Pentax MZ-10

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2006年11月 ジャンクを購入(ブラック,1000円)

2006年11月 暫定修理完了

2006年12月 部品取りの完動品を2台調達(いずれもシルバー)

2006年12月 部品取りのうち程度の良い方にブラックのカバーを移植して修理完了とする


Kマウントのボディは,2つの理由でずっと欲しいと思っていました。1つはM42のレンズを使うことが出来るということ,もう1つはKマウントにはFA43mmという是非使ってみたいと思っていたレンズが存在すること,です。

しかし,なかなか手頃なKマウントのボディにお目にかかることがありません。そんなおり,たった1000円で故障品が売られているのを近所の中古ショップで見つけました。それがこのMZ-10です

機能満載,お手頃価格という時流に乗ったカメラですが,そこはペンタックスだけに小型軽量は貫かれています。

故障はシャッターが切れない,という致命的なものでした。原因はプラスチック製のピニオンギアが割れてしまっていたことでした。まさに絶望的な故障です。

艦長日誌にも書きましたが,このピニオンギアの割れはMZ系によく見られる持病だそうで,これを修理するにはギアの交換以外にないですから,実質的なこのカメラの寿命は,このギアが割れてしまうまでということになります。

コストダウンとはいえ,耐久性が数年の部品を使って作られたカメラが,末永く使える訳がありません。使い捨てが前提のカメラに愛着がわかないという意見も理解できます。一方で,この使い捨ての考え方がカメラの値段をぐっと引き下げたというのも大きな貢献であり,その善し悪しを論じることはなかなか難しいです。

ピニオンギアは,内径を小さく作ってあり,モーターのシャフトに圧入します。そこで内径を少しだけ広げ,シャフトが無理なくささるようにしてから,瞬間接着剤で固めます。

一応これでしっかり修理ができてしまったので,耐久性など逆に不安になりますし,その上組み立ての過程で絞り込みレバーを折ってしまい,これもプラスチックを溶かしながら成型をして修理を行うなど,結構やっつけ的な修理に終始していました。

実際に撮影をしてみると,なかなか使い心地がよいのです。勢い余ってFA43mmも買ってしまいましたし,小さいボディに機能満載,非常に楽ちんなカメラだけに,もっと信頼性を確保しておきたいと考えるようになりました。

ただ,繰り返すように,このカメラの寿命はプラスチック部品の破損によって決定しますし,そうして破損したプラスチック部品は交換以外に完全な修理方法がありません。

そこで,部品取りのMZ-10を確保することにしたのですが,なんと完動品が2つも手に入ってしまったから悩ましい。結局,程度のよいMZ-10のシルバーのカバーを,修理を行ったMZ-10の黒いカバーと交換することにしました。中身を全部入れ替えるというか,外側だけ交換するというか,そういう感じです。

もとが完動品ですので,使っていて全く心配はありません。仮に壊れても部品取りもありますのでなんとかなります。そういう安心感が,シャッターを切った結果に表れてしまうものだと思います。

MZ-10はマニュアルフォーカスのレンズやM42のレンズを使うことも一応考えられているカメラで,ペンタックスの良心を凝縮したカメラだと思います。おかしな商業路線に走ることなく,ユーザーを裏切らない姿勢は,MZ-10からも垣間見ることが出来ます。

惜しいのは行きすぎたコストダウンによる,避けようのない死がやってくることでしょうか。予備機を手に入れても,いずれはそれも壊れてしまいます。MZ-10というカメラとどう付き合っていくのか,考えなければならないと思っています。


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