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2007年01月の記事は以下のとおりです。

プリンタ買い換えの顛末~接触篇・追補

  • 2007/01/30 18:31
  • カテゴリー:散財

 昨日の「プリンタ買い換えの顛末~接触篇」では,販売店の対応に関する疑問をつらつらと書き殴ったわけですが,その後販売店であるPCサクセスよりメールによる返事が届きました。

 公平性を保つために,昨日の経緯に追補します。

1月29日
 「本来なら初期不良対応のはずだ」というこちらからの問い合わせに対し,19時48分にメールが届く。

----

お世話になっております。
PC-Successサポートセンター担当:**と申します。

大変失礼致しました。
初期不良にて受け賜わらせて頂きます。

お手数ですがご都合のよろしい集荷先日時を
ご連絡頂けますでしょうか。

何卒宜しくお願い申し上げます。
────────────────────────────
メールにてご質問、ご返信をいただく場合には、
過去のメールを参照できるよう”返信”でお願い致します。

※日曜はお問い合わせ業務をお休みさせて頂いております。
※土曜、日曜は検証作業及び代品の出荷をお休みさせて頂いております。

----

 というわけで,一応「修理対応」から「初期不良」に対応が変わりました。

 変わった理由は一切分からず。先方の勘違いだったのか,初期不良を要求するうるさいお客への渋々の対応なのか,それとも文句の出てきたお客にだけの特別扱いなのか,さっぱりわかりません。説明不足もいいところではないかと思います。分かっているのは,私が「おかしい」と言ったことで,対応が変わったという事実だけです。

 もし,初期不良という言葉や仕組みを知らないお客さんだったら,おかしいなと思いつつもメーカーであるエプソンさんに電話をして,送料を払って修理を依頼していたに違いありません。

 このように,「買ったものが壊れているんですが」という問い合わせに対して,お客の知識によって扱いに差が出るということがはっきりしたわけですが,私の言う「難易度の高さ」というのは,つまるところこのことなのです。これが普通のお店だったら,即座に初期不良ですね,と返事が来たことでしょうし,万が一勘違いが起こっても,電話や直接に話をしますからその場で解決できます。

 メールを出したのが土曜日の夕方,返事が来たのが月曜日の夜ですので,こういう無駄なやりとりの結果,数日のロスが発生しています。昨日書いたように,初期不良というのはお金だけもらって商品を納入しないのと同じ事なわけですから,この数日は非常に重いものであると言わざるを得ません。

 修理扱いが初期不良扱いに変わったのは確かですが,その理由が先の通り不明ですので,このプリンタが正規品なのか非正規品なのかは,全く不明です。PCサクセスにしてみれば,そんなことはお客には関係ないことだと思っているのでしょうけど,この差はお客にとっても結構重要な意味を持っているということは,昨日の話の通りです。

 さて,このメールに対する返事ですが,まだ保留しています。

 というのも,PCサクセスのサポートに頼る必要なく,問題を解決できるかも知れないからです。いや,初期不良だったのは間違いないんですよ。ただ,エプソンさんの対応が実に誠実で,その結果大変に素晴らしい解決がなされる見込みが出てきたのです。

 確定していないので詳細は後編である「プリンタ買い換えの顛末~発動篇」に書くつもりですが,うまくいったら,PCサクセスの世話にならずに済むので,実は非常に好都合です。

 とはいえ,エプソンさんの対応でも解決できない場合があって,その場合はやっぱり新品交換しかないですから,嫌でもPCサクセスにお願いをするしかありません。はっきりするまで,YesともNoとも言えない,そんな状況なのです。

 結論は今日か明日にはっきりするはずです。

 こうご期待。

プリンタ買い換えの顛末~接触篇

  • 2007/01/29 19:13
  • カテゴリー:散財

 突然ですが,プリンタの買い換えをしました。

 よく考えてみると私は結構昔から「プリンタ」を買う機会が多くあって,これまでにいろんな機種を買ってきました。

 とはいえ,常に最新機種を買いそろえてきたという話では全くなく,その時自分が必要としている機能を持つ機種を安く買うとか,技術的な興味でついついジャンク品を買うとか,そういう話です。

 最初はPC-6001に使えるサーマルプリンタ。画面のハードコピーを取るコマンドが当時のパソコンには不可欠だったのですが,PC-6001だけはプリンタに対するビットイメージの転送の仕組みが全然違っており,当時発売されていた多くのプリンタでハードコピーが取れなかったのです。

 この時,問題を解決する選択肢は3つ。純正のPC-6021,その後継PC-PR401,そして唯一のドットインパクトプリンタである精工舎のGP-80,この3つでのみPC-6001で画面のコピーが印刷出来ました。最高峰はなんと言ってもGP-80。憧れであるドットインパクトプリンタですが,価格も本体と同じとあっては,おいそれと買うことも出来ません。

 画面の印刷,プログラムリストの印刷などに使いたかっただけなので,PC-PR401を購入したわけですが,これが私にとっての記念すべき最初のプリンタになりました。

 その後,マシンがX1turboになった時,24ドットの漢字が印刷できる熱転写プリンタが欲しくて,PC-PR405を購入(これはフォントも綺麗で,当時のワープロに負けない品質だったのでよく使いました)し,プログラムリストの印刷にはランニングコストの安いインパクトプリンタを使ってました。

 このインパクトプリンタがまたくせ者で,精工舎のGP-500という最悪な激安プリンタと,タンディのTRS-80のオプションで用意されたと思われる沖電気のOEMの80桁プリンタの2つです。

 どっちも10インチの連続用紙が使えましたが,GP-500は印刷速度も遅く,印字品質も劣悪,しかもインクリボンがすぐにダメになってしまうので,捨ててしまいました。沖電気の80桁は非常にしっかりしており,長年使い続けていました。

 X1turboは,9ピンのプリンタでも重ね打ちにより16ドットの漢字を印刷出来たり,プリンタのプロファイルを自作すればどんなプリンタでも使用できるという,素晴らしい設計になっていました。だから名もなきOEMプリンタでも,実用上問題ない程度に使いこなせたのです。すごい時代です。

 その後,安いという理由でカラーのPC-PR406(これは横河電機のOEMでした),PC-PR201CL,PC-PR104,TRS-80用のカラープロッタプリンタなどを買いあさり,ちょっとしたプリンタマニアになっていた時期がありました。

 Macintoshを使うようになってからはHPのDeskWriterC,キヤノンのBJ-10v+Mac用接続キットを経て,中古のLZR650というレーザープリンタを購入,故障したのでLaserWriterSelect300に買い換えて,しばらくプリンタから遠ざかっておりました。

 下手なカラーよりも黒くっきりのレーザープリンタが最高だ,という信念はすでにこのころから確固たるものとしており,1995年頃からのカラーインクジェットプリンタの勃興には,全く関心を持たずにいました。

 ところが,エプソンのPM-700Cの登場に,新しい時代の到来を感じました。写真印刷は昇華型プリンタでなければならない,という固定観念を打ち崩す画質に,コンスーマ向けのプリンタはもはやインクジェットプリンタで確定したと,考えを変えざるを得なかったのでした。

 ただ,インクジェットプリンタはインクの滲みと耐候性が問題で,レーザープリンタの優位性は私にとって崩れるものではありません。顔料インクが登場したら買ってみようと思っていたのですが,LaserWriterの調子が悪くなってしまった2003年の初旬,初のコンスーマ向け顔料インクモデルであるPX-V700の登場を待って,買うことにしました。

 この時,PX-V700の写真を印刷したときの綺麗さにびっくりするほどの「浦島太郎ぶり」だった私ですが,顔料インクの持つポテンシャルの高さ故,ここ数年でエプソンは全部顔料インクに置き換わるだろうと,そんな風に思っていたものです。

 結果,PX-V700は品質の悪さや画質の悪さもあって失敗作と呼ばれるようになり,一方で染料インクの弱点である耐候性が克服され,利点である鮮やかさと両立するに至り,今もメインストリームは染料インクになっているのは,ご存じの通りです。

 私のPX-V700はノズルが頻繁に詰まるようになり,その度に時間をかけてクリーニングする面倒臭さもあって,最新機種への買い換えを狙っていましたが,顔料インクの現行機種PX-G930はまだ高い。

 年明け,とうとうノズルが詰まったままになってしまい,度重なるクリーニングでインクが切れてしまったことで,もはや買い換えることを決意しました。ただ,別に急ぐわけでもないので,安いものが出てきたら買おう,くらいに考えていました。

 そんなおり,昨年秋の最新機種であるPM-G850が特価で出ているのを見つけました。1万円後半が標準的な販売価格,安いお店でも16000円くらいであったなか,12980円(送料込み)でした。

 13000円なら,顔料インクでもハイエンドでもなくたって,全然許せますよね。PM-G850のインクは染料インクなのに耐候性も上がっており,もはや顔料インクである理由はないように思えるほどです。

 とりあえず,そのお店で買うことにしました・・・

 というところまでが,とーっても長いですが,前置きです。ここから本題。

 接触篇では,プリンタそのものというより,プリンタを買ったお店についてを,後日掲載予定の発動篇では,プリンタそのもののゴタゴタを綴ろうと思います。


 艦長日誌では,中立性をポリシーとしているため,不用意に個人やお店を特定できるような書き方はしていません。ただ,これまでも,同じ轍を踏まないで欲しいという気持ちがある場合には,あえて特定できるようにしてきました。

 今回のケースは,まさにそれです。あまりにひどい話だと思うので,ここに書いておくことにします。

 PM-G850を買ったお店は,PCサクセス(PC-Successとも)の,インターネット通販です。

 秋葉原にリアル店舗を持ち,kakaku.comでも人気ショップで,多くのユーザーを持つ大規模なお店です。取扱商品はパソコン,周辺機器,家電からPCのパーツに至るまで,およそ電気に関係するものなら何でもあります。

 しかも,価格ははっきりいって安い。ただ安いだけの店は非正規の仕入れルートだったり,開封品を売ったりするお店だったりするのですが,初期不良交換の期間を一般のお店と同じく2週間と定め,しかも別料金で30日まで延長できるというから,これは正規品の販売店と考えて間違いはありません。

 それにしては価格が安いので,ずっと不思議でした。

/*

 というのも,正規品を扱うお店は当然正規のルートで仕入れないダメなわけで,そういうルートの仕入れは販売価格があまりに安いと,仕入れをストップしてしまうのですよ・・・かといって一時しのぎで非正規品を仕入れて安売りしてしまうと,もし初期不良が起きた場合にメーカーや代理店に返品できませんから,交換することが出来ないわけですね。交換する場合には,自腹を切るしかないわけです・・・時々大手の量販店でも特価している商品に,返品不可とか初期不良交換不可とか見る事があるでしょ,あれが「非正規品」なんですね,ええ。

*/

 まあ,特に交換不可とか書いておらず,初期不良交換の期間は2週間と書かれているので,その辺は安心して買うことにしました。

 このお店,実は巷で「悪いお店」と評判になっていて,知ってる人はみんな知ってるお店なんですね。一番の理由は納期を守らない。即納と書いてあっても2週間かかるとか,なかには数ヶ月かかった例も耳にします。手元に現品を持たない通販業者特有の現象なわけですが,在庫の有無が管理されていないお店というのは,他の情報,例えば顧客情報など,も管理がずさんというケースがままあります。

 お店の評判というのは,ちょっとした不手際で悪く広まることも多いので,私は余り気にしていません。むしろ公開されている情報や,実際の体験から優劣を決めるようにしているのですが,ここはこれまでに2回使っていましたし,それなりにわかっているつもりだったのです。

 1回目はUSBメモリ。2006年6月に購入した2GByteのUSBメモリですが,運悪く初期不良にあたってしまいました。その交換や返品の手続きに随分時間がかかり,ここのサポートは悪いなあと感じていました。初期不良の認定にはいろいろ面倒な手順が厳密にあり,もし初期不良でなかった場合には検証費用と送料で何千円も請求されたりする事が書かれています。

 販売店は,こうした不良品や修理品の窓口業務という機能があるから,その付加価値として利益の取り分があるんですよね。そういう正規店の責任を避けるような方針は,やっぱり信用を落としてしまいます。

 それでも,実際やりとりをはじめてみると,担当者からのメール連絡は迅速でしたし,返送にかかった送料なども向こう持ちで客の負担はゼロ。担当者と電話で話をすることも可能で,信用第一のインターネット通販業者としては,十分合格点でした。

 ただ初期不良と認定されてから代品の発送までに「在庫がない」とかで2週間もかかってしまい,アキバの店舗や楽天のショップには在庫があるのに,ユーザーをなめてるよなあと,非常に不信感をもっていました。

 こういうお店はやばいんだよな,と思いつつ,次の買い物は防湿庫でした。

 これは昨年末に購入したのですが,防湿庫というのはどの業者も在庫を持たず,メーカー直送が普通です。高いお店で買っても,安いお店で買っても,商品が送られてくる先は全く同じで,初期不良や修理などのサポートも原則的にメーカーが直接行いますから,いわばどこでも「正規店」です。

 この店は圧倒的に安く,防湿庫のような買い物では,非常にお得だと分かっていました。幸いにして初期不良もなく,現在も故障はしていません。納期も結局メーカー在庫があるかどうかだけの話で,他のお店でも即納であることが分かっていましたから,納期がかかるという事は予想通りありませんでした。

 そして今回,3回目です。

 1月21日
WEBページから注文。PM-G850,12980円送料無料。48時間以内に発送。すぐに注文受付確認メールが届く。銀行振り込みで同日支払い。

 1月22日
入金確認のメールが届く。

 1月24日
佐川急便の不在票が自宅に投函されている。納期は守られた!

 1月26日
再配達で受け取る。
早速動作確認を行うが,インクの初期充填ができないことが判明。初期不良の疑いが強い。
 
すぐWEBからサポートのメールを出そうとするが,購入履歴一覧に出てくるはずのメールフォームのボタンが出てこず,たどり着けない。
2時間格闘してようやくボタンが出てこない場合はこちら,というリンクを見つけ,そこからとりあえず出す。(このリンクは液晶のドット抜け保証のサポートメールのフォーム)

 1月27日
エプソンのサポートに電話。6つあるインクカートリッジのうち,ライトシアンだけ認識していないことがわかっていたのでその旨伝えると,インクだけ交換して原因を切り分けようとなった。
初期不良なので交換が原則ではないかというと,それは販売店のお仕事で,自分たちは製品が正しく動作するようにすることしか出来ないので,交換ではなく修理という対応になる,と誠に筋の通った説明を受ける。
インクは無償で,29日に発送予定,直った場合は不良のインクを返送,直らなかった場合はそのまま使ってください,とのこと。販売店には初期不良と伝えて良く,自分の名前を出してもらって構わないというメーカーとしてはギリギリの対応をしてくれた。
ほぼ同時にPCサクセスから返事が届く。以下のようなもの。

----

お世話になっております。
PC-Successサポートセンター担当:**と申します。

メール拝見致しました。
不具合の件、ご迷惑をおかけいたしまして誠に申し訳ございません。

御問い合わせの件ですが、
当店に送ることも可能ですが、只今メーカー保証期間となりますので
お時間的にも有利になりますので
修理につきましてはメーカーサポートに直接お問合わせいただいたほうが
よろしいかと存じます。

カラリオインフォメーションセンター
050-3155-8011
(カラリオ インクジェットプリンタ)
受付時間:
9:00~20:00(月曜日~金曜日) 10:00~17:00


なお、保証書に押印はされておりませんが
押印の代わりといたしまして保証書シールもしくは納品書をメーカー様に提示して頂ければ、
メーカー保証を受ける事が可能で御座います。

お手元に保証書シールもしくは納品書をお持ち無い場合は
当社ホームページ上に領収書・保証書シール・納品書・請求書の
発行依フォームをご用意させて頂いております。
こちらからご依頼頂けますでしょうか。

発行依頼フォーム
http://www.pc-success.co.jp/guide/q-a/wrt/answer-08.html

また、お急ぎでありましたらFAXにて納品書をお送りする事も可能で御座います。
その際はFAX番号をご連絡頂けますでしょうか。

メーカーより弊社へご返送する様に指示をお受けしたした際
またはメーカーに連絡が取れない際の手順を下記にご案内いたします。

続きを読む

MEsuperのコマ間隔の問題

 少し前に書きましたが,MEsuperのコマ間隔が不揃いで,重なってしまうこともあったりするという問題は,分解掃除を行ってとりあえず大丈夫そうな感じになっていました。

 その後,実際にフィルムを通してみたのですが,きちんと直っておりました。びしっと綺麗に揃っているとまではいきませんでしたが,ほぼ揃った間隔で最後まで撮り切れていますし,無論重なってしまったりするという事故も起きていません。

 操作もなめらかになり,やっぱり面倒でもやってみるもんだなあとつくづく思いました。

 しかしこのMEsuper,こないだも書きましたが,ありとあらゆる部分に問題を抱えていました。実は先日も,開放測光用の連動環が油で固着しかかっていて,回転しづらくなっていました。

 これを分解掃除するには,なんとまあミラーボックスを前板から外さないといけなくて,そのためにはかなり深い部分まで分解する必要が出てきます。

 私の整備の基本は,触らなくていい部分は触らない,ですので,ついでだからやっておこう,という「良い心がけ」は,かえって失敗の原因になると避けるようにしています。

 今回はそれが裏目に出て,何度も何度も分解する羽目に陥っているわけですが,分解の回数が増えるほど,壊れていない部分が壊れてしまったりするので気を遣います。

 このMEsuperの場合,何度も分解したことで,気が付くとどこかのリード線が切れていたとか,真っ青になるような事故も度々あって,随分と気をもみました。

 開放測光用の連動環は分解が面倒だったし危険だったので,ベンジンで古い油を溶かし,隙間からティッシュペーパーを差し込んで吸い出しました。

 古い油を取り去って,ベンジンで薄めた油を差して,ようやくスムーズな動作を得ることが出来ました。

 そんなわけで,とりあえずMEsuperについても,もうやることは全部やったなあという感じです。これまでテストしてなかった1/2秒や1/4秒なども問題ないことがわかりましたし,実用機として活躍できそうです。

 ただ,昨日も書きましたが,どうも無理をしているというフィーリングが,ものすごく心地よさを削ぐのですね。撮影していてもあまり楽しくないのです。同じFA43mmでも,MZ-10を使った方が楽しく撮影でき,不思議なことにそれは結果にも出てきます。

 MEsuperは今でも人気のある機種の1つですが,本当のところ,なにが評価されてこんなに人気があるのか,はかりかねています。

 まあ,この個体があまりに程度の悪いものであることは自明であって,本当のMEsuperはこんな悪い感触ではないのかもしれません。そのあたりは謎のままです。

丸ポチ

 ある知人の方からミノルタXEの故障品を譲っていただき,これを修理したことは昨年ここにも書きました。その後,レンズも何本か譲っていただき,一通りの撮影にも対応できるほど充実したのですが,実際に使ってみると,その無骨さからは想像もできないほど,XEとロッコールレンズの良さに唸らされることが多いです。

 例えば,同じフィルム,同じ条件,同じ画角で同じ被写体を撮影しても,全然結果が違うんですね。当たり前のことに今更驚いている私も大した問題なのですが,その傾向というのが,やはりよく言われているとおりだから,先人達の追体験をしているという感慨深さに,思わずため息が漏れるわけです。

 ロッコールレンズの良さは,やはり色のノリ。不自然な着色ではなく,青は青,赤は赤と,実にはっとする色を見せてくれるのです。XEはXEで,実に操作系がなめらかですし,大ぶりなボディがかえってしっかりとしたホールド感を生み,スローシャッターでも全然ぶれません。MEスーパーには悪いですが,MEスーパーは持ちにくい上に手ぶれしやすく,まるで強いバネを無理矢理圧縮し,急激に弾かせたような強引さがあり,手に残る感触の後味の悪さに,どうも気分が削がれるんですね。こんなに感触が悪いとは思ってませんでした。

 XEはその辺実に素晴らしく,全体的にゆとりがあります。露出もCLCの良さを再発見したりして,当時の評判の良さを,やはり追体験しているといった塩梅です。

 まあそれで,せっかく頂いたロッコールレンズを,よりよい状態にレストアしようということで,丸ポチを復活させるプロジェクトです。

 丸ポチなどとふざけた言い方してますが,要するにレンズを取り付ける際の,マーキングです。私はどんなカメラでもこのマーキングを律儀に見て取り付けていますので,これがないレンズは結構困ります。

 手にしたレンズのうち,MC-Rokkor28mm/F3.5と,MC-Rokkor50mm/F1.7の丸ポチが外れてなくなっており,MD-Rokkor50mm/F1.4についてはきちんとついていました。

 大きさを測ってみると,直径3mmですね。まち針の頭を半分に切って使おうかとも考えましたが,残念なことに手元にはありません。

 ないものは作る。

 まず,なにかと出番の多い「型想い」を茹でます。柔らかくなったところで,直径3mmのLEDを2つ突き刺します。

ファイル 91-1.jpg

 冷えるのを待ち,LEDを抜き取ります。そして,これもなにかと出番の多いプラリペアを流し込みます。

ファイル 91-2.jpg

 気温が低いせいもあり,硬化までに結構な時間がかかりましたが,無事にかたまった後,型から取り出します。

ファイル 91-3.jpg

 いやー,型想いとプラリペアでこういう小物を複製すると,あまりのリアリティについつい笑ってしまいます。半透明のLEDそのものです。

 それで,これをカッターで切断,適当に削って大きさを合わせ,近い色で塗装してからゴム系の接着剤でレンズに貼り付けます。

ファイル 91-4.jpg

 どうですか,遠目に見たら,ばれないでしょ。

 色は近似色を探したところ,グリーンマックスの鉄道カラー「京急バーミリオン」が最適と判明。半光沢であるところもポイントです。余談ですが鉄道カラーには,カメラの補修に使えるいろが結構揃っています。湘南色のオレンジなど,レンズやボディのオレンジにはもってこいです。

 ということで,この丸ポチの効果は絶大です。今までおろおろしていたSRマウントのレンズ交換が,びしっと決まるようになりました。見た目のアクセントとしても非常に重要な部品だっただけに,復元して良かったなあと。

 え,なぜMD-Rokkorから丸ポチを外し,これを原型に型を取らなかったのか?ですか。それは簡単です。MD-Rokkorから丸ポチを外す事が出来なかったから,です。

 しかし,それにしても,絞りリングとピントリングの向きが逆というのは,どうしても体が受け付けません。これだけが本当に惜しいです。

年賀状と木版画

 今年の年賀状は既報の通り3年連続の減少となり,その重要度を下げ続けています。とある機関による調査では,年賀状を出さない人は全体の11%ほど,このうち20代では4人に一人,30代では8人に一人が出さない,と答えているそうです。

 私は30代ですが,年賀状は「きちんと」出す人です。12月中旬にはすでに出し終えています。今年など,ポストに年賀状用の投入口が用意される前に用意が出来てしまい,出せずに困っていたほどです。

 ただ,誰にでも出すわけではないし,個人ですから当然年賀状に「下心」など加えることもありません。本来,裏側には気の利いたコメントを一言添えるものなのでしょうが,私の場合,年賀状に個人的な差を意図的に付けることをよしとしないので,殺風景なままで失礼をさせていただいています。

 年賀状というのは,そもそも年始まわりに代わる略式のご挨拶だったわけですが,子供の頃のやりとりに始まり,自分の社会的な位置付けが変わるごとに,出す人や枚数に変化が生じて,自分と周りを見直す年末の恒例行事として機能してきました。

 私は子供の頃からパソコンや電子工作に勤しんできた人間でしたので,年賀状も省力化を目指して毎年奮闘していたわけですが,当時のことですからまともな印刷が出来るわけでもなく,まさか自宅で1枚から,写真屋さんにお願いするほど美しい年賀状が作れる時代がやってくるとは,努々思っていませんでした。

 当時はそれでも,「パソコンで年賀状」というだけで話題になったような時代ですし,事実そのためには労力と試行錯誤,それなりの費用と時間と忍耐と工夫が求められ,余程手書きをした方が効率的でかつ美しいものでした。にもかかわらず意地になってパソコンで作ろうとしたのは,パソコンを使いました,という事そのものに価値認めたから,といえるかも知れません。

 私の場合もう1つ,文字が汚い上に誤字も多く,書き損じで無駄にするはがきも毎年半端ではなかったため,その実用化を急いだという理由もあります。ですので宛名書きについてだけは,昔も今も物珍しさというより,その実用性で毎年パソコンを使っています。

 一方,裏側の図案ですが,これは毎年「木版画」を作っています。宛名書きをパソコンでやっているという後ろめたさへの贖罪というネガティブな側面もありますが,木版画を作ることが好きだという個人的な意味合いが大半です。

 ですが,趣味でやってます,とさえおよそいえない,年に一度「せっかくだから」と彫刻刀を握る程度の稚拙なもので,出来上がった版画もあくまで年賀状の域を出ないほのぼのしたものです。

 当然,木版画を学んだこともなく,完全に我流です。ですから,見る人が見れば「なんじゃこりゃw」と言われるに違いなく,毎年冷や冷やしています。

 道具もそこら辺で売ってるものを使っているだけですし,板も堅い桜など到底使いこなせません。ホオか桂がいいところです。失敗しても安いですし。(でも合板は使いません,これは逆に失敗しやすいのです。)

 私は,いわゆる絵心が全くなく,自分でも信じられないくらいイラストを描くことが出来ません。立体の特徴をつかむ能力がスポッと抜け落ちているとでもいうのでしょうか,みんなが見えるという図形が,私には見えないということがこれまでに度々ありました。

 よって原画は,私とは正反対で絵心のある弟にお願いしています。彼はシンプルなイラストが得意で,対象をデフォルメする力にも長けており,楽をしたいという理由で線の少なさを第一とする私の木版画にはまさにうってつけの原画師なのです。

 そもそも木版画を始めた理由は,版画のリユースでした。

 我が家は父が営業マンだった関係で,数百枚の年賀状が必要だったのですが,これを母は芋版やゴム版という,手軽な版画を作って毎年しのいでいました。

 ところがこの版画,作るのに結構な手間がかかるため,面倒な労働として位置づけていた母にはとても苦痛な作業だったらしく,12年は我慢して毎年作るが,13年目からは12年前のものを使い回そうと考えたのです。

 芋版はその目的にそぐわないので自ずとゴム版画になりますが,12年経って版を見てみると,加水分解によってボロボロになっており,とても使える代物ではありませんでした。

 ひどく落胆した我々は結局,毎年毎年,版画を作りなおすることにしたのでした。

 この流れに立ち向かったのが私です。木版画にすれば,ずっと使えるに違いない。中国のえらい坊さんが作った教典の木版画も今に伝わっているじゃないか,12年後の楽のために,今積み立てるときがきた,と木版画を弟とのペアで作ることにしました。

 年末何かと忙しい母の仕事を減らすという非常に大きな効果もあったのですが,やってみるとこれがなかなか面白い。手間も時間もかかるし,肩凝りもひどくなるのですが,年々作業にかかる時間も短くなり,細い線を作ることが少しずつ出来るようになってきて,これはこれで面白いかも知れないと思うようになりました。

 絵心のない私が,図画の授業で唯一褒められたのが,木版画だったこともあるのかも知れません。でも,不思議なことに,木版画を作ろうと思うのは年に一度,年賀状のためだけであり,それ以外で木版画を作ろうと思ったことは一度もありません。

 年賀状を木版画にしてもう15年にもなると思いますが,結局当初の「使い回し」というコンセプトは完全になりを潜め,毎年新しい版木を作ることが,11月下旬の連休の私の密かな行事となっています。

 さて,私は年賀状をたくさん作りません。版画のメリットがまるで生きない枚数なのですが,逆に今時珍しい木版画ですので,もらった人は多少なりとも「おっ」という意外な印象を持っていただけることでしょう。

 そもそも毎年出し続けている人ばかりですので,「毎年毎年よくやるなあ」と思ってくれればしめたものなのですが,年賀状1枚あたりの手間と時間と,そして同じものは1つとない,というオリジナリティにまで思いをはせて下さるとすれば,受け取った方にある種の優越感を味わってもらえるのではないかと,そんな風に期待していたりします。まあなんと奢った考えであることよ。

 ところで最近,年末の年賀状シーズンにおいても,版画材料の入手が難しくなってきました。昔はスーパーでも買えたものが,今では画材屋さんに行かないと買えなくなりつつあります。

 年賀状シーズンでも特設の売り場にはなく,常設の小さなスペースにこちょこちょと置かれているだけです。絵の具も数が少なく,版木も木目を選べるほどの枚数がありません。彫刻刀も小学生が使うセットものはあるにしても,ばら売りのものは随分少なくなりました。

 温故知新やら団塊世代の第二の人生やら,難しい理由を付けてはいろいろなホビーが復権を遂げる中で,木版画だけは全く光が当たっていないことにふと気が付きます。このままでは本当に,木版画は大衆文化から完全に消え去る時がやってくるかも知れません。

 柔らかい版木は,彫りやすいというメリットがあるものの,細い線を出すことが難しく,表現力に限界があります。桜を使いこなせるようになると表現の幅も広がるのですが,実際の所年賀状を出した方々からのフィードバックが悲しいことに全くないため,完全に自己満足の世界に終始していて,改善やら改良やらを行うきっかけを逸しています。

 それでも,私は可能な限り,木版画を続けるでしょう。

 年賀状は,つながりを保っていたい人に,連絡を付ける最も自然な理由です。突然のメールはspamかも知れないと警戒心を抱かせるかも知れませんが,木版画のある年賀状をダイレクトメールと訝しがる人はいないでしょう。

 一年に一度,もう何年も会っていない人へ,お互いに自発的に年賀状を出し合える面白さ。年賀状には年賀状の,とってもありがたい楽しみがあるものです。

 今年の年賀状は,暦の関係もあってか,遅配があまりにも多かったように思います。三が日を過ぎて届いた年賀状は全体の6割以上,10日を過ぎて届いた年賀状もちらほらです。

 暖冬で交通機関の乱れはなかったと思いますし,発行枚数が少なくなっている現状では,遅配の理由は郵政公社の怠慢以外に思いあたりません。

 年賀状の発行枚数の低下を憂う前に,毎年それをささやかな楽しみにしている人々にこそ視点を移し,改めて猛省を促したいと思います。

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