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2023年06月の記事は以下のとおりです。

CE-150なしでPC-1500にカナテープを読み込む方法

 さて,今回はカナテープの読み込み方法を書いておきます。

(0)用意するもの
・CE-156カナテープのバイナリ(テープからバイナリを起こすのもよし)
・PC-1500をPCをUSBで繋ぐケーブル
・もちろんPC-1500(メモリはCE-161を使ってフル実装したもの)
・TeraTerm

(1)TeraTermを以下の様に設定する
ボーレート : 4800
データ : 8ビット
パリティ : none
ストップ : 1
フロー制御 : RTS/CTS

(2)PC-1500を初期化
NEW0
NEW256
NEW&0A00

(3)以下を打ち込む(カナテープローダ)

100 POKE &1305,&FD,&81,&F9,&9A,&FD,&BE,&48,&00,&4A,&C5
110 POKE &130F,&58,&F0,&5A,&0D,&FD,&5B,&04,&FD,&59,&FB
120 POKE &1319,&54,&54,&FD,&15,&DB,&B9,&08,&93,&1D,&99
130 POKE &1323,&09,&6A,&08,&88,&02,&68,&08,&6A,&13,&88
140 POKE &132D,&02,&FD,&5D,&04,&FB,&89,&01,&F9,&D1,&FD
150 POKE &1337,&62,&99,&10,&43,&DD,&89,&06,&46,&45,&B7
160 POKE &1341,&0D,&89,&0C,&44,&44,&FD,&15,&B9,&04,&99
170 POKE &134B,&06,&4C,&58,&91,&35,&44,&84,&AE,&78,&67
180 POKE &1355,&04,&AE,&78,&68,&9E,&56

(4)PC上でカナテープのバイナリを以下の手順で加工,保存する
 1.&0000から&00C4までを削除し,&00C5を先頭にする
 2.アドレスの最後に&FFを追加

 トータル1738バイトとなるはず

(5)NEW&794

(6)CALL&1309で先程保存したカナテープのバイナリをロード

(7)以下を打ち込む
POKE &790,9,19,82,195
POKE &446,7,144

(8)CALL&00C5でカナが使えるようになる(カナキーを押してみよう!)
この時のMEMは26111となるはず

(9)電源をOFFすると無効になるので,電源ON直後にCALL&00C5を入力する
リザーブキーに登録しておくとよい

(10)リセット後は,メモリが壊れていなければ以下で復活するはず
NEW&0A00
CALL&00C5



 カナテープは先頭にリザーブキーのデータが入っているようで,コイツが上手くロード出来ません。そこでこれを削除して,本来のバイナリの先頭である&00C5からロードしてしてやることにしたわけです。

 また,このローダはBASICのテキストを本来やりとりするもので,BASICテキストのエンドをしめす&FFを入れてやらないと暴走します。逆にこのバイナリの中にすでに&FFがあったらそこで転送終了になるはずなんですが,どういうわけだかそういうことにはなりません。&FFがたまたまなかったのか,それとも他の理由かわからんのですが,結果オーライでも済まされるところがアマチュアのいいところです。

 ということで,電池が切れてなくなるまではカナが扱えるPC-1500になってくれました。転送はテープよりも高速ですので楽ですが,いちいちローダを打ち込む必要があるというのがとても面倒です。


CE-150互換機の製作は失敗に終わる


 PC-1500はなかなか個性的なマシンで,ビジネスで使うことを想定した本格的なマシンですから,当然カナの表示や入力,印刷も可能になっています。

 しかし,標準ではダメというのがまず謎。そして別売りのオプションもROMとカセットと2つ用意されていることがなかなか興味深いです。

 後者はカナテープと呼ばれていて,約2kBのマシン語を読み込むと,以後はカナが使えるようになるというものです。なんでカナにそんなにメモリがいるのかとか,そもそもROMに焼いておくべきだろうとか,今なら当然思うのですが,PC-1500ならではの事情があったのだと思います。

 思うに,カナのビットマップデータだけではなく,プロッタプリンタのベクトルデータも持つ必要があり,それでデータ量が大きくなったのではないかと。そしてそのデータをROMに置くのは容量が足りず,ROMカートリッジかテープによる供給かを選ばざるを得なかったんじゃないかと思います。

 さて,私のPC-1500はメモリがフル実装されています。そうなるとカナが使えるようになるといいなと思う訳で,しかしカナテープは入手困難ですし,そもそもカセットインターフェースを持っていません。ROMカートリッジはRAM増設の関係で使えなくなっています。

 カナテープは某所にWAVファイルが落ちていたのでなんとかなったのですが,カセットインターフェースが最大の問題です。PC-1200シリーズのように簡単に自作出来ればいいんですが,PC-1500はそれが出来ないのです。

 PC-1500は,60ピンの拡張スロットがCPUのバスそのものです。ここにオプションを取り付ける時に,同時にROMもぶら下げて,サポート用のソフトを一緒に供給する仕組みを持っています。

 カセットインターフェースはプリンタのCE-150と同時に提供されるのですが,CE-150に内蔵されたROMがないと,CLOADやCSAVEといったカセット関係のコマンドが使えないのです。(ハードウェアは本体側のPIOが担っています)

 ということで,壊れやすくて利用価値もそんなにないプリンタを避けてきた私も,ここへ来てもう一度CE-150を手に入れる必要が生じたのでした。

 もう一度と書いたのは,かつてCE-150を手に入れたことがあったからです。この時はCE-150に入っていたPIOをあてにして入手したため,電池の液漏れで復活出来ないほどに壊れたCE-150はさっさと捨ててしまいましたが,まさかこんな形で必要になると思いませんでした。(ちなみに当時のCE-150には壊れたPC-1500もついてきたのですが,綺麗だったLCDが交換されたあと,修理して動くようになっていましたが,先日みると壊れていました。キーが入力出来なくなっていました・・・)

 今回はプリンタがダメでもカセットインターフェースを目的にしているので,なんとしても修理したいと思って,とにかくジャンクを手に入れて見たのですが,これが想像を超える状態のひどさで,もうとにかく手の下しようがないという状態でした。

 Ni-Cd電池の液漏れが強烈で,基板も無数にパターンが切れていますし,ICの足も真っ青に錆びています。一番厳しいのは基板と本体を繋ぐフレキで,これが腐食していたり,基板から剥がれたりしていて手の施しようもありません。

 ちょっとだけ修理を試みましたが,とにかく破損箇所が多くて追いつかず,回路図を見ながら基板の修復を行う手間を考えたら,もういっそのこと作り直した方が早いいうことになっていて,基板からROMとPIOを移植してカセットインターフェースをどうやって作ろうかと思案している状態です。

 ここのところレトロゲームやレトロPCの値段が上がっていて,気軽に楽しめるような感じではなくなってきました。CE-150はもともと生存率が低いですし,不人気だった時代が嘘のように値段も上がっていますので,悩ましいところです。

 てなわけで,CE-150からROMとPIO,そして60品ピンコネクタを摘出し,カセットインターフェースの機能だけを持つ新しい基板を起こし,組み立ててみたのです。

 実際に回路図を書いて基板を作って見ると分かるのですが,後悔されているCE-150の回路図というのが結構間違いが多く,信号名が違っていたり,誤字があったりと,これもまた一筋縄ではいきません。

 加えて特殊なLSIにあわせたマクロ(フットプリント)も自分で作る必要があったりして大変ではありましたが,万能基板を使って手配栓をするよりはずっと楽だと思います。

 今回はJLCPCBさんに発注しました。評判通り爆速で爆安。万能基板よりも安いくらいです。

 ワクワクして組み立てて見ますが,全然動きません。それどころか暴走します。PIOが死んでいるかも知れないと生きているPIOに交換すると暴走することはなくなりましたが,やはりカセット関係の命令が有効になりません。

 ROMのアドレスを読み出してみても正しい値が読み出せず,これはもうROMが死んでいるという結論になってしまいました。(もちん回路のミスで読めていない可能性もあるのですが,今ある資料と実際の波形から,最善を尽くした回路です)

 ROMのイメージも実は入手出来たので,これをEPROMに焼いて試すことも考えたのですが,もうそこまでする気力もなく,あきらめました。もともとカナテープを読み込んで,かなが扱えるようになることが目的でしたからね・・・

 そこでアプローチを変えます。

 某所にて,PC-1500にシリアルポートを介してPCと通信を行う方法が紹介されていました。PC-1500側に短いローダとセーバをあらかじめ手で打ち込んでおく必要があるのですが,逸れさえ済んでしまえば高速でPCとの送受信が可能です。

 問題は,このローダとセーバのアドレスが,カナテープとぶつかってしまうこと。ならよければいいじゃないかと考えたのですが,カナテープのバイナリが実はリロケータブルであることを知るのはずっと後で,この時は別のアドレスにロードしてから転送する方法を考えていました。

 入手が難しい60ピンコネクタは手元にありますし,今や失敗作となった基板も流用出来そうです。この基板をちょっと改造して,USB-シリアル変換基板からの配線と取り付けて,PC-1500とPCの間の通信が出来るようにしました。

 結果は上々で,カセットなんかもう使えないと思うほど快適です。

 ただ,問題はこのローダ/セーバがどういう動きをしているのかわっぱりわからないことです。そこでハンド逆アセンブルし,初めてのLH5801のニーモニックを読んでみました。

 やってることは割に単純で,BASICのテキストエリアのRAMを,そのままバイナリとして転送しているだけのようです。ならば,スタートアドレスを書き換えてやれば,任意のアドレスにバイナリをロード出来そうです。

 ということで,試行錯誤の末,カナテープのロードの成功しました。

 詳しい手順は次回。

NIKKOR Z DX 24mm f/1.7とフード病

 久々の艦長日誌なのですが,NIKKOR Z DX 24mm f/1.7を発売と同時に買ったので,そのレビューです。

 Zfcを購入して手元に置いて,ぱっと撮影に使えるようにしてあるのですが,撮影時のレスポンスとか,撮影後の画質を考えるとやっぱりD850の方が何段も上であることを思い知り,結局元の場所に戻してしまうという事が続いています。

 撮影というユーザー体験を考えた場合,Zfcはなんだか楽しくないということです。

 その原因の1つに,明るい単焦点レンズが「ボディキャップ」の代わりに常時装着されていないというのもあると考えていました。いや,キットレンズの28mm f/2,8もいいんですが,これはちょっと好みが違います。40mm f/2は画質は好みなのですが,焦点距離が35mm換算で60mmとちょっと長いです。

 D850の「ボディキャップ」が相変わらずシグマの35mm f/1.4ですから,これに近い撮影感覚を得るものが欲しいと思っていたら,DX専用の24mm f/1.7が出るというじゃありませんか。これは期待しないわけにはいきません。

 価格も手ごろ,フードも付属となかなか良い条件なので予約して買いましたが,実際には予約しなくても買えるくらい,今ひとつ人気のないレンズだったんだなあと実感します。それもそのはず,ZでDXで単焦点で24mmが欲しい人など,そんなにいるはずないです。

 前置きはこのくらいにして,さっとレビューです。

(1)質感

 持った感じはとてもしっかりしていて,質感はとてもよいです。これを実売36000円ほど(しかも純正)で買えるというのは,今どきなかなかない話だと思います。こういっては反論を受けるかも知れませんが,プラスチックがカメラに普通に使われるようになった1980年代後半のレンズに比べて,同じプラスチックを主体とする最近のレンズというのは,本当に質感も良くなったし安っぽくなくなったと思います。

 なんなら,AiAF24mm f/2.8とか,SMC PENTAX35mm f/2なんかと,NIKKOR Z DX 24mm f/1.7を並べて比べてみてください。これは単純はデザインの流行の問題とは違う話だと思います。

 マウント径が大きいZですので,レンズ自身を小さく作る事には限度があると思います。それでもぱっと手に取ったときの馴染み方は,やはりかつての手軽な単焦点レンズです。

 フォーカスリングは実に滑らか。回してもフォーカスが動かない最近のフォーカスリングを,手慰みで無意識に回してしまうのは,このレンズが初めてです。

 しかし,どうにも許せないのがフードです。フジツボフードがついてくるというので期待していましたが,こんなにごっついフジツボフードというのは,かなり不細工です。取り付けるともう一回り大きなレンズに化けてしまいます。

 さらに残念なのは,フィルターを取り付けたあとにフードを取り付けると,キノコみたいになってしまうことでしょう。この不細工さは筆舌に尽くしがたい。

 きっと,フィルターなしの状態での一体感を求めるあまり,フィルターのあとにフードを取り付けたときの美しさをあきらめたんだと思いますが,それにしてもこれは恥ずかしくて使う気になりません。

 当然このフードは金属製ではなく,プラスチックです。それも本体の質感とは裏腹に実に安っぽい,本当にオマケ感覚満載です。デザインした人も,設計した人も,きっと心のどこかで「これでいいのか」と思っていたんじゃないかと思います。

 そのフィルターの直径は46mm。まあ,デザイン上は46mmにするのも手だったとは思いますが,28mmにしても40mmにしても52mmというニコン伝統のサイズですから,これを踏襲するのが自然な発想だったと思いますし,その上で共通項のあるデザインにまとめてくれた方が,私はうれしかったです。


(2)画質

 安いレンズとは言え,そこは外れなしの誉れも高いZの純正レンズですし,非球面を2つも奢る今どきのレンズですので期待をしていたのですが,結論から言えば,Zとしてはそれなりのレンズだと思います。声を上げるほど高画質でもないし,写真がうまくなったと錯覚するほどのレンズでもないということです。

 誤解を受けたくないのですが,低画質かといえば全くそんなことはありません。20年前のこのクラスのレンズだったらもっと性能が低い(というか当時のフィルムの世界ならそれで十分高画質だった)でしょうから,このレンズの性能は間違いなく高く,これがこの大きさとこの価格で手に入ることには,驚きさえあります。

 しかし,絞り開放ではコントラストも低く,中央はともかく周辺の画質低下が大きいので全体として眠い画像になります。周辺光量の低下は私は気にしない人なのですが,35mm換算で周辺の光量が落ちるというのは,ちょっと考えたことがないと感じた人も多いんじゃないでしょうか。

 なので,少し絞って使うことになるのですが,f/2ではまだまだ,f/2.8でももう一歩,f/4くらいで鮮鋭度も上がって満足な画質になるのですが,それだと背景をぼかすのに一工夫が必要になるので,無理にこのレンズを使う必要があるのかと思うようになります。

 全体のバランスは良いレンズなのですが,拡大して眠い画質のレンズは,全体でもシャキッとしないレンズだったりしますから,私個人の印象としてはキットレンズの28mm f/2.8と同じ傾向かなあと思っています。


(3)操作感

 ここは別に不安を感じてはいなかったのですが,期待通りAFも素早く,小気味良く撮影が出来ます。ホールド感も良くて,これは鏡筒をマウント径に対して細く作っているからだろうと思います。Zマウントは大口径ですので,小柄なレンズのデザインは難しくなりますよね。

 操作とは違うのですが,絞りの最小値がなんとf/11までしかありません。f/16やf/22まであるのが普通だと思っていましたから,f/11なんていう常用域で打ち止めとは,Zの思想が透けて見えてきます。

(4)特筆すべき事

 これは書いておかないといけないことなのですが,寄れます。ニコンの広角レンズは「寄る」ことにこだわりが強いレンズも多く,また寄れることを性能の1つとして考えている節がありますが,このレンズもまさにそうで,レンズの先端から被写体まで,なんと12cmまで近づけます。

 これくらい近づけると,35mm換算で36mmとはいえパースを強調したり背景のボケをコントロール出来たりするので,本当に表現の幅が広がります。ニコンを使っていて良かったなあと思うことの1つです。


(5)まとめ

 まず,とにかく値上がりが激しいカメラ/レンズの世界において,実売36000円で買える明るいレンズというのはありがたいと思います。DXと割り切ったせいでもあると思うので,今年秋に予定されているフルサイズのクラシックデザインモデル(仮にZfとしましょうか)には使えませんが,私はZはAPS-Cでいいんじゃないかと思ってもいるので,これはこれでありだと思っています。

 D850くらいの画素数と画質であれば,ラフに撮影してトリミングで切り出しなんてことをついついやってしまうのですが,Zfcではそういうずるいことは出来ません。写真の基本の立ち返る良い機会のように思います。

 質感も高く,手触りも幸せなレンズですが,画質はZとしては凡庸で,最低でもf/2.8まで絞らないと後悔しそうな画質だと思います。

 そして最大の難点は,フードです。ついでにいうとフィルター径です。これだけはもう少しよく考えて欲しかったと思います。


(6)そんなわけでフード病

 そんなわけで,久々にフード病を発症しました。35mm換算で36mmですから結構深いフードが必要になるので,付属のフジツボフードが随分先に伸びているのも頷けます。

 なら無理にフジツボフードにする必要はありません。もっと美しいフードにしないといけないでしょう。

 そこで,お気に入りの,takumar28mmの角形フードを取り付けようと考えました。フィルター径を49mmにするステップアップリングを使って角形フードを取り付けて見ますが,これだと見た目はよくても,肝心の遮光特性が今ひとつで,もっと深いフードでないといけません。

 手持ちのPENTAXの50mm用の角形フードがはデザイン面でも遮光特性でも100点なのですが,これはフードをしたままレンズキャップを取り付けられないので,常用は厳しいです。

 あれこれを試行錯誤を行ったところ,PENTAXの50mm用の丸形フード(35年前に買いました)を取り付けています。そんなに深いフードではないのですが,細いので十分な遮光特性が得られています。

 見た目も悪くないですし,キャップもフードを取り付けたままで出来ます。当分これでいこうと思います。

 そうそう,保護フィルターをどこに付けるかでフードの選択肢も変わってくるのですが,出来るだけ有害な反射を減らしたいので,前玉に近い場所に取り付けることにしました。

 そうするとフィルターは46mmで取り付ける事になるわけですが,これもまたフード選びを厳しいものにしています。もしステップアップリングの後の49mmで取り付けるように出来ると,手持ちの関係でもう少しいろいろなフードが選択肢に入ってくるだけに,随分迷いました。(そんなに迷うところか?)

 もう少し試行錯誤をやってみても面白いでしょう。もう一段49mm-52mmのステップアップリングを入れて,純正の35mm用フードを取り付けても面白いでしょうし,もしかしたら45mm f/2.8Pのフジツボフードを付けてみてもいいかも知れないです。

 フード病が治るには,もう少し療養が必要みたいです。


 

microKEY AirとJupiter-XmをワイヤレスMIDIで繋ぐ

  • 2023/06/15 13:03
  • カテゴリー:散財

 私が気晴らしの1つは,シンセサイザーを演奏することです。なにも本気で演奏するのではなく,さっと電源を入れて,5分か10分か音を出すという気軽さが,気晴らしならではの楽しみ方です。

 この気晴らしは昔から続いていますが,現在の機材はJupiter-Xmです。さすがにカシオトーンと同じ大きさではありませんが,気軽さはまさにカシオトーンといっていいくらいで,電池で動くことも,スピーカーを内蔵していることも,気晴らしにはとても大切な機能だと思います。

 音も良いですし,弾きやすく強弱を付けやすいミニ鍵盤も気に入っていますが,1つだけ気に入らないことがあるのは37鍵しかない鍵盤です。

 37鍵だと両手で弾くピアノやオルガン,シンセパッドなんかも狭すぎて演奏に幅が出ませんし,片手で弾くリードなどだって,この音域では窮屈です。もし49鍵のJupiter-Xmが出たら買い換えようと思っているくらい,不満です。

 もともとJupiter-XmはJupiter-Xの音源モジュールにPC用のミニキーボードがついたくらいの製品なので,37鍵という鍵盤は本気で演奏するようなものではないのでしょうが,なかり良く出来た鍵盤だし,ハードウェアシンセの楽しさや魅力,機動力を考えると49鍵や61鍵のモデルがあってもよいと思います。

 発売から4年経過しましたが,49鍵モデルが出るような話もなく,どうしたものかと考えていると,49鍵の外部キーボードを使うことを考えました。外部キーボードですから,ミニ鍵盤でなくとも標準鍵盤も選択肢に入ってきます。

 しかし,本体より大きなキーボードというのもなんだかもったいないので,今回はミニ鍵盤から選ぶ事にしました。

 ミニ鍵盤の定番と言えば,コルグのmicroKEYシリーズです。安い,小さいだけではなく,演奏のしやすい高品質な鍵盤であることも耳にしています。しかもBluetoothLEを使ったワイヤレスMIDIにも対応したモデルも用意されていて,さすがコルグだなと思います。

 49鍵のmicroKEY Airはお値段が15000円ほど。これでJupiter-Xmが49鍵モデルになるなら安いです。繋ぎ方など調べ切れていない(説明書を見ても判断出来ない)ので不安もありましたが,まあどうにかなるだろうと購入することにしました。

 翌日には届いたので早速接続を試みます。最初はBluetoothです。しかし,残念な事にJupiter-XmとはBluetoothによるワイヤレスMIDIでの接続は出来ませんでした。説明書には記載がなかったと思うのですが,Jupiter-XmのBluetoothはSource機器にはなれないようで,SinkデバイスであるmicroKEY Airに繋げることはできないのでした。

 そうなると有線接続なのですが,これも結論を書くとアウト。microKEY Airの有線接続はUSB MIDIだけで,通常のMIDIは出ていません。一方のJupiter-Xmについては,USB MIDIは基本的にはDEVICE側だけの対応です。USBメモリ接続用にHOSTも搭載されていますが,USB MIDIが通るかどうかは取説には書かれていません。

 試してみたところ,音は出ました。しかし,あまりにレイテンシが大きいことと,発音タイミングがばらつき,全く使い物になりません。シンプルな4つ打ちが随分と跳ねてしまうので,笑ってしまうほどです。

 こうなると標準のMIDIで繋ぐことを考えないといけないのですが,この段階でmicroKEY Airは使えない事になります。そこで,USB MIDIを通常のMIDIに変換するコンバータを探してみましたが,こういうものはなかなか売られていません。自作された方もいらっしゃいましたが,ファームが非公開だったり,ちょっと大げさだったりしたので,この方向はパスです。

 microKEY Airを返品して別の品種に買い直そうかと思っていた所,ふと目に入ったのが標準MIDIをワイヤレスMIDIに変換するアイテムです。これが上手くいけば,microKEY Airとワイヤレスで繋ぐことが出来るでしょう。

 問題は相性です。ローランドやヤマハからも出ていますが,一番信頼出来そうだったのが,CEGというシンガポールのメーカーが作っている,WIDI Masterという製品でした。

 電源が入ればとにかく自分から繋ぎにいくので,本当にケーブルではないMIDIケーブルとして扱えるだそうです。2,3年ほど前にすでに有名になっていたものですが,当時に比べて若干価格も上がっているみたいです。

 これを6000円ほどで購入することにしました。今回の目的に使えなくても,汎用のワイヤレスMIDIならいくらでも使い道があるでしょう。

 これも翌日届いたので早速試してみました。

 すると,なんともあっさりと,Jupiter-XmとmicroKEY Airが勝手に繋がって音の出る状態になってくれました。いやー,これは画期的です。

 この,「勝手に」というのが実は面倒な場合もあり,タイミングによってはJupiter-XmのBluetooth MIDIと繋がってしまうこともあります。そうなると接続を切る作業が発生するのでなかなか面倒なのですが,この場合はJupiter-XmのBluetoothを最初からOFFにしておけば問題は解決です。

 さて,繋がっただけではダメで,ちゃんと演奏に耐える物かどうかを調べないといけません。まずレイテンシです。レイテンシはアタックの強いピアノでは結構気になりますが,アタックの弱い音ならまず問題になりません。

 ただ,Jupiter-Xmの鍵盤と弾き比べてみると,やはり音が出るまでの時間が短い方がダイレクト感があります。この楽しさは言葉に出来ないです。

 鍵盤自身の評価もしないとです。Jupiter-Xmのミニ鍵盤比べて,長さが短いのが1つ,それから白鍵と黒鍵の間隔が少し広めになっています。また,ストロークも短いように思います。

 長さが短いこと鍵盤は,想像以上に弾きにくいです。そのせいもあってか,強弱もつきにくいように思います。Jupiter-Xmの方が支点までの距離があるので,キーを押す位置によって重さや押し込みの速度に違いが少なくて済むせいでしょうか,とにかくmicroKEY Airの鍵盤は思い通りに演奏出来ないのです。

 強弱がつきにくいのでのっぺりとした演奏になりがちですし,かといって意識して強く演奏するとミスを連発します。慣れているのが一番の原因だとは思いますが,Jupiter-Xmの鍵盤は本当に良く出来ているなあと思いました。

 ということで,一応microKEY AIrを使って49鍵という広さをJupiter-Xmに持たせる事ができました。確かに演奏しにくく強弱も付けにくいですが,49鍵という広さはやはり期待通りの心地よさで,最初からこの鍵盤数で発売して欲しかったなあとつくづく思いました。

 それと,ワイヤレスMIDIは実に快適です。レイテンシも小さいとは言えませんし,気にならないわけではありませんが,実用レベルだとは思います。むしろ有線で繋がった不自由さから解き放たれることが最大のメリットな訳で,今回のような外部キーボードでさえもその利便性は強く感じる事が出来ました。

 そんな中でこのWIDI Masterという製品は評判通りの安定性です。繋がるのも簡単,繋がってからも安定しているので,これはよい製品に巡り逢ったと思います。


 

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