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2017年02月の記事は以下のとおりです。

AF-S Micro Nikkor60mm/F2.8Gを買ってレンズラインナップ完成

  • 2017/02/28 10:00
  • カテゴリー:散財

 久々にレンズを買いました。といっても,以前からずっと導入計画に入っていた,AF-S Micro Nikkor60mm/F2.8Gです。

 3年ほど前は6万円を切る値段が当たり前だったのですが,最近は7万円前後で売られることが多くなりました。元々の値段を考えると1万円高くなるというのは,結構厳しいものがあります。

 ニコンに限らずどこでもそうですが,ジワジワと下がった価格は,新型が出ると旧型の登場時よりも高い値段になりがちです。原材料費が上がり,古いレンズでさえも値上がりする傾向があるここ数年では,むしろ当たり前の事だと思うのですが,キットレンズから最初に買い足すレンズとして,このMicro Nikkorが存在していることを考えると,出来れば6万円という魅力的な価格を維持してもらいたかったなあという気がします。

 なんでも,カメラ関連の市場が急速にしぼんでいるそうです。ワールドワイドで,レンズ交換式のデジカメ(一眼レフやミラーレス)の出荷台数は2012年がピークで2100万台ですが,2013年には1680万台,2014年には1350万台,2015年には1300万台,そして2016年には1160万台となっています。2017年は1120万台という見通しがCIPAから出ていますが,この数字を改めて調べてみて,大変なことが起きているんだなあと驚きました。

 2012年と言えばつい最近のことで,たしかに一眼レフがとても元気だったことを記憶しているわけですが,そこから5年で,なんと1000万台も市場が小さくなったというんですよ。こんな短期間で,これだけの数売れなくなってしまうなんて,なんと恐ろしいことだと思います。

 一方で平均単価は上がっているそうで,確かに2012年にD800が登場した時,その安さにみんな驚いて,たちまち品薄になったことを覚えているわけですが,技術革新による価格の低下とは別の力学によって,D800クラスのカメラがいきなり26万円ちょっとで販売されるようなことは,もうないんじゃないかと思います。

 数が出ないんですから,高くなるのは当たり前ですわね。

 交換レンズも価格は上がるわけで,モデルチェンジをすれば数万円上がるのは当たり前,古いレンズも前述のように価格が上がっています。そうすると買おうという人が減り,また値段が上がるということを繰り返していくわけです。

 そもそも,高級なカメラなんてのはそんなに数がバンバン出るようなものではありませんので,これくらいがちょうどいいという意見もあるでしょうが,同じ物が,買った時期で値上がりしてしまうと言うのは,欲しい人に取っては面白くない話です。

 私も,AF-S24-70/F2.8GとAF-S70-200/F2.8Gを買った時に,思い切ったことをしたと思ったのですが,それでも当時はあれで底値でしたし,今はもっと高いですから,後悔してはいません。むしろ,当時買う予定だったAF-S Micro Nikkor60mm/F2.8Gを買っていないことを後悔しているくらいです。

 さて,そのAF-S Micro Nikkor 60mmF2.8Gですが,最も安い「ナノクリスタルコート」採用のレンズであり,高コントラストで高解像度の今どきのレンズでありながら,ボケも綺麗で何でも良く写るレンズとして知られています。

 60mmという焦点距離は,APS-Cのカメラでは90mm相当となり,マクロレンズとしては使いやすいものになります。エントリーモデルの「2本目レンズ」として用意されたというのはあながちウソではないと思うのですが,その性能は折り紙付きで,ロングセラーの定番商品になっています。

 私の場合,タムロンのmodel72Bという,90mmのマクロを随分昔に買ったのですが,実のところあまり出番がなかったのです。原稿のSP90mmマクロと同じ光学系なので,そんなに写りは悪くないと思うのですが,そんなに接写をするわけでもなく,一般撮影なら85mmや105mmの単焦点の方が明るいですし,ズームでも事足ります。

 よって,SP90mmの個性を好ましいと思わなかったということになるのでしょうが,デジタル時代になっても同じ傾向であり,防湿庫の肥やしになっています。

 レンズの個性も流行がありますから,72Bが常用されることはもうないだろうなあと思っていますが,そうなると今どきのマクロレンズが欲しくなるわけです。

 接写が重要と言うよりも,寄れる中望遠という位置付けで考えると,結局このAF-S Micro Nikkor60mm/F2.8Gしかなくなってしまうんでしょうね。

 さて,軽く撮影してみました。

 まず,全体の傾向ですが,色はニコン純正に共通するトーンで,適度の濃さがあって,特に暖色系が好ましいです。30万円近い高級なレンズと同じ傾向のレンズですので,価格差を考えると,これを手にとって感激する人が多いのも頷けます。

 もっとも,純正レンズはカメラ側で補正がかかりますので,このレンズそのものの個性がどのくらい出ているかは,ちょっとわかりません。でも,そういうカメラ側での補正も含めて,純正ならではと考えてもよいと思います。

 AFは十分に高速です。マクロレンズというのはフォーカスで鏡筒の長さが伸びてしまうので,撮影に夢中になっていると前玉が被写体に接触することがあるんですが,このレンズは全長が変化しませんので,安心して撮影に集中出来ます。これは案外大きいですよ。

 本来の接写ですが,タムロンのSP90mm/F2.8(72B)に比べると解像度が高く,数世代の進化を見せつけてくれます。マクロ撮影の醍醐味を堪能出来ると思います。60mmという焦点距離がどうかなと思いましたが,私は全く問題なし。扱いやすいと思いました。

 私の好きなAi-MicroNikkor55mm/F3.5と比べて見ますと,解像感はトントン,でもAi-MicroNikkor55mm/F3.5の方がコントラストが高く,カリカリの描写です。Ai-MicroNikkor55mm/F3.5は色のりがいまいちで,寒々とした写真になることが多いですから,その意味でこのレンズは,今どきなんだなあと思います。

 で,一般撮影に使えるかどうかを見てみました。繰り返しますが,色の傾向や色のりは今どきの純正レンズを踏襲しますので,ぱっと見たところで非常に豊かな写真になってくれます。

 ですが,やっぱりなんとなく眠いんです。拡大すると,明らかに解像感が少なく,コントラストも低いです。ポートレートにはこのくらいがちょうどいいのかもしれませんが,普段シグマの35mm/F1.4Artを使っていると,目がこれに慣れてしまうんでしょうね。

 ただ,AF-S24-70/F2.8Gと比べて見ると,それほどの差があるようには思えませんでした。一般撮影に使えないということではなく,もはやこれは画角も含めた好みの問題といえるかも知れません。

 もう1つ,標準域のレンズとしては,周辺光量の落ち方が目立ちます。APS-Cサイズなら問題はないのでしょうが,フルサイズで一般撮影では,ちょっとしんどいかもなあと思います。これも,カメラ側での補正が入れば問題なくなるので,割り切っても構わないかも知れません。

 結局の所,私の場合一般撮影用には好みに合わず,やっぱりシグマの35mm/F1.4が常用レンズになりました。というか,そもそも同じ土俵で好き嫌いを語っていいとはいえないくらい,別領域のレンズだよなあと,書いていて思いました。

 時にこういう風に新しいレンズを買うと,手放しに新しいものを絶賛することと同じくらい,それまで使っていたものの良さを再発見することがありますね。シグマの35mmは,本当に良いものに出会えたと思っています。解放でも十分カリカリのレンズが,2段絞ってもまだF2.8ですからね。この性能のゆとりが,撮影者のストレスをどれくらい軽くするか。CarlZeissのレンズが好まれる理由も結局ここにあるんじゃないかと思います。

 必ずしも高価なレンズである必要はなく,大事な事は撮影者の心の鍵に勘合することです。そういうレンズに出会うことが出来た私は,とてもラッキーだったと思います。

 蛇足ですが,同じシグマでもDP2Merrillには,あまり手が伸びないんです。画質はすごいんだけど,その画質の傾向が,よりシグマっぽいと言うか,シグマの方向に行きすぎているというか・・・Lightroomで好き勝手にいじれないこともあって,あれでは手の付けようがないという感じがいつもしてしまい,画面に出てきた画像を前に手が止まってしまうのです。

 

SanDiskのUltra8GBがD2Hで使えなかった

  • 2017/02/24 11:49
  • カテゴリー:散財

 先日,D2Hへの最終投資としてメモリカードを16GBにするという作戦を敢行したわけですが,素直にコンパクトフラッシュを買うのも面白くないので,FUJITECのCF-SDアダプタを介し,16GBのSDカードで試したところ,D2Hには十分な成果を得たことをここに書きました。

 ところが,連写をしていると,マイクロドライブを使っていた頃に比べて,待ち時間が長くなっていることに気が付きました。連写はテンポが大事です。マイクロドライブより悪くなることはないだろうと思っていたのですが,そろそろいいかなとシャッターを押しても,撮影が出来ないという事が何度も起こり,これはいかんと再検討を行う事にしたわけです。

 実は,SDカードが評価時に使ったものとは違っていて,これが原因である事は明確でした。評価時に使ったものはTranscendのUHS-I,90MB/sの32GBですが,実際に運用に使っていたのは,もう5年ほど前にかった,TDKブランドのClass10の16GBです。

 32GBのSDカードはDP2Merrillのものをちょっと借りたのですが,一応D2Hでも認識し,記録枚数は5Kと表示されます。こんなにたくさん撮れても管理が大変だし,なくしたり壊したりしたら被害が大きすぎるので,怖くて使えません。

 使ってみた実感としては,8GBくらいがちょうどいい(それでも1200枚)かなと思います。

 そこで,遠回りになりましたが,ちゃんとした8GBのコンパクトフラッシュを買うことにしました。UDMA7に対応する必要もなく,速度もそこそこで十分,しかし信頼性は欲しいと言うことで,amazonを探すとSanDiskのUltraの並行輸入品が8GBで2000円ちょっとで買えそうです。

 8GBだし,D200で使えているというレビューもあるし,SanDiskだし,偽物にあたらなければ大丈夫だろうと買ってみました。メーカーに製品登録をすると偽物ではないとはっきり,とりあえず安心しました。

 ところが,D2Hに差し込んでも「CHA」と表示されて全く使えません。フォーマットしても状況は変わらず。不良品かと焦りましたが,D800では問題なく使えています。

 一方のD2HはFUJITECのアダプタを介してではありますが,8GB,16GB,32GBも使用できていますので,容量が問題になっているという感じではなさそうです。出た,相性問題!

 PCでフォーマットしようとしたところ,2GBしか認識していないことに気が付きます。再フォーマットをかけて8GBをFAT32で使えるようにしましたがやはりダメ。ブロックサイズも4096,8192,16k,32k,64kと一通り試しましたが,どれもダメでした。時間はかかりますが,クイックフォーマットもやらずに,フルでフォーマットしました。でもダメです。

 万策尽きた。並行輸入ですからサポートはないし,カードの不良ではないので返品も交換も出来ません。これはもう相性問題だとあきらめるほかありません。21世紀にもなって,相性問題だなんて,バカバカしいです。

 8GBという容量は少なすぎて,うちでコンパクトフラッシュが使えるもう1つの機器であるD800では,わずか100枚ほどしか撮影出来ません。予備の64GBもあるので,この8GBは行き先がなくなってしまいました。

 このままゴミ箱にポイというのももったいないので,データを取る事にします。

Squential
Uncached Write    23.83 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write    21.69 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read    7.30 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read    72.15 MB/sec [256K blocks]
Random
Uncached Write    1.13 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write    10.01 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read    4.76 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read    17.51 MB/sec [256K blocks]

 おお,悪くないですね。50MB/sをうたう製品としては,シーケンシャルで70MB/sを越えるというのはなかなかです。ただ,ランダムアクセスに弱いので,TLCかも知れませんね。とはいえ,平均的に高速で,足腰が強い印象があります。

 これがD2Hで使えないのは残念で,特にPCへのデータ取り込み時には威力を発揮すると思ったのですが,使えないものは仕方がありません。

 で,このままで終わるわけにはいきません。

 では現状の16GBではどうなっているかです。CF-SDアダプタはFUJITECのもの,SDカードは前述の通りTDKブランドの16GB,Class10です。

Sequential   
Uncached Write    10.91 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write    13.06 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read    6.23 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read    23.21 MB/sec [256K blocks]
Random   
Uncached Write    0.11 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write    0.35 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read    1.46 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read    13.76 MB/sec [256K blocks]

 いやはや,遅いです。シーケンシャルのライトが15MB/sを切っていると,待たされるようになります。計測データと実感はそれなりに一致しているようです。

 しかしこれがCF-SDアダプタのせいなのか,元々のカードのせいなのかが気になります。そこでこのSDカードを直接リーダライタに差し込んで計測しました。

Sequential   
Uncached Write    12.75 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write    9.69 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read    2.93 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read    24.43 MB/sec [256K blocks]
Random   
Uncached Write    0.11 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write    0.35 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read    1.69 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read    19.63 MB/sec [256K blocks]

 はい,決着が着きました。カードが遅いのが原因です。それにしても,CF-SDアダプタはなかなか優秀ですねぇ。

 参考までに,TranscendのUHS-I,32GBのものをFUJITECで計測した,過去のデータをもう一度上げておきます。

Sequential
Uncached Write    15.63 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write    15.83 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read    6.49 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read    24.22 MB/sec [256K blocks]
Random  
Uncached Write    0.84 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write    15.10 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read    2.48 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read    15.38 MB/sec [256K blocks]

 これを見ていると,ランダムのライトがべらぼうに速いです。おかしいな,なんか間違えたのかなあ。ただ,D2Hでの体感速度については,待たされる時間が圧倒的に短くなりましたので,細かい数字はともかくとして,このSDカードなら速度的な不満は解決しそうです。

 ということで,今回はここまで。Transcendの32GBが優秀だったので,同じシリーズの16GBのものを現在発注していて,これが届いたらD2H用にしようと思っています。

 

両面印刷出来るレーザープリンタも安くなったものだ

  • 2017/02/06 10:20
  • カテゴリー:散財

 前回,話が大きく脱線してしまいましたが,ようやく本題を書くことにします。

 ~これまでのあらすじ

 増えすぎた書物を電子データに移行させるようになって,すでに10年。PCの周りの巨大なHDDは書物の第二の本棚となり,書物はそこで読まれ,検索され,そして保管されていった。(どかーん)

 西暦2017年,最も大容量のHDDはPDF専用を名乗り,蔵書の持ち主に独立戦争を挑んできた。この10年あまりの戦いで,その蔵書の80%以上を裁断に至らしめた。管理者は自らの行為に恐怖した。


 そんなわけで,技術書をPDFにする条件として,高速,高品質,低コストで印刷して必要な時に随時紙に「戻せる」仕組みの完備があったわけですが,その答えが安くなったレーザープリンタです。

 安くなったとは言え,それが上記の条件に合致するかどうかは分からず,少し真面目に調べてみると,WiFi付きのモデルでも12000円弱で買える事が分かりました。

 ブラザーはもともとミシンのメーカーですが,プリンタに進出して随分と時間が経っているので,すでにプリンタメーカーとしてのイメージが先行しているのではないでしょうか。

 家庭用のラインナップで,HL-L2365DWという機種が,WiFI搭載で実売11000ちょっと。WiFiのないHL-L2360Dなら9000円ほどで買えます。

 私のような年寄りには騙されていると思うような値段なのですが,基本性能はすばらしく,毎分30枚,両面印刷可能,600dpi,自動給紙トレイも装備と,期待以上です。

 100BASE-TXに加えて,上位機種なら802.11nまで装備しています。

 一昔前なら必ず語られたCPUはARM9の266MHz。腐っても32bitのRISCです。メモリは32MByteで増設は不可能。今どきなら少ないメモリですが,時計の止まった私にとっては,海より広いメモリです。

 小型ですが,給紙トレイには250枚まで入れておけますので,レーザープリンタらしく紙を気にせず,連続でどんどん印刷が出来ます。

 1月末,WiFiのない安い方のモデルを買おうと思ったところ,少し前までキャッシュバックをやっていたことに気が付きました。ちょうど終わったところです。昨年のこの時期はすでに新しいキャッシュバックが始まっていたりするので,もうちょっと待ってみようと,買うのを待ちました。

 すると,2月1日からやっぱりキャッシュバックが始まりました。危ない危ない。

 しかし,残念な事にお目当ての廉価モデルは対象から外れ,WiFi付きのモデルだけ3000円のキャッシュバックとなっています。

 廉価モデルを7000円ほどで買えたらいいなあと思っていた私にとっては肩すかしになりそうでしたが,冷静に考えるとWiFiモデルでも9000円弱になるわけですから,こっちの方がお得です。家中どこでも設置場所の候補になるし,iPadを使う嫁さんはWiFi Directで簡単に印刷ができます。いいですねえ。

 どうせ買っちゃうなら,売り切れる前に,値上がりする前に,さっさと買うのが正しい選択です。

 かくして2月1日注文,2月2日に届きました。ついでにいうと,2月3日,値上がりしていました・・・危ない危ない。

 届いて開梱です。想像以上に大きく,かさばります。これはリビングには無理です。テストプリントを行うと,音も大きく,あの独特のオゾン臭もします。やっぱ生活場所におくのは厳しいですね。

 USBを繋いでセットアップ。Macからは問題なく印刷出来ました。次にWiFiの設定。これも問題なし。次に他のマシンとの共有。これも簡単。

 最後にiPadからの印刷です。WiFi Directを使う方法もあるし,アクセスポイント経由でもいいです。印刷方法も,AirPrintを使う方法もあれば,専用アプリから印刷する方法もあります。

 いろいろ考えましたが,アクセスポイント経由でAirPrintを行う事にしました。しかし,意気込んでセットアップを初めて見たところ,なにもしないで印刷が出来るようになってしまいました。

 iPadのアプリから,印刷を選ぶだけ。ネットワーク上に存在するAirPrint対応のプリンタを勝手に探し出し,これが自動的に選択出来るようになっていました。

 ほんまかいなと印刷を初めて見ると,プリンタもちゃんとスリープから目覚めて,ガコーと印刷を終了。両面印刷の設定は可能ですが,縮小印刷などは設定出来ないのですが,そこはもともとシンプルが信条のAirPrintですから,まあいいでしょう。

 これだけなにもすることがないと,確かに取説などを用意することもそもそも出来ません。用意したところでどうにも書きようがありません。セキュリティとか,そういうのどうなっているのかなあと,不安になります・・・

 てなわけで,セットアップがすべて終わり,設置場所を考えてみたのですが,大きいし重いし,滅多に使わないし,電気は食うしで,結論は屋根裏の物置です。

 ここには,以前使っていたPM-G850が動く状態で設置されていて,年賀状の印刷くらいはこれで行っています。レーザープリンタもここにおきましょう。つくづくWiFiにしてよかったです。

 改めてそのインプレッションです。

 大きさは小さいとはいえ,大きいです。かつて沖のMicroline400という機種がありましたが,私にとって小さいというのはこのくらいのもので,HL-L2365DWは明らかに大きいです。

 もっと安っぽいかと思いましたがそれはそんなことなくて,しっかりしています。重いし,精度も出ないといけないから,あまり華奢には出来ないのかもしれません。

 液晶はありがたいです。1行のディスプレイで何が出来るかと思いましたが,本体だけで設定の確認が出来たり,状況が分かるというのは便利で安心です。半角カタカナがまた懐かしいです。

 WiFiはさすがに802.11n対応で,しっかり電波をつかまえてくれます。ただし5GHzには対応しないので,電子レンジで切れてしまうと思います。その意味でも,リビングには置けないでしょう。

 惜しいのは,PC側のユーティリティが簡単すぎて,せっかくUSBで繋いでいるのに,設定の確認や変更がPCから出来ないんですね。有線のLANの設定など,あのLCDとキーだけで,手動で行う羽目になってしまいました。

 肝心の印字品質ですが,これはまあ問題なし。600dpiでも十分美しいので,時間のかかる1200dpiは使わない予定です。

 印刷速度には偽り無しです。起動時間がややかかるという印象ですが,インクジェットの遅さになれている私としては,全く問題になりません。

 消費電力は結構大きく,スタンバイでも50W程度,スリープでも0.8Wですから,繋ぎっぱなしには出来ないですね。使う度に電源を入れ直すことにしましょう。

 とにかく,モノクロレーザープリンタに求められていることは,見やすさと速度,低コストに加えて,両面印刷や2ページを1枚にまとめる縮小印刷などです。ランニングコストは今後使ってみて判断しますが,今のところ不満のあるポイントは見当たりません。これで1万円以下ですよ・・・

 さて,これでPDFがさらに価値を高め,生きた情報になりました。電子化されることで「埋没」するのではなく,一時的な待避であり,必要な時には元の状態に近いところまで戻せるというこの安心感は,非常に大きいものがあります。

 そのための投資として適当かどうかは私もやや疑問を感じますが,まあそれはそれとして,安いプリンタですので,気軽に使おうと思います。


蔵書の管理とプリンターの話

 定期的に増える雑誌のたぐいはともかくとして,暇つぶしに読む小説などの書籍や,過去に購入した技術書なども毎週末にPDFにしていくと,気が付かないうちに電子化された本の数が膨れあがっていきます。


 2017年2月3日現在,蔵書データベースにPDFとして登録してある書籍は1848冊,データベースには登録しないことにしている雑誌(トランジスタ技術や日経エレクトロニクスなど)がざっと1000冊となっています。

 気が付かないうちに増えていたKindleの電子書籍が214冊もあり,紙の本が480冊ということですので,全部で3542冊ですか・・・まあ,個人で数を誇るには1万冊が最低必要らしいですし,まだまだ修行が足りません。(ちなみにISSPによる2009年の家庭の蔵書数調査によると,日本は平均91冊,500冊以上はわずか6%ほどということです)

 驚いたのは,娘の絵本が339冊になっていて,ここに未登録の絵本月刊誌(こどものとも)の定期購読分を加えると,400冊くらいになってしまうことです。いやはや,5歳の子供の蔵書が400冊ですよ・・・えらいことです。

 私が1つだけ誇れることがあるとすれば,その蔵書のほぼすべて,一度は目を通していることです。それも部分的にとか,資料として一部だけとか,そういうのではなく,概ね読了しています。どんなことがどの本に書かれているか,うっすらでも覚えているのはそのおかげでしょう。

 それはそれとして,特にScanSnapiX500を導入してからは,スキャン速度の高速化以上に,重送などの紙関係のトラブルがほぼなくなったことと,特に重送の検出が確実に出来るようになったことで,スキャン後の全ページ確認にかける時間が激減し,PDF化の負担が非常に軽くなりました。

 またスキャンの品質も向上,かつ安定して,これなら変色したり破れたりする紙で残すよりも,ずっと価値があるのではないかという気さえして,「仕方なく」ではなく「より積極的に」PDF化を進める動機となっています。

 これまで,小説やノンフィクションなどの文章を読む本はKindleで読む事を第一に考えていたので,紙で残すことに理由を見いだせず,読む前の購入直後にPDFにしていたのですが,技術書のような図面が多いもの,あるいは資料性が高いもの,机の上に広げて他の作業中に参照する必要のあるものなどは,紙の本のままにしてありました。

 技術書にも2種類あり,1つは物語のように順を追って解説を行っているものと,数ページごとに完結した内容になっているものに分かれます。前者は理論の解説や設計法の説明などで,後者は設計例や製作記事,データブックにあたります。

 製作記事などは前後の記事との関連性は薄く,そこだけ読めれば問題はないわけで,かえって分厚い本を広げて作業をするのは邪魔になるものですが,前者のような解説記事は,前後の内容との関連が重要だったりするので,本になっている方がありがたかったりします。

 どちらにしても,これら技術書は出力先として,まだまだKindleでは荷が重いため,価値がある本はPDF化の対象から外れていました。

 ですが,得てしてそうした本というのは大判で分厚く,本棚を占拠しがちです。その割に出番はそんなに多いわけでもなく,これを紙で残す理由ってなんだろうなあと,改めて考えたのが年明けすぐのことです。

 そこで,真空管アンプに関する本(無線と実験の別冊がほとんど)をざっと見てみたところ,これは絶対に作らないだろうなと思うような製作記事もたくさんあり,こうしたものはPDFにしたほうが,保管場所も減るし,どこでも見られるようになるのでかえって便利なんじゃないかと,思い至りました。

 しかし,万が一,そうした製作記事で製作をすることになったらどうするか。やっぱりプリンタで紙に印刷することになるでしょう。

 ・・・まてよ,印刷同等のクオリティで印刷する仕組みがあれば,技術書の大半をPDFに出来るという事じゃないか?

 すでにトランジスタ技術や初歩のラジオといった月刊誌はすべてPDFになっており,製作記事や図面などは,その都度紙で印刷していますが,まったく問題なく運用できています。

 とはいえ,写真印刷用のインクジェットプリンタをこうした用途に使うには,印刷品質やランニングコスト,また印刷速度の面からも不適切です。そこで浮上するのがモノクロレーザープリンタです。

 乾式コピー機そのものだったその昔,100万円していたレーザープリンタは,30年前には30万円,20年前には10万円になり,今や1万円までで買えるものになりました。そんなに安く売る必要などないのになあと思うのですが,消耗品で稼ぐ商売をやる市場である以上,仕方がないのかも知れません。

 思い起こせば,「レーザープリンタ」などと未来的な響きが小学校高学年の単純な思考を支配し,その価格が100万円というこれまた小学校高学年には天文学的国家予算レベルの大金ゆえ「とにかく無茶苦茶高い近未来のプリンタ」という記憶しか残さなかったことが,私とレーザープリンタとのファーストコンタクトだったように思います。

 あれですよ,当時はレーザープリンタとかページプリンタとか,電子写真式プリンタとか,いろいろな言い方が混在していたんですよ。あげく,商品名がレーザーショット(今思えばこれって結構殺戮的な響きですね)とか,そういう80年代的な名称だったりするので,ますます縁遠いものに思えてくるわけです。

 それに,当時はプリンタにも得手不得手があり,互いの弱点をカバーし合うべく,様々な方式が共存していたんです。ジオンのモビルスーツのようなものです。

 紙は高いが本体が安いサーマルプリンタ,活字並みの品質だがアルファベットしか印字できないデイジーホールプリンタ,普通紙に印刷出来るがうるさいドットインパクトプリンタ,静かだけど滲みがひどいインクジェットプリンタ,普通紙に高品質で印字できるがインクリボンが高い熱転写プリンタ,ピクセル単位で各色の濃淡が付けられ写真印刷が可能だが非常に高価でサイズも小さい熱昇華型プリンタ,大昔には紙の上にアルミ箔を張っておき,これを破ることで印字していた放電プリンタなるものもありました。

 これまで書いてきた乾式コピーにレーザーを組み合わせたレーザープリンタ,レーザーではなく横一列に並べたLEDで露光するLEDプリンタ,変わったところでは上下左右に自由に動くペンで広げた紙に文字通り線を描いていくX-Yプロッタ,ペンは左右にしか動かないが紙を上下に動かすプロッタプリンタ,今でも根強いファンがいるIBMのセレクトリックタイパー(通称ゴルフボール)などなど,形すら似ていないプリンタが存在しました。

 これとは別の分類で,文字をドットに分解して印刷するドットマトリクスプリンタ,1行単位で印刷するラインプリンタ,1ページ単位で印刷するページプリンタなど,それこそ覚えるだけでも大変な種類があったものです。

 今生き残っているプリンタは,インクジェットプリンタ,レーザープリンタ,複写伝票用にドットインパクトプリンタくらいでしょうか。

 10年単位でそうしたメカと電気とソフトの融合であるプリンタの自然淘汰が起きてきたのですが,90年代初頭にようやく30万円くらいになったレーザープリンタの中でも,突出していた孤高の超高級機が,AppleのLaserWriterII NTX-Jです。

 いやー,今書いていてもしびれます。200万円近い価格,frog designによる非常識なまでに完成されたかっちょいいデザイン,AppleTalkによるネットワーク共有がすでに「標準」になっていて,そこら辺のパラレル接続のプリンタとは住んでいる世界の違いを見せつけていました。

 PostScriptをページ記述言語に採用していて,しかもそれがAdobe謹製で,NTX-Jで正しく印刷出来ないならそれはデータが悪いと,誰もが信じたものです。

 そして,それだけでも6桁の価格が付いたといわれる,モリサワのリュウミンL-KL,中ゴシックBBBの2つをスケーラブルなPostScriptフォントで搭載,そのためにSCSI接続の40MBのHDDが外付けになっていました。(この外付けHDDもfrog designなわけですよ)

 これだけのシステムですから,プリンタに入っているコントローラも重装備で,なんと68020が搭載され,メモリもSIMMで増設出来ました。1989年の登場ということですから,この頃のMacintoshが68000だったことを考えると,本体よりも数段上のワークステーション級のパワーを装備していたんです。

 そして,その印刷のなんと美しいことか。PostScript搭載機が吐き出すテストプリントは,さすがAdobeと唸らせる美しいもので,国産のプリンタの無味乾燥でセンスのかけらもないテストプリントのみすぼらしさが,惨めに感じたことを覚えています。

 特にA4一杯に大きく印刷された「&」の曲線の,なんともなまめかしいことこの上なく,このプリンタがあればもう印刷屋さんなんか潰れてなくなるんじゃないかと思ったものです。

 事実,このプリンタの存在と,PageMakerによってDTPの世界が一気に花開き,コンピュータによる文書処理の1分野として,文書作成であるワードプロセッシングと袂を分かつことになるのです。

 そんな漠然とした憧れが,あの独特のオゾン臭で人間の動物的な部分へのプリミティブな記憶と共にすり込まれた私は,このころ中古のMac用のレーザープリンタを始めて手に入れます。1万円だか2万円だか,そのくらいで買ったLZR-650という小型のレーザープリンタです。

 ただし,ドラムが逝ってしまっていて,まともに印刷出来ないものですが,くっきり滲まず,普通紙に印刷でき,水をかけても大丈夫,網点による美しいグレイスケールを吐き出すこのプリンタは,私の印刷環境を一気に変えてしまいました。

 それまで,プリンタと言えばプログラムリスト(あるいはダンプリスト)をかろうじて判読できる文字でただ吐き出すだけのものでしたから,およそ印刷物と張り合うようなものではなかったのです。

 当時,インクジェットプリンタの性能が格段に上がり,カラー化も進んでいたときだったのですが,スペックからは見えない,レーザープリンタの印刷の品質の高さに私の迷いはなく,中途半端なカラーよりは,しっかりしたグレイスケールが表現出来るモノクロの方がずっと見る人を惹きつけるものだという持論もぶれることなく,長くレーザープリンタは私の主力機でした。

 やがてドラムがいよいよダメになり,買い換えることにしたのですが,憧れのPostScript機など買えるはずもなく,Apple純正のLaserWriterSelect300を安く買うことが出来ました。QuickDrawプリンタではありますが,当時はすでにTrueTypeも存在していて,個人レベルであれば十分な力を持っていました。

 XEROXのエンジンというのもお気に入りでした。それ程高速でもなく,大きく重く,デザインも今ひとつで,特に印刷の品質も良いわけではない,当時の廉価版レーザープリンタでしたが,TeXを使い始めた時期でもあり,印刷物にどこまで迫ることが出来るかにこだわった当時の私を支えてくれました。

 あれから20年。

 もはやインクジェットプリンタは銀塩写真のレベルを越え,デジタルカメラとの組み合わせで,美しいA3ノビのカラー写真を,トコトンまでこだわって紙に焼くことが,自宅でできるまでになりました。

 インクジェットプリンタが,インクカートリッジで稼ぐという方法で本体価格を1万円にしてから,プリンタというのは安いものという認識が定着したように思うのですが,どう考えても安くなるはずがないと思っていたあのレーザープリンタまでも,1万円そこそこで買える世の中になってしまい,私はとても複雑な気分です。

 ああ,ついつい長くなってしまいました。歳は取りたくないものですね。

 長くなってしまったので,本題であったはずの「散財」については,次回に。

[追補]先日嫁さんに,レーザープリンタの仕組みって知ってるか?と聞いたら,自信満々に「インクジェットなら知ってる」というので説明してもらったところ,インクに電荷を与えて吸い込むとか,なにやらおかしなことをしどろもどろで言っていました。

 情けないので調べておくように宿題を出しましたが,きっと無視するでしょう。悔しいのでここに10歳の子供にも分かるように書いておきます。

 インクジェットプリンタはその名の通り,インクを紙に吹き付けることで印刷するプリンタです。問題はインクをどうやって,正確な位置に,小さい点で,吹き付けるのかということです。

 大きく分けて2つの方法があります。1つはピエゾ方式。ピエゾというのは圧電素子のことで,電圧をかけると変形する性質のものです。細い管に入れたインクを,管に取り付けた圧電素子の変形で打ち出します。ちょうど,お弁当に入っている魚の形の醤油さしのようなものですね。

 もう1つはサーマル方式,管にインクを入れておくところは同じですが,この管を瞬間的に熱して,インクの沸騰によって発生した泡の勢いでインクを打ち出します。

 それぞれ一長一短がありますが,インクの量を減らさないと細かい印刷は出来ず,でもそうすると制御が難しくなりますし,目詰まりも増えてしまいます。それに,たくさんある管が1つでも壊れてしまうと使い物になりませんし,膨大な回数のインクを吐き出しますから,信頼性を高めないといけません。

 打ち出しに最適なインクは,必ずしも美しい印刷の出来るインクとは限らず,美しい印刷が出来るインクは長期保存に耐えることの出来るインクとも限らず,求められる性能がバラバラなのに,それぞれ高次元で両立しないといけないという難しさもあり,本体よりもインクが高いというのは,案外ビジネスモデルの話だけとは言えないんじゃないかと,私などは常々思っています。

 ついでに,レーザープリンタの仕組みも。

 普段は電気を通さないのだが光が当たると電気を通しやすくなる特殊な材料を表面に塗りつけた細長いドラムを用意します。

 最初にこいつに電荷を与えます。電荷というのは,乱暴に言えば静電気です。

 次に,レーザーをこのドラムに当てます。クルクル回る鏡をつかってレーザーを左右に振り,ドラムを回転させながら,ドラムの表面にレーザーを当てるのです。

 レーザーがあたった部分は電気を通しやすくなっているので,静電気が弱まります。この状態で,黒い粉をドラムに振りかけると,静電気の強い部分にはたくさんの粉が,弱い部分には少しの粉が付くようになります。

 そしてこの粉を,そのまま紙に転写します。すると紙にはレーザーを当てたところは白,当てなかったところは黒で,画像が出てきます。

 あとはこれを,熱を加えて黒い粉を溶かして紙にくっつけます。

 今は少なくなりましたが,昔のコピー機というのはこのレーザーの代わりに,コピーしたい紙に強い光を当てて,その反射光をドラムにあてていました。レーザープリンターはこのコピー機の原理を使って作られたものです。

 銀塩写真の原理とは全く異なるものなのですが,光を使って画像を作るという意味で「電子写真方式」とも呼ばれます。ですので,印刷までの工程も写真の用語を使って説明されることがしばしばです。

 例えば,黒い粉はトナーと言いますが,これを可視化する薬剤とみて「現像剤」と言ったりします。ドラムは感光体です。

 そして,レーザーを当てることを露光といい,トナーをドラムにのせる工程を現像といいます。そして紙に移すことを転写,転写されたトナーを熱で固めることを定着といいます。

 この複雑で,また特殊な材料や薬品を使うプリンタが,ここまで小さく,ここまで安く,メンテナンスフリーで,どこでも買えるようになるとは,信じがたいことです。

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