年も明けてしまいましたが,昨年2023年もやっぱり散財をしました。反省も込めて2023年の散財をまとめてみます。
あらためて昨年の日誌を眺めてみると,実は大きな買い物をそれほどしていません。気分的にも沈みがちだったこともあるでしょうし,時間もそれほど潤沢になかったこともあるのでしょうが,小さい買い物でちょこちょこと楽しんだという,割に健全な過ごし方をしていたように思います。
(1)Zfとレンズ
まずなんといってもZfとレンズです。カメラはここ数年値段が上昇した製品の1つだと思うのですが,安価だったZfcの2倍以上の価格に,本当にまだ実物を見ることの出来ない傍流の企画モノをホイホイと買ってもいいのだろうかと躊躇しました。今となっては思いきって速攻で予約して良かったと思っています。
聞けば予約が数日遅れただけで入手が何ヶ月も遅れることになったといいますし,予約なしで買おうとすれば春頃になるという話も耳にします。欲しい人が欲しいときに欲しいと思う価格で品物を買える事はもはや普通ではなくなっていることを強く感じますが,かくいう私は無事に発売日に手に入った人でした。
さすがに27万円ものお金をさっさと調達出来るわけもなく,Zfcを筆頭に使っていない物を処分した結果,4万円ほどの追い金で済んだのは幸いでした。
Zfcには手軽さもありましたが,やはりAPS-Cというセンサのサイズの限界も,安っぽさから来る感触の悪さがありましたので,Zfではそれらが解決していることが良かった点でした。
同時に,最新のミラーレス一眼という位置付けも与えられていて,いわば最新のデジカメの別UIバージョンというところに単なる懐古主義ではないニコンの良心を見るわけですが,それゆえレンズについてもこれに見合った物を用意しないといけなくなるのは避けようのないことで,頭の痛い問題でした。
結果,評判の良いZ24-70mmF4を中古で買いましたが(これは値段と外観の傷からあまり良い買い物とは言えませんでした),結局常用レンズになったのは7000円のキャッシュバックの対象だったZ26mmF2.8でした。
フードまで付けるとパンケーキと呼べるほど薄くはならず,Zfに取り付けて見るとたたずまいは普通の一眼レフという感じなのですが,むしろそれくらいがちょうど良くて,ぱっと手に取って撮影するのに最適です。
問題は26mmという広角の画角と,Zfの2400万画素という真面目な画素数です。遠くからとりあえず撮影してトリミング,と言うずるい方法が使えないので,きちんと寄って構図を考えないといけませんが,D850と35mmF1.4に慣れた頭からかなり切り替えないといけません。
その点ではまだ撮影スタイルが固まっていないと言えて,最適なAFモードを選んで定着させることも今度の課題だと思います。
レンズは前述の通りZマウントを2つ買いましたが,もう1つ,最後のFマウントとしてAF Zoom-Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-5.6Dも買いました。
このレンズは唯一無二のズームマクロなわけですが,細身の鏡筒にガラスが詰まっているというずっしりとした重さに感激するのと,その感激を裏切らない表現力が特筆されると思います。
本来のズームマクロとしての性能は言うに及ばず,2mくらい離れてのポートレートでも美しいボケと緻密な解像感で被写体を浮かび上がらせる素晴らしいレンズです。
重いこと,AFモーターが内蔵でないことから,Zfでの出番はないのですが,D850がある限りこれは持っていようと思います。
ところで,Zfcを下取りに出したことで,APS-C専用のレンズは邪魔になるだけです。すでにZ DX24mmF1.7は売却済みですが,残ったTTArtisan 17mm F1.4も使い道がないと言うことで年明けに売却しました。
APS-Cでは24mm相当になる貴重な広角単焦点で,F1.4という明るさも面白かったのですが,2年ほど前に15000円ほどで買った(今は19000円ほどしてますね)ものが,今回4000円で売れました。
中国製のレンズですので1000円か2000円,もしかすると買い取ってもらえないかと思いましたが,4000円でも売れて良かったと思っています。
(2)DL103の針交換
あれこれ試しても最後にまた戻ってくることで知られるカートリッジ,それがデノンのDL103です。NHK-FMで使われているカートリッジですので,日本の標準品といっても過言ではなく,その点でもリファレンスとして常に比較の中心にあり続けたといえるでしょう。
そして恐ろしいのは,1964年の発売からすでに60年近くが経過しているにも関わらず,未だに当時の仕様のまま新品が量販店でさっと買えることです。50年前のカートリッジの音が今でも保証された形で聞けることはすごいことだと思いますし,これが日本製であることも幸運としか言いようがありません。
また,未だに1つ1つに実測した周波数特性が添付されていることも素晴らしく,20Hzから20kHzまでほぼフラットな音が,まさにこの個体で手に入るのだという地に足のついた安心感は,校正済みの測定器を使う時を彷彿とさせます。
MCカートリッジですから,新品が買えるという事は針交換も可能ということです。ということで私は生まれて初めて,DL103の針交換を昨年行ったのでした。
厳密には針が悪くなったのではなく,本体の調子が悪くなったから交換したのですが,その交換価格が10年前の新品と同じ値段ですから,随分と値上がりしたものです。
ただ,考えようによっては交換価格だからこそ3万円ちょっとで済んだとも言えますし,この価格でもその内容から言えば破格の値段であることは言うまでもありません。
デノンという会社が偉いなと思うのはこのあたりで,単価を上げて利益率を高めるようなプレミアム路線を安易に取ろうとしません。DL-103もそうですし,先日出たDP-3000NEなんかも,本当はもう10万円や20万円高くても受け入れられる商品だと思うのですが,そういうのはうちの会社の仕事じゃない,少し背伸びをすれば手が届く商品を作るのが我々の役割だと言い切ります。偉いと思います。
価格だけではありません。欲しい時に量販店で買えるという手軽さも重要です。飢餓感を煽って何ヶ月も予約させたり,高値での転売を黙認したりと,かつての日本製品の一番良かったことをないがしろにして,それで商品で人を幸せにするという気持ちがあるのかどうかと私は疑問に思います。
一部の富裕層が商品も見ずに予約を入れ,何ヶ月も待たされたあげくにすぐに生産中止になるような商売が悪いとは言いませんが,かつて王様がお抱えの職人に自分専用の品物を作らせたことといわば同じであって,アメリカに端を発し日本が高めた大量生産は,経済と技術の民主主義という思想的な側面を持っていることを,ちょっと思い出してみると良いかもしれません。
そう,大量生産品の代表であるマイクロプロセッサの登場が,一部の人によって独占されていたコンピュータを大衆化したこと,そしてそれが社会と文化を前進させたのです。
閑話休題。
その後のうちのDL103は絶好調で,その安定性にはもう安心と信頼しかありません。絶対的な音の良さは他のカートリッジに譲ることもありますが,やはりNHK-FMのあのプレーンな基準たる音への信頼感は揺るぎなく,最後にはここに戻ってこられるという故郷のような安心感があるから,あれこれとカートリッジを試すことが出来ているんだと思います。
これから何度も値上げがあると思いますが,作り続けて欲しいと思います。
(3)何度目かのポケコンブーム
PC-1261というポケコンの最終形があります。いや,発売時期や性能で言えばもっといろいろな物がありますが,本当の意味でポケットに入る大きさ,という条件において2行表示に高機能BASIC,そして最高速のクロックという最高の性能を誇るPC-1261は,私にとってもいつか欲しいポケコンでした。
しかし,シャープのポケコンに見られるLCDの劣化がPC-1261にも襲いかかっていて,まともに動く物は数が少なく高価,しかもいずれは死ぬ運命にあるものですから,おいそれと手を出せません。
私は1つの賭に出ました。PC-1250やPC-1245では,交換用のLCDが個人の手によって作られて頒布されていますが,いずれPC-1261にもでてくるであろう,と。
ならば今の安いうちにLCDの劣化したものを買っておいたらどうだろうと考えて,LCDの劣化が始まったような程度のPC-1261を買ったのでした。
果たして私の予想は当たり,しばらくすると交換用のLCDが登場,私のPC-1261は晴れて完全復活を遂げたのでした。
もったいなくてあまり使えないのですが,今も完調です。PC-1246のLCDも同時に入手できたので2台のPC-1246も完全復活です。
これで味をしめた私には,何度目かのポケコンブームが再来します。とうとうPB-100を入手してみたり,PC-1501を手に入れてみたりしましたし,CE-150の修理には失敗,何度か試みたカセットインターフェースの製作にもくじけてしまいました。
PC-1250シリーズと同じCPUの最終形態であるPC-1475も手に入れましたが,これは年末に壊れていることが判明し,修理待ちの状態が続いています。
ところで,一連のポケコンブームのおかげで試すことが出来たものに,レトロブライトがあります。ABS樹脂の黄変を元に戻す漂白ですが,春から夏の日差しであれば十分可能であることがわかりました。秋頃の日差しでは完全に漂白ができなかったりムラになったりするので1年のうちで可能な時期は限られますが,今年の夏も挑戦してみたいと思っています。
(4)Walkmanの修理
カセットテープがブームだそうです。おっさん向けにいくつもの本が登場しているのですが,私もTDKのカセットテープの本を手に入れてから,カセットテープのブームがやってきてしまいました。
家で眠っている未デジタル化テープをすべて処理しましたし,GX-Z9100EVのメンテも済ませました。そんな中で盛り上がったのが,Walkmanの修理でした。
Walkmanは私も学生時代に使っていました(WM-EX70です)が,ゴムが切れてしまったので捨てました。こんな細いゴムは手に入らないだろうと思ったからですが,なんと今は手に入ることがわかってしまい,捨てたことを後悔した事がきっかけでした。
かつて持っていたWM-EX70を買い戻すことを考えていましたが,なかなか良いものに出会わず,RQ-SX35, WM-805, WM-EX666, RQ-SX11, WM-FX70と,あれこれと手を出すことになってしまいました。
一発で直れば良かったのですが,さすがに古いWalkmanは修理が難しく,部品取りに買い直したり,ついつい程度の良いものが目に付くと買っていたりと,ちょっと踏み外したような気がしています。
結果,どれも音が出るようにはなっていますが,往路と復路でアジマスが異なっていたり,テープスピードが狂ったり(テープの最初と最後でスピードがズレる)と,なかなか上手くいかずに終わってしまいました。
RQ-SX11やWM-805はアジマスのズレが大きいですし,WM-EX666は走行系は安定していますが今ひとつ音質がよくありません。RQ-SX35はテープスピードのズレが目立つ上に傷だらけですし,WM-FX70は走行系とラジオは素晴らしいのですが,ボタンが時々誤動作してしまいます。これ,きっと押しボタンスイッチの劣化で抵抗値が大きくなってしまったからでしょう。
結局1つも完璧な物を用意出来なかったことは悔しく,上手くいかなかった修理の1つとして記憶に残ることでしょう。
(5)ミニテーブルソー
12000円ほどの買い物でしたが,これは本当に便利で,買った当時に感じた「もっと早くに買っておけば良かった」を今もって痛感する良い買い物でした。
プロクソンの「ミニサーキュラソウテーブルEX」ですが,基板のカットにと買った物が,実はアクリル板や木の棒などでも威力を発揮するとわかり,工作のスピードと仕上がりの綺麗さで圧倒的な差が出てきたと思います。
私の場合,速度調整を改造して取り付けたのですが,確かに最高速で回っていると難しい材料もありますので,速度調整は必須だと思います。その点では気軽にお奨め出来る製品ではないのですが,一度テーブルソーの良さを味わうと,もう少し大きな物が欲しくなるものです。
テーブルソーとはいえ,結局は丸鋸ですので,油断していると大けがをして指を落としてしまいかねません。酔っ払っての作業は厳禁,安全には細心の注意を払って使いたいと思います。
ということで,昨年買った物を拾ってみましたがこんな程度でした。もっと細かい物はあれこれと買っていて(例えばUPSの電池とか),その点での無駄遣いは例年並みなのですが,それを差し引いても昨年は低調だったようです。
まあ,なにも新しい物を買って楽しむだけが趣味ではありません。今あるものを使い込むのも面白いですし,安い物を工夫して楽しむのも良い趣味だと思います。
今年は娘の受験も終わり,我々家族に劇的な変化が訪れます。我々自身の年齢もそうですし,親の年齢も考えると,いつ何が起きてもおかしくない時期に突入します。
毎日を淡々と過ごすだけではなく,残り時間を意識して,大切に過ごして行くことが,今年の目標になるように思います。