LA音源の最少単位はパーシャルと呼ばれます。その構造は以下のようになっています。
PCM------------------------
/TVA-------output
Synth---------TVF----------- /
↑ ここは切り替え可能
WG TVF TVA
Wave Time Time
Generator Valiant Valiant
Filter Amplifier
アナログシンセだと、WGはVCO、TVFはVCF、TVAはVCAに相当します。ほぼ同じ働きをになっています。
WGでは、コモンパラメータで指定されたストラクチャーにしたがって、のこぎり波と矩形波を発生できるシンセサイザーと、PCMとを選択します。このとき注意しないといけないのが、WGにSynthを選択したときにはTVFを使用することが出来ますが、PCMを選択したときにはTVFはきかず、そのままTVAに行ってしまうという事です。LA音源では、PCMの音色の加工は認められてはいないという事になります。これがPCMを中心にしたAI音源やVM音源との大きな違いです。また、一つのパーシャルがSynthとPCMを同時に持つことは出来ません。あくまで選択です。ただし、このパーシャルを複数使って一つの音色を作りますから、そんなに不便を感じることもないはずです。
さて、ここで、いくつかの新しい用語を整理しておきましょう。
コモンパラメータは、音色作成に使われる最大4つのパーシャルのすべてに共通のパラメータを持っているブロックです。ここには TIMBRE NAME、STRUCTURE、ENV MODE、PARTIAL MUTEがあります。LA音源では、最大4つのパーシャルを使って作成された音色をティンバーといいます。TIMBRE NAMEはこれの名前です。音色名の事ですね。STRUCTUREは後で説明します。ENV MODEは、各パーシャルがノートオフを無視するかどうかを決定します。打楽器など、ノートオフになったときに音が切れてしまっては不自然になるものがあります。そういう音色のときにNo sus にして、通常はNormalにしておきます。PARTIAL MUTEは、そのティンバーがいくつのパーシャルを使用するのかを指示します。ミュートされたパーシャルは発音されず、また使用パーシャル数に数えられません。同時発音数を稼ぎたいときは、使用パーシャル数を減らします。LA音源はトータルで32基のパーシャルが同時に発音できるというのが限界であるわけですから、使用パーシャル数を減らせば同時発音数が多くなる訳です。
パーシャルは、LA音源の最少単位でそれ一つで従来のアナログシンセサイザー一機分に相当します。さらに、PCM再生機としても切り替えて使用できます。
ストラクチャーはこのパーシャルをどう組み合わせるかを決めるパラメータです。コモンパラメータにあります。MTでは13種類のストラクチャーが用意されています。FM音源ではアルゴリズムにあたるでしょうか。ストラクチャーは2つのパーシャルの組み合わせ方を決定するものですから、4つのパーシャルの組み合わせを決定するためにパーシャル1,2用に1つ、3,4用に1つと、合計2つあります。
No. 鋪絢ラ 組み合わせ方
1(3) 2(4)
1 S S 1と2をそのままミックス(両方ともSynth)
2 S S 1と2をリング変調したものと、1をミックス
3 P S 1と2をそのままミックス(ただし1はPCM)
4 P S 1と2をリング変調したものと、1をミックス(1はPCM)
5 S P 1と2をリング変調したものと、1をミックス(1はSynth)
6 P P 1と2をそのままミックス(両方ともPCM)
7 P P 1と2をリング変調したものと、1をミックス
8 S S 1を左、2を右からステレオで出力
9 P P 1を左、2を右からステレオで出力(両方ともPCM)
10 S S 1と2をリング変調したもの(両方ともSynth)
11 P S 1と2をリング変調したもの(1はPCM)
12 S P 1と2をリング変調したもの(1はSynth)
13 P P 1と2をリング変調したもの(両方ともPCM)
図で書くほうがいいですね。
S--- S --+-_ P--- P--+-_ S--+-_ P--- P--+-_
+ R + + R-+ R-+ + R-+
S--- S -- S--- S-- P-- P--- P--
1 2 3 4 5 6 7
S--- P--- S--+ P--+ S--+ P--+
R-- R-- R-- R--
S--- P--- S--+ S--+ P--+ P--+
8 9 10 11 12 13
PはPCMを、SはSynthを、Rはリングモジュレータを示します。リングモジュレータは、あとでじっくり解説します。今は、2つのパーシャルから新しい倍音を作り出す装置とでも思っていてください。
ここで、とても重要なことを書きます。一つの音色に使うことの出来るパーシャルは1から4つまでです。各パーシャルのピッチを微妙にずらして音に厚みを付けるのも、アタックをPCMで、残りをシンセでといった合成法が可能になります。当然、多くのパーシャルを使ったほうがいい音を作ることが出来ます。しかし、多くのパーシャルを使うと、音がよくなる変わりに同時発音数に制限がつくようになります。
LA音源は全部で32基のパーシャルを持っています。この32基のパーシャルを各パート毎にリアルタイムで割り振って、複数のパートでの演奏を可能にしているのがLA音源です。1つの音色に4つのパーシャルを使えば同時発音数は8音になります。もし1つのパーシャルしか使わなかったら、同時発音数は32音になります。その音色が豪華になれば同時発音数は減っていくという訳です。
ところで、1つのトーンに使うパーシャル数を指定するにはどうすればよいのでしょうか。これを決定するのがパーシャル・ミュートです。パーシャル・ミュートはパラメータという形では指定しません。そのパーシャルをONにするのか、あるいはOFFにするのかをパーシャル毎に指定します。指定の方法は音色エディターによって違いがあるのですが、どのエディターでも必ず存在するものなので調べてみてください。パーシャル・ミュートでミュートしたパーシャルは、パーシャル数には数えられず、よって音を出さない代わりに同時発音数に影響を与えません。
ここまでが、各パーシャルに共通なパラメータです。実際に読んでいるだけではおそらく理解できないと思います。RCMやPDSの音色エディターを手に入れて、実際に音色を触ってみてください。特にこれから、劇的に音を変化させるパラメータを紹介していきます。そのたびにパラメータを変更してみて、実際の音色の変化を耳で覚えていくようにしてください。
次回は、パーシャル単位で決定できるパラメータの内、WGについて解説します。おたのしみに!