Nikon F70D

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2000年11月 中古を新宿で購入

2005年8月 視度補正レンズとアイカップを装備

2006年10月 張り皮を貼ってみる

2009年1月 裏蓋とグリップのゴムを交換


結婚式に招待された,いい写真を撮りたいのだが,と親しい友人に相談された私は,そういうことなら一眼レフしかねえなあ,と答えました。

私がF3を使っていたため,レンズが共用できる一眼レフで,しかも何の難しい操作もなく黙ってシャッターを切れば綺麗に取れる,というカメラを探しに,私は新宿の中古カメラ屋を訪れました。

今でこそいろいろなカメラのことを一通り知るようになりましたが,当時の私は自分のカメラのことを知る事以外に興味はなく,ましてニコンのAF一眼レフで,しかも初心者向き中級以下の機種など,ゴミ同然と思っていたのでした。

そこへ,突然踏み入れることになったのは,親しい友人の相談がスタートでした。旅行用にF3と携行できる高倍率ズームとして,タムロンの28-200mmを買った私は,これがAFレンズとして活躍する姿を密かに見てみたいと思っていたのですが,そのためだけにわざわざ,しかもF3に劣るボディを買うことなどあり得ません。

友人の相談は散財の直接のきっかけとなり,私が購入し,彼女に貸し出すという形を取ることにしました。

選定基準もなにも分からず,お店にあるものの中からそれ程高価でないニコンのAF一眼レフを買ってくる,それだけのいい加減さで向かった私と,縁があったのがこのF70Dでした。

購入後すぐにF70Dは彼女の手元に渡り,数年間私の手元に戻ることはなかったのですが,使ってないなら返せとばかり,数年ぶりに帰ってきたのです。

AFの一眼レフに対する興味は戻ってきた2005年の段階でもほとんど持っておらず,邪魔だから売り飛ばすか,と考えていたのですが,ちょっと気になっていろいろ調べてみますと・・・

  1. 他のニコンのカメラとはあまりに違う操作系が登場時から不評
  2. おかげで中古市場でも不当に安い(1万円くらいからある)
  3. 裏蓋のゴムがベトベトになる持病があって,これも不評
  4. 1/250秒のシンクロ,最大1/4000秒のハイスペック
  5. 露出もほとんど外さず,しかもストロボの調光も抜群の精度を誇る
  6. Ai連動でマニュアルフォーカスのレンズでも露出計が動作,AEも可能
  7. モーター内蔵レンズも駆動できるレンズに対する高い対応力
  8. 非常に静かで動作も軽快

とまあ,かなり意欲的なカメラであるにもかかわらず,その実力が正しく評価されていない様子です。静かな音に加え造形もどこか女性的で,よく見てみるとなかなか愛らしい。果たして縁あってやってきたこのカメラを見限る理由があるのか・・・

それに中古品が1万円で売られるのですから,買値は1000円か2000円でしょう。本当に売るかどうかは,とりあえず一本フィルムを通してから考えようと,私はフィルムを詰め込みました。

使ってみて,私は売り飛ばすのをやめました。非常に心地よいのです。D2Hを買ったところで,AFレンズが他にも何本かあることが踏みとどまった理由でもありましたが,多くの人が欠点とする操作系の問題も,慣れてしまえばなんてことはありません。

AFレンズもMFレンズも自由自在,内蔵ストロボの精度は抜群,軽快にシャッターがどんどん切れる心地良さと1/4000秒を寡黙にこなす性能がありながら,このカメラは低い評価に甘んじているなと思いました。保守的なニコ爺恐るべし。

こうして,F70Dは私のAF標準機として,確固たる位置を占めるようになりました。裏蓋のベトベトはよく知られた持病ですが,これに対応するため,私は市販の張り皮を貼ってみました。多少ごつくなりましたが,見た目も綺麗ですし,実用性も抜群です。

F70Dにはちょっと興味深い仕様変更があり,私のモデルでは赤目軽減スローシンクロモードが設定できません。しかし,一緒にもらってきた説明書では設定が可能となっています。

この違いについて散々悩んだのですが,ニコンに問い合わせたところF70Dには前期型と後期型があり,前期型では赤目軽減スローシンクロモードは設定出来ないのだそうです。

某巨大掲示板にしぶとくF70Dのスレッドがたっていますが,ここでシリアルナンバーと赤目軽減スローシンクロモードの設定の可否を聞いてみたところ,やはりくっきりとシリアルナンバーによって区別出来るようでした。

そんなことはそれほど気にしません。大事なことでもありません。中古カメラ屋でも区別されて売られているのを見たことはありません。

あまりに万能過ぎて,出番はほとんどありませんが,1/4000秒のシャッターがそれなりの精度で動作している近代的なカメラは,私にとっては貴重な存在で,軽く見ていた過去に申し訳ない気がしています。

2009年1月追記

F100をニコン銀塩の決定版として手に入れました。点検のために新宿のサービスセンターに出向く際,ついでですからF70Dも点検し,裏蓋とグリップを交換することにしました。

裏蓋は1000円ほど,グリップの数百円の部品代で,部品の在庫があるうちに交換しておかないときっと後悔すると考えていました。しかも今の裏蓋は対策品で,持病であるベトベトが起こりにくいようになっています。

対策済みの後期バージョンのF70Dでも中古価格で3000円ほどになっている現状で,この個体にお金をかけることが特かどうかはわかりませんが,中古品の場合安い機種はそれなりの程度であるという傾向から考えて,3万円台だった頃に購入した私の個体はなかなかしっかりとしており,その点では安心できると思います。

その場での交換は無理という話でしたので,修理完了後送ってもらうことにしました。かかった費用は全部で約6000円。部品代1800円,技術料2900円,送料1000円でした。技術料が結構するなあという印象ですが,まあやむを得ません。

こうしてゴムをすべて交換し,見た目もかなり綺麗になりました。今にして思うのは,ペンタカバーに大きな傷があり,これも一緒に直しておけば良かったかなあということくらいでしょうか。

F100とシャッター音を比べてみましたが,切れ味はF100が数段上,しかしF70は静かで落ち着いており,決して悪くはありません。お値段がここまで下がっているのですから,機械式のジャンクカメラを買うより,完動品のF70を買う方が絶対に賢いと思います。


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