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CherryMX2Aに交換した結果

 キーボード(PCのやつです。楽器じゃないです。)に昔ほどのこだわりがなくなっている昨今ですが,毎日使う物ですから,やはり気持ちよく使いたいものです。

 今仕事用に使っているキーボードは上海問屋で買ったDN-915975という73キーのキーボードを改造したもので,もともとGateronの赤軸だったキースイッチを,元祖Cherryの赤軸に根性で交換した物です。

 改造したのが2020年の9月,今から3年半も前の話ですか・・・時間が経つのは早いものです。

 DN-915975というキーボード,当時5180円という破格値で売られていました。その後1500円ほど値上がりしているようですが,それにしても今では考えられないお値段です。

 ただ,今思えばGateronのキースイッチを持つキーボードの打ち心地は十分とは言えず,Cherryに交換してみて初めて,本物の良さを知る事になったわけです。

 配列も必要なキーが揃っていることも含めてですが,Cherryのキースイッチに交換したこのキーボードは,底打ちの時の音がカチャと大きい事以外は気に入って使っていて,会社においてあるRealForceよりも心地よいんじゃないかと思うこともあります。

でも,やっぱり音が問題です。自分でもこのカチャカチャという音はかなり耳障りで,ノイズキャンセリングヘッドフォンをしているとちょうどいいくらいです。

 自分でもこんなに気になるんだから,周りの人にはさぞや迷惑なことでしょう。

 なんとかしないとなあと思っていた所に,CherryMXの次世代品,CherryMX2Aが秋葉原で販売開始というニュースを目にしました。

 あのCherryMXの新製品です。気にならないわけはありません。見れば,ルブが最大のポイントみたいで,これまで自分でスイッチを分解して油を塗っていたマニアたちの苦労が,ようやく本家に伝わったということでしょう。

 スプリングの形状も変わったそうですし,精度も上がっているという話です。さらにズムーズな押し心地に高い信頼性と,試してみようと思うに十分です。

 そして,せっかく全数を交換するんですから,静音品を選んでみましょう。幸いお気に入りの赤軸には静音赤軸というバリエーションがあります。少し高いですが,これだと底を打ったときの音がかなり軽減されるそうです。(ただし噂ではステムがPOMではないらしいです)

 早速ヨドバシで注文。80個で8800円にポイント13%でした。73キーですので,70個では足りないんですよね。

 取り寄せという事で連休明けになるだろうと思っていたら,なんと数日で届いてしまいました。早速スイッチを見てみると,実にスムーズで期待が膨らみます。

 キースイッチの交換だけなら簡単で(簡単というわけではないんでしょうが,単純作業の繰り返しですので頭は使いません),すぐにも取りかかれる物なのですが,せっかくキースイッチを全部外すのですから,気になっていたキー配列の変更改造も計画しました。

 やりたいことは,スペースキーの左側にある無変換キーとその左にあるALTキーを交換するという物です。

 この変換/無変換キーは,私はCTRLキーに割り当てて,ショートカット用に使っています。MacでいうCMDキーなわけですが,これが一般の文字キーと同じ小さいサイズなことが気に入りませんでした。

 少し大きめだと,左手の親指が少々斜めになっても隣のキーに触れることもありません。親指の位置に自由度がないと,ショートカットキーが押しにくくて仕方がなかったのです。

 物理的なキーの入れ替えは大昔にもやっていて,PC-9801のキーボードで,Aキーの隣をCTRLだけにするという改造をやりました。この時はたまたまEWS-4800のキーボードも手に入り,ここから横長のCTRLキーのキートップを入手出来た事が大きいのですが,フレームを削り,基板にジャンパを飛ばして改造したキーボードが,実に使いやすくなったことを覚えています。

 ということで,物理的なキーの移動に抵抗のない私は,今回も改造を試みました。

 このDN-915975というキーボードは,アルミの天板がそのままフレームを兼ねています。キーを入れ換えるには穴を横方向に削り,スイッチをずらして固定する必要があります。そのためにはキースイッチを全部取り外し今が最適なタイミングです。面倒くさがっている場合じゃありません。

 まずはハンダ吸い取り機でLEDとキースイッチのハンダを吸い取ります。綺麗に吸い取れると基板だけを取り外す事が出来るので,基板が外れたらキースイッチをフレームから1つずつ外して行きます。

 フレームだけになったら無変換キーとALTキーの入れ替えを行う為に,寸法を出してヤスリで削ります。ALTキーの方が横に長いのですが,この2つを入れ換えただけですから,2つあわせて長さには変化はありません。

 削る作業は,柔らかいアルミですしヤスリを使って手でやっても良かったんですが,手間と労力と仕上がりの綺麗さから,ベルトサンダーを使うことにしました。

 2つの穴の左側を,右側のキーは2mmほど,左側のキーは1.5mほど削ります。実物をはめ込みながら慎重に手で削って位置を修正し,決まったところで1mmのアルミパイプを2本並べて右側の隙間を塞ぎ,接着します。

 我ながら上手く加工出来たところで,今後は基板です。スイッチの位置が変わるので基板はそのままでは使えません。まず4mmの大穴をそれぞれ左に広げて楕円にします。そうして位置が決まったら今度は新しいピンの位置に新しい穴をドリルで開けます。

 ここで失敗。続けてLEDの穴も開けないといけなかったんですがすっかり忘れてしまいました。後で気付いた時には,組み立てが終わってました・・・

 スイッチがおさまったら,他のスイッチも取り付け,基板をおいて一気にハンダ付けです。入れ換えたスイッチは穴を開けただけでハンダ付けは出来ませんから,そこはジャンパ線を使って配線します。

 で困ったのがLEDです。位置を交換したキーのLEDもずらす必要があることをすっかり忘れてしまいましたが,いろいろ考えて上側から1mmの取りつで足が通る穴を基板に開けることにしました。

 幸い,1本はこれまでのランドをそのまま使えそうなので,ハンダ付けによる位置の固定はできそうです。

 本当はFNキーとその左側のCTRLキーも入れ替えたかったのですが,ここはビスが通るため諦めました。しかし,FNキーも大きい方がよいので,となりのCTRLキーと並列に繋いで,どっちを押してもFNキーになるようにしておきました。

 そしてもう1つ,ずっと我慢していたことを解決しましょう。

 このキーボードは73キーと適度なキーが揃っているうれしいキーボードなんですが,標準で気に入らないことの1つにINSERTキーがないことがあります。

 INSERTキーなんか使わないという方も多いでしょうが,テキストの編集ではしばしば使いますし,アプリケーションによってはINSERTキーに機能を割り当てているケースもあります。私はこのキーをそれなりに使っていたので,FN+DELキーを押すことになれておらず,困っていました。

 一方で半角/全角キーは全く使わない(こんな変なキーがあるのはIBM互換機だけです)ので,それがINSERキーの場所にいることが許せずにいました。

 ただ,半角/全角キーはすでにESCキーとしてソフトウェアで割り当てを行っているので,半角/全角キーをINSERキーに割り当てることを,これまで断念してきました。

 しかし,物理的なキーの入れ替えをやると決めれば,これも解決しそうです。同様に使わないキーであるカナキーと半角/全角キーを物理的に入れ換え,カナキーにINSERキーをソフトウェアで割り当てるのです。

 こうすれば,DELキーの上という元の位置にINSERTキーが来ますし,カナキーは半角/全角キーとして,私の環境ではESCキーに割り当てられて機能することになります。

 この加工,なんでもないと思っていたのですが,実はそうでもなく,左右のキーを入れ換えるのと違って上下の段数も異なるキーの入れ替えなので,キーボードマトリクスのローとカラムの両方を入れ換える必要が出てくるのです。

 多くの場合,ローとカラムの両方が基板の片面に出てくることはなく,裏と表に配線されます。なので,基板をハンダ付けした今となっては,手が出せない場所のパターンをカットして再配線しないといけません,

 そこで,まずキースイッチの足のハンダを吸い取り,ここにビニルチューブを被せランドから絶縁,キースイッチの足に直接細い銅線をハンダ付けして再配線しました。

 テストも終わり,早速試し打ちです。

 おお,なんとスムースな打ち心地。まるでメンブレン式のキーボードのようなソフト感です。それいてストロークはしっかり確保されていて,さすがに静音だけあって底打ちの音もカチャンからポコ,という感じに調整されています。

 底を打つまでにキーが入るのも,メカスイッチの利点です。メンブレン式は底にぶち当たった時までキーが入ってくれませんから,ショートストロークのキーボードが主流になるのも頷けます。

 打ち心地に静音と,今回のキースイッチの交換は価値ある物になりました。いかにCherryとはいえ,油が塗布された部品の寿命や経年変化は気がかりですが,この心地よさが長く続いてくれることを願ってやみません。

 配列変更も快適そのもので,見た目のバランスの様さもようやく手に入りました。以前の赤軸の「かつーん」という底打ち感も懐かしいですが,とりあえず良かったよかった。これは癖になる打ち心地,REAL FORCEを越えたかも知れません。

 せっかくですからね,タイピングも楽しく心地よく,もっと触っていたと思うようなものに出会いたいものです。私のキーボードはすでに世の中に1つしかないオリジナルになってしまったわけで,そういう意味でも長く使いたいなあと思います。

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