HIDをつける

 最近,ヘッドライトが異様に明るく,真っ白な光を出している車をよく目にします。

 これがHIDです。ディスチャージランプとも言いますけど,従来のヘッドランプがタングステンのフィラメントを赤熱させて光を得る,早い話が「電球」であるのに対して,このHIDは水銀灯なんかと同じく,放電を利用したランプであるということが大きな違いです。

 その明るさは従来のハロゲンランプの2倍ともいわれ,発光色も太陽光に近い4500K,しかも効率がよいので従来の約半分の電力しか食わず,ランプ自身の寿命も2000時間と極めて長いと,いいことずくめです。

 欠点としては,放電管なので専用の点灯回路が複雑になり高価になりがちだということ,きちんとした対策をしないと紫外線が出てしまう,これまでのハロゲンランプとは機械的にも互換性がないのでリプレースが容易ではないなど,扱いにくかった側面もあります。

 手元のオートメカニック誌1994年3月号には,マイクロパワーランプとして紹介されていて,ここにはヨーロッパでは実用化されつつあり,日本でも実用化の日が近いと紹介されています。

 時は流れ2000年。ベンツやBMWをなどのヨーロッパ車はいうに及ばず,国産車でも数年前からマークIIやアコードなどであの白い光を見る機会が増えてきました。

 見れば分かりますが,とにかく明るい。明るいだけではなく色が昼間のようで,本当に見やすいのです。しかも,黄色い光ではないことから,外観のデザインも非常に精悍なイメージを,見る者に与えます。

 私の306も,ネコ目で切れ長のヘッドライトを持っていますから,このHIDには本当に憧れていました。元々夜の運転が多く,ちょっと目が悪いこともあって,もっと明るいランプが本当に欲しいと思っていまして,HIDがないことがこの車の一番気に入らないところでもあったのです。だから,いずれはこのHIDをうまく加工して取り付けたいなと思っていました。しかし,安い物でも価格は10万円はします。失敗のリスクを考えると・・・

 そんなおり,小橋さんという方がHIDを破格の5万円で頒布されているという情報を得て,早速コンタクトしました。とても親切な方で,年内に届けていただけるということで注文,年末年始を帰省先で過ごすついでに取り付けを試みました。

 なお,取り付けた車種は1997年夏に新車で購入した306スタイルの3ドア,MT車です。当時のあらゆるプジョーのなかで,もっとも販売価格の低い物でした。もちろん306の中でも最低のグレードです。


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