GR IVの第一印象
- 2026/04/21 15:41
- カテゴリー:散財, カメラに関する濃いはなし, マニアックなおはなし
さて,GR IVの使い心地など,ファーストインプレッションです。
(1)大きさ,質感
箱から取り出したときの第一印象は,小さい,でした。ストロボがないぶん無印GRよりも小さいですし,前機種であるGR IIIよりも薄くなっているので本当に小さいのですが,印象としてはもっと小さく感じます。
ただ,GR1や無印GRの時のような薄さは感じず,ずんぐりとした凝縮感のある小ささです。そんな外見ですから,この軽さでも手に取ると重く感じます。
質感はいつもの通りマグネシウムらしい手触りと持ちやすさで期待を裏切りません。
この質感を安物っぽいと言う人もいますが,確かに真鍮のようなヒンヤリ感こそありませんが,剛性感もしっかりありますし,ボタンやダイヤルの感触も悪くないですから,私はそんなに悪いとは思いません。
(2)操作系
GR II,GR IIIとパスしてきたので無印GRからの差分になるのですが,十字キーの周りにダイヤルがないことでボタンが押しやすくなっているのではないかと思います。そのダイヤルをGR IIIで見た時に使いにくそうだなあと思ったので,GR IVでなくなったのは私にはありがたい話です。
露出補正のボタンが復活したのもうれしいですし,GR IVは無印GRの直系なんじゃないかと思うほどです。
十字キーで測距点をすぐに移動できるようになったのもありがたい変更です。従来だとOKボタンを一度押さないとダメだった測距点の移動が,直接できるようになったので操作性が抜群に向上しました。
ADJもダイヤルに変更になりましたから,全体としてニコンの操作系に寄せてきたようにも見えます。私には大歓迎です。
そうそう,驚いたのはモードダイヤルのロックボタンに,Pモードの標準値に戻る機能がアサインされています。単なるロックだと思っていましたが,電気的なスイッチの機能を持たせたことに目からウロコです。確かに良い位置にあるボタンですので,ここに何か機能をアサイン出来れば好都合で,ペンタックスでいうグリーンボタンのような機能を持たせてあるのは面白い工夫だと感じました。
ロックボタンにくぼみがあるのも,なにやらペンタックスの維持のようなものを感じますしね・・・そこまでやるならくぼみを緑色にして,Mモードでの適正露出ボタンも兼ねてくれたらうれしいのに。
(3)レスポンス
レスポンスはさすが,スナップシューターを自称するだけあります。撮影までにかかる起動時間も短いし,2600万画素のカメラとしては書き込み速度も高速で,待たされることがありません。起動時にレンズが飛び出す速度は,GR1を知るものとしてはびっくりするほどです。
AFについてはあまり良い評価がないようですが,私はそうは思いません。速度もそうですが,外さなくなったことが大切です。無印GRが良く外していたことを考えると,ようやく実用レベルに至ったと言えるでしょうし,このカメラでスポーツやレースを撮るはずもないですから,これで十分だと思います。
特筆すべきはスナップモードです。無印GRにもスナップに適した機能はありましたが,複数の設定をいじる必要が合ったので面倒でした。それがSnモードに集約されて,被写界深度とピント位置を2つのダイヤルで調整出来るようになっているので,とても便利です。これでGR IVはスナップ最強カメラになったと言えるでしょう。
(4)画質
レンズは確かに素晴らしい性能で,破綻がありません。力強さというより,線の細さを強調した今どきの高性能レンズだなという印象です。色のりも淡泊に感じるので,見たままをドライに映し込むのが狙いなのでしょう。
非球面レンズを贅沢に使っていますが,ためネギボケも出ませんし,苦手なシーンはないんじゃないかと思います。
もちろん今どきのレンズですから,開放からガンガン使えます。むしろ絞っても画質か向上しないので,絞るのは被写界深度のコントロールのためだけです。厳しい目で見ればF8あたりから画質の低下が見られますので,結局F2.8からF5.6位で使うのが美味しいレンズという事になるでしょう。
しかし,これも個人的な印象ですが,Zfに24-70mmF2.8Sや50mmF1.8Sといった高画質なレンズを組み合わせると,GR IV以上の画質をたたき出します。その点ではGRにはまだまだやるべき事があると思います。
確かにこのレンズは切れ味は素晴らしいですし,それがスナップ用に向いていることは理解していますが,立体の描写はあまり得意ではないように思いました。
総合的な画質もさすがにAPS-Cで2600万画素になると緻密で,素晴らしいと思います。以前からGRに足りないのは高感度特性だと思っていたのですが,暗い所での撮影能力に加えて,。暗部でのノイズの発生も抑えられているので,強力な手ぶれ補正と相まって,撮影シーンが増えそうです。
手ぶれ補正も前述のように強力で,私の場合1秒でもピタッと止まります。もちろん動く被写体には無力ですが,撮影可能な場面が増えるので,特にスナップでは超強力な武器となるでしょう。
それから,初代GRで気になったことの1つに,モアレがあります。1600万画素で無理にローパスレスにしたせいでしょうか,被写体や構図によって結構モアレが出ました。2600万画素にもなるとモアレが出ることはかなり少なくなりますので,モアレのことを気にしなくても良くなったのは,撮影自由度が上がって気が楽になります。
(5)電池寿命
電池の容量がアップしましたが,EVFもないコンパクトデジカメでこの電池の減りの速さは驚きです。まるでDP2Merrillみたいです(それはいいすぎです)
電池の減りが早いことは,本体がすぐに熱を持つことでも思い出されるわけで,このあたりは課題かなと思います。
当座予備の電池を持つ事になるのですが,これも結構なお値段ですし,電池の複数運用に必須な充電器がまた高価で,しかも2個充電タイプしかなく,私には開き直っているようにしか思えませんでした。
(6)内蔵ストレージ
GR IVから内蔵ストレージが53GBと強化され,基本的にメモリカードを使った運用はなくなりました。緊急避難的な意味もあってmicroSDのスロットはあるのですが,絶望的に取り出しにくくて,以前のようなメモリカードを介したデータの読み込みは簡単にできそうにありません。
ついでにいうと,microSDの種類によっては書き込み時間が遅くて,撮影のレスポンスが低下します。内蔵ストレージと同じ程度の速度を維持したい私は,あれこれ試してUHSスピードクラス3で,30MB/sを最低保障するようなカードを使うことにしました。SamsungのEVOplusの64GBですが,これだと内蔵ストレージとほぼ同じ感じで使えます。
取り出しにくいmicroSDを使う理由ですが,内蔵ストレージではUSBで吸い出すしか方法がないからです。せっかくWiFiを内蔵しているのに使えるのはスマホからだけ。MacやPCで使えないのは厳しいです。
確かにSNSにアップするにはスマホでしょうけど,現像や編集,管理や印刷はMacやPCが主体です。そこをUSBだけに限ったのは,作品作りを目指すプロやハイアマにはちょっとしんどいんじゃないでしょうか。
また,充電もUSBからなんですね。にもかかわらず,USBのゴムキャップが華奢で,GR IIIではよくちぎれたそうです。GR IVでも改良されていない様子ですので,私はUSBを避けることにし,充電器とmicroSDを用意したというわけです。
(7)残念な事
何もかも別売りにしていること,その価格も安くないことにも残念ですが,その割に付属のストラップが本当にチープで,20万円の高性能カメラには不釣り合いです。コストの問題もあるでしょうが,ここはGR1に付属していたしっかりしたストラップと同じくらいのものを,せめて同梱して欲しかったと思います。
(8)まとめ
つまるところ,GR IVというカメラは,GRという「フォーマット」を維持したまま,今どきのデジカメに求められる機能を妥協なく盛り込んだことに最大の意味があります。これを理解出来るなら買いでしょうし,理解出来ないなら後悔するカメラだと思います。
スナップシューターを自らの存在意義ととらえ,その方向に磨きをかけた結果として,鋭い視線の切れ味のいい写真はこのカメラなら難なく手に入るでしょうが,一方で易しい眼差しの写真をこのカメラで手に入れるには,それなりの練習が必要ではないかと思います。
触っていて楽しいカメラであり,もっと撮影していたいと思うカメラです。こんなカメラは久々で,まだまだカメラという世界には進歩があるんだなと思います。
この機能とこの画質をこの大きさに詰め込んだ上で,自らの長所をググッと伸ばしてきたGR IV。あらゆるシーンに対応することを期待されたニコンやキヤノンと違い,苦手なシーンがあっても許す度量が必要なカメラだったGRは,GR IVでようやく撮影者への我慢を前提にしたカメラから脱したように思います。
そうなってくると,小さく軽いこと,レスポンスがいいこと,レンズの切れがいいことは他にない強烈なメリットになるわけで,GR1からコンセプトを受け継いだ無印GRから3世代を経て,実力をも継承してくれました。
心配なのは,スナップシューターにこだわりすぎてしまうことです。これだけの性能と機能をスナップだけに使うのはもったいないことで,家族旅行や学校行事,ちょっとした出来事の記録に,柔らかい優しい眼差しを再現し共有できる表現力も,将来のGRに備わることを期待します。
最後に価格。高いと言われるGR IVですが,この性能と機能なら妥当です。ここまで必要ないならもう少し安くなるでしょうが,それに意味があるかと言われればないでしょう。
しかし,この価格でカバーされるシーンは,スナップです。スナップという写真ジャンルにこの価格を投じる事が出来ればなっとく,出来なければ高いという評価になるのでしょう。
その意味では特殊用途向けのカメラだとも言えて,購入者の期待がそこにあるかないかで,価格に対する評価が分かれるのだと思います。
DRAMの価格のこともありますし,ナフサ不足から基板などの価格も上がるでしょう。この値段で買えるのは今のうちだと思いますが,果たして20万円を越えたときに,このカメラはどういう評価をされるのでしょうね。