8月に入ってキリのいいところで新しいページにしました。過去の物はこちらです。

壊れたテレビが宝の山
 始めてハンダゴテを持ったのが小学校の4年生の時だったと記憶しています。子供の科学という雑誌を読んでいた私は,その幅広い自然科学の分野の中から,電子工学を選んで自分の楽しみとすることを,なんとなく感じていました。
 ラジオやラジコンの基板を道ばたで拾ってはこれをばらして,子供の科学に掲載されていた工作記事を真似て作ってみようとするわけですが,ハンダ付けという技法を持たず,また抵抗のカラーコードも読めず,そもそも値の意味も分かってなくて,形が何となく似てるものを導線で結んでいっただけでは,当然動くはずもありません。
 当時の私は工作好きの少年でしたが,模型にしても形がすべてであり,形に間違いない工作に失敗はありえないと信じていましたから,この失敗はとてつもなく高い壁に思えたものです。
 普通の電気屋さんにはこれらの部品はないらしい,部品ばかりを集めて売っているお店が都会にはあるらしい,東京の神田の近くにはそういったお店があって,通信販売もやってるらしい,だけど,とても高いものらしい,ということが次第に分かってくると,ますます敷居の高いものに思いがちです。
 近所のスーパーにでかければ,300円でガンダムのプラモデルが買えたわけで,それに比べて数千円もかかってしまう電子工作など,大人のホビーと思ってました。
 自転車で動ける範囲がすべてだった当時,電車に乗って1時間もかけたところにしか売ってない部品はまさに宝物であり,さしずめパーツ屋は「紳士・淑女の社交場」という感じがしていたものです。
 始めて買ってもらったキットが,科学教材社のICオルガンってやつで,4000円程もしたと思います。これをなんと同じ時に近所のスーパーで買ってもらった60Wのハンダゴテで組み立てたわけです。ICの取り付けは父親にやってもらったわけですが,とりあえずなんとか音が出るようになり,始めてみるICなんかと共に,大いに感動したものでした。
 そんなおり,我が家の20インチのカラーテレビが壊れました。松下製で,結構しっかりと作られたものだったのですが,老朽化のため買い換えをし,いよいよおかしくなった時に,私の所有物となりました。
 小学校の友達を集めて,大分解大会を企画し,いつもの悪ガキ連中が集まってきて,学校が終わってから暗くなるまで,ばらしにかかったわけです。
 昔のテレビですから,それはもうしっかりと作られていました。ブラウン管の大きさと怪しさは,見る物に恐怖を与えましたし,今のようにプラスティックのケースに組み上げられているのではなく,アルミと鉄の骨組みにしっかりと組み上げられています。
 プリント基板も,最近では常識の1枚ものではなく,小さなユニット単位の基板が,その骨組みのあちこちに取り付けられて,それぞれが線の束でつながっています。
 今にして思えば,そりゃーこんなことをしてたら,高価だったに違いないわな,などと思うわけですが,プリント基板に取り付ける事の出来ないような大きな部品がたくさんあったというのも,やむなき理由なんですね。
 情けを知らない子供にとって,テレビ1台はあまりにたやすい獲物であり,あっという間にバラバラにされました。外側の木箱やブラウン管,骨組みは捨てるしかないわけですが,プリント基板はまさに宝の山。
 今まで電子工作が出来なかったことは,つまり部品の入手が子供にとって難しかったというのがあったわけで,それを一気に解決するほど,たくさんの部品が手に入ったわけです。
 知ってる人は知ってると思いますが,当時の定番トランジスタは,東芝の2SC372やNECの2SC945でした。幸いこのテレビには,ほぼ同じ特性の2SC828が多量に使われていて,トランジスタで困ることはなさそうでした。
 抵抗も大方のものは手に入りました。カラーコードの読み方を覚えたのは,今思うとこの時の廃物利用がきっかけだったようです。
 コンデンサはちょっと少なかったんですけど,それでもちょっとしたことには使えるだけのものがありましたし,ダイオードなんかも,当時はゲルマニウムダイオードがいっぱい使われていましたから,ゲルマラジオにつかったりしました。
 さて,少年の目を釘付けにしたのが,ICでした。ICがちょうど出た頃のテレビであり,ICが使われていることが誇りであったあの時代の高級テレビだったんですね,確かに少し前まで,水平偏向や高圧整流にはまだ真空管が使われていることもあった時代でしょうから,大変なものです。
 そのIC,全部で5つ入っていました。回路図がないので結局どんなものかは分からずじまいですが,おそらく中間周波以降のブロックで使われていたものでしょう。16ピンのセラミックDIPという,なかなか仰々しいパッケージでして,いかにも「高価」な感じがしていたのです。
 なにせ形が近未来っぽいですから,少年はうひょうひょいいながら基板から剥がすのですが,剥がしてみてわかることは,これは再利用出来ない,ということ。
 同じ型番のICを雑誌や本で調べてみても,テレビ用の古いICが出てくることはまずなく,結局どんなもんかも分からないままにおわってしまうわけです。
 AN275とか,たしかそんな型番だったように思うのですが,別のテレビをばらしたときにも出てきたので,松下製のテレビでは定番だったのでしょうね。なんにしても,こういったアナログICをきちんと自社で開発していたというのは,当時の日本のメーカーは大したものです。
 子供のというのは,さらに分解して仕組みを知りたがるものです。私もICを割って,中を見てみました。
 実につまらないものでした。2mm四方くらいの銀色の板が,おさまっているだけだったのです。
 抵抗も,トランジスタも,コンデンサも,割ってみてもなにもでてきません。実につまらない。
 ここに,電子工学とは,目に見えない小さなものを扱う世界なのだと,少年は知ることになるわけです。
 以後,私はとにかく毎週のように図書館へ行き,かならず制限一杯の本を借りてきました。市内の図書館2つを掛け持ちし,土曜日の午後いっぱいに使って,自転車で走り回って本の返却と新たに本を借りることを,3年ほども続けたでしょうか。
 誠文堂新光社の出していた初心者向けの電子工作関連の本はほぼ網羅し,その見えない電子の世界を,どうすれば見えるようになるのかを,随分勉強しました。
 近くにあるものでラジオなんかも作りましたが,測定器もなく,頼りになる先輩もいない状況で,まさに孤軍奮闘してたんですね。日本橋のパーツ屋さんが自分の行動範囲にはいるようになるには,まだもう少しの時間が必要だったわけですが,実際にパーツを買うようになって思ったことは,「仕上がりの良さは,結局よい部品を使うかどうかにかかってるな」と思ったことでした。
 身近にある代用品,壊れたテレビからの外し品,そんなものを工夫で使っていた時代があるから,きっとパーツを選ぶ目が鍛えられたんでしょうね。日本橋へ出るようになっても,ジャンク屋さんに通い詰めるようになるまで,そんなに時間はかかりませんでした。
 そんなわけで,中学校にあがると,同じ趣味を持つ友人ができます。彼は,私よりもはるかに恵まれた環境にあり,技術力も経験値もずっと上でした。なんとなくライバル意識を持っていた中学時代,この話はまた後日。
2000年10月16日 22時59分20秒

理解
 私は,子供の頃から電子工作に没頭して,それが今の仕事のベースになっています。
 それはとても誇らしいことだと思っていますが,誉められることばかりではありませんでした。
 エンジニアを夢見て子供の頃からすごしてきた私は,高校に入って数学と物理がさっぱりできない人であることを知ることになります。では他の科目が出来るかといえば,そんなこともなくて,英語だって古文だって,やはりさっぱりなんですね。人並みに出来たのは現代国語と世界史だけ。
 それでも,エンジニアになる夢だけは捨てきれず,理系の道へ無理に進みました。
 結果は,散々なもので,当然ながら,どこの大学も私を招いてはくれませんでした。
 このとき,それまで「どうにかなるさ」と思っていたことが誤りで,「どうにもならないことがある」と気づいたのです。
 そんな中,ある私学の夜学が,私の入学を許可してくれました。晴れて私は電気工学科の学生になることが出来ました。自分が拾われたことをうれしく思い,かつその恩に報いたいなと思いました。
 大学での勉強は,非常に楽しいものでした。今まであやふやにしていたことが,理論的に理解できるようになっていきます。回路設計1つも,きちんと計算で出来るようになりましたし,データの解析もきちんとできるようになりました。
 おかげさまで,満足いく成績で卒業でき,雲の上の存在と思っていた会社に,設計者としてジョインさせてもらえるまでになりました。
 ここで,私は逆転のホームランを打てたなと思いました。
 確かに,こんな大企業だからこそ,「万馬券」に投資することも許されるわけで,いってみれば金持ちの道楽です。それはよくわかっていますし,私に期待されることが,一流の大学を出た人間と同じであると,そんな勘違いもしてはいません。
 ただ,私のような平凡な人ではないところにある視点というものが,何かの役に立つと思われている以上,それを武器にやっていくことしか私にはありません。
 さて,今の私は,自分のあり方に満足しています。勉強ばかりをしろという,普通の親だったら,私は勉強も出来ず,電子工学の専門分野にも立ち遅れて,なにもできないつまらない人間になっていたことでしょう。
 かといって完全に放任されたなら,電子工学に必要な基礎知識も手に入らず,やっぱり何も出来ない人間になっていたに違いありません。
 適度な放任と,適度な拘束。
 これは,私が子供の頃からしてきたことへの,親の理解があってこそだとおもいます。
 部品を買うお金,本を買うお金,そういうものを「投資」と考えてくれた親に,私の好きな分野の芽をつまず,伸ばして育ててくれた理解ある親に,とても感謝しています。
 この,放任と拘束の絶妙な距離,バランスは,結果論ではあるけども,私が親になったときに作り出せるかどうか,本当に疑問です。
 特別頭が良かったわけでもなく,特に才能のある子供でなかった私が,自分の個性を大事に保ち,自分らしく生きていくことが出来るようになったのは,そんな私の「小さな芽」を見つけて,そこを大切にしてくれたからなのでしょう。
 私の親は完全な文型の人間で,私の今やってることを完全に理解できないとは思います。でも,拒絶せずにここまで育ててくれたことは,ちょっと考えると大変なことですね。
 親の自慢話のようになってしまいましたが,最終的にその子供の,ほんの小さな興味を摘むか伸ばすかで,その子供の将来の大筋は決まってくるもんなんだなと,そんなことを考えました。
2000年10月12日 11時57分24秒

久々の日誌
 いろいろ気が滅入るようなことがあったりして,ここの更新も滞りがちになってます。楽しみにしてくれている方もいるとの話を耳にすると,申し訳ないなと思います。
 そんなだから,ここに書けるような楽しいことなどそんなにあるはずもなく,ますます更新することがおっくうになってしまいます。
 とりあえず報告なんですが,先日から私の中で非常に盛り上がっている真空管アンプの製作ですが,とりあえず完成となりました。
 音が細く,堅くなってしまったところまではここに書きましたが,その後カソード抵抗を1.8kΩから1.2kΩへ小さくし,バイアスを少し浅めにしてプレート電流を40mAちょっとあたりまで増やしてみました。
 出力管5998Aのプレートは,やっぱり少し赤熱するのですが,定格には十分なマージンもあるし,気にしないで行こうかなと考えていました。
 ただ,それで安全なのかというとよく分からないので,ある掲示板で尋ねてみたところ,「そんなもんです」という答えを頂くことが出来ました。
 5998Aってのは,定格一杯で使うと,かなり危ないんだそうです。40mAと言う値は大体安全圏ギリギリという感じのようで,私としてはとりあえず安心。
 音の方も劇的に変わりました。それまでの音とは変わって,豊かで,とてもしなやかな,聴いていても疲れない音になりました。ベースのパワーも相変わらず圧倒的なものがあり,思わずにやけてしまうこともしばしばです。
 そんなわけで,とりあえず完成です。マイルス・デイビスもしっかりなってくれます。満足な結果になったと思います。なにより,ジャズを聴いていてとても楽しいと思うには,このアンプの存在が不可欠だろうと思います。
 あと,先週の休みには,別件で秋葉原に出かけることがあったのですが,なにげにラジオデパートのノグチトランスをのぞいてみると,U-608というタンゴの出力トランスが30個,最終入荷しているとの案内を見ました。
 私は良くは知らないのですが,U-608というのは,タンゴの中でも安く,小さいシングル用の出力トランスで,いろいろな真空管と組み合わせられるような,ユニバーサルなものとなっていりそうです。
 なんでも,創始者・平田富弥氏が手がけた最初の出力トランスという事で,その後のタンゴのトランスのルーツとなっていると書いてありました。調べてみるとそれなりに評判のいいトランスのようです。
 価格は約6000円でしたが,ちょうどコンパクトなシングルのアンプを作ってみたいと漠然と思っていただけに,ここで買い逃すと二度と手に入らないだろうと思い,2つ買って帰りました。
 となると,出力管をどうするか,です。
 一応ユニバーサル(といっても複数のインピーダンスのタップが出ているということだけなんですけどね)なU-608ですから,選択肢は広いです。
 憧れの直熱管2A3,スリムなヨーロッパ生まれの6CA7,息の長い6L6-GC,複合管の6BM8やその改良型の6GW8,定番の6BQ5,かなり値が張るけど国産の6G-A4もいいなとか,楽しいことをいろいろ考えていました。
 三極管のパワーはとりあえず体験しましたが,私は繊細なしなやかさがお気に入りな人なので,太さやパワーよりも解像度の高さを目標にしたいなと考えて,次は五極管かビーム管だなときめて,とりあえず真空管専門店に出かけていろいろ見てみると,どうも6V6というのが面白そうなんです。
 6V6は6L6を小型にしたビーム管で,非常に素直な音がすると定説のある,これまた歴史のある真空管です。シングルでは4W程度の出力が期待できます。
 出力管は概して「がっついた」風貌のものが多いのですが,この6V6はなかなかお澄まし顔です。ほっそりとしたなかなかの美人ですが,その実しっかりものだという印象がありますね。
 価格が安いのもまた魅力で,そのお店でもペアで2000円からありました。
 私が選んだのは,イタリア・マルコーニ製のもので,ペアで3000円。これでも十分安いのですが,アメリカ生まれの6V6がイタリアで作られると,どんな音になるんでしょう。わくわくして買うことにしました。
 この時は出力管だけ決めたんですが,家に帰って設計を始めて,初段はこれも定番の6SL7にしました。U-608というトランスにはUL接続用のタップがないので,普通の五極管接続として設計を完了しました。
 部品集めもまだ全然で,全くもって計画の域を出ていません。しかし,現在の住みかでは置く場所もなく,とりあえず退寮期限以後の新居に引っ越ししてから,作ることにしたいと思います。
 この4Wくらいの小さなアンプは,ヘッドフォンアンプも兼ねる予定です。シングル一発のスピーカと組み合わせて,卓上におきたいなと思っています。
2000年10月06日 21時32分54秒

ニコンF3生産終了
 すでにご存知の方も多いかと思いますが,マニュアルフォーカス一眼レフカメラの最高峰の1つであるニコンのF3が,生産完了するそうです。
 今年11月までの生産は続くということですが,予定台数が4000台と決まっていますので,もしそれまでに全部受注が終わってしまえば,11月を待たずに新品を手に入れることができなくなります。
 プロスペックを満たすフラッグシップとして,F一桁の一族に,その3代目として生まれすでに20年。次代のF4が生産を終了して久しい現在も作られているこのF3には,もちろんその完成度や他との置き換えが出来ない特異性があって今まで支持されているところもあるわけですが,それ以上にニコンの意地を感じるのです。
 1980年というと,カメラが電子化を推し進めた1つの区切りでもありました。シャッターの電子化,露出の電子化,最終的にフォーカスの電子化など,電子技術,マイクロコンピュータがメカを駆動するという流れは,日本のメーカーが付けた流れといえます。
 信頼性などの面で懐疑的であったカメラの電子化は,このF3によって信頼を勝ちえ,現在に至っているといっても過言ではありません。
 今となっては珍しい横走りのシャッター,それもたかだか1/2000秒です。スペック的に目新しいものはないのですが,手にしたときの,その安心感たるや,ちょっと今のカメラにはない感覚がありますね。
 私もF3のオーナーですが,新品ではなく中古を買いました。買った当時,いつかは生産終了するときが来るんだろうと思っていましたが,いざそのときが来てみると,なかなか寂しいものです。
 1つの時代が終わろうとしていますが,採算性の問題と部品の入手の問題があって,やむなしというところでしょう。
 電子化されたものの泣き所は,日進月歩で革新していく電子部品が,メカのそれに比べてあっという間に古いものになってしまい,供給が難しくなるというところにあります。
 ライフサイクルが短いのは,電子部品である以上仕方がないところではあるんですが,それで生産が終了するというのはちょっと残念な気がします。
 修理も難しくなるわけで,使い捨ての時代がものを大切にすることを阻む,そんな悲しいことがおこっています。
 とにかく丈夫なF3,とにかく私は使いつづけますよ。
2000年09月27日 18時20分39秒

真空管アンプ完成しました
 表題のとおり,真空管アンプが完成しました。実は22日には完成していたのですが,きちんとしたセッティングをしたのは今日ですので,一応今日でこのプロジェクトは終わりです。
 真空管の赤熱に関してですが,とりあえずカソード抵抗を倍の1.8kオームにしました。これでプレート電流が35mA程度まで下がりました。さらにプレート電圧の耐圧も超えてしまうのでこれを下げるために,電源トランスの1次側を105Vタップにしました。これで2次側の電圧もすべて5%ほど下がります。
 すべての値が定格内におさまり,ヒーターの電圧も若干下がりますから,真空管の寿命にもおそらくいい影響を与えるでしょう。
 それで測定をしなおしますと,少し最大出力は下がりましたが,それでも十分な出力の30W以上がとれています。ひずみやノイズレベルも問題なし。真空管は少し赤くなりますが,これくらいならまぁいいんではないかと思うレベルです。測定値から計算した損失が最大定格に対してずいぶん余裕があってそれで少し赤いのは,これはこんなもんと考えています。しばらく様子を見ます。
 わくわくする試聴です。
 結果は,いまいち。
 自作で,真空管でという欲目で見ても,あまりいい音とは思いません。低音のパワーはすばらしく,ベースの音がボンボンいわずに,しっかり音程が取れるほどにかちっとした音がでていて,このあたりはさすがに低い内部抵抗の低い真空管を用いた結果だろうと思うのですが,高音の透明感がなく,中音域,特にボーカルの艶やかさもあまり感じません。
 以前親に作ってあげたキットのほうが,自然に艶やかに聞こえます。低音のパワーだけはさすがに私のアンプのほうが勝っていますが,それ以外はしっくりきません。
 私の使っているスピーカー,4312Mという小柄なものでは,どうもパワーを受け取れていないような気もしますし,そういう意味では,全体のバランスもあまりよいとはいえません。
 これが三極管の個性だというなら,ちょっと私の好みではないと思います。ま,多分私の設計や製作がまずかったのでしょう。
 私は,どちらかというと線の細い,解像度の高い音質が好きです。半導体アンプのほうが私には似合ってるんだと思いました。
 とはいえ,圧倒的なパワーはすごいですよ。再生する音楽のジャンルは選ぶと思いますが,ちょっと古いジャズには,気持ちよくきけるアンプになったと思います。聞いていて疲れないのはさすがであり,贅沢な気分にさせてくれるのも,真空管ならではですね。
 次は五極管で,解像度の高いアンプを作ってみたいなと,早速次のアンプの構想を練っている次第です。タンゴの復活もありますし,まだまだやりたいと思います。
2000年09月23日 21時59分33秒

タンゴ復活
 せっかくだから,今日はもう1つネタを。
 私にとってはうれしいニュースです。
 ここ最近,真空管アンプが少しずつブームになっているようで,そんな中で「タンゴ」ブランドで自作用のトランスを製造していた平田電気の廃業は,かの三栄無線の秋葉原店を閉鎖に追い込むなど,なかなか大きな影響を与えていました。
 そのタンゴのトランスですが,なんとまぁすごいことに,平田電気の職人さんが共同で新会社を設立,これまで製造されていたトランスを「タンゴ」というブランドで継続して製造していくことになったようです。
 びっくりですよね,職人さんの高齢化や後継者が育ってないと言うことも理由の1つだと聞いていただけに,その熱意たるやもう涙が出てきます。
 先日も書きましたが,コンデンサ方式のヘッドフォンで有名なスタックスも,似たような方法で再出発を果たしていますが,一方で山水電気もラックスも,管球用トランスの製造からは早々に撤退しています。
 詳しいことはわかりませんが,無論あの大量のラインナップすべてを揃えることもできないでしょうし,あの価格を維持することも難しいでしょう。資金面などから供給体制にも問題があると思うので,「消滅せずに済んだ」という程度に考えておくことが,現実的には必要なのかも知れません。
 とはいえ,新会社存続のためには,これまでの売り上げくらいが最低ないと,厳しいでしょう。確かにブームがあるとはいえ,いつまでも続くものではありませんし,トランスは消費される物ではなく,行き渡ればそれ以上の需要が見込めるものではありません。あくまで,市場を新規開拓しないとだめなわけです。
 その意味で,安い良質なキットを用意していた三栄無線がキットから撤退することは,この新会社にとって大きな問題になっているんではないかと思います。
 三栄無線が復活を検討し,新会社と共に真空管の文化を支えるという,そういう結論になることを祈っています。
 今作っているアンプが最後と思っていましたが,まだまだいろいろ実験したい回路とか真空管とか,あるんです,実は。トランスの入手が難しくなると思ったからこれを最後にと思ってましたが,そうでないならどんどんやりたいです。
 で,その私が作ってるアンプですが,一応位相補償もできて,ハムも実用レベルまで退治しました。各部の電圧も設計値に近いところまで持っていきましたし,これで完璧!と思って真空管の選別を始めたんですね。
 真空管には個々にばらつきがあるから,いくつか余計に買った真空管から似た特性のものを選んでつかうんですよね。これを選別と言います。
 選別は出力管だけでいいということで始めたんですが,なんだか急にプレート電流が3倍ほど流れて,カソード抵抗から煙が出ています。あわてて電源を切りましたが,その大電流が流れた出力管は,カソード表面がボロボロになってしまって,かわいそうな姿になってしまいました。
 真空管の不良かもと思ったんですが,安定して動作する真空管を差し込んでも,電源投入後しばらくするとプレートが赤熱しているのがわかりました。
 この時の電流と電圧を測定すると,なんとその出力管の定格をオーバーしていることがわかりました。
 真空管の不良なんかではなく,あれは暴走だったんですね。最初は隣の真空管のヒーターの光が反射してるんだろうと思ってたんですけど,見る角度を変えても出てるので,プレートの赤熱だと観念した次第。
 カソード抵抗を大きくしてバイアスを深くてやれば,プレート電流が小さくなります。これで計算すると定格内に収まるはずなのでやってみました。
 ほぼ期待通りの動作をしていますし,実測すれば定格内に収まっています。その割に出力の低下も少なく,まずまずの結果です。
 無負荷で超低域の発振がややあるのですが,負荷がつながると止まるので,スピーカの破損もないだろうと割り切りました。
 で,選別とエージングを行ったところ,まだ若干プレートが赤くなってます。おかしい,測定しても定格内だ,なんでだー,おかしいやんけー,って思ったんですが,逆に言うと定格内なら,赤熱してもそれは定格内の結果であって,あまり気にすることはないのかと思ったりしています。
 まぁ,再度検討ですね,どっちにしても。
2000年09月20日 15時39分49秒

走るS-1
 精神的なゆとりがないので,ここになかなか書き連ねることが難しい毎日ですが,それでも元気に生きてます。
 で,S-1の話。
 S-1?日立の究極の8ビットパソコンかい?などという人は,今すぐ友達になりたいくらいですが,残念ながらそのことではありません。
 水中モーターと言う方が通りがいいですね。そう,模型少年の心のオアシス,マブチモーターの製品で,水中モーターS1」が正式名称です。
 防水型のケースにモーターと電池を仕込み,スクリューが外に出ています。取り付けは接着か吸盤で行いようになっているので,およそ水に浮く物はすべて,動力付きのボートになると言うすぐれものです。
 事実,これは少年達の定番アイテムでして,夏休み明けにはこれを使った交錯が必ず1つはあったものです。
 私の友人などは,池でカメを捕まえて,そのカメの腹に水中モーターを接着,カメはそのまま水中深くにものすごい勢いで見えなくなってしまったそうで,水中モーターを回収できないことにはっと気付いて泣き崩れていたのを思い出します。私自身はお小遣いが少なかったので,水中モーターをとうとう一度も買うことなく,こんな歳になってしまいました。
 問題は。昨年この水中モーターがとうとう製造中止になってしまい,現在は流通在庫のみになってしまったということでしょう。つまり,お店にあるものがなくなると,その時点で購入が難しくなるということです。買っておけば良かったかなと,などと思っていた矢先,真空管アンプの部品を買いに出かけた秋葉原のあるパーツ店の店先に大量に売られているのを見つけました。
 1つ280円。プレミアが付いてるわけもなく,またたくさんあったところを見るとそれほど買う人もいないようです。
 私は2つ買いました。1つは保存用,1つはいざというときに工作用です。
 ただ,それだけのことではあるんですが,なんだか20年来の夢が叶ったような気がして,うれしくなりました。
2000年09月20日 12時02分11秒

ああ無念のオシロスコープ
 いわゆるラジオ少年が絶滅したのは,おそらく我々の世代のことだろうと今でも思っているわけですが,そんなラジオ少年の憧れが,オシロスコープでした。
 確かに子供のお小遣いではテスターさえもままならず,私も初めて手に入れたとても高価なアナログテスターは,今でも大切にしてあります。
 しかし,オシロスコープというのは特別な意味があります。理由も理屈もわからない行き当たりばったりなラジオ少年にとって,やはり目に見えない電気の仕業というのは摩訶不思議なものがあるわけで,自分の作るものがトラブルに見舞われたりすると急に途方にくれるんですね。
 そんなある日,波形が目に見えるオシロスコープなる測定器があることを知ります。聞けば,ブラウン管に波形を出してくれ,プロはもちろんハイエンドなアマチュア達もみんな使ってるんだと知ります。もう,これさえあればどんなトラブルでも直せるという勘違いさえするほどです。
 でも子供には夢。100万円を超えるものもありますし,アマチュアにも門戸を開いてくれているケンウッドのオシロスコープでもまともなものは30万円ほどします。ここで少年は深いため息をつくわけです。
 お金がある程度自由になる年齢になってなお,ラジオ少年を続けている人というのは最終的にものすごく少なくなってしましますから,結局オシロスコープを手に入れるアマチュアというのは,なかなか数が少ないんですね。
 私の宝物の1つが,このオシロスコープです。
 私は大学の頃,あるパソコンショップで働いていました。中古パソコンの関係で,あるリース会社と話が出来るようになったんですが,そこは測定器のレンタルでも大手で,新品のケンウッドの15万円ほどの安物を買おうと思っていたときに,なにか出物はないかと聞いてみたんです。
 当時の私は,ディジタル回路もアナログ回路も両方設計するようになってまして,オシロスコープがあればずいぶんと楽になるようなシーンを何度も経験していました。それだけに非常にほしかったんですね。
 聞いてみるもので,テクトロニクスというメーカーのリースバック品があるといいます。2465Aという型名で,帯域は実に350MHz,4現象でリードアウト/カーソル付き。私にとってこれ以上の性能のものは必要ないという,すごいものです。価格は23万円。もともと100万円を超えていたものだけに,かなり予算オーバーですが,それでもこの性能のものがこの価格で買えることはないと思い,買いました。
 プローブがなかったのでこれは新品を1つだけ買いましたが,これが3万円もしました。後日秋月電子で100MHzのプローブを2500円で買いましたが,今はそれを使っています。
 手元に届くと,まぁパソコンやオーディオを買うのとはぜんぜん違う感動があるものです。まずもともと100万円ですから,作りが非常にしっかりしています。つまみ1つもぜんぜん違うんですよ。まさにプロユース。
 いろいろ測定してみると,もうなんでも見えるような気がします。リードアウトとカーソルがあるおかげでテスターは抵抗と電流を測るとき以外は使わなくなってしまいましたし,350MHzの帯域は30MHz程度のクロックのディジタル回路のトラブルなら余裕で対処できます。思えば私はこのとき,電子回路と時間の相関を体で覚えるようになったんだと思います。後日,今の会社に就職して,職場にあったオシロスコープが,私の持っているものよりも安いものだとわかって,自分の持っているものがいかに高級なものかを思い知ったのでした。
 というわけで,このオシロスコープが来てから10年近い時間がたってますが,今回真空管アンプを作る際にも大活躍するはずでした。
 昨日久々に電源を入れてみると,画面が上下に激しくゆれます。前からこんな状況があったんですが,あまり気にならなかったんですね。しかし,今回はオーディオ回路で正弦波を測定するので,上下にぶれてしまっては,高域での発振と見間違ってしまうのです。
 うむー,こんな深刻とは。一生ものだと思って買ったのになぁ。
 修理するつもりはないんですが,一応調べてみると,現在私の2465Aは修理が出来ないリストに入っていました。製造終了から6年が経過して,部品の在庫が保証できないらしいです。測定器では代用品では精度を維持できないので,原則修理を行いません。
 仮に修理が出来るとすれば,おそらく20万円ほどかかるでしょう。私はそれだけの価値があるものだとおもってはいますが,修理できないならそれも仕方がないですよね。
 ぜんぜん使えなくなるわけでも,自己診断でエラーが出るわけでもないので,もうしばらく使うつもりですが,どうするか考えないと,また私の宝物が消えてなくなってしまうのかもしれません。
2000年09月13日 21時49分17秒

消費電力50Wのゲームマシン
 すいません,ずっと日誌を付けるのをさぼっていました。ちょっとゆとりがなかっただけで,相変わらずの調子で毎日活動(って大げさな)はやってますんでんで,ネタには困ってないんですが・・・
 今日は2つ。先週末の動きについてです。
 1つ目は,とうとう私もメジャーなものに手を出してしまったという話。今年3月4日に発売され,数日の内に100万台を売り上げた,あのプレイステーション2を購入したという話です。いつもいってるなじみの店に,たまたま在庫が1つあったというのがきっかけです。コナミのライセンスの件でもめていた例の「激空間プロ野球」の発売が先週だったわけで,これに昔から目を付けていた私としては,ちょいと背中を押されればPS2の購入に踏み切ってしまうほど,不安定な毎日だったのです。
 昔のPSと同じく,メモリーカードを買わないとゲームがセーブできないものだと思いこんでいた私は,同時にメモリーカードもわざわざ買ったのですが,これは本体同梱のメモリーカードにDVDプレイヤーなどを入れても全然一杯になってないというのを見て「だまされた」と思いました。
 さてその「激空間プロ野球」ですが,データが古いことなどはあまり気になりません。あくまでテレビの野球中継にこだわった細かい演出が,なかなか素晴らしいです。選手のちょっとした癖も入ってますし,審判も非常にまじめに動いています。それだけなら「見た目」だけなんですが,バランス調整もなかなかうまくしてあるようで,「阪神-近鉄」というものすごいカードを対コンピュータでやってみたところ,操作を全く知らない私が初回で2点を取られてその裏,すぐに同点にしてくれるあたり,よほどでないかぎりは接戦になるようにしてあると思いました。人間対人間でもこのあたり,うまく働けば面白いことになりそうです。
 解説も,本物の江川,山本浩二,掛布とものすごい面々が揃って,私のプレーになんだかんだと文句を付けます。ただし掛布の解説だけ,なんか浮いてるんですね。いかにも「スタジオでセリフ棒読みで録音しました」という感じが出ていて,この辺はテレビ慣れしている江川など,さすがです。ついでにいうと,ミスター赤ヘル(おお,赤ヘルが一発で変換された)に私のバッティングを評価してもらったのは,ちょっとうれしかったですね。
 さて,PS2のソフトはこれ1つだけで,あとはDVDを見てみようと言うことになりました。1000万ポリゴンのマシンとDVDプレイヤーを買うと思えば,40000円という価格は納得のいくものです。
 買ったソフトは「地雷を踏んだらサヨウナラ」です。映画館でも見た,最近の邦画の中では突出した素晴らしさを持つ,映画だと思います。
 いわゆるDVDプレイヤーが2万円から20万円くらいまで,それこそ星の数ほど市場に出ているわけですが,そんななかでPS2というのは,MPEG2をソフトデコードしているという点や,映像回路や音声回路にリファインがないだろうということで,高画質,高音質というところでの期待は,それほどしていませんでした。そうでないと,単品のDVDプレーヤーの存在意義がなくなるからです。
 ところがどっこい,なかなか頑張ってますよ。音声の評価はきちんとしなかったのですが,映像についてはなかなかよいです。当然と言えば当然なのですが,まるでPCで静止画を取り込んだくらいの,しゃきっとした画像が動くんですね,DVDって。ディジタルCS放送でMPEG2には慣れていたつもりでしたが,そこはビットレートにゆとりのあるDVD,一見してその違いがわかります。PS2でここまで出来るなら単品のDVDならもっとすごいだろうとか,この映像で5.1chの音声が出てくるとすごいだろうなと,すっかりDVD肯定派になってしまいました。
 ただ,単品のDVDと違って操作がわかりづらい。リモコンもないので,やはり説明書を見てそれぞれのボタンの機能を覚えておかないと,いきなりメニューに戻ったり次のキャプチャーに飛んでいったり,なにかと気分を害することがおこります。このあたりは,DVD専用コントローラなどを発売して改善してほしいところですね。
 あと,トレイの出入りがちょっと引っかかる感じです。渋いと言うんでしょうかね,出始めと入り始めは,トレイの動きが遅くなるように作ってあるんだと思いますが,なんだか引っかかるような,こすれる音が「きしゅっ」とするんですね。いかにトレイを使ったローディング方式であっても,やはりゲームマシンであり,過度な期待は禁物という事でしょうか。なんだか「メガCD」を思い出してしまいました。
 しかし総じて好印象です。戦略だ作戦だともっともらしい理屈を付けて機能を削減することが多くなる世の中で,膨大な演算能力を持つ最高水準のゲームマシンに旧PSとの互換性,そしてDVDプレイヤーとしての機能を付けるというのは,労多くしてオマケ程度の評価を受ける可能性のあるものに,まじめに取り込んでいるところと,実際にそれをやってのけてしまったことが,私は感心しました。
 仮にPS2に,DVD再生機能も,旧機種との互換性もなくても,それなりの数は出たでしょう。しかしあえて,一般消費者の安直な「できたらいいな」をそのまま実現したあたり,なんだか意地のようなものさえ感じます。
 ただですね,ちょっと消費電力が大きすぎやしませんか?50Wですよ, 50W。ACケーブルも太い物になってるし,背面からは暖かい空気が排出されてきます。昔ファミコンなんか,ACアダプタで動いてたんですよね。ゲームマシンに50Wを食わせる時代が来ようとは,恐ろしい世の中になったものです。
 さてもう1つですが,これはいつもの真空管アンプです。
 先々週の週末にシャシーの加工がすべて終わりました。すべてアルミでしたから,非常に楽な加工でした。若干傷を付けてしまいましたが,まぁそれもアマチュアが作るマシンの,まぁ勲章みたいなもんですよ。あまり気にしませんでした。
 ソケットやトランスの組付けをやって,大体の部品の配置を考えて,ラグ板を立てます。
 そしてこの週末に,組み立てが完了しました。大きなシャシーだと思っていたのですが,トランスが大きく,真空管同志の間がやや狭いので,部品の配置には随分苦労しましたがなんとかおさまりました。
 さて,緊張の火入れです。幸いコンデンサの破裂とか抵抗から煙が出るとか,真空管が真っ赤になるとか,そういう致命的なトラブルはありませんでした。
 早速各部の電圧を測りますが,随分低いところがあります。きちんと自分で計算して決めたところは,わりときちんと電圧が出ていますが,計算をさぼって雑誌の通りにしたところは,場合によっては半分ほどの電圧しかないところもあります。これでは動かないから,動いても特性を出せないでしょう。
 原因の究明もしたいですが,とりあえず出力にダミーロード(スピーカーのかわりにつける同じ抵抗値の抵抗です。大きな出力で測定や調整をするとき,スピーカではうるさくて仕方がないですから)をつけて,入力に正弦波を入れてみます。目視でわかるほどの歪みもなく,出力を大きくしてもそこそこの出力は取れているようです。
 しかし,ハム(電源の周波数50Hzがスピーカーから出てくる現象)がでています。それも無視できないほど大きなレベルです。
 困りました。私は自作のアンプは,必ずと言っていいほどハムに悩まされます。最終的には実用レベルに追い込むのですが,それまで本当に大変な苦労をします。
 原因を検討すると,初段の電圧増幅と位相反転の真空管の,ヒーターから飛んでいることを突き止めました。
 センタータップをグランドの落とすと数分の一になるので,さらにいい方法を考えます。ますヒーターの電圧を下げてみました。実測で5.5Vほどです。これでかなりハムが小さくなりました。さらに30オームの抵抗を使ってハムバランサーを用意して,そのセンターには出力管のカソード抵抗の電圧(約50V)をバイアスしました。
 これで出力端子で2mV程度。波形が汚いので「ぶちぶち」という音の耳障りなハムなので困ったものですが,少し耳をスピーカから離すと聞こえなくなるので,よしとしましょう。
 それで,あとは初段と位相反転の真空管にかかる電圧が低いことの検討です。
 とりあえず抵抗をいじって,電圧を上げてみました。
 すると,まだまだあげたらない電圧なのに,ハムが激増しました。
 てなわけで,まだ負帰還を書けて調整をするレベルには至っていません。(ちなみに試しに負帰還をかけたらトランスの巻線が逆だったみたいで,正帰還になって盛大に発振してあわてました。ただしく負帰還を書けても,片方のチャンネルだけ,最大出力付近で高域の発振がありました。)
 電圧の検証,ハム退治,負帰還量の決定と位相補償と,とにかくやらねばならないことが山ほどあって,そしてそのいずれもが時間のかかる,根気のいる作業です。
 無帰還の音を少し聞いてみましたが,そこはさすがに低内部抵抗の3極真空管,低域のズドンというエネルギーはさすがです。
 楽しくジャズを聴きたい,そのために根気よく頑張っていきたいと,そう改めて思いました。
2000年09月11日 14時55分17秒

さらに真空管アンプ
 最近ちょっと忙しく,かつての勢いでここを書けないのがつらいところですが,そんなちょっとした週末の時間を見つけて,相変わらず真空管アンプは制作が進んでいます。  元となる回路図に,思いの外ミスプリントが多く,手を抜かず回路の定数を検討して,大体フィックスできました。それで,この週末に残りの部品を揃えに秋葉原まで行って来ました。  まず,電源トランス。ST-220ではちょっと電流が不足するので,もうひとまわり大きなMX-280を使いたいところでしたが,これはほとんど「乱獲」にあって,手に入れるのが絶望に近いです。タンゴさんを恨みますよ,本当に。聞けば,私が店に現れる1時間ほど前には在庫があったと言うから悔しいじゃありmせんか。  それで,値段の安さにも惹かれて,良く似た定格のトランスを購入。  抵抗やコンデンサ,小物パーツを揃えていくのですが,大阪・日本橋と違って,まず部品を探すのが面倒で,選べない。選ぶには歩き回らねばならないし,それに全体に高価です。  恐ろしかったのは,某若松通商で購入したファーストリカバリーダイオードという,電源の整流用のダイオードです。  東芝の2NU41という品種を探したのですが,なんと4本セットでないと売らないと意地悪されましたし,しかも1200円もするんですよ。半導体,それもダイオードに1つ300円なんて,私の考えでは高すぎます。  ラジオ会館の店舗で念のため聞いてみると,2本でもばら売りしてくれるというので,買いました。2本で600円・・・これなら,25Aクラスのブリッジ整流器が買えるじゃないか!  念のため,大阪・日本橋の部品店のHPで値段を調べると,やはり1本200円でした。これなら妥当でしょう。  日本橋は,まずパーツ店が淘汰されました。小規模な店舗はすべてつぶれ,現在は共立電子さんとニノミヤの2店舗でほぼすべてです。  共立電子さんは半導体の品揃えが圧倒的で,その他のパーツも無名メーカーであっても,安く品質の良い物が手に入ります。  一方のニノミヤさんは,機構部品などに有名なメーカーさんのものをおいています。値段は有名ブランド品だけにやや高価ですが,良心的な値段です。  いずれも,本当のところはどうか知りませんが,主な売り上げは法人さんとの契約で立てていると思われて,店舗での素人相手の小売りなど,片手間のもんではないかと思うわけです。それが基礎体力というものではないでしょうか。  大きな売り場と,ありとあらゆるパーツを在庫して並べ,お客はそれらを実際に比較して気に入った物をしかも安く買える,これは小さな小さな個人経営の,店舗販売が主となったアキバのパーツ店とは大きな違いです。  そもそも,日本橋には,アキバにあるような小さなパーツ店の集合体であるラジオデパートなど,存在しません。歩き回らずとも,いいパーツが安く手に入る,日本橋を知る私としては,アキバがとんでもなく不経済なものと思いました。  価格で1.5倍から2倍。この価格はアキバを成り立たせている原動力だと思いましたし,つまりは,自作を趣味としている人が,支えているという状況なんじゃないかと思いました。  確かにアキバでないと手に入らないものもあるんですが,通販でなんとかなりますし,高級パーツはそれを扱うお店がちゃんとあります。  アキバで本格的な製作のために部品を集めることはこれが最初だったのですが,日本橋のよさを改めて感じたのでした。アキバは,秋月電子以外に,存在価値がないと思います。
2000年09月04日 19時31分11秒

真空管アンプ製作開始
 ちょっといろいろあって書くのをさぼっていた日誌ですが,今回は先週の中頃から動き出した,懸案の真空管アンプ製作についてです。
 シャシーと抵抗やコンデンサなどの部品は,閉店前の三栄無線で揃えたわけですが,肝心の真空管が手に入っていません。
 もし手に入らなかったら,手に入っても寸法があわず,買ってきたシャシーが使えなかったら,などの心配があって,シャシー加工も出来ません。
 真空管についても秋葉原で調達することにしていたわけですが,いついけるかわからない状況で,それも手に入らないと言うことがあったりしたら別の手だてを考えなければならない分,出来れば早めに手に入れた方が良さそうです。
 そこで通販。WEBで調べてみると,意外に真空管の通販業者があります。しかし,私の欲しい5998A(普通の5998ではST管タイプなので,背が高く買ってきたシャシーとボンネットの組み合わせでは,頭が使えてしまうのです。5998AだとGT管なので,背が低く,ちょうどいい高さになります。)はなかなか持っているところがないようで,値段も出ていません。
 そんな中,徳島のある業者が持っていることを知りました。アメリカ製の軍規格品であり,ものは良さそうです。値段も秋葉原のある業者よりも遙かに安い,1本2500円。送料がかかるついでに,同時に必要になる6SN7も購入。ロシア製で1本600円です。
 それぞれ4本ずつ注文して,先週の中頃に届きました。手に取ってみると,5998Aはなかなか良い格好です。そうですね,GEの6L6-GCと言えばなんとなく想像が付くでしょうか?
 6SN7の方は,これがまぁ雑に作ってあるんですよ。箱が旧ソ連の箱らしく,製造年と思われる数字もソビエト崩壊前のもの。性能は悪くないと思うのですが,見るからに頼りないいい加減な作り方をしています。いくら安いとはいえ,これでは日本のマニアの心を掴むことはないでしょうね。同じロシア製の6C33-Bなどは,非常にしっかりと作り込まれた真空管ですが,やはり世の中,値段次第なんだなと思いました。
 さて,真空管が揃ったので,もうシャシー加工を始めても構いません。先々週の土日に大まかなレイアウトを検討して,これだと思うのを紙に描いてあったわけですが,これを元にシャシーに直接油性ペンで穴の場所を記していき,ここにドリルで穴を開けます。
 うーん,久しぶり。こんな立派なアルミのシャシーに穴を開けるなんて・・・超しあわせ・・・
 てなわけで,新兵器充電ドリルドライバーとチタンコーディングドリル刃で1.6mm厚のアルミにバンバン穴を開けていきます。
 トランス用の四角い穴はハンドニブラーという工具で切り込んでいき,最後にヤスリで仕上げます。分厚い板とはいえ,所詮はアルミ。私の敵ではありません。
 真空管ソケットや出力トランスの丸い穴は,今回手に入れたシャシーパンチで一気に解決。これは穴を開けたい板にあらかじめ10mm程の穴を開けておき,板の表に刃を,裏にこれがかみ合う臼をおいて,さっきの穴に通したネジで刃と臼を締め込んでいって綺麗に穴を開ける工具です。
 真空管のソケットはGT管の場合は30mmと決まっています。出力トランスの穴も30mmなので,作業が楽であること(そう,これが大事です。私の経験では,作業が苦痛な効率の悪い作業では,必ずと言っていいほど仕上がりも綺麗になりません。素早く効率よく済ませた作業では,仕上がりもとても綺麗なのです。)と,仕上がりがとても綺麗なことで,今回使ってみました。
 結果は上々。ただ,やはり工具の限界に近い厚さのアルミ板だったので,ねじを締め込むのが大変でしたが,気合いですませました。
 これまでに,真空管の穴6個,電源トランスの穴1つ,出力トランスの穴2つ,チョークコイルの穴1つの穴を開けました。出力トランスは,固定用のビス穴が少しずれてしまったので,ここをヤスリで補正しましたが表からはわからないでしょう。
 私のように適当な加工をする人が,割にきちんと直角が出ていて,自分のイメージ通りの結果になったことに,とても満足していたわけです。多少の傷が付いてしまったことは残念だったのですが・・・
 すっかり明るい未来に気をよくした私は,なにげに真空管の製作記事に目を通しました。
 ぼーっと見ていてわからなかったのですが,似たような真空管を使った似たような回路の記事だったのですが,ひとまわり大きな電源トランスを使っています。
 はて,どうしてかな,と思って本文を注意深く読んでみると,かなり大きな電流が消費されるとあります。出力段が200mAはいいとして,なんとドライバ段が50mA・・・合計で250mAも流れるんです。
 やばいとばかりに自分の作る回路図から電流値を求めると,やはり250mAは越えそうです。まさかこんなにドライバ段で電流が流れているとは・・・
 タンゴのもうひとまわり大きなトランスは,先日念のためとノグチトランスで聞いて,まったく手に入らないと返事をもらったトランスでした。タンゴの物は絶望的です。
 そこで,入手可能な電源トランスをあわてて探してみましたが,意外にないんですよね,電源トランス。
 ノグチトランスのオリジナルに,1つ使えそうなものがありました。値段も安く,非常に結構なものだと思うのですが,問題は加工まで済ませたシャシーです。
 定格を考えると,きっと今のトランスよりも大型になることは目に見えています。そうするとシャシーは再加工が必要です。
 再加工で済めばいいですが,物理的にのらない,などという事があっては,もうどうにもなりません。
 とりあえず,このままでは製作できませんから,土曜日でもノグチトランスに出かけ,実際の物を見て,買ってくることにします。
 シャシーにはゆとりのあるレイアウトを組みましたから,たぶん大丈夫と思うのですが,ちょっと心配ですね。
 やっぱ,私の場合は,何をやっても一筋縄にはいかないんだなと,つくづく思った次第。これがまた毎日の楽しい理由なんですけどね。
 ついでにまだ用意できていない小物部品も調達し,少しずつ配線作業を進めていくことにしましょう。
2000年08月29日 20時05分04秒

改良強化新型クツ
 先週破壊してしまった私の革靴,かかとが取れてしまった例の件ですが,こないだの週末に再度修復を試みました。
 そもそも接着剤のような安定性のないものを使うから激しい環境にさらされるかかとが剥がれてしまうわけで,そんな場合の決定打が,ネジ止めです。
 ただ,かかとが硬質ゴムであり,靴本体は皮ですから,あまり小さなネジではうまくいかないでしょう。
 なかばやけくそになって,直径3mmのビス(M3というんですが)で固定することにしました。
 かかとに数カ所開けられた,釘を打ち込むための穴を6.5mmのドリルで広げます。この穴は元々貫通していませんので,ドリルが止まったところで広げるのをやめます。
 そこからは3.2mmのドリルで貫通させ,靴本体もその穴と同じ位置に穴を開けておきます。
 そこに,長さ20mm程のM3ビスを通し,ナットで固定,これで完璧です。
 ナットはかかとに開けた6.5mmの穴に埋め込み,ビスは靴本体から差し込みます。こうすればネジのとがった部分が靴底から飛び出して痛い思いをせずにすみます。
 完璧だと思って作業開始。穴は簡単に空いて,私は「ザクとは違うのだよザクとは」と意味不明な言葉をつぶやきながらビスを通し始めました。
 ところが,やはり微妙に位置がずれるんですね。ビスを穴に通すんですが,うまくナットとかみ合わないんです。しかも,硬質ゴムに開けた穴ですから,3.2mmのドリルであっても,結局伸び縮みする分だけ小さめの穴になってしまいます。
 だからといって太いドリルで広げると耐久性に問題が出ると思うので辛抱してねじ込むのですが,もうそれがとにかく大変。手が痛くなってしまいましたが,きちんとナットで締まったビスは2本ほどでした。
 これではいかん,やむなくビスをかかと側から通し,靴本体からナットで締めることにしました。
 ただこの方法では,締め上げていくうちにビスがナットの上から飛び出してきてしまい,足に当たって痛い思いをすることになります。
 ちょうどいい長さのビスを見つけて作業にかかるのですが,ちょうどいい長さのビスでは,ゴムだけに今度はナットがかかる程ネジの部分が飛び出してはくれないのです。
 そこで長めのビスを使うのですが,締め上げていくうちにどんどん飛び出してきてしまうので,飛び出した部分を切断する必要が生じます。
 ところがこの切断面がとがっているので,足に当たると大変に痛いんです。
 そこで,段ボールを敷いて厚さを稼ぐことにしました。クッションの役割も果たすので,随分楽に歩けます。
 「アコース,クラッカーだ!」とかまたも意味不明なことをいいながら作業を進めたのはいいんですが,翌日の実戦配備後,大きな問題を露呈します。
 厚みを持った段ボールが,履いているうちにぺっちゃんこになってきて,ネジの頭が足に刺さるのです。
 敗北感を味わった私は悔し紛れに「そのモビルスーツの性能で勝ったのだー」とおかしなことを叫びながら,その痛みに耐えて一日過ごしました。
 かくて弔い合戦が始まります。ぺちゃんこになることを想定して3枚の段ボールを,それも微妙に大きさや形を変えて足の形に合わせて変形するようにしてみました。
 さらに飛び出したビスをさらに短く切りました。
 「すきだったよ,ぼうや」などといかれたことをいいながら,今,その靴を履いています。
 一応これで完成したと見ていいでしょう。痛いことを除けば完璧な性能を誇るこの改良強化新型クツ,これが何日持つか,実際に戦果を上げるのかどうかは,まだわかりません。「僕は,あの人に,勝ちたい」というまったく意味の分からんセリフで,頑張ってみようと思います。
2000年08月23日 21時22分04秒

TAXI2を見てきました
 フランスの爆走タクシー映画「TAXI」の続編,TAXI2を早速見てきました。
 私がプジョーに乗ってることもあってそれなりに親近感があった前作,映画としてはいまいちと言う気もしなくはなかったのですけど,とりあえず続編ですから見ておこうというのが,直接の動機です。
 で,結果から書きますと,これは面白い。
 前作と同じ,寒いおフランスギャグには違いないのですが,なにせ今度は相手がドイツではなく,日本です。
 いわゆる「勘違い日本観」ってやつがデフォルメされて前編に炸裂してます。「ニンジャ」と叫べばエンジンがかかる車,パリの町中を千葉ナンバーで走り回る三菱ランサー,わざわざややこしいルートをぴょんぴょん飛び跳ねながら去ってゆく「ニンジャ」がヌンチャクを振り回したり,日本の悪党が持ってる情報端末はなぜか日本製ではなく英国製のPSIONだったりとか,本気で作ってるんやったら国際問題やで,というなかなか愉快でダークなジョークが満載です。
 前回よりもスピード感もアップ,しかも大風呂敷の面積もかなり上がってます。それぞれのキャラクターが前回以上にいい味を出していて,「んなあほな」と引いてしまうギリギリのところでバランスした,なかなか優秀なコメディーだと感じました。
 こと車が好きな人間が見そうな映画ではありますけども,そうでない方もせっかくですからご覧になって下さい。かなりナンセンスですけど,満足して帰ってくることが出来ると思いますよ。
 そうそう,ところでその帰りですが,PowerMacに付ける100BASE-TXのPCIカードを買い直しました。先週検討したDECの21140搭載のカードは,やはりドライバが古く動作はしますけども新しいOSとの相性があまり良くなく,不安定になることがありました。
 そこで,最新ドライバの公開されているRTL8139ののったカードを探して買ってきました。ブランド物だったにも関わらず,1380円でした。
 結果はばっちり。ドライバもすぐに認識しましたし,速度も1割ほど向上しました。なにより安定しているのが素晴らしいですね。
2000年08月22日 22時44分51秒

靴底
 私は歩き方が荒っぽいのか,すぐに靴を傷めてしまいます。いつも革靴を履いているんですが,半年ほどもするとかかとがすり減ってしまいます。
 少々の型くずれがあるとはいえ他は悪くはないですし,それに足の形に馴染み始めたところで買い換えるというのは,また窮屈な思いをしなければならず,なかなかつらい物があります。
 かといって延命の修理としてかかとの交換を依頼すると2000円から3000円かかってしまいます。それでどれくらい持つのかということを考えると,ちょっと損をした気分にもなります。以前頼んだ時,1ヶ月ほどで壊れてしまったこともあり,基本的に信用していませんし。
 ハンズに出かけると靴の修理のためのいろいろなものが売られているのですが,その中でやはり靴底があります。
 高級な革靴であれば,靴底も牛革で出来ているので,かかとの部分だけを張り替えればすむわけですが,私の買うような安物は,全部がゴムで出来ていて,かかとと靴底が一対成形されているので,かかとだけを交換することは原則出来ません。
 ただ,ハンズにはかかとの部分を切り落としてしまい,そこにあてがうように貼り付けて修理すると思われるかかとが売られており,私もこれに目を付けました。
 お値段はわずかかかと2つで580円。
 まず古いかかとをノコギリで切り落とします。新しいかかとを少し削ってあわせ,接着剤で固定します。
 書けば簡単なのですが,実は数年前からこのかかと交換に挑戦し,その度に失敗に終わっているのです。なかなか難しいです。
 交換するかかとのサイズが微妙に違う,高さが合わない,接着がうまくいかず,すぐに剥がれるなど,見た目にも耐久性にも,結局ゴミを増やすことになってばかりでした。
 今回,かかとのサイズを小さいものと間違えてしまったんですが無理に付けたので,やや見た目に不格好でした。しかし,接着剤には最近発売された空気中の水分で硬化するものを使ったので,強力についたと喜んでいました。
 しかし翌日,あえなくかかとは剥がれてしまいました。なるほどこの接着剤,皮には強烈にくっつくのですが,ゴムにはいまいちだったのです。
 やはり昔から使われている黄色のゴム系のボンドでいくしかないと,かかとを剥がしました。ついでに,大きさのぴったりのかかとを調達して,貼り直しです。
 しかし,先に付いていた接着剤,今度の接着剤がゴム系なのできちんと剥がしておかないと,ゴム系の接着剤にはくっつかないのでまた剥がれてしまいます。でも,皮には強力にくっついているので,靴側の接着剤を剥がすことは簡単ではありません。努力をしましたが,完全には取り除けませんでした。
 後々,これが尾を引きます。
 ゴム系の接着剤を使って貼り付け,釘を打ち付けて一応完成。丸2日乾燥させて,試験運用です。
 4日目の夜,それまで調子よくいっていたかかとが,突然剥がれてしまいました。接着面を見ると,接着面積が小さく,わずかについていた接着面も,きちんと剥がすことが出来ずに残ってしまった前の接着剤の上だったのです。
 これはいかん。
 接着剤では,やはりどうしても耐久性に問題がある。
 こんな時確実なのは,ネジ止めです。
 検討の結果,うまくいきそうな感じのネジも手に入りましたし,この週末は靴修理に成果を出す,まさにその時であると考えて作業に入りたいと思います。
 まぁ,駄目でもともとなんですよ,わかってるんです。でも,こういうことって,面白いんですよね。プラモデルみたいで。創造的な作業というと大げさですが,考えて作業をするということのおもしろさ,こういうことで手に入るというのもなかなか興味あるところです。
 うまくいったときに「してやったり」と思えることが,さらに喜びを倍加させるのですが,今回こそうまくいくように頑張ります。
2000年08月18日 23時22分03秒

名門の買収劇
 集積回路(IC)には,メモリやCPUなどのディジタルICと,ヘッドフォンアンプやモーターのコントロールのようなアナログICがあります。
 日本の半導体メーカーはディジタルICへ特化した戦略を採ったことで,軒並みアナログICの開発能力が低下し,今となっては新日本無線というメーカーが一人気を吐いているというのが現状です。
 一方アメリカではどうかというと,やはりきちんとアナログICで商売している会社がいっぱいあります。
 アナログICというのは,ディジタルICのように経験の少ない人がCADを用いて設計できるような生やさしいものではなく,一子相伝の職人芸で設計されます。日本のメーカーは,黎明期を支えたアナログICの設計者が高齢化することに対策を講じず,結果として技術を死なせてしまったと見る向きが強いです。
 アメリカでは日本のように総合電器メーカーが半導体を手がけるという傾向が少ないので,自分たちの強みを生かして商売できます。アナログの名門は現在もアナログの名門,これがアメリカの現状です。
 もちろん,かつての名門の中には現在アナログに力を入れていないメーカーも多数です。
 テキサスインスツルメンツ社は世界最初のICを開発したことで知られる名門ですが,現在はDSPにシフトして,アナログ王国とはいえなくなりつつあります。
 ナショナルセミコンダクタ社は遊び心のある面白いアナログICでファンも多かったと思いますが,CPUにシフトした戦略が裏目に出て急速に業績が悪化,現在はまたアナログにシフトしつつありますが,なかなかかつての勢いは取り戻せません。
 フェアチャイルド社,インターシル社などの名門は買収などで元の技術を残しているとはいえません。職人芸の継承とビジネスが難しいのは,どこの世界も同じです。
 そんな中で,確かな地位を築いた名門が,バーブラウンです。
 この会社,OPアンプがまだモノリシックICになる遙か昔からハイブリッドICですでに市場に君臨した名門中の名門で,当時から手がけるOPアンプやADコンバータ,DAコンバートを現在も主な生業とする珍しい会社です。どちらかというと産業機器や軍事用途に向けた高性能な物を中心に手がけていたので,民生品と呼ばれる安価で大量生産される物にはなかなか使われることがありませんでした。
 ところがコンパクトディスクが登場してディジタルオーディオの時代が幕を開けたとき,得意の高精度DAコンバータと高性能なOPアンプで民生品に殴り込みをかけ,やや高価ではあるけども性能,特に音質には折り紙付きという名誉な地位を得るに至りました。
 CD黎明期の高音質DAコンバータの定番である「PCM56」,18ビットDAコンバータの先駆けとなった「PCM58」,比較的性能のいい物を安くたくさん作ることが出来る1ビット型のDAコンバータに日本のメーカーがシフトする中で,これも手がけつつマルチビット型DAコンバータをさらにリファインして当時関係者を唸らせた「PCM1702」など,チップを作ってから1つ1つレーザーで内部の抵抗値を調整して精度追い込むという手の込んだ手法を用いた高音質なオーディオ用DAコンバータは,私にとってもお馴染みであり,また憧れでした。
 そんなバーブラウンが,買収されるというニュースが入ってきました。
 買収先は,なんとテキサスインスツルメンツ社です。DSPで業績を伸ばし,今や怖いものなしの,ここも名門ですが,DSPの前と後ろに必要なアナログICを,自社で強化するのではなく地道にやってきたバーブラウンを買収することで手に入れようとしたわけですね。
 もちろんテキサスインスツルメンツ社だって,アナログには非常に強いラインナップを持っています。ただ,バーブラウンのような「定番」があるわけではありませんし,比べればやはり見劣りしてしまうと言うのが私の感想です。
 手堅く,確実にいい物を作り続けてくれることを期待していたのですが,ちょっと残念なことです。
 バーブラウンは近年,低価格ものをたくさん売るという低価格路線に切り替えていました。オーディオ用の高級なDAコンバータがかつての勢いを見込めない現状で,その判断は正しいといえるでしょう。安とはいえやや高く,それでも性能は我々の期待を裏切らないと言うおいしい製品を供給するメーカーとして,私も認知し直していました。
 ただ,テキサスインスツルメンツ社自身が「これは勝者同志の関係だ」というように,互いが弱点を補うことでより良いものを作っていこうという決意の現れとも言えます。
 伝統芸であるオーディオ用のアナログICは,かえってこれを大事にしてくれる大きなメーカーが買収することで存続が容易になるといえるかもしれません。それほど大きなメーカーではないバーブラウン自身が,自力でそれら技術を持ち続けるのは,ますます難しくなるだろうと悲観的にならざるを得ない現状では,この買収劇を私は歓迎すべきではないかとさえ思ってしまいます。
 業界の再編は,あらゆる分野で行われています。アナログICのような伝統的な世界でも,そういうことが行われる時代になったのだなと,ちょっと寂しい思いがしました。
2000年08月17日 19時47分16秒

さらば三栄無線
 今日は別件があって朝から秋葉原へ行くことになっていました。
 私が先日,実家に置こうと決めた真空管アンプのキットを購入したお店が,タイトルの三栄無線です。私がキットを購入したのが7月末,直後に閉店の知らせが伝わってきました。
 8月末を持って閉店する真空管アンプキットの老舗は,やはりタンゴのトランスの供給停止が閉店の理由だということです。
 なんとなく雲行きが怪しくなったと感じた私は,昨日とうとう真空管アンプ製作宣言を行い,早速部品集めにかかることにしました。
 「無線と実験」というその筋の雑誌があるのですが,手持ちの6080という真空管を用いた例として1995年8月号をその昔買っておいたのですが,これをそのまま使おうと言うことにしました。当初回路設計までをやるつもりでしたが,あまりのんきにしてられないということから,これを部分的に変更するという程度にとどめます。
 ただし,真空管は6080ではなく,5998というものを考えています。6080と同じく電圧制御を目的とした直列抵抗用の双三極管なのですが,6080に比べてgmが高く,μも高いので,よりドライブしやすくなっています。特性を見ると,かの2A3に近く,そもそも2A3だって電圧制御に使うことを想定されていたことを考えると,さしずめ5998は2A3の近代管と考えられるかも知れません。(ちょっと飛躍があるなぁ)
 6080よりもドライブがしやすく,出力もプッシュプルで18Wも取れるので,いい感じです。この5998を6SN7でドライブします。
 トランスは出力トランスがタンゴのFX40-5,電源トランスが同じくタンゴのST-220です。いずれもYahoo!オークションで購入した中古品です。
 とまぁ,ここまで検討してみたんですが,やはり抵抗やコンデンサ,シャシーなどの入手が大変面倒くさいと考えた私は,三栄無線の閉店セールをあてにして,主立った部品を手に入れようと考えたわけです。
 さすがにお盆ということで,アキバもお客さんは少ないです。三栄無線も,お歳をを召された方々ばかりが目に付きます。はっきりいって私は浮いていました。
 抵抗は半額,コンデンサ類も2割引です。もともと三栄無線は高かったので,これくらいで相場という感じもしなくはないですが,そんなことよりここで大体揃うという利便性が失われることの方が問題です。
 値段の張る電源平滑用のブロックコンデンサも安く買えたので満足ですが,何よりうれしかったのはシャシーです。
 SC-590という穴なしのシャシーがまだありました。しっかりしたシャシーですので,結構高価だったんですが,6500円。ボンネットも同じ値段でした。鈴蘭堂で買おうと思っていたのですが,鈴蘭堂のものはセットだと2万円ほどします。これはお買い得です。
 聞けば店頭展示品しかないということ。綺麗にビニールで覆ってあったので傷も汚れもなく,別に問題はないと言うことで買いました。(関西人はここで大体値切るのですが,もともと安いし閉店セールで値切るのは気の毒なので黙って買いました。)
 レジカウンターの真向かいにあった穴なしシャシーを購入したのは私です。長年店頭に飾られたシャシーで作ったアンプがずっと手元にあって,というのは,なんだかいい思い出になりそうな気がします。
 そんなわけで,私が三栄無線で買い物をしたのはこれで2回目です。アキバを使うようになってまだ6年ほど,もっと利用しておけば良かったと思いました。真空管は中国などで生産されているので心配ないと思いますが,さすがにトランスが駄目になるとは誰も思ってなかったのでしょう。
 ラジオデパートのノグチトランスも見てきました。中古のST-220はちょっと程度が悪く,電源だけに新品のトランスを買った方がいいかと思ったので,タンゴのMX-280を買おうと思ったのでした。
 でも在庫切れ。先週入ってきてもすぐになくなったとのこと。みんな衝動買いをしてるんだね,ってお店の主人。もう電話ばっかりで大変だとこぼし,私が困ったなというと,うちも被害者だよと笑っていました。
 残念ですが,古くて怖い,ちょっと電流が不足するST-220でいくしかなくなってしまいました。
 今回は真空管は買っていません。5998は今や稀少なんだそうで,ちょっと急がねばならないと思ってますが,今日は主立ったお店がお休みだったので,また後日。手に入らなければ6080で組みます。
 まぁ,慌てずにぼちぼち作ります。今回はキットと違い部品の不足や変更もあるでしょうし,シャシーも穴開け加工からしないといけません。久々のことなのでとても楽しみなのですが,なんとか頑張って仕上げます。三栄無線のシャシーとオリジナルのボリュームツマミを付けて,一生の思い出にしたいです。
2000年08月15日 16時22分34秒

バトル・オブ・シリコンバレー
 なぜ,狂信的なMacユーザー達の間でこの「バトル・オブ・シリコンバレー」というビデオが話題になったかというと,当時暫定CEOとしてApple社に復活したSteve JobsがiMacやPowerMacG3を次々に発売し,地の底にあったApple社を再び利益の出る健全な会社に出来たことがあり,その業績に対してやはりカリスマ的な魅力がここ日本にも伝えられていたからです。
 誰もがJobsにバラ色のApple社を見ていた時,アメリカのあるケーブルテレビ局が1本のドラマを制作しました。それがこの「バトル・オブ・シリコンバレー」です。
 Apple社の創設された70年代中盤から,Apple社に戻ったJobsがかのBill Gatesと手を組むという電撃的な発表を基調講演で行ったMacWorldExpoまでが,このドラマの舞台です。
 このドラマが放映される前には,Mac関連のニュースサイトでも話題になりましたが,いかんせんアメリカのそれもケーブルテレビ局制作のドラマです。日本で放送される可能性は薄いと見ていました。
 それでも話題の人が目白押しのドラマだけに,NHKあたりが放送してくれるんではないかと淡い期待をもっていたんですね。
 どうしても見てみたいと思った理由は,当時話題になったこともそうですが,このドラマでJobsを演じた俳優さんが,ドラマ放送後のExpoで,Jobsの基調講演の前座を務めて話題になったことがありました。良く似ているということで,会場の拍手喝采を受けたという報道に,そのネタは私ら日本人には蚊帳の外だなと,悔しい思いをしていたのでした。
 頼みの綱のNHKでも,全く放送の予定が出てきません。もうだめかと思っていたその時,やはりMac系ニュースサイトでビデオリリースの知らせが出ていました。
 販売されないレンタルオンリーとなるそのビデオを知ったとき,これで私もアメリカのMacファンに追いつけると喜んだものです。
 しかし,やはりマイナーな存在。どこに出もあるかと言えばそれもかなり不安です。
 とりあえず近所のツタヤへいってみました。
 ありません。何度も何度も探しましたが,やっぱり見つかりません。やっぱないのかなぁ,とあきらめていたわけですが,別件でツタヤへ行ったある日,新作コーナーをふらふら見てると,1本だけ棚の下の方に入荷していました。
 平日だったこともあって,誰も借りていません。チャンスは今です。
 喜び勇んで翌日返却の新作扱いであるこのビデオを早速見てみました。
 感想ですが,実につまらん。駄作もいいところです。
 まず,登場人物が中途半端に似ているせいで,説明がなく「誰だっけ」と思っているうちに話が進んでしまう。終わりのスタッフロールを見て,ああそうかと思い出すこともしばしばです。結果,話の流れが見えなくなることも多いです。
 あと,話の流れが速い。はしょっているところも多数ですし,それが史実と異なる解釈をされるおそれがあるところも多数です。例えばAppleIがホームブリューコンピュータクラブで紹介されたのは事実ですが,そこで多数を販売したということではなく,BYTE SHOPなる販売店で独占的に販売したという部分が省略されていませんし,コンピュータショウで人気を博したコンピュータは木箱に入ったAppleIではなく,カラーディスプレイが付いたApple][です。
 ここまでは好意的に見るとして,決定的におかしいのが,Bill GatesがIBMにDOSを売り込むシーンです。このシーンでは,MicrosoftがわざわざIBMに対して新しいOSとして,DOSを売り込むシーンが描かれています。さらに,「これが巨万の富を生み出した瞬間だ」と,大きく注釈を付けています。
 諸説あるのですが,現在最も信頼できる話としては,IBMがPCを企画した際に,OSとしてディジタルリサーチのCP/Mを考えていたので契約に向かったところ社長は不在,話し合いを始めるための機密保持契約を結ぶことも出来ずに,言語プログラムの供給を受けることになっていたMicrosoftに話を持ちかけたんですね。
 もちろん当時のMicrosoftは言語メーカーでしたから,OSなんていう大規模なソフトはラインナップにないどころか,開発すらできない。Bill Gatesは友人であった西和彦氏に相談するんですが,「それはビル,大きなチャンスだよ,やってみろよ」とけしかけられて,見込みもないのにIBMのOS供給の依頼を受けるんです。
 とはいえ日程的にも自社で1から開発できるわけもなく,どうしようかと考えていたところ,あるソフトハウスが,CP/M86に良く似た8086用のDOSを作っていると耳にするんです。これを5万ドルで買い取ったMicrosoftは,IBM-PCの試作機と機密を守るために密閉された小部屋と格闘し,とうとう移植を間に合わせます。これがPC-DOS,MS-DOSと言った方が通りがよいですね。
 ドラマではMicrosoftからIBMに接触を図って,PCにOSをのせることを提案,そのOSとして自社のDOSを売り込むということになっています。これでは話があべこべです。
 気になったところはこのくらいですが,全体として話が散漫で消化不良。人間を描くという深さに欠け,表面的な話をおもしろおかしく見せるだけのものでした。
 俳優さんはみな実在の人間と良く似ていて,それがコミカルに見えるのは事実ですが,我々日本人が彼らが誰のそっくりさんなのかを即座に判別できるほどわかりやすいものではありませんでした。
 Jobsの「嫌な奴」ぶりも強く描かれていましたし,弟分としてJobsを尊敬していたとも言われるBill Gatesも,とてもうまく描いていたところはうまいなと思いました。しかし,肝心の話の筋に深みがなく,見ているうちに何となく飽きてしまうような感覚さえもありました。
 まぁ,仮にこれが発売されたビデオだったり,DVDになっていたりしても,やはり買ってまで見る物ではないという結論ですね。NHKが買い付けなかったのも,なんとなくわかる気がしました。
2000年08月14日 15時32分34秒

今時のFAST-Ethernet
 実家に敷設したLANケーブルのチェックに,100M/10M切り替えのスイッチングハブを購入した話は,先日書きました。今日はその後日談です。
 このスイッチングハブ,5ポートということもあってわずか5000円。私が個人的にお気に入りのコレガというメーカーの「Fast SW-5P」という製品で,小振りのかわいらしいものです。
 スイッチングハブというと一桁違う価格で冷却ファンが付いているのが当たり前,19インチラックに収まり,パソコンほどの消費電力と騒音をまき散らして威張り散らしている姿が記憶にあって,それを必要とするシチュエーションにいるということも含めて,持つことがステータスシンボルだった時代を知る者としては,隔世の感があります。
 それが5ポートとはいえたった5000円とは・・・
 10Mであれば2000円ですけど,今更そんなものを買ってもゴミになるだけですし,実家のLANを10Mでしか確認できないことを考えれば,5000円の価値はあるという事で買ってきました。
 しかし,確認作業が終わると,もう使うあてがありません。もったいない話です。いざ実家で必要になることがあれば,その時にはもっと安く,もっと使いやすいものが出ていることでしょう。この種の物は,今使うことがベストなわけです。
 そこで,会社に持ち込むことにしました。私物は持ち込み禁止なのですが,黙っていればばれないでしょう。(タレ込み厳禁ですよ)
 会社の環境は,100Mが1本,10Mが1本の合計2本を各人に用意してくれています。私のようにCPUの遅いマシンを多数使いこなして「並列分散マルチプロセッサスーパーコンピューティング大作戦」を生き甲斐とする人としては,ハブは必要不可欠です。
 しかし,会社はそんな私に理解を示さず,与えてくれたハブは10Mのリピータハブ。通称「バカハブ」ですね。ちょっと大きなファイルを転送しようとすると,すぐにパケットの衝突の発生を示すランプがバンバン点滅して,いかにもやる気をなくさせますし,接続するマシンに100Mのインターフェースが用意されていても結局10Mになってしまうので,精神衛生上極めてよろしくありません。
 そこへ行くとスイッチングハブはさすがです。マシン固有のMACアドレスを記憶し,接続の必要のあるマシン同志を直接ハブの内部で「スイッチ」してつないでしまいます。余計なパケットは流れませんし,接続が複数出来ても速度の低下はありません。しかも自動切り替えのものなら100Mと10Mの混在も可能で,それぞれの最高速度で動作します。
 また,全二重に対応していれば,送受信が同時に出来るので,サーバーのように負荷の大きいマシンにぶら下げるには,まさに好都合。
 当然中身は高速なCPUとメモリ,専用のハードウェアで武装したインテリジェントなもので,それゆえクライアントに使われるパソコンよりも高価な時代が長かったのです。100Mと10Mの混在に「失敗談」があったことなど,今の人は知っているんでしょうか・・・
 私のようにマシンに埋もれて座っている変人には,どうして今まで導入していなかったのかと思われるほどのスイッチングハブですが,それはそれで理由がありました。
 会社が100M対応のスイッチングハブを買ってくれなかったということから,メインのマシンであるPowerMacG3をなんとしても100Mに接続したかったのです。サブマシンのPCは,いかに100Mのインターフェースがあろうとも,貴重な100Mの線を与えるわけにはいかないのです。
 お陰でPCでのファイル共有などは最悪を極めました。しかし,メインマシンを快適にすることには代えられません。
 こうしたジレンマは,突如頭上に舞い降りたスイッチングハブで一気に解決です。100Mの線をハブに入れ,ここから100M/10Mの各マシンを接続。最近やむなく使用頻度の上がってきたPCとMacが,仲良く高速インフラに接続されます。
 で,早速やってみました。
 バカハブには使用頻度の少ない10Mのマシンのみを残し,100Mと搭載したノートPCとPowerMacG3,そしてMac用のPostScriptプリンタを接続しました。プリンタは10Mですが,プロトコルがAppleTalkのみということでMacからしか使われないので,Macのつながっているスイッチングハブに接続できれば好都合です。
 システムを稼働させると,100Mで認識された印の緑のLEDがピカピカつき始めます。
 が,肝心要のPowerMacG3のポートが,10Mの半二重になっています。
 あれ,ネゴシエーションに失敗してるのかな,それともケーブルを間違えたかな,などといろいろ検討しましたが,どうにもなりません。おかしい,そんなはずはないと思いましたが,念のためPowerMacG3のマニュアルを見てみました。
 このPowerMacG3,最初期のベージュ色のやつで,俗に言うポリタンクではありません。
 ・・・お恥ずかしいことに,私はこのベージュのPowerMacG3が,100Mのインターフェースを積んでいるものと,勘違いしていたのでした・・・3年間も。貴重な100Mの線を直接与えていた飼い主の期待を裏切りおって,このウジ虫めがっ,と私が憤慨したのは言うまでもありません。
 事実は事実。素直に受け入れることから人類の進化は始まります。ではこのPowerMacG3を100Mにするにはどうすればいいのか,考えます。
 当然ながら100M/10Mに対応したLANカードをPCIスロットに差し込めばいいのです。ただ,Mac用は正規品しかないので,非常に高価です。安いDOS/V用が使えればいう事なしです。(100M/10M全二重対応PCIのNICが1000円で売られる時代が来るとは・・・)
 そんな訳で行きつけのホームページを見てみると,やはりありました。なるほど,このチップが乗ったカードを探してチップメーカーのホームページからドライバを落としてくればよいのだな・・・アキバへ行ったときに買おう,と考えたのはいいのですが,自慢のスイッチングハブのLEDが,それぞれのポート間をバシバシスイッチングしてる様子を示すのを見るに付け,どうも愛すべきPowerMacG3のポートが10Mになっているのが悔しくて,やはり仕事が手に付きません。
 これはいかんと,そこら辺を探し回ってみるとPCIバスで100M/10M対応のNICが2枚出てきました。
 SMCの9332BDTとアライドテレシスのLA100-PCI-Tという有名どころのものです。チップはDECの21140ACとAF。メジャーなチップですから,Macのドライバも手に入るでしょう。
 早速ドライバを探してみると,SMCの方は純正がありました。ダウンロードすると,随分古いものです。「System7対応?中世のOSですな(c)ギレン・ザビ」
 内部が大幅に変わっているMacOS9とSystem7時代には存在しなかったOpenTransportを持つこのPowerMacG3では,不安定になるどころか,動かない可能性が大です。とりあえず試してみると,やはり100Mでのネゴシエーションに失敗し,10Mでの動作にとどまります。
 それでもオンボードのポートと速度を比較すると,30MB程のファイルで10秒ほど速くコピーが終わります。CPUに負担をかけないチップなんだなと妙に納得してはいいが,精神衛生という大きな目的が達成されないので,私の気分はもはやおもちゃ売り場にしゃがみ込むだだっ子状態です。
 よっしゃ,なにがなんでもやったる,そう誓った私は,まずMacのボードを扱うショップのホームページからNICの製品名とそのメーカーを片っ端から調べ,それらの中からDECの21140というチップが使われているものを探しました。PCIバスになってから,いわゆるプラグアンドプレイが実現したので,チップが同じなら異なるメーカーのドライバでも,そのまま動作する可能性が高いのです。
 いくつか見つかったのですが,その中で最も新しいドライバをインストールし,再起動。
 当然ながら,NICは認識されません。PCIにはカードごとにベンダー名と製品名がきちんと与えられていて,ドライバはこれを確認してから動作状態に入ります。
 やはりだめかとちょっとがっかりしましたが,気を取り直して「Appleシステムプロフィール」なるソフトを起動。Appleがユーザーサポートのために作ったとしか思えない,どんなMacにも付いてくる,ハードとソフトを確認するソフトです。
 これでPCIのデバイスを確認し,ベンダー名と製品名をメモします。
 次に,先ほどインストールしたドライバをバイナリエディタで開き,ダンプリストからベンダー名と製品名によく似たそれらしい文字列を探します。ここを先ほどメモしたものに書き換えます。
 そして再起動。
 すると,まぁ,見事に認識しました。TCP/IPコントロールパネルから,PCIに接続されたNICを選択できるようになっています。ふふ,してやったり。
 こういう古典的なパッチのあて方でどうにかなるケースは最近はまれで,昔はそれこそハードディスクやCD-ROMなども出来たのですが,今回はドライバも今から2年前のものですから,通用したんでしょうね。
 2枚のカードのいずれでも動作したのですが,SMCのものは他のマシンから抜いてきたものなので,今回はLA100-PCI-Tを使うことにしました。こちらの方がチップも製造も新しいようですし。
 ハブに接続すると,さっと100Mの全二重で認識されます。勝利に酔う私は,好例の速度チェックで景気づけを試みます。
 気になる速度は,先ほどの30MBのファイルで,オンボードの場合の15秒短縮・・・あれ,ほとんど100Mになった効果がないです。SMCのカードと古い純正による10Mと比べてみれば,なんと5秒程度の改善しかなされていません。
 早速調べてみると,どうもMacOSが悪いらしい。あるNICのメーカーがFAQとして公開していたのですが,オンボードで100MをサポートするiMac同志を接続した場合の速度は,10Mと100Mで数十パーセントの差だったそうです。Windowsでは劇的に改善されるので,OSの問題であると結論づけられていました。
 LocalTalkやAppleTalkが先行したことでEthernetやTCP/IPへの対応は後発になったMacだけに,どうもこのあたりは苦手なようです。
 まぁ,いいや,廃物利用で100Mに対応して,気持ちよく仕事が出来るようになったわけだし,と今回の検討は終了しました。
 わずかとはいえ速度の改善はあるわけですし,なによりノートPCが劇的に速くなったので,環境全体で見れば大きな成果です。
 ただ,このスイッチングハブ,発熱が強烈です。ファンはないですが,筐体が50度にはなってると思われます。じっと持っていることが出来ません。
 消費電力が12Wと割に大きいので,家庭用にはちょっと不経済ですね。それに発熱が大きいと,壊れやすいですし。偶然見つけたあるページに出ていましたが,私と同じスイッチングハブを一度購入したが,発熱がひどいので違うメーカーのものに買い直したという人がいて,それを調べてみると消費電力が5W程度。発熱も小さいそうで,価格もほぼ同じ。
 ちょっと損をした気分です。
 まぁ,いいか。
2000年08月11日 21時05分50秒

総括
 休みは昨日までで,今日から普通通りの毎日です。
 一昨日の夜に車でこちらに戻ってきましたが,名阪国道と東名阪自動車道での渋滞のため,実家近くのインターから名古屋ジャンクションまで普通だと90分ほどのところを,150分もかかってしまいました。これが尾を引いて帰宅時刻が予定よりも少々遅くなってしまいました。
 しかし何より,時間がかかってしまったことがかなりの疲れの原因になり,冷静に考えると終盤,良くもあの速度で安全に運転が出来ていたものだと怖くなります。
 帰省中から気になっていたことに,車のエアコンがいつもと違う動作をすることがあります。最近のプジョーのエアコンは強力で,そこらへんの国産車以上のパワーを持っている(フランス本国向けと日本向けとでは,日本向けのものがより強力なエアコンに換装されており,そのためエンジンルームがやや窮屈で,グローブボックスも奥行きの小さなものに交換されています。車検証はここには収まりません。)ので,今まで冷暖房共に不満はありませんでした。
 問題というのは東京から大阪に向かう道中ですでに気が付いていましたが,一度エンジンを切ると,しばらくはエアコンが効かなくなるのです。生暖かい風が送られてきて,車内の温度は見る見る上昇。湿度も上がって窓が曇り始めます。
 しばらくしてから突然涼しい風が来ると思ったら,すぐに快適になるんですね。昔はこんな事なかったのになぁ・・・一晩ほどほっといて,翌日にエンジンをかけた場合なんかは直ちにエアコンが利き始めるんですけど,ちょっとパーキングエリアで休憩したり,買い物に出かけたりすると,次に乗るときにはだめなんです。
 ガスの確認窓で泡を見てみることもまだやってませんので,なんとも言えませんが,どうも復活までの時間がどんどん長くなっているような気もするんで油断は出来ません。
 どうしよう,エアコンは洋の東西を問わず高価なものだから,給料一月分くらいは覚悟せんとあかんかなぁ,と絶望しているところ,プジョーのホームページで「プジョーの場合は,エボパレータ(冷えた冷媒に風を当てて冷風が作られる部分です)が3度から5度になるように設計してあって,3度以下になると冷えすぎないようコンプレッサーを停止させています。」とあるのを発見。
 室内循環でエアコンを長時間動作させたところへ急にエンジンを切ると,冷媒が熱を吸収できずに急激に温度が下がります。もし凍結したりしたら,これが溶けるまで3度以上になることはありません。きっとこれが原因でしょう。
 一般家庭のエアコンでも,急に運転を停止させたら凍結することがあるわけですけど,そういうことなんでしょうね。今のところ冷え始めれば強烈に効きますから,あまり気にしないようにします。
 さて,今回の帰省を総括。
 今回は友人と会うことを1名と絞り込んだにも関わらず,さすがに引っ越し直後の後片づけが忙しく,のんびり過ごす時間がありませんでした。
 とはいえ忙殺,という感じではないので,自分のペースで気持ちよく片付けが出来たと言うことで,なかなか充実した毎日でした。
 クローゼットにタンスを入れたいというので,母を車で近所の家具屋に連れて行き,高さをきちんと測って購入したまではいいのですが,いざ配達されて押入に入れようとすると,幅が大きくて入らない。
 私と母は顔が真っ青。最悪の展開が脳裏をよぎりました。
 試行錯誤や根性より,まず物理的限界を知ることが大切だとメジャーで押入の幅とタンスの幅を測りました。タンスの幅は押入のそれより10mm程小さい。なんと際どいところでしょうか。しかしこれでとりあえず物理的条件は満たしています。ようやく努力と根性でどうにかなる世界まで来ました。
 しかし,扉が明らかに邪魔になり,その10mmでは入らないんですよね。今時のクローゼットの扉ですから,外すわけにはいかんのですが,タンスを入れるスペースよりも外の部分に滑らせることが出来れば,なんとかなりそうです。しかし,その扉は当然,片方の端を固定してあります。
 目に前に立ちふさがる敵は,これを全力を持って排除すべし,私はドライバーを片手に扉を滑らせることにしました。幸いにして留め具が簡単に見つかり,ちょちょっと扉を動かすことに成功し,わずか10mmのすき間を残してぴたっとタンスを押し込むことができました。
 新しい家には,幅350mm程の縦長の窓がいくつもあるのですが,ここに釘やネジを使わずにカーテンを取り付ける事を母は画策し,最近売られている伸縮自在で,バネの力でつっかえ棒のように固定できるパイプをいくつも買ってきてありました。
 しかしそのパイプは,最短でも長さが400mmほどある。これで物理的限界を超えて使用不可能となってしまいます。
 そこで私は,捕らえられ絶体絶命のピンチを迎えたAチームのコングのごとく,ノコギリで短くする事を思いつきました。当然頭の中では,あのBGMが鳴り響いています。しかし,伸縮自在とつっかえ棒という凝ったギミックのため,闇雲に切るわけにはいきません。
 慎重に考え,加工することで見事に350mmまで縮むように改造が出来ました。めでたしめでたし。知ってる人が見れば「そ,そんなばかな,このパイプはここまで短く縮むはずがないはずーっ,ジオン公国に栄光あれぇー」と特攻するに違いありません。
 松下製の最新型のプログレッシブスキャンに対応したテレビは調整がまずくて,まるで油絵のような画質(これはこれでとてもシュール)でしたが,これも見やすいように調整をすることで綺麗になりましたし,その他細かいことをいろいろやってきましたので,後は母が一人で,コツコツを仕上げていくことと思います。
 非常に面白いと思ったのは,数日間だけ新築の家に暮らすということは,まるで他人の家に数日寝泊まりするのと同じだろうと思っていたのに,初日からすでに自分の家として違和感なく,気分的な遠慮が全くなくなっていたことでしょうか。無論中身は元の家族ですし,住む人間が変わらねば家具や物の置き方のセンスは同じです。臭いもそうだし,雰囲気が「馴染む」という現象を決定する要素であることがわかりました。
 私と弟はすでに実家を出ています。住民票もこちらになっています。にもかかわらず,両親は新しい家の表札に,私と弟の名前を残してくれていました。どうして,と尋ねると「家族だから」と返事。黙っていましたが,今回の帰省で一番うれしかったことは,これでした。
 次は正月ですね。今度は新幹線で帰ろうと思います。やっぱ車は疲れるわ。
2000年08月10日 16時17分03秒

実家にて
 今実家に来ています。新築の家に住むという経験は今までになく、これが初めてということになります。
 いろいろあったみたいですけど、結論から言うとうまくまとまっているという感じです。まだわずか数日ですけども、すっかり落ち着いてしまい、毎日ぐっすりと眠れています。
 今日は私と私の弟の荷物をきちんと整理しました。屋根裏収納にはすでに雑誌などを運び込んでありますが、古パソなどをどうするかは、最終的に押入のスペースとの相談だと考えていました。
 収納が大きくなっていることも今回の家の特徴であり、あれだけの私たちのがらくたが、意外にきちんと収まってしまうからおもしろい物です。
 私が今回担当したネットワークの件ですが、さすがに複数のマシンを持ち込んで実際のネットワーク環境を構築して確認をするわけにも行かず、思案の結果、ハブを買ってきてこれとの接続でもって確認をしようということにしました。
 100BASE-TXに対応したLANを構築しましたので、安物のハブでは全部の機能が確認できず、それに後で必要になったときにシステムの足を引っ張るのも嫌だったから、100BASE/10BASE自動切り替え対応のスイッチングハブを日本橋で買ってきました。昔は何十万円もしたのに、今は5000円ほどですもんね、大した世の中ですよ。
 確認はスムーズに取れ、この段階での不都合はありませんでした。実際の運用に入ってから、ノイズやエラーレートなどが問題になることはあるかもしれませんが、さすがにそれは今は確認できませんもんね。
 オーディオですが、母には真空管アンプはさすがにあまりウケが良くなかったですよ。当たり前のことなので別にがっかりもしませんでしたが、後で音を出してみると、やっぱり随分といい音がするんで、使ってもらうことにしました。
 組み合わせるCDプレイヤーは、やはりマランツから選びたかったので、CD5000という廉価版を買いました。定価で3万円程度、実売で2万円くらいの物なのですけど、私はマランツの良心を信じて、安い物は安いなりに、きちんと作ってくれていると思っています。
 ハブと一緒に買って帰るつもりをしていましたが、よく売れているということで在庫が無く、他で買うと店を出ようとすると2000円の値引きと送料サービスで結局そこで買うことにしました。一緒にスピーカーケーブルも必要だったのですが、ドイツ製のもの(でも安いんですよ、1メートル500円くらいです)を持ち帰って来ました。
 CDがないので困ってしまいましたが、一緒に実家に持ち帰ったドリームキャストを繋いで聞いてみました。シンバルやハイハットが濁るんですが、中音域は聞けないほどでも無いレベルで、真空管アンプとJBLのスピーカの、ジャズや少人数編成の音楽には」ぴったりというねらいに間違いがなかったことに、ほっとしました。
 今日になってようやくCD5000が届いたので、早速接続して使ってみました。まずはっきり気付くのが、金属音の違いです。まぁゲーム機と比較をするのも酷な話ですが、耳障りでなくなります。これがマランツのチューニングの方針なんでしょうね。ボーカルも妙にみずみずしく、ゴスペルっぽい大人数のコーラスもばらつかず、きっちりと定位します。
 2ウェイスピーカーのなめらかなつながり、真空管アンプの自然な音と、そして高価ではないけど良心を感じるCDプレイヤーで、非常に満足のいくシステムが出来たと思います。
 それにしても、まぁ熱のすごいことすごいこと。真空管そのものは言うに及ばず、トランスからの発熱がすごいんですね、電源を切ってもなかなか冷めないですし、本当に電力の大半を無駄にして、良いところだけを料理するアンプなんだなぁと思った次第です。
 三栄無線が秋葉原店を閉店する話はここにも書きましたが、トランスの安定供給が出来なったというのがその理由のようで、残念な話だと思った一方、真夏の暑さの中で熱を持ったトランスに手を触れながら、無理もないことなのかなと思い、たぶんこのまま、真空管アンプのブームは下火になるんじゃないかなと、考えたりしました。
2000年08月05日 19時13分42秒