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AppleCare+に加入しました

  • 2025/11/19 14:46
  • カテゴリー:散財

 思う所があり,先日購入したばかりのMacBook AirにAppleCare+を付けることにしました。1年ごとに10800円で自動更新されるものです。3年で29800円というのもあったのですが,3年は長いなと思ったので1年ごとにしました。

 ややこしい話で私も誤解していたのですが,AppleCareは製品のサポート全体を指し示している言葉のようで,このサービス体系の1つであるAppleCare+というのは一種の保険です。

 いわゆる1年保証というのはハードウェア製品限定保証と呼ばれていて,ユーザーに瑕疵のない自然故障の場合に無償修理を行うという品質の保証ですが,AppleCare+は過失による破損を含めたすべての故障をカバーするもので,MacBook Airの場合,画面のや外部筐体の修理は12900円,それ以外の修理は37100円の定額料金で修理出来ます。

 一種の保険ですので,AppleCare+は購入後30日以内に加入しなければなりません。途中解約があった場合には返金されますので,このあたりも保険と同じかなと思います。

 実際の所,LCDが割れた場合など,修理代は7万円とか8万円とかかかるそうです。これがAppleCare+なら12900円で済むと言うことですから,過失による故障を1回お願いすれば元が取れるという計算です。

 ただ,保険のような物ですので,どんな修理でも適用されるかと言えばそんなことはなく,適用される修理にはルールがあります。通常の使用において使用をきたすと思われるような故障の修理が,その適用範囲です。だから,少し角がへこんだとか,画面にちょっと傷がついたとか,その程度の場合にはAppleCare+ではカバーされません。

 それは当然だといえて,もしどんな修理もカバーしていたら,ちょっと汚れただけで何度も修理に出す人が出てきてしまい,Appleは大損をすることになりますし,そのせいで保険料,すなわちAppleCare+の価格が跳ね上がることになるでしょう。

 全額自腹で修理ならどうぞご勝手に,ということだと修理を思いとどまる人もでてくるわけで,保険を使う場合にはズルが出来ないようにあれこれとルールがあり,当然それに従わなければなりません。

 保険の適用基準と同じで,このルールは公開されていないそうです。Appleの内部でも誰でも判断出来るわけではなく,判定の資格のある人に聞いてみないとわからないそうです。だから,些細な傷だと自腹になるかもしれませんし,逆にあまりに破損がひどくて修理不能になるような場合も,適用外になるようです。

 AppleCare+の大きなメリットの1つは,ハードウェア製品限定保証が延長されることにあります。

 これ,品質に対する保証が延長されることにちょっと驚いたのですが,自然故障であっても1年が過ぎればユーザーの瑕疵と同じ扱いになるところを,普通に使っている限り無償でAppleが修理代の面倒を見ますよ,といってくれているわけで,AppleCare+の最大のメリットではないかと思います。

 ただし,あくまで延長ですので,最初の1年は加入の有無に関係なくハードウェア製品限定保証が受けられますから,この点において加入によるメリットはありません。2年目以降にハードウェア製品限定保証が受けられることが大きなメリットとなります。

 つまり,AppleCare+に加入している間は,ユーザーに落ち度があろうとなかろうと,37800円以上の修理代金がかかることはなく,しかもユーザーが普通に使っている限り修理代がかからない可能性が高いという安心感が得られるというのは,なかなか良い条件の保険ではないかと思います。

 私個人は,大事使う自信があるのでこれまで使ってきたMacに対して,AppleCare+やその他の保険に加入することはしたことがありません。幸運なことに,そもそも故障することがありませんでしたから,高額の修理代に泣いたことはありません。(リコールによって無償修理になったことは何度かあります)

 聞けば,MacBookシリーズは,ちょっとしたことでLCDが壊れることがあるんだそうで,例えばヒンジの近くに米粒でも挟んだままフタを閉じると,簡単にLCDが壊れてしまうらしいです。異物を挟むようなことをしなければいいわけですが,米粒くらいの大きさのものはつい見落としてしまうこともあるわけで,持ち歩く人にとってはそんなにタフなマシンではないということを自覚するべきなのかも知れません。

 そういえば,私は引きこもり体質ですし体力もないので,家から出ることがあっても最小限の荷物しか持ちませんから,外にMacを持ち出すことなどほとんどなく,その点でも私はAppleCare+に加入しない方が良いと言われる側の人間だと思います。

 しかし,今回加入したのは,故障はいつ起こるかわからないものだと思ったからです。自然故障もそうですが,私の不注意も発生頻度は低くても起きるときは起きます。実際,これまで使っていたMacBook Airだって何度も床に落としましたし,気が付かないうちに傷やへこみが着いていました。それが故障に繋がれば,やっぱりお願いするしかありません。

 今回はMacBook Airでも上位バージョンを買いました。ゆえにマザーボードの故障のような場合では修理費用も大きくなる傾向があるでしょう。画面に物がぶつかって破損するなどは一瞬の出来事で,10年で一度くらいの発生頻度だとしても,起きてしまえば高額の修理代がかかります。

 その意味で,今回のMacBook Airは,安心して使っていようと思ったのです。1年で解約するか,2年で解約するかはその時に考えようと思っていますが,1年間故障なしで動いた工業製品はそのしばらくは壊れないものなので,2年目以降は丁寧に使うことを条件に解約するかも知れません。

 それなら,購入後から丁寧に使ってAppleCare+に加入しないと言うのも選択肢でしたし,事実これまでそうして困った事などなかったのですから,今回の加入は心配しすぎかなと思ったりします。でも,こうして迷っているときに限って,なにかやらかしてうっかり壊してしまう事ってあるものですしね・・・

 もともとMacは高価なコンピュータでした。円高が進んだ時期には随分安くなった物だと思いましたが,円安の昨今では,もっと安いPCを買うことも可能です。

 そこは長くMacを使ってきたからと言う蓄積もそうですし,macOSの使い心地が気に入っているという事も理由の1つとしてあります。加えて,AppleSiliconの強烈な処理能力です。しかも低消費電力で,MacBook Airに至ってはファンレスで動くのです。

 少々高額になってしまうMacではありますが,だからこそ高額になりがちな修理代の心配をしないで使っていたいなと思う訳です。

 

MacBook Air 2025 M4に買い換えました

  • 2025/11/05 15:32
  • カテゴリー:散財

 これまで使っていたMacBook Airは2020年発売のM1で,発売と同時に注文し12月から使い始めました。13インチで8MB/256GBの一番安いモデルだったのですが,まだ円高だったこともあり,10万円ちょっとで買えたことが今となっては信じられません。

 今回買ったのも13インチのMacBook Airですが,M4搭載の現行機種で16MB/512GBですので,GPUも10コアとなりますが,お値段は194800円と一声20万円にもなります。

 買い換えた直接の理由は,音楽制作環境を整えるなかでストレージが一杯になってしまったことですが,今このタイミングで買い換えないと古いMacBook Airの買い取り金額が二束三文になるだろうという焦りもありました。

 AppleM1という素性の分からない謎のCPUの将来性を盲目的に信じ,発表と同時にMacBook Air2020を買って5年が経ちました。

 CPUの変更という大きなリスクに私は賭けたわけですが,想像を遙かに超えた性能の高さに当時驚きましたし,5年を経てほとんどのソフトがAppleSiliconネイティブになりました。

 そしてこの5年間,ちょうどコロナ禍にあり家にいる時間が長くなった毎日を,共に過ごしてくれた頼もしい相棒でした。まさに一緒に駆け抜けた感じです。感謝しかありません。

 発売と同時に買った私は,いわば評判が定まる前の人柱です。しかし結果は大成功で,5年経過した今もパワー不足を感じません。この使い心地のマシンを10万円で買うことは円安の進んだ今やあり得ず,使い潰すのが一番良い選択肢ではないかとも思っていました。

 ただ,バッテリーの性能は否応なく低下しますし,ストレージも換装できませんから,どこかで必ず限界が来ます。5年はマシン買い換えの目途でもありますし,今後値段が下がることも難しいだろうという事で,M4のマシンを買うことにしたわけです。

 繰り返しになりますが,今回購入したのは,13インチMacBook Airの2025年モデルです。16GB/512GBで,GPUも10コアになる竹モデルになります。お値段が194800円とMacBook Proに迫るお値段ですが,MacBook Proにしなかった理由は後述します。

 今回の買い換えは,10月末に搭乗したMacBook Proの14インチモデルを見た事がきっかけでした。M5が搭載され16GB/512GBでも248800円というのはかなり魅力的で,同スペックのAirとの価格差を考えると,絶対こっちだなと思っていました。

 しかし,私がMacを買うときには大きな問題があります。キーボードです。USキーボードにこだわっている私は,いちいちカスタマイズをしないといけないのです。

 なので私はいつもAppleストアで買うことを余儀なくされていたわけですが,これも発売直後に限られた話で,半年もすれば一部の量販店ではカスタマイズを受け付けてくれますし,キーボードの交換などの定番のカスタマイズについては在庫を持ってくれていて即納だったりすることもあります。

 USキーボードのモデルが即納でポイントも返ってくるなんて,夢のようです。

 ただ,出たばかりのMacBook Proでは,まだカスタマイズも受け付けていません。どうしても欲しいならAppleストアでカスタマイズをすることになるでしょう。

 そこで他の選択肢を探してみます。ヨドバシ.comを探してみると,なんと奇跡的に13インチのMacBook AirのUSキーボードモデルの在庫が見つかりました。

 のちの我が家にやってくることになるこの在庫は,10コアGPUで16GB/512GB,色はミッドナイトで1948800円で売られていました。USキーボードのモデルが明日届く・・・これは魅力的です。

 55000円の差は,憧れのProを標榜するMacBookであり,かつM5という最新のCPUを搭載するモデルであれば十分に小さいと思ってましたので随分悩んだのですが,初代のM1だって十分現役が務まるのに,Proであること,しかもM5であることを実感することがどれだけあるだろうと考えた時,やっぱり大きな金額の差だなと冷静に考え直しました。

 それより,USキーボードのモデルが今すぐ手に入ること,最新のMacBook Pro(と初代のM1のMacBook Air)を見ると,ちょっと割高だなと思いつつも,私が必要としている512GBのSSD搭載というスペックのMacにおける最安値のモデルであることを考え,買うことにしたのです。

 そうそう,私は色にはこだわりがなく,むしろその時に手に入る色を楽しむ人です。ミッドナイト,初めての色ですが面白そうじゃないですか。

 さて,約束通り翌日に届いたMacBook Airですが,いつものようにファーストインプレッションです。


・外観

 M2のMacBook Airからデザインが変わったので,M1を使っていた私はこのデザインが初めてです。Airといえばくさび形という私にとって。この弁当箱のようなもっさりしたデザインは普通過ぎて,Airであることを主張していないなあ,という印象です。

 とはいえ,パッと手に持った感じはAirそのものです。カバーを付けてしまえば流麗なくさび形もスポイルされてしまいますから,これはこれでいいのかも知れません。

 キーボードもこれまでとそれほど変わらず,若干しっとりとした感じがあるものの,大きく打鍵感を変えるような物ではありません。

 最上段のファンクションキーが大きくなっているのが美しくないと思いましたが,ESCキーが大きくなっているのは歓迎です。

 これまでのM1モデルでは,充電はUSBコネクタで行うことになっていました。貴重なUSBが充電ごときで埋まってしまうことに不満がありましたが,今回のモデルは,充電はMagSafe3として独立し,USBは温存されることになりました。しかも,従来通りUSBからも給電できるので,拡張性も充電の便利さも両立できて便利になりました。


・LCD

 M1のMacBook Airとちがい, LCDは角が丸くなっていて,カメラをよけています。その分狭くなって,かつ見にくくなるだろうと思っていたのですが,画面が狭くなった感じはしません。調べてみるとピクセル数が減ったわけではなく,LCDをカメラの位置まで広げたということで,むしろ広くなっていました。

 カメラを避けるということについても,この場所はメニューバーなので,コンテンツを見るわけではありません。メニューバーならOSの支配下にある訳ですし,統一された使い勝手を提供してくれているからか,思ったほど違和感を感じませんでした。

 それから,色も良くなっていますよね。私はいつも,どのマシンでもカラーマネジメントを行っていたのですが, ColorMunkiが最新のOSに対応しないという現実に落胆したものの,信じてTrueToneをONにすると,カラーマネジメントを行ったLCDとほぼ同じ色味になってくれました。

 X-RITEのソフトはちょっと怪しいところもあり,出来れば使いたくないというのも本音で,TrueToneが使い物になることはうれしい誤算でした。


・音

 M1のMacBook Airもなかなか良い音がしましたが,新しいMacBook Airはもっと良くなっているようです。ただ低音が出すぎていることと,高音がさっぱり出ていないので,使い物になるかと言えば,まだまだそこまでの実力はありません。


・処理能力

 M4はTSMCのN3Eという,第2世代の3nmプロセスで作られていると言われています。M3と違い,M4はCPUコアそのものにも手が入っているらしく,行ってみればフルモデルチェンジのようなものです。

 280億のトランジスタが集積されていて,クロックはピークで4.4GHzだそうです。コアはM1から高効率声が2つ追加されて全部で10コアです。Appleは公式にはM4はM1に比べて2倍高速と言っていますが,もっと差がついてもいいんじゃないかと思います。

 L2キャッシュは20MBですが,これは28MBのM5に比べて小さく,メインメモリの帯域が120GB/sに対しM5の153GB/sであることとあわせて,重い仕事をさせた時の速度低下に聞いてきそうな気がします。

 GPUについては,私があまりGPUを使うことをやってませんので差はわかりません。加えてAIもほとんど当てにしていないので,M5のメリットはそれほどなかったかも知れません。

 体感的には,M1とそんなに違いません。新しいマシンを買うと,WEBブラウザの速度やGUIの動きでCPUパワーの向上を体感する物ですが,今回は全く差を感じる事がなく,拍子抜けしました。

 それほどM1のMacBook Airが良く出来ていたということでしょうし,今でもM1のMacBook Airが現役で使えると言うことなんだと思いますが,それでもmacOS26 TahoeのGUIが重たいのは,きっとM1には荷が重いからだと思っていただけに,M4でも大きく改善しなかったことが残念ではありました。

 ただ,重い処理でもへこたれず,涼しい顔をしてサクサクと動くところがさすがで,速度低下がない頼もしさは感じます。

 それから,ffmpegでx265をエンコードすると,M1くらべて2倍から2.5倍くらい高速です。これはなかなか大したもので,CPUのコアが増えたこと,クロックが上がった事,メモリ帯域が広がったことがこの差に繋がっているのでしょう。


・電池の持ち

 M1のMacBook Airと変わりません。電池の容量も少し増えているようですが,メールやWEBなどの普段使いでは,そんなに違いは感じません。


・WiFi

 WiFiはWiFi6Eに対応し,WSR3600BE4P/NWHの最高速である2882Mbpsでリンクします。有線が1Gbpsですから,このあたりでもう頭打ちでしょう。WiFi7には対応しませんが,うちの環境ならべつに構わないと言ったところです。


・環境移行

 環境の移行は,今回はThunderboltを使いました。最初に試みたTimeMachineからの書き戻しは,OSのバージョンが合わない(新しいMacの方が古いOSだった)ためすぐに出来ず,新しいMacを最新のOSにするためにダミーのアカウントを作ってログインが必要になるので,無理に初回起動の移行アシスタントに頼る必要がなくなったためです。(初回起動時のアシスタントではThunderboltでの移行が出来ないのです)

 移行アシスタントのアプリを,出し側と受け側の両方で立ち上げ,Thunderboltのケーブルで繋ぎます。さすがに40Gbpsフルの速度は出ませんでしたが,ピークで25Gbps程度は出ていたでしょう。あっという間に100GBを越えるデータが移行出来ました。

 これはもう,WiFiやUSB3なんかで移行をやってる場合ではないです。この用途のためだけに,Thunderboltのケーブルを1つ手元に置いておくことをお進めします。


・まとめ

 M1の時に味わった圧倒的な性能差による感動は,5年経ったM4では感じる事が出来ませんでした。普通に使っている限り,M1とM4の違いは見えにくいという事でしょうし,それだけM1がすごかった,以後の進化は少しずつだったという事がわかります。

 その意味では,M1のMacBook Airはまだまだ使えるマシンで,これを10万円で買ったことは本当にお得だったと思います。新しいM4のMacBook Airは2倍の値段がするわけですが,2倍の差を味わえますかと言えば,それは難しいでしょう。

 もちろん速度は上がっていますし,メモリもストレージも倍増ですから,重いアプリも膨大なデータもこのMacBook Airなら不安はありません。しかし,そんなシーンが誰にでもあるかと言えばそんな風にも思えず,今後エントリーモデルとしての役割も担うMacBook Airが,どんな性能でどんな価格で出てくる事になるのか,気になってきました。

 厳しい言い方をすれば,M1でぐっと底上げされたマシンパワーをOSやソフトが使い切れていないと言うことになります。見た目の美しさにCPUパワーを使うのではなく,もっと本質的な使いやすさの向上にCPUパワーを使って,M1からM4に買い換えたら自分のやりたいことにすぐに手きストレスが半減した体験が提供出来ていないというのも,心配になりました。

 加えて,Proとの差をもっと広げないといけないと思いますし,エントリーモデルであることを主張する本国での$999という最下位モデルの価格が,日本では164800円になってしまうのも,やむを得ないこととはいえ,残念だなと思います。

 そんなわけで,5年前の10万円のMacと,最新の20万円のMacで,それほど大きな差を感じる事が出来ませんでした。同じ値段でも5年経てば感動する暗いの違いがあるものだったのに,いろいろなところで停滞感を感じてしまいます。

 もちろん,器は大きく,重い処理もこなしますし,512GBになったSSDは外海に出たような開放感です。それをこれまでの同じ手触りで楽しめるのですから,そこはとても満足です。

 こういうことだと,MacBook Proを買っていたらどうなっていたんだろうと思います。サーマルスロットリングがないこと,少し画面が広がったことで,M1のMacBook Airとの価格差15万円と大きくなったことをすっと受け入れられたでしょうか。

 

2025年11月12日追記

 ヨドバシで査定してもらったMacBook Air 2020ですが,なんと49000円になりました。査定が39000円,キャンペーンが10000円で合計49000円です。かなり状態が良かったので,と言うお話も頂いたので,誠実に査定をして下さったんだなあとおもいます。
 どうせキャンペーン分だけ査定を割り引くんだろうとか,あれこれと難癖を付けて(たとえばUSキーボードだからとか)査定額を下げるんだろうとか思っていたんですが,私の間違いでした。
 少なくともAppleストアで下取りに出すよりは高いんじゃないかと思います。5年使って残存価値が約5万円というのは,11万円で購入したマシンとしてはかなり高いと思います。さすがリセールバリューの高いApple製品です。
 天下のヨドバシから5万円もの現金を持ち帰るなんて芸当は,なかなか出来るもんやないです,ほんま。

nanoKONTROL2を改造する

 nanoKONTROL2というガジェットを買いました。

 続にフィジカルコントローラという音楽制作のツールで,スライダやらツマミやらボタンが一杯ついている,物理的なコントローラです。

 ハードウェアをソフトで実現して統合した物がDAWのくせに,操作部分,つまり人間との接点はやっぱりハードウェアがよいという,なんだかおかしな話ではあるのですが,おもいおこせば1980年代,DX7を端緒としてボタンとLCDだけになったシンセサイザーが,その絶望的な音作りの面倒臭さゆえにスライダーをパラメータごとに備えた専用のプログラマーをオプションとして用意していたのと,同じようなお話だと思います。

 私もDAWを使うようになり,トラックパッドでのミキサーの操作に辛い肩凝りを誘発してしまい,フィジカルコントローラへの興味がこのところ出ていたのです。

 そこへ,microKEY Airに付属していたはずのバンドルソフトや音源のライセンスカードをなくしてしまい,探し回るよりもお金で解決するのが大人だろうと,同じコルグから出ていたnanoKONTROL2を買ったというわけです。

 でもこれ,10年ほど前に出た物がそのままのロングセラーですし,しかも当時の価格は5000円程度だったそうで,今の半額です。これだけ円安が進むとバンドルソフトの価格だけでも5000円を超えるだろうと思うので無理もないのですが,なんでも早めに買っておく方が得をするんだなと,物価高が本格的に庶民を襲う昨今の教訓にしないといけないところです。

 で,とりあえず手に入れたnanoKONTROL2ですが,これが1万円というのはちょっとどうかと思う安っぽさ。とりあえず便利になりそうですし,大きさも手頃で悪くはないのですが,これで満足かと言われればさすがに難しいでしょう。

 気に入らないのは大きく2つ。

 1つは,LEDの色,もう1つは今どきのmicroUSBであることです。

(1)左上の電源LEDが白なのは当時としては精一杯の贅沢だったのでしょうが,他のLEDが全赤というのは頂けません。せめて再生は緑にすることくらいできたんじゃないかと思います。

 そこで,フィジカルコントローラの標準色に交換を考えます。再生は緑,SOLOは黄色,MUTEはオレンジ,RECは赤とし,これ以外のLEDはオレンジで統一とします。

 幸いにも1608サイズの各色LEDが手持ちにあったので交換したのですが,黄色と緑が暗すぎて,光っているのかどうか分からない位です。オレンジもかろうじてというレベルで,赤に完全に負けています。

 そこで,LEDに入っている抵抗を下げました。もともと330Ωが入っていたのですが,これをとりあえず100Ωにします。するとオレンジはかなり明るくなって実用レベルになったのですが,黄色と緑が相変わらず厳しいです。

 ならばとこの抵抗を47Ωまで下げましたが,あまり明るさには違いが出ません。抵抗をパラ付けして23.5Ωまで下げましたが変化無しです。ダイアミックドライブですので元々抵抗は低かったのですが,さすがにこれくらい小さくしても明るさに変化がないとなると,電源電圧が3.3Vなので電流が頭打ちになるとか,そういう理由で意味がないことになりそうです。

 こうなってくると電流が少なくても明るいLEDにするのが対策で,緑色は純緑にしました。これだとさすがに明るく,赤色に負けないくらい光ります。

 しかし,黄色は高輝度タイプが手元にないので,このままとしました。白色に黄色の透明テープで対応することも考えましたが,1608の白色が全く手元にないのであきらめました。これは次回の課題です。


(2)microUSB

 個人的には嫌いじゃなく,microUSBよりはずっと気に入っていたminiUSBは,まさにこの時代の象徴であり,古くささの元凶でもあります。

 なにより,今どきminiUSBのケーブルなんて身近にはありません。ましてMacBookと直結するためのTypeCとminiUSBのケーブルなんて,探さないと入手さえ難しいでしょう。

 ならば,時代遅れのminiUSBをmicroUSBのコネクタに改装すれば解決します。

 ただ,基板のパターンまでコンパチなmicroUSBのコネクタは私の知る限りなく,当然手持ちもありません。なにより,microUSBはminiUSBに対し,オス側のサイズはそんなに変わらないのに,メス側のフットプリントがかなり小さい事が,製品の設計者にはありがたいわけです。

 私の部品箱を探すと,aitendoの福箱に入っていたmicroUSBコネクタが出てきました。これ,落とし込みタイプで,通常の表面実装の基板には使えませんし,当然アマチュアにも使い道がないのですが,私はこれを見てピンときました。

 miniUSBの代わりにこれをマウントし,配線は細い銅線で手配線するのです。手配線するなら基板に接した足よりは,基板からちょっと浮いている方がやりやすいわけで,まさに今回の作戦にはぴったりです。

 壊してしまう危険性もありましたが,最近涼しくなったこともあり,意を決して改造です。

 まず基板を壊さないようにminiUSBコネクタを外します。外れたら新しいmicroUSBコネクタの外側のスリープから出ている固定用の足を曲げて,基板に触れるくらいに調整します。

 この足の部分をminiUSBの固定用ランドにくっつけてハンダ付けします。位置を上手く調整して問題なく差し込めることもこの時確認します。

 終わったら,コネクタの端子と基板を配線します。5ピンのうち1本はIDですので,オープンかもしくはGNDですので,配線の必要はありません。オープンにしたままか,隣とくっつけてしまいます。

 案外上手くいったのでテストをすると,当然動作します。ケースに組み込んでも問題なくコネクタは刺さりますので,改造は成功です。

 これでnanoKONTROL2は,うちのMacBookとTypeC-microBのケーブルで直結出来るようになりました。

 miniUSB用の角穴がmicroUSBには大きすぎて不細工なのですが,便利さにはかないません。これですっきりしました。

 バンドルソフトもインストールし(使えそうな物はあまりなかったのですが),この件はこれで終了。環境の改善ばかりやってないで,いい加減に音楽を作らないといけません・・・

 ところで,これで気をよくした私は,他に残ったminiUSBの機器をmicroUSBに改造する計画を立てることにしました。この話は後日。

記憶に残る美化されたヤマハR100の音

 空間系のエフェクトをPRO-800やMatrix-1000にかけようと,Pocket Masterを買ってみたものの,ギターでは思いのほか楽しかった反面,本来の目的が今ひとつ達成されなかったことをうけ,新しいエフェクタを用意しなくてはならなくなりました。

 Pocket Masterが悪いのか,それとも記憶に残るヤマハのリバーブが良いのか。

 回り道をするのも面倒ですので,私が昔々に使っていたR100を手に入れる事にします。某オークションで探してみると,終了まで2時間で安い物が出ています。

 傷だらけで程度は悪そうですが,雑に使われた感じでもないですし,壊れていてもR100なら修理出来ます。安いのが正義でしょう。

 他の方と少し競争がありましたが,送料込みで3500円ほどで決着。思ったより高いなと思いましたが,ACアダプタ付きですし,仕方がないでしょう。

 調べてみると,ヤマハの80年代のリバーブは,ギターの世界で特に人気があるらしく,とあるヒット曲で耳にする,とあるスタープレイヤーが奏でる独特の音が,この時代のヤマハのリバーブでしか再現出来ないのだそうです。でもそんな音いるか?

 本物はSPX90で作られるこの音,R100でも出来ると知れてから人気も価格も上昇とのことで,それでも数が出ているから貴重品にならずにすんでいるみたいです。

 そういう事情があるとは知らず,気に入った音が出るから欲しかったR100は,久々に私の目の前に姿を現したのでした。

 手にしたR100は汚れて傷だらけで触るのも気持ち悪いレベルですが,丁寧にレストアしていきましょう。

 まず分解。出来るだけ分解したらツマミや筐体を全部ハンドソープで洗います。落ちない汚れはアルコールでさっと拭き取ります。

 ケースの両サイドが,なにやら尖った物でひっかいたような悲惨な状態でしたので,黒のつや消しスプレーで補修します。

 そして基板です。基板は一見すると非常に程度が良く,分解前の通電テストでも正常だったので,それほど手間はかからないと思います。

 まず電解コンデンサの交換。しかし4級塩の電解コンデンサが使われる前なので,液漏れもなく,容量ヌケもなくて,非常に良い状態です。いちぶバイポーラの電解コンデンサが使われているので要注意です。

 加えて2箇所,電源部にタンタルコンデンサが使われています。当時は高級な部品だったタンタルコンデンサですが,今はもう時限爆弾みたいなもので,見つけたら即交換しないと恐ろしいことになります。これは同じ容量のセラミックに交換です。

 次にバッテリーです。メモリーバックアップ用のCR2032を交換するのですが,せっかくなのでソケットにします。外した電池の電圧はまだ3Vをキープしており,35年たってもメモリーを維持するこのマクセルの電池には感動しました。マクセルすげー。

 ソケットの足はそのままでは基板に取り付けできないので1mmの穴を新たに基板にあけて,ソケットをハンダ付けします。

 そして最後にOP-AMPです。OP-AMPは音質やノイズに直接関係のある部分に使われているのですが,三菱のM5238と新日本無線のNJM4558です。

 M5238はFET入力のTL082の改良品らしく,音にも定評があるようですが,いかんせん設計も古いですし,ここは同じFET入力のOPA2134にしましょう。

 NJM4558もオーディオ用にはノイズや帯域で今一歩なところがあるので,その改良品種であるNJM4580にします。NJM4580は本当にいい音がします。幸いにしてどちらも面実装品が手元にあるので,なにも考えずに交換します。

 ここまでで筐体に取り付け,通電テストをします。同時に電源電圧を測定して問題がないことを確認出来たら詳しいテストと調整です。

 まず,BYPASSとPARAMボタンを押しながら電源を入れます。これでテストモードに入りますので,MEMORYキーのあとUPやDOWNキーでファンクションを選び,RECALLで決定します。

 まずはファンクション1のLEDです。すべてのLEDの点灯を確認したら,ファンクション2のキーに進みます。

 左から順番にキーを押すとLEDの数が増えていきます。最後にフットスイッチまで確認出来たらd2と表示されるので,次に進みます。

 ファンクション3はADコンバータのオフセットです。0.1秒おきに位相を入れ換えるように動作しますが,もしオフセットがあるとクリック音が出るので,出力にアンプを繋いでVR104を調整し,クリック音が最小になるようにします。

ファンクション4はメモリーの初期化です。電池を入れておけば内蔵メモリが元通りに復活します。

 ここから先はオーディオのテストと調整ですが,入力に1kHz,-20dBmの信号を入れ,出力に-10dBmが出てくるようにVR102を調整します。

 最後にノイズをチェックして,-85dBm以下にいなければ,VR104を少しだけ動かして範囲に入れます。あまり大きく動かすとオフセットが出てしまいますので,出来るだけ触らない方が無難です。

 と,まあここまでスムーズに行くと思ったのですが,いろいろ大変でした。

 まずノイズ。実は音を聴かずに測定器だけで調整を進めたからでもあったのですが,最後のノイズのチェックで,まさかの-60dBmというとんでもなく悪い値が出てきました。これはおかしいと音を聴いてみたところ,ビーというかギャーというか,マイコンがいかにも出しそうなノイズがはっきり聞こえます。

 さらによく聴いてみると,LEDの表示によって音が変わります。点滅すればその周期に合わせてノイズが出たり引っ込んだりするので,これはLEDの表示まわりの回路から電源に回り込んだノイズが原因でしょう。

 交換した部品はコンデンサとOP-AMPですので,順番に元に戻すというのも考えたのですが,それもまた面倒なので回路図を見ながら可能性のある部分に対策を打っていきます。

 この件の原因は,タンタルコンデンサをセラミックに交換したことにありました。タンタルコンデンサを同じ容量のセラミックに交換することは割と普通に行われているのですが,そうはいっても主波数特性は異なりますし,セラミックは電圧がかかると容量が減るという特性もあります。今回の条件では電源を綺麗に出来なかったんでしょう。

 対策はセラミックコンデンサに並列に大きめの容量のアルミ電解コンデンサを取り付けました。これで嘘のようにノイズが聞こえなくなり,最終的なスペックも-90dBmとなりました。

 次に調整の問題。dBmという単位は電力の単位で,dBm=1mWを示し,電力ですから負荷抵抗には無関係に使える単位ではあります。実際R100の出力レベルは負荷抵抗10kΩで測定するように指示があります。

 ただ,同じ1mWでも負荷抵抗が変わると電圧レベルは変わってしまいます。私が使うオーディオアナライザではdBmで出力を設定したり測定値を表示したり出来るので心配ないわ,と思っていたのですが,そのままではどうも上手く調整出来ていないことに気が付きました。

 簡単に言えば-20dBm入れて-10dBm出るようにするというのが調整のゴールです。ただ,電圧ではなく電力であり,電圧で調整をするのではないということを頭に入れておく必要もあります。

 メーカーの言うように,本当に負荷10kΩで-10dBmにするなら,1Vrmsというかなり大きな電圧に合わせることになってしまいます。一報の入力である-20dBmも,標準的な負荷である600Ωで扱いますから,実際にR100に入る電圧は一体どのくらいなのかは,測定しないとわかりません。

 私の場合,無負荷での-20dBmの電圧は0.156Vrmsでした。この電圧をそのままdBmで書くと-14dBmになってしまうので,600Ωの負荷をちゃんとくっつけて,その時の電圧で見る必要があるということです。おそらくもう6dBm下がって-20dBmになるんでしょう。

 どっちにしても,今回調整したいのは電圧ゲインであって,無理に電力で扱う必要はありません。

 ただ,最初はオーディオアナライザを無条件に信じてdBm表示で調整を試みました。試行錯誤をしたのですがどうも元の半固定の位置から大きくズレてしまうので,自分自身の解釈を疑っては何度もやり直すことになりましたが,冷静に考えればとても簡単な話です。

 -20dBmから-10dBmということは,電力比で10dBですから,10倍のゲインです。電力が10倍になるのは,電圧と電流がSQR(10)ですから,電圧が3.16倍になればいいわけです。

 私のオーディオアナライザの-20dBm出力の電圧は前述の通り0.156Vrmsでしたから,その3.16倍の0.493Vrmsに合わせるとOKです。これだともとの半固定の位置から大きく外れず,実際に使ってみても違和感はありません。

 ただ,この場合でも入力ボリュームの位置によっては,ノイズがバリバリ出ることがあります。これはかなり面倒なのですが,どうもオフセット調整とも関連がありそうで,何度かやり直して,ようやく普段使うところでノイズが小さくなるように調整出来ました。

 ということで,電気的にはこれでいいんですが,もう1つ大きな失敗をしました。LEDの窓のスモークです。

 パネルを何度か付けたり外したりしているうちに,LEDのスモークの裏側を触ったらしく,指紋がついてしまいました。気持ち悪いので拭き取ろうとしたのですが,ここでアルコールを使ったのが失敗。なんとこのスモークは,アルコールで剥がれてしまう塗装でした。

 濃いめの紫のスモークでしたので,てっきり塩ビかアクリルだとおもっていたのですが,まさか塗装とは。仕方がないので全部アルコールで剥がして吹きとりましたが,そうすると完全な透明になってしまい,LEDの下地である白色が丸見えです。

 こういう失敗をやらかすのが私の鈍くさいところで,本当に情けないことです。気を付けて触らなければこんなことにはならなかったはず。せめて水拭きで済ませればまだよかったのに,そこでアルコールなどを使うからこんなことになるんです。

 外側からは見えなく,内側からのLEDは透過するような,そんな都合の良い材料があればいいんですが,なかなかいい物が浮かんできません。

 しばらく考えてなんとか思いついたのが,LCDの偏光フィルムです。試したところ1枚では薄くて下地が見えてしまいます。そこで2枚ずらして重ねて,透過量を調整ながらスモークフィルムを作る事にしました。

 なんどもやり直しましたが,きりがないので我慢出来るレベルで手を打ちました。

 こうしてようやく完成したR100,早速実際に使ってみることにします。

 改めて音を聴いてみると,懐かしいです。そうそう,こんな音でした。アーリーリフレクションの強い音を選ぶと左右に音が広がり,PADに適したエフェクトだと当時は多用した物です。

 でもさすがに今のリバーブとは演算精度もメモリ容量も段違いに少ないですから,不自然な音の消え方をしますし,当時は気にならなかったようなノイズも耳障りに聞こえます。これ,さすがに今使うのは厳しいかもなあと思いました。

 これもまあ,個性と考えればいいのかも知れません。ヤマハのリバーブはパリッとした透明感のあるリバーブという印象で,今どきのしっとりした音とは違った個性を持っていて,欲しい音が手に入って満足です。電池も交換しましたし,これで当分使える事でしょう。

 ・・・単体のリバーブが絶滅したのは事実なんですが,実は安いミキサーにも内蔵されていることを,つい先日知りました。15000円の6chミキサーに,わりとちゃんとしたリバーブが入っているの知り,こっちの方が良かったかもなあと,ちょっと後悔しました。やっぱりデジタルリバーブは安くなっているんですね。

 

Pocket Masterを買ってみた

  • 2025/08/27 09:10
  • カテゴリー:散財

 先日PRO-800を買って,こいつを実戦投入するのに,コーラスとリバーブが必要だと感じました。さすがにリバーブ無しでは,PRO-800の音が出ている位置をコントロール出来ません。馴染ませるのか際立たせるのか,包むのか一点から放射するのか,アナログシンセサイザーには考えなくてはいけない要素が多いものです。

 私が以前Matrix-1000を使っていたときにはヤマハのR100を使っていました。一番安いデジタルリバーブだったから,というのが理由ですが,実は他社のリバーブに比べてヤマハのリバーブは綺麗にかかるので大好きでした。

 JX-8Pにはコーラスが,他のD-70やVintageKeysには一応リバーブまで内蔵されていたので,モノラルアウトのアナログシンセサイザー特有の問題として,外部エフェクタをどうするかが課題だったわけです。

 Matrix-1000も使わなくなって久しく,結局R100もSE-50も数年前に廃棄してしまったわけですが,まさか今になってPRO-800のためにエフェクタで悩むときが来るとは思いもよりませんでした。

 仕方がない,空間系のエフェクタを1つ買うか,1万円くらいであるだろうよ,と探してみたのですが,なんとまあ,新品で買える物はほとんどないのですね。愕然としました。

 以前は1Uはもちろんハーフラックのものもいくらでも売ってましたし,高価なものから安価なものまで選ぶ事が出来たはずなのに,今や絶滅しています。エフェクタといえば,もうギター用の足で踏んづけるものか,ガジェット系のものしかない有様です。

 しかも,リバーブもコーラスも単独のエフェクターとしては存在せず,マルチエフェクタの要素の1つと,随分惨めな扱いを受けています。すでに1980年代後半にそうした傾向はあったにせよ,それでも単独のリバーブには凛としたたたずまいがありました。

 かくして私は焦り,R100やSE-50を廃棄したかつての愚行を悔やむことになりました。

 冷静に考えてみると,リバーブもコーラスもわざわざハードウェアで用意しなくても,DAWのプラグインでかければ済む事です。しかし,ちょっと演奏したいときとか,ステージに持ち出すときに,一々PCを立ち上げる手間をかけるか,と言うと,やっぱり抵抗がありますよね。

 どうしたものかと腕を組んで考えた結果,1つの結論に達しました。

 PRO-800を購入したお店で見つけた,Pocket Masterというマルチエフェクタを買うことです。

 お値段8800円。ポイントでかなり安くなりそうです。

 なになに,中国はSONICAKEのギター用マルチエフェクタで,安いのに本格的な音が出てくることで話題沸騰中,ガジェット系とはいえしっかり使えるものらしいです。

 以前から話題になっていたとのことで,私は恥ずかしながらノーチェックでした。ギター用なのでモノラル入力,ステレオ出力ですから,今回の用途にも使えそうです。

 そもそもどんなエフェクトがあるのかという話ですが,目当てにしているコーラスとディレイ,リバーブも一応あるみたいです。ただ,あくまでギター弾きにとってうれしいエフェクタであり,なかでも売りはNAM機能なので,評判を真に受けると悲しい事になるかも知れません。

 でもまあ,一応ギターも弾きますし,この値段ですから,オモチャとして買ってみましょう。その感想です。

(1)外観,第一印象

 ギター用のエフェクタらしからぬ外観で,私はこういうの大好きです。縦長でごっついダイキャスト,いかにも踏めと言わんばかりのスイッチやペダルは私には「いつまで1970年代を引き摺ってるのよ」と感じざるを得ません。

 プラスチックで角の取れたかわいらしいケース,小さなカラフルなディスプレイにツマミ1つにスイッチ2つのシンプルさ。これは確かにガジェット系ですね。

 ちなみに,最近ファミコンっぽい色やスケルトンなどのカラーバリエーションが追加されたみたいです。私はグレーを買いました。


(2)操作性

 これは独特の物があるので,慣れるまで大変です。まず電源投入が最初の壁でしょう。ツマミを長押ししただけではだめで,そこから電源投入を選択して短押しという2ステップで要約電源が入ります。

 電源オフもなかなか難しく,通常操作の画面から長押しでメニューを出し,電源OFFを選んで短押しです。このメニューを出すのもなかなかわかりにくく,エディットなどの階層に入っている場合には,通常の画面まで戻らないといけませんが,その戻る方法も2つのボタンの同時&短押しです。わかるかそんなもん。

 こういう,ちょっとズレた操作体系に慣れてしまうと,案外サクサク操作できる物で,エフェクトの選択や編集も簡単にできるようになりますし,システムの設定などもストレスを感じなくなります。


(3)音

 音はですね,まずギターなら,特に欠点もなく楽しく演奏出来ると思います。良く出来ています。大きな音を広いところで出した場合にどんな風に聞こえるかわかりませんが,ひずみ系もディレイも,しっかり作ってある割に真面目すぎず,適度に遊び要素もあって,楽しいですよ。

 アンプシミュレータも良く出来ていると思います。JCのクリーントーンににコーラスとディレイなんて,本当に気分良く演奏出来ます。

 アコースティックシミュレータも追加されたそうなので試しましたが,これは今ひとつ。ZOOMの安いやつの方が,もっと強力にアコギっぽくなります。

 で,肝心のNAMですが,これがもうにやけるレベルです。私はPignoseを持っているのですが,音は気に入っているものの,近所の手前実際に使うことはほとんどありません。このPignoseのデータを手に入れてPocket Masterにロードしてみるとあら不思議,Pignoseの音が出てくるわけです。

 これはちょっと感動です。エフェクトを出来るだけ外しダイレクトにPignoseの音を楽しんでいます。


(4)使い心地

 なんといっても電池内蔵というのが便利過ぎます。乾電池もいらない,ACアダプタもいらない,と,ようやくエフェクタも今どきの仕様になりました。しかもBluetoothに対応しているので,私は試していませんがヘッドフォンもワイヤレスに出来そうです。

 少し気になったのがレイテンシです。すべて有線で繋いだ時にも,僅かに遅れが出る場合があります。弾いているうちに気にならなくなってしまいますが,それは人間がレイテンシを補正して早めにピッキングを行っているからで,褒められたことではありません。


(5)空間系のエフェクト

 私はPRO-800のために,リバーブをかけたくてこのPocket Masterを買いました。ということで,リバーブだけのパッチを作って試しましたが,正直なところ満足出来る物ではありませんでした。

 まず,基本となるアルゴリズムが少なすぎです。しかもそれぞれのアルゴリズムで調整出来るパラメータも少なすぎ,調整の範囲が狭くてなにも出来ません。

 アルゴリズムによってはタップ数が少ないのか,かなり雑なかかり方です。チャーチなどは使い物になりません。

 左右の広がりも音の消え方も中途半端であり,初期反射音も今ひとつで,残響も透明度が低いうえに,途中でブツッと切れてしまいます。いや,こっちが切れるわ。

 コーラスは実用レベルですが,JX-8PのアナログコーラスやJupuier-Xの内蔵コーラスを知るものとしては,シンセサイザーに馴染まない変なコーラスだと思います。僅かに厚みも出ますが,音が前に出てこなくなるのは致命的かなと感じました。


(6)ところがどっこい

 そんな不満だらけの空間系ですが,ギターに繋いで歪ませてアンプシミュレータを通すとあら不思議,心地よいエフェクトがかかるのです。不思議です・・・


(7)結論

 面白いです。そして生真面目ではない音は,プレイヤーとリスナーに,ワクワクするような躍動感を共有できるんじゃないかと思います。

 NAM機能は強力です。これがDAWのプラグインではなく,リアルな実機で,しかもこの値段で扱えるというのは,本当に面白いと思います。もっといろいろ試してみたいです。

 空間系は,私の期待には応えてくれませんでしたが,ないよりまし,PRO-800でもMatrix-1000でも,ちょっと弾いてみる時には便利に使うでしょう。

 ただ,ギターで使うとこんなに面白いとは思ってなかったので,ギターのお供に使うことが主になりそうな気がします。

 うーん,そうすると空間系のエフェクターを考えないといかんなあ・・・捨てなきゃよかったなあ,R100。

 

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