。それに,ヘッドになにもないギターは,やっぱり寂しいものです。
とはいえ,素人に出来る事は限られます。
あぁ,購入時の5mmほどのキズを,私はただ目立たなくしたかっただけなのに。
(3)ヘッドの塗装その2
のっぺらぼうのAPX-T2をなんとかしないといかんと,インスタントレタリングやステッカーを探してみました。まあ,メーカーのロゴなど都合良く手に入るはずもなく,諦めかかっていたところ,YAMAHAロゴについてはバイク用のステッカーが見つかりました。
一番小さなものでも,高さが18mmもあります。バイクならSサイズでしょうが,ギターには巨大サイズでしょう。しかし,これより小さいものがない以上,これを使いこなすしかありません。2枚入り600円ちょっと。
せっかくですし,ということでガンメタを選んでみたわけですが,届いて現物にあわせて見ると,ヘッドの真ん中,弦と平行な向きならなんとかなりそうです。
え,同じYAMAHAロゴでも,楽器とバイクは違うぞ,ですか。
そうなんですよ,ちょっと違うんです。バイクのロゴはすべて同じ太さで描かれていて,文字の間隔もやや広め,そしてMの真ん中が尖っています。
対して楽器は,文字の右側の線画やや細く非対象,文字も細めで間隔も狭いです。Mの真ん中は途中でカットされていて尖っておらず,ベースラインにくっつきません。
些細な違いですが,実際バイク用のロゴを楽器に貼っても,やっぱりバイクのロゴに見えてしまいます。ロゴデザインというのは奥深いですねえ。
一応気にしているんだぞと言う意思表示で,Mだけ加工して貼ることにしました。それでもやっぱり楽器のロゴには見えないんですが・・・
しかも水平出しを面倒くさがったことで,やや斜めになるという不細工さ。なんかもう,この段階でモチベーションが下がりっぱなしです。
こうして足つけに軽くペーパーをかけたヘッドにロゴを貼り付け,この上にミッチャクロンを吹いてから,今度は分厚い艶のあるクリヤー塗装をしてみます。面倒くさがらずに,スーパークリヤーIIIを丁寧に重ねてみましょう。
(4)ヘッドの塗装その3
というわけで,久々のエアブラシでスーパークリヤーIIIを吹いてみたわけですが,3時間ほどかけて,一瓶全部を繰り返し吹き付けました。さぞ分厚い塗膜で深い艶が出るかと思う訳ですが結果は逆で,ツヤはあるんですが表面がブツブツしていて,塗膜も厚くて透明度も高いんですが,艶というよりテカっている感じで,実に安っぽいのです。
ここから先は研ぎ出しというやつが必要なんだろうと,一日乾かして600番でさっとヤスリがけ。この段階ですでに少し端っこが剥がれてきていたのですが,この後コンパウンドで磨いたとき,どういう訳だか真ん中へんからめくれてきました。
こうなってしまうともう修復できません。完全に失敗です。つやありの塗装は難しい・・・
もう一度エタノールで拭き取り,ロゴステッカーも剥がして,やり直しです。
(5)ヘッドの塗装その4
ラッカー塗装は塗り重ねても深い艶が出るわけではないし,乾いて塗膜が固くなるまで時間がかかるようになるので,程ほどにしないといけません。失敗が怖くなった私は,もうつや消しでいこうと決めました。触った感じがしっとりとするスムースクリヤーでいきましょう。
まずはステッカーですが,せっかくやり直すのですから,綺麗に水平を出そうと考えたところ,古いロゴの貼り付け跡が残っていて,その上に張らないと目立ってしまう事が分かり断念でしました。相変わらず斜めです。
ロゴを貼り付けたら軽くミッチャクロンを吹いて,そのあとエアブラシでスムースクリヤーを吹き付けます。つや消しですし,そんなに重ねて塗らないようにします。
一晩おいて確かめると,なかなか良い感じに仕上がっています。相変わらず塗膜は弱く,擦るとキズがつくのは避けられませんが,以前のスプレー塗装に比べると厚く塗装出来ているみたいです。
こうして出来たのが,下の写真です。
まあ,素人の仕事ですから不格好ですし,違いを細かく指摘できなくても,「なんかバイクっぽい」という印象を与えてしまうわけですが,エレアコという新しい楽器にはそれなりに似合っていて,シンプルですからもう一回り小さいなら格好良くなったかも知れません。
(6)ヘッドの塗装その5
というわけで,長い戦いはここで終了。どうせ弦の張り替えで傷だらけになると思いますし,次に我慢が出来なくなった時のために,一応作戦は考えてあります。とはいえ,それも手間がかかりますし,難易度も高く,綺麗に出来る自信もありませんから,この状態を出来るだけ維持して使おうと決めました。
ペグを取り付け,弦を張り,音を出してみました。苦労した分だけ,感慨深いものがあります。
(7)最後に
音も良くなりました,見た目も一応整いました。ピックガードのおかげでストロークで演奏するのも気になりません。猫が伸びをしたカポも買いました。ここからようやく,楽しめるようになります。
人間欲が出るもので,もっといい音のするミニギターがあると聞けば,そっちが欲しくなるものですが,いやいやAPX-T2も捨てたもんじゃありません。ハイポジションの音の悪さはネックが短いのであきらめるとしても,自分の指使いでどんどん音が変わっていく生楽器の楽しさは,十分に堪能出来ると思います。
私はギター歴は長いですが,全然こだわりもありませんし,マニア的な好みもありません。これまで使ってきたギターは改造もカスタマイズもリペアも全く行っておらず,私ほどそのまま使っている人もいないんじゃないかと思います。
APX-T2は,いろいろ自分で手を動かして,いじりました。良し悪しは気にせず,自分だけのギターとして楽しもうと思います。