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2019年03月の記事は以下のとおりです。

新しいテスタ,DE-04を買う

  • 2019/03/29 12:30
  • カテゴリー:散財

 停電時の電源確保にと用意してあったセルスターのPD-350という電源の蓄電池がダメになっていたので,先日新しいバッテリーをみんな大好き秋月電子で購入しました。

 この話は後日きちんと書きますが,この時同時にちょっと気になっていたテスターを一緒に買いました。

 またテスターかよと自分でも呆れるのですが,秋月と言えば安いけどハズレもあるテスターのパラダイスで,私も何度かお世話になっています。

 一方で,精度管理や信頼性,あるいは単なる見栄からか,やはりプロが秋月で買った事(もしくは秋月で買ったとわかる品名)を堂々と公言することは目にしません。

 そんな厳しいプロでも,実は常用機が秋月で買ったものだったりしますし,普段使いをしていなくても机の引き出しに1つや2つ,必ず秋月のテスターが転がっていたりするものです。

 数々の名機をラインナップしてきた秋月ですが,数年前から定番になっているものにDE-04という機種があります。これ,秋月の中の人達も使っているという,いわば本物のプロの道具です。

 小型軽量のポケットテスターで,4000カウント,更新周期が3回/秒,導通チェックのレスポンスも大変よく,リードを交換出来ないこと,多機能ではないこと,電流を測定出来ないことを除けば,確かに便利そうです。

 製造は台湾のDER EEで,私は個人的にここが好きで,とても信頼しています。日本のメーカーにも多くOEM供給している,廉価なテスターの隠れた一流メーカーです。

 それでいて価格は1890円。この値段ならガシガシ使い潰せます。

 当の秋月は否定していますが,どうも某メーカーのベストセラーの同等品らしく,これがまた良く出来ていてプロの評判も良いのです。

 テスターはもうゴロゴロしていますし,今さらポケットテスターを買っても,人嫌いで引き籠もりの私が,テスターを家から持ち出すことなど死んでもないと思うのですが,それはそれ,そろそろ終息するということもあって,この機会に買ってみました。

 届いて真っ先に箱から取り出し,使ってみます。

 なるほど,使い心地はとてもよいです。ケースが今ひとつですが,本体そのものはとてもよく,スイッチの感触も表示の見やすさもレスポンスも良くて,使っていてストレスがありません。リードも思ったほど使いにくいものではなく,なるほどこれなら定番になるのも頷けます。

 続けて精度の確認です。うちでは,テスターに関しては精度の確認をして,信頼できるか出来ないかの目処を立てます。

 いつものように,基準電圧発生器を使います。製造元で製造時に測定された値は,

2.50165V
5.00302V
7.50454V
10.00533V

 です。

 以下は,DE-04で測定した結果です。

2.492V -9.65mV -0.385745408%
4.98V -23.02mV -0.460122086%
7.47V -34.54nV -0.460254726%
9.97V -35.33mV -0.353111791%

 当然のことですが,すべて仕様の範囲に十分入っています。それに,各レンジでの誤差に偏りがなく,すべて-0.4%前後です。このくらいの誤差で揃っていると,実用上はほぼ問題はなく,ごく普通の正常なテスタということになると思います。

 ただ,個人的にはですが,せっかくの4000カウントですし,もうちょっと頑張って欲しかったかなあと思います。同じような秋月の4000カウントでも,P-16というこれまた安いテスタでは,10V以外は0.1%未満の誤差,10Vでも0.15%という高精度でした。

 うーん,いいんですが・・・いいんですけど,すっきりしないです。


 

V15typeIVを手に入れる

  • 2019/03/27 13:43
  • カテゴリー:散財

 私が中学生の時のことですから,もう35年近く前の昔の話なのですが,音楽とオーディオに目覚めた私は,The BeatlesのLetItBeというアルバムを,とにかくいい音で聴きたいという強い衝動に駆られ,遠方に住む叔父に頼んで,カセットテープに録音してもらうことにしました。

 叔父は1970年代前半に大学生だった人で,オーディオとジャズがど真ん中の人でした。プレイヤーはDENONのDP-3000にV15typeIII,アンプはおそらくONKYOのINTEGRA725,チューナーはトリオのKT-5000,カセットデッキはTEACのA-350,スピーカーは自作でした。

 レコードはずらっとジャズばかり90cmのスチールラック2段にびっしりだったのですが,当時の私はジャズには全く興味がなかったので,豚に真珠でした。

 叔父が持っていたLetItBeは,日本で最初にリリースされた当時のもので,私にはまぶしくて直視できない宝物でした。

 で,そのLetItBeを録音してもらったわけですが,青版を安物のセラミックカートリッジで聴いていた私にとって,それは全く別物であり,自分がこれまで扱ってきたものとの「非連続性」に深い感動と悔しさを感じたのでした。

 静かなイントロのあと,ポールの声がまるで目の前にあるかのように,奥行きを伴って浮かんできます。この男声ボーカルの強烈な立体感は,これ以後私のV15シリーズにおける印象として刻まれ,V15かそれ以外かを分ける決定的な差となります。

 私がアナログレコードを評価するとき,この音が出るか出ないかで判断をすることになるわけですが,結果としてこのレコード以外ではV15でもダメですし,このレコードを使ってもV15以外ではダメで,つまりこの時の音に最も近づけるには,是非ともこのレコードを入手しなければならないわけです。

 私は叔父に頼み込み,このレコードだけ,譲ってもらえないかとお願いしました。叔父は物持ちのいい人だったので,心やすくとはいかなかったものの,最後には気持ちよく中学生の私に譲ってくれたのでした。

 このレコードは私の宝物の1つになっていて,1980年代に出たLP,2000年代に出たLPとは全く別次元の存在です。

 当時私にV15など買えませんから,安売りしていたオルトフォンのVMS30mk2で聴くわけですが,どうにもその立体感が出てきません。プレイヤーも徐々にアップグレードしていきますが,それでもやっぱり出てきません。

 ME97HEというこれまた安いカートリッジでもだめで,やっぱりV15を買うしかないのかと思い続けていたのですが,ようやく社会人になって念願のV15を買った時には,すでにV15typeVxMRになっていたのでした。

 腐ってもV15の名前を冠するフラグシップです。あの立体感が蘇り,やはりV15でないとだめなんだと納得しました。

 その後,DL-103やオーディオテクニカのカートリッジなども手に入れてみましたが,やはりこの立体感は得られません。今もってこの確信に揺らぎはありません。

 ただ,昨年,そのV15typeVxMRを落下で壊した際にいろいろ調べた結果,これが「なんちゃってV15」である事を知ります。V15の血統だと信じていたのに,実はラジオシャック向けの廉価版だったと知り,軽いめまいを覚えました。

 そういうバイアスがかかった状態でもう一度聴いてみますが,やはりあの立体感は健在です。ならばと新品で手に入れたM97XEで聴いてみますが,やはり立体感はなし。

 そこでスタイラスを入れ替えてみると,なんとまあ,この立体感はスタイラスについて回っていたのでした。

 もちろん,音質は微妙に違います。しかし最大の個性である,あの立体感はスタイラスが支配的だと思います。そんなことはない,スタイラスでそんなに変わるはずはないという人もいるでしょうが,何度聴いても結論は変わりません。

 この時,私は,カートリッジの音質差は,スタイラスチップの形状と,カンチレバーに支配されると結論したのです。

 ここに至って,V15typeVxMRはなんちゃってにもかかわらず,私にとってのリファレンスの座と,オーディオ趣味の原点にして目指すべき方向を示すものという地位をその実力で守り抜いたのでした。

 しかし,私の心にはなにか引っかかったものが残りました。そう,いくらV15typeVxMR(しかも本体はVSTIII)が私の知るV15の音であると確信していても,本物のV15の音はどんなものなんだろうという好奇心です。

 そこで,なんとなく某オークションを眺めては,V15の安いものを探すことが日課になりました。

 V15シリーズは今でも人気のあるシリーズです。昨今のアナログブームがさらに拍車をかけ,完動品が安く出てくる事は希になりました。以前,V15typeIVのジャンクに手を出し,片側断線のものを掴まされたことは今でも覚えています。

 そんなおり,こんな値段で落ちるはずもないかと思って突っ込んでおいたV15typeIVが偶然落札出来ました。針なしシェルありで7200円ほどですので,決して安くはありません。一応動作はしているとは書いてありましたが,仮にダメでも文句なしという条件です。

 手続きを終え,届くのを待っている間に,スタイラスを手配しなければなりません。実はV15typeIVには,typeIIIのスタイラスが使えるので,安価に出ているtypeIIIの新品のスタイラスも入手しておきました。輸入品で3000円ちょっとです。まあ,動作確認という意味でも,あまり高価なスタイラスは買えません。

 本体とスタイラスの両方で1万円ほどで,V15typeIVが手に入りました。揃ってから早速音出しをしますが,恐れていたコイルの断線はなさそうです。よかった。

 で,その音ですが,確かにV15の音の傾向ではあるのですが,あの立体感はとても薄いです。決して出ていないわけではなく,明らかにM97XEなどよりはずっとV15らしいのですが,それでもV15typeVxMRには及びませんし,私の記憶にあるV15typeIIIにも全く追いついていません。

 一応楕円針とのことですが,ルーペで確認すると接合針ですし,V15typeVxMRよりも随分大きいチップです。カンチレバーも当然アルミですし,とても太いです。

 調べてみると,この手の格安のスタイラスはオリジナルに備わっている機構が省略されていたりして,とりあえず音が出るレベルのものらしいです。そりゃそうです,この値段なのですから,オリジナルと同じはずがありません。

 ここでも結局,カートリッジの音はチップとカンチレバーで決まるという持論がより強まったという結果になったわけですが,あれこれ試してみると,V15typeIVに格安スタイラスも,そんなに悪くはないなあと思うようになってきました。

 V15typeVxMRに比べて,低音の張り出しはやや控えめになり,押しつけがましくありません。高音は自然に伸びるようになっていて,とてもバランスがいいのです。

 スタイラスの性能に寄るところが大きい歪みやスクラッチノイズは大きめではありますが,針圧を上げなくても大音量時に盛大に歪むこともなく,安定したトラッキングを見せてくれます。

 いいんじゃないか,これ。

 ちょっとガサガサ落ち着かないけど,解像感もそれなりにあるし,バランスも良くて聴き疲れしないし。

 ということで,数枚のレコードを一気に聴いた結果,このカートリッジはリファレンスにはなれなかったものの,常用カートリッジの椅子に座ることになったのでした。

 V15typeIVは,1980年代後半に出ていたV15シリーズで,ちょうどCDが普及してアナログはもうダメだと言われ始めた時期に,シュアのフラグシップを担った薄幸のカートリッジです。

 特に導電性のブラシで,ホコリと静電気を掻き取る仕組みには賛否両論があり,とりわけV15typeIIIが異常な人気を保っていた日本においては,過小評価されがちなカートリッジでした。

 中古市場でも不人気で安めの価格で手に入ったものですが,最近は値段が上がってきています。

 シュアは1990年代前半に,V15の最終進化形であるV15typeVとそのマイナーチェンジであるV15typeVMRを出し,実質的にV15の販売を終了します。このカートリッジは完成度も高く,日米問わず高い人気を誇っていますが,それがますますV15typeIVを地味な存在にしているように思います。

 そのV15typeIVですが,当時バイトをしていた日本橋で,よく行くオーディオショップのレジの下のガラスケースに,いつも鎮座していました。

 いいなあ,欲しいなあ,でも買えないなあ,とME97HEを買ってはみたものの,やっぱり全然違うとがっかりしているうちにV15typeVに入れ替わり,あの格好悪い,でも憧れたV15typeIVは買えなくなってしまったのでした。

 そして30年がたち,Made In USAのV15typeIVがやってきました。スタイラスさえオリジナルにすれば当時の夢が叶います。

 ただ,このオリジナルのスタイラスというのがなかなかくせ者らしく,V15typeIVのスタイラスは,ほぼ例外なくダンパーが硬化していて,まともな音が出ないのだそうです。

 そうなると,JICOなどの互換品を買うことになりますが,スタイラスの違いが支配的と確信する私にとっては一種の賭でしょうし,そのわりには随分と高価な出費になるので,今ひとつ前向きになれません。

 同じ理由で,ボロンを使ったカンチレバーを製造できない互換針メーカーが,V15typeVxMRのオリジナルのスタイラスに並ぶものを作る事は出来ないはずで,本体がVSTIIIである以上,V15typeVxMRがV15シリーズである唯一の拠り所であるオリジナルのスタイラスだけは,なんとしても壊さないように大事に使い続ける必要があります。

 実のところ,四六時中レコードをかけまくっている人でない限り,スタイラスが摩耗して交換が必要になることはほとんどありません。ですので,カートリッジはもう一生ものだと考えてよいわけですが,今回のV15typeIVも,この組み合わせのままずっと使い続けることになるだろうと思います。

 

Dyson V7 Motorheadが安かった

  • 2019/03/12 14:41
  • カテゴリー:散財

 故障と修理を何度も繰り返し,ここまで頑張ってくれた我が家の主力掃除機,ダイソンDC45ですが,とうとう一線から退くときが来ました。

 DC45などの旧シリーズは,ダストビンと本体との間にタービンブラシ用の電源を供給するための接点がありますが,長年の使用でここが接触不良を起こし,タービンブラシが止まってしまうと言う持病があります。

 うちも購入から2年を待たずこの現象に悩まされてきたのですが,ダストビンの割れを修理し,接点を強化することでここ数年は快適に掃除が出来ていました。

 もちろん,これまでにタービンブラシ駆動用のMOS-FETが焼損するとか,ダストビンが割れてしまうとか,ロングパイプが割れてしまうとか,そういう問題は頻発していて,その都度修理を重ねてきたのですが,幸いにして電池もモーターも元気で,このあたりが壊れてしまったら買い換えだなあと思っていました。

 ところが,先にダストビンの接点がおかしくなってしまったのです。

 今回も修理を修理をし,とりあえず問題なく使える程度には回復したのですが,これからも同じトラブルに悩まされるだろうし,その度に修理の手間がかかることを考えると,そろそろ買い換えてもいいんじゃないかと,常々思っていました。

 近所のスーパーでV6が25800円でぐらっときて,少し調べてみるとV7が28000円で売っています。買うか!

 いつもそうなのですが,壊れてからあわてて買い直すと,高い値段で買うことになりますし,。それ以前の問題として,高いのか安いのか,古いのか新しいのか,お得なのか損なのかが,勉強不足でさっぱりわからんということが起きてしまいます。

 ですので,壊れてしまう前に,納得出来る金額で買うことが理想的です。

 かくして,Dyson V7 Motorheadが届きました。注文当日に届くなんて,ヨドバシすごいです。価格は,ポイント込みで約28000円です。ただし,このV7は特価商材で,ミニモーターヘッドが付属していません。正直,使い道がないので私はその分安くなったことを歓迎しています。

 V7は2017年に発売になった比較的新しい機種で,V6-V8-V7という流れで登場した,中級機種です。最上位にはV10という全く新しい最新モデルがありますが,こなれているV7やV8には安定した魅力があります。

 V8は確かに完成形だとは思いますが,これを旧機種並みの性能に押さえて価格を下げたものがV7だと思えばいいと思います。とはいえ,基本性能は底上げされているので,旧機種並みというのは連続動作時間くらいのものです。

 そのV7ですが,DC45という古い機種との違いはもう歴然で,なんと言っても静か,そして吸引力も強くなっています。

 タービンブラシ(モーターヘッド)は大きくなって取り回しが良くないと思いきや,滑るように軽く動くので負担がとても軽いです。

 しかもDC45と比べてみても,圧倒的にホコリを集めてくれます。トリガースイッチが軽くなったこと,静かになったこと,排気が綺麗になったことは,ダイソンの掃除機がマニアックなものから一般的なものへと進化したことを示しています。

 やや残念なのは連続動作時間時間で,タービンブラシを使うと20分です。これは実はDC45と同じです。ですので,DC45の時に感じていた,あと5分使えたら,という希望は,おそらくV7でもかなわないでしょう。ここが進化しなかったことは残念です。

 戸惑ったのは,ゴミを捨てるときです。DC45ではダストビンの底が開くだけだったのですが,V7ではV8で採用された新機構が踏襲されています。ダストビンから本体がせり上がり,本体に絡みついたゴミをゴムのへらのようなものでそぎ落としてから,ダストビンの底が開くようになっています。

 これで,手を汚さずゴミを綺麗に捨てることが出来るようになりました。

 ついでにいうと,私はDC45のゴミ捨ての際に,ダストビンをゴンゴンと叩いてゴミを落としていたのです。実はこれが接点の接触不良の原因の1つだったと思っています。

 静かになってしまったので感覚的には頼りなさを感じるのですが,実際に掃除をしてみれが以前よりも強力に吸い込んでいます。確実に進化していることに,私は非常に好感を持ちました。

 ということで,DC45の導入により掃除機がコードレス化し,掃除の仕方が根本から変わった我が家は,V7の導入によってさらに掃除が楽なものになるだろうと思います。

 DC45の時にも買いましたが,そもそも掃除を20分以上かけて行うってのは,時間のかけ過ぎです。家中の掃除も20分以内に終わるくらいでないと疲れてしまいますし,億劫になってしまいます。20分くらいで家中が綺麗になるように,先に片付けをするとか,日によって掃除をしない部屋を設けるとか,そういう工夫をするのが掃除を快適にするコツだと思います。

 

加湿器を買い換えた

  • 2019/03/07 13:45
  • カテゴリー:散財

 amazonは毎日のようにタイムセールなるものを開催していて,昨日買ったものが届く前にそのまま安くなっていたりすることもしばしばあるわけですが,年に何度かあるタイムセール祭りには,幾度となく引っかかってしまいます。

 要するにamazonの思うつぼなわけですが,祭りの後に冷静に考えて見ると,amazonはタイムセール祭りによって,それまで弱点とされていた紋切り型の欠点を,うまく解決したという事に気が付きます。

 amazonのようなネット通販は,コンピュータを使った通信販売ですので,そのコンピュータが得意とする「検索」を使って買い物が出来る事が最大のメリットです。

 ですので,欲しいものが決まっている場合には,これほど便利な買い物はありません。

 裏返してみると,検索に引っかからないことは致命的であって,似たようなものとか,違うメーカーのものとか,あるいは少し待ってみるとか,そういう買い物が出来ないのです。

 自ずと,いかにして検索結果を表示するかが売る側の工夫になるわけですが,意味のある検索結果を提示し,そこから買ってもらう行動に繋げるために,在庫を持つ,価格を下げる,すぐに配達する,他の類似する商品を提案するという施策が強く進められてきました。

 いずれも買う側にはとてもありがたい進化であり,時間の経過と共に少なくない業者がふるい落とされてきたわけですが,勝ち組であるamazonやヨドバシ.comでも,リアル店舗の代わりにはなりません。

 リアル店舗は,特に買いたいものがなくても商品をブラブラ見て,急に欲しくなったり,欲しかったものを思い出させることで,購買に繋げる力があります。これも買い物をする側からするととても楽しいことなのですが,物欲を完全にゼロに出来ない我々にとって,漠然とした「こんなのあったらなあ」くらいの欲求が直ちに具現化することの高揚感は,リアル店舗でしか味わえないものです。

 ヨドバシはリアル店舗にも力を入れることで,その両方のニーズに対応しています。実際,ヨドバシの旗艦店に行くと,もうワンダーランドですよ。

 一方のmazonにはリアル店舗はなく,今から期待に応えるだけのお店を作る事は現実的に難しいでしょう。検索の結果からしか買ってもらえないamazonには,多くの小売店がいうところの,使い分けや棲み分けを受け入れるしかないのでしょうか。

 で,ふと思ったわけです。欲しいものが特になくても,ついついタイムセール祭りは,検索機能を使っていないなあと。

 そう,amazonが我々に広告するのは,タイムセール祭りをやりますよ,という事だけです。具体的な商品を提示し,そのリンクをメールで送りつけてくるわけではありません。

 そしてそのタイムセール祭りには,膨大な商品がラインナップされます。特に安くないもの,明らかにあやしいもの,すぐに売り切れて買えなくなるものなど様々ですが,ついつい順番に見てしまいます。

 具体的な商品名も頭にない,価格についてもそれが最安値かどうかはわからない,そもそも特に欲しいものがあるわけではありません。

 全く買う気がないお客さんはタイムセール祭りなど見ようとも思わないでしょうが,少しでも買おうと思うお客さんはタイムセール祭りを見ようとするでしょう,そしてタイムセール祭りをブラブラとみて歩いた結果,それが楽しいと思えばもうしめたもので,次のタイムセール祭りには告知だけで足を運んでくれるはずです。

 つまり,タイムセール祭りは,amazonにおける,リアル店舗なのです。

 私は買い物が好きな人で,リアル店舗をブラブラ見るのも好きですが,反面出かけるのも億劫で,意を決して出かけてもリアル店舗の勢いが年々落ちている現状にがっかりして帰ってくることもしばしばです。

 そこへamazonのタイムセール祭りです。知らないうちに懐に入り込み,ふと気が付くとリアル店舗での買い物と同じスイッチを押しまくられているというのは,amazonには本当に頭のいい人がいるんだろうなあと思いました・・・

 尚樹が長くなりましたが,どっちかというとここまでが本題に近く,ここから先はタイムセール祭りで買った商品のレビューです。

 いろいろ塞ぎ込んでいた時期ということもあり,買い物をあまりしなくなっていた時期だったので,タイムセール祭りで弱い部分を刺激された私は,ついつい余計なものをなんだかんだと理屈をこねくり回して,カートに入れてポチっていました。

・KC-G50-W

 シャープの加湿器です。型落ち品ということもあって,14480円でした。ここから3%だか6%だかのポイントも戻ってくるそうなので,実質的にはもう少し安く買えたことになると思います。

 で,今さら加湿器ということなのですが,私は2012年の1月に,パナソニックの加湿器を購入しています。室内の空気の乾燥に辟易しており,ちょうど子供が生まれた時ということもあって買いました。当時は高価だったとぼやいていますが,それでも16000円ほどでした。

 この加湿器,使ってみるととても快適で,空気に潤いを与えることの大事さを思い知ったわけですが,なにぶん水を使うものですので不衛生になりがちで,手入れも面倒なら初期性能の維持も難しいと,なかなか手のかかるものでもありました。

 10年は大丈夫というフィルタも機能しなくなり交換しましたが,それも3年もするとダメになりますので,近頃は加湿性能をあまり実感しないようになっていました。

 そろそろ買い換え時かなあと思っていた矢先に,評判の良いシャープのプラズマクラスター加湿器がタイムセールで登場です。型落ちですが現行機種との違いはほとんどなく,お買い得とふんでポチりました。

 加湿もそうなのですが,この商品は空気清浄機とも銘打っています。ホコリ,花粉,臭いなどを取り除く機能も充実しているので,私は加湿器を通年使用することを思いついたのです。

 これまでの加湿器は,加湿しかできないものでしたから,夏場には邪魔になるだけですから,片付けていました。しかし,この商品では加湿も空気清浄と同じレベルの機能という扱いなので,夏場も使えると考えたのです。

 ただ,これをいちいち切り替えていたりするのは面倒ですし,水の入ったものを何ヶ月もそのままにするのも気持ちが悪いです。シャープはこのへんちゃんと考えていて,手動であれこれ操作するスイッチは残しつつも,各種センサーによって勝手に動作する「おまかせボタン」を用意しました。

 このおまかせボタンですが,どうせあてにはならんだろうと思っていた(機能がいい加減というのではなく,ユーザーによって好みが違うだろうという意味でです)ところ,実にあてになる機能であることがわかり,うちはずっとおまかせで運転しています。

 従来の加湿器だと,タイマーがついていたのですが,この商品ではそれすらもありません。必要なタイミングで必要な機能がきちんと動作することになっているので,ユーザーが明確に「必要ない」という意思表示をしない限り,動き続けるのです。(余程の自信があるんですね)

 衛生面については,やっぱり水を使いますので最終的には汚くなるでしょうし,お手入れも頻繁に必要になると思いますが,気化フィルタを水面から引き上げる機構が入っていることは評価できます。

 高濃度のプラズマクラスターを実感することはないのですが,センサー類は的確に動作しているようで,空気の汚れを見逃しません。活性炭とHEPAフィルタで臭いとホコリを取り除き,湿気を与えることで,気持ちのいい空気を維持しようと頑張ってくれます。

 それを,いちいち人間が見張っていなくても,放置すればかなりの確度でやっておいてくれます。もう機械に任せてもいいかもしれないです。

 とはいえ,欠点はいくつかあります。まず水タンクの容量が小さく,給水の頻度が高いという事です。しかもそのタンクが外しにくく,取り付けにくいうえ,外装の一部がタンクに張り付けられているので,無駄にかさばるのです。

 タンクの背が高いことで,蛇口を吸水口にそのまま入れる事も出来ず,とても面倒です。いちいち別の器に水を入れてから,タンクに水を入れるなんてことをするしかない人も多いと思います。

 そのあたり,パナソニックの加湿器は良く出来ていて,タンクの大きさも2倍近く,しかも背の高さが絶妙で,蛇口から直接給水できました。

 本体が大きいこともちょっと問題です。背が高いこともあって,その存在感はとても大きく,部屋が狭くなった感じがします。しかも重たいので,まさかのキャスター付きです。

 また,おまかせボタンはとても便利ではあるのですが,その結果選ばれる運転モードの音がうるさく,それが理由で手動モードへの切り替えが必要になってしまうくらいです。

 ということで,もともとダメになりつつあった加湿器との比較をしても意味がないように思いますが,さすがに新しい加湿器は加湿能力も高く,空気を綺麗にする力も強くて,もう手放せなくなりました。型落ちではありましたが,よい商品だと思います。

 さて,何年持つ事やら・・・

 

HP-12C Platinumを買った

 DM15LとDM16の入手,そしてHP-15CLEの再評価と,HPの電卓漬けになっている昨今ですが,特にDM16でlogの計算をさせるプログラムをいろいろ検討する過程で,随分手に馴染んできたような実感が出てきました。

 通常の四則演算は普通の電卓の入力(ALG)に慣れているが現実ですが,関数については国産の関数電卓がどうにも馴染めず,ずっとポケコンで来ていますから,RPNでスイスイ使えるようになってしまうと,もうこれ以外の電卓は使えそうにありません。

 で,実際に使い込んでみると,世の中の主流をしめる縦長の電卓よりは,横長の電卓の方が私は使いやすく,思えばポケコンも横長だから使いやすいと思って使っているのかも知れないと思うくらい,もうそれだけが理由で電卓の置き換えを考えてしまっています。

 その点で言えば,同じHPのRPN電卓であるHP35sも今ひとつな感じですし,HP30bを改造したWP34Sもやっぱり今ひとつです。やっぱりHP-10Cシリーズなんでしょうね。

 で,HP-15CLEは動態保存機。DM15Lは自宅用,DM16は職場で使うという配備を考えたのですが,DM16はカードサイズでキーも押しにくいシートキーです。ちょっとした計算には,手が伸びにくい計算機である事がわかってきてしまい,あらためてオリジナルのサイズ感やキーの押し心地が大事であると再認識しました。

 でも,DM15Lをもう1つ買うのはもったいないです。HP-15CLEを買うことはもはや普通は出来ませんし,どうしたものかと考えていると,そう,HP-12Cが現行機種である事を思い出しました。

 HP-12Cは金融電卓と言われていて,主にアメリカの金融関係者が使う「便利グッズ」です。登場から30年以上経過してなお,このジャンルの標準として重宝されているそうです。きけば,金融関係のテストでも,持ち込みが許可されているとか。

 オリジナルは他のHP-10Cシリーズとハードウェアを共通にするのですが,他のモデルがディスコンになってからは,ちょっとずつ改良が進んでいて,記念モデルも含めると様々なバリエーションが存在します。

 金融電卓ですので,関数は最小限に絞り込まれていて,やっぱりsinやcosはありません。でも,y^xはあるし,expやlog,lnもあるので,随分助かります。

 それに,統計計算があるのはうれしいです。しかもHP-15Cのそれより強力で,加重平均や2パラメータの推定や相関関数を求めると言った機能が追加されています。
加重平均はありがたいです。HP-15Cでもプログラムを組んであるくらいですし。

 一方で,プログラムは申し訳程度といっていいくらい窮屈で,サブルーチンは使えずジャンプはGTOのみ,そもそも複数のプログラムを入れておくことは想定されておらず,あらかじめGTO命令で実行する行を設定しておもむろにRUNするしかありません。

 ジャンプ先はラベルが使えず,行番号による指定です。ですから,プログラムを修正して行が変わると,ジャンプ先もすべて変更する必要があります。

 プログラムの低機能さは編集にも現れていて,行の削除と挿入が出来ません。なんとまあ,プログラムメモリすべてがGTO 000で埋め尽くされていて,ユーザーがプログラムするというのはつまり,その行を別の命令で上書きするということです。

 うーん。

 なんか,ハンドアセンブルをやってた時代を思い出しましたよ。アセンブラでもラベルは使えましたからね,これは厳しい(でも楽しい)。

 初代HP-12Cは,これに加えて最大99行までという制限まで付いて,まさにプログラミングはおまけ機能のようなものだったのですが,後継機種では400行まで拡張されました。されましたが,ほかの制限は改善されておらず,ラベルもサブルーチンも使えず400行もプログラム出来るかよ,と私などは突っ込んでしまいます。

 お値段は一頃安かったそうなのですが,今は若干高めです。正規代理店が日本国内にはないということもあり,ますます入手が難しくなっている中,amazonで並行輸入品を入手出来るのが救いだったりします。

 HP-12Cはいろいろなバリエーションがあり,amazonで買うと値段もまちまちなので混乱しますが,私の場合特にこだわりがあるわけではないので,最も安いものを6900円で買うことにしました。HP-12C Platinumという機種です。写真を見ると,キーの所まで銀色で,hpのロゴも10年ほど前に使われていたものです。

 ん?この機種は随分古くて,今はもう売ってないんじゃ?

 新品ならいいかと,ポチって届いたものを確認すると,やはり2005年に発売された,HP-12C Platinumの2世代目(F2232A)でした。

 もともと,HP-12C PlatinumはHP-12Cのデラックス版として2003年に登場していて,ノーマルのHP-12Cよりも高速で多機能なモデルと位置づけられていたそうですが,そのノーマルのHP-12Cも1990年代半ばにはCR2032で動くようになり,2008年にはARMコアになったことで,Platinumよりも高速なってしまったそうです。

 その後,記念モデルやなんやでややこしいことになりましたが,レジスタの数やキーのアサインなどの機能的な違いはノーマルとPlatinumの2者間だけだと思っていけば良く,逆に言うと買うときにはこの2つの違いについて知っておくと失敗しないということになると思います。
 
 そういえば,2000年頃と言えば,惜しまれながらHP200LXが消え,WindowsCE機であるJornada720なんかが出ていた時期でした。私はJornada720をしばらく使っていたことがあるのですが,そういえばなんとなく質感が似ています。

 HP-15CLEがいろいろと残念なモデルだったことはよく知られていますが,個人的にはキーのグラグラが許せなく,触っているとモチベーションが下がっていくのがわかるわけですが,私が買ったHP-12C Platinumについては心配無用で,心地よいクリックのある,しっかりしたキーを持っています。

 私はHP35sもキーが気に入らないことも理由の1つとして,あまり使おうという気が起きないのですが,このキーの感触なら常用できます。

 CPUはARMではなく6502ベースのもので,なんとCR2032が1つだけ使われているモデルです。電池交換時にはメモリが消えるんじゃないかと思うのですが,素早くやれば大丈夫かも知れません。今度試してみましょう。

 金融計算は,私は幸か不幸か日常的に行う状況にありませんし,そんなに興味のある分野でもないので,まあそんなもんかで済ませるとして,統計計算は便利ですよね,やっぱり。

 それに,DM16であれだけ苦労したy^xも一発で,三乗根がぱっと出てくるところに感激してしまいましました。
 
 さて,ここまでくると,やっぱり常用機にしたいですよね。

 常用機には,dBの計算ができないといけません。そのために常用対数が必要ですが,あいにくHP-12Cにはありません。そこでプログラムです。

 HP-15CLEやDM15Lと同じように,抵抗の並列接続や電力の計算も入れておくとより実用性が高まりますが,HP-12Cでは複数のプログラムを使い分けることが難しくなっているので,実際の操作方法まで同じに出来ないのが厳しいところです。

 というわけで,HP-12Cで電力のdB,電圧のdB,抵抗の並列接続,電力の計算,そして常用対数を求めるプログラムを作ってみました。

 なにせGSBが使えませんので,まずGTOでそれぞれの先頭の行番号を設定してからR/Sキーを押すことになります。起動方法が他と異なるのはすごく面倒なのですが,仕方がありません。

 ただ,機能ごとに開始行の番号を覚えられるはずもないし,修正すれば行番号が変わってしまうことも考えて,プログラムの先頭にジャンプデーブルを設けることにしました。これ,マシン語のプログラムを作るときにはよくやった方法ですね。

 ですので,GTOで001を設定すれば10*log(x)を,002なら20*log(x),003なら電力,004なら抵抗の並列接続,005ならlog(x)にジャンプするようになっています。そして006行目から010行目までは予備としてあけてあり,今後プログラムを追加しても大丈夫なようになっています。これも昔よくやった方法ですね。

 厄介だったのは,20*log(x)のプログラムから,log(x)をコール出来ないことでした。サブルーチンがあればRTNで元のプログラムに戻ることが出来るのですが,GTOしかないので決まった行にしか跳べません。

 そうすると,別のプログラムから呼び出すときに,元のプログラムに戻ってくれなくなります。なので,残念な事にせっかくのlog(x)はそれぞれのプログラムごとに,埋め込む事になってしまいました。

 ああ,なんだか,大昔のコンピュータを使っている気分です。

 プログラムの呼び出しも面倒ですし,常用出来るかどうかも疑問ではありますが,前述のように統計計算は強力ですし,実はパーセントに関係する計算も強力で,普段使いには便利です。

 こうした,金融計算と科学技術計算,コンピュータ科学用の計算を1つに統合したのがWP34Sだったりしますが,これが使いやすいかと言えばそんなこともありませんし,機能ごとに機種が分かれているのも悪くないと思います。

 HP-12Cは職場で使う事にしましょう。現行機種ですから,壊しても大丈夫です。

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