短期集中講座・LA音源は突然に    第1講

  はじめに

 今回から、LA音源で好きな音色が作成できるようになるための講座、「LA音源は突然に」を開講いたします。"短期"とはいってみたものの、結構突っ込んだ事も話していきたいと思っていますので、意外と"長期"になるやもしれません。

 LA音源はローランド社が1986年に発表したミュージカルシンセサイザー用のフル・デジタル音源方式です。その卓越した表現力、ほかでは代用不可能な個性、しかしながらシンセサイザーとして十分に機能する基本性能の高さで今や世界標準のものとなっていると言っても過言ではないでしょう。

 D-50に始まったLA音源方式は、DTMを決定的にしたMT-32、廉価版のD-10などを経て、スーパーLAシンセであるD-70で一つの結論に達しようとしています。従来の音源方式をすべて包含した形でさらなる可能性を追求することが目的で開発されたLA音源。その素晴らしさを堪能する技術をぜひ身につけていただきたいものです。

 LA音源の特徴として、(1)線形演算によって合成すること、(2)PCMとシンセサイザー音とを合成できるハイブリッド音源であること、(3)アナログシンセサイザーを意識した音源であること、 などがあげられます。これらの特徴は多くの実際に音楽を創るミュージシャン達を唸らせてきました。しかし、我々のような素人がLA音源を使いこなすには、それなりの知識、経験が不可欠です。

 以前、FM音源を勉強された方も多いと思います。でも、もう一つはっきり理解できず、結局経験だけで(つまり理論的な思考なしに)音色を作ってきたのではないでしょうか。それは、音に対する基礎的な知識に欠けていたことも理由になると思います。この講座では、かなり難しい内容になることを覚悟して、音についての考察からLA音源を理解していきたいと思っています。

 LA音源は大変システマティックな音源です。FM音源のように直感によってエディットし、偶然性によってその可能性が開花する、ということはまずありえません。それがLA音源の目的だからです。このドキュメントを読まれる皆さんも、LA音源の系統的な美しさにきっと感嘆されることでしょう。

 なお、すでにFM音源を理解されている方を考慮して、解説の中にFM音源との比較を交えていきます。参考になさってください。また、ご意見、ご感想、クレームなどは、講座をより正確で充実したものにするために必要不可欠なものです。厳しいご指摘をお待ちしております。

1991年 秋  G-SHOES

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