復活のCLE

測定・調整編


ニコマートELの修理にも使った自作のシャッター速度測定器でシャッター速度の測定を始めました。1/8秒までは完璧な測定値が出てくるのですが,高速になるに従って徐々にあやしくなります。1/125秒までは測定器を頼りに調整を行いましたが,特に1/1000秒や1/500秒については測定の度に値が変わってしまうほどばらつくので,これはもう実写で試すしかないと判断しました。

購入した新品のレンズ(ここで中古などを買ってしまうと,問題が出たときにレンズが悪いのか本体が悪いのかわからなくなるため,間違いのない新品のレンズを買うことにしたのです)を装着し,撮影を始めます。

すでに低速側の速度は十分な精度を持っていることがわかってますので,同じ被写体をいろいろなシャッター速度で撮影し,コマ間で濃さがばらつかないようにする作戦です。

現像してみると,残念ながら1/500秒と1/1000秒はかなり薄く,再調整をしないといけないレベルです。そこで露光時間を増やすことにしてもう1本。今度はうまい具合にすべてのコマが同じ濃さに揃いました。1/1000秒など,ひょっとしたら安定しないかもしれないと思いましたが,何度か続けて撮影しても同じような濃さで揃っています。ネガなら十分な精度でしょう。

しかし予定していなかった問題も出ました。PICマイコンは2V位まで動作するのですが,パワーオンリセットは1.5Vを切らないとかかってくれません。

低い電圧で動作することそのものは結構なことではあるのですが,今回は問題を引き起こしました。リセットがきちんとかからず誤動作することがあるのです。

PICマイコンの消費電流は実測で800μA。一方で先幕駆動回路に繋がったコンデンサは220μFと大容量です。800μAの消費電流で電圧が1.5Vまで下がるには,20秒程度かかってしまいます。その間にもう一度電源が投入されたりすると,まんまと誤動作を起こしてしまう場合があるわけです。

ここにリセットICなどを使うと動作は確実になるのですが,リセットがかかる電圧を高くするとそれだけ電池を長く使えないことになるわけなので考え物です。リセット電圧を低くしてしまえば今と同じで,リセットがかかるまで電圧が下がるのに時間がかかってしまうことになります。

せっかく消費電流を小さくすることができたのに,とても残念なのですが,もう少し消費電流を増やすことにしました。シャッター速度ダイアルの抵抗に電圧をかけているのは,シャッターが半押しの状態だけだったのですが,これを電源ONで常に電圧がかかるようにしておきました。こうすると1.1mAに消費電流が増加しますが,リセットがかかるまで5秒程度に改善されます。ちょっと気持ち悪いのですが,この方法で割り切りました。

ここまでで露出に関しては一通り問題が解決しました。距離計については引き延ばさないと判別するのが難しいので,カラーネガで試し撮りしたときに判断します。

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