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2016年11月の記事は以下のとおりです。

CFカードアダプタでSDカードをD2Hで使う

  • 2016/11/30 13:51
  • カテゴリー:散財

 先日,久々にD2HのデータをMacに吸い上げて現像しようと思ったのですが,途中でコピーが止まっているのに気が付きました。RAWデータが壊れているんだそうです。

 仕方がないので壊れたファイルを除いてコピーをすると,また止まります。結局この2つがエラーになりました。

 エラーになったとはいえコピー出来なかったわけではなく,一応開くことは出来ます。ただし中身が壊れていて,画像が一部出てきません。

 大切な写真と言うよりは,連写したうちの1枚だったということで,被害は実質的になかったのですが,これが貴重な1枚だったら悔しい思いをしたろうなと思いました。

 D2Hは古いカメラで,なんと2003年の発売と言いますから,実に13年も前のカメラです。少し前なら連写速度を誇れたものですが,今はすべてのスペックで中級機に負けてしまっている,Dヒトケタです。

 すでにグリップもべたつきが始まりつつあって,本当にデジタル一眼レフというのは,ボディは消耗品なんだなあと痛感します。フィルム時代はそんなことはなかったんですが・・・

 ただ,私は手に馴染んでいるのと,派手なシャッター音が好きなこと,そして8コマ/秒という連写速度は,結局うちで一番高速である事から,ストロボ併用で現役です。

 感度不足はLightroomによるノイズ除去とストロボによって実用範囲に,画素数の少なさはトリミングを一切しないという前提で,なんとか使っている感じです。

 動き回る子供を撮るには,D2Hはちょうどいいんですよ。D800では追いつきません。

 そのD2Hには,6GBのマイクロドライブが入っています。

 ・・・マイクロドライブ,懐かしいですね。当時のメモリカードというのはNANDフラッシュの登場で低価格化と高容量化が加速し,明るい未来が見えつつある一方で,まだまだ開発途中ゆえに信頼性が低く,エラー訂正を行うコントローラも過渡期だったということで,速度も遅く,突然データが読めなくなることも覚悟の上で使うものでした。

 それでいてその時々の最大容量品は目が飛び出るほど高価で,安く買える旬の容量ではまだまだ不足という状態でしたから,買うのもなかなか勇気がいりました。

 マイクロドライブはコンパクトフラッシュサイズのHDDで,かつてのIBM,今のHGSTが開発して販売していました。フラッシュメモリを使ったCFよりも一回り大きな容量を誇り,かつ値段は安く,信頼性も高いとあって,一定の棲み分けが成されていたのですが,NANDフラッシュがこれだけ進化すると足下にも及ばなくなってしまい,今や知る人ぞ知るアイテムとなってしまいました。

 type2という分厚いCFであること,独特の動作音がすること,メカものであることから剛性感が高いこともあって,私にとってはなかなかきらいになれない存在です。

 オリンパスのE-20を使っている時には1GBのものを,そしてD2Hでは6GBのものを買って使っていました。D2Hなら6GBでも,RAWが1000枚近く入るんですよ。

 その6GBのマイクロドライブで,エラーが出るというのですから,これはもう寿命でしょう。HDDもそうですが,1つエラーが出ると,その後それはすくった水が指の間からこぼれるように,ボロボロとエラーが出続けるものです。

 そうなってからでは遅い。残念ですが6GBのマイクロドライブは引退してもらいます。

 では,D2Hのメモリカードはどうするか。今さらマイクロドライブもないと思いますが,高価な高速CFを買っても意味がありません。安いもので十分です。

 D2Hがサポートする容量は,公式には4GBまでとなっていますが,非公式ながら16GBまでの動作は確認されています。残念ながら手持ちの64GBは認識しませんでした。

 さらに値段を調べて見ると,16GBでも3000円弱です。16GBあると2400枚以上ですので,便利と言うよりも管理が出来ないとか,壊れたりなくした場合の被害がでかすぎるということで,ちょっと考え込みますね。

 そんな中,amazonで気になるものを見つけました。SDカードを変換してCFにするアダプターです。いや,この手のものはこれまでも何度か購入を検討したことがあるのですが,type2だったり,遅いとか癖があるとか高いとかで,結局やめたのです。

 ですが,今回見つけたフジテックのものは,type1(これだけでも結構すごい),SDXC,UHS-I,UDMA,128GB,WiFi-SDカードに対応しているということで,全部入り隙無しの完璧モデルです。価格は1800円ほどで,はっきりいって安いです。

 レビューによると相性の問題も出ていないようで,なんか面白そう。

 手持ちの容量の少ないSDHCカードをどう活用するかという問題も解決しそうなので,これを買うことにしました。こういう,わざわざ地雷を踏んづけようとするところは,相変わらずですねえ。

 届いたものを見てみると,本当にtype1です。一部はみ出ていたり,厚みが厳しかったりするかなと思いましたが,そんなことはなさそうです。

 また,差し込んだSDカードの縁がCFの横にあるレールに接するようにしてあります。寸法精度がきっちり出ているレールの内側に接触するようになっているので,使用中にSDカードが抜けるようなことがありません。このあたりもよく出来ていますね。

 まずD2Hでの動作ですが,全く問題なし。Class10の16GBとの組み合わせで使っていますが,問題はまったくありません。速度も十分で,当たり前ですがマイクロドライブよりも高速です。

 速度が気になりますね。もともとSDカードとCFでは,全くアクセス方法が異なりますので,その辻褄合わせをこのアダプターが行っています。複雑な変換を行っているので,この部分の良し悪しが速度と信頼性を決めると言ってよいでしょう。

 てなわけで,いつものようにXbenchによるベンチマークです。今回はマシンが新しくなったので,直接の数字の比較はあまり意味がないかも知れません。

 SDカードはTranscendの32MBで,SDHCのClass10,UHS-I対応の公称90MByte/secのものです。そんなにいいものではないですが,CFアダプタの性能を見るには十分でしょう。

 まず最初に,このSDカードを直接リーダーに突っ込んだ場合の結果が以下になります。

Sequential
Uncached Write    16.72 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write    29.77 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read    4.94 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read    76.18 MB/sec [256K blocks]
Random   
Uncached Write    0.69 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write    15.96 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read    3.53 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read    57.71 MB/sec [256K blocks]

 なるほど,90MByte/secをうたうSDカードとしては,まあこんなものでしょう。
続けて,このSDカードをCFカードアダプタを介してリーダーに突っ込んだ結果です。

Sequential
Uncached Write    15.63 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write    15.83 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read    6.49 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read    24.22 MB/sec [256K blocks]
Random   
Uncached Write    0.84 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write    15.10 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read    2.48 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read    15.38 MB/sec [256K blocks]

 うーん,決してよいとは言えない成績ですね。

 まず,公称値に近い数字が出る256kBlockのリードの値ですが,およそ1/3程に大幅に悪化しています。

 また,数字をつぶさに見ていると,ライトについては15MB/secを越えていません。このCFアダプタのライト性能が,15MB/secで頭打ちになっている可能性があります。

 とはいえ,D2Hが2003年の製品である事から推測すると,CFのバージョンは2.0か2.1のはずで,この場合の理論上の最大転送速度は16.6MB/secです。ゆえに15MByte/secで頭打ちになっているとしても,何ら問題にはなりません。

 重視したいのはむしろリードの性能で,Macに取り込む際の待ち時間が大きく変わってきますので,もうちょっと出て欲しいなあというのが本音です。しかし,わざわざUDMA7に対応するようなCFを買っても宝の持ち腐れだと思いますから,まあD2Hで使うという前提では,このくらいでも大丈夫だと思います。

 それでもまあ,大したものです。全く異なるメモリを繋ぐブリッジでこれだけの速度が出るというのも冷静に考えると大したものです。

 信頼性については使い続けないとなんとも言えないのですが,少なくとも速度やハンドリングという面においては,気になるほど悪いものではなく,D2Hを主に考えるのであれば全く問題なしと言えると思います。

 CFはすでに規格上の寿命を迎えつつある,今や特殊なメモリカードです。安く高速で入手も楽なSDをCFとして使う事が出来るというのは,将来的にもメリットがあると思います。買って良かったです。

 ところで,この変換アダプタの注意書きに,microSDアダプタを使ったmicroSDは故障の原因になるので使用禁止とあります。なにがまずいのかなと思って試しましたが,どうも寸法がギリギリのようで,アダプタを入れると,抜けなくなるような感じです。少なくとも指でつまみ出すのは無理で,私はセロテープでくっつけて取り出しました。

 microSDアダプタも有象無象のものがあふれているので,本当に壊してしまうような厚みのものもあるんじゃないでしょうか。個人的には,端子で接触する部分が増える程信頼性が落ちていくものなので,わざわざ使おうとは思いません。

 これで,CFが手に入らなくってしまっても,しばらくはSDで食いつなげます。安心安心。

ジワジワうれしいMacBookPro2016

 新しいMacBookProをつ買うようになって10日ほど経ちました。その間古いMacBookProにWindowsを入れるのにかかりっきりになったりして毎日使っていたわけではありませんが,それでも使い慣れるに従い,最初のワクワク感が薄れて,冷静にしみじみと,その使い心地を味わえるようになってきています。

 中でもキーボードとTouchBarの使い心地は予想を越えて,許せるレベルからないと困るレベルになってきています。これは使ってみないと,本当の良さが分からないんじゃないかと思います。

 まずTouchBarから。

 数日間試行錯誤をしていたのですが,キーボード環境設定のうちTouchBarに表示する項目で「Appコントロールおよびコントロールストリップ」という初期設定のものを使っています。

 ファンクションキーはそもそも使いませんし,Appコントロールも今後もっと便利になると思います。しかしコントロールストリップはすでに便利に使っていますから,やっぱりこれが一番便利です。

 そしてそのコントロールストリップですが,内容をカスタマイズできます。私の場合,明るさ,音量,ミュートまでは初期状態で(とても便利です),右端のsiriの部分に違うものを割り当てることにしました。

 いろいろ試しましたが,デスクトップの表示か,画面のロックかで迷いました。デスクトップの表示はトラックパッドで指3本をぱっと開くというジェスチャに割り当てられていたため,トラックパッドの狭い古いのMacBookProでは失敗が多くて使えませんでした。

 しかし,新しいMacBookProではこのジェスチャも十分可能な広さがあります。それに,3本のスワイプでデスクトップを切り替えた方が作業が楽だということもあり,Exposeが出た頃は多用していたデスクトップの表示は最近あまり使わなくなりました。

 しばらくTouchBarに割り当ててみて,便利には違いないが頻度が低いため,画面のロックを割り当てることにしてみたところ,これが非常に便利でした。

 ちょっと離席するときに指1本で画面を真っ暗に出来ます。私の場合,ファイルのコピーや動画のエンコードで長時間放置することが多く,そのまま寝てしまうことも多いです。

 そこで少しでも消費電力を下げるためにバックライトを消しておくのですが,これが指1本ででき,しかもロックがかかるのでとても楽になりました。

 TouchBarの右箸4つのエリアは,常に表示されている貴重なスペースです。ここにあるのはどんなときでも,階層を潜らず一発で操作できるボタンですから,厳選せねばなりません。

 明るさ,音量,ミュート,そして画面のロックは,ベストメンバーです。波面のロックのさらに右にはTouvhIDがいて,ここに触ることで画面ロックの解除が出来ますから,実質5つです。これは本当にいいですよ。

 そして意外な便利さにも気付いたのですが,ファイルのコピーで同じファイルが存在する場合や,設定の変更などで,ユーザーに判断を求めてくるシーンが多々あります。

 ダイアログが出てきて,ボタンをクリックしないと先に進まないのですが,選択肢が一定ではなく,見てからボタンを押さないと心配です。

 キーボードショートカットで見ないで先に進める方法もあるのでしょうが,意図しない結果になったときに,なにを選んで押したのかがわからないのも問題で,やっていません。

 しかし,いちいちマウスカーソルを動かして選択するというのは,視線の移動以上に指の移動をp伴うので,画面の広いMacBookProでは結構ストレスになっていました。いちいち面倒だなと思っていると,その選択がtouchBarで出来る事に気が付きました。

 しかも,YESの場合には青色で光っています。画面の状態と同じです。画面で内容を確認し,Touchbarで同じ色のボタンを押せばOKであることに気が付き,やってみるとこれが実に快適なのです。

 視線移動は思った以上に少なく,指の移動,腕の移動が最小限です。マウスカーソルを動かすのは画面の状態をフィードバックしないといけないのですが,これならフィードバックなしのオープンループで,ボタンが押せてしまいます。

 内容を確認しつつ素早くボタンを押すことが出来るという両立は,まさにTouchBarで可能になったことです。TouchBarの便利さに気付いてしまうと,もっと積極的に使ってみようという気が起きます。この調子で便利な使い方がどんどん出てくるような気がします。


 続けてキーボード。

 ストロークの浅いバタフライ型のキーを搭載したMacBookProですが,やっぱりこれは使い心地がいいです。我慢すればとか,慣れればとか,使い方を気をつければ,とか,そういうユーザー側への歩み寄りは全くありません。無意識のうちに心地よく誓えています。

 なんでかなと思ったのですが,こういうアイソレーション型のキーは,キーの隅っこを押したときにたわんでしまうので,キートップが少し沈んでから中央部が押されて,キーがONになります。ということは,キーの真ん中を押した時と隅っこを押した場合で,ONになるまでのストロークが異なるわけで,これがあのふにゃふにゃとした悪いタッチと相まって,とても気持ち悪いのです。

 某国産ノートPCを会社で使っていますが,このキーは本当に最悪で,触る気も起きません。ずっと外付けのキーボードで使っています。macBookAirは幾分ましですが,それでも気持ち悪い感じは残ります。

 ですが,このMacBookProは素晴らしい。キーのどこを押しても同じなのです。ストロークもクリック感も遊びもたわみも,荷重変化もほとんど差がありません。

 そしてこの剛性感。しっかりしていて,タイピングに集中できます。指先に戻る情報に雑味がありません。これだけしっかり作られていると,経年変化が心配になり,耐久性に懸念が生じるんですが,少なくとも今は非常に快適で,この感覚を味わいたいために,ずっと押し続けたいキーです。

 押しやすいし見やすしクリック感も心地よく,なによりたわみがないしっかりした剛性が素晴らしいです。

 今回,古いMacBookProの旧来のキーボードをWindowsの設定で長々と使うことがあったわけですが,これはこれで素晴らしく,ストロークの深さは必要だなと改めて思った次第ですが,それと並行して使い続けた新しいMacBookProのキーボードも,別の次元で良いものだと思います。


 その他,使っているうちに分かった事です。

 先日のType-CのUSBハブですが,認識しないのは抜き差しを素早くやったときに確実におこります。抜いてから10秒ほどたって差し込むと,認識する確率が高くなります。これなら使えるかも知れません。まだ返品しないで様子を見ているのですが,あれば便利なものですし,迷っています。

 電池の減りは案外早いです。普段使いだと気にならないのですが,Lightroomを使うと2時間もすれば半分になっています。GPUをぶん回すので仕方がありませんが,気をつけたいところです。

 ここしばらく急に寒くなり,持ち運びが楽になったことで,作業は別の部屋で行うことが増えました。軽いし持ちやすい新しいMacBookProはこういう場合にも苦になりません。一回り大きくなったMacBookAirを持ち運んでいるような感じです。

 私の場合は作業というのは主にLightroomですので,周辺機器などまったく必要なく,本体だけあればそれでいいです。余計なインターフェースがない分,薄く軽く鳴っているこのマシンの恩恵を,十分に受けていると思います。

 ネットワークについても,さすがに802.11acです。実際の速度から考えると,もはや速度を理由に有線で繋ぐ必要性は感じなくなりました。ここのところずっとWiFiで使っています。

 信頼性を求めるときや,電波が弱い部屋では有線を使うことになりますが,そうでない場合にはWiFiで十分だと思います。

 冒頭に書いたように,買ってすぐにワクワクはなくなりましたが,使っていくうちにジワジワくる快適さが,Macのよいところです。MacBookProはその真骨頂だと思います。

MacBookPro2008にWindows8.1を入れる

 新しいMacBookProが来たおかげで,お役御免となったのが古いMacBookProです。2008年のモデルなのでもう8年も前のものです。

 これがですね,10年前の2006年に8年前のマシンを使うなんて話になると,もうさすがに使い物にはならないのですが,ここしばらくのPCの進化は緩やかですし,その上2008年当時でもトップクラスの性能を誇っていたMacBookProですから,廃棄したり数千円で買い取られてしまうのは,ちょっと惜しいです。

 スペックは,Core2Duoの2.5MHzでキャッシュはなんと6MB,メモリは4GBを搭載し,250GBのSSDが入っています。LCDは15インチで1440x900でGeForce8600搭載,VRAMは512kBです。

 802.11nとGbitのEtherを持っているし,光学ドライブも内蔵です。しかもExpress/34のスロットやIEEE1394まで持っています。このくらいの性能のPCなら,今でも新品現行品として売られていると思います。

 確かにGPUは世代的に厳しいですし,VRAMも少ないです。CPUも同じクロックでも処理速度は半分くらいしかありませんし,なんといってもバスの速度が遅いので,重い負荷には苦しいでしょうね。

 実際,Macとして厳しいですし,写真編集なども苦痛なほど遅いです。でも,これがWindowsで行っている電子工作関連の開発マシンとしてならどうかと考えてみると,全く余裕であることがわかります。

 もちろん,大規模FPGAの開発とか基板CADとかアナログ回路の重たいシミュレーションとか,そういうのはしんどいでしょうけど,AVRのソフトを書くとか,EP-ROMライタのホストとして動かすとか,そのくらいなら全然心配ありません。

 なにより,新しいWindowsが動いてくれること,それもストレスなくOSが動いてくれることが大事です。そして出来れば64bit環境に移行したいです。

 ということを,新しいMacBookProが出ると噂されていた夏頃から考えていて,値上がりする前にとWindows8.1Homeを買ってありました。

 その後,Windows10への無償移行期間が終了したり,MacBookProのリニューアルが11月になったりと,すっかり季節も移り変わってしまったわけですが,新しいMacBookPro導入プロジェクトの総仕上げとして,現行バリバリで使えるWindowsマシンを用意するということを,ここ1週間ほどやっていました。いやはや,苦労しました。

(1)方針

 MacでWindowsと言えばBootcampなわけで,これなら小学生でもWindowsをインストール出来るでしょう。しかし今回の対象である2008EarlyのMacBookProでサポートされるWindowsは,なんとWindows7までです。

 私が手にしているWindowsはあいにく8.1ですから,対象外です。実際,Bootcampアシスタントではインストールを拒まれてしまいます。

 もともとmacOSとの共存は考えておらず,すっきりとWindows専用マシンとして使うつもりでしたから,ダメモトでWindows8.1のDVD-ROMからブートしてみました。optionキーを押しながら電源を入れると起動メニューが出てきますので,ここからDVD-ROMを選択します。

 幸いなことになんの問題もなくWindowsのインストーラが立ち上がります。SSDをフォーマットして指示に従ってインストールするだけです。

 2時間もすると,64bitのWindows8.1が立ち上がる15インチノートPCが姿を現したのです。しかし,本当の地獄はここから先でした。


(2)ドライバを入れる

 まだmacOSが動いている間にBootcampアシスタント(バージョンは4)を起動して,このMacBookPro様の最新のドライバ類をダウンロードし,USBメモリに入れておきます。これを忘れるとたいへんです。

 このドライバ類はWindows7用で,64bitと32bitの両方が用意されています。Windows8や10をサポートしたものではないので注意が必要です。

 最近の機種でこの作業を行うと,そのモデルでのドライバが用意されてしまいますから,やっぱりインストールをする実機で作業をしないといけません。

 さて,DVD-ROMから起動して新規インストールしたWIndows8.1に,すぐにこのドライバを入れます。setup.exeを探して起動しますが,最初はWindows7ではないと怒られても,めげずにもう一度起動すれば互換性の設定を変えて起動するので,すんなりとドライバのインストールが完了します。

 この段階でMacBookProは問題なくWindows8.1が動くマシンになりました。あとはもうWindows8.1が動いているマシンとして,環境構築をしていくことになります。


(3)WindowsUpdateではまる

 インストール直後のWindowsいわば蜂蜜を塗りつけた体でアリの巣に飛び込むようなものです。セキュリティ維持の為にもすぐにWindowsUpdateです。

 ところが,更新を確認しています,という状態のまま何時間もダンマリなのです。一向に進む気配がありません。

 これはWindows8.1をサポートしない古いMacBookProへのインストールという特殊な状況から来ているのかもしれないと,もう一度最初からインストールをし直しました。でもダメでした。

 購入したのが古いWindows8.1のDVD-ROMからインストールを行って見ましたが状況は同じ。ならば32bit版ならどうかと思いましたがこれもダメ。

 ここでもう試す手がなくなりました。時間のかかる作業をずっとやっているほど私も暇ではありません。仕方がないので,蜂蜜を塗りたくったままで,このWindows8.1を使い続けることにしようと,64bitのWindows8.1のインストールを済ませました。


(4)WindowsUpdate解決!

 気になって調べて見ると,どうもWindowsUpdateの仕様が変わったらしく,古いWindowsUpdateクライアントではダンマリになるそうです。ひどい話ですねー。ダンマリが致命的であるという意識がないんでしょうか。

 解決策は,2つのパッチを当てること。これを直接ダウンロードしてオフラインでインストールするとWindowsUpdateが進むようになるんだそうです。

 ところが,このパッチをインストールしようと起動しても,やっぱり更新を探しています,から先に進みません。ここでまたくじけそうになりました。

 解決策は,ネットワークを切断すること。どうも,スタンドアロンインストーラでもネットワークでWindowsUpdateのサーバにつなぎに行くそうで,そこでダンマリになるらしいです。ほんとひどいですねー。

 WiFiを切断して,ようやくパッチがあたりました。WiFiをつなぎなおして,祈るような気持ちでWindowsUpdateをすると,今度は200個近いパッチを入れるように指示が出ました。やった・・・

 なんでこんなにうれしいんだろう。おかしいなあ。


(5)VirtualBoxではまる

 こうしてWindows8.1の64ビット版が無事に動き出しました。思った以上に快適で、サクサク動いています。ATOKも入りましたし,会社のマシンと同じような環境になってきました。

 AVR StudioもAVRライタもインストール出来て,それらしい環境になってきたのですが,EP-ROMライタで躓きました。

 以前秋月で買ったROMライタが,64bitで動かないのです。LEAPER-3CというUSBモデルで,物理的には接続出来るのですが,ドライバがないので動きません。

 Windows8.1の32bit版にすれば動くかもしれない・・・あるいはあきらめるのも手だ・・・とまあいろいろ考えたのですが,2005年以来アップデートされていないレガシーなROMライタ1つのために64bitに移行しないのもおかしいので,ここはVirtualBoxで仮想環境を作り,ここで32bitのWindowsを動かす事にします。

 幸い,かつての地デジPCで使っていたWindowsXPのライセンスが1つ余っています。これを使いましょう。

 VirtualBoxをインストールして,そこからWindowsXPを入れます。ところがライセンス認証が通りません。まあそれはそうですよね,以前のマシンとは全然違うのですから。

 そこで初めて電話をしました。担当者に事情を説明することも覚悟していましたが,無人対応でさくっとライセンス認証が完了し,晴れてWindowsXPの動く環境を用意出来ました。

 EP-ROMライタも問題なく動作するようになりましたので,これでこの件は解決です。


(6)Windows10ではまる

 調べ物をしているうちに,未だにWIndows10の無償アップデートが出来るという話を目にしました。試して見るか,とスケベ心がでたのが終わりの始まりでした。

 Windows10の起動用USBメモリを作り,そこからアップデート。ウソのようにサクサク進み,しばらくしてWindows10の起動画面が出ました。

 ところがトラックパッドが動きません。

 なんとかキーボードだけで操作して,改めてMacBookPro用のドライバをインストールしようと,Windows7用のドライバのセットアップを行いますが,なんと途中で止まってしまいました。

 あきらめて再起動。

 悲劇はここから始まりました。マウスもキーボードも動きません。USBも動かないので,外付けのキーボードも動きません。

 ログイン出来なくなってしまい,なにも操作ができなくなりました。復旧を試みてもダメ。

 最悪でもWindows8.1に戻せると思って気軽に始めましたが,まさかログイン出来なくなり,Windows8.1に戻せなくなるとは思いませんでした。

 泣く泣く,Windows8.1を新規インストールするところから,やり直しです。


(7)なんとかWindows8.1まで戻した

 これまでの手順をもう一度繰り返し,Windows8.1が動くところまで戻しました。WindowsXPのライセンス認証をもう一度やり直すために電話が必要になったところまで同じように繰り返しましたが,ともあれ元通りです。ここまでで1日無駄にしています。

 しかし,WIndowsというのは,動き出すまでにいくつもいくつも落とし穴があるものですね。良くなったとは言え,やっぱりWindowsだなと思いました。

 Windowsはなにかと画面を青くするのですが,その時に私の顔が青くなるらしく,5歳の娘が「お父さんの顔真っ青」と心配そうに話しかけてくれたのが,唯一の救いでした。


(8)やったこと

 まず,USB接続のVNAであるziVNAuを動くようにしました。これは問題なし。

 AVR関係はAVR Studioの4.19をインストールしました。これも問題なし。

 LEAPER-3Cは前述の通り仮想環境のWindowsXPで動かして解決です。

 もう1つ,大事な作業としてCoolScanVEDを動かす事があります。ニコンのフィルムスキャナーなのですが,これまではMacで使っていましたが,サポートソフトがPowerPCのコードで書かれているので,PowerPCのエミュレーション機能があるMacOSX10.5を外部HDDから起動して使っていました。

 でも,外付けHDDは遅く,信頼性も心配なので新しいMacBookProの仮想環境で動かすことを考えていたのですが,せっかくMacでWindowsを動かす事がなくなったのにディスクスペースももったいないので,Windowsマシンで動かす事を考えたのです。

 幸い,Vista用のサポートソフトを使えば,64bitでドライバを動かす技もあるということで,試して見ました。

 結果は問題なし。トラブルもなくCoolScanVEDが動きました。よしよし。

 最後に,家にあるいくつかのWindowsに散らばっているデータやソフトを集めました。20年以上前から蓄積している古いものも出てきましたが,これを統合です。PC-6001やX68000のエミュレータも動くようになりました。

 さすが,Windows8.1がサクサク動くマシンですね。これらのエミュレータも実機と同じように動きます。PS3のコントローラも動くようにして,レトロゲーム三昧です。


(9)苦労しました

 私がWindowsに詳しいならなんてことはなかったのでしょうが,あいにく私はWindowsはよくわかっていませんし,最新の状況を常に仕入れているほどのMicrosoftウォッチャーではありません。

 WindowsUpdateが黙ることは世界中で知られている話だそうですが,私のように知らない人はまったく知らない話です。Microsoftについていっている忠誠心の高い人でも新規インストールすれば古いWindowsを動かすことになるわけで,せめてそこからのWindowsUpdateくらいは出来るよう,どうしても出来ない場合でも,ダンマリはやめて欲しいなあと思いました。

 また,Windows10でSSDのフォーマットからやり直した人は珍しいかも知れませんが,これが無償期間中のように頻繁にアップデートを促されてなかば強制の上でWindows10にしていたら,どんなに恐ろしいことになったかと,背筋が寒くなります。
 
 こういう事態に陥るのが事実であるわけですから,あそこまでUpdateを強く促すのは危険だったと思います。こういうこころは,やっぱりMicrosoftだなあと思います。

 さて,動いて見ればストレス無しのWindowsです。画面も広く,キーボードもしっかりしていて,速度もまずまず。SSDで快適ですし,大きめのノートPCとして妥協する点はなにもありません。

 やっぱり1台,まともなWindowsマシンがあるといい面もありますね。以前ほどWindosでないと不自由するシーンは少なくなりましたが,それでもWindowsをサポートしない測定器や開発環境はないといっていいですから,電子工作関連はWindowsに集約しましょう。

 64bitですので,将来も安心。まだしばらくは使えるWindowsマシンを手に入れました。ふと思ったのは,このころのMacBookProは中古品が安く売られていますが,macOSは満足に動かなくてもWindowsはこうして問題なく動きます。

 大きな画面を持ち,処理能力もそれなりにあるノートPCを,1台新たに手に入れた感じです。苦労した分,どんどん使っていこうと思います。


MacBookPro(Late2016)15inch TouchBar,使った!

  • 2016/11/24 09:12
  • カテゴリー:散財

 さてMacBookPro,上海から出荷されたのが11月15日,予定日である19日の午前中にきちんと届きました。新しいPCを買うのも久々なら,出荷から届くまでワクワクした買い物も久々です。

 店頭での販売も19日からという事ですので,私は先頭グループで祭りに参加したということになります。こんなのも初めてです。


 「箱も商品」という考え方から,箱をさらに段ボール箱に入れて送ってくれることはいつも通りですが,この段ボール箱が良く出来ていて,緩衝材として入っている段ボールの端っこをぐいっと外に広げると,すすーっと中の箱がせり出してくるのです。

 こういうのって,なかなか出来ないです。感心しました。

 箱を開けると出てきましたよ,スペースグレーのMacBookProが。なんだかMacBookAirをそのまま大きくしたような感じがします。15インチという大きさにもかかわらず剛性感は高く,手に持った瞬間にうれしくなります。

 入っているものを確認すると,本体とACアダプタとUSB Type-Cケーブルだけ。あれこれと付属品が入っていると得をした気がするものですが,冷静になったときにそれら細々したものを片付けるのにうんざりすることが私は多いので,このシンプルさはむしろ好都合です。

 そしてMacBookProを開きます。

 開くと勝手に起動します。これも聞いていたとおりです。そして,あのおなじみの起動音もなくなりました。これもまた,聞いていたとおりです。起動音は確か,1990年代前半に登場したMacintosh Quadraという初の68040搭載モデルから採用されたものがそのまま長く使われていたと記憶していますが,寡黙に立ち上がるMacに寂しさを感じながらも,実はもうMacは電源を切るとか起動するとか,そもそもそうした概念がなくなっているんじゃないかと思いました。

 そういえば,ここ数年は起動音を聞いていませんでした。時々再起動したときに音が出るので,びっくりするくらいです。

 さて,電源が入ったら設定には手を付けず,さっさと古いMacBookProから環境移行アシスタントで環境を移行します。せっかくだから環境移行アシスタントを使わずに,いちから手作業で環境構築をしようかとも思ったのですが,時間もかかるし,コピー漏れや設定漏れがこわくて,環境移行アシスタントに頼ることにしました。

 古いMacBookProとは,Firewire800で直接繋ぎます。古いMacBookProをターゲットモードで起動して,新しいMacBookProでは環境移行アシスタントを起動します。あとは指示通りに従い,しばらく放置です。

 私の場合,どちらも同じ容量のSSDだったので容量の問題は発生せず,2時間半ほどでスムーズに移行作業が終わりました。OSのバージョンが異なるため,そこでの問題を心配しましたがこれも問題なしです。

 再起動してみると,古いMacBookProと全く同じ環境がそこに再現されていて,その完璧ぶりに感動しました。ScanSnapもLightroomもSafariはもちろん,デスクトップにおかれたアイコンまで同じ。

 そしてTimeMachineです。新しいMacBookProで引き継いでくれます。その代わり古いMacBookProでのバックアップはもう出来なくなります。環境移行なんだから,それで全然構いません。

 ということで,これだけあっさりと環境移行が終わり,その日の午後には実運用に入ることが可能でした。この時間短縮は素晴らしいですよ。

 数日間触ってみたところで,インプレッションです。


・全体的な話

 大きさは古いMacBookProとほぼ同じです。ただ,薄くなり,軽くなったこともあって,ぱっと見たところ小さく見えます。MacBookAirの15インチモデルだとウソを言ってもばれないんじゃないかと思います。

 この薄さを実現しているのは,賛否両論あるUSB Type-Cコネクタへの一本化のおかげです。Type-AコネクタやHDMIなど,あれこれついていると便利なように思いますが,人によっては使わないもの,時々しか使わないもののために,誰にとっても重要な薄さを犠牲にするのは私は正しくないと思っていて,このシンプルさをもっと他も見習って欲しいです。

 ただ,いくら薄い軽いとはいえ,常に持ち運ぶような気軽さがあるわけではありません。マシンの性能も高いですし,これはいざというときに持ち運べる,トランスポータブル型のワークステーションと考える方が正しいと思います。


・TouchBar

 さて,今回のモデルで台風の目になったのが,ファンクションキーの代わりにおかれたTouchBarです。ディスプレイの横幅と同じだけのピクセル数を持つOLEDにタッチパネルを組み合わせたもので,やれファンクションキーがなくなって困るだの,やれESCキーがないのは致命的だのと,まだ有効な使い方が出揃っていない今は否定的な意見が支配的なように感じます。

 実際に目にすると,まずその表示の鮮明さと精緻さに目が釘付けです。まるで薄いシールを張り付けたような綺麗さで,角度によって色が変わったり見え方が変わったりしません。OLEDでなければこの素晴らしさは実現出来なかったでしょう。

 そして,発色のいいカラーが出ていることに気が付くとまた感激。音量や画面の明るさを変更する時も,スライダの呼び出しをしてから指の位置を変えず,そのまま左右に動かせばよいという親切さです。

 TouchBarのカスタマイズ時には,機能をTouchBarまでドラッグしますが,この時LCDからTouchBarまで,するするアイコンを動かして好きな場所におくことが出来ます。ちょうど2画面あるような感じです。

 タイムラグもなし,ユーザーの作業を邪魔することもなく,次々に表示と機能が変わっていくTouchBar。必要のある人にはとても便利で楽しく,しかしながらTouchBarを使うことを強制されるわけではないので,必要のない人には全く無視して良い存在に仕上がっており,これは本当によく出来ています。

 実は,これまで,画面の明るさや音量を変えるときに,いちいちFnキーを押しながら行うのが嫌でした。二本の指が必要になりますからね。そこで私はKarabinarというソフトを使って,Fnキーなしで変更出来るようにしていたのですが,sierraでは使えなくなったのです。

 Airでは困っていたわけですが,TouchBarでは画面の明るさと音量を指1本で変更出来るようになりました。これでKarabinarはいりません。

 つくづく考えてみると,このTouchBarというのはAppleらしい発明です。WindowsもMacも,タブレットやスマートフォンの「画面を触る」というインターフェースをPCに統合しようとしています。この流れは止まらないと思います。

 しかし,かつてJobsも話したように,人間の腕は垂直に切り立った画面を触るには重すぎるのです。そして不自然な動作で疲れてしまうUIを導入して大失敗したのがWindows8です。

 Appleは,画面を触るUIのために,キーボードの上側にもう1つ画面をおきました。これでPCの利点である目線の先に自然に立っている画面と,タッチパネルとを同居させることに成功したわけです。

 もちろん,Windows8のように直接画面を触るUIにも,視線を動かさずに済むというメリットはあります。しかし,それまで見るだったLCDが,突然指示を出すための装置になってしまうことへの違和感が大きいことや,視線移動を嫌うそもそもの理由がキーボードのブラインドタッチを邪魔するものであったことを考えると,PCで画面をタッチするUIというのは,あまり意味がないものだと言えます。

 TouchBarでは,視線の移動もなく,ブラインドタッチも続けたまま,使うことが出来ます。ユーザーは視線移動やブラインドタッチが中断される事へのデメリットを上回るメリットがあると思った時に,TouchBarの直感的な操作を選ぶことが出来るのです。

 惜しいのは,押したことのフィードバックがないことと,ESCキーの左側の空白にもESCキーの反応があることです。

 どっちも誤操作に関する問題なのですが,フィードバックがないので,触った後の反応を視覚で確認するまで視線を動かせません。それに,なれてくればTouchBarもブラインドタッチで操作できるようになるでしょうから,その際の反応を返してもらえないことで結局視線が動くのであれば,それはもったいないと思います。

 ESCキーについては,私はvi使いですが,別に違和感はありませんでした。しかし,私は癖でついついキーボードの左上に左手をおくので,知らないうちに中指がESCキーの近くに行っていることがあります。

 突然ESCキーが連打され,何事だとびっくりしては実はESCキーの近くを触っていると気が付く事が何度もありました。といいますか,私にこんな癖があったことすらこれまで知らなかったのですが,この癖に必然性はありませんので,まあ私が気をつけることにしましょう。


・TouchID

 指紋認証が実装された新しいMacBookProですが,電源ボタンの位置にTouchIDが仕込まれています。電源ボタンを兼ねることから,物理的に押下可能なボタンになっているのですが,これが便利なようでなかなか馴染みません。

 まず,完全にパスワードを置き換えるものではないことが挙げられます。起動直後のログインではパスワードが必須,その後のスクリーンセイバーからの復帰はTouchIDで可能なのですが,今どちらの状態かは画面だけではわかりません。

 結局パスワードであればどっちもで対応可能ですので,いちいち確認せずにさっさとパスワードを打ち込んだ方が早いです。

 コントロールパネルの設定変更でも同様です。TouchIDでよい場合もあれば,パスワード必須のものもあります。セキュリティレベルの違いで差があるのでは分かりますが,もう少し規則性がはっきりすると使い心地もかわるでしょうか。

 期待外れだったのはTouchIDの認識率の悪さです。スクリーンセイバーからの復帰でtouchIDを使うようにしていたのですが,結構な割合で二度三度とTouchを要求されますし,結局ダメでパスワードになることもしばしばです。特に風呂上がりは全滅で,「私は本当に私なのか」という,まるでハヤカワのハードSFのような自問をする羽目になりました。

 ApplePayも使いませんし,たぶんTouchIDは使わなくなると思います。

 
・LCD

 15インチのRetinaの表現力はまさに圧巻で,その精細感はまるで印刷物です。すでに目が悪くなっている私にはもったいないくらいですが,それでも元のMacBookProには戻れません。

 解像度と共に素晴らしいのは,発色の良さ,そして明るさ,輝度ムラのなさです。

 今回のMacBookProの色域はsRGBを越えていますが,白は鮮やかになり,黒の白浮きもなくなって,コントラストが圧倒的に高くなっています。赤色もきらびやかになり,LCDもここまで来たかとため息が出ました。

 明るくなったことはあまり意味がないかなと思いましたが,Lightroomを使う時には,その余裕に助けられることがありました。暗い部分を画面を明るくして見るという自然な行動がコンピュータで出来ることは当たり前のようで,なかなか難しいことです。

 そして,輝度ムラがほとんどなくなりました。15インチにもなると輝度ムラは避けられず,視野角による見え方の変化もそれなりにあります。古いMacBookProでもそのあたりの性能には最初驚きましたが,新しいMacBookProではそうした不自然さはもうほとんど感じません。まさに写真編集のための道具です。

 LCDの前にもう1枚透明なパネルがありますが,この部分とLCDとは一体化していて,奥行き感がありません。まさに表面に浮かんで描かれます。アンチグレアではありませんが,映り込みも反射もコントラスト低下もほとんどなく,まったく意識することがありません。

 そういえば,ひところの新機種レビューでは,必ずといっていいほどアンチグレアでないことを揶揄するものが目に付きましたが,このMacBookProにについては,全く言及されていません。もうこの問題は決着したという事ですね。

 ところ私は,カラーマネジメントとしてColorMunkiDisplayを使っていました。今回,もしも必要がなければいい機会だから使わないようにしようかと思いましたが,使ってみるとやはりやや色温度を低めにしてくれて,プリンタとの差が小さくなりました。

 使わないで済むならそれが一番だと思っていましたが,とりあえずこれまで通り使って様子を見ようと思います。


・キーボード

 新しいMacBookProに対するもう1つの不安(あるいは批判)は,バタフライ式のキーボードにありました。12インチのMacBookと同じ構造のキーボードですが,このMacBookが出た時に,みな想像以上に使い勝手が悪かったので,今回も心配されたんだと思います。

 確かに,モバイルとしてある程度の妥協や割り切りが出来るMacBookに対し,UNIXを使ったり文章を書いたりするプロが使うMacBookProでは,キーボードに対する期待感が全く違います。不安が出るのは当然です。

 で,触った感じですが,私は全く問題なし。というか,大変心地よく,とても快適です。押し込むと言うより,あるいは叩くと言うより,なでるような感じで恐る恐る使っていましたが,案外強く叩いてもしっかりとしていて,そのクリック感も癖になり,とても楽しくタイピング出来ています。

 ストロークは浅いですが,遊びがなくグラグラしませんし,どこを押さえても同じように沈むので,実際のストローク以上に「押した」という感じが強くあります。キーの縁を押してもふにゃっとした感じがないので,癖になりそうです。


・トラックパッド

 そうそう,巨大なタッチパッドも忘れてはいけません。この部分に不安を感じる人はいなかったようですが,私は最近のMacを使っていない人でしたから,物理的に押し込めないトラックパッドに馴染めるか,実は結句不安でした。

 結論から言うと,快適です。

 以前のMacBookProやAirではトラックパッドが狭くて,指3本のスワイプや,広げる動作は辛いものがありました。しかし,そこらへんのスマートフォンよりも大きな面積のトラックパッドでは,そうした操作も楽々です。

 ハプティクスによるフィードバックも適切で,もう前の機種には戻れません。これも素晴らしいものでした。


・拡張性

 そして最大の懸念が,この拡張性です。プロが使う道具ですので,あらゆる用途に対応出来ることが望まれるのは当然なのですが,その実現には様々なインターフェースをもれなく搭載していざというときに備える事がこれまで取られてきました。

 Thunderbolt3(USB Type-C)への一本化はこれに逆らう流れに見えるわけですが,よく考えるとそうではなく,同じ目標の実現方法として,インターフェースそのものを万能にするというアプローチを果敢に取ってきたものだとわかります。

 どんなものも繋がる,どんなインターフェースも包含する,それこそ充電さえも可能な万能インターフェースを4つ用意しておくことで,もう機能別のコネクタをバラバラと並べることはしなくてよくなったのです。

 このことで,人によっては全く使わないインターフェースを無駄に用意することはなくなりましたし,物理的な制限(大きさとか奥行きとか)も少なくなり,あの持ち運びに便利で,美しい筐体が実現したわけです。

 確かに,今の周辺機器をそのまま移行できないのは面倒くさいです。しかし,徐々にそうしたものは淘汰されていくでしょうし,変換ケーブルでしのぐこともできます。私はこのType-Cへの一本化は大賛成でした。

 ところで,買った変換ケーブル類ですが,すべて問題なく動作しています。belkinのGbit Etherのケーブルは,差し込むだけで即動作しました。ただ,ファイルのダウンロードが中断したりすることがあり,これがこのケーブルのせいかどうかは分かりませんが,もう少し注意しておこうと思います。

 そうそう,SDカードリーダやHDMIも搭載した「3Q-LEVO Type-C USB ハブ ウルトラスリム」というハブを買ってみたのですが,これが失敗でした。

 新しいMacBookProでも使えると言うことだったのですが,最初に差し込んでも認識せず,何度か抜き差しするとようやく認識するという不安定さです。

 また,ハブにあるType-Cを介して充電をしようとしても,ACアダプタを87Wとは認識してくれないので,電力供給が制限されます。

 このType-CにBelkinのEtherアダプタを繋いでも動作しませんし,これでは使い物になりません。もうちょっと様子を見ますが,返品の可能性も視野に入れておきます。


・音質

 音質はわざわざ書いておきたいくらい良くなっています。この薄い筐体で,よくこれだけの音が出せるなと感心しました。

 よく見ると,左右に底面にスリットがあります。ここから低音が出ているようなのですが,このスリットもType-Cへの一本化によって作られたスペースで可能になったものだと思います。

 声は聴き取りやすく,音楽も楽しく聴けます。そこらへんの安い外部スピーカーはもはや必要がないでしょう。


・マシン性能

 ちょっと期待外れだったのが,サクサク感というか,キビキビとした速度です。新しいマシンほどキビキビ動くというのが当たり前だと思っていたので,ここは期待が高すぎたのかもしれません。

 画面の書き換え速度や反応速度などは,古いMacBookProでもそんなに不満はありませんでした。新しいMacBookProでも,意識するほど高速化したという感じはありません。

 CPUのクロックはそれほど変わっておらず,同時に走るスレッドが4から8になったわけですから,シングルスレッドの場合はあんまり体感速度は変わらないです。

 しかし,スレッドの数が増えた場合に,速度が落ちません。

 CPUのコアの数もそうですが,やはりバスやストレージといった足腰を鍛えてあるんでしょう。スレッドが増えた場合にはデータの転送が足を引っ張るのですから,重たい処理でも速度が落ちないというトルクの太さは,バランスの良いマシンの証です。

 特にLightroomで複数の処理を行う場合,例えば一括の変換や印刷という処理をバックグラウンドで行い,RAWの編集をするといった作業が,ほとんど速度を落とさず行えるのはすごいと思います。

 見た目の速度よりも,へこたれない強さ。最近のコンピューティングは,こういう方向に進化していたんですね。不勉強でした。

 もう1つ,H.264HDというH.264へのエンコーダを試したのですが,これはまあ期待通りの速度でした。古いmacBookProではUSBに繋ぐアクセラレータを付けて34fps程度だった処理速度は,アクセラレータ無しで68fpsと倍になりました。アクセラレータを繋ぐと50fpsくらいに落ちますので,すでにUSBがボトルネックになることがわかります。

 まあ,CPUのコアが倍になりましたから,このくらいの速度アップは当たり前かなと思います。


・使ってみて

 すぐに運用に入ることができて,たまりにたまった写真の現像と印刷を数日間まわしてみました。データは主にD2HとD800のRAWデータで,D2Hは約2000枚,D800は1800枚程の,いずれもRAWデータです。

 これをLightroomで処理していきます。処理バージョンの統一とレンズ補正を一気にかけて,D2HはここからJPEGの生成をします。

 そしてあとは印刷する写真をコツコツと選んでいく作業です。私の場合,現像タブから1枚1枚選んでもライブラリからサムネールで選んでも,結局時間がそれ程変わらないので,現像タブから選んでいき,いいと思ったものを選び出してその場でさっと補正を済ませてしまいます。

 こうすると,補正をかけて救えるものと駄目なものをその場で試せますし,反省点が見えてくるので次に繋げることが出来ます。レンズの癖も良く見えて楽しめますし,いろいろ試行錯誤をしましたが結局このスタイルです。

 いいと思ったもの,補正が済んだものはレーティングを付け,全部終わったらフィルタでレーティングが付いたものだけを表示,ここからさらにふるいにかけて最終的に印刷するものを決めます。

 そして,CanonのPRO-100で印刷です。

 ざっと,私のあまり合理的とはいえないワークフローを書きましたが,こういう鈍くさいことをやっていると,時間はかかるわ,急ぐといい写真を選び損ねるわで,これまでのMacBookProではLightroomを開く気さえ起きなかったのです。

 嫁さんの「高いマシンだけどあなたは使うからなあ」という,脅迫に似たつぶやきに震え上がった私はとにかくLightroomを立ち上げて,処理を進めます。

 確かに,RAWが現像されて高解像度の画像になるまでには数秒かかります。このタイムラグが期待外れの原因ではあったのですが,考えてみると古いマシンではここに10秒以上の時間がかかっていました。次々にフルスペックの画像を確認していきます。ピクセル等倍に拡大してもへこたれません。

 この背後では,D2HのJPEG書き出しが回っています。でも速度が落ちません。

 トリミング,露光量の調整,ホワイトバランスを整えて印刷データを作って行きますが,これも全然ひっかかりが出てきません。スムーズです。キーボードのタッチも快適です。

 印刷データがまとまったらここからプラグインエキストラにあるPRO-100の印刷ツールを起動して,Lightroomからデータを渡します。ここに少々の時間がかかりますが,これも以前のMacBookProだと昼ご飯が食べられるくらいの時間がかかっていたので,雲泥の差です。(ただ,ご飯が食べられるくらいの時間がかかると,本当にご飯を食べに行くのでなんら問題はなかったのです)

 そして印刷。印刷していてもどんどん写真を現像していきます。結局D2Hの2000枚,D800の900枚ほどを,のべ4時間ほどで処理し終えました。私の感覚だと,まさにあっという間です。

 負荷をかけてもへこたれず処理速度が「一定である」こと,バックグラウンドで処理がどんどん進むこと,ストレージへのアクセスが高速で待ち時間が短縮されること,トラックパッドやキーボードが快適,膝の上に置いても重くなく熱くならないこと,Lightroomでも長時間バッテリーが持つこと,画面が美しく印刷したときのイメージに極めて近いことなど,本当にこのマシンを手に入れて良かったと思います。使ってみて実感します。


・まとめ

 新しいものが出てくると,なにかと批判も出てくるものですが,不思議なことにAppleの場合は,最初はちょっと違和感があっても使っている内に馴染んできて,いつの間にかないと困るような存在になっているものです。

 今回のMacBookProもそういう感じがします。大きな変更が入っているのに,食わず嫌いをやめて一度使ってみると手に馴染んで快適になります。

 最近気が付いたことは,仮にそうして試して見た結果,やっぱりダメだと思ったら躊躇なく使うのをやめることができる事です。やめたところで従来通りの使い方を継続出来ることが分かっているので,とりあえず一度試して見ようか,という気分にさせられます。

 これがもし,試すまでもなく強制的に大きな変更が成されていて,気に入らなければ古いバージョンのOSに戻すか,古い機種を使い続けるかしか選択肢がないような話だと被害は深刻で,そういう勝手なことをやるメーカーの製品はもう使わないでおこうと,自然に避けてしまうのではないでしょうか。

 Appleというメーカーに対する信頼というのは,こういうことを長年続けてきたことへの安心感なのかもなあと,思います。

 いろいろと心配事も批判もあるのが,良くも悪くもAppleの製品です。しかしそんな話は使ってみればどこへやら,新しいものをまとめる力はさすがといえて,使った瞬間の面白さから,使っていてジワジワと出てくる満足感にいたるまで,やはりこれはAppleのプロ用ノートブックマシン,MacBookProです。

 ちょっと前のMacProを越えるようなパワーを,まさに膝の上で駆使できるのが,MacBookProです。単にCPUやGPUが高速であったり,メモリがたくさんあるとかストレージが高速であるとか,そういうスペックの高さだけではこの使い心地は得られず,それらをうまくまとめて,ユーザの視覚や触覚とどう接続するかという部分に,最終的な仕上がりの差が生まれます。

 確かにmacOSでも,まだまだ完全とは言えませんが,それでも他に比べて抜きんでていることは間違いなく,Windowsに対する感情的なバイアスがすっかりなくなった今の私でさえも,やっぱりMacだと作業を邪魔されることがないなあと感じるあたり,うまくまとめてあるのだろうと思ったりします。

 いつもいっていることですが,ソフトウェアが最終的な製品の使い心地を決めるものであっても,一方でソフトウェアはハードウェアの限界を超えられません。ハードウェアの進化,言い換えると半導体の進化がこうして使い心地に反映されるまでには手間と時間がかかる上,必ずしもうまくいくとは限りません。

 大げさな言い方をしましたが,つくづく考えてみるとAppleはMacという高額な商品を使って,様々な試みを行ってきましたし,それがうまくいってもうまくいかなかっても,果敢に取り組みを続けているなと思います。

 分かりやすい例ではフロッピーディスクを廃止したこと,USBに一本化したことがそうですし,見えにくい部分ではCPUを全く異なるものに3回も変えていますが,OSもアプリケーションもスムーズにこの大変更を乗り切りました。64ビット化だっていつの間にか終わっていて,ユーザーにいちいち32ビットか64ビットかと選択を迫らないでしょう。

 こうしたAppleの良き伝統が,iPhoneの大成功でぶれてしまうことを一番に心配していた私でしたが,それは杞憂だったと思います。

 現状に不満を感じる事なく,その使いやすさとパワーに身を委ね,ちらっとパーソナルコンピューティングの未来まで見せてくれる,少し背伸びして買っても全く損をしない,今回のMacBookProは本当に良いマシンだと思います。おそらくこのMacBookProは成功し,今後のMacのベースになっていくことでしょう。


MacBookPro(Late2016)15inch TouchBar,買った!

  • 2016/11/22 09:00
  • カテゴリー:散財


 MacBookPro,届きました。そう,先日発売になったばかりの,TouchBar搭載の15インチモデルです。色はスペースグレイにしました。

 スペックは,

    2.6GHz Quad-core Intel Core i7
    16GB 2133MHz LPDDR3 SDRAM
    Radeon Pro 450 with 2GB VRAM
    256GB PCIe-based SSD
    Four Thunderbolt 3 ports

 です。まあ要するに,上下2つのランクがある15インチのTouchBarモデルのうち,階の安い方を選んだという事です。

 しかも,見ておわかりのように,キーボード以外はすべて標準構成です。私はどうも最近,自分であれこれとカスタマイズをすることを避けるようになりまして,時間も手間もお金もかかるわ,それでもトラブルは発生するし,今きちんと動いていても次のアップデートでどうなるかわからん,という苦労を相殺するほどのメリットが,もう見つからなくなってしまいました。

 CPU性能だってグラフィック性能だって,私が重視するバスの速さだって,このスペックであれば十分すぎるでしょう。それになんといっても,プロの期待に応えるMacBookProです。

 ただし,キーボードだけは,長く使い慣れているUSキーボードにしたいと思いました。基本的にBTOであり,注文時のカスタマイズ対応なのですが,一部のお店には店頭在庫を持っている場合もあるくらい,普通のカスタマイズです。ですが,いつも手に入るとは限りませんし,どっちかというとカスタマイズが必要ということを言い訳にして,安い店を探したり買う時期を慎重に吟味することを避けAppleStoreで買ったといってもいいでしょう。

 話は逸れますが,分解記事でも分かるように,今回のMacBookProはユーザーによる拡張やカスタマイズが出来ないようなハードウェアになっています。メインメモリもSSDもマザーボードに直づけですし,キーボードだって交換するには上ケースごとごっそり交換になります。

 ExpressCardは随分昔からなくなっていて,内部バスがそのまま外に出てくることはくなっていますし,その代わりThunderbolt3が4つ用意されています。つまり,基礎的な体力は買った時のまま固定されるので,買うときに失敗出来ないという事です。

 こういう傾向は私がMacBookAirを買った時にも感じた事ですが,

 よく知られているようにMacBookProは長い間基本的なアーキテクチャが変更されないまま販売されてきました。確かにPCは進化が遅くなり,マーケットも小さくなったのですが,それはコンテンツを消費するスマートフォンやタブレットの普及のためであると言えて,コンテンツを創る道具としてのPCへの期待はこれまで通りか,それ以上のものがきちんとあります。

 コンテンツを創る人の多くはプロであり,収入を得る手段としてPCを使う人であり,それは趣味の道具ではなく生活を支える道具です。経済的にも創造的にもそれは妥協が許されないものです。

 にも関わらず,MacBookProのユーザーは妥協を強いられてきたと言って良いでしょう。もちろん,彼らの期待を支えるだけの底力は一世代前のモデルでもあったという評価が高いですし,私の目で見て,今回のMacBookProでも最先端の創造に耐えうるだけの強烈なパワーを持っているとは思いません。

 ですが,Macがクリエイターの道具であり,その中でも特にクリエイターが望むプロモデルの進化が止まっていたことに,私は大変不満でした。お金になるiPhoneに集中するのは結構だが,そのiPhoneのユーザーが楽しんでいるコンテンツの多くはMacで作られていることをもっと大事にして欲しいと,そう思っていたわけです。

 とまあ,偉そうなことを書いていますが,私は趣味でMacBookProを使っている気楽な人です。私の歴代のMacは,これまでにただの1円も生み出さなかったですし,またその徹底した割り切りが,私のMacとの付き合い方です。

 ただ,大昔にも書いたことですが,本質的にコンピュータが人間の創造性をアシストするものであるならば,コンピュータの性能不足によって創造性にブレーキをかけるようなことがあれば,その段階で存在の全否定になります。

 作品がお金になるかならないかは別のドメインの話で,アマチュアだろうがプロだろうが,自分の作業をよりスマートに,より創造的にやりたいと思うのは共通ですから,そのための道具としてMacBookProには常に最強であって欲しいし,そうしたアピールをメーカーであるAppleには続けて欲しいと思っています。

 閑話休題。新しいMacBookProの話ですね。

 発表になったのが日本時間の10月28日深夜です。私は今年の春に,今使っているMacBookProのメモリが壊れてしまい,少ないメモリ容量で運用を続けることになった時に,買い換えを決めました。予算も確保し,その価格からはみ出さない限りは機械的に買うと決めていました。

 問題はいつ買うかだったのですが,欲しい時が買い時を座右の銘にする私も,モデルチェンジが確実視されているモデルを待たずに買うという冒険までは出来ません。

 すぐに買えばたまりにたまったD800のRAWデータを効率よく処理できると思いますし,あらゆる作業が楽しくなるだろうと思いますが,最新のOSが無料で配布されるMacでは,アップデート対象機種から外れるかどうかが新しいユーザー体験を逃すかどうかを決める要素ですから,出来るだけ最新の,特に基本アーキテクチャが大きく変わるなら変わった後のモデルを手に入れないと,Macの進化についていけません。

 私がこれまで使っていたMacBookProは2008年のモデルですが,先日のSierra(10.12)で対象機種から外れました。これが買い換えの大きな動機になりました。USB3.0の未サポート,メモリ不足,Lightroomの動作にストレスがあるという実害と共に,OS面からも旧世代になったというこのタイミングはそんなに悪くはありません。

 ということで,最新アーキテクチャ,15インチ,予算25万円である程度の枠を決めましたが,この範囲内なら何も考えずに発注するとして,発表された朝にAppleStoreに注文をしました。

 11月17日から11月24日に届く予定というメールが届き,実際に届いたのは19日でした。出荷は16日だったので17日にはとどくじゃないかと喜んでいたところ,まさか上海から発送されていて,それで19日になるとは思ってませんでした。

 届く前に事前に準備したものがあり,それがUSB Type-Cコネクタ関係です。新しいMacBookProでは,電源コネクタさえもType-Cコネクタに統合されてしまいました。本体から出ているコネクタはこのType-Cコネクタが4つと,後はヘッドホンジャックだけという潔さです。

 個人的にはこのすっきり感は歓迎なのですが,実用上の問題としてうちにはType-Cの周辺機器が1つもありませんから,とりあえず変換ケーブルを用意するしかありません。

 とりあえず必要なものは,Type-Aのコネクタで出てくるUSB,外付けHDD様のFIreWire800,GbitEtherです。とりあえずこれだけあれば即稼働させることが出来ます。

 まずType-CとType-Aの変換ですが,Appleが年内の緊急値下げを行った関係で品薄になっているようで,私もあわてて渋谷のAppleStoreに買いに行きました。

 FireWire800についてはちょっと厳しいです。Thundebolt2からFiewWire800にする変換コネクタはAppleから用意されているのですが,あいにくThunderbolt2とThunderbolt3は物理形状に違いがあり,そのままではささりません。

 そこでMiniDisplayPortと同じ形のThunderbolt2を,Type-Cと同じ形のThunderbole3に変換するケーブルを間に挟んで,FiewWire800に変換します。ここに一番お金がかかった感じです・・・

 はっきりいって,FireWireはもう終わった規格です。最大で800MbpsではUSB3.1に足下にも及びませんし,Thunderbolt3とも全く勝負になりません。

 かつてはUSB2.0に比べてオーバーヘッドも小さく,高速で信頼性も高いストレージ用のインターフェースとして重宝しましたが,すでに生みの親であるAppleでさえもFireWireのサポートを切っていますので,こんなものに投資をするのは無駄だと思います。

 ただ,今私がとても大切にしてあるデータがFiewWire800のケースに入っていることと,ひょっとしたら古いマシンからの移行にFireWireがあった方が楽かもしれないと思ったのがあります。

 GbitEtherは,きっと純正品があるものだと思っていましたが,ないんですね。Thunderbolt2と100MのEtherはあるんですが,Thnderbolt3とGbitというのは,Belkinのものを推奨しています。とはいえこれは在庫がありません。

 仕方がないので,ヨドバシで色が黒のものを買いました。形状は全く同じですが,本当にAppleストアで売られているものと同じ動作をするかどうかはわかりません。信頼性を求めるが故にわざわざ有線でネットワークに繋げるんですから,不安定な動作しかしないというのは困ります。

 とまあ,これだけ準備をして届くのを待っていたわけです。

 長くなってしまったので,インプレッションは次回に続く。

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