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2021年12月の記事は以下のとおりです。

今年の散財を振り返って

  • 2021/12/24 16:02
  • カテゴリー:散財

 いやー,今年も散々散財しました。コロナがどうの,巣ごもりがどうの,と言い訳することはしませんし出来ませんが,やっぱり買い物をすること,ものを増やすことへの興味は尽きず,上手く乗せられた面もあったなあと振り返って思います。

 とはいえ,ここ最近の買い物心理は少し変化があって,それが本当に必要か,それを半年後に使っている姿が想像出来るか,ということを考えるようになりました。その過程で気が付いた事は,欲しい,買いたいと思ったきっかけから買うに至ったプロセスを追いかけることで得られました。

 私が買い物するのは,それを試してみたい,でした。もちろん消耗品であるとか,生活必需品は買わざるを得ないので仕方がないとして,それ以外のものはもちろん,中には生活必需品でさえも,新しいものを試してみたいという好奇心を満たすために買い物をしていました。

 そしてその欲求は半ば衝動的なものであり,多くは永く続きません。そして好奇心も,何故試したいと思ったかと問えば,実益よりも自分の「よいのではないか」という仮説を確かめること,すなわち「答え合わせ」だったりするわけです。

 これらのものは,試した後は必ずと言っていいほど興味を失い,しばらくすると買ったことさえ忘れてしまいます。これを無駄遣いと呼ぶわけですが,買ったものと買った時のことをちゃんと思い出せる買い物こそ,ほんとうに価値ある買い物だとつくづく思います。

 前置きはいいですね,すみません。今年一年の買い物を振り返ります。

・ScanSnap iX1400
 それまで使っていたiX500が購入後6年を経てくたびれてきたことに加え,新製品のiX1400とiX1600が登場時のセールで安く買えるということで飛びついたのですが,これは地味ながら買って正解でした。

 iX500から本体を差し替えるだけでスキャン速度が高速化されるということで,なにも特別な使いこなしも問題点もなく,全く手のかからないアップグレードとなりました。

 ScanSnapを買い換えると,最初はその速度向上にご満悦なわけですが,数日もするとその速度に慣れてしまい,特別な感情を持たなくなります。しかし確実にスキャンの負担は減っています。

 ふと気が付いたのですが,実は最近スキャンの頻度が下がっています。以前は毎週のようにスキャンを行っていたのですが,今は2,3週間に一度という感じです。もう紙の本など買わなくなったからかなあと漠然と持っていたのですがそんなわけはなく,実はスキャンにかかる時間が減ったせいで,まとめてスキャンするようになったということでした。

 iX1400はUSB接続専用機なのですが,私の場合これで正解です。WiFiが付いていてもそれを活用するシーンはなく,後述するQuadernoもiX1600には対応しませんので,上手い買い物をしたなあと思っています。

・コンプレッサーを新調
 突然鉄道模型熱が復活しました。というより模型製作を復活させたという感じです。長年ほったらかしにしていたDE50のキットを組み立てるに伴い,塗装用具も再整備を迫られたという感じです。

 その一環でこれも20年使ったタミヤのREVOを,最近よく見る中国製のコンプレッサーに買い換えました。REVOもいつ壊れてもおかしくない状況でしたし,中国製のものも外れを引かなければ性能もよく,REVOのアップグレードになると踏んでのことです。

 特に,もっと吐出量が欲しかったということ,また脈流を防ぎ安定したエアが欲しかったことで,タンクは必須としました。

 結局買ったのはAusucというブランドのオイルレスコンプレッサーでエアブラシ付きのもの,価格は10770円でした。(これ,同じ物が今は9700円で買えるんですよねえ)

 使ってみての感想ですが,買って正解です。作業は快適,トラブルもなく,期待していたとおりのエアを作ってくれます。やっぱりタンクは必須ですね。

 実はこれ以外に,塗装ブースやら塗料の買い直しやらで,結構なお金を使っています。しかし,模型の世界,特に塗装の世界も数年前とは飛躍的に進歩している世界で,随分快適になっています。とりわけ健康と環境に対する配慮は素晴らしく,私が子どもの時にも今の状況があればなあと思っています。

 そして車両ですが,ざっと以下の様な感じです。

近鉄6820系
近鉄16600系
 この2つはグリーンマックスの完成品です。どっちも近鉄ですが,実家で世話になった路線の現行車両ということで,私自身は使った経験がありません。しかし,この模型を買った時,数ヶ月先に実家がなくなってしまい,近鉄にも縁がなくなってしまうなど,想像も出来なかったことでしょう。

コキ104とコキ106ヤマト運輸コンテナ付き
 これは最近買いました。私は貨物列車もコンテナも好きで,19Dコンテナを模したコンテナボックスを愛用しています。貨物列車の面白さは多種多様な貨車を長く連ねた豪快さにあるわけですが,最近はコンテナの塗装やマーキングの多種多様さを楽しむ,コレクション的な要素が出来来たなあと思います。
 今回買ったのもそれで,コキ104もコキ106もそれなりの数を持ってはいますが,やっぱりおなじみのヤマト運輸のコンテが欲しいじゃないですか。
 それで再生産されていたものを見つけた機会に買ったというわけです。

グリーンマックスの動力ユニット
 グリーンマックスの動力ユニットはトミックスやKATOに比べて一世代前かと思う時代が続きましたが,現行の動力ユニットはコアレスモーター搭載で実に滑らか,その走行品質は大手メーカーの最新のものに負けてはいません。
 キットを作った自作品にちょっともったいないかなあと思いましたが,その走りの良さに感激して,全部の動力ユニットを更新しました。
近鉄6020系冷房なし旧塗装
近鉄6020系冷房改造新塗装
東急1000系
東急8090系
東急8000系
近鉄12400系
近鉄6620系

 いやー,お金がかかりましたよ。

・HZL-VS200
 ミシンです。これは私の買い物と言うよりも嫁さんと娘にと言う意味合いが強いです。もちろん私もミシンは使いますし,今回の機種選定も私がやりましたが,実際に使っているかと言えばそんな時間も取れず,満足して使ってくれているのを見ては喜んでいる感じです。

 このミシンは,ずっと憧れていたジューキのミシンです。プロが使うミシンの機構を盛り込んだもので,実際に使ってみると信頼性,確実性,仕上がりの良さとアマチュア向けらしい使いやすさや配慮もあり,良い買い物をしたと思います。

・カメラとレンズ
Zfc
NIKKOR Z DX 40mm f/2
NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
TTAritisan 17mm F1.4
 さて,いよいよ大物のカメラです。Fマウントがあっという間に過去のものになってしまった今年ですが,私の散財も静かでした。ですが夏頃にまさかのZfc発表,まとまったデザインとZ50で評判のいい画質,そして比較的安価な価格設定で,私もZマウントデビューしたのでした。
 それまで他人事だったZマウントですが,今ひとつ盛り上がっていない感じとは裏腹に,使った人からの高評価はあちこちで聞かれていて,縁がなかった私は羨ましいと思ってはいました。
 しかし,D850と大三元の画質にそんなに簡単に迫れるわけないよと覚めた眼で見ていましたが,実際にZfcを使ってみると,Zマウントのポテンシャルの高さに驚きました。
 Zマウントはミラーレスのマウントで,ショートフランジバックが特徴です。もちろん大口径であることもレンズ設計の自由度を高めていますが,Fマウントで出来なかった設計が出来るという点でいえば,口径を大きくしたことよりもフランジバックが短くなったことが大きいんじゃないかと思います。
 フランジバックが短くなることで,全く新しいレンズ構成を取り入れたり,Fマウントではどうしても出来なかったパワー配分をいとも簡単に試せたりできます。これは,従来の延長線上にある進化ではなく,考え方や概念もひっくり返るほどの非連続な変化ではないかと,そう思えるのです。
 また,ミラーレスであることから,ファインダーを明るくするためにレンズを明るくする必要がなくなりました。撮像素子が高感度化し,見えないものも撮影出来る時代が来たというのに,ファインダーは見えないまま,というのがこれまでの一眼レフだったわけで,これがミラーレスになりEVFになると,見えないものが見えるように本当になるわけです。
 そうなると,もうレンズの明るさにこだわる必要もなくなりますし,収差の補正も画像処理で行って何ら問題はありません。その結果,レンズの性能の優先度が変わって来てしまい,今や暗いこと,収差が少ないことよりも,小さく軽く,画像処理で補正できない収差をまず潰したレンズが主流となりました。
 実際,NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VRはこの仕様でこの性能ですから,Fマウントではちょっと考えられないものになっていると思います。
 そんな中で,TTAritisan 17mm F1.4はなかなか面白いレンズで,中国製のレンズがもう十分に良いものになっていることを実感しました。また,いかにミラーレスとはいえ,やっぱりレンズは明るさだよなあ,裸の性能の良さだよなあと,思わせました。

7Artisans 28mm F1.4 ASPH
smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited
Ai-Nikkor28mmF2.8S
 この3つは従来のマウントのレンズです。7Artisans28mmはMマウント,FA31mmはKマウント,そしてAi-Nikkor28mmは言うまでもなくFマウントです。
 この時期,次々に登場する新しいカメラやレンズに無関係になってしまったFマウントの私は,実にさみしい思いをしていました。
 結局フィルムカメラで遊んでいたのですが,そうするとあいたピースを埋めたくなるわけで,買ったレンズがこの3本だった(実際はM42の105mmF2.8も買ったので4本なのですが)というわけです。
 まず7Artisans 28mm F1.4 ASPH,これはMマウントなので私はCLEでしか使えません。ですが,Zfcを買ってからはマウントアダプタで使うことで常用出来るようになりました。
 開放から十分使えるの性能,少し絞ればカミソリのような切れ味と豊かな階調で,さすが中国製にも関わらず高価なレンズです。電子補正の不自然さもなく,使っていて幸せになるレンズだなあと思うのですが,残念なのはZfcでは42mm相当になってしまうことで,28mmという広角でF1.4という明るさを堪能出来ないのが残念です。
 smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limitedは私があれこれ言う必要のないレンズで,立体感も階調の豊かさも色のりの良さも評判通りです。ただ,やっぱりZfcでは50mmと標準域になってしまいますし,等倍にすれば解像度や収差にどうしても現代のレンズに比べて見劣りしてしまいます。
 ということで,高価なレンズを買った割には稼働率は低いままです。
 最後のAi-Nikkor28mmF2.8Sですが,これはニコンには珍しい28mmレンズの波瀾万丈の歴史に追いつくために買いました。さすが28mmF2.8の完成品と言われているだけあり,寄れるレンズとして便利に使っています。最近人気が出ていて値段も上がっていますが,画質も良いですし,やっぱり買って正解でした。
 特にF2とこのレンズとの組み合わせは,とても実戦的で惚れ惚れします。

・EM01BK
 外光式の露出計で,一頃ちょっとしたブームになりました。少々高かったこと以上に入手が難しく,私も予約したものの入手の目処が立たずキャンセルしました。
 しかし,ある時突然ヨドバシに在庫がある事がわかり,さっさと買ったというわけです。
 この手の露出計は,露出計がないカメラのアクセサリーですが,私の場合ミノルタオートコードに取り付けています。画角が固定された外光式の露出計はレンズ交換可能なカメラでは結構使いにくいものなのですが,ミノルタオートコードのように固定でしかも標準レンズという場合には問題はないですし,大らかに撮影するのが楽しいカメラですから,目安がわかれば十分で,その点でも随分便利に使っています。

・オリエント RN-AC0E04L
 腕時計です。エプソンのWEBショップでリファービッシュ品が出ていたので,ついつい買ってしまいました。14000円ほどだったので,新品を買うよりも3000円ほど安いのではないかと思います。
 もともと必要だったわけではなく,たまたま送られて来たメールに出ていたので見ていたらデザインが気に入って買ったという感じなのですが,機械式でも安いし,そんなにふざけたデザインでもなく,普段使いにちょうどいいかなと思って買いました。
 とはいえ,身につけるものを新品で買わないというのもちょっと引っかかって,そこは直販のリファービッシュということを信じたわけですが,結果はあたりで,キズ一つない新品そのもの。本当かどうかはわかりませんが,精度も確認済みと言うことで,実際精度は日差2,3秒というレベル。もうほとんど狂わないと言って良いでしょう。
 個人的にはとても気に入っていて,ずっとしていたいのですが,2万円を割る機械式の大きな時計をお落としのおっさんが喜んでしているというのもなんだか恥ずかしくて,同じ時期に買ったTIMEXの5000円のクオーツをついつい選んでしまいます。

・オーディオ関係
R3Pro Saber
E1000
E3000
 今年は,オーディオへの投資が少なかったように思うのですが,思い立って買ったのがこの中国製のDAPでした。というより,もうDAPは中国製しか実質ないという状況で,価格的にも性能的にも中国製はすごいなと思わされました。
 Hibyの小型モデルR3Proのうち,チップをESSに置き換えたものがSaberです。音の良さは評判通りで,はっきりいってこれまでのDAPとは一聴してわかるレベルでした。聴いて楽しくなるオーディオ機器というのも何年ぶりかと思います。
 そしてバランス接続を体験しました。良くなると言っても比べて見れば,と言う程度となめてかかっていたわけですが,もうシングルエンドには戻れない良さを味わっています。
 イヤホンはこれまで使っていたfinalのE1000に,E3000も買い増ししました。どちらもバランス改造を行っています。音の傾向は全然違っていて,その日の気分で迷うことなく選んでいます。個人的には耳が慣れてくるまで少し辛抱すると,圧倒的にE3000が良くなるので,E3000を使うことが多いです。

・Quaderno FMV-DPP04
 先日買ったばかりの電子ノートです。A5サイズといいながら実はB5サイズみたいなもので,実力ではA4もOKという大判の電子ペーパーですが,しばらく使ってみて思ったのは,これは閲覧用ではなく,やはりノート用だという事です。
 ペンでどんどん書いていける楽しさ,そして書き味の良さもあって,紙よりもこれでノートを取ることが増えました。
 一方で,閲覧用(読書用)としては今ひとつで,フロントライトによる紙の反射による色と輝度のシミュレーションがあるKindleには全然かないません。集中出来ず,没入感を全く感じませんし,それに読書には読書に適した視線移動というものがあり,せっかく新書や文庫のサイズになっている物をわざわざB5あたりまで拡大しても,返って読みにくくいなるもんだなあと思いました。
 実はQuadernoには,直接ScanSnapからスキャンする機能があります。ただしどんな機種でもOkというわけではなく,一昔前の機種が中心なので,お金さえ出せば環境を構築出来るというものではありません。

 私の場合,退役したiX500を引っ張りだして直接スキャンすることを試すことができました。紙が吸い込まれ,それがほぼリアルタイムで電子ペーパーに出てくるというのは,ちょっとした手品のようで新鮮な感動があります。
 そこにゴリゴリと書き足していき,最後にまとめてプリントアウトというのは,実は遠回りなことではあるのですが,電子的にデータを残せることは頼もしいですし,修正も訂正も楽ちんであることを考えると,もっと活用出来ると思っているところです。

・工作関係
DT4282
マイクロメーター
DCCデコーダの自作
 まずは測定器です。DT4282は日置のテスターのフラッグシップモデルで,先日のamazonのセールで買ったものです。安かったとは言え4万円近くもするものですから,その性能はトップレベル。確かにHP34301Aに比べると見劣りしますが,そこは電池駆動で新品だということですから,高精度をどこでも持ち歩く,と言う価値は価格に見合ったものだと思います。
 実際使ってみると,実に使いやすいです。カタログには出てきにくいレスポンスの良さやスイッチの硬さ,手にしっとりとした持ちやすさやテスタリードの取り回しの良さなど,さすがプロ用だなと思います。
 私もテスターはいろいろ買いましたが,もうこれでおしまいでしょう。
 次に,旧にマイクロメーターが欲しくなって,標準サイズのものと,大きなものを測るものの2種類を揃えました。特に標準サイズのものは憧れていたミツトヨのものです。
 実のところ,私の住んでいる世界はナノセカンドやピコセカンドが日常的だったりするので,マイクロと言われても「でかい」という印象を持つこともあるのですが,マイクロメーターという言葉が持つ精密さは色褪せず,同時に指先が感じるデコボコの感覚というのはなんと高感度なのかと,改めて思いました。
 工作としては,何回か秋月電子で部品を買いました。印象に残っているのはDCCデコーダを安く自作するための部品をまとめ買いしたことですが,私が買った6月以降急激に値上げがあったみたいで,倍くらいになっている物もありました。
 昨今半導体が足りないというニュースを良く耳にしますが,ホビーの世界にもこうして影を落としているのだと思うと,憂鬱になります。

・調理家電
電気ポットNC-SU224-T
ドリップポッドDP3
 調理家電です。もう新規の投資はほとんどなく,故障による買い換えとかそんなものですが,パナソニックの電気ポットは学習機能に惹かれて買いました。過去1週間で給湯された時間の少し前に温度を上げておくという,およそ学習とは言えないほど単純な機能なのですが,これがどうしてなかなか楽ちんです。
 ただ,沸騰させるかさせないかなど,アルゴリズムが少々わかりにくいので,期待した動きをせず悩んでしまうこともしばしばです。
 実は電気ポットって,真空保温でも結構な電気代がかかります。今回パナソニックのものに買い換えたのは,その辺は家電メーカーの方がきちんと検討しているだろうという期待からでもあったのですが,数ヶ月使ってみると,買い換え前よりも電力消費が下がっているような感じもあり,かなり優秀ではないかという印象を持っています。
 ドリップポッドDP3はUCCのもので,当時評判になりました。ネスプレッソのように専用カートリッジを使うコーヒーメーカーなのですが,通常のレギュラーコーヒーでも使えるという汎用性が決め手に名って導入しました。
 いつも使っているコーヒーメーカーに不満はないのですのですが,手間をかけずに短時間にさっと1杯だけ欲しい時には,こいつは重宝します。

・調理器具
ミソノ刃物440 牛刀 21cm
ステンレスのフライパンKIPROSTAR 28cm
 調理器具です。料理を長くするようになると欲しくなるのがよい調理器具です。特に刃物は重要で,作業効率の改善や具材の見た目や味を高めるだけではなく,なにより安全な作業が出来るという点で,妥協したくないと思っていました。
 それまで使っていた万能包丁も悪いものではないのですが,どうも刃先が短く背が高いことで,使いにくいと思うことがありました。
 そんなとき,ある厨房で見かけた牛刀が印象に残っていて,探してみるとプロ御用達の包丁専業メーカーであるミソノの440というシリーズであることがわかりました。
 1万円ほどなので,プロ用としては安価な製品ですが,使いやすさは折り紙付きという事で,21cmのものを選んで買ったところが,これがもう大正解。
 料理が楽しくて,どんどん調理できてしまいます。自分で研ぐこともマスターし,もう切ると言うことに対して問題を感じることはなくなりました。やっぱ包丁は大事です。
 そうなると次は加熱です。26cmのものは20年使っている鉄製のものがあり,これは便利に使っているのですが,28cmのものは相変わらずアルミのもので,これだけ大きいものだとムラが出てしまう事で作業が難しくなってしまいます。
 しかもテフロン加工やセラミック加工も焦げないのは最初だけ,1年もすると買い換えないといけないのが我慢ならず,いいものはないかと物色していました。
 そこでプロが使うのは何だろうと探してみると,憧れのステンレスに行き当たります。高価なドイツ製は恐ろしく,変に気を遣うのもいやなので,安価な国産品を買いました。
 ステンレスのフライパンはなかなか焦げないように使うのが難しいものと思われがちですが,それはステンレスに必要な独特の作法を行わないからで,使う前に水滴がコロコロと転がるくらいに焼くという行程を経れば,まず大丈夫です。これはテフロンコーティングのフライパンではやらない作法です。
 28cmですので広々としており,焦げずに一気にむらなく加熱,中火でも十分火が通り,火を止めてもしばらくは余熱をあてに出来ると,フライパンの使い方が一気に整理された感じがします。
 難点を言えば,取っ手が長くて邪魔になること,そして重いことでしょうか。でも,これも使って楽しい調理器具だとおもいます。
 料理が面倒と思う皆さん,ぜひ良い調理器具を選びましょう。1つでいいですから,プロが使うものを試してください。高価なものである必要はありません。


 ということで,この1年の散財をまとめました。随分お金を使いましたし,無駄な事にも使ったなあと言う印象があります。また,自分のためにと言うことではなく,子どものためだったり,修理代として出て行ったお金も多くなっているので,使ったお金の割には自分の生活に影響がないといった印象を持った1年でした。

 来年こそ,無駄遣いはやめようと思います。自分の直感を過信せず,迷ったら買うという家訓を真に受けることなく,価値あるものを選ぶ嗅覚を身につけたいところです。

 ・・・しかし,ヨドバシの福袋が当選したんだよなあ・・・1月1日から早速散財の予定です。

 

理想のフードを探す旅

 レンズのオプションに,フードというものがあります。

 若かりし頃,フードのような邪魔なものは付けずに,ストイックに現場に挑むことが格好がいいことであると,私は勘違いをしていました。

 当時に私に若干の同情が許されるとすれば,その当時のフードというものは,プラスチック製で不細工な花びらのようなものをはめ込むものであり,多くはレンズの付属品,すなわちオマケであって,それそのものに興味などわこうはずもありません。

 しかし,私は思い出したのです。中学生の時,運動会を撮影していた写真屋さんのカメラのレンズに角形フードが取り付けられていて,それが妙に格好良かったことを。

 さらに私は思い出しました。一ノ瀬泰三のニコン(正確にはニコマート)が,ベコベコに変形したフードを実に誇らしげであったことを。。

 つまり,私は14歳にして,フード病に感染していたのでした。

 フード病・・・ほとんど顧みられることのない,ジャンクワゴンのマジョリティであるフードに,異様に執着する病気です。「レンズはフードとセットで完成する」やら「フードの良し悪しで格好の良さは決定的になる」などと,フードに比重を置いた発言と共に,以下の症状が見られます。

・中古レンズのお店に行くと必ずフードを買っている
・フードが別売りのレンズには納得出来ない
・1つのレンズに複数のフードを用意していて,気分で付け替えている
・フードが用意されていないレンズを不憫におもい,似合うフードを捜す旅に出る
・フードを含めたレンズとボディの姿形に,美意識を強く持っている
・ライカやオールドニッコールのフードが高価な事を心底理解している

 フードはなにかと軽く見られがちな存在ですが,機能的にとても重要なものです。

 1つには光学特性の改善です。レンズには画角というものがあり,画角の内側の光が画像を作り出します。画角の外側の光が無視されてしまうだけなら平和なのですが,それらの光が硝子の表面や鏡筒内部で意図しない反射を繰り返して,画像に写り込んだりして悪さをするから,困った事になります。

 もともと画像に関係ない光ですから,それらをカットすればよいわけで,必要な光以外は遮ってしまうために,いわば「手をかざす」ことをやれば有害な反射をする光を防げます。これがフードの大切な役割です。

 ということは,もともと反射が少ないレンズにはフードはいらん,ということになるのですが,実際に最近はその通りになっており,設計者が「優れたコーティングと設計で反射の影響はほとんどないのでフードはいらない」というものも登場しています。

 しかし,もう1つのフードの役割を聞けば,あなたもフードをしようという気になるはずです。それは,レンズの保護です。

 レンズは高価です。しかも,重くて長く,およそ人間が持ち歩くに適切な形状とは言えません。自分の体の動作範囲から大きく外れたレンズは,とにかくぶつけたり落としたりするものです。

 悪いことに,レンズにとってぶつける,落とすは最悪の事故です。壊れてしまえば高額な修理代がかかり,最悪修理が不可能なこともあり得ます。しかし,フードがあれば,衝撃をフードの変形という形で受け止めてくれるので,レンズ本体への襲撃が衝撃が随分と緩和されるのです。

 もちろん,身代わりになったフードは交換が必要でしょうが,それは一般に安価です。

 それだけではありません。画角の外側からやってくる光を遮るなら,光以外の水や砂なども防いでくれるでしょう。レンズを守る働きもあるのです。

 こんな大切な役割のフードを粗末にするなんて,ひどすぎます。

 フードの役割はわかった。しかし,それは結局レンズ設計者の力不足を,後付けの部品でごまかそうとした薄汚い行動に過ぎないのでは?

 鋭い,しかし,こう考えて下さい。高額設計者は,最初からフードを含めて成功の性能を出すように設計したのだと。フードを付けない事こそ,設計者の想いを踏みにじる行為であると,そしてその結果,性能が出ないと揶揄されることを設計者は甘んじて受けねばならないことを。

 かくして,フードはレンズの一部であるとの結論に至るわけです。

 望遠レンズほど長いフードを,広角レンズほど浅いフードを使わないと画角に引っかかってしまうわけで,フードを見れば画角もわかるというメリットもあります。

 ところで,レンズは円形ですので,当然フードも円形になるのが正しいわけですが,実際に画像を描くのは円形ではなく,その内側の四角形です。6x6版のようn正方形のこともあるし,ライカ版のように3:2のこともあれば,4/3のように4:3の場合ありますが,厳密に言えばそれら四角形の外側の光は不必要な光ですので,フードも円形ではなく,四角形の方が,さらに言えば四隅は浅く,編の真ん中ほど深いものが理想となります。

 性能を重視すれば花形になりますが,花形フードの弱点は,性能を追求するあまり敬樹が複雑になり,金属では加工出来ず,現実的にプラスチック製になってしまうと言うことでしょうか。

 不細工な上に安っぽく,しかも最初はそもそもの性能が十分ではないズームレンズに付属されていたという経緯もあってか,特に望遠側では全く役に立たない花形フードはとにかく馬鹿にされ続けていました。
 
 ひいてはそれがフード全体と貶める結果になったことに,共感される方も多いのではと思います。

 しかし,これまでに多くの美しいフードが,レンズの先端を飾ってきたことを思い出して欲しいのです。

 ファインダーを隠してしまうので穴を開けてあるフード。
 鏡筒が短い広角レンズのフードは広く深いのが特徴です。
 角形フードは取り付け後に位置を調整する機構が備わっています。
 外側に広がるのではなく,内側にすぼまるフジツボフード。
 レンズ内蔵のフードの,あの滑らかなスライド感覚。
 二眼レフのフードは正方形です。

 アルミにはアルミの,真鍮には真鍮の,そしてプラスチックにはプラスチックの,それぞれに趣があります。それは良し悪しではありません。

 性能と格好の良さ,つまり機能性と芸術性の按分は,レンズやボディのように性能が重要視されるものとは違って,ずっと芸術よりだと想うのです。

 なのに,フードはなかなか顧みられません。最近は別売りになることも増えました。ひどいものは,フードが最初から用意されないことも散見されます。

 これでよいのでしょうか。一部の重篤なフード患者が騒いでいるという現状は歪んでおり,もっとフードにお金をかけ,性能と美しさが高い次元で両立する独自の世界を,我々は求めていかねばならないのではないでしょうか。

 閑話休題。

 TTArtisan 17mmF1.4です。

 35mm換算で25.5mmの大口径レンズとしては破格の安さ,性能も良く良く写り,ビルドクオリティも素晴らしくて,この値段で量産できるなんておかしい,と,昨今の中国の人権侵害の話まで飛び火しそうな素晴らしいレンズで,私もすっかり常用することになっています。

 しかし,悪いことが2つ。1つは決定的に不細工なデザインです。先端がすぼまった形状は,大口径レンズに一般的なたくましさに背を向けています。

 そして,似合うフードがありません。専用のフードが用意されていれば,少々不細工でも使うでしょう。しかし専用フードがないことは,好きなものを選べるという自由度以上に,似合うものを探し当てる苦労の方が勝ってしまうものです。

 こうして,私はまたもフード探しの旅に出ることになりました。

 最初に考えたのは,40.5mmのフィルター径にねじ込める広角レンズ用のフードを試すことです。amazonを探すと,丸形の浅いフードと,角形のフードが広角用として販売されていました。しかし,焦点距離が17mmでかつ鏡筒が長いレンズのですで,ケラれる可能性が高いです。

 しかも私は保護フィルターまで付けないと気が済まない面倒な人です。試して見るしかないと言うことで,とりあえず両方買うことにしました。フード病の患者は,ダブってしまうことを恐れません。

 届いた2つのフードは,悪いことにどちらもケラれてしまいました。

 それは,フィルターにフードを重ねても,逆にフードにフィルターを取り付けても同じでした。

 ならばやむを得ません。ステップアップリングを使いましょう。広角レンズにはフィルター径を大きくしてケラれることを防ぐといういにしえより伝わる先人の知恵があります。

 40.5mmをニコンの標準である52mmと,タクマーの標準である49mmにする2つを注文します。ダブっても恐れないのがフード病患者です。

 52mmだとニコンの金属製のねじ込みフードが使えます。49mmなら私の大好きなタクマー用の角形フードが使えるでしょう。確実なのは52mm,攻めるなら49mmです。

 結果は,52mmは余裕でOK。思った以上に格好良く,首から提げればまるで一ノ瀬泰三です。

 49mmはギリギリOK。ちょっと取付位置がずれるとケラれますが,正面からの格好良さは,思わずため息が出るほどです。

 これで勝負あり,このレンズには49mmのステップアップリングにタクマーの角形フードで決まりです。

 ここまで2週間。無駄なお金も時間も使いましたが,すべてはフード病の急性発作を抑えるための負担です。やむを得ません。

 そして,傍らには,まるでジャンクワゴンのように山盛りにあふれたフードとフィルターが満載の,ヨドバシの段ボール箱がひっそりとたたずんでいます。

 

クアデルノの潔さ

 黎明期のE-Inkに関わっていたこともあり,その見やすさや技術的な筋の良さも気に入って,歴代のKindleを愛用してきました。ゴソゴソと引っ張り出してみると,まだ日本で電子書籍サービスが始まる前にわざわざ海外から輸入したKindleDXを皮切りに,以後Kindle3やKindlePaperWhite,Voyage,Oasisと,順調に買い換えてきました。

 特に,Voyageがエポックメイキング私には記念碑を的な一台で,初の300dpi越えと言うだけではなく,フロントライトを暗所で見るためのものとしてではなく,紙に近づけるために搭載したこと,ディスプレイが奥に引っ込まないように工夫されていることなどが素晴らしく,開発者は熱意を持って取り組んだのだろうと思わせる一台でした。

 現在は一世代前のoasisを使っていますが,これは私にとってはVoyageのマイナーチェンジくらいのもので,現行のoasisも必要性を感じないので買い換えてはいません。

 E-Inkは文字通り電子制御の紙です。紙は書くことが出来るのも大きな魅力で,以前からE-Inkに書き込むデバイスは,ちらほらと目にしていました。

 しかし,どれも高価ですし,使い勝手も良さそうではありません。もともとプリンタの代わりにE-Inkを繋いでしまえることを理想として考えていた私ですが,本を読むというのではなく,A4やB5の紙を一覧し,必要に応じて其所に書き込むということを自然にしたいと思っていたにも関わらず,その価格と性能の問題が,ずっと私の欲求に邪魔をしていたのです。

 数年前,ソニーから私の希望に近いものが発売されたのですが,価格が高い上に法人向けと言うこともあり断念,ちょっと使う機会があって触って見ると,やっぱり紙とは違うというので興味も薄れていたのですが,先日偶然amazonをフラフラ見ていると,信じられない価格の電子ペーパーを見つけてしまいました。

 富士通のクアデルノ,です。

 これ,法人向けだったソニーのものを個人向けに販売したものと言われていて,価格は若干下がったとは言えA5サイズのものでも5万円。それはちょっと高いよなあと思っていたことを思い出して今したが,それが25000円ちょっとと半額になっています。

 私の基準では,3万円以上は覚悟が必要,3万円以下なら即買って後悔するのも一興,ということで,嫁さんの決済をとってポチりました。

 そうそう,安くなっていたのは一世代前のFMV-DPP04というモデルです。今年の夏にFMVDP51という新製品が出たため,型落ちになって処分されているという感じです。

 この次世代品は旧世代のものとは大幅に違っていて,タブレットがワコムのものに変わっていて抜群に良くなったとか,プリンタに直結出来るとか,ペンの種類をたくさん選べるとか,筆圧を認識するとか,それはもう別物です。

 ただ,電池寿命が大幅に短くなっていたりするので,良いことばかりではないのですが,そうした差分が引っかかりながらも,私は25000円で使えることを重視したわけです。

 届いた旧クアデルノは,私の勝手な想像を完全に超えていました。軽い,薄い,大画面。これが第一印象です。

 実際に書いてみると,さらに期待が裏切られます。書きやすい,レスポンスはもっと悪いものだと思っていた,消しゴムが使いやすい,などなど。

 そして,楽しい。

 娘もこの新しい文房具に夢中で,あれこやこれやと書いては消して楽しんでいます。人間は,それが何であっても,書くことが楽しい動物なんだなあと思いました。

 ということで,せっかくですので,軽くレビューです。

(1)大きさ,重さ
 A5用のFMV-DPP04ですが,実際に表示させるとA4でも全然問題はありません。多くの人がA4サイズのものよりA5サイズの方がよいと言っていますが,その通りでしょう。
 手に持ったときにまず驚くのが軽さです。そして薄さにも驚きます。
 これは,紙と言うよりクリップボードです。紙はほぼ無限にあり,消しゴムを使わずにさっと消せます。紙をめくることも必要ありません。素晴らしい。
 そう思うと,多少剛性感がないこともあきらめがつきます。華奢な印象が色が白色であることからも強まりますが,画面そのものはしっかりしているので,印象ほど悪い書き味ではありません。

(2)使い勝手
 まず充電です。それなりに時間がかかることも問題ですが,どれくらい充電されたのかがさっぱりわからないのはダメだと思います。いつも言っているように,モバイル機器というのは電池がなくなったらただのゴミです。
 そして,ペンにも充電が必要です。これもまあ仕方がないのですが,やっぱり電池残量がどれくらいあるかを知る方法がないのはストレスになります。
 次に操作系ですが,ホームボタンが上にあるのはやっぱり慣れません。それにペンを持った手でボタンを押すには持ち替えが必要になるので面倒です。ペンでも操作できるようにして欲しかったなあと思います。
 それと,ファイルの管理方法がどうもしっくりきません。しかもホームボタンを押して出てくるとカテゴリは,結局フォルダに飛ぶだけのショートカットですので,私のようにスケジュールを使わない人は,ホームメニューのスケジュールが無駄になります。これもカスタマイズが出来て欲しいかなあと思いました。
 ネットワークが搭載されているのは当たり前と言っても良いのですが,問題はその使われ方です。NASに直接アクセスできるのは普通の事だと思うのですが,今どきPCを母艦にしてSYNCするという仕組みですから,30年前の考え方ですよね。Palmを思い出す老人も多いことでしょう。
 WEBにアクセス出来ない事も問題です。いろいろ難しいこともあるのでしょうが,WEBアクセスとNASへのアクセスくらいが出来るゆおになっていないと,PC上の専用アプリが開発中止になることが,この製品の寿命を決定してしまうことになるので,残念だったなあと思います。
 また,せっかくPCを母艦にするのに,ファイル変換をしないというのも解せません。というのは,本体に転送できるファイルがPDFに限定されていることを窮屈に感じたからなのですが,まさかテキストくらいは大丈夫だろうと思って試したところ,テキストでさえも転送できないという現実に愕然としたのです。せめてテキストくらいはなんとかして下さいよ。
 もう1つ大事な事ですが,書き込めるのがハンドドローイングの線画のみで,文字入力が出来ません。クアデルノはPDF編集ツールという側面もあると思うのですが,文字を入力出来ないことで,例えば何かの書式に文字を記入することが出来ないので,結局PCを使うことになってしまうのです。
 手書き文字で書き込むというのも,許されていない場合やふさわしくない場合もあるので,やはり文字入力は必須だと思います。
 機能的に不可能なものではありません。ソフトウェアキーボードもかな漢字入力もファイル名の編集などで使えるようになっていますので,もしこれが実現したらPDFに直接記入できるハードウェアという,新しい役割が生まれると思うんですけどねぇ。

(3)ペン先
 ペン先は結構すり減ります。これだけ柔らかいから画面に傷が付かないんだと思いますが,それならそれでもう少しペン先を安くして欲しいなと思います。1本200円もすると,ボールペンより高いですよね。

(4)細かい機能
 WiFiは便利ですが電池の消費が大きいので現実的にはOFFにしないといけないとか,Bluetoothは接続が出来ないので使い物にならないとか,PCを母艦にする必要ってないよなあと思ったりしますが,文字の色が黒と赤と青だけで,同時使用が2色だけというのは厳しいなと思います。
 また,ページ送りの方向がファイル単位でいちいち設定しないと面倒ですし,操作の一部に指で操作するものがあって,いちいちペンを持ち替えないといけないのも,もう少し考えて欲しいところです。

(5)ScanSnapに接続
 実はScanSnapに接続して,直接紙を取り込む事ができます。これ,結構便利だと思うのですが,残念な事に現行のScanSnapには対応しません。私は数世代前のWiFiモデル(iX500)を持っているので試せるのですが,冷静に考えてその必要性ってあるかなあと思うと,試す気にはなりません。

(5)まとめ
 あれこれ書き散らかしましたが,PDFに手書き出来て,それをPDFとして保存したり印刷出来る事が何よりのメリットですし,実は大きな画面であることを利用して電子書籍端末としてもなかなかよいと思います。
 その場合対応フォーマットがPDFのみというのが最大の問題ですが,家中の機械の取説を集めておくとか,学校のプリント類を溜めておくとか,そういう用途はかなり有効だと思います。
 
 ごちゃごちゃ書きましたが,やっぱり楽しいですし,紙の手軽さや機動力を損なわない,良く出来た商品だと思います。

 ゆえに,紙よりも遙かに高価であることをすぐに飲み込める人は限られるだろうなあと思いますし,つまりそれはPCの連携やPDFであることにお金を出せる人という事になります。

 大学関係者が論文を持ち歩くのに最適で,もはやその界隈では必需品とも言われているようですが,なるほどそれも納得出来る話です。

 どっちにしても,私は大変良いものを買ったと思っています。最新のクアデルノである必要は今のところ感じません。この機能でこの価格なら買い,です。

 私は,長年愛用している"Makers Note"を1枚スキャンし,ノートのテンプレートとして使うことにしました。これでMakers Noteが無限に使えるようになりました。

 あれ,買って数日で500円ほど値下がりしてる・・・


08 Wide Zoomの修理~戻ってきたが残念な事に

 08 Wide Zoomですが,実は先週のうちに戻ってきていました。

 もう一度リペアサービスを依頼し直し,宅急便で同じ場所に送り直してから数日後,シリアルナンバーのシールを貼り直すために,シリアルナンバーが変わってしまうが構わないかとメールが届きました。

 それは避けようがない事で,私は了解をしました。

 そして数日後,私の手元に戻ってきたというわけです。

 くしゃくしゃになったシリアルナンバーシールを,そのまま貼り付けて知らん顔をし,それをお客に指摘されるというプロとして恥ずかしいことをやらかしたわけですので,もう完璧に仕上げてくれると信じていました。

 だって,指摘したところがきちんと治っているかどうか,見るのは当たり前じゃないですか。

 しかし,私の期待は残念な事に,打ち砕かれてしまいました。

 以前よりましになったとはいえ,相変わらず貼り方が汚く,指で触るとデコボコとした感触があります。これでOKなんですかね,PENTAXの基準としては。

 おそらくですが,目の悪い方が修理の担当をされたのでしょう。私もそうだからわかりますが,目が悪いと気が付かないかも知れません。でも,目がいい人,メガネをしている人には完璧にわかるお粗末さですし,なんといっても指で触れば感触でわかります。

 うーん・・・PENTAXの修理にはいい印象がこれまで全然なかったのですが,今回はもう決定的です。

 まず,人のものだという意識が薄いです。バレないだろう,バレたら対応すればいい,という製造業に関わる人間として最悪のことが起きています。

 それから,修理の品質が低いです。私のレンズはQのレンズですから数万円,修理代金も13000円ほどですが,金額の大小ではありません。
 
 こんな人たちに30万円も40万円もするものを安心して預けることは出来ませんから,PENTAXの高額な製品など,恐ろしくて買うことは絶対に出来ません。

 K-1もかなり心が動いたのですが,本当に買わなくて良かったです。

 ニコンは以前と違って壊れるようになりましたし,修理に出すと一悶着あるにはありますが,双方が納得した後の修理は完璧で,期待を裏切られたことはありません。扱いも丁寧ですし,安心して預ける事が出来ます。

 意識の違いは,もはやいかんともしがたい。
 私の中では,もうPENTAXは潰れて存在しなくなったことにします。
 さようならPENTAX,これまでありがとう。

 私は,この08 Wide Zoomを,自分の手でなんとかすることにしました。

 まず,シリアルナンバーシールを丁寧に剥がします。このシールはベースがアルミですので,シワが付くともう取れません。

 指にゴロゴロした感触があったのは,どうも両面テープが綺麗に剥がれていなかったからのようで,テープとレンズの両方をアルコールで丁寧に拭き,両面テープを完全に剥がします。しかし,やっぱりシワもあります。これは困った。

 シリアルナンバーシールを何度も指でしごき,平面の板の上で爪楊枝の先端をこすりつけて,出来るだけシワを伸ばしていきます。

 シワはなくなったのですが,途中で曲げてしまった折り目を付けてしまった事と,しごきすぎて表面の色が黒くなったこと,それから保護層が若干めくれてしまったことで,綺麗にはなりませんでした。

 もう後戻りも出来ませんので,このまま薦めます。LCDを貼り付けるための極薄の両面テープをシールに貼り付けて,ボディに貼り付けます。

 これで指のゴロゴロとした感触はなくなりました。シワも目立たなくなり,黒ずんだところがあることを除けば,なかなか綺麗になっています。

 もうこれ以上は無理でしょう。見た目だけの話であれば,Qのレンズのジャンクでも買ってきて,そのシリアルナンバーシールを剥がしてやれば綺麗に出来るでしょうけど,それがシリアルナンバーとして機能するのかと考えると,そんなことをする気にもなりません。

 ということで,08 Wide Zoomも,私の手でなんとか,納得出来るところまで仕上げました。レンズそのものはちゃんと動くようになっていますし,そのうちこれも修理可能な期間を過ぎてしまうことでしょう。

 そうなればもう,私はあの残念なPENTAXとは縁が切れます。

 思い出話をすればきりがありませんが,私のカメラの原体験はASAHI PENTAXですし,SPです。カメラの面白さや楽しさをこれで学びました。しかし,K10Dの品質の悪さ,FA43mmの修理不良,そして今回の08 Wide Zoomのいい加減な使いと,もううんざりです。

 ファンを囲い込んで,あれこれと画策しているようですが,そういうことをする前に,きちんとやるべきことをやって,今いるファンを大切にすることを,PENTAXには考えて欲しいと思います。

08 Wide Zoomの修理~そして再修理へ

 私のPentaxQ7は,Qの皮を被っています。Q7のデザインは好きですし,オリーブドラブのカラーも気に入っていましたが,マグネシウムを纏ったQの質感にはあらがえず,予想に反して大変な困難を経て,私のQ7は外側から見るとQになったのでした。

 そのQ7には,08 Wide Zoomが常にマウントされています。というか,これと06 Telephoto Zoom以外には価値を見いだせなくなっているので,08 Wide Zoomは手放せない1本になっています。

 小さく軽く,被写体を警戒させず,写りは隅々まで文句なく,とても楽しいレンズです。残念なのはこのレンズの能力を生かし切ることの出来るボディがとうとう出なかったことで,正直Q7の1240万画素はこのレンズには物足りません。

 その愛すべき08 Wide Zoom,そういえば渋谷のビックカメラ(東口)で買いました。このレンズが発売になった直後,なにかの用事で渋谷に出向き,もう半分くらい買う気で立ち寄ったビックカメラで,店員さんとしばらく立ち話をしたのですが,どうも彼はペンタックスの関係者だったようで,しきりにこのレンズをプッシュしてくれました。

 こちらも気に入って買う気でいたわけですから,悪い気はしません。Qのレンズとしては高額だった08は果たして私のお気に入りとなり,現在に至っています。

 聞けば高額だったことが仇になり,そんなに数が出ていないとのこと。06が安価で今でも販売されていることを考えると,もともと08は数を作る気がなかったレンズで,一部のマニアに届けばいいと考えていたのかも知れません。

 で,私は娘の小学校のイベントで出向くときには,きまってこのQ7と08 Wide Zoomの組み合わせで出かけます。学校のような広い場所で超広角ズームは威力を発揮しますし,なんと言っても楽しいです。小さく軽く,一眼レフの形のまま小さくなったQシリーズはとても可愛く,ちょっと太めの08がつくとますますミニチュア感が増します。

 この画角でこの小ささは代わりのものがありませんし,それでいてしっかり写っていますので,手放せないわけです。

 先日,ちょっと手に取って電源を入れると,シャッターが開く音がしませんでした。LCDには真っ暗な画像が出ています。壊れた!

 とりあえずレンズとボディの接点を綺麗にしたところ解消したようなので様子を見ることにしたのですが,数日後学校に持っていって,同じ症状が出たこと,のみならずワイド側でメカシャッターが動作していないことに気が付きました。テレ側だと動作するのでその場をしのぎましたが,再現性もありますし,どうにかしないといけない問題です。

 そこで早速修理の手配です。いちいちサービスに持ち込めませんので,ピックアップサービスを依頼します。しかし,どうも様子が変です。調べてみるとPENTAXって,サービスを完全に外部に出してしまったんですね。

 まあ,そのことは別に気にしないのですが,もともとPENTAXの修理にはどうも不安があります。以前FA43mmを修理に出したとき(AFカプラーが折れてギアに噛み込み,フォーカスリングが回らなくなった)も,返却後調べてみたら絞りリングのストッパが効かなくなっていて,再修理になりました。

 まあ,そう何度も続かないだろうと,ヤマトの宅急便で,私の08 Wide Zoomは引き取られていったのです。

 見積り金額は12000円。これにコレクト手数料やら消費税やらで13640円になったのですが,故障箇所はシャッターで,交換という事でした。

 交換した部品を返して欲しいとお願いしたら,それは出来ないとつれない返事。理由を知りたいと粘って見たら,今年10月からリコーの方針として,SDGsやら環境保全やらを理由に,部品の返却をしないことになったそうです。

 ほんまかいな,リコーに聞いてみようかとも思いましたが,バカバカしいのでやめました。

 そこからまたしばらく,修理に出してから2週間もかかって,ようやく私の08 Wide Zoomは返ってきたのでした。

 さっそく検品をします。動作は問題なさそうです。ちょっとAFの音が大きくなったように思うのですが,動いていればまあいいとしましょう。

 しかし問題は,シリアルナンバーのシールを見た時に発覚しました。

 シリアルナンバーのシールが,貼り替えられています。正確に言うと,一度剥がしたシールを貼り直しているのですが,そのシールがくしゃくしゃになって浮いているのです。

20211227132548.jpg


 あれですね,きっと部品の交換を行ってシールを貼り替える必要が生じ,ピンセットか何かで剥がすときに傷んでしまい,あろうことかそれをそのまま貼り付けて済ませてようです。

 シリアルナンバーというのは文字通り唯一無二の個体識別の番号です。これを示したシールはいわば証書であり,このシールが剥がされていたり,番号が消えたりかすれていると中古の買い取りを断られることもある重要なものです。

 メーカーでも不正防止のために厳重に管理し,重複がないようにしますし,偽造防止も行います。

 そんなシリアルナンバーシールを,こんなにぞんざいに扱って,しかもそのまましれっと送り返してくるなんて,どういう神経してるんでしょう。

 気付いていないという事はないでしょう。作業に失敗した時の問題ですから。シールを作り直すと手間も手続きも面倒なので,とりあえずそのまま返して怒られたらその時対応しようと,そんな風に考えたのかも知れません。

 どっちにしても,このレンズは私の所有物で,だから修理品は「預かり品」というのです。人の持ち物を傷めておいて,そのままなにも言わずに返してくるとは,何事か。

 私は,これをみてとても残念な気分になりました。技術者のスキルが低下したこともそうですが,それ以上にプロとしての自覚というものがないのかと,悲しくなりました。

 気が進みませんでしたが,すぐに電話をして,事情を伝えました。怒ったり怒鳴ったりせず,淡々と「これはプロの仕事ではない,やり直して欲しい」と伝えました。

 先方は心当たりがあったのでしょうか,平謝りで,すぐに送り返して欲しい,きちんと対応したいと言って下さいました。シリアルナンバーに関係する話ですので簡単ではないと思い,具体的な話を聞いてみましたが,シールを作り直して張ると言うことでした。

 人間ですから,ミスもあります。失敗することもあると思いますが,問題はその失敗をどうやってリカバーするかだと思います。もちろん,失敗がないよう訓練するのがプロの条件ですが,それでも起きたミスはプロらしく誠実に対応するのが,社会から信用されるプロフェッショナルではないでしょうか。

 私に言わせれば,先の尖ったもので無理にシールを剥がし,くしゃくしゃになった物をそのまま再利用するなどというのは,素人の仕事です。それに,シリアルナンバーの貼り替えなどは日常的に発生することであり,なぜこういうずさんな作業を行ったのか,本当にプロの仕事なのかと,疑いたくなります。

 しかも,一目でわかるものを,そのまま送り返してくると言う図太さも信じられません。こんなことでは,見えないところ(つまり内部)でどんないい加減な修理を行っているのか,わかったものではありません。

 このところ,こうしたサービスの低下を感じる事が増えました。

 我々の1つ上の世代は。昨日より今日,今日より明日が良くなっていることに何も疑問を持たず,毎日希望を持って生きていたそうです。今そんなこと言うと笑われますが,そういう私も,今あるものは明日もあると何も疑っていませんでした。

 しかし,そんなことはない,今あるものも明日なくなるかも知れない,そんな危機感を感じるようになっています。維持できなくなれば消えてしまう,そんな当たり前の事に気が付くのが遅かったと思うのですが,変化はゆっくりで,そんな場面に直面しないとわからないこともあって,実は多くの人は「そんなものか」で済ませているんじゃないかと思ったりします。

 とはいえ,それまで走っていた電車が廃止になって生活が一変することなど,地方に行けば珍しいことではありません。つまるところ,都会でもそういう負の変化が起き始めていることに,ようやく気が付いたということかも知れません。

 さて,私の08 Wide Zoomは,もう一度修理に旅立ちます。次に戻ってくるときには,元通りになってくれているといいんですが・・・

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