プリンタ

 なぜだか分からないですが,私はプリンタには一家言があります。

 紙で書かれたドキュメントが好きだからでしょうか,最終的に紙になった物を見るとほっとします。

 PC-6001にプリンタが欲しくなった中学生の私は,プリンタで打ち込んだプログラムのデバッグが飛躍的に楽になるということを知っていましたし,アセンブラで書くようになってからは,とにかくランニングコストの安いドットプリンタと10インチの連続用紙にばりばり打ち出していました。

 そうして厚みを増したソースリストを見て,悦に入るのも大好きでした。

 そういえばレーザープリンタを導入してから,すっかりこだわりがなくなったような気がします。みなさんはいかがですか?


PC-PR401(NEC:1984年,39,800円)

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 私が初めて手にしたプリンタが,このPC-PR401です。

 80桁のサーマルプリンタと言って,感熱ロールペーパーでしか印字できません。熱によって黒くなる,紙の化学変化を利用したプリンタです。

 安く,静かということだけ取り柄で,保存性は悪い,ランニングコストは高いということで,すぐになくなった方式です。

 ただ,このPC-PR401には他にはない大きな特徴があります。

 PC-6001の画面のハードコピーは,後のパソコンで標準となったプリンタ側の命令コードを用いず,非常に特殊なコマンドを用いて行われます。PC-6001mk2のN60m-BASICでさえも改善された項目でして,私はPC-6001以外に,このコマンドを用いた例を知りません。

 このコマンドに対応したプリンタが,専用のプリンタの中でもPC-6021だけだったのです。PC-6022やPC-6023でさえも,未対応なんです。

 私がプリンタの購入を考えたとき,このPC-6021はすでに製造中止。どこにいってももう手に入りません。唯一在庫を持っていた店も,展示品の程度の悪い物が1つだけ残っているということでした。途方に暮れてそのお店の人にきいてみると,新製品のPC-PR401には,PC-6001モードとそれ以外のマシンに対応するノーマルモードがスイッチで切り替えられるというではありませんか。

 これはおいしい。将来の買い換えにも対応できる。そう思って,買いました。

 ばっちり。PC-6001でもきれいにハードコピーが出ます。

 あとは,デバッグに,カセットのラベルにと,いろいろ活躍してくれました。ロールペーパーが高いからとケチって使ってましたが,結局このロールペーパーを使い切ってしまうことはありませんでした。

 で,その後買い換えたX1turbo3で,このプリンタを使ったのかというと・・・使ってません。いかんせん8ドットのANKプリンタでは,X1turboの漢字処理機能を生かせないのです。そこで,プリンタは買い直すことになるのです。

 私にとっての,最初のプリンタ。とてもとても思い出があります。


PC-PR405(NEC:1985年,69,800円)

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 我が家に2世代目のパソコン,X1turbo3がやってきたときに,ほぼ同時に買ったのがこのプリンタです。24ドットの熱転写プリンタで,印字速度は遅いものの,NECの漢字プリンタにしては180dpi(例えばPC-PR406やPC-PR101は160dpiなんですね)と,エプソンのようにきれいな印字を誇っていました。

 しかも,当時のワープロ専用機にも負けない熱転写方式。これが,X1turbo3を購入したお店にちょっとした用事があって立ち寄ったとき,下取り品で9,800円で出ていたのです。

 いや,信じられなかったですよね。当時主流の熱転写24ドットです。それが1万円だなんて。愛着のあるPC-PR401にもどこかシルエットが似ていて,購入決定。

 このプリンタには,本当に活躍してもらいました。一応明朝体の出るプリンタですから,ワープロ,カセットやフロッピーのラベル,グラフィックの印刷と,考えつくことは大体やりました。

 第2水準のROMが別売りなので,使う漢字だけ外字登録したり,例えばABBAというロゴも登録したり,もうマニュアルなんかぼろぼろになってしまいました。

 カラー印刷が出来ないとか,遅いとかいろいろありましたが,全然気になりませんでした。私にとっては,パソコンで実用になる漢字処理が出来るという事だけで,満足だったのです。

 その後,今はなきアイビット電子さんの通販で第2水準のROMを購入しましたが,さすがにもうお出番はなく,箱に入ったままになっています。ただ,セントロニクス準拠の標準的なプリンタなので,なにかに使うことがあるかも知れません。

 これも,本当にお気に入りです。高校の時の卒業文集は,これで原稿を書きましたから。


PC-PR101(NEC:1984年,248,000円)

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 80桁10インチの,24ドット漢字プリンタです。PC-PR201とPC-PR101というプリンタは,それまで非常に高価だった24ドットのワイヤードットマトリクス漢字プリンタを一気に個人でも買える価格にしたことで有名ですね。以後,NECのPC-PRシリーズと言えば,エプソンのVPシリーズと共にスモールビジネスの定番になってきました。

 さて,このプリンタ,最初からPC-PR101で来たわけではないのです。

 最初は,PC-PR201CLという,PC-PR201シリーズで最初のカラードットプリンタだったんですね。これはジャンク品をもらってきて,修理して使うことにしたんです。カラーリボンも手に入れて,マニュアルも手に入れました。結構きれいにカラー印刷が出来たのですよ。

 そして,これはちょうどアセンブラでのプログラムを本格的に始めた時期と重なり,デバッグプリンタとして活躍してくれました。ヘッドのピン折れがおこったら,ヘッドをばらしてピンを交換するとか,しょっちゅうやってました。それほど,ドットプリンタは憧れの的だったんです。

 しかし,実家を離れるとき,大きなプリンタをおいておくわけには行かなくなりました。そこで,電源の保守にととっておいたジャンクのPC-PR101の箱に,詰め替えたのです。

 今もきちんと動くと思います。でも,うるさいし,印字はきれいではないし,連続用紙なんか見たことのない人も大勢いる昨今,おそらく使うこともないと思います。そういうわけで,2000年春に実家の取り壊しがあって,処分しました。

 余談ですが,PC-PR104というプリンタも持っていました。チノンのOEMでしたが,ラインプリンタという面白い構造をしていました。

 ヘッドはプラテンの上に横に長く横たわっていて,そのヘッドは左右に2センチほど往復運動をします。ピンはそのヘッドに横一列に10個ほどならんでいるのです。

 印刷は,このヘッドの往復運動で行われるのですが,紙送りが行われるたびに,漢字の横1ドット分が印刷されます。つまり,ピンを縦に並べるのが普通のドットプリンタであれば,このラインプリンタは横にピンを並べて,紙をずらしていんさつするのです。

 印字品質はとてもきれいでしたが,サーマルプリンタよりも印字が遅いのには閉口しました。


TRS-80 Color Printer(タンディ:1982年,49,800円)

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 当時ちょろっと話題になったプリンタがこれです。カラープロッタプリンタというジャンルで,安いことからよく使われていました。

 その昔,X-Yプロッタというプリンタがありまして,これは紙を固定して,X軸とY軸をそれぞれ別に駆動するモーターでペンを動かし,紙に手で書くように印字していく物です。A1やA0という大きな紙ではドットプリンタも使えませんから,主に製図用として使われました。

 しかし,これはでかい。しかも高価。なら,紙を固定せず,Y軸方向は紙を動かすことでプロッタを作ればいいんではないかという発想で生まれたのが,このカラープロッタプリンタです。

 X軸はヘッドが動き,Y軸は紙が動きます。電磁石でペンを紙に付けたり離したりすることで,あかたも手で書くような文字や図形を描いていきます。

 しかも,ヘッドには4つのペンを付けることができ,リボルバーで使う色のペンを切り替えることが出来ました。なにせ,文字も8×8ドットの時代です。手書きのように継ぎ目のない文字が出てくる,それどころか図形だってきれいに出てくる。まるで生きているように描かれる光景は,見る人を驚かせるのに十分です。

 プリンタのエンジンそのものはアルプスの開発によるOEMだと思いますが,ポケコンのプリンタや前述のPC-6022,MZ-700の内蔵プリンタなど,低価格を武器にして非常にたくさん使われました。

 しかし欠点はあるもので,まず,線を引くプリンタですから,べた塗りができない。だから,図形を描くのは得意でも,画面のハードコピーを取るのは全然駄目なんですね。だから,ビットイメージ印字のコマンドのサポートはありませんでした。ということは,図形を書くにはベクトルデータをプリンタにわざわざ与えないといけないんです。

 しかも,うるさい。ボールペンが電磁石で紙に付いたり離れたりするんですが,これががちゃがちゃうるさいですし,構造的に印字速度は遅いです。リストを取ると,いらいらします。

 でも,圧巻だったのは,このボールペンで1つ1つ点を打ち,画面のコピーを取るプログラムが雑誌に出ていたこと,あとPC-1600というシャープのポケコンでは,なんと漢字さえもこれで印字することができたんです。力業ですね。

 このTRS-80の周辺機器,入手は高校の時の友人からです。友人はフリーマーケットで500円で購入したそうですが,使わないからと,くれました。セントロニクス準拠のRS-232C準拠の2つのインターフェースを持つので,大体どんなマシンにもつながるのですけども,マニュアルがないのでどうやって動かすのか,よくわかりません。特にRS-232Cではどうやって動かすんでしょうね。


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