XTEINK X3をどう使うか
- 2026/09/03 14:57
- カテゴリー:散財, マニアックなおはなし
先日,ネットを徘徊しておりますと,電子書籍&ガジェット好きという,どちらも20年前に味わって久しい香ばしい薫りに誘われ,XTEINK X3なる電子書籍端末にたどり着いてしまいました。
名刺サイズで厚みは5mm,日本人なら大好きな手のひらサイズのこの端末は,好き嫌いが分かれるEinkを搭載した3.7インチの超小型端末です。
大きさは98x64x5.1mm,重さ58gとハンドリングは良好,ディスプレイは480x800ピクセルで250PPIとなかなかの高解像度で,ストレージはmicroSDの16GBで,お値段は13000円ほど。
それこそ一昔前は1万円で立派なKindleが買えたことを考えると円安が恨めしくなるわけですが,Kindleと違って赤字でもばらまくという戦略も大企業の後ろ盾もないガジェットが1万円でこうして世に出てくるだけでも大したものだと思います。
Einkとは腐れ縁の私がこれを見逃すこともないと思い,実用に供するイメージがさっぱり沸かないにもかかわらず,文字通り衝動買いしてしまいました。折も折,amazonがセールをやってることもありましたし・・・うちの家訓は「買わずに後悔するより買って後悔しろ」です。
調べてみると,3ヶ月ほど前から話題になっているものらしく,一部の感度の高い羨ましい人たちはaliexpress等で手に入れているみたいでした。ただ,日本向けと中国国内向けではファームウェアのポリシーに違いがあるようで,私がamazonで手に入れたX3は,ちゃんとファームを書き換えることの出来るものでした。
(1)第一印象
名刺サイズと言うから覚悟していましたが,画面サイズが名刺サイズと言うだけで,案外大きめだと思います。手元にある(さりげなく自慢)のGR IVに重ねてみたのですが,長手方向がやや短いくらいで,あまり大きさは変わりません。いやいや,GR IVってどんだけ詰め込んでんねんな。
持ちにくいほど小さい分けでもないですし,実用性はゼロだなと覚悟していたディスプレイもこれなら使い方を考えようという気にもなります。
面白いのはタッチパネルではなく,すべて物理キーであることです。おかげでボタンだらけで,もう覚えられません。ああ,かつては小さいディスプレイとボタンが一杯ついている機器に目がなかったんですけどね。
それから,ディスプレイがなかなか良いです。ディスプレイがベゼルの奥に沈んでいるものが今でもありますが,X3はいっちょ前にフラットです。覗き込んでいる感じがなくて見やすいですね。
バックライトもフロントライトもありません。でもEinkなんだし,明るいところでちゃんと本を読みましょう。色や反射率を向上させる意味でのライトは否定しませんが,それならLCDやOLEDでもいいんじゃないかと私は思う偏屈ですので,パッシブな光で優しい読書を楽しみたいところです。
(2)質感
今どき中国製を悪く言う人などいないと思いますが,これも良く作ってあります。本体の精度も十分ですし,持った感じの密度感も素晴らしいです。ボタンの押し心地だってよく考えてくれていますし,これを大量生産して1万円で売るんですから,本当に大したものだと思います。
とはいえ,円高時代を知っている私としては,これならやっぱり6980円かなと思いました。
そうそう,大切な事を1つ。XTEINK X3はスマートフォンの裏側に貼り付けることも(全く余計な事ですが)想定しているみたいで,強いマグネットが背面に仕込んであります。
蓋の開閉認識程度の磁力なら別に気にしないのですが,さすがにスマートフォンに貼り付けるくらいの磁力ですので,注意が必要かと思います。
最近,磁気を利用したものって減っていますのでついつい忘れがちですが,滅多に買わない電車の切符とか,街の図書館のカードとか,少し古いシステムがそのまま残っている場合は要注意かと思います。
(3)日本語化
実のところ,このガジェットが懐かしいのは,そのままではなにも出来ないからです。もちろん本体だけで電子書籍を読む事は可能なのですが,どこかのストアと連携するわけでもありませんからコンテンツは自分で調達する必要がありますし,単機能の端末ですから他の使い道で遊ぶことも出来ません。
対応している電子書籍の汎用フォーマットはEPUBくらいのもので,独自フォーマットかバラバラのBMPを表示することくらいしか出来ません。JPEGですらないし,zipやcbzのようなアーカイブも未対応です。いわんやPDFなど論外です。
OSというかファームウェアがオープンソースのCROSSPOINTですから,これをもとにした日本語版のファームに入れ換えるのが,まず最初にしないといけないことなのですが,ここで前述の中国語版かどうかが効いてくるわけです。
私のようにamazonで日本国内版を正規に買えば一番楽ちんで,Google Chromeから直接付属のケーブルを使ってファームを書き換えることが出来ます。たった2分で終わる作業です。
そうすると設定項目も増えて,丸で別機種のような近い心地に変わります。そして,以後のファームウェアのアップデートはOTAで可能。もうPCとつなぐ必要もありません。
正常に再起動したら,ネットワークの設定です。標準のOSではMACアドレスがわからないのでネットワーク設定に困る人もいると思うのですが,日本語版ではMACアドレスが表示されるので心配無用。
こうして無事に繋がったら,日本語フォントをダウンロードします。BIZ UDゴシックとBIZ UD明朝,そしてNotoSansJPをとりあえずダウンロードします。端末から直接ダウンロード出来るのはなかなか便利です。
終わったらみんな大好き青空文庫から試しにコンテンツを入れてみます。こんな小さい端末から直接,作者や作品を選んでダウンロード出来るなんて,ちょっと新鮮な感じがします。もう,青空文庫専用端末でいいや。
そしていろいろ設定をいじって,個人的に見やすくした結果が以下の写真。
夏目漱石の「こころ」の冒頭部分です。私は文字がぎゅっと詰まったページが好きですし,そのためならルビもいらない人なので,こういう画面にしました。
(4)WebUIによる設定
実はこのCROSSPOINTですが,設定などをWEBから行うことが出来ます。WEbUIという仕組みなのですが,本体からチマチマ設定を行うだけではなく,コンテンツの転送やスリープ時の画面なども点灯できるので,なかなか便利です。でもあまり詳しい説明をしているサイトは見当たらないんですよね。
やり方は簡単です。ネットワークに繋がる状態になっていることが前提ですが,ホーム画面からファイル転送を選ぶとQRコードが出てきます。これをスマホで読み取っても良いですが,ここに出ているIPアドレスか,もしくはcrosspoint.localにhttpでアクセスすると,ブラウザに設定画面が出てきます。
コンテンツファイルの転送も出来ますし,設定の変更も楽です(ただしすべての設定をここで変更出来るわけではありません,残念)。でも一番便利なのは,スリープ時の画面を簡単に設定出来ることでしょう。
手動でやるには,画面サイズである528x792ドットのBMPファイルを用意し,microSDのルートに「sleep」というフォルダを作って放り込みます。設定でスリープ時の画面をカスタムにしておけば,これで毎回スリープでオリジナルの画面が出てくるというわけです。
とはいうものの,JPEGもいちいちBMPに返還しないといけないし,リサイズもモノクロ化もいるということで,なかなか手間がかかるのです。
WebUIからだと,一連の作業が全部自動です。使いたいJPEG画像をドラッグすれば,トリミングや拡大を指定して,リサイズとモノクロ化,そしてBMPへの変換を自動でやってくれます。これはなかなか便利ですよ。
私はこんな風に,自分が世話になった本屋さんのブックカバーを入れているのですが,複数入れておくとスリープする度に順番に出てきます。今日は紀伊國屋かという感じで,本当に文庫本を持ち歩いているような楽しい気分になります。
(5)使ってみて
物理キーは慣れるまで面倒ですが,慣れてしまえば画面を触るよりも快適だったりします。もともと私はKindleでも物理キー派ですから,不便はありません。
レスポンスははっきり言って遅いです。ESP32ということですからさもありなん,という気もしますが,PDFもZIPもだめで,一画面に出る文字数が少ないのに,レスポンスではちょっと集中力が削がれる気がします。
個人的には文庫本と同じサイズが良いので,ひょっとしたら上位機種のX4の方が向いているのかも知れませんが,仮にX4であったとしても自炊したPDFが直接開けないことも,解像度が300PPIに届かないことも,やはり本家のKindleやKoboには届かないなあと思います。
そう考えると,イメージで読まないEPUB専用で,直接ブラウズして読む事の出来る青空文庫専用端末として,胸ポケットに入るこのサイズは実に魅力的に見えてきます。
といいつつ,持ち歩く端末はもう決まっています(大きさと画質でKindle Vogaer)ので,これを持ち歩く事はないだろうと思いますが,本当に自炊した文庫本が読めないかどうか,PDFをBMPに変換して試してみたいと思います。案外いけるんじゃないですかね。