復活のCLE

完成編


さて,露出に関しては期待通りの動作をするようになったわけですが,距離計の精度に関しては電気に関係がありませんから全く未確認です。いじったりしてませんが,分解や検討の過程で狂ってしまっている可能性は大いにあります。

そこで数年ぶりにカラーネガフィルムを詰め込んで,撮影してみました。CLE用に購入したレンズはフォクトレンダーのNoktonClassic40mm/F1.4MCです。CLEは40mmの視野枠が出てくる(逆に50mmや35mmは出ない)ので,標準系のレンズとしてはぜひ押さえておきたいと思っていた焦点距離です。しかも新品が32800円と安かったので買うことにしました。

出来上がった写真を見ると,どれもとりあえず問題なし。距離計の精度もまずまずですし,露出についてもネガで十分救える範囲です。コマ間のバラツキも小さいのできちんと動作しているようです。

それにしても,レンジファインダー機の面白いこと。ミラーの音がしないとこれだけ静かなのかと改めて感じましたし,レンズによって明るさが変わらないファインダーも実に魅力的です。なによりCLEは小さく軽いのが特徴で,一眼レフ並みのレンズを持つカメラを持ち歩くことが出来るのは,非常に楽しいです。

NoktonClassicというレンズもなかなか面白く,適当な収差を残してあるため絞りの開け閉めで画質を大きく調整できる上,40mmという焦点距離がなかなか心地よく,どんどんシャッターが切れてしまいます。

そんなわけで,CLEはマイコン&デジタル制御で生まれ変わりました。デジタル制御の割には高速側のシャッター速度に今ひとつ自信が持てないのですが,低速側はおそらく完璧でしょう。

消費電流も小さく,AEも1EV単位とはいえ一応動作しますし,操作系も踏襲してあり,ぱっと見ればCLEそのものなわけで,結果として世界で唯一のCLEとなって甦ったことに,我ながらよく頑張ったなあと思います。

また,この時期の電子制御カメラの,動かなくなった回路を自分で作り直して復活させたケースもそうそうあるケースではないと思います。

感謝したいのは,私にこうした機会を下さった方と,私の行動に期待して下さった方々,そして私を煽った荒らしの方です。壊れているとはいえ見ず知らずの私にCLEをわざわざ送って下さったからこそ,こうした検討も出来たのです。もし自分で買ったジャンクなら,ここまでの努力はしなかっただろうと思います。

私の回路をそのままコピーして使うことは個体差もあるので無理とは思いますが,私よりももっと良い方法で第2,第3の復活CLEが生まれることや,CLEに限らず味のある電子制御カメラが息を吹き返すことを期待したいと思います。


作例

いずれもNoktonClassic40mm/F1.4MC,RealaACEで撮影しています。露出はすべてオートです。レタッチについては作例4のみカーブをいじってますが,あとはリサイズしか行っていません。

sakurei1.jpg作例1
sakurei2.jpg作例2
sakurei3.jpg作例3
sakurei4.jpg作例4
sakurei5.jpg作例5

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