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2013年07月の記事は以下のとおりです。

シグマの35mm F1.4 DG HSMを買いました

  • 2013/07/16 16:54
  • カテゴリー:散財

 ここ数ヶ月で欲しいものリストに入っていたものを順次購入しているのですが,その締めくくりとして,シグマの35mm F1.4 DG HSMをようやく買うに至りました。

 昨年秋に出たこのレンズですが,純正の定番であり,高級で高価で,このレンズをわざわざ選ぶのはこのレンズが必要な人だけ,という広角大口径レンズである35mmF1.4で純正に真っ向勝負に挑んだシグマの気合いは凄まじく,数値は各社の純正を凌駕し,その写りもさすがに純正にケンカを売っただけのことはある,まったくもって素晴らしいものです。

 それでいてレンズメーカーの本分を忘れず,純正の同クラスのレンズに比べて2/3ほどの価格ですし,コンパクトで,複数のマウント向けに発売されています。

 個人的には,シグマは安かろう悪かろうでしたし,はっきりいえば嫌いなメーカーでした。ズームやフォーカスの回転方向はニコン/ペンタックスと逆ですし,デザインも嫌い,安いだけで特に特徴もなく,製品の当たり外れ,ばらつきも大きくて,どうもぱっとしないメーカーでした。

 しかし,ここ数年のシグマは凄いです。ユーザーのわがままに耳を傾け,個性的な商品をラインナップするかと思えば,定番レンズで純正に勝負を挑み,大型センサを搭載したコンパクトデジカメを作ったかと思えば,どう考えても勝ち負けは二の次としか思えない一眼レフをしぶとくやめずに続けていて,しかもセンサーのメーカーまで買収してしまうのを見ると,どこにそんな体力があるんだろうと心配になるくらいです。しかも日本製ですしね。

 ここまでひたむきなメーカーを見ると,もはやかつての印象で語ることは誤りです。その製品で語らねばなりません。

 私が手に入れたDP1sも,非常に個性的なデジカメですが,結局カメラとしての完成度はさっぱりで,今は全く使っていません。なんでこれが評判になるのか,なんでこれが支持されるのか,ちょっと考えただけではわかりません。

 けど,使って見ればわかるんですね,シグマがこのカメラにどういう個性を与えようとしたのか。コンセプトという言葉で表現してもいいでしょうし,意地と言ってもよいでしょうが,いずれにせよ,こうしたものが指示されるような商品というのは,人々の記憶に残るものです。

 私も,シグマに対する印象がこの数年で変わって来ました。ユーザーに対するメッセージは,直接間接を問わず,非常にまっすぐ届きます。こんなメーカーは今どきないと思います。

 そして,今回の35mmF1.4です。

 35mmでF1.4という大口径レンズは,明るいというメリット以上に,描写が甘くて結局開放では使えないと言う現実が立ちふさがって,純正の定番ではありますが,積極的に選ばれるレンズではなかったように思います。

 そこに,新コンセプトのArtシリーズ第一弾として,なぜこれをラインナップするのか。シグマは思い入れを込めたと言いますが,口で言うのは簡単です。本当にユーザーにその思いが届くのかどうか。

 好都合なことに,私が気に入って常用する焦点距離が最近35mmになっていて,この焦点距離で大口径なものを欲しいと思っていたところでしたので,ここはシグマに1票をいれてみようと思っていたのです。

 ずっと9万円近い値段で推移していたのですが,なぜかここ1週間ほどで8万円くらいになってきました。今はまた9万円近い値段に戻っているようですが,私は8万円になったら買おうと思っていましたので,迷わないで買うことが出来ました。


 まだ撮影画像をご紹介出来ないのですが,ファーストインプレッションです。

(1)大きさ,重さ,質感

 鏡筒はプラスチックですので,質感は期待していませんでしたが,塗装も素材も素晴らしく,とても手に馴染みます。フォーカスリングもしっとり回り,とても高級感があります。

 重さはこのクラスのレンズとしては軽いと言え,大きさもコンパクトです。フード無しなら十分振り回せます。

 デザインもよいです。純正ならデザインコンセプトがあって,これに従えばとりあえず批判されることはないでしょうが,レンズメーカーは複数のメーカーのカメラに取り付けられるものをデザインせねばならず,とても厳しい制約を課せられているといえます。

 ですが,このレンズのデザインはいいです。シグマのレンズには見た目にがっかりさせられることが多いのですが,これはよく出来ています。


(2)素晴らしい写り

 写りは素晴らしいです。開放からびしっと決まる高い解像度,そこからなだらかにぼけていく滑らかさに,ぼけた部分の馴染みの良さ。色もコントラストも申し分なく,ここまでくると性能云々ではなく,個性として拍手したい素晴らしさです。

 開放から積極的に使えるレンズは,もちろん絞ってもまた素晴らしいわけで,F1.4での切れ味を見た後,開放でこれだけ写るのに絞り込んだらどうなるんだろうと,ドキドキしながら絞ってみます。

 すると,青天井で良くなる感覚です。え,まだ切れ味が増すのか?え,まだ収差が改善されるのかと,これ以上はもういいよ,と思う所からさらに画質が上がる限界のなさに,ちょっと怖くなるくらいです。


(3)AFについて

 AFは超音波モーターで駆動されますが,一部に「速くない」という声もありました。しかし私はそうは感じません。十分速いです。D800でAF-Cを使った時に食いつきの良さは見事であり,D800が持つ動く被写体への追従性を,レンズがスポイルしていません。

 静かで滑らかで迷わないAFは,さすが最新レンズだなと思います。


(3)良くない点

 とはいえ,良いことばかりではありません。そこはF1.4という大口径レンズですから,弱点もあります。

 1つは,周辺光量の低下が強烈です。F2.8くらいまで絞れば気にならなくなりますが,開放で使うと,そもそも露出不足ではないかと思うほど,周辺の光量が落ちて真ん中だけが適正露出な状態です。

 シャープな被写体が中央にいて,少し外れるとどどーっとぼけて,そして被写体の周りは真っ暗という感じの写真は,とてもドラマチックなのですが,暗い割には被写体の生々しさにギャップを感じ,なんだか気持ちが悪いです。

 そして,開放ではパープルフリンジが結構出ます。大口径レンズなら出て当然ですし,他のレンズならもっと派手に出ると思いますが,解像度が高いだけに目立ちます。

 この2つの弱点は,現像ソフトが対策をしてくれます。Lightroomを使う私にとっては,それほど弱点とは言えないのですが,周辺光量の補正を入れると,途端に嘘っぽくなってしまうので痛し痒しです。

 レンズの補正を入れると歪曲収差も補正されますが,その補正は少しです。これだけ素性が良いというのは,大したものだと思います。

 パープルフリンジは,絞ればほぼなくなります。開放でもLightroomで補正できるので,あまり気にしなくても良いかもしれないです。むしろ,開放で使えることでISO感度を上げてノイズを劇的に減らせることや,シャッター速度を上げてブレを防ぐ事の方がメリットな場合もあり,つまるところ大事な事は,実用に耐えうる選択肢が増えたことなんだと思います。


(4)まとめ

 このレンズは,私にとって我慢して使うレンズではありません。ある条件でしか力を発揮しないレンズでもありません。素直に被写体に向けて,見たままを撮影するレンズです。

 その性能はこちらの想像を超え,明るさとのトレードオフは実質的に考えなくてもよいくらいです。なにかを犠牲にすることを考えなくてもよいことが,これほど快適なことなのかと,改めて思います。そうです,高い性能は,すごい写真を撮るためにあるだけではなく,見たままをストレス無しに撮影する為にも,あるのです。

 このレンズは,このことを改めて意識させてくれました。8万円が高いか安いかは難しいですし,他の人におすすめ出来るものではないと思いますが,1段絞ったF2あたりで,ため息の出る写りが楽しめます。これは,ほかのレンズでは味わえないんじゃないかと思います。

 手放せない1本になることは,間違いないでしょう。

MacBookProにSSDをのせる

  • 2013/07/08 16:17
  • カテゴリー:散財

 1週間前の話になりますが,未だにうちのワークステーションであるMacBookPro(Early2008)を,SSDに換装しました。

 ScanSnapで自炊をするときも,D800の画像をLightroomでいじるときも,H.264AVCへのエンコードも,VirtualBoxでWindowsを起動するときも,このマシンが活躍します。ネットへのアクセスと言うより,データが生み出されるマシンです。

 メモリはトータル6GBと少なく,2.5GHzのCore2DuoというCPUスペックよりも厳しいわけですが,おかげでスワップが連発し,20秒ほどレインボーサークルが回りっぱなしということが頻発するようになりました。

 これはさすがに快適とは言いがたく,マシンの買い換えも視野に入れて少し考えてみました。

 すると,最近はSSDが安くなっているんですね。256GBのSSDなんか10万円もしていた時代を知る人としては,15000円ほどで買えることを知った時,なにかの間違いかと思ったほどです。こういうPCパーツの世界に,すっかり疎くなってしまいました。

 amazonで,サンディスクの256GB(UltraPlus)が16000円でした。よく分かりませんが,高速,安い,信頼性抜群,という言葉を信じ,あまり調べもせずこれを買ってMacBookProを快適にしようと目論んで,ぽちりました。

 後日知ったのですが,アキバではサムスンのSSDがわけのわからんサーファーのマネキンが出動すると,もっと安く買えたんですね。16000円は決して安いものではなく,またサンディスク製とは言え,そんなに高級なものでもなければ,市場の評価が高いものでもないということも,わかりました。

 そんなこんなで届いたSSDですが,随分軽いんですね。これをさっさと使えるようにし,「速さは力」とつぶやきたいところです。

 ところが,思いの外手こずりました。

 まず,MacBookProをバックアップです。USBで繋いだHDDにTimeMachineでバックアップです。これをSSDに書き戻すというのが基本的な作戦です。これは前日までに済ませてあったので,まあよいです。

 次にMacBookProを分解です。嫁さんが子供を寝かしつけている間に急いで作業をしたのですが,これが失敗でした。いつもなら慎重にばらしかたを調べて始めるんですが,今回は横着をしました。

 ビスを外しますが,外し忘れたのが1つ,すべて外した後も爪の位置が分からず,無理にこじあけて,上ケースのネジの部分を壊してしまいました。

 まあ,いいや・・・

 HDDを取り外し,SSDに交換します。これはそんなに大変ではありません。上ケースの壊れた部分をエポキシ系の接着剤で補修してから組み付けるのですが,どうも余計なところに接着剤がついたようで,ちゃんと閉まりません。削っているうちに補修箇所が取れてしまいました。

 まあ,いいや・・・

 ビスを締めてバックアップから書き戻す作業に入ります。しかしここでもはまってしまいました。

 HDDを外してSSDにしましたので,インストール用にOSXを立ち上げることは出来ません。DVDから立ち上げると10.6まで遡ることになります。そこで,10.7で作ったDVDから起動しますが,長い時間がかかったあげくに,正しく起動しません。

 仕方がないのでMacBookAirに付属のUSB目盛りからブートしますが,これも失敗。キーボードがききません。

 仕方がないので,10.6のDVDから時間をかけて起動します。DVDを読み込まなくなったりといろいろくだらないトラブルがありましたが,なんとか起動します。そしてTimeMachineからのバックアップを書き戻します。

 ところが,容量不足で書き戻せないと言われます。そんなことあるかいな,データを削除し180GBくらいの容量になるよう,調整してバックアップしたはずです。

 ここで万策尽きました。もう一度分解し,HDDに戻します。

 そして起動し,最新の10.8をダウンロードし直します。(保存していませんでした)

 SSDをUSBで繋いでディスクユーティリティでフォーマット。ダウンロードが終わった10.8のインストーラを起動して,10.8をSSDにインストールします。

 終わったらSSDを本体に戻し,再起動。移行アシスタントが起動しますので,TimeMachineのバックアップを書き戻します。

 どういうわけだか,今度は書き戻しが出来ました。再起動をかけると,ちゃんと環境も戻っています。さらに容量も大幅に減っており,残りが100GB以上余っています。

 面倒なので,これでよいことにします。

 今度こそとMacBookProを閉じて,再起動です。

  ここから,TRIMコマンドへの対応を行います。

 MacOSXは,SSDのTRIMコマンドに対応しているのですが,あくまでそれはApple純正のSSDでの話。他のメーカーの非純正SSDでは,TRIMコマンドに対応したSSDを繋いでも,イネーブルにはなりません。

 そこで,TRIM Enablerなるアプリを使って,TRIMコマンドをイネーブルにします。駄目な場合もあるということでしたが,私の場合あっさり出来てしまい,これでMacBookProのSSD換装は終了したのでした。

 起動はもともと遅くはなかったのですが,SSDにするとさらに早くなっています。Safariの起動もすぐですし,ATOKもすぐにロードされるので,待ち時間は減ったと思います。しかし,MaBookAirの快適性にはほど遠いものがあります。

 Lightroom5も早く起動しますし,PhotoshopCS5も高速です。全体にキビキビ動くのは結構なのですが,期待した程の改善はありません。やっぱりEarly2008では時代遅れか・・・

 ただ,発熱と騒音は減りました。左手のパームレストあたりが冷たくなっているのは大変ありがたいです。

 SSDの性能を出し切れないようで,ちょっと残念ですが,16000円の投資としてはまあこんなものかも知れません。とはいえ,レインボーサークルが回ることは劇的に減りましたので,やっと普通に使えるようになった,という感じです。

 衝撃や熱に強いことは安心材料ですが,もうちょっとわかりやすい高速性があるといいなあと思いました。

 容量は256GBと限られていますので,上手に使って延命して,いずれやってくる本体の買い換えに備えたいと思います。

Kindle Fire HDが3000円も安いので買ってしまった

  • 2013/07/05 14:05
  • カテゴリー:散財

 円安が常態化した昨今,食料品などの値上がりが続いているわけですが,家電品などはボーナスシーズンと言うこともあり,むしろ値下がりが進んでいるものもチラホラです。

 ボーナス直後の「なんとなくお金があるような気がする」という気分に,「円安の中で値下げとは殊勝な心がけじゃ」という勝手な印象が背中を押し,私もついつい無駄遣いをしてしまいます。

 今回の無駄遣いは,Kindle Fire HD 16GBです。

 明らかに輸入品で,円安が多少なりとも影響している製品でありながら,もともと安かったタブレットであるKidle Fireが3000円引きになっています。

 もともと原価割れの商品ですし,そもそもKindle Fireがamazonの個人専用レジであり,低価格でばらまくことで個人の懐に入り込むことを狙った商品であるわけですから,3000円引きなど驚くに当たりません。極論すれば,こんなものただで配るべきものという暴論も,割に分なり入ってきます。

 とはいえ「とりあえずもらっとくか」という,amazonにとってやる気のない客を除去するためにも,1万円を割った価格に調整を図ったことは,正しい事だったのでしょう。ユーザーとしても,無償で配られたものには文句も言えませんから,破格値で販売してくれる方が,よりありがたいんじゃないかと思います。

 ということで,Kindle FireはAndroidベースのタブレットではありますが,Google playへのアクセスが可能な要件を満たしていない「カスタマイズされた」Androidで動くタブレットです。

 Google playにアクセス出来ない代わりに,amazonのアプリストアへのアクセスは可能です。ただ,Goole playほどアプリが揃っているわけはなく,この点での不自由さを許容できないと,いくら安くても後でがっかりすることでしょう。

 回避の方法は2つあります。1つはroot化。もう1つはapkファイルで直接インストールする方法です。私の場合,もうHackすることそのものを目的と喜びするような歳でもありませんので,ここは簡単にapkファイルのインストールを行うことにしました。

 そこまで決めたら,あとは機種選定です。なかなか微妙なラインナップに価格設定です。一番安いKindle Fireでも十分のような気がしますが,ストレージとは違って画面の解像度は工夫でしのげるものではありません。ここは迷うことなくKindle Fire HDの16GBを買うことにします。値引き後の価格は12800円です。

 これなら,怪しげな中華padを買うよりもずっといいと思います。

 amazonでkindleを買うと,既にアカウントの設定済みで届きます。ネットに繋げばすぐに同期し,購入したコンテンツなどが楽しめるようになっていますが,このあたりはamazonらしいと思いますが,プレゼント用に買った場合など,うっかりすると自分のアカウント登録済みで他の人に渡ってしまいますので,最大級のセキュリティホールと言えなくもありません。

 さて,短時間ですが使って見ました。

(1)やったこと

 root化は若さの特権だと思う年寄りの私ですが,かといってamazonのいいなりに甘んじるほど老いぼれてはいません。まずは手持ちのIDEOSとNW-Z1000を使い,よく使うアプリのバックアップをESファイルエクスプローラーで作成し,出来たapkファイルをNASに置きます。

 Kindle Fire HDにもESファイルエクスプローラーをインストールしますが,これはamazonのアプリストアにありますので簡単にできます。

 そしてNASにあるapkから,インストールです。

 こうして,よく使うアプリを入れて見ました。MX動画プレイヤーは1440x1920のHD動画をTSのまま問題なく再生しますし,andLessはNASにあるFLACをDLNAでちゃんと再生できます。

 DRA-N5のコントローラアプリも問題なく動作しますし,YouTubeも一応動作します。

 メールは標準のものをそのまま(不満はありますが)使う事にしました。Twitterは公式アプリをインストール,ブラウザはさすがにChromeに変えました。


(2)感じた事

 今となっては大したスペックでもないKindle Fire HDですが,どっこい普通に使うには全く不満はありません。レスポンスもよいし,無線LANも高速で快適です。(さすが802.11nのMIMOです)

 アプリもよく使うものは一通りいれましたので,不自由はしていません。ただし,Googleのアカウント認証が必要なアプリ,例えばマップとかブックマークのインポートはインストールできても動かないか,動いても不完全で使い物になりません。

 ただ,地図アプリはYahooのものを使えばいいし(個人的にはこちらの方が見やすい),ブックマークなどは別にどうでもいいです。

 最近思うのですが,アプリをとっかえひっかえするのは最初のうちだけです。いわば評価期間なわけで,落ち着くとそれはその機種の機能として使うようになりますので,アップデートも必要がなければしないし,他のアプリに変えてみようという気も起きないものです。

 ですので,Google playにアクセス出来なくても,今ちゃんと動くアプリがインストール出来れば,もうそれでよいと割り切りました。でも,このKindle Fireのように,Google playにアクセス出来ない機種が初Androidだったら,ちょっと厳しいかもしれないですね。インストールする手段云々の前に,どのアプリが良いかわからないのは,ちょっと辛いでしょう。


(3)質感と使い勝手

 質感はよいです。背面のラバー風味塗装は手に馴染みます。Kindle Paperwhiteと同じです。大きさも手頃で悪くないのですが,7インチタブレット全般に言えることとして,もっと額縁を小さくして欲しいなと思います。

 持った印象は,私の場合どうしてもKindle Paperwhiteに慣れているので,厚みと重さに違和感を感じます。特に重たさは悪印象です。

 そうそう,ボタン類はひどいですね。電源ボタンは上側の枠にあるのですが,真ん中よりちょっと左にあるのでわかりにくく,また正面からは見えない位置にあるので手探りで探す必要があります。

 手探りで探す必要があるのに,これがまたサインがないので,慣れていないと見つけられません。上下逆に持ってしまったかなとひっくり返して探すのですが見つからず,何度も本体をグルグル回す羽目になります。きーっ。

 もう少し大きくして欲しいことと,左か右かにオフセットして欲しいです。せめて突起をつけてもらわないと,本当に暗闇だとわかりません。

 音量ボタンは,場所こそ分かるのですが,+と-が逆ですよね,これ。

 Androidは,画面上では,右にスライドすれば音量+,左なら音量-です。

 とても自然ですが,右のボタンを押すと音量が下がって画面上のツマミが左に動くというのは,これはさすがにいかんでしょう。誰かが気付くべきだったんじゃないかと思います。

 コネクタ類もいまいちです。MicroUSBとMicroHDMIが並んでいますが,どちらも小さくて一瞬見間違います。慣れてしまえばなんてことはないですが,慣れていない人は「どっちに挿すと充電できるのよ」とイライラするんじゃないでしょうか。

 例えばですね,USBは下側,HDMIは右側という風に,別の場所に配置してくれればもっと使いやすくなるように思います。

 画面は綺麗です。IPS液晶は視野角も広く,200dpiを越える解像度に不満はありません。これだけの画素数を駆動するシステムを低消費電力で構築するというのは,冷静に考えるとなかなか大変なことです。

 特筆すべきは音質でしょうか。決して良いとは言えませんが,この筐体から音が出ているのか,と思うほどしっかりした音が出ています。iPad2ではよく分からなかったベースが,Kindle Fire HDではちゃんと聞き取れます。

 それに,DOLBY Digital plusの効果でしょうか,ステレオ感も抜群です。

 消費電力は思った以上に低いです。Androidといえばあっという間に電池が切れるという印象があったのですが,少なくとも動画を1時間ほどみたら電池が半分減ってたということはなさそうです。

 前述しましたが,WiFiもよいですね。802.11n対応は珍しくなくなりましたが,コストを理由に5GHzい対応しないものがまだまだ多くあります。そんな中Kindle FireHDは5GHzでしかもMIMOに対応していて,割とさくっと100Mbps越えでリンクします。実質50Mbps出てくれれば,ちょっと重たい動画でもへこたれません。これだけ足腰がしっかりしていれば,実用性という点で不満を感じることはないでしょう。

 とまあ,思いの外ハードウェアは良く出ていますが,うっかりやらかしたミスはちらほら。一方でソフト面ではどうかというと,汎用のAndroidタブレットではありませんから,そこに「何でも出来ます」と期待してはいけないと思いつつ,やはりホーム画面のUIはひどいなあと思います。なにせ表示される情報量が少なすぎるので,手を動かし,眼で追いかける作業が必須になります。これは疲れますよ。

 ですので,お気に入りを積極的につかって,これをランチャーにします。そうすればなんとか使えるようになります。


(4)結論として

 使う側がそれなりのスキルを持っていれば,より便利に使えるのがAndroidをベースにしたマシンの特徴だと思うのですが,Kindle Fireもその例に漏れず,知らない人にとってはamazonの俺専用レジ止まり,しかしスキルがあればあるほど自分の思い通りの動きをしてくれるものだと思います。

 もともとAndroidはiOSのように閉じていませんので,例えばNASに写真や動画,音楽を置いた場合に,それらにアクセスする方法がいくつもあるんですね。その中から自分に環境や好みに合ったものを選んで,より快適に使うことが出来るのがメリットです。

 うちもNASにいれた写真にアクセスする快適さでは,iPadよりもESファイルエクスプローラーを使ったAndroidの方が数段上手です。Appleが用意した環境を使っている内はすばらしく使いやすいが,その外に出ると途端に使い物にならなくなる,と言うのは,囲い込まれた端末の例外のない特徴ですので,今さら書くべきことでもないですが,私はAndroidの方が自分には合っていると思います。

 WiFiは高速で安定し,画面も綺麗。音もよく,レスポンスも問題なし。電池も長く持つし,持ちやすいというKindle Fire HDは,実に愚直な端末だなと思います。1つ1つは当たり前な要素で,今どき強いセールストークになるわけではないですが,実用性を高める為に必要な性能であり,これらが綺麗にバランスすると,いつも手もとに置いて使おう,と言う気になるものです。

 その点で,奇をてらった端末と言うより,日常の使い勝手を向上させることを念頭に置いて,真面目に作った端末であるという印象を持ちました。価格以外に派手な点はありませんし,汎用のタブレットではないことのデメリットが目に付きがちですが,この誠実さは使って分かる性質のものかも知れないですね。

 とりあえず私は,買って良かったと思います。期待以上のものでした。もしもおすすめできるとすれば,以下の条件をすべて満たす人に向けて,と言うことになるでしょう。

・すでに汎用のAndroid端末を1つ以上持っている。
・自宅にNASを立ち上げたり,クラウドサービスを使いこなしている。
・すでにKIndleを使っていて,電子書籍を普通に読んでいる
・Androidでの流儀やテクニックを調べることが出来て,理解出来る。
・Googleのサービスに依存しない生活をしている。
・amazonでの買い物が便利になるといいなと思っている。
・「なんでも出来る」という汎用性を期待せずやりたいことを絞り込んでいる。
・家の中で使う。外には持ち出さない。

 まあかなり限定された人のように思うわけですが,上記に加えて,絞り込んだ自分のやりたいことと12800円が釣り合うかどうかが,問題です。動画の再生能力も十分ですし,NASにつながればストレージの問題も解決しますが,それが自分に取ってプラスにならなければ何の意味もありませんからね。

ノンフライヤーで揚げ物をする

 まだ寒い頃から話題になり,発売開始の4月にはいきなり品薄状態,予約をしても納期が未定という状況だった,フィリップスの「ノンフライヤー」ですが,この週末に私の手もとに届きました。5月末に予約をしたので,ちょうど1ヶ月くらいですね。

 HD9220という無味乾燥な型名ですが,3万円という調理家電にしては高価なこの商品がこれほど注目を集め,売れているかは,やはり日本人が揚げ物好きで,一方でそれらが体に良くないものだという印象をいかにすり込まれているかを投影しているんだと思います。

 え,おまえはなんで買ったのか?ですか。

 そりゃ,揚げ物が好きだからですよ。ただ,私の場合は別にヘルシーとか片腹痛いわプププという人などで,油でギトギトの唐揚げでも全然構いません。

 ただ,それはあくまで私の食べ物の好みであって,そうした揚げ物を自分でするのはとても大変です。まず油です。毎日揚げ物を食べるなら別ですが,2週間に一度くらい食べるのに,サラダ油を大量に使い,しかも使い捨てることになるなんて,もったいないです。

 濾過して保存という手もありますが,熱を加えた油は一部分子構造が変わりますし,参加すれば毒にもなります。滅多に食べない揚げ物だからこそ,油は毎回新品にしないと危険です。

 次に揚げ物用の鍋の確保です。他と共用できないので専用の鍋を確保しないと行けませんが,それはすなわち鍋の墓場です。揚げ物以外の料理にはもう二度と使えなくなります。

 そして調理です。辺り一面に飛び散る油だけではなく,油が蒸気になって家中に広まり,天井やら壁にこびりつきます。換気扇の掃除も死ぬほど大変です。

 その上,火事の危険もあります。水は100度以上になりませんが,油は200℃でも300℃でも,温度が上がります。しかも蒸気になった油は引火性です。揚げ物の時には,付きっ切りで見ていなければなりません。

 それで食べられる揚げ物はというと,せいぜいとんかつ1枚,コロッケ2つくらいのものでしょう。いやいや,これは全然割が合いません。

 オーブンレンジにある揚げ物を行うモードも使って見ましたが,時間はかかるわ煙は出るわ,電気代は凄いわ,しかし火は通ってないわ,で散々でした。

 結論として,揚げ物はプロに任せよう,ということになったのでした。

 揚げ物をやっているスーパーの総菜売り場では,毎日大きなフライヤーに大量の油を使って,どんどん揚げ物をやります。油は定期的に交換されるし,規模が大きいので温度の変動も小さく,素人の揚げ物が味でかなうはずがありません。

 食べたいだけ買うことが出来て,後始末も必要なく,わざわざ自分でする理由など,ないですよね。

 なら,なぜ「ノンフラヤー」を買ったのか。

 それは,売っていない揚げ物を作るために必要だったからです。

 1つは,フライドポテトです。

 いや,マクドにいけばあるやん,というのは待って欲しいんです。私はマクドに行く習慣がないし,あの雰囲気が今ひとつ苦手です。ポテトだけを買いにいくのは拷問のようなものです。しかも結構高いですよ。

 それに櫛形のポテトフライを食べたいときはどうします?私は櫛形や乱切りのフライドポテトが好きなのです。

 もう1つは,春巻です。

 春巻なんぞ売ってるがなと,というのも待って下さい。確かに売ってますが,私の春巻きは,母親の手作り春巻きです。

 具沢山で太さが3cmほどあります。具材はよくある甘い物ではなくて,それだけでも十分ご飯が進む,香ばしいものです。

 私は子供の頃からこれが好物で,母もよく作ってくれました。こればかりは他で食べることはできず,いずれそのレシピを学ばねばならんなと思っていたのです。

 最大の障害は,油で揚げることです。春巻なんですから当たり前なのですが,やはり揚げ物を家でやることに対する抵抗感は強く,これまで涙を呑んでいました。

 そこへですよ,揚げ物が手軽に出来る「ノンフライヤー」の登場です。これは,まさに一子相伝秘伝のレシピを受け継ぎ,あの春巻きに再び相まみえる,神が与え賜うた千載一遇のチャンスです。

 ということで,鶏の唐揚げなどはどうでもよくて,この2つについての解として,注目していたわけなのです。

 果たして,手にした「ノンフライヤー」はどうだったのか。

 まず,でかいです。炊飯器くらいかなと思っていたらとんでもない。クビのないペンギンくらいありまっせ,これは。

 真っ黒でつやつやの色も,下ぶくれな形も,安っぽいし,見た目も醜悪です。これが3万円で飛ぶように売れているとは,アベノミクスの本物ですよ。

 消費電力は1460W。うちで一番大きな電力のマシンになりました。構造は簡単で,蚊取り線香のようなヒーターが上にあり,さらにその上にファンがあります。

 熱風を循環させ,その熱で調理します。コンベクションという方式で,これは昔からありますね。

 そういう意味では,別にハイテクでもアイデア商品でもなんでもないんですが,この手の調理家電は,結局レシピブックがどれくらい充実しているかが決め手です。

 構造が簡単な「ノンフライヤー」には,これが大ヒットとみるやそっくりなものからパチモンまで,様々な類似品が登場しています。それでも本家(かどうかは知りませんが)のフィリップスを選んだのは,レシピブックの充実度がこの商品の値打ちを決めると思ったからに他なりません。

 しかし,ついてきたレシピブックはぺらぺらで,10品目ほどあるだけです。これならパチモンでもよかったかなと,ちょっと反省した次第です。

 気を取り直して,とにかくフライドポテトを食べてみましょう。

 お隣から頂いた,とても美味しそうな小粒のじゃがいもを櫛形に切り,15分水にさらします。軽く水分を切ってからバスケットにいれ,本体にセットします。余熱が必要と書いてあったので先に3分余熱,バスケットをセットしてから16分にタイマーをセットし,完成を待ちます。

 まず音が大きいです。何事かと思います。そして熱いです。周囲ももわーっと暑いのですが,背面の排気口からは,熱風が出てきます。でもまあ,これだけです。別に他のことをしていても危険なことはありませんし,タイマーが0になれば自動で止まります。

 16分後,初めての作例が姿を現します。

 うーん,しわしわです。外の水分が飛び,かたくなっています。中はほくほくとしてフライドポテトなんですが,これは私の知るあのフライドポテトではありません。水分も油分もないので,塩もからみません。

 まずいわけではありませんが,美味しいわけでもありません。

 翌日,リベンジです。

 同じようにじゃがいもを水にさらしますが,最後にサラダ油を少し入れ,からめます。これをバスケットにセットし,今度は余熱なしで16分です。

 素材に含まれる油で調理するのが「ノンフライヤー」ですから,油の少ないじゃがいもは,外から補給してやると,美味しく出来るはずです。

 うん?,なんか焦げ臭くなってきましたよ。

 あれ,なんか部屋が白くなってきた。

 おおお,「ノンフライヤー」から煙がもくもくでてますよ!

 あわてて家中の窓をあけ,子供と嫁さんを別の部屋に避難させました。

 しばらくすると煙は収まりました。どうも,油が多かったようで,垂れた油が高熱で煙になったようです。しかし,鶏の唐揚げでも春巻でもとんかつでも,油が垂れれば煙がでるわけですから,これはちょっとまずいかも知れません。

 そして完成。出来上がったポテトは。間違いなくフライドポテトでした。

 味は,なつかしい,母親の手作りポテトの味でした。私は,食べ慣れた普通に美味しいフライドポテトとは明らかに違う,すっかり忘れていた母親の味を期せずして思い出すことになり,つい無口になって食べてしまいました。

 ただ,これが冷凍食品だと,7分ほどで出来上がるんですね。水にさらす時間もいれると実に30分かかるのですから,ちょっと酒の肴に,と言うわけにはいきません。これは冷凍食品を使うのが賢いでしょう。30分かけるフライドポテトは,私が過去を懐かしむ時だけ食べることにしましょう。

 ところで,白い煙の対策は,キッチンシートを敷けば良いらしいです。そこで偶然家にあったクッキングシートを使って,またもフライドポテトを作ってみました。結果は,確かに白い煙は出ないし,クッキングシートが燃えたり焦げたりすることはなかったのですが,売りの1つである熱風の循環を妨げるので,特に下側に火が通りにくくなっている感じです。

 それでも中心部はほくほくですし,決して食べられないものではないのですが,もう少しからっと揚がって欲しいですし,表面の上と下で焼き加減が違うというのも,ちょっと気に入りません。途中で裏返せばいいのですが,面倒だし,やけどの危険もありますから,やろうとは思いません。

 ということでクッキングシートをどうやって使うかは,ちょっと考えどころですね。


 それはそれとして,唐揚げも揚げ出し豆腐もかなり美味しいそうですし,ホットケーキミックスを使ったドーナッツも美味しいらしいです。(そういえば揚げドーナツも母親の手作りでした・・・懐かしいなあ)

 レシピブックには,白身魚のフライがあります。私はこの,白身魚のフライがとにかく好きで,これが自分で調理できるというのは,なかなか面白いです。まあ,南洋の大きな白身の魚(メルルーサとかね)はスーパーでは売っていませんので,鱈などのフライにするのがもったいないものしか,自家製ではできないでしょう。

 いずれにせよ,油の扱いにうんざりして揚げ物を禁止していた我が家でも,揚げたてのフライが食べられるようになりました。春巻もこれから母親に教えてもらって,食べられるようにします。
 
 こうして,週末の料理の幅が広がっていくのは,楽しいことです。

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