エントリー

2010年03月の記事は以下のとおりです。

ゴミと商品の境界面

 さて,引っ越しを目前に控えて,持ち物を減らそうと言うことはまず真っ先に考えることです。

 私の場合,特にものが多いですから,捨てる,持っていくの判別をシビアにしないと,引っ越しも大変なら新生活も代わり映えのないつまらないものになってしまいます。

 ところが昨今,ものを捨てるにもお金がかかる世の中です。当たり前のことなのですが,この際だから捨てようか,と言う程度のものの場合は思いとどまってしまうこともしばしばです。

 ところが,以前通販で家電品を買ったある業者のメールマガジンを見ていると,この業者が買い取りまでやっていると目に付きました。

 今時家電品の買い取りなど珍しくともなんともないのですが,買い取りリストがあるというのでちょっと覗いてみたところ,私の処分したいと思っていた古いものでもリストにばっちりのっています。

 例えば,PanasonicのDMR-HS2。DIGAなどと呼ばれる前の製品で,HDD/DVDレコーダとしては第二世代目にあたる骨董品です。HDDはわずか40GB。DVD-Rへのダビングも実時間がかかる上,番組表も取得できないのでタイトルはリモコンで全部手で打ち込む必要があり,言うまでもなくアナログチューナーしか搭載しないものです。今これが動いているのは世界中に何台あるのだろうかと思うほどです。

 実際,私は地デジに移行してからはPCベースで視聴と録画を行っていて,テレビは単体では持っていません。毎日の9時のニュースを毎日上書き録画して使う用途だけに使っていました。

 そうした使い方のDMR-HS2も,2011年のアナログ放送終了時点で,本当にゴミになります。ドライブも弱ってきていますし,なにより40GBしかないHDDが致命的で,唯一の個性であるDVD-RAMについても,こんな遅くて面倒臭いメディアを誰が使うのか,と思うと,もうこれが捨てる時期に来ているのは明白です。

 箱無し,傷ありで見積もりを取ると,なんと2000円になるといいます。粗大ゴミとして500円払って処分することを考えると,破格のお話です。

 このお店は,3点以上だと業者が取りに来てくれます。そこで値段が付かないことも考慮に入れて,以下の4つを最終的に買い取ってもらうことにしました。

・DMR-HS2(HDD/DVDレコーダ)
  箱無し,傷あり  2000円
・Playstation2(SCPH-15000)
  箱無し  500円
・PDV-20(ポータブルDVDプレイヤー)
  箱無し  500円
・HT-KT215(5.1chシステム)
  箱無し,傷あり  1500円

 まあ,安いんだか高いんだかよくわからん値段が出てきましたが,ポータブルDVDプレイヤーを除いて,それぞれ処分は面倒なものばかりです。ただでもいいや,くらいの気持ちで買い取りをお願いします。

 土曜日に佐川急便の態度の悪い兄ちゃんが取りに来て,4品目を2箱にまとめた状態をみて,1つしか持って返らないと訳の分からんことをほざきます。

 先方に確認してくれというと,怒って伝票を投げつけ,乱暴に2箱抱えて出て行きました。頭に来たので業者に電話しますが,土日はお休み。なんかばからしくなって,ほっときました。あるいは佐川に電話することも考えましたが,あと少しで引っ越しですから,もうほっときゃいいです。

 1週間近く経ってメールで連絡がありました。最終見積もりの結果です。

・DMR-HS2  1500円
  音声/映像ケーブル欠品,リモコンの電池欠品

・Playstation2  300円
  ユーティリティディスク欠品

・HT-KT215  1000円
  説明書汚れ,ネジ欠品,スピーカーパッド欠品

・PDV-20  500円

 合計3300円です。いやー,手間賃ですね,これは。しかもここから振り込み手数料を差し引くと言うんですから,参りました。

 ざっとみて,ほとんど言いがかりだよなあと思うものもあります。DMR-HS2のケーブルは確かに私は入れた覚えがあります。アンテナケーブルと一緒に縛ったので,アンテナケーブルが欠品してないなら,映像/音声ケーブルも欠品になるはずありません。

 それに,リモコンの電池欠品って・・・腐った電池でも入れて置けばよかった。この2つで500円も値下がりするって,どういう計算だ?

 プレステ2のユーティリティディスクは仕方がありません。これがないとDVDプレイヤーとして機能しませんし,実は引っ越しの片付けの初期段階で,ディスクをさっさと捨ててしまったので,あきらめましょう。PS2は最近よくゴミ捨て場で見ますが,あんなものでも拾い集めれば,昼飯代くらいにはなるかも知れないです。

 5.1chのアンプとスピーカーのセットHT-K215ですが,ネジは仕方がないとして,スピーカーパッドってのは要するにスピーカーに貼り付けるゴム足です。そんなもん,消耗品ですからね,それに説明書汚れってなんだ???

 そしてPDV-20です。これは最初,アンテナケーブルと車載用アダプタが欠品していると言われて,300円と見積もられました。ところが,アンテナケーブルが付属するのはPDV-20ではなく,液晶付きのPDV-LC20TVだけです。車載用アダプタについては両機種ともオプションです。説明書が共通なんですよね,やるんじゃないかと思っていたミスを,見事にやらかしてます。

 早速「おかしい」と連絡して,すぐに訂正,500円になりました。200円くらい別にかまわないと思ったのですが,こっちが時間をかけて付属品などをかき集めて,それでわずか300円とはなめてると思ったので,きちんとさせて頂きました。

 この最終見積もりでいいですよ,と翌週の土曜日にメールをしたのですが,次の火曜日に最終見積もりが再送されてきました。いい加減な業者だな,まったく。

 それでもう一度この見積もりでいいですよ,とメールしたら,すぐに3132円が振り込まれていました。

 今回3000円で処分した品々は,今使っているものではありませんから,ただちに生活が変化するものでもなく,いざ処分しようとすると同じくらいの金額がかかってしまうものなので,悪い話ではなかったかなあと思います。欲を言えば,4500円くらいになってくれると,ちょっとしたお小遣いになったかなあと思うのですが,贅沢は言いません。

 ただ,配送業者に1回,見積もりで1回,振り込みで1回,大丈夫かそれで・・・と思うようなことがあったので,こういうところに個人情報を送ることが安全なのか,甚だ疑問です。

 ゴミ同然のものを真面目に査定して買い取ってくれたという結論は変わらず,こういう所も案外珍しいのかも知れませんが,おそらく私はここは二度と使わないと思いますし,新品の購入もここではもうしないと思います。

腰を痛める

 4月に引っ越しを予定しており,現在その準備に大忙しです。

 そんな中,とても困った事がありました。3月21日に,腰痛を再発させてしまったことです。

 若いときにぎっくり腰をやって以来,2,3年おきくらいに繰り返しては,その度に不自由な辛い生活を送っているのですが,ここしばらくなりを潜めていて,腰痛のない生活を満喫しておりました。

 3月20日,ちょっとはき慣れない靴を履いて歩き回り,その結果腰に負担がかかっていたんでしょう,翌朝,寝ぼけたまま雨戸のシャッターを開けようと屈んで持ち上げると,右の腰から「ピキピキ」という嫌な音が・・・

 火箸を押し当てられたような熱さと痛みを感じた私は,そのまま後ろに転がってしまいました。油断しました。

 どんなもんかな,と恐る恐る起き上がろうとしますが,やはり痛くてダメ。引っ越し作業もあるし,ここで動けなくなるというのは最悪だと,焦りと痛みが私に嫌な汗をかかせます。

 5分ほど横になっていたでしょうか,すこし動けるようになったので,直ちに前回腰痛になったときにお医者さんにもらった湿布薬(ミルタックス)を張り,同時にもらったベルトを巻き付けます。

 腰痛で怖いのは,椎間板ヘルニアとか腰骨の骨折です。これらは不可逆なものなので,ほっとけば治るとか,そういうものではありません。お医者さんにかかっても痛み止めが基本で,手術も大きなリスクを伴います。我慢できるなら手術はしないで,痛みと付き合う方法を考えるのが最善と言われるくらいです。

 私の場合,腰の筋肉あたりに衝撃が走ったので,おそらく筋肉を痛めたんだと思います。だから,時間はかかっても,いずれは治ります。そう思うと少しは気が楽になります。

 そうこうしているうちに,湿布が効いてきて,腰を伸ばして歩けるようになってきました。痛み止めの効き目をこれほどありがたいと感じた事はありません。

 そこそこ自由に動けるようになって,翌日は外出も出来るようになったわけですが,それもやはり痛み止めのおかげでしょう。その日の夜など,寝返りを打ったときに痛みで目が覚め,「うっ」と声を上げてしまったほどですので,やはり痛み止め問いのは重要です。

 用事があって外出した3月22日,薬局へ行って痛み止めの貼り薬を探してみることにしました。もし,いいものがなければお医者さんにかかって,今効いている湿布薬と同じものをもらってくる他ありません。

 薬局の棚を見ると,第一類から第三類まで区分された棚に,テレビCMでおなじみのものから,耳にしたことのないものまでいろいろ列んでいます。とにかく今回,良く効くものでなくてはいけません。

 そんな中,私が買ったのは「薬剤師不在の場合は販売できません」と書かれた,なにやら完全プロ志向なストイックな文言と共に置かれていた「ボルタレンACテープ」という奴です。一応薬剤師に効くと,痛み止めとして一般に手に入るものとしてはダントツとのこと。

 なかなか高価な薬なのですが,この際そんなことは言ってられません。2週間ほど使える分量を買い込んで,帰宅します。ついでに同じ成分を含むゲル剤も買っておきました。

 調べて見ると,バンテリンで有名なインドメタシンが,ボルタレンの有効成分であるジクロフェナクナトリウムなど強力なお薬によって処方薬の座を追われ,市販薬に転向してヒット商品になったのも束の間で,ジクロフェナクナトリウムも市販薬として手に入るようになったのがここ数年のこと,と言う話です。

 翌日から使ってみますが,サイズがやや小さかったこともあり,痛みの取れ具合は今ひとつな印象でした。しかし,ミルタックスが休日の楽な姿勢で使って良く効いたと思っていたのに対し,ボルタレンは会社で使っているわけですから,この印象はあまりあてになりません。

 実際,ミルタックスを会社で使ってみても,似たような痛みは残っています。ということは,どちらも同じくらい効いているということです。

 私の場合,朝が辛く,午後になるほど楽になり,夜はほとんど痛みもないような状態です。また,椅子に座っていると,立ち上がってしばらくは痛くて腰を伸ばせませんし,立ってばかりだと座ったときに痛みがあります。どうも状況の変化を嫌うようです。

 そうして1週間が経過,痛みも随分取れ,日常生活に不自由しなくなってきた土曜日,調子に乗って引っ越しの荷造りをしていると・・・またやっていまいました。

 少し大きな箱を,よいしょと抱えたのですが,幸い軽いものだったので別のはこの上に積もうと思ったのです。ところがその箱の上に,ガムテープとペンが置かれており,横着者の私はこれを持っていた箱で下に落とし,積んでしまおうと考えたのです。

 今にして思うと,これが大失敗で,ちょっとよろけた拍子に持っていた箱の角が下の箱にぷすっと刺さり,箱をスライドさせようとひねった腰に大きな負荷がかかりました。ここでまた稲妻が走り,その場で倒れこんでしまったのでした。

 重い荷物を持ったわけではなく,むしろ軽かったことが油断の原因となったのですが,治りかかっていた全く同じ場所を,もう一度悪化させてしまうと言う,悔やんでも悔やみきれない状態を引き起こしてしまいました。

 1週間前に逆戻りといいますか,傷みの程度はそれ以上です。これは非常にまずいです。

 そんなわけで,現在もボルタレンとミルタックスを使い分ける毎日ですが,おかげで引っ越し作業は進まないわ,悪いことに職場の席替えにも支障を来すわで,つらいところです。

 自分の引っ越しは,他に誰も手伝ってくれませんから頑張るしかありませんし,荷造りの後は荷ほどきがあるわけで,あと2週間でどこまで程度を軽くできるか,不安です。

 しかも,今朝,鼻をかんだら腰の左の筋肉にもいやな傷みが・・・これは本格的にまずいことになりそうな予感です。

 こういうことを書くと不謹慎なのかも知れませんが,自分の体がいう事を利かない状況に悔しい思いをすると,例えばお年寄り,例えば体の不自由な方の視点を少し意識するようになります。つくづく健康であることはありがたいと思う一方で,まだまだバリアフリーな世の中にはなってないところがあるな,と気付かされます。

 皆さんもお気をつけ下さい。腰は,誰でも痛めるものです。

 

オームの法則を導出し電気抵抗の本質を暴く

 「なぜ」「なに」が今も昔も口癖な私は,出来るだけものの原理や経緯,歴史を知るようにしてきました。

 一見すると無関係なものであっても背景には時間的な連続性がある,という発見があったことは,自然科学のような厳密な世界であっても,人間という生物が生まれて死んで次に伝えてという,生物としての基本的な行動によって積み上げられたものであることを改めて感じるきっかけになりました。

 私は子供の頃から電池に豆電球を繋いで光らせたりして,電流が流れると熱くなることを経験的に知っていましたので,オームの法則については一切疑うこともなく,ごく当たり前のこととして受け入れてきました。

 受け入れるも何も,実験すれば一発ですし,ドイツのオームという人が自然現象として発生していることに実は規則性があったことを「発見」したと学んだ以上,それ以上の疑問はわかなかったのです。

 ですが,オームの法則はその重要性が最高レベルである割には,電圧 = 抵抗 x 電流という式の導出は避けて通れないはずです。

 先日,『高校数学でわかる半導体の原理』という本を読み終えて,我ながらすっかり過去になった高校時代の数学をえっちらおっちら掘り起こしたのですが,その過程で「抵抗の原理」について触れたくだりがありました。

 常識なのかも知れませんが,私は電気抵抗の原理を真面目に考えたことがあまりなく,なるほどーと膝をうちました。今回は,私自身の知識の整理をするために,オームの法則を導出します。

 電流というのは簡単に言うと電子の流れです。単位時間あたりに流れる電子の数と考えると直感的でしょうか。(正確には電子だけではありませんが,導体中の電流について考えるということで,電子とします。)

 導体は,自由に動くことの出来る自由電子が加えられた電圧によって引っ張られて動き,これが電流という概念として,我々が理解しているものになります。

 電子はかかっている電圧で引っ張られるので加速され,本来なら速度が上がり続けることになりますが,主に原子にボコボコぶつかってしまうので,ある速度でバランスします。

 しょっちゅうぶつかれば速度は落ちてしまうので,低い速度でバランスします。そうすると単位時間あたりにながれる電子の数は減るわけで,これが電気抵抗の原理です。

 さて,電子が持っている電気の量(これを電荷と言います)をQとし,電圧がかかることによって出来る電場をEとすると,この電子が引っ張られる力Fは,

  F = QE

 です。また,電子は質量を持っていますが,これをmとし,力がかかったことで生まれる加速度をaをすると,

  F = ma

 です。まだ大丈夫ですね?

 左辺が同じFですので,2つをくっつけてしまって,

  QE = ma

 せっかくですから変形して,加速度aを左辺に持って,

  a = QE / m

 としておきましょう。Qもmも一定ですので,要するに電場が強いと加速度も大きい,というくらいに考えておきましょう。あたりまえの話です。

 それで,この電子が時間tで動く距離を考えてみます。加速度を積分して速度にし,これに時間をかけると,距離yが出てきます。

  y = 1/2 a(t^2)
   = 1/2 (QE / m) (t^2)
   = (QEt / 2m) t

 移動距離は速度に時間をかけたものですから,3行目でいう(QEt / 2m)がずばり速度ということになります。

 つまり,速度をvとすると,

  v = (QEt / 2m)
   = (Qt / 2m)E

 となります。お,速度vは電場Eに比例するといってますね。

 さて,一方電流というのを改めて考えてみます。電流は単位時間あたりに流れてくる電子の数だったわけですが,さらに単位面積あたりの電流を電流密度と呼ぶことにします。電流密度をJ,流れてくる電子の数をnとすると,

  J = Qnv

 です。流れてくる数が多いほど,流れてくる速度が大きいほど,電流密度は大きいということです。さあ,先程のvを代入してみましょう。

  J = Qn(Qt / 2m)E

 我々が目指しているのは,電圧と電流の関係ですので,電流密度は電流に,電場は電圧に置き換えていきましょう。

 まず電流Iは,電流密度に導体の断面積をかけたものです。断面積をSとすると,I=JSです。ですから,

  I = Qn(Qt / 2m)ES

 です。次に,電場は,かかる電圧に比例し,距離に反比例しますので,導体の長さをL,その両端にかかる電圧をVとすると,E=V/Lです。ですから,

  I = Qn(Qt / 2m)(V / L)S

 となります。狙い通り,左辺には電流I,右辺には電圧Vが入りました。これをさらに変形します。

  I = {(SntQ^2) / (2mL)}V

 さらに,Vを左辺に持ってきます。そうするとほら,

  V = {(2mL) / (SntQ^2)}I

 となって,電圧は電流に比例する式が出てきました。ということは,この式の{(2mL) / (SntQ^2)}は比例定数,すなわち電気抵抗ということになります。

 この比例定数,つまり電気抵抗を示しているはずの,

  (2mL) / (SntQ^2)

 をちょっと眺めてみましょう。まず分子ですが,mは電子の質量で決まった値ですから,導体の長さが長くなればなるほど,電気抵抗は大きくなります。

 次に分母ですが,導体の断面積が含まれています。つまり,導体の断面積が大きいほど電気抵抗は小さくなることを示しています。

 現実はどうでしょうか。導線の長さが長いと電気抵抗は増えますし,導線が太くなればなるほど,電気抵抗は小さくなりますね。よかった,あってます。

 ということで,今回やったことと言うのは,電流は電子の流れであるということから電子の振る舞いを式にして,これが最終的に電圧と電流にどう関係するかを記述してみた,ということになります。

 ややこしいことをやっていますが,結局の所電気抵抗というのは電気の流れやすさの逆数であり,電流の定義から断面積が増えれば電流が大きくなる,つまり電気抵抗が下がるというのは,実に当たり前の話です。

 でも,オームの法則というごく当たり前な話でさえも,発表当時は全く顧みられることがなかったわけで,我々がここまでたどり着くのに,やはりそれなりの壁を乗り越えてきているということを感じます。

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ
  • ページ
  • 1

ユーティリティ

2010年03月

- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

過去ログ

Feed