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200V入力のスイッチング電源を100V入力に改造

  • 2023/08/03 14:33

 大阪の日本橋にあるデジットというジャンク屋さんが移転したことをきっかけに始まった「デジット特価品蔵出し」は,ジャンク屋さんらしい一期一会の面白い部品が毎週1回のペースで追加されるという,マニアにとってはたまらないものです。

 なにが楽しみといって,移転に伴って倉庫から発掘された意外な商品が追加されていくことで,貴重なもの,懐かしいもの,もちろん安いものが幅広いジャンルで出てきては,こんなものどこから出てきたんだ,と突っ込みながら毎週みています。

 なかでも特に面白いのが「デジットセレクション ランダム部品箱」で,デジットの醍醐味を家に居ながらにしてわずか500円で楽しめる,実に楽しい商品です。残念ながら不定期に追加される商品なのでなかなか買うチャンスに恵まれませんが,私も過去に購入し,中身をあらためるときの楽しみと,中身を実際に使ったときの楽しみの2度,デジットの味を堪能させて頂きました。

 そういえば前回は半導体関係もたくさん入っていましたが,それ以上にコネクタ類がたくさん入っていました。コネクタって地味ではありますが,ないと困るもののくせに結構高価で,しかも種類が多すぎて在庫を多めに持てないという面倒な部品です。それが一気に揃ったことで,当時夢中になっていたAppleIIやPC-6001の拡張基板の製作に本当に役立ちました。

 で,その「デジット特価品蔵出し」が100回を迎えるということで,「デジットセレクション ランダム部品箱」も限定復活しました。ちゃんと買えましたよ。

 今回は半導体は少なめ,かといってコネクタ類も少なかったのでちょっとがっかりという感じだったのですが,プチロボに使われていた小型のサーボーモーターやら,なにやらフルカラーLEDとPICマイコンが搭載された小さい基板がたくさん数珠つなぎになったもの,試すのに勇気が必要なサイレンやらがはいっていて,これはこれで面白いものでした。

 このなかで,1つ興味をそそるものが入っていました。AC入力のスイッチング電源ユニットです。

 何の変哲もない,機器組み込み用の汎用電源ユニットで,懐かしのボルゲン電気のロゴが入っています。ぱっと見たところ未使用品のようで,加賀コンポーネントのシールが貼ってあることと,使われている部品の製造年から,おそらく1990年代後半のものと推測されます。

 シールに書かれたスペックから,出力は18V-0.83Aとわかるのですが,がっかりしたのは入力で,AC200-220Vとあります。ああ,これは使えないやつだ・・

 15Wクラスの電源ユニットとしては特に大きいわけでも小さいわけでもなく,500円と書かれた値札がそのままついている事からも,そんなに値打ちのあるものではありません。なにより100V入力が出来ない事,そして1系統しか出ていない出力が18Vという中途半端な電圧であることが,この電源ユニットの価値を引き下げています。

 うーん,どうしたものかと考えたのですが,18Vの出力は調整で15V程度までなら引き下げられるでしょう。800mAほど取れるならなにかと使い道がありそうですし,100V入力でないことがつくづく残念です。

 ここでちょっと発想を切り替えます。100V入力に改造出来ないものでしょうか。

 世の中には,100V入力が可能な電源がいくらでもあります。100Vから240Vまで対応したものが主流ですが,100Vと200Vを切り替えるものもまだまだあります。原理的に可能ならば,改造も可能なはずです。

 幸い,200Vの電源に使われる部品は耐圧の高いものばかりです。基板も200Vを前提にした設計ですから,改造後に安全性を損なう可能性は少ないでしょう。。

 いろいろ調べてみたのですが,もしこの電源ユニットのAC入力が全波整流されるものであるなら,ここを倍電圧整流に改造すれば100V入力で動かす事が出来るはずです。実際,100Vと200Vの切り替えは,1次側の整流方式の切り替えで行われる事が多いです。

 全波整流はダイオードブリッジで行われる事が多いのですが,この電源では東芝の1J4B42が使われていました。600V耐圧です。いいですねー。回路も追いかけて1次側の整流である事が明確になりました。

 平滑のコンデンサは,ちょっと見慣れない扁平な電解コンデンサが横倒しになっています。今は生産されていませんが,ニチコンにFTKというシリーズがあり,これが通常の立型の電解コンデンサを横から押しつぶしたような変わった品種です。

 端子が3つあるので興味をそそったのですが,1つは固定用のものでNCでした。結局ただの電解コンデンサということです。

 ということで,ダイオードブリッジによる全波整流を売電圧整流にする改造を考えます。

 元々,

20230803143705.jpg
 だったものを,

20230803143635.jpg
 にします。

 新たに交換が必要なものは平滑の電解コンデンサで,先程の扁平な電解コンデンサを取り外して,手持ちの通常の電解コンデンサ2本にします。2本ならべると基板からはみ出してしまうサイズですが400V耐圧の47uFがありましたので,これを使って上記の回路を組み立てます。

 パターンカットは一切なし,1cm以上の配線にはエンパイアチューブを被せるという対策はするのですが,それでもAC100Vは怖いです。改造があっけなく終わっても,なかなか通電する気になりません。

 意を決して通電しましたが,幸いなことに爆発も発煙もなし。18Vをきちんと出してくれています。半固定抵抗で14Vあたりから22Vあたりまで可変できることを確認しましたが,回しすぎると安全回路が働いて出力がカットされるので焦りました。

 一応改造は成功。後日電子負荷を使って特性を見てみる予定ですが,18Vで800mAが安定的に取れる電源とわかれば,なにかと使い道が出てくるように思います。

 12Vクラスの蓄電池の充電にならぴったりの用途でしょうし,15Vのシリーズレギュレータを通してオーディオ用のデジタルアンプの電源にも使えそうです。

 でも,考えてみればこのくらいの容量なら安価なACアダプタが簡単に手に入ります。無理に改造した組み込み用の電源ユニットを使うこともないような気もしますし,はてさてどうしたものか・・・

 

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