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2024年05月の記事は以下のとおりです。

ANKER POWER BANK (10000mAh,22.5W)を買った

  • 2024/05/17 12:02
  • カテゴリー:散財

 先日,いつものようにネットを彷徨っておりますと,ANKERが新しいモバイルバッテリーを出すとの話が目にとまりました。

 ANKER POWER BANK (10000mAh,22.5W)というものです。お値段は初回限定で2790円。

 折も折,2つあったモバイルバッテリーを処分した所だったので,このニュースが引っかかったのでしょう。

 モバイルバッテリーは最近,知ってる人が便利に使っている物から,ガジェット好きではない人や学生にもよく知られるようになってきていて,もはや必需品とさえ扱われるようになったと思います。

 それこそガラケーの時代にはキワモノとして扱われていたように記憶しています(エネループブランドで出ていた事を覚えている年寄りも多いことでしょう)が,さすがに最近のスマホの高機能化とそれに伴う消費電力の増大,そしてまさかに電池切れに「まあいいか」で済ませることの出来ないほど社会生活にがっちり組み込まれたインフラの入り口の機能停止に,どれほどの人が怯えているかという話でしょう。

 とはいえそのモバイルバッテリーですが,処分に困るという話も最近は注目されています。こういうことに注目が集まるようになることを私はとても良いことだと思うのですが,それは簡単に捨てることができないという,小さく持ち運びに適した形でまとまった筐体の中身のほぼすべてがリチウムイオン電池という,冷静に考えると恐ろしい現実があるからに他なりません。

 もちろん有害物質の問題もありますが,本質的には高いエネルギーのかたまりであることに危険性があるわけで,そんな物騒な物を手軽に個人レベルで処分する方法など,そんなにある訳がありません。

 もちろん,ちゃんとしたメーカーなら処分も引き受けてくれると思いますが,安いことをウリにするような会社の物だと,売りっぱなしで放置です。リサイクルどうのとか環境がどうのとかSDGsがどうのという高尚なことに興味がない人でも,危険物を何十年も持っておくのはやっぱり怖いでしょう。

 そこで,回収という商品の最後まできちんと見てくれる会社の製品を買うことが必須になるわけです。安いには安いなりの理屈があり,それがこの回収や処分にかかるお金,だという事です。

 かくいう私も,かつて持っていた2つのモバイルバッテリーは中国製の訳のわからんものでした。使用頻度は低く,ほとんど使う事のない保険のような物でしたが,10年をこえると危険になるという判断で,先日処分したわけです。

 当然処分には困るわけで,結局私は分解し,セルだけきちんとした処分ルートで廃棄したわけですが,これがなかなか手間で面倒です。このルートもいつまでもあるとは限りませんし,やっぱり捨てるときのことを考えないとダメだなあと思った一件でした。

 そこへくると,ANKERというメーカーは(今のところは)処分まで考えてくれているメーカーで,しかも良心的です。さすがに送料は元払いですが,それ以外については自社製品なら正規品であってもなくても,古くても壊れていても引き取ってくれます。

 こういうとき,あれこれと条件を付けたりされると「結局引き取りたくないんとちゃうのん」と思ってしまうので,ANKERのこの消費者に知解できる簡単な条件というのは,実にうれしいわけです。

 そんなわけで,もしモバイルバッテリーを次に買うことがあったらANKERのものにしようと思っていた所に,新製品の話です。

 なになに,10000mAh,22.5W・・・今どきのモバイルバッテリーってすごいですね。セルの電圧が3.7Vとして10000mAhってことは37Whですか。40W近いエネルギーをこんな小さいところに押し込んで大丈夫なんやろか?

 一時期よく見られた2.5インチのHDDを使ったポータブルHDDと同じような大きさで,この容量ですから大したものです。それに容量を数字で教えてくれるディスプレイもなかなか格好いいですし,なにより便利です。

 私はストラップは邪魔で,取り回しが面倒なので外す人ですが,この製品のストラップはそうもいきません。なんとまあ,USBケーブルになっています。

 これ,誰もが一度は考える事なんですが,耐久性やら安全性やらで結局諦める小学生的なアイデアですよ。それをこうして実現するというのは,なかなか大したものだと私は感動しました。

 それで価格は2750円。ちょうどamazonの期間限定ポイントがこのくらい余っていたので,この際だからと買うことにしました。

 災害が起きたときや,そこまで行かずとも停電が起きたときなんかに私自身も助けられるでしょうし,うっかりスマホの充電を忘れてパニックになっている娘にさっと差し出してあげれば,父親としての株もうなぎ登りというもの。うしし。

 発売予定だと思っていたものが,なんと翌日届くというのもすごい。日本一高い山の名前を頂くカメラメーカーに見習ってもらいたいです。

 さて,届いたモバイルバッテリーですが,私がかつて持っていた物とほぼ同じ大きさでありながら,容量は倍以上,同時に3台まで充電出来てみんなで仲良く充電出来たり,出力電圧も5Vだけではなく9Vや10Vまで対応したりと,なかなかの機能性です。

 また,充電も9V/2.22Aを突っ込めるので,空っぽからでも1時間半ほどで充電出来る計算です。これもすごい。最長2年の保証というのも,なかなか。

 最近日本のメーカーは余裕がないので,消費者がうれしいと思うことはなかなか出来ず,むしろ消費者を軽く見るような言動にがっかりさせられることが多いです。その一方で,中国や台湾,韓国のメーカーは日本のメーカーがかつてやっていたようなことばかりでなく,その上を行くようなことをやってくれるようになりました。

 私が日本人でなければ,日本の会社のことなどもう頭から消えていると思います。

 ということで,久々に良い買い物をしたと思います。これで外出前にスマホの電池が切れていることへの恐怖から解放されます。

 ・・・そもそも,外に出るのが嫌いな私が,そんなシーンに出くわすものか?

LCDコントローラ基板を壊したので修理する

  • 2024/05/14 11:24
  • カテゴリー:make:

 昨年8月から放置している物に,iPad2のLCDを再利用しようと画策して購入したLCDコントローラ基板があります。

 VGA入力やHDMI,今どきDVI入力まで装備しているのは結構なのですが,VGAも31kHzからしか対応しませんし,LCDも1024x768という懐かしい解像度ということもあり,今ひとつ使い道が浮かばないこと,加えてむき出しでは使い物にならず,何らかのフレームかケースに入れないといけないということで,どうにも手が伸びない状況にありました。

 ですが先日,突然思い出したようにApple][plusに電源を入れてみたところ,このLCDがフィットするんじゃないかと試して見たところ,案外上手くいきそうだったので使い道の1つが見つかった感じがして,そろそろケースを考えないといかんな,と思っていたのでした。

 そんな流れの中,Apple][の調子が悪くなり,冷えているときには起動に失敗し,暖まってくると今度はRAMが化けるという,結局いつもまともに動かないだけではなく,その原因が時間と共に変化するという最悪の状況に陥り,場当たり的な対策に時間を取られてしまいました。

 一段落してから,ふと目に入ったiPadのLCDに繋いでみようと思ったのが失敗の始まりで,配線の取り回しに手間取り,バックライトのインバータ基板がメイン基板にちょっと触れたようなのです。

 すると画面が消え,電源ランプも消えてしまいました。

 まあ,ちょっとしたショートだろうと再度電源を入れ直しますが,表示は消えたままです。

 どうも,壊してしまったようです。

 安くない買い物だったこともありますが,こういう特殊なものは,動く物に出会うことも結構大変で,初期不調や故障はもちろん,そもそものLCDとのマッチングの問題もありますから,今動いている物を壊してしまったことは,とてももったいないことです。

 やってしまったものは仕方がありません。それほどの価値のないLCDですので,このまま廃棄するしかないでしょう。

 いやまてよ,どうせ捨てるなら,ちょっとだけ調べてみるかと,故障の原因を調べてみました。例えばヒューズが切れているだけなら交換するだけで済みますからね。

 目視でヒューズらしい物を探しますが見当たりません。残念ながら簡単には修理出来ないみたいです。

 ならばと,ACアダプタを差し込んだ状態であちこちの電圧を測定してみます。5Vとシルクのあるランドには5Vが出ています。しかし,3.3Vと書かれたシルクのランドは0Vです。

 これは本当に0Vなのか,ただGNDとショートしているのか,そこが問題です。故障の原因がショートや過電圧なら電源ICの破損かも知れず,そうだとするとICの出力端子が壊れてしまってGNDに落ちていることも考えられるでしょう。

 と,当たりを付けてテスターで導通を探っていきます。するとやはり3.3VはGNDとショートしていて,その原因はどうも5ピンのICのショートにあるようでした。

 このIC,周辺に2.2uHのコイルがあることや,5Vが入力されていることから,どうも3.3Vに降圧するDC-DCコンバータのようです。このICを外してやると,3.3VはGNDとのショートがなくなりますので,コイツが壊れたということで間違いないでしょう。

 このIC,残念な事にマーキングを調べても型名は不明で,ICの交換で修理出来る道は難しそうです。

 で,3.3Vのランドをテスターであたっていると,近くにLDOっぽい空きランドがありました。このLDOのランドはノーマウントなのですが,その端子にはGND,5V入力,3.3V出力が繋がっていて,しかも配置や大きさがLM1117とぴったりでした。

 800mAまでのLDOですから,結構大きめなんだなと思いつつも,DC-DCではなくLDOを使う場合も想定してランドだけ用意してあるというのがヒントになり,とにかくここに3.3Vを突っ込んでやれば修理出来るかもしれないと,いろいろ考えてみることにしました。

 まず,仮説が正しいかどうかを確かめるために,手持ちのLDOを繋いで見ます。ただ,LM1117とコンパチなLDOはなかったので,TA48M33を無理矢理繋いで試してみます。

 これで動けば100点,動く事がなくとも,スタンバイに入ってくれれば80点という所でしょう。結果はなんと動作しました。元の通りApple][の我慢が表示されています。

 このまま使うことも考えたのですが,LDOが触れないくらいに発熱しています。このLDOの能力(500mA)を越える可能性がある発熱ですし,そうでなくとも消費電力は大きくなるので,別の方法を考えましょう。

 手っ取り早いのはLM1117を入手すること。これがマウントされた評価ボードが見つかったので外して移植すればいいんですが,発熱の問題はある程度解決するとしても,消費電力の問題は捨てきれません。

 ということはDC-DCを使うことですが,ここでもう少し柔軟に考えを進めてみます。なにもこの基板にそのままマウント出来るようなものでなくても,小基板にDC-DCを組み立て,ここから配線を飛ばせばいいんじゃないかと。

 しかし,降圧のDC-DCなんて自分で組み立てたことはありませんし,そんな部品も買った覚えがありません。でも長年電子工作をやってきた人間ですので,一応探してみると,どういう訳だかトレックスのXC9236の3.3Vのものが出てきました。

 早速データシートを確認すると,FET内蔵,電圧固定式で外付け部品はコイル1個とコンデンサ2個ととてもお手軽です。効率92%,電流は600mAまで引ける上,私の持っているものでも発振周波数は1.2MHzと高速なためコイルが小さくて済むと言う,なかなか優秀なICでした。

 コイルは4.7uHが推奨値でしたが,手持ちにそんな値はなく,10uHを使うことにして実験開始です。多少の発熱も吸い込める両面の基板を使い,さっさと組み立てて実験を開始,ありがたい事に5V入力で3.3Vがさっと出てきてくれています。

 電流を600mAくらいまで引っ張っても安定して3.3Vが出ています。保護回路が働く直前の状態でリップル(ノイズ)は100mVp-pくらい出ていますのでかなり怪しいですが,500mAくらいまでなら全然余裕です。優秀ですね。

 TO-220くらいの大きさで作ったDC-DC基板を,LCD基板の隙間においてジャンパを飛ばし,一応ショートしてないかどうかだけ確認して電源を投入します。

 幸いない事にトラブル無くLCDに表が出ました。指で触って見たところほとんど発熱もなく,電圧も安定しています。2時間ほど使ってみましたが問題なく動作してくれたので,これで修理完了とします。

 正直,こういうトラブルで壊した基板を修理する人は少ないと思いますし,実際に修理が出来る人というのもそんなにそんなにいないでしょう。世の中には多くの部品があふれていますが,システムLSIやカスタムICでない限り,同じような働きをするICにいくつもの品種があるというのが実際で,置き換え可能な互換品でなくとも,同じ機能になるように回路設計を行えば,案外手持ちの部品でどうにかなるものです。

 さて,こういう話があったわけですから,なんとかディスプレイとして完成させたくなりますよね。もともとアクリル板か写真立てを使ってフレームを作って,きちんと仕上げようとおもっていたのですが,ハードルを下げてApple][専用のLCDとして使っても良いと考えています。

 安いスマホスタンドにLCDだけくっつけて,基板はその辺に固定しておくだけでもう十分でしょう。あまり欲張りなことをすると計画が進まず作業が進みませんし,無理に始めれば失敗しますから,ここはもう割り切って,とにかく形にすることを終戦したいと思います。

 

RPi5とLakka5.0でうちのすべてのゲームを集めたマシンを

 RaspberryPi5がリリースされたのが昨年の秋,日本でもようやく普通に買えるようになってきました。

 私はRaspberryPiで高尚なことはなにもせず,Lakkaを入れてゲームマシンにすることで,その進化具合を味わうことにしていました。RPi3でガクガクしていたゲームがRPi4ではスムーズに動きゲームを堪能出来ると,そんな感じです。

 同じ話はGPiCaseにもあって,RPiZeroWだったものをRPiZero2Wに入れ換えて,あの小さな画面でアーケードゲームがグリグリ動く事に感激していました。

 そしてとうとうRPi5の登場です。数年前のノートPCくらいのパワーがあると言われているRPi5,どれくらい快適にゲームが出来るようになったのか楽しみにして,今年2月にいの一番に4GBモデルを購入しました。

 ところが,LakkaがRPi5にまだ対応していないことが発覚,安定版が出るまで待とうと放置していたら知らぬ間に正式版がLakka5.0と同時に4月末にリリースされていました。これはこのGWの仕事になるなと,ケースなどをぼちぼち集めて用意していました。

 果たしてGWがやってきて,死蔵していたRPi5をケースに組み込みテスト。問題ないことを確かめたら128GBのmicroSDにLakkaを入れて起動を試みますが,残念な事に起動しません。

 初回起動時にストレージを拡張する作業が入るのですが,どうもこれが走らないようです。詳しいことはわかりませんが,こういう問題はすぐに解決するだろうと数日待つも,全然解決しそうにありません。

 仕方がないのでnightly buildを試してみるとあら不思議,ちゃんと起動するではありませんか。この状態でアップデートをかけると正式な最新版になってくれるので,これで先に進めることにします。

 RPi4のLAKK4.3も起動して,ここからROMのデータをコピーします。RPi4もRPi5もGbitのEtherなので速くて助かります。

 ROMのコピーが終わったら早速評価に移ります。さっと確かめると,やはりパワーが上がっており,これまで苦しかったゲームがヌルヌル動き,もはや私が楽しんでいたゲームは全く問題なく遊べるようになっていました。

 ここでトラブル発生。画面が出なくなってしまいました。RPi5はRPi4と同じで,MicroHDMIで繋ぐのですが,私は変換コネクタを介してHDMIで繋いでいました。

 不思議なことに,RPi5は全く表示がでなくなりましたし,RPi4ではVGAでしか表示されなくなりました。このおかしな動作に半日悩んだのですが,もしかしてと変換コネクタを見ると,ピンが曲がっていました。

 こんなことってあるんですね,曲がったピンをピンセットで無理矢理伸ばして整形したところ,RPI5もRPI4も正常に表示されるようになりました。

 あわててamazonでMicroHDMIのケーブルを調達してこの問題は解決。

 さあこれでRPiのゲームマシン化はおしまいかなと思ったところで,ふと思ったのは,もしかしたらSegaSaturnやPlaystationも十分な速度で遊べるようになっているんじゃないかということです。

 手持ちのソフトをリッピングして試してみると,まったく問題なく遊べます。もう実機が壊れても構わないレベルです。

 さらに欲が出た私はDreamcastも試しましたが,こちらも全く問題なし。これで私の手持ちのSS,PS,DCのゲームが遊べるようになりました。素晴らしい。

 時間はかかりましたがリッピング,そして.chdに圧縮して転送,動作テストを行って,私は20年前に買った多くのゲームをまた遊ぶ機会に恵まれたのでした。

 さらにPlaystation2も遊びたいなと思って頑張りましたが,残念ながらこれは全く動作しません。起動すらしないのでもともとダメなのか,私の設定がまずいかなにかだと思います。全く動かないという報告を他でも見たので,ここは慌てないで時間が解決するのを待つことにしましょう。

 私がテストプレイと言いながら結構真面目にSegaSaturnのゲームで遊んでいると,中学生になったばかりの娘が興味深そうにやってきました。

 ダイナマイト刑事をみて,あまりの画像の悪さに文句の1つでも言うかなと思っていたらそうでもなく,ゲラゲラ笑ってみています。そう,ゲームの面白さというのが,グラフィックの良し悪しではないのです。

 あくまでグラフィックは脳への入力情報に過ぎず,我々が体験するゲームとはそこから保管されたイメージです。つまり,ゲームそのものがしっかり作られていて,見劣りするのがグラフィックだけならば,そんなものは人間の豊かな想像力によって,いかようにもなるということです。

 同じ事は,一世代前のゲームやパソコンに対して常に言われたことでした。モノクロのマシンに対しても,スプライトがないキャラクタベースのマシンに対しても,色数の少ないマシンに対しても,ポリゴンが出せないマシンに対しても・・・

 楽しさの本質は,画面の派手さではありません。楽しい物は時を超えて楽しいんだなとつくづく思いました。

 ぱずるだまって,こんなに難しかったかなあ・・・

kobo libra COLOURを買いました

  • 2024/05/03 16:33
  • カテゴリー:散財

 電子ペーパー(特にEink)に縁のあった私としては,技術的な面白さに加えて視認性の観点から,自炊を含めた電子書籍のプレイヤーとしてKindleを昔から愛用してきました。

 とはいえ,近年のKindleはディスプレイの進歩がほとんどなく,新しい端末に更新する機会を逸していました。考えてみれば,日本語に未対応のKindleに始まり,300dpiになったり7インチになったりと,技十的な進歩をきっかけに新しい物を買い足していったわけですが,ここ数年そうしたことがなかったことに気が付きます。

 300dpiで印刷物相当になった次は,当然カラー化な訳ですが,これがなかなかお手頃価格に降りてくることがなく,またKindleシリーズにカラーモデルが登場する気配もない(当然タブレットがそれを担うからですが)ので,ずっと手を出さずにいました。

 ところが,koboにお手頃なカラーモデルが登場するという話を聞きつけました。6インチモデルは3万円を切ります。7インチモデルは35000円でペンまで使えるというありがたいマシンです。ああ,Kindleはもうだめかも・・・

 これまで何度もkoboには心が揺らいできたのですが,PDFも無加工でそのまま流し込める汎用性に魅力を感じつつも,Kindleのコンテンツが読めないことが足かせとなって,手を出さずに来ました。

 しかし,カラーになったなら話は別です。これは新しいEinkを試す絶好のチャンスでしょう。

 ということで,予約開始とほぼ同時にポチって,約束通り発売日の5月1日に届きました。買ったモデルは7インチモデルであるkobo libra COLOUR(色はブラック)です。

 正直なところ,koboにはあまりいいイメージを持っていません。これはもう好き嫌いの話なのですが,koboが楽天傘下にあるということがまず決定的でした。いや,楽天が嫌いというわけではなく,これ以上「〜経済圏」と呼ばれる物に巻き取られたくないという気持ちから,避けてきたということです。だから,今回のkobo libra COLOURについても楽天Booksのコンテンツを買うことはしないと思います。

 それだと安価に端末を(しかも継続的に)作ってくれているkoboに申し訳ないんですが,amazonのように赤字でばらまくということでもないでしょうから,許してもらいましょう。

 前置きが長くなりましたが,kobo libra COLOURのざっくりレビューです。

(1)外観,質感

 外観は⒎イントしてはそつなくまとまっていて,物理キーも備わっていて助かります。6インチモデルにしなかったのはこの物理キーが欲しかったからで,大きさはKindleOasisとほぼ同じです。

 ただし厚みはかなりあり,持った感触は全然別物です。また,Oasisは高級機と言うこともありアルミ製ですが,kobo libra COLOURはプラスチックです。この値段なら仕方がないのですが,質感は今ひとつです。

 電源ボタンが左上の背面にあるというのもいまいちですが,これは慣れの問題かも知れません。

 とても残何なのは,ディスプレイが奥に落ち込んでいることでしょうか。Kindleの高級機はディスプレイが表面とツライチになっていて,あたかも文字がそこに浮かんでいるように見えて,奥行き感を感じません。これが読書体験としては思った以上に好感触なのですが,それはすでに私が紙に印刷された文字を追いかけているのと同じ感覚である事の裏返しだともいえます。

 しかしkobo libra COLOURはディスプレイが奥に落ち込んでいることで,どうも一世代前のノートPCを見ているような気分させられます。つまるところ,表示面と同じ高さに余計な枠が目に入ると,その段階で紙との違いを認識してしまうようで,全然違う気分になってしまうのです。

 このあたり,すでにディスコンになって久しいKindle Voyageが最高傑作だと思っているのですが,kobo libra COLOURはこの円安時代に頑張っているとは言え,もう少し頑張って欲しかったと思います。

(2)カラー

 カラーは想像以上に素晴らしいです。読書を始めてしまえばカラーもモノクロも関係ないと思っていましたが,挿絵や表紙がカラーになるとこんなにワクワクする物なんですね。読書体験というのは装丁も含めての物だと再認識しました。

 それに,本の一覧表示でもカラフルな表紙がずらーっと並ぶと,これも感動的です。表紙は本の顔です。手に取ってもらおう,買ってもらおうとみんな必死に磨き上げてきます。いわば未来の読者との対話であって,私の琴線に触れた結果私のkobo libra COLOURに収まった本が並ぶ姿は,ちょっとした感動があります。

 これだけの本がここにすべておさまっている,これさえあれば何日も本と暮らせるという期待感を,最初にKindleを手に入れた時に味わったことを思い出します。

 そのカラーの表示品質は,下地が完全な白ではないこと,発色が悪くくすんでいること,そして150dpiになってしまうことから,はっきりいってよくありません。一言で言うなら新聞のカラー印刷くらいの物です。LCDやOLEDのタブレットには全く歯が立ちません(そりゃそうです,解像度もすごいですからねipadなんかは)

 でも,それらLCDなんかは肝心の文字を見ることには向いていません。これは反射型デバイスのEinkが圧勝で,そもそも写真を鑑賞するのではなく文字を読むという行為が大半である読書には,文字の読みやすさこそが正義です。その点で言うと,私はこのkobo libra COLOURこそベストバランスだと思いました。

 ところでカラーと白黒の切り替えについてですが,これはまだはっきりしません。グレースケールのページでもカラーのモアレが出てる場合もありますし,600dpiのモノクロ二値の場合には白黒白黒モードで動いているような感じがします。

 なにがスイッチになっているのかさえわかれば,コンテンツを生成するときに意識できるのでありがたいのですが,これはもう少し試行錯誤が必要だと思います。

 え,なんでそんなことにこだわるかですか?

 だって,白黒なら300dpiなのに,カラーだと150dpiになってしまうんですよ。カラーなら150dpiもあれば十分なんですが,白黒のページが150dpiで表示されるなら,それは残念ですよね。

(3)使い勝手

UIまわりはKindleとは違って少々違和感があります。例えばホームに戻るためにタッチするエリアが中央部であることなどは混乱の原因になっています。

 前述のように電源ボタンの位置もどうかと思いますし,USBコネクタも側面にあるのは充電の時に邪魔になって困ります。

 そのUSBについても,PCに接続した時にいちいち確認を取ってくるあたり面倒くさくて,そもそもPCに繋ぐのだからファイルの転送をしたいわけで,即マウントして欲しいわけです。この一手間がサーッとやる気を削いでくれます。

 読書を始めてみると,ややレスポンスが遅いことは期待外れでしたが,別に実用上問題があるほどではないので気にしません。

 ただ,表示の品質はKindleの高級機に比べると今ひとつで,やはりバックの白がよくないです。もっと鮮やかな白であって欲しいと思います。

 とはいえこれはディスプレイデバイスだけの問題とへいえず,フロントライトの問題もあるようです。Kindleではフロントライトがとても良く出来ていて,暗い所での視認性ではなく,明るいところで白をより白く見せるためのものでした。

 kobo libra COLOURはフロントライトが良くないので,Einkの地の色が目立つのだと思います。ではその良くない点というのはなにかといえば,それは色と明るさの調整機能です。

 色も調整が可能ではありますがちょうどいい色に出来ないところがもどかしく,寝る前に勝手に電球色に切り替える機能などいらないから,もっと作り込んで欲しかったです。

 明るさについては自動調整がありません。Kindleなら周囲の明るさにあわせてフロントライトの明るさも調整をし,白がより綺麗に見えるようにしてくれましたが,kobo libra COLOURにはこの機能がないので周囲の明るさで見え方が大きく変わります。

 かといって手動で毎回調整するのも面倒なので,ここは不満点の1つです。

(4)扱えるファイル

 Kindlenの最大の欠点は,その素晴らしい読書体験を実質的にKindleのコンテンツだけでしか享受できないことだったと思います。一応PDFも読めますが,表示品質が悪かったり拡大縮小が実質的に出来なかったり,動作がとにかく遅くなったりと,使い物になりませんでした。

 そこで私などはPDFをKindleの解像度に合わせてリサイズし,縁をカットしたmobiに変換していたのですが,これがなかなか手間でついついサボりがちでした。

 そこへ行くとこのkobo libra COLOURはScanSnapで作ったPDFをそのまま無加工で快適に読めます。

 動作もサクサクですし,縁のカットも112%の拡大でOK,拡大率も拡大中央もちゃんとコンテンツごとに覚えていてくれるので快適です。

 epubなどの他のフォーマットはまだ試せていませんが,PDFがこれだけしっかり扱えるならむしろ他のフォーマットの必要などないかも知れなくて,少なくともうちでは「自炊プレイヤー」としての立場を不動のものとしました。

(5)スリープモード

 kobo libra COLOURは電源OFFとは別にスリープモードがあり,こちらが実運用では使われるモードです。Kindleでは電源OFFは見えない位置にありますが,kobo libra COLOURでは電源OFFも別にあり,このステートに入るための条件も設定出来ます。

 スリープモードでは,画面に今読んでいる本の表紙がカラーで表示されます。これがなかなかよくて,そろそろ寝るか,と本を閉じたときに,目に入る本の表紙がそこに出ている事は,明日の夜に続きを読むのが楽しみになる仕掛けだと思います。

 これがKindleでは広告かあまり意味のない画像であり,面白くありません。以前のKindleでは好きな画像をスリープモードでの表示画像にすることができましたので,私は古今東西の書店のブックカバーをスキャンして順番に表示するようにしていました。これはこれでとても面白かったのですが,同じ事がkobo libra COLOURでできたらいいなあと思います。

(6)残念な事

 デザイン,プラスチックで出来た筐体,そしてディスプレイが落ち込んでいることは先に述べましたが,もっともバカらしいのが別売りのペンです。このペン,なんと2万円近くします。35000円の本体に2万円のペン,しかもそのペンで出来る事は大した事ではないという,そんな状態で一体誰が買うのかと思います。

 先日4万円で買ったiPadでは,中国製のペンが3000円ほどで買えました。これでも立派に使える事を考えると,koboでペンを使うことはないと断言しましょう。


(7)まとめ

 なんと言ってもカラーです。カラーの電子書籍リーダーがこの値段とこの大きさで手に入ることそのものが買う理由になりますし,私もその点だけで満足していますが,細かいところはやはりKindleに及ばないという感じがします。

 ハンドリングの悪さもあって,私はkobo libra COLOURを家で使う専用にして持ち歩く事をしないつもりです。悪い点として書くと気の毒なのでここに書きますが,背面にRakutenと書かれていることも正直恥ずかしいです。

 Einkの質も,カラーという点を除けば最上位とは言いがたく,文字を読むという行為だけで見ればまだまだ上があります。その点で,これですべてを置き換えると言うよりも,Kindle Oasisとの併用になるだろうと思います。

 とはいえ,原稿のOasisをあの値段で買うのかと言えばそれもバカバカしく,今から買うならkobo libra COLOURは有力な選択肢の1つとなるでしょう。

 

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