今回は、タワーの最後、TVAについてです。TVAのパラメータは比較的やさしく、分かりやすいものです。TVAの持つ効果はそんなに劇的なものではないかもしれませんが、なにしろ音量という人間にとって最も理解しやすい部分を司るセクションです。ここは括゛cmこなせて当然、といったところでしょうか。
では、前回同様、各パラメータを解説していきます。
それぞれのパーシャルの音量を決定します。音素合成方式であるLA音源にとって、とても重要なパラメータです。金属音のアタックをPCM、残りをシンセで作る際、PCMのパーシャルの音量を上げるのと下げるのとでは、当然耳に聞いた感じがちがってきます。音のキャラクターをここで決定できるというのも、他の音源とは決定的に違うところでしょう。
また、このパラメータは、次回に登場するリングモジュレータを使用する際にも大変重要な意味を持ちます。
音量をベロシティ情報で変化させるときの、感度を設定します。一般的に良く使われるものですね。ベロシティを処理できるシンセが当り前になっていますが、ベロシティは音量、つまりTVAにだけかけるのではなく、音色の時間的変化、つまりTVFにこそかけるようにしましょう。どんな楽器でもそうですが、弾くときの強さに対しての変化は、もちろん音量もですが、音色の変化も大変大きいことを気にかけていてください。音を自然に聞かせるコツです。
TVFにもあった、バイアスについての設定です。TVAですから、音量を補正する位置と方向を設定します。
TVAにはこのバイアスの設定が2ヶ所で可能になっています。B.P1が1つ目、B.P2が2つ目です。ピアノなど、音域の広い自然楽器の音を作るときには欠かせないパラメータの1つです。
バイアスレベルを設定します。上と同様、2つ設定できます。
TVAエンベロープの変化する時間を、キーナンバーによって変化させることが出来ます。キーナンバーとは、音源に送られてくる発音情報の内、音程の情報の事を意味しています。C5と送られてくれば、5オクターブ目のドの音が発音されます。
気を付けないといけないのは、鍵盤の位置とキーナンバーが必ずしも一致しないという事です。鍵盤側でキーをトランスポーズすれば、鍵盤の位置が実際に発音される音とはずれてしまうことになります。TVFもTVAもそうですが、キーフォローは鍵盤の位置ではなく、キーナンバーによって効果が得られるものであるという事を理解しておいてください。
TVAエンベロープのTime1(アタックタイム)を、ベロシティによって変化させる感度を設定します。
LA音源では、アタックタイムをベロシティ情報で変化させることが可能です。具体的には、ベロシティが大きくなればなるほど、Time1が短くなるようにします。このパラメータはその感度を設定するものです。
このパラメータを使えば、ベロシティが大きいときは立ち上がりを速く、小さいときには立ち上がりを遅くするといった、大変にこった、表現力のあるストリングスやパッド系の音色を作成することも容易に可能です。
TVAにも、TVFと全く同じのエンベロープジェネレータがあります。TVFと全く同じなので省略します。
これもまたTVFと同様なのですが、MT/CMと、D-10/20とではパラメータの個数が異なります。注意してください。
TVAについては、これで終わりです。音量の変化という事で、直感的に理解できることが多いため、そんなに詳しく解説しませんでした。でも、TVFなんかよりははるかに分かりやすかったと思います。音量を変化させるセクションは、音源を問わず用意されているのが普通です。それだけに皆さんも既に知っていることが多かったと思います。そして、知っている方はきっと、ベロシティによってアタックタイムを可変できるというあたりで、「スゴイ!」と思ったに違いありません。ぜひ、思っていただきたいと思います。LA音源が表現力を大変重視した音源であるという事を、ここでも見ることが出来るのです。
さて、LA音源について一通りの事は説明しました。次回はLA音源の可能性を未知数にする、リングモジュレータについてお話します。どれほどの実用価値があるのか、どのくらいの人が使っているものなのか、あまり知られていないのがリングモジュレータではないでしょうか(存在を知る人も少ないかもしれない・・・)。確かに使い物にならないことが多いのですが、金属音に近い音を合成できる、まるでFM音源のようなことができるものです。お楽しみに!
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