エントリー

カテゴリー「散財」の検索結果は以下のとおりです。

ブラウン管,プラズマディスプレイ,LCD,そして有機ELへ

  • 2024/07/18 14:41
  • カテゴリー:散財

 テレビを買い換えました。TVS REGZAの55X8900Lです。

 これまで使っていた東芝の55BM620Xとは,サイズこそ同じ55型ですが,今回はなんといっても有機ELです。我ながらすごいですね,とうとうここまで来ましたよ。

 55MB620Xは,画質はともかく音は当時の薄型テレビとしては一線を画したもので,特に低音の再生能力は高くて,外部スピーカーやサウンドバーなどの必要性を全く感じることがありませんでした。

 背面にはウーファーと,ウーファーを格納する膨らみがしっかりとついていて,およそ薄型テレビとは思えないごっつさです。そう,東芝で低音と言えば,細野晴臣さんがベースを抱えて登場したCMで我々の記憶に永遠に残り続ける,あの「バズーカ」ですよ。

 なるほど音は良かったと思うのですが,いかんせん背中が出っ張っているので,壁掛け出来ないとか,そういう理由もあってでしょう,この低音重視モデルはこれっきりになり,次の世代からは出なくなりました。私としては残念だったのですが,初の4Kチューナー搭載モデルであったこともあって,大変気に入って使っておりました。

 異変はこの春頃から起こり始めたのですが,どうも画面の中央部のやや下あたりに,キュウリを横にしたくらいの白いムラが気になり始めました。日に日に大きくなるという事ではないのですが,画面が白くなると目立ちますので,主人公がバーンと大写しになると顔の真ん中に白いキュウリが目に入るというのはがっかりします。

 空のシーンなんかでは,雲が浮かんでいるのかと思うほどのムラで,映画を見ていても気が削がれます。そんなことを3ヶ月ほど続けていましたが,もう限界です。

 そんな折,レグザの55型有機ELが15万円,という広告がふと目に入ってきたからたまりません。さっさとスペックと他店の価格を調べて,即決しました。

 55X8900Lは2022年モデルで,現行の2024年モデルである55X8900Nからは2年も前のモデルになります。テレビの世界において2年の進化は大きいですが,実はミドルクラスの8000番台では1世代前に過ぎません。スペックを比較するとそんなに違いませんし,マイナーチェンジモデルという見方をしている媒体もありました。

 とはいえ,4Kの倍速補間があるというのはちょっとうらやましく,気にはなったのですが,左右に動くスタンドの角度が25度(そういえば55MB620Xは別売りのスタンドをわざわざ買っても左右で20度でした)というのも55X8900Lのメリットですし,実勢価格で比べると6万円くらいの価格差があることを考慮すると,ここは最新モデルを選ぶ必要はないなあと判断しました。そう,15万円で買えることが,55X8900Lの最大のメリットだと考えました。

 まあ,噂レベルですが,現行モデルでも13万円で買えたとか,,いろいろ耳にはしたのですが,関東一円の量販店を駆けずり回り程の元気も時間もありませんし,素直にこの値段で買えることを受け入れたいと思うわけです。

 あと,65型の65X8900Lはamazonがプライムセールの目玉にしていて,これが9万円ほど高い値段で出ています。65型の有機ELが24万円は安いですが,実はヨドバシ.comでは65X9900Mという65型で昨年の(とはいえ1世代前)フラッグシップモデルが実質18万円だったり,55型の55X9900Mが実質17万円という具合に,もうなにがなんやらという値段になっていました。(ただしヨドバシは瞬殺だったみたいです)

 うーん,確かにヨドバシはフラッグシップモデルで1年前のものがこの値段で相当安い。65型でタイムソフトマシンで3万円しか差がないというのはかなり悔しい・・・でも,何度も言うように15万円にこそ価値があるのです。もう迷わないようにしないと。

 で,さっさと決済を済ませようと配送日を検討したところ,なんと最短で翌日の夕方と言うではありませんか。古いテレビの引き取りや設置という手間のかかる大型テレビの配達には1週間ほどかかると思っていたので,平日ですが翌日に受け取ることにしました。

 そうすると忙しくなるのは,古い番組の移行です。

 SeeQVaultを使えば移行出来るだろう,コピーに時間がかかるから夜通しやるしかないよなあと思って調べてみると,まず4Kは最初から対応しない,そして55X8900Lはそもそも対応しないという事が判明しました。

 なんということだ,HDD録画の救世主だったはずのSeeQVaultは,すでにオワコンだったのです。

 どうも,最近の機種は軒並み対応しないものが増えているという事らしく,2022年モデルの55X8900Lでも未対応という事でした。せっかくSeeQVaultのHDDを買って移行させようと思っていたのに,あてが外れてしまいました。

 ただ,不思議と悔しいと思う事がないのは,もう録画して残しておこうという気持ちがなくなっているからだと気が付きました。著作権保護と消費者の自由でせめぎ合い,最終的に消費者に不便を強いる方法で決着した日本のデジタル放送の録画の問題は,散々警告されたとおり日本独自とも言われた録画文化を根本的に破壊して,消え失せてしまいました。

 録画に値する番組は作られず,繰り返しみたいものは実はサーバーにあり,いつしかサーバーから消えてしまってもその事に気が付かずに終わってしまう,テレビ放送はそんな刹那的なものになってしまいました。

 かくいう私も,2.5TバイトのHDDDに一杯になった番組のどれ1つとして,もう一度見ようと思うものはありませんでした。むしろスッキリしたという印象しかありません。

 そして当日,予定が早まり昼過ぎに届いた55X8900L。早速有機ELの実力を見てみました。

(1)画質

 さすが有機ELです。どこから見ても色が転びません。黒が黒に見えます。赤,緑,青と行った原色の発色が鮮やかです。肌色のグラデーションが見事です。それから,奥の方で光っているという感じがありません。

 ただ,これまでの55MB620Xも善戦していたんだなと思いました。2018年という古いモデル,しかもエントリークラスでVA型のLCDでしたが,それでもあれだけの画が出ていたんですから,大したものだとおもいます。

 ただ,その印象も地上波とBSの話。BS4Kになると全然別の印象です。55MB620XはまだBS4Kが放送される前のモデルだったわけで,画像処理がまだまだで,とりあえず映ってますくらいのかんじでした。高精細ではありましたが,ぱっと見た画は他の放送波とは別物で,トータルの画質ではBSの2Kに負けていたんじゃないかと思います。

 しかし2022年モデルである55X8900Lになるとさすがにこなれた印象で,BS4Kも他の放送ソースと共通の画作りになり,画質も4Kであることを生かした素晴らしいものになっています。

 当時,4Kは画質が悪いと新聞などでも騒がれたのですが,めっきりそういう話を耳にしなくなったのは,本当に画質が改善されたからだと思いました。

 地上波についても大変素晴らしい画質の改善が行われているので,地上波だからとかそういう割り切りで我慢をしなくても楽しめるところはすごいです。これを標準化すればもっと送信帯域を狭めて多チャンネル化ができるんじゃないかと,そんな風に思うほどです。

 正直なところ,55MB620Xもなかなかいい画質だったと思っていて,ニュースなどの番組では有機ELの画質の良さを実感することはあまりないと思います。しかし,緑の多い森の空撮や,青い海のシーンでは驚くほど伸びやかで鮮やかな画像を出してきます。底なしの表現力というのでしょうか,ここらへんで限界かなと思われるような無意識のあきらめを,そうか必要がなくなったのかと再認識するような感覚を何度も覚えました。

 そうそう,輝度についてですが,明るすぎです。有機ELは暗くして使った方が消費電力面でも,パネルの寿命の面でも絶対に有利なのですが,画質の設定に「おまかせAI」を選ぶとあまり暗く出来ません。

 「放送プロ」や「映画プロ」を選ぶと暗くなるのですが,画質の調整を毎回毎回手動で行うのも面倒ですし,色域の広い有機ELを万全の状態で使う調整を行う自信もないので,メーカーがお奨めする自動調整で使ってみようと思っていただけに,どうしたものかと考え込んでしまいました。


(2)音質

 音質は55MB620Xが圧勝です。タイトでバランスのいい音でしたし,音楽番組でも不満はありませんでした。

 55X8900Lも音吐にはこだわっているようで,特にコーンの面積を大きくするのと実質同じ意味を持つパッシブラジエータを備えたスピーカーシステムは,フルレンジ4つ,ツイータ2つという贅沢なスペックです。しかし,どうも中域の盛り上がりが耳につき,たっぷりとした低音もなければ,まっすぐ届く高音もありません。

 興味があったのはキャリブレーション機能で,リモコンについたマイクでテレビから出した補正用の音を拾って補正をかけるものだそうで,どれくらい改善されるのか楽しみに試してみました。

 結果はいまいち。中低音が痩せて,高域がキンキン言うようになりました。そんなに大きな差があるわけではないのですが,中低音を豊かにする傾向を見せないあたり,本当にこれを信じていいのかなあと思います。

 そもそも,リモコンのマイクからどうやって本体に補正用のデータを赤外線ごときで送っているのでしょう?マイクの音をそのままA-D変換して送信するにはビットレートが確保出来ないだろうし,解析までリモコン側でやるのも無理があるでしょう。

 それから,Dolby ATMOSのデコードにも対応しているというので,手持ちの映画を試してみましたが,もともと音がそんなに良くないだけに,大した感動はありませんでした。

 これは,音が画質についてきていない感じです。なんとかせねば。


(3)機能

 いろいろな機能があるのは結構ですが,私としてはAmazon PrimeVideoとTVer,NHK+に対応してくれてあれば,それで十分です。

 そういえば,番組をいろいろお奨めする機能があるようなのですが,自分が見る番組までいちいち押しつけられるのは嫌なので,全部切りました。余計なお世話です。


(4)外観

 外観は55MB620Xと同じ様な感じだと思っていたのですが,全然違いました。

 パネルの大きさは同じですが,本体の位置が数センチ低い位置にあること,下側のベゼルがなくなったことでさらに数センチ下がったことで,かなり低い位置に画面があります。

 その上,55MB620Xではやや上向きに傾いていた本体が,55X8900Lではほぼ真正面に向くようになりました。そのおかげで天井の照明の映り込みがなくなり,格段に見やすくなりました。

 ただ,全体の高さが下がったことで,画面が小さくなったような錯覚があります。これなら65型でも良かったかなあ・・・

 そうそう,低反射パネルについてですが,確かにグレアパネルとは違って有機ELらしさが損なわれているような印象を持ちますが,その分映り込みは少なく,見やすいです。

 有機ELはもともと解像感も発色も素晴らしいので,この程度の低反射処理を行ったところで,画質が悪化するという印象はないでしょう。映画マニアが真っ暗な部屋で見るのとは違い,このくらいの値段であれば明るいリビングに置かれてニュースやバラエティを映すこともこなさねばなりません。

 また,家族で見るなら,場所によって映り込みが大きい小さいがあったらだめでしょう。このパネルの表面処理には,私は問題を感じません。


(5)まとめ

 なにせ15万円です。それで憧れの自発光デバイスです。カラーフィルター式のLGのパネルなので本物の有機ELの画質はこんなもんじゃないと思いますが,それでも十分過ぎる画質です。反応速度も速いので,高速のスクロールも55MB620Xに比べて圧倒的に見やすくなっていますし,どこから見ても同じ色,というのも素晴らしいです。

 かつて使っていたプラズマディスプレイに比べるとまだまだと思う所もありますし,LCDも十分高画質になっていることを考えると,無理に有機ELにすべきとも,有機ELをゴールに置く事も違うかなと思いますが,それでもやはり緑の表現力には息を呑むものがあります。

 今のところ,私の期待が大きすぎたことで75点という点数になるでしょうが,もう少したくさんの番組を見てから判断したいと思います。

 

本物のハモンドオルガン,M-solo

  • 2024/07/05 11:19
  • カテゴリー:散財

 ハモンドオルガンを私ごときがあれこれと語るのはおこがましく,しかし憧れだったその楽器について,私はようやく自分のものとして語ることが少しだけ出来るようになりました。

 本物のハモンドオルガンで一番安く一番小さい,M-soloです。やっと買いました。

 現代にハモンドオルガンの新品を買うことの出来るこの幸せ,もちろんヴィンテージではなく,デジタルでモデリングかもしれないけれど,それは紛れもなくハモンドオルガンの純血種であり,だからこそ「B-3をモデルに」と公言できるのです。

 もちろん作り手にも,歴史と伝統,そして文化を創った楽器であるハモンドオルガンを名乗ることに,それなりの覚悟があるでしょう。果たして,その覚悟は私のような中途半端なハモンドオルガンの信奉者にも伝わって来たのでした。

 M-soloは,前述のようにハモンドオルガンの最新機種であり,歴代最小最軽量,そして歴代最安のモデルです。さっとスタジオに持ち運び,セッションに参加出来る可搬性,わずか13万という価格,音は上位機種のXB-4と同一の最新のモデリング音源,そしてなによりユーザーインターフェイスはハモンドオルガンの「それ」,ドローバーです。

 本気のレスリーのシミュレータも内蔵,オーバードライブもコーラスもリバーブも入っていて,あの大げさ極まるハモンドオルガンのシステムをこれ1つで完結することが出来ます。

 さらにうれしいのは,M-soloがパフォーマンスキーボードであって,リアルタイムでドローバーを動かして演奏するという,ハモンドオルガンのあり方に徹していることです。

 おかげで音色を記憶しておくメモリは3つしかありません・・・このストイックさよ。

 個人的にはこれだけでお腹いっぱいなのですが,ハモンドオルガン以外のトランジスタオルガンも(サンプリング音源ですが)内蔵,そして一度は使ってみたかったストリングスアンサンブルに加えて,8音ポリのアナログシンセも搭載というのですから,もう60年代からDX7が出る直前まで,ピアノ以外は任せておけというキーボードです。

 パフォーマンスキーボードというので,スタジオワークやDTMを狙ったものではありません。つまりは鍵盤をある程度演奏出来ることがこのキーボードに必要な最低限の技能という事になるので,きっとトランスポーズなどの甘い機能は搭載しないと思っていたところ,ちゃんと搭載されていることにまた涙。

 これってもしや,私のために作られたハモンドオルガンじゃないのか。

 ただ,私ももういい大人です。都合のいい誤解でポンポン高価なものを買うほどだらしなくはありません。

 だから,昨年秋に登場したときも心惹かれましたが辛抱し,一目見ただけでハモンドオルガンであることを主張してくる「バーガンディー」というカラーバリエーションが初回限定だと聞いたときも,私はぐっとこらえたのでした。

 しかし,5月下旬のこと。ある楽器屋さんのサイトに,M-soloのバーガンディーが復活とありました。いわく,前回瞬殺だったバーガンディーが,セカンドロットでまさかの限定復活とのこと。

 限定と言う言葉に惑わされ正気を失って買ってしまったM-soloユーザーには申し訳ないのですが,一度諦めたバーガンディーが復活,これを逃したら,もう二度と手に入らないでしょう。

 うーん,煩悩を断ち切ったはずの私に「ほんまにええのん?」と耳元でささやく悪魔が降臨します。

 恐ろしいことに,私は1週間ほど悩んだ末,その悪魔の囁きに屈してしまい,予約注文をしてしまったのでした。まあ,気が変わったらキャンセルするわ,と少しだけ逃げ道を残しつつ,です。

 しかし,そういう煮え切らない態度は失敗のもとです。このお店,予約注文でもキャンセル不可であることを後で知りました。カメラ業界では考えられない状況に戸惑いつつも,これはもう神の啓示のようなものです。私は,発売予定とされている6月下旬をおとなしく待つことにしたのです。

 そして,とうとう届きました。

 家族にはそのうち説明するつもりで,とうとう言い出せずその日を迎えました。私が在宅の時間帯に配達してもらう手はずを整えましたが,配達の方の呼び鈴に,少しだけ初動が遅れ,いつもならのんびりしている嫁さんが機敏な動きで応対,インターホンのカメラに映った大きな箱に,

「なんか大きなものがきてるよ?なによ,なんなのよ,大丈夫なの?」

 と強烈な不信感を持たれてしましました。

 慌てて玄関に突進,そんなに大きい箱なのかとビビりつつ,佐川急便のたくましいお兄さんが片手でひょいと担いだその箱を受け取りました。コソコソと中身を出して,とりあえず使われていない部屋に運び込みます。

 しかしながら箱をそのままにしておくと嫁さんに100億%バレます。ゆえに箱は潰して自室の隅っこに隠しておかねばなりません。

 まあ,それはいいです。目の前に,いよいよ本物のハモンドオルガンがあるのですから。

 ああ,思えばハモンドオルガンを意識したのが中学校の時,それがハモンドオルガンであることを知ったのは高校生の時,この時まではエレクトーンとの違いがわかりませんでした。

 発音原理を学びハモンドオルガンがそこらへんの電子オルガンではないことを知ったのが大学生の時,そしてそれが「ハモンドオルガン」という唯一無二な楽器として認知され愛されていることを知り,強い憧れを持つに至ったのが20歳のころです。

 当時,EmuのVintageKeysにサンプリングされていたハモンドオルガンのB-3が,私にとってのハモンドオルガンのすべてでした。

 音そのものは今思い出しても使えるよい音だったと思うのですが,サンプリングですので奏法を駆使することも発音原理に由来する音の変化を付けることも出来ず,ハモンドオルガンを演奏したことには全くなっていなかったのでした。

 後に手にするRD-2000でも,内蔵されたバーチャルトーンホイールをいじることはあっても,それが最終的にハモンドオルガンの奏法にどう繋がって行くのかがわかっておらず,結局最終的な音が気に入ったかどうかだけで演奏していました。レスリーのシミュレータについても「そういうもの」で終わらせていて,結局のところ曲の最後から最後まで同じ音で弾きっぱなしというのが,私の限界だったのです。

 しかし,それでも世の中の素人キーボーディストの中では,まだハモンドオルガンのことを理解している方で,それらしい演奏が出来るだろうと,そんな風に思っていました。

 それは思い上がりでした。M-soloを手に入れ,XK-5やXK-4,SK PROのマニュアルを読んでみると,その奥深さと共に自らがいかにものを知らなかったかが浮かび上がってきました。

 小さくても軽くても安くても,M-soloは演奏中にどんどん音色を変化させて演奏するハモンドオルガンそのものです。

 きっとすぐに演奏出来る,そう思って電源を入れました。キーを押します。

 しかし,音は全く出ません。そう,ドローバーを全部押し込んであったのです。そんなこともわからず,音が出ないと接続を確認したり,ボリュームツマミをいじったりした私は,こんなことさえもわかっていないド素人だったのです。

 自分の程度を思い知らされた私は,試しに,Rainbowの1976年のミュンヘンでのライブ演奏からKill the kingをバックに,M-soloを弾いてみました。

 これが本物か。リアルタイムで音をどんどん変化させていく楽しさ,もうとにかく楽しくて仕方がありません。音はバックの演奏に溶け込み馴染み,浮いてきません。

 楽勝だと思って入った洞窟は足下まで真っ暗で,少しの先も見えません。歩いても歩いてもまだ先は見えず,全くうかがい知ることの出来ない出口の果てしなさに心が折れそうです。

 しかし,音を出せば楽しくて仕方がありません。あっという間に時間が過ぎていきます。こんなみずみずしい体験は,いつ以来のことでしょう。

 前置きが長くなってしまったのですが,この感動を未だ家族と分かち合えない私は,もはやこの場にぶつけるしかありません。


(1)大きさ,重さ,全体の印象

 ぱっと見ると重そうなデザインですが,ひょいと持ち上げることの出来る大きさ,軽さです。バーガンディーカラーは上品で,鍵盤のベージュ色やドローバーのツマミの色とマッチし,とても高級に見えるのですが,パネルはプラスチックですし,決して剛性も高くありません。

 見た目が非常に良く出来ているので,実物のチープな感じは触って感じるものだと思いますが,これを軽くするためと考えればとても好印象です。

 デザインにはB-3をモチーフにしたと思われる角のRなどもあり,思わずにやけてしまいます。

 小さくとも,遠くから見てもすぐにハモンドオルガンとわかるデザインには惚れ惚れしますし,小さいディスプレイを覗き込まずとも状態を一発で把握出来るパネルレイアウト,すべてがリアルタイムの演奏のために作られています。

 これで鍵盤がウォーターフォールだったらなあ。


(2)バーガンディーカラー

 セカンドロットでも用意されることになったバーガンディーという色ですが,ぱっと見ると木に見えるような色です。ハモンドオルガンですから,キャビネットは木製が基本。鍵盤の色ともマッチしていて,なぜバーガンディーを標準カラーにしなかったのか理由がわからないくらい,ハモンドオルガンらしくてとても良い色だと思います。

 近寄って見るとメタリックが入っており,これもまた上品でよいです。


(3)鍵盤

 49鍵の鍵盤は,いわゆるシンセサイザー向けの柔らかい鍵盤で表面もツルツルしていて指のかかりもよいとは言えません。こういう鍵盤って久々だと思ったのですが,弾きやすいのは事実です。黒鍵は先端が緩やかに曲がっていて,手前になでるように演奏する時にはとても演奏しやすいなと思いました。

 白鍵の色はベージュでこれも上品,グラグラすることもなく,グリッサンドも気を遣わずに出来そうです。

 残念なのは,鍵盤がウォーターフォールでないことです。形の違いだけですので見た目の差だけだと分かってはいるのですが,やっぱりハモンドオルガンですから,ウォーターフォールであって欲しかったと思います。

 49鍵という鍵盤の数は少ないように感じますが,もともとB-3のようなオルガンは2段鍵盤で,1段では49鍵程度ですから,名前の通りソロを演奏する楽器としてなら,十分です。

 では,それ以外のジャズやロックで演奏するオルガンとして49鍵は不足かというとそんなこともなく,ちゃんと両手で演奏出来るので大丈夫です。

 とはいえ,左手でコード,右手で何らかのフレーズを演奏する時,ちょっと高い音で存在感を示そうとすると,もう1つ2つ鍵盤が足りなくなることがあります。

 特にソロの場合はそうなのですが,こういう場合はさっと左側のオクターブキーを動かして,高い方にシフトさせることになります。

 49鍵くらいあれば高い方も低い方も1つずつしかシフトしないので,今どこの音域にあるかをあまり意識しなくても済みますのでありがたいです。

 冷静に鍵盤だけ眺めてみれば,コンパクトなくせに弾きやすいキーで49鍵ですから,これはこれで他の音源を鳴らせるんじゃないかと思ったのですが,残念な事にホールドペダルがありませんので,無理でしょう。

 ところで,近年のハモンドオルガンには,仮想マルチコンタクトという機能が搭載されています。B-3などの往年のハモンドオルガンでは,鍵盤を押すと同時に9個のドローバーの音が出てくるのではなく,それぞれの音が出るのに時間差があり,9個の音がパラパラと出てくるのですが,それを再現したものです。

 ハモンドオルガンの発音機構を考えるとなるほどと思うのですが,B-3などは鍵盤を押し込むごとに9つのスイッチが順不同で入っていき,全部のスイッチがONになったとき,ドローバーで設定された9つの音がすべて出てくるのです。

 XK-5で搭載された仮想マルチコンタクト(以下VMC)は,こんな風に音がパラパラと出てくる事を再現しようと試みた機能です。

 オルガンは音の強弱を付けることが出来ません。ですから,鍵盤を浅く押した時と,深く押した時で出てくる音が違ってくれば,これを利用して表現力を高める音が出来ます。

 B-3では浅く押した時にはプチプチというクリックノイズやパーカッションだけがでてきますし,深く押し込むごとにドローバーの音が揃ってきます。確かにこれを精密に弾きわけるのは至難の業でしょうが,もっとも違いが出るのはグリッサンドでしょう。

  XK-5(おそらくSK PROやXK-4も)には,VMCのために順番にONになる3つの接点を持つ鍵盤が使われているようです。この3つで最初の音の発音開始と,2つがONになるまでの時間,そしてキーが完全に押し込まれて3つすべてがONになるまでの時間を使って,9つの音をそれぞれどのタイミングで出すか決めています。

 なので,これらの楽器をMIDIでつないだ外部キーボードで演奏すると,3つの接点の情報が得られず,鍵盤を押した時の速さ(ベロシティ)という乏しい情報だけでVMCを作動させねばならなくなります。

 ベロシティが小さい時は次の音が出るまでの時間を長く,逆に速い場合には次の音が出るまでの時間を短くしてそれぞれの音を出すようにすることで,出来るだけリアルなB-3を再現しようとしています。

 ベロシティは2つの接点がONになる時間を使って得る情報ですので,1つ目の接点がONになったときに発音することは不可能で,2つ目の接点がONになってベロシティ情報が生成されてようやく音を出すことが出来ます。

 ただ,2つ目の接点がONになるのはそんなに深く押し込んだところである必要はなく,1つ目と2つ目の接点の時間差を得るのが目的ですので,完全に沈み込むまでキーを押さずとも発音はします。

 ということで2接点のキーの場合,ゆっくりキーを押して途中で止めても順番に9つの音は出てきてしまいます。オリジナルのB-3とは全く異なる挙動ですが,9つの音が出きってしまう前にキーを離してしまえばそこで発音は止まりますので,一度発音させれば9つの音がすべて出てくるというようなことはありません。

 だから,素早くキーを離してしまえばクリックやパーカッションだけを発音させることも出来ますし,グリッサンドも綺麗に出来るはずです。さすがハモンドオルガン,さすがVMCです。他社のオルガンやシンセサイザーではこうは行きません。

 さて,XK-4やSK PROでは,VMCの動作を3つの接点で行うランダムモードと,キーを押す速さで行うベロシティモードの2つを選ぶ事が出来るのですが,M-soloではベロシティモードしか選ぶ事が出来ません。

 設定パラメータとしてVMCデプスという項目があるのですが,これは9つの音それぞれが出るタイミングを短くしたり長くしたりするもので,ゼロにするとVMCをオフにすることが出来ます。

 ここから推測するに,M-soloの鍵盤は,XK-5やXK-4で使われているような3つの接点を持つ特殊なものではなく,シンセサイザーなどに使われる2つの接点だけベロシティを得る,一般的なものであるということです。

 こういう鍵盤はコストも安く済みますし,処理も軽いですから,M-soloの価格で可能なものとして割り切られ,上位機種との差別化を図ったのではないかと思います。

 ですが,そもそも9つの音が同時に出ずばらけて出てくるというだけで,すでに他社のものとは大きく違います。本物との間に違いはありますが,違いを頭に入れて実際に演奏すれば,その違いが問題になることはなく,オリジナルが持つ多彩な演奏法を受け止める楽器であることは間違いないと思います。

(4)MIDIで鳴らしたとき

 ちょっとややこしくなるのはMIDIで繋いだ時です。M-soloをMIDIで鳴らす時に気を付けないといけない事として,B-3の発音はノートオンを受けてからになるという点です。

 前述のように,本体の鍵盤で演奏する時は,キーを少し下げた1つ目の接点がオンになると発音を開始,押し込んだところで2つ目の接点がオンになりベロシティが算出されます。

 そしてこのベロシティを使ってVMCが動作するわけですが,MIDIで鳴らす場合はノートオンで発音開始,この時同時に送られるベロシティでVMCも動作を開始します。

 ということは,外部の鍵盤ではキーを浅く押さえた時には発音しないのです。

 しかも,M-soloを演奏しながらMIDIアウトからのデータをMIDIシーケンサーで記録し,後でシーケンサーからM-soloを演奏させたときには,もとの演奏が再現されないのです。

 これは結構衝撃です。M-soloを優秀なハモンドオルガン音源として使うことも出来なければ,リアルタイム入力で打ち込んだデータが元の演奏を再現しないということですので,つまりM-soloのMIDIは実質使い物にならないということです。

 ほんまかいな,と思ったので,実験してみました。

 M-soloの鍵盤と音源をローカルスイッチの設定で切り離し,MIDIケーブルでM-soloのINとOUTを繋いでしまいます。

 これでB-3を演奏してみたところ,やはり推測は正しく,浅い位置では発音せず,完全にキーを押し込んだところで発音,その時のベロシティで9つの音の発音タイミングのズレが変化しました。

 キーを浅いところで発音させ,即座に指を離してやると9つのドローバーのうち低音部が発音する前に音が消えるのですが,MIDIではそれは再現されません。ということは,MIDIではグリッサンドやスタッカートの時に意図して付けた変化が出ないということになりますし,MIDIで記録することも出来ないのです。

 ではどうしたらいいのか,というと,実はどうにもいいアイデアがありません。MIDIはノートオンとベロシティを同時に送信しますので,M-soloのようなケースには対応出来ません。

 キーが浅い位置でノートオンを出してしまうのも手ですが,その場合ベロシティが不明ですので固定されてしまいます。ならばもう1つ接点を増やして,浅い位置でノートオンとベロシティを送信出来るようにすれば良いように思いますが,今後はキーを押し込んだ時の情報を利用出来ませんから,結局普通のキーボードの,ノートオンが出るキーの深さを浅くしただけのものになってしまいます。

 さらにいうと,グリッサンドもスタッカートも速度そのものは速いですから,ベロシティは大きな値で送信されるでしょう。これではVMCの動作が演奏者の意図から大きく外れてしまいます。

 うーん,ここら辺がMIDOとハモンドオルガンの限界なのかも知れません。こういうケースは今どき珍しいことではなく,本体の鍵盤ならベロシティは1024段階でも,MIDIなら128段階になってしまうピアノもあります。発音速度ももともと違いますし,そもそもハモンドオルガンは鍵盤と音源を切り離せない楽器です。

 ということで,M-soloはMIDIで繋いで使うような物ではなく,スタンドアロンでリアルタイムで演奏する楽器なんだという認識を,しっかり持っておく方が良さそうです。


(5)ハモンドオルガンとして

 ハモンドオルガンとして大切な事は,音の良さもそうですが,様々な奏法を可能に出来るかどうかです。グリッサンドに始まり,リアルタイムでドローバーを動かしたり,パーカッションを付けたり,もちろんレスリーをSLOW/FASTで切り替えたりという,演奏者の操作による音の変化がオリジナルに忠実なものかどうかが問われると思います。

 M-soloはこんなに小さいのに,立派にハモンドオルガンです。ハモンドオルガンを演奏しているという楽しさに満ちていて,この楽しさはきっと周りにも伝わるのではないかと思います。

 もちろん,2段でもなければフットペダルもありませんから,ハモンドオルガン上級者にはお笑いぐさかもしれません。しかし,ジャズやロックで耳にするあのハモンドオルガンの音をこんなに簡単に得られるというのは,とてもよい時代になったとしか言いようがありません。

 左3本のドローバーを手前に引き切って,パーカッションのスイッチを4つすべてをONにするFOUR UPで,レスリーをSLOWで回して演奏すると,自分が上手くなったように錯覚します。良い楽器を手に入れると上手くなったように感じるものですが,それは電子楽器でもそうなのです。


(6)音の良さ

 で,そのハモンドオルガンの音ですが,MTWIIという最新の音源だけに,文句はありません。上品すぎず,でも荒っぽくなく,柔らかい音も掴み掛かるような音も,ドローバーでどんどんデザイン出来ます。

 スキャナービブラートも秀逸です。私はハモンドオルガンというのは,トーンホイールとレスリースピーカーであの音が出るものと思っていましたが,ビブラートとコーラスが非常に重要であることを学びました。

 オーバードライブのかかり方も派手ではありませんし,リバーブも控えめです。しかし,それでも十分に存在感のある音を聴かせてくれるのはさすがです。

 普段は邪魔で耳障りなクリックノイズがこれほど心地よいと思ったことはありませんし,正確無比なデジタル楽器と違ったメカニカルな電子楽器らしい,いい意味でいい加減なところも再現されていて,生きている楽器と対話しているような気分になります。

 おそらくですが,ほかの楽器とアンサンブルをすると,この音の良さが際立つだろうと思います。大きな音を出しても耳障りでなく,ギターと対等に対話できるはずで,そんな機会がないことを私はとても残念と思いました。


(7)レスリーシミュレータ

 知らなかったのですが,鈴木楽器はハモンドだけではなく,レスリーの商標も買っていたのですね。つまり,M-soloに入っているレスリーのシミュレータは,本物のレスリーなのです。

 M-soloはXK-5やXK-4と違い,細かい設定が出来ません。キャビネットの種類も,SLOWからFASTに切り替わる時間も,マイクの位置も固定されています。

 しかし,その固定された設定が大変良く出来ていて,本当にレスリーを使って自分の意のままに操っているような気分になるのですから,良く出来ています。

 確かに,曲によってはもうちょっと設定をいじれたらな,と思う事もあると思います。でも,そこに達するのはまだまだ先の話でしょう。それに,レスリーのような大きな機材は,一人一台がせいぜいで,使い分けをしたり改造したりは特殊な話だろうと思います。

 つまり,今目の前にあるレスリーが,自分にとってのレスリーのすべてです。そしてそのレスリーは,非常に良く出来ているレスリーです。これ以上望むのは贅沢だと思います。

 欲を言えば,スイッチの位置が遠いので,演奏中に無理なく切り替える事が難しいです。フットスイッチを使えば良いのですが,残念ながらSTOPはフットスイッチで操作できません。うーん。


(8)エフェクト

 エフェクトといってもオーバードライブとコーラス,リバーブくらいです。どれも上品で,良い感じのエフェクトです。浅めにかかる上,派手さもありませんが,とてもシルキーですし,しかしONとOFFとで違いがはっきりわかるので,十分な戦闘力を持っていると思います。

 これもまあ,欲を言えばイコライザーは欲しいところですし,リングモジュレータやフェイズシフターも欲しかったと思いますが,それをディスプレイなしで扱うのは難しいので,割り切ったことは正しいとも思います。


(9)他の音色

 ちょっと微妙な感じがするので,なんとも言えません。

 オルガンタイプ,Vx,Ace,ファルフィッサはサンプリングということですが,使う気が失せるほど当時のトランジスタオルガンを再現していると思います。私はこれらのオルガンを演奏したこともなければ積極的に使ってみようと思ったこともないのですが,Aceなどは確かに60年代のGSをやるには必須かも知れません。

 が,そもそもGSなんて,やるか?

 VxはAceよりも使い道はありそうですが,Vxがイメージを決定するような曲を,演奏するシーンなんて,あるか?

 ということで,これらは私にとって宿題です。

 お次はストリングスアンサンブル。これもまあ微妙です。

 ポリフォニックシンセサイザーが登場する前,和音が出る電子楽器の1つとして使われていたのがストリングスアンサンブルです。

 のこぎり波で和音が出るという,オルガンにはない特徴で当時のバンドでは重宝したらしいのですが,実際に音を出してみるとなんとも微妙だなあと思います。

 確かにアンサンブルではストリングスっぽく聞こえると思いますし,うまく混じってくれると思いますが,もっといい音がシンセサイザーで手に入る昨今,これを個性として前向きに活用するのはちょっと難しいかなと思いました。

 もちろん,機材運搬の関係で,M-soloしかステージで使えない場合などは重宝すると思いますが,それくらいならもうずっとB-3の音でやりきれよ,って思います。

 一方,クワイアはなかなかよいです。これは使えます。実のところ,この手の合成音声丸出しの機械音がするクワイアっていうのはなかなか使い道がある癖に,シンセサイザーのプリセットには入っていない事が多いです。わざわざ作る事になるのですが,そんなことをしなくてもM-soloを持っていけば解決です。コーラスとリバーブを深めにかけると即戦力です。


(10)アナログシンセサイザーとして考えると

 M-soloには8音ポリのアナログシンセサイザー(もどき)も入っています。これがサンプリングなのか,それともモデリングなのか,もっと単純なものなのかはわかりませんが,ドローバーの数に制約を受けた少ないパラメータで,どこまで使えるかを考えます。

 8音ポリでアナログシンセですから,とりあえずストリングスやパッド,シンセブラスを考えるのですが,ちょっと今ひとつな印象です。

 まず,のこぎり波がおとなしすぎて,物足りません。2VCOでもないので音の厚みは期待出来ないのですが,その代わりサブオシレータが良く出来ているので,これは使い勝手があります。

 それから,フィルターのキレが良くないです。カットオフあたりがルーズな音がします。レゾンナスももっと強烈にかかってもいいです。

 エンベロープはパラメータが少ないので仕方がないとしても,キースケーリングがないので高音域でフィルターを開けるとか,低音域で倍音を減らすとかできないのは,我慢や辛抱でどうにかなる話ではありません。

 ということで,残念ながら倍音の少ないパッド系の音ならどうにかという感じです。シンセリードなんかの存在感のある音は最初から無理だと思いますが,今ふと思いついたのは,B-3とリングモジュレータの組み合わせで変な音を出す技がありますよね,あれをこのシンセサイザーで代用するというのはありでしょう。


(11)残念な事

 イコライザーがありません。これは残念です。スタジオでもステージでも,常に自分の頭の中で鳴っている音が出るとは限りませんが,それをイメージに近づけるのがイコライザーですから,これがないのはちょっと致命的かなとおもいます。

 大した手間でもないでしょうし,リアルタイムでいじれなくても構わなかったので,イコライザーは本当に欲しいと思います。

 もう1つ,電源のON/OFFについてです。電源をOFFにした時に,それまでの状態が記憶されないのは,ちょっとどうかなと思います。

 電源を切る直前の状態のうち,記憶しておいて欲しいのは,選んでいる音色(プリセット3つかもしくはマニュアルか)と,もしマニュアルを選んでいた場合にはオルガンタイプ,コーラス/ビブラート,レスリー,オーバードライブとリバーブ,パーカッションの各設定をきちんと復元しておいて欲しいということです。

 例えば,ACEやVXを中心に使っている人が,電源を入れる度にB-3に戻ってしまうのは悲しいです。ACEやVXをプリセットに記憶しておいても,電源ONではMANUALに戻りますので,やはり一手間かかるのです。これはちょっと厳しすぎます。

 最後に,これはM-soloの性格上やむを得ないことなのですが,プリセットを呼び出した時に,それがどんなドローバーの設定だったのかがわかりません。プリセットからドローバーを変化させた時に,元の状態からどのくらい変化させたのかもわからなければ,他のドローバーの位置もわかりません。

 その状態で出来上がった音をプリセットとして記憶させると,結局ドローバーがどんな位置かを知らないまま演奏することになります。これ,思った以上に気持ち悪いです。だって,ドローバーの位置がそのまま音に反映されるのが,リアルタイム指向の真骨頂でしょう?


(12)まとめ

 確かにこれは"B-3"ではありません。ですが,ハモンドの名前を冠する「ハモンドオルガン」であり,B-3への尊敬がM-soloには宿っています。

 一生懸命試行錯誤を繰り返して,どうしたらハモンドオルガンっぽい音が出るかを模索したのに,M-soloを使えば簡単に実現してしまうのですから,とても楽しいです。

 今回わかったのは,やはりハモンドオルガンというのは,多列接点にあるのだなあということです。クリック,チャタリング,グリッサンドで出る音の「らしさ」も,結局この多列接点にあったということです。そりゃー,他社のオルガンではかなうはずもありません。

 まだ断言出来ませんが,ハモンドオルガンをハモンドオルガンたらしめているのは,

・トーンホイールによる音源
・一体化している鍵盤と音源
・リアルタイムで動かせるドローバー
・スキャナービブラートとコーラス
・キークリックとチャタリング
・パーカッション
・レスリースピーカー
・これらを駆使した奏法

 ということが,はっきりわかりました。特にキークリックとスキャナービブラートは,ハモンドオルガンで最も重要な要素の1つじゃないかと思ったほどで,でもこれを語る人って少ないですし,他のメーカーの製品でここにこだわったという話を耳にすることはありません。ハモンドオルガンに詳しくない人の中には,これらの単語を知らない人だっているんじゃないでしょうか。

 私は幸いにして,M-soloという形でハモンドオルガンのほんの一部を知ることが出来ました。今なおハモンドオルガンが世界中で愛されていることの理由が見えた気がします。

 同じ鍵盤楽器ですし,これまでにもよく使っていた音ですが,新しい楽器に手を出して,練習して少しずつ弾けるようになっていく,そんな経験を新たにする機会になりそうです。楽しくなるなあ。

 

CherryMX2Aの銀軸はどうかね

ということで,今度はCherryMX2Aの銀軸です。

 銀軸はスピードシルバーとも呼ばれていて,全体のストロークは赤軸とそれほど変わらないものの,接点がONになるまで(アクチュエーションポイントといいます)が浅く,それだけ早くにキーが入ります。

 だから,底まで押し込むならば赤軸と同様であって,なにも銀軸を選ぶ必要はないと言うことになるのですが,実際に文字が入力されるのは銀軸の方が早いわけで,結局の所使ってみないとわかりません。ちょっとしたタッチで入力出来ることに慣れてしまえば,その分高速でタイピング出来ることは間違いないわけで,ひょっとしたら私は新しい世界を知るかも知れません。

 一方で,少し触れただけでキーが入るというなら,正確なタイピングをしないとミスが連発するという事になります。特にJISとUSで大きさが異なるENTERキーなどは,赤軸でもミスタイプしがちですので,しっかり意識して狙って打たないとダメですし,結局投げ出してしまうかも知れません。

 てなわけで,先日買った「MAGIC-REFINER K68ワイヤレスキーボード」をCherryMX2Aの銀軸にしようと手配をしたのですが,私はここで勘違いをしました。前回買ったCherryMX2Aの赤軸が静音赤軸だったことをどういうわけだか忘れていました。

 MX2Aの銀軸が届いてから,はて同じCherryMX2Aでもこんなに感触が違うものなのか,もしかして今回の銀軸はMX2A ではなかったりするんじゃないのかとか,余計な心配をしたのですが,CherryMX2AはCherryMXよりもスムーズになったことを除き,音の大きさはそれ程変わりません。(とはいえ,その音質は全然違っています。CherryMX2Aの方がやや重たい音ですので,私はこちらの方が好みです。)

 さて,交換作業が終わり,早速CherryMX2Aの銀軸を試してみます。

 なるほど,スムーズで引っかかりがありません。CherryMXもスムーズでしたが,MX2Aはさらにスムーズですし,指先にかえってくる反応にばらつきがありません。とても整っています。

 ただ,静音赤軸のMX2Aが大変良く,違いも大きかっただけに,同じMX2Aでも銀軸はMXとの差が小さいなと言う印象です。だからといってMXでもいいという判断はないと思います。

 スコスコ入力出来る軽快感はさすがで,このあたりは安いスイッチでは味わえないでしょう。

 加えて銀軸の使い勝手の良さです。総ストロークも赤軸に比べてやや短くなっていますが,アクチュエーションポイントが0.8mmも浅いので,それだけ早くに入力が終わっているわけで,これだけ感覚的な違いを生むとは想像もしませんでした。

 ということで,今回の交換に必要だった70個の費用は送料まで入れて6000円弱。もともとが安いキーボードだったのでこれだけのお金をかけられましたが,結果なかなかよい仕上がりになったと思います。いやあ,銀軸は疲れにくいし,肩に力が入りません。これはいいですよ。

 

RealForceのキートップ交換でUS配列に

20240626203105.jpg

 私が現在愛用しているキーボードの1つに,東プレのRealForce(89U,テンキーレス)があります。

 おそらくもう20年は使っていると思いますが,相変わらずPCを使う時の相棒です。時々掃除をする程度ですが,故障がないのはもちろん感触の変化もそんなに感じません。

 仕事に使うキーボードを選ぶにあたって,どうしても静電形の感触が忘れられず,選んだのがRealForceでした。当時としては高価な2万円だったと思います。(ちなみに買ったのは今はなき秋葉原のクレバリーでした。合掌)

 静電形と言うことになると,HappyHackingKeyboardがもう1つの選択肢となるわけですが,これはコンパクトで格好良く,しかもUS配列ですのでかなり迷ったのですが,更に高価だったことに加えてカーソルキーなどの特殊キーは残しておきたかったこともあって,RealForceのテンキーなしになりました。

 ただ,当時のRealForceのテンキーなしモデルには,USキーボードの配列がなく(もともとなかったのかお店で扱ってなかっただけなのかわかりませんが,どっちにしてもそのとき選べなかったことは確かです),本当はUS配列が欲しかったのに,日本語配列でもどうにかなるだろうと,諦めてJISキーボードモデルを買ったのでした。

 20年も使うと,こんな風に黄ばんできます。キーの表面も減ってテカリが出てきています。なんやかんやで一番長く付き合っているのが,仕方なく選んだJISキーボードというのも,人生どうなるわからんもんです。

 20240626084243.jpg

 これまでにも書きましたが,USキーボードにはJISにはない特徴があり,慣れの問題とは言いながらも私はやっぱりUSキーボードの方がしっくりきます。

 括弧は()も[]も{}も,左右に並んでいるのがいいです。JISは[]と{}が上下なので面倒です。()もUSはJISに比べて1つ右にずれていますので,実はJISとUSで同じ指ではタイピング出来ませんし。

 ;と:をSHIFTで打ち分けるというのも心地よいですね。その点で言えば'と"も同じです。ああ,=と+も-と_も\と|も同様です。

 そして真打ち,@です。@など昔は出番のない記号だったのに,atと発音が同じという理由で今や引っ張りだこ。毎日のように使う記号だけに,さっとSHIFTを小指が押してから「ああこれはJISだった」とはっとすることも多く,やっぱりUSキーボードの方が楽だなあと思います。

 一方で,USキーボードにはRETURNが1段分の高さしかないことが私には不満で,JISのように大きな面積のキーでもいいと思っています。海外のマシンにもそういうキーボードは多かったですしね。

 なにより,JISはキーの数が多すぎます。そんなに使いません。日本語の変換にかんするキーが多すぎて,スペースバーが小さくなっています。これじゃスペースキーじゃないですか。スペースはバーであるべきなのです。

 しかし,Windowsはキーボードを切り替える機能がありません。macOSは差し込んだキーボードごとに配列を覚えておいてくれるのですが,Windowsにそんな気の利いたことを期待するのも間違っています。

 だから,PCはJISで,それ以外はUSでという棲み分けが私の中にはずっとありました。

 しかし,先日からUSキーボードを改めて使ってみると,やっぱり使い心地がよいのです。気になって調べてみると,今はJISとUSを一発で切り替えられるアプリケーションがフリーで存在することもわかりました(ULE4JISと言います。素晴らしいソフトをありがとうございます>作者の方)

 HappyHackingKeyboardProはさらに高価になり,今や3万円を越えるキーボードになってしまいました。そこで,RealForceを和洋折衷のキーボードにするべく,ちょっと改造を考えてみました。

 といっても大した事ではなく,HappyHackingKeyboardProのキートップを,RealForceに移植するだけです。ひらがなの刻印がなくなり格好良くなるだけではなく,@や;いったキートップもUSのものになります。

 そんなキートップを都合良く買えるのかというと,これが簡単に買えます。PFUの直販サイトで7000円弱です。昔は4000円ちょっとだったと思うのですが,これも値上がりしましたね,仕方がないことですが・・・

 RealForceとの互換性ですが,全く問題ありません。接続部分も大きさや厚みなども全く同じですので,交換可能です。

 ただ,特殊キーの一部やスペースバーについては大きさが異なるので,これは交換出来ません。あと,グレーの色合いが異なるので,特殊キーは交換前後で色が変わってしまいます。一般キーのホワイトは同じ色ですので問題ありません。

 ということで,交換作業をさくっと終わらせます。

 どうですか,交換後のキーボードは。

20240626084627.jpg
 ・・・
 ・・・

 ・・・正直,あまり変わらないなあ。もっと格好良くなるかと思ったんですが,そうでもないですね。やっぱUSキーボードの格好良さは,Enterキーとスペースバーが「らしさ」を作るんでしょう。

 でも,使い心地は激変です。こっちの方が抜群に使いやすくて,自分はUS配列が体に染み込んでいるのだなあと思った次第。運転の上手な人は右ハンドルでも左ハンドルでも問題なく乗りこなしますが,私はそういう人ではないようです。

 残念なのは,まれにULE4JISがいつの間にかJIS配列に戻ってしまっていることがあり,再起動をしないといけなくなることでしょうか。なにがきっかけで戻ってしまうのかさえわかればいいのですが,これは注意しておかねばならないでしょう。

 そうそう,もう1つ大事な事を書き忘れていました。キートップを交換したら,キーの感触も改善し,まるで新品のような打ち心地になったのです。

 1つは表面がすり減って指先のツルツルした感じが元のようにザラザラになったことで,新品のような気分になったこと(キートップは新品ですから当たり前か),もう1つは,キーによっては音が静かになったことがあると思います。

 静かになる理由はわからないのですが,最近キートップの微妙な重さの違いや精度の違いが感触に大きく左右するのではという仮説を立てている私としては,すっと飲み込める現象です。

 まあ,それは気のせいかも知れないですが,キートップがすり減ったことを消耗した,あるいは劣化したと考えるならば,それを交換するのは正しいメンテナンスのあり方でしょう。20年も使えばそりゃすり減るものも無理はありません。

 キースイッチそのものが相変わらず元気というのはさすが東プレですが,本当は軸の部分などもメンテすると使い心地が甦るんだろうと思います。そこまでするかどうかは別として,すでに体の一部となったこのキーボード,黄ばみもすり減りも勲章として,今後も胸を張って使い続けていくんのでしょう。

 

T50RPmk4を買った

 いいヘッドフォンが欲しくて,ATH-M7PROXというモニターを,それこそ一生もののつもりで買ったのが高校生の時でした。

 というか,ATH-909か何かを試聴もせずに買ったはいいわ,自分の欲しい音と全然違って泣きくれていたところ,まさかの断線で音が出なくなり,初期不良でATH-M7PROXに交換してもらったという経緯があった経緯があって思い出深いのですが,正直そんなことはどうでも良くなるくらい,長く愛用したとても大切な1台です。

 結局10年以上,私の基準となった本当に良いヘッドフォンだったのですが,これも悲しいかな2000年頃にドライバの断線で音が出なくなり,泣く泣く廃棄しました。

 長年連れ添った嫁さんに先立たれた老人のように,ボロボロになりながら秋葉原を彷徨いましたが,M7の後継に当たるモデルは存在せず,チャラいM5しかありません。

 そんななか,無骨で不細工,しかもお安いモニターヘッドフォンが目に入り,買って帰ったのが初代T50RPでした。確か2004年頃です。

 効率が悪く音が小さく低音も出てこず,着け心地は悪く耳も頭頂部も痛くなると言う拷問のようなモニターでしたが,定位はしっかりしており,その解像度も素晴らしいものがありました。

 耳が慣れてくるとこのヘッドフォンでなければダメ,と言うところまでいってしまい,依頼私の基準はT50RPになりました。(当時の感激が艦長日誌に残っています)

 2016年,初代のイヤーパッドも何度か交換してきましたが,最大の弱点だった高音が出るようになったと耳にして,T50RPmk3nを買いました。これもなかなか良いヘッドフォンで,うちの基準器になりました。

 しかし,これも7年が経過したところでヘッドバンドがボロボロになり,一銭からい退くことになりました。イヤーパッドも何度か交換して使っていましたし,バランス入力対応に改造もしたのですが,やはり見た目は大事です。

 それで現在のうちの基準器は,ソニーのMDR-M1STなわけですが,巷の評判の悪さを私自身は実感せず,結構気に入って使っています。周波数レンジは十分に広く,解像度も悪くないのですが,空間の表現力が乏しく,平面的なところは「モニターだし」という変な言い訳で切り抜けている感じが否めませんが,楽器を演奏するときに使うヘッドフォンとしては悪くないので,何だかんだで手元にあるのは,こいつだったりします。

 ただ,これが楽しいかといえばそんなことは全然ないので,やはりT50RPだよなーと思っていたところ,まさかの新製品が出ると言うじゃありませんか。

 私はRPシリーズでもT50意外にはあまり興味はなく,あくまでT50RPの後継機が出たから興味を持ったに過ぎないのですが,見たところ欠点の1つだった装着性は大幅に改善されているようですし,買ってみることにしました。

 しかし,値上がりしましたねー。4万円近い値段です。初代が1万円を切っていて,mk3nが17000円弱,これが一気に38500円ですから倍以上です。いくら何でもと思うのですが,ヘッドフォンが全体的にインフレ状態で,物価の上昇以上に値上がりしている(高級化しているわけですね)現状では,やむなしという所でしょうか。

 どうせ買うなら予約して発売直後に手に入れようと,ヨドバシ.comが13%ポイント還元のうちに予約したT50RPmk4が,今日届きました。

 まだ聴き込んでいませんが,さっと第一印象から。

・見た目

 ごっつくなっています。イヤパッドはダンプカーのタイヤみたいで,大げさです。10年ちょっと前,こんな感じのヘッドフォンがソニーから出ましたが,その時は「重低音モデル」だったように思います。

 その見た目は音がキワモノだったから許されたのですが,今や正確を売り物にするモニターでさえもこんな見た目ですからね,私のような落ち着いたストイックなデザインが欲しい人は,なかなか難しい時代になりました。

 ただ,それも機能性から考えると正解で,T50RPシリーズの弱点の1つだった装着感の悪さは大きく改善し,普通のヘッドフォン並になりました。包み込むような優しいタッチのイヤーパッドは快適ですが,この遮音性の高さがセミオープンのT50RPシリーズにどういう影響を与えているのか,興味がわいてきます。

 ヘッドバンドも改良されていて,頭が痛くなることはなくなりました。とはいえ,素材がmk3nから大きく変わった感じはしないので,数年もするとボロボロになるんじゃないかと思います。

 mk3nは,オレンジのコードや白地の大きなロゴが目立つ派手なデザインで,これはこれで面白かったのですが,mk4では一転して地味なモノトーンになりました。おかげで左右がぱっと判別出来ない(これはジャックが左右についているからでもあるんですが)という弊害もあります。

 ハウジングのデザインも変わっているので,T50とわからない丸い感じが印象的ですが,これもまあいずれ慣れてくるでしょう。


・使い勝手

 さっきも書きましたが,ケーブルが左右どちらにも刺さるので,取り回しがかなり楽になるはずです。私は左から出す人ですが,時々右に出したいときもあるので,この工夫は拍手です。

 相変わらず重たいし,側圧も強めなのですが,これはこれでモニターしてるぞと言う気分もありますので,T50RPの個性として受け取っておきましょう。


・音

 肝心の音ですが,T50RPシリーズの弱点を確実に潰してきた音です。伸びる高音を,しっかり据わった低音で支えて,バランス良くモニター出来ます。RPでもここまで出るかと思うほど豊かな音だと思います。

 悪く言えば普通のヘッドフォン並の音になったと言っても良いので,感動は薄いのですが,それでいてRPの特徴である定位の良さ,解像度の高さ,そして空間再現性の高さは保っていますので,例えばMDR-M1STに比べて,聴いていて楽しく,そのくせ正確なモニタリングも出来るとあって,大変好感触です。

 もう1つ大事な事として,効率の改善があります。これまでのT50RPでは,インピーダンスが高く,音が小さい,アンプのゲインが足りないということが起きていました。

 しかしmk4ではかなり改善されており,ダイナミック型には及ばないものの,問題となるシーンは少ないと思います。効率の良さは元気の良さでもあります。前に出る音が手に入ったことは,T50RPの弱点を1つ克服したことになるでしょう。


・欠点

 なんでこうなった,という欠点の1つが,本体側のジャックのアサインです。MDR-1Aタイプと異なるアサインになっているので,バランスケーブルを流用しようと思っている人は要注意です。

 付属のケーブルはもちろん,MDR-1Aのアンバランスケーブルなら問題ないのですが,こういうことになるとケーブルの選択肢が限られてくる上,同じ形状でも互換性のないケーブルが溜まってくるので,勘弁して欲しいなあと思います。

 いろいろ考えたのですが,これはもう本体を改造して,MDR-1Aタイプにするしかないと結論しました。改造は簡単ですので,買ったばかりの新品を改造することに抵抗がなければ,やってもいいかと思います。改造法は後日。


・まとめ

 T50RPの弱点は確実に解消されていますが,見方を変えれば「普通のヘッドフォン」になってきたといういことでもあります。良くも悪くも個性が薄くなったと言えます。

 価格も4万円,実売で35000円程度と高額になりましたし,積極的にT50RPmk4を選ぶ理由は減ったと個人的には思います。

 もちろん,位相特性や定位,空間再現性は素晴らしいですが,この値段なら他にもいいものはいくらでもあります。

 ゆえに,万人にお奨めするようなヘッドフォンではなくなりましたが,それでも他と肩を並べたことには違いなく,一度は検討しなければならないモデルになったことは間違いないでしょう。

 それにしてもごっつくなったなぁ(見た目も値段も)

 

ページ移動

ユーティリティ

2024年07月

- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

過去ログ

Feed