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2009年03月の記事は以下のとおりです。

PC-E500が動かなくなりました

  • 2009/03/30 14:36
  • カテゴリー:make:

 PC-E500関連のネタはもう昨年の秋で終わりになると思っていたのですが,昨日書かねばならないことが起こってしまいました。

 昨年10月に改造と環境構築が一区切り付いたPC-E500ですが,単4エネループ4本は搭載されたまま,ずっとメモリもバックアップされたままでした。思いついたときに動作試験を行い,電池が切れていないかを調べていたのですが,昨日調べると全く動作しません。

 電池切れはまあ来るべき時が来たか,という感じとして,心配なのはバックアップ電池の消耗によるメモリ内容の完全消去です。

 SRAMですから,電池が切れると苦労してインストールしたソフトや作った環境が全部消えてしまいます。再インストールの手間が大変なのでそれだけは避けたいと思っていましたから,気休めにメモリバックアップ電池をCR2016からCR2032に大型化してあります。しかしCR2032に変えたところで数日でバックアップ電池も消耗してしまいます。

 実はCR2032は切れていませんでしたから,今にして思えば,この時素直に新しい単4電池に入れ替えていればおそらくすべてはうまくいったのでしょうが,私のやることがすんなりうまくいくはずがありません。その時,やはり新しい電池は手元にありませんでした。

 仕方がないので,拡張コネクタの電源端子に安定化電源を突っ込むという荒技にでました。

 ・・・なにも表示されません。メモリ内容がこわれたのかも知れないですね。あきらめてリセット・・・なにも表示されません。壊れたのか!

 電源電圧が低いのかも知れないと思い,少しだけ電圧を上げてみました。勢い余って7V以上の電圧がかかってしまいました。一瞬表示が出てかと思うと,また画面が消えています。電流計を見ると,なんと500mAも流れています。普段の20倍です。

 これは深刻だと,別のマシンから単4電池を取り外して付けてみますが,やっぱり動きません。そうすると,ほんのり背面が暖かくなってきました。

 やばい・・・RAMカードのフタを外すと,私がS3:エリア用に2段重ねで増設したSRAMがむき出しになっているのですが,これを触るとやけどしそうなほど発熱しています。

 やっちゃいました。

 電圧を不意に上げたことで,SRAMがラッチアップして死んでしまったようです。

 これでは起動するはずもありません。私は事態の深刻さをようやく理解したのでした。

 とりあえず修理しなければなりません。発熱したSRAMは2段重ねの上段ですから,まずはこれをニッパーで足を切り取り外します。ここで動けば下段のSRAMは壊れていない可能性があります。(壊れていないとは言い切れませんし,壊れてなくてもストレスがかかっているわけですから,寿命は極端に短くなっていることでしょう)

 試したところ,幸いにも起動します。下段のSRAMも壊れているかも知れませんが,壊れていない可能性も高くなってきました。

 そこで同じSRAMの新品を1つ用意し,交換。うまく起動してくれました。動作電流もスタンバイ電流も問題はなさそうです。

 この2つのSRAMの全アドレスに55hとAAhを書き込み,メモリテストを行いましたが,無事に通りました。直ったようです。

 そして一番面倒なソフトのインストールと環境構築。日本語環境とエディタ,そしてファイラーの最低限の環境だけ整えて終了とします。この間3時間。いやー,時間の無駄とはこういう事をいうんでしょうね。

 ところで単4のエネループは750mAh程度の容量があるようです。この改造されたPC-E500では,スタンバイ電流が200uA程ありますから,ざっと3750時間となります。日数に直すと156日ですので約5ヶ月と言うことになります。

 今回のPC-E500では,メインの単4電池はすっからかんでしたが,メモリバックアップ用のCR-2032は2.7V程度でしたので,メインの電池が切れてそれほど時間は経っていないと思われます。

 それで,昨年10月に電池を入れ替えていましたので,電池が切れたのが最近とすれば約5ヶ月。恐ろしいほど正確です。実際,DC-DCコンバータの搭載とSRAMの増設でどれくらい電池が持つのか気になっていましたが,なんとか期待した通りになってくれていたことがわかり,安心しました。

 ということで,今後は4ヶ月くらいで電池を入れ替えた方が良さそうです。

 実は,前日の土曜日には,palmTXへの以降の総仕上げとして,課題として残っていたWristPDAの環境設定とデータの共有にチャレンジしていましたが,やはりはまりまくりました。ざっと6時間かかってようやく動くようになったのですが,これもまあ時間の無駄と言えば,その通りでしょう。

 友人が私にそそのかされてchumbyを買い,やはり土日に完全引きこもりで遊び倒したそうですが,どういうわけかこの手のガジェットというのは,我々の心をとらえて放さない何かを放っているような気がします。

有機ELと無機ELを混同する雑誌

 CQ出版社の雑誌や書籍には,学生の頃は趣味で,現在は趣味に加えて仕事でも随分とお世話になっています。電気電子関連の技術書でも,出版社によって難易度や傾向の違いがあって,同じテーマの本が複数あった場合に,自分の欲しい情報が載っているものを出版社から選べるようになると,本選びも幅が広がります。

 ただ,先日とても残念な事がありました。詳細はもう少し後で書こうと思っているのですが,ちっとも訂正されないのでここに書いておきます。

 CQ出版社は,電子工作の雑誌として「エレキジャック」を刊行しています。年に4回ですでにNo.11といいますから,3年近くになるのですね。

 私は,その主旨に共感してNo.1からずっと購読しています。内容の良し悪しはここでは議論しませんが,それ以前の問題として,手の付けようがない誤りが必ずどこかにあることが大変気になっています。

 ちょっとした誤記は構いません。ありがちなことですからきちんと訂正をすればよいでしょう。しかし,少しばかりの調査や勉強を怠ったと思われる明らかな間違い,著者の思い込みに誰も気が付かずそのまま表に出てしまう甘さ,といったこの手の雑誌としてはもはや致命的な問題が,初期の頃から現在に至るまで改善されずにいます。

 いや,重箱の隅を突くような細かい間違いをあげつらっているわけではありません。そんなことをすれば書ききれないほど出てきます。そうではなく,根本的な理解をしていない,原理的に間違っている,といった,書き間違いや表記のミスという表面的なミスではない深い所の話だけに,これを読んだ人は誤った知識で以後過ごすことになるだろうことに,憂慮しているのです。

 以前にも書いたかも知れませんが,No.1の記事にあった,ガリレオがピサの斜塔からものを落として落下の速度は重さに関係がない事を証明した,なんて話は,後の世の作り話であることはもはや常識です。こんなことを未だに平気で書いている人がいるのか,そしてこれをチェックする人が誰もいないのかと,あきれてしまったことを思い出します。

 最新号であるNo.11のミスについては,もはや打ち上げ花火級です。

 CQ出版社の書籍案内サイトの,エレキジャックNo.11を見てみますと,その紹介の冒頭,

「光る電子部品で有名な「LED」や次世代照明と呼ばれている「有機EL」を使ったユニークな作品を15種類作ります.」

 とあります。しかし,実際に工作で使われているのは,有機ELではなく,無機ELです。

 秋月電子で売られているELシートを使ったありがちな工作なのですが,有機ELを使ったことになっています。しかし秋月電子で売られているELは無機ELです。(秋月電子もそういっているそうです)

 難しい話はちょっと割愛しますが,有機と無機の違いは,材料が無機なのか有機なのかという違い以上に,発光原理から根本的に異なっていて,その歴史も全然別物です。

 原理的な違いから,無機ELは交流駆動,有機ELは直流駆動をします。工作ではわざわざ交流で駆動するインバータを用いているにもかかわらず,有機ELを使っていると書いてあるわけです。

 私の想像ですが,この作者の方は,無機ELというものがあることを,そもそも知らないんではないかと思います。百歩譲って知っていても,材料が有機か無機か,程度の違いであとは同じなんだろうと,そんな風に思い込んでいたのではないでしょうか。そうでないなら,公に記事を書く段階でその違いを意識して調査をしなかったという無頓着さに,知らなかった事以上の罪深さがあるように感じます。(余談ですがこの方は高校の先生なんだそうです)

 この有機ELと無機ELの2つを混同しているという初歩的な知識不足と,事前にちょっと調べてみるという慎重さを欠いた姿勢に,私は開いた口がふさがりませんでした。

 ご丁寧に,工作以外にも有機ELの解説記事まで載せていますが,工作が無機ELで行われている以上,解説記事との関連は結果的に非常に薄くなります。もし仮に関連記事としてトピックスとして有機ELを紹介する記事なら,工作の記事内に解説を参照させる記述を避けるなど,それなりの書き方や扱いがあるべきです。

 解説記事には,1935年の古い日本の小説の「蛍の光を人工的に作るなど夢のような話」という部分をとりあげ,現在蛍の光が照明に使われるようになってきていることなど想像も出来なかっただろうと書いて,技術の進歩を讃える部分があるのですが,有機ELは1980年代後半の開発でも,無機ELは1936年にフランスで発光が確認されていますから,小説当時としても夢物語というのは無理があるでしょう。

 この解説では,有機ELは蛍の光と同じ原理だと論じて話を進めています。広く「ルミネッセンス」というくくりに視点を置けば確かに誤りではありませんが,そういう話になると,無機ELもLEDも,ルミネッセンスで発光するものはすべて蛍の光と同じ原理です。

 有機ELを「夢の光」と言いたいなら,蛍を引き合いに出すのは無理があり,「蛍の光を照明に」と言いたいなら,話は無機ELまで遡る必要があります。

 こうやって,非常に都合の良い解釈で有機ELの先進性を語り,そこから今回の工作の先進性まで高めていこうという流れには,恣意的と言うよりむしろ,悪意さえ感じるのです。

 有機ELは名前ばかりが先行し,その実体が一般によく理解されていないデバイスです。無機ELは戦前からの歴史がある割には使い勝手が悪く,我々がその存在を意識するシーンは非常に少ないのが現状です。よって,間違った知識が広まっていますし,その根源は間違った解説や浅い説明によるところが大きいと考えています。

 それを正していくのが,技術系出版社が出す雑誌の役割です。初学者が手にするエレキジャックのような雑誌であればなおさらの事で,難しい事実を簡単にかつ正確に説明するという,最も難しい役割を担う覚悟も不可欠でしょう。

 こうした間違った内容を利用し「次世代照明として注目の有機ELで工作」とNo.11の売り文句の1つにしています。これを目当てに買った人もいるでしょうが,実際は無機ELなわけです。仮に悪意はなくとも,誇大広告,不当表示にあたるんじゃないでしょうか。

 さらに深刻なのは,工作の作者先生がこうした無理解と不勉強による根本的な思い違い(作者のホームページにはなんと有機ELの特設ページが無機ELを使った工作で作られています)を,結果的にプロの編集者が誰一人として指摘できなかったことでしょう。これを宣伝文句に表紙に広告にと,あらゆるところで大々的に謳っているなど,見ている私まで恥ずかしくて赤面してしまいます。

 実は,この点,私は技術者としての社会的責任という技術者倫理の観点から看過できず,発売後数日で編集部宛に指摘のメールを送っています。

 すぐに反応があり,事実確認がなされて,これは有機ELではなく無機ELと判明しました。その後何度かのやりとりがありましたが,訂正がWEBのサポートページに掲載されただけで,他への対応はどうも行われていないようです。なにも,回収しろとか正誤表を挟めとか告知を出せとか言いませんが,せめて訂正の簡単なWEB上の出版案内などは誤りであることがはっきりした時点で,すぐに訂正をして欲しいものです。

 こういう所に,編集部,ひいては雑誌社の責任感や使命感が見え隠れするのですが,CQ出版社についてはトランジスタ技術やインターフェースなどの雑誌は秀逸ですし,オペアンプ大全などの素晴らしい書籍をコツコツと作っている出版社だけに,こんなことで評価を落とされてしまうことは,ファンとしてとても残念な事です。私見ですが,同じCQ出版社であっても,それぞれ雑誌によって作り手の「丁寧さ」に大きな差がある,というのが,印象だったりします。

 ところで昨日,オライリーからmake:日本語版の最新号が発売になり,早速買ってみましたが,こちらは毎号毎号面白さが加速していますし,作りの丁寧さには毎度毎度唸らされます。比較をするのは筋違いかも知れませんが,同じような工作をテーマにした雑誌の中では,他の追随を全く許さない,独走態勢の雑誌と言って良いでしょう。年4回の刊行になるそうで,この手間暇をかけた作りで年4回はきついと思いますが,ぜひ頑張って欲しいものです。


 団塊世代がお金と暇を持て余すようになって真空管アンプや真空管ラジオがちょっとしたブームになり,また専門知識がなくてもそこそこ使いこなせるフィジカルコンピューティングやプロトタイピングを指向したArduinoなどのおかげで,ちょっとした電子工作ブームが来ています。

 そのことそのものはうれしいですし,大変結構な事ではありますが,物足りないのはこれを支援する情報源が質,量共に今ひとつで,特に雑誌系はその内容がもはや壊滅的というのが現状だと思います。もっとも,少し前の状況から考えると,電子工作の雑誌が本屋で買えること自体が驚きなのですが,どうせ出すならもっとしっかりしたものを望みたいものです。その点で,日本には「子供の科学」という,お手本にすべき優れた雑誌が存在します。

 私としては,過去に電子工作の雑誌に育てられてことに感謝しているので,なにかこの手の雑誌のお役に立てればと常々思っているのですが,なかなかきっかけがないのが現実だったりします。

古時計

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 この小汚い時計は,セイコーの「TIME PORT-7」という名前の時計です。1980年の発売といいますが,私が父からプレゼントされたのは1981年であったと記憶しています。プレゼントされた理由は定かではありませんし,当時小学生だった私も,なぜもらえるのだろうかと疑問だったことを覚えています。

 あれから28年。何の変哲もない時計ですが,学生時代は机の上に,社会人になってからは目覚ましにと,常に私の傍らにいた時計です。

 星の数ほどあるデジタル時計の中で,「TIME PORT-7」でググると,何件かヒットします。当時においても,そこそこ個性的な時計で,現在も大事に使い続けている人が日本にも海外にもいることに,妙な親近感を感じました。

 私にとってこの時計は,もはやこれでないと困る時計です。近所迷惑なのではないかと思うほど大きな音がするアラームは確実に私をたたき起こしてくれますし,ストップウォッチ機能は置き時計ならではの安定感と操作のしやすさに秀でています。これまでの膨大なネガの現像は,すべてこれが刻んだ時間で処理されています。

 物持ちの良い私でも,さすがに30年近く使い続けたものというのはこれくらいでして,モーターやギアのない時計ですから,壊れるはずもないとラフに扱っていたのが災いしたのでしょう。

 写真でも分かりますが,LCDの左側が,黒くなっています。

 経験的に,LCDは遅くても20年,早いと数年で,こうして黒くなってしまいます。最初は端っこの小さいエリアでも,徐々に広がっていってしまいます。指で触ったり,水がかかるとさらに広がるのが早くなります。

 もうこうなると復活の方法はLCDそのものの交換しかありませんが,すでに30年近くが経過した時計が修理出来るはずもありません。事実,修理を断られたという体験談をホームページに書いている方もいらっしゃいました。

 昨年くらいに左上が黒くなり始めたのですが,仕方がないで済ませていたのです。ところが先日,ちょっとした振動で時刻がリセットされてしまう状況に業を煮やし,分解して修理することにしたのが運の尽き。

 LCDの偏光フィルムも劣化するので,新しいものに交換しようとしたところ,どうも厚さが変わったらしく,基板をネジ止めしてもうまく導電ゴムと端子が接触せずに,綺麗に表示がなされません。別のフィルムを敷いて厚みを稼いで解決したのですが,これに気が付くまでにすでにネジ山はなめてしまい,LCDもより広い範囲で黒くなってしまっていました。

 これにはがっかりです。余計なことをしなければ良かったです。

 しかも,AMとPMの表示部が黒くなってしまったので,PMの時だけ,Mの左下のわずかな部分だけが点灯しているかどうかが,AMとPMを見分ける唯一の手段です。アラーム時刻のセットでAMとPMをよく間違えてしまう私にとっては,この問題は致命的と言えるでしょう。

 まあ,後継機がきっとあるさ,と探してみますが,これに代わって使えそうなものは見つかりません。修理しようにもそれは出来ないといわれています。オークションを探してみるのも手ですが,30年前の,それも普通の時計がそうそう簡単に手に入るとも思えません。

 ポケコンもLCDが黒くなってしまいましたし,ゲームウォッチも黒くなっています。LCDという自分の寿命よりも短い命の部品を使った製品を大事にするには,自ずと限界があるようです。

 ACで動くものなら,思い切って別のディスプレイに交換してしまうのですが,単三電池一本で1年以上動く時計ですから,素人が手に入れられる部品で修理するのは難しそうです。

 なってしまったものは仕方がありません。とりあえず,わずかに判別できるPM表示を頼りに使い続けることになりますが,これも次第に見えなくなることでしょう。そうなるまでの間に,なにか良い方法を考えついて,実用レベルで修理が可能になっておく必要があります。

 使われている時計用LSI「uPD1991」については,全然データシートが見つかりません。本気で使えるレベルにするための工夫を,遠からずやってくる「使い物にならなくなるとき」のために,考えておこうと思います。

新しいiPodShuffle

  • 2009/03/16 17:24
  • カテゴリー:散財

ファイル 278-1.jpg

 新しいiPodShuffleを買いました。

 ついでに買うものもあったので,またヨドバシにお願いしたのですが,3月14日出荷の15日到着で届いてしまいました。最近のApple製品は,発売直後でも在庫がちゃんとあるんですね。

 早速開けてみたのですが,予想通り「驚くほど小さい」という感じではありません。確かに以前のものより小さくなっていますが,ここまで小さくなると劇的に使い勝手や印象が変わる,と言うものではないなあと思います。

 写真の通り,1世代前のMacBookProとよく似合っています。

 レビューは他にもっと詳しいものがあちこちにあると思いますので,私が言うべきことはほとんどないのですが,今回の目玉について何だと問われれば,それは大きさもさることながら,やはりVoiceOverです。

 まだちゃんと使い込んだわけではないのですが,分かったことはデフォルトでは完全ではなく,手作業によって調整がないと,満足な「おしゃべり」を聞けないことです。

 例えばプレイリストのタイトルですが,明らかに英語で表記してあっても日本語読みしてしまうことがあります。最初なんと言っているのかさっぱり分かりませんでした。

 曲のタイトルもしかり。ちゃんと英語で発音するものもあれば,なぜか日本語読みされてしまうものもあります。私はMacOSX10.5ですので,英語の音声はなかなか良くできていて,日本語の音声との落差が大きく目立ってしまいます。気に入らなければ曲ごとに設定を変える必要がありますが,10000曲を越えたライブラリでそれを1つ1つやるのは現実的に不可能です。

 14カ国語でしゃべる,まではいいとして,それが英語なのか日本語なのかフランス語なのか,どうやって判別するのかなあと思っていたら,やっぱりそこがツメの甘さを露呈したような感じです。

 VoiceOverで音声が出ているときには音楽の音量が小さくなるのですが,ちゃんとフェードイン/フェードアウトしますので,違和感もありません。このあたりは良くできているなと思います。

 あと,リモコンです。

ファイル 278-2.jpg

 このリモコンは,すでに発売されているApple純正のリモコン付きヘッドフォンのものと同じらしく,別に珍しいものではないのですが,簡単にばらせそうだったのでツメでこじ開けて,ばらしてみました。

 何のことはない,スイッチが3つ付いているだけです。

 ということで,ちょっと使ってみて思ったのですが,はっきりいって,私にはこれで十分です。容量も十分ですし,リモコンがないと何も出来ないのでヘッドフォンを交換しようという欲も起きません。

 音質もこれ以上のものを望むような使い方をしませんし,これ以上軽い必要も,小さい必要もありません。強いて言うなら安くなる方向はありだと思いますが,今の値段でどうにもダメかというそんなこともありません。

 今回の買い物で何か新しいことができるようになったわけではありませんが,妙な満足感があるのは,さすがAppleということでしょうか。

宅サーバー

 さて,うちには古くから,24時間可動のサーバーが鎮座しており,各種のサービスを提供してくれています。

 そもそも発端は,Geocitiesの会員規約変更でした。自分でホームページでも持って見るかとGeocitiesで自分のホームページを外に公開し始めた私は,後に変更された会員規約に納得が出来ず,すべてのコンテンツを引き上げました。

 その際,自分のサーバーで管理しないと同じ事になるんじゃないのかと考えた私は,無謀にも自分でhttpサーバーを用意することにしました。

 固定IPを手に入れることや,独自ドメインを用意するなどという大げさなことは考えず,消費電力の小さい小型のノートパソコンにWindowsを入れて,ここで細々と運用を始めました。DynamicDNSというサービスがいくつか始まっていたことも追い風でした。

 その後,不安定で管理が案外面倒なWindowsから,堅牢で実績もあり,apacheなどデファクトとなったサーバーが安全に使えるLinuxに移行し,現在に至っています。マシンもPentium133MHzの富士通のサブノートからMMX-Pentiumの233MHzの日立のサブノートを経て,現在は500MHzのCeleronを持つThinkPadX20が活躍中です。

 Linuxは自宅サーバーでよく使われているらしいVineLinuxを最初から使っています。私は仕事でLinuxを使っているわけではありませんから,なにか困った事が起きればまずgoogleに尋ねることから始まりますが,VineLinuxならすぐに先人達の知恵を得る事が出来ます。これはありがたいことです。

 最初はhttpとftpくらいしか用意しなかったサーバーも,24時間外部とアクセス可能,と言う点で幅を広げ,現在はhttp,ftp,smtp,pop3,DNS,ssh,WebDAVが使えるようになっています。これらのサービスを独り占めできるというのは,設定の面倒さやこけた時の損害,そしてセキュリティ面でのリスクという点を考えても,なかなかありがたいものです。


 さて,先日palmTXを手に入れたのですが,せっかく無線LANとWebブラウザが内蔵されているにもかかわらず,そのブラウザがUTF-8の日本語を扱えないという大問題があり,文字化けのせいで使い物にならない,という問題にぶち当たっていました。

 とはいえ,これはもう自分では対応のしようがありませんし,そうして多くの先輩方があきらめていたわけですが,ある奇特な方が「PalmGate」という無料サービスを用意して下さったことで,さくっと解決してしまいました。

 これは,携帯電話用のPHPで書かれたスクリプトによって,様々な文字コードで書かれたホームページをShiftJISに変換し,Palmに届けるというものです。その際,画像のリサイズを行うなど,Palmの小さな画面でも見やすく加工してくれます。

 私も使ってみたのですが,なるほどこのサービスは素晴らしく,一気にpalmTXの問題を解決してくれました。多くの方々が賞賛されていますが,その理由も分かろうというものです。

 専用のソフトを立ち上げると,まず期限付きのライセンスを手に入れて,その後Webブラウザが自動的に起動します。このライセンスの期限が切れていると,利用できない仕組みになっています。

 そんな便利なサービスも,個人によるボランティアですから,いつまで維持されるかわかりません。すでにPalmが死に体であることを考え,またライセンスの入手が今のところpalmでしか動かないアプリケーションのみ可能という事からも,なんとか自分の手でこのサービスを立ち上げておく必要があると,そう考えました。

 調べて見ると,PC2MというGPLに従った形で配布されているフリーのスクリプトが,その機能を実現している事が分かりました。さらに調べると,どうもPalmGateも,このスクリプトを使っているようだと分かりました。

 であるなら話は早いです。このスクリプトを自分のサーバーに置きましょう。

 まず,PHPが動くようにしないといけません。最近は「apt-get install ~」で依存関係も整理して最新版をインストールしてくれるので,本当に楽ちんですね。おっちゃんが若い頃は./configureからmakeしたもんです。

 うちのapacheは2ではなく,1.xなんですがころっと忘れており,PHPもapache2のものをインストールしてしまい,さっぱり動かなかったことに数時間悩むという恥ずかしい失敗をやらかしたのち,無事にPHP5が動き始めました。

 その後,PC2Mをそのまま置いて,いくつか設定を行ってみると,とりあえず問題なく動くようになりました。,本当はいくつか問題を抱えて悩んだのですが,そこは試行錯誤を繰り返しているうちに解決してしまったという,ありがちなはなしです。(もちろんスクリプトは一応ざっと読んでみましたし,今回の件で発覚したhostsファイルの書き間違いとかも修正することになりましたから,それなりに悩んだのは確かです。)

 ちなみに私はvi使いなのですが,HJKLキーでカーソルを縦横無尽に動かし,:q!とshift+ZZを巧みに使い分けて作業していると,なぜか脳のシワからアドレナリンがじわじわと滲み出てくるような気がします。やばいですね。

 ただし,うちの回線は未だにADSLですから,下りはいいとして上りが極端に遅くて,とてもPalmGateの快適さには及びません。サーバーマシンのパフォーマンスが低いことも問題としてあるかも知れません。

 ただ,こうやって,自分の責任で自分へのサービスを用意することは,とても楽しいことです。他の人に提供するものではありませんから,自分が必要としない要求に応える必要はありませんし,またそこまでの技術力も私にはありません。損害を出すかも知れないという過度な危機感を持つこともいりませんし,結局困るのは私だけですので気楽なものです。

 公共のネットワークに繋がるものですので,他の人に迷惑をかけるようなことがあると,それはもう最悪なわけで,この点だけは厳密に行う必要がありますが,それも勉強の1つです。どういう設定がまずいのか,なにを放置すると悪用されるのか,それがわかるというのも,とても良い機会だと思います。

 web2.0だのクラウドなどと,クライアントは軽く,サーバーは重くなる傾向は今後も加速していくことでしょう。それに従い,ユーザーは無意識のうちに,その実体が手元から遠のいていくという現実にさらされ,結果として現在すでに壁の向こうにあるサーバーは,やがて文字通り雲の上にあるものとして,時々思い出される程度の存在になることと思います。

 サーバーの管理はやはり難しく,面倒で,しかも負わねばならない責任は小さくありません。しかし,この知的な遊びは面白く,うまく動いたときの感激は,本業であるハードウェアの設計で得られるそれに,勝るとも劣りません。

 

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