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2023年03月の記事は以下のとおりです。

PC-1251,もう一丁

 先日のPC-1251とCE-125は,程度に対して随分高額になってしまったこと,また相手が悪くて非所に不愉快な想いをしたことで,随分ケチがついてしまいました。

 ところが,もっと良い程度のものが30%も安い値段で手に入っていまいました。もうPC-1251はいらんなと思いながらも,使い始めると実はPC-1245よりも快適だったりします。LCDももう1枚予備があるしなあ・・・

 ということで,またもPC-125とCE-125のフルセットです。今回のオーナーはものを非常に大切にされる方のようで,付属品もすべて揃っています。付属のアプリケーションカセットも非常に状態がよく,読み出しに問題はなさそうです。

 とはいえそこは40年も前の商品ですからね,ケースからは可塑剤だかなんだか分からない液体が染み出していて,PC-1251の風防をすりガラスのように白くしていますし,LCDも吸湿で真っ黒です。

 CE-125はベルトが切れていて動作しなくなっており,やはり年相応です。

 ただし,奇跡的にCE-125に内蔵されたNi-Cd電池は液漏れがなき,周辺を腐食させることがまったくありません。いやー,こんなに綺麗な基板を見たのははじめてです。

 ということで,まずはPC-1251のレストアです。分解と清掃をし,LCDを交換して動作確認ですが,ここまでは実に順調です。

 しかし,すんなりいかないのは私の日常,今回はメモリの増設ではまってしまいました。前回の18kB拡張と同じ事をやっただけなのですが,今回はなかなか正常に起動するメモリボードに改造出来ず,結局2回ほど配線を全部やり直してようやく動作するようになりました。結局動かなかった原因は不明なままです。おそらくFO4とFO3のANDをとる回路の周辺がおかしいのだろうと思いますが,もうわかりません。

 18kBになったPC-1251が2台,オリジナルのPC-1251が1台と,PC-1251がうちの最大勢力になってしまいました。

 では次にCE-125です。比較的程度がよいCE-125ですので,もしかしたらこれが今後の標準器になるかもと期待しましたが,マイクロカセットもプリンタも今ひとつで,一応動くようにはなったので,サブ機ということにしましょう。

 ところでこのCE-125,早送りが時々出来ないという症状に苦しみました。ベルトが滑っているのかなあと思ったのですが,実は送り出し側のリールのブレーキが外れていないというのが原因でした。

 こういう状況は初めてでしたが,早送りキーを押し込んだ時にブレーキレバーが外れてしまい,解除されていないということもわかったので,ブレーキレバーを少し変形させて確実に解除されるようにしたところ完調。

 しかし,なぜ変形させると上手くいくようになったのかという真の原因が分からずじまいですので,あまりよい修理方法とは言えません。

 ということで,PC-1251にCE-125がそれぞれ3台です。もう増やしたらだめですね,PC-1261くらいは欲しいところですが,高価ですしね・・・

 

CE-125のレストア

 さて,最後の関門はCE-125です。こちらはあまりあてにしてなかったのですが,電池からの液漏れもなかったので,うまくするとこれで復活するかもなあと淡い期待をしていました。ただしデータレコーダはゴムベルトが融けてボロボロですので,これだけは交換の必要がありましたが・・・

しかしそうは問屋が卸しません。

 まず,プリンタが認識されません。紙送りボタンは動きますのでプリンタとコントローラは生きています。しかし本体との通信が出来ていないようで,SHIFT+ENTERでプリンタモードになりません。

 パターン切れも見つかりましたが,これはカセットのリモートの機能に関係する部分でしたので,プリンタとは無関係。パターン切れも部品不良もいろいろ確認しますが問題がなかなか見つかりません。

 真面目に信号を追いかけるか,と検討のやり直しを考えたとき,ふとコネクタ付近の液漏れがひどかったことを思い出しました。もしかするととコネクタの端子間の抵抗を測定すると,100kΩところがあります。これはおかしいです。端子間でレアショートが起きている感じがします。

 そこでコネクタを取り外し,ピンを抜き,IPAで徹底洗浄です。これでレアショートがなくなりました。そして組み直すとプリンタが動作し始めました。やっぱりこれが原因だったようです。

 さあ,次はカセットです。これも全く動作しません。それどころかIC1の1ピンに出てくるはずの音声波形が全く出てこないのです。ここまで見事に出てこないのも珍しいです。

 パターン切れや部品の破損を疑いますが,ぱっと見つかりません。そこで1mV程度の正弦波をアンプの入力に突っ込んでみました。すると出力に2Vくらいの綺麗な正弦波が出てきました。

 このアンプのゲインは2000倍とのことですので,回路は正常です。なら入力が入ってきていないということになるわけで,RECとPLAYの切り替えスイッチを調べます。しかしここは問題なし。

 そこでもう一度ヘッドの表面を見てみると,なにやら膜のようなものがこびりついています。うーん,ここもなにやら液漏れで腐食しているような感じです。

 もう失敗してもいいとい覚悟で,ヘッドの表面をサンエーパールで研磨してみました。ピカピカの鏡面仕上げになったところでテープを再生すると,ちゃんと波形が出てきます。そしてめでたくロードも完了。テープ速度があやしいのでリーダー部分で4kHzになるように調整し,出力最大になるようにアジマスを調整します。

 ただ,アジマスが正確にあわなくなりました。テープパスも安定しなくなり,うまくアジマスがあわないのです。おそらくですが,ヘッドを磨いたことでコアギャップが広がってしまったことと,表面の研磨が不均衡であったことからテープパスも乱れることになったんじゃないかなと思います。こうなってしまうとヘッドの交換しかありませんが,マイクロカセット用の録再ヘッドなどありませんので,これはもう読み出し専用に使うことにして,割り切ることにします。

 それでもワウが大きいのでエラーが起きやすいのですが,これはプーリーやフライホイールの腐食もあるでしょうし,ベルトがちょっと太いこともあるようですが,とりあえずCE-125の問題点は潰せてきました。

 手持ちのゴムベルトは1mmの太さのものです。汎用性が高いので1mmを在庫してあるのですが,CE-125はもう少し細い0.7mmのベルトが最適らしく,試しに0.7mmのゴムベルトを手配して交換してみました。

 するとワウはかなり低減し,エラーも出なくなりました。気をよくした私はもともと持っていたCE-125も0.7mmのものに交換し,一安心という所です。

 ということで,今回のPC-1251はそんなに損傷もなく,本当は簡単なレストアになるはずだったのに,なかなか手がかかってしまいました。なめていたという事だと思いますが,こういう見通しの甘さというのはここだけに限らず,いろんなところで起きているように思います。反省せねば。

 

ほんまかいな,1万円のオシロスコープ

 先日,セールの終わったamazonをだらだら見ておりますと,10999円でポータブルオシロが出ておりました。ああ,よくある自作キットに毛の生えたやつね,と思っていたのですが,よく見ると帯域120MHz,500Msps/sと,ちょっと気になる記述が。

 詳しく見てみると,1chしかないとはいえ,本当に120MHzの帯域で最大500Msps/sとあります。BNC入力で付属品に1:10のプローブが1本ついてきますし,もちろん今どきのポータブルですのでリチウムイオン電池内蔵でバッテリー駆動です。

 これが1万円?ほんまかいな?

 ついでいうにと,違う業者からだと思いますが,派生品と思われる120MHz,300Msps/sのものが3万円で同じページに出ています。

 私は,これまで,オシロスコープなどの測定器は結局入力のフロントエンド部分のアナログにお金とノウハウが必要で,ここが適当で済むものなら安くなるが,ここをきちんと作らないといけないものは値段が下がらない,と信じて生きてきました。

 実際,今でも200MHzと500MHzの価格差は大きいですし,2chと4chの価格差も大きいです。お金をかければ性能アップ,逆にある程度の性能を期待するならお金をかけずに済ませられないのがアナログ回路で,これは今も昔もそれほど変わりません。

 ですが,120MHzで1万円です。これ,本当だったら価格破壊もいいところですよ。仮に中古でも安いと言えるでしょう。

 1chというのが惜しいですが,この帯域を持っていればアマチュアの作業の大半はこなせます。20年前なら10万円以上の出費は必要だったでしょう。(私は30年前,100MHzの2chのオシロに20万円の予算を組みました・・・)

 同型機はAliexpressでも売られているようですが,それでも日本円で11000円以上します。一体どうなっているのかわかりませんが,こういうものは買って試してみたくのが,これ人情というもの。無駄遣いと分かっていますが,意識が戻ったら手元に届いておりました。

 先に書いておくと,面替えを含めた同型機はすでに2019年頃から出回っており,アメリカあたりでは$70程度で手に入っていたようです。現在のレートなら9500円ほどですから,この金額は別に誰も損をしていないようです。

 さらにいうと,当時からすでに評判は悪かったみたいで,後述する私の指摘はすでに過去に散々語られたものであることも付け加えておきます。

 ・・・さあ,開封です。

 まず,小さいです。もっと大きなものを勝手に想像していましたが,本体も画面の大きさもゲーム&ウォッチくらいのものでした。ただ厚みは3cmくらいはあります。質感は低く,1万円でも高いと思わせるものでした。

 動かす前に,さっと仕様の確認をしておきましょう。帯域幅120MHz,500Msps/sのサンプルレートを持つ,1chのオシロスコープです。垂直感度は50mVとありますので,なんと以前購入したHO102の100mVよりも良好ですが,一般的なちゃんとしたオシロスコープが10mVであることを考えると,まだまだです。(しかもあとでわかったことですが,レンジとしては100mVで,50mVというのはソフトで処理しているらしく,実力は100mVです。なんじゃそりゃ)

 起動は下部にあるスライドスイッチで電源をONすることで行います。電源OFFもこのスイッチで行いますが,特に終了処理を行うものではなく,本当に電源をカットするものだと思います。

 トリガはオートとノーマルとシングルなのでこれはごく普通。トリガのレベルは設定可能ですし,スロープも立ち上がり/立ち下がりどちらも設定可能なので,これはまあそれなりでしょう。トリガは機能や仕様もそうなのですが,実際の使い心地を決めるのはその切れ味です。先人の解析によるとトリガはソフトウェアで行っているそうで,切れ味は期待出来ません。

 なにより問題なのは,使ってみると分かるのですがトリガのかかる条件がちょっと特殊です。ソフトウェアでトリガをかけるからだと思うのですが,1画面分の取り込みの中で,トリガレベルを横切ったものを表示する仕様になっているらしく,1画面内でトリガレベルを横切らないような場合にはトリガがかかりません。

 これはもう論外で,もし私の推測が正しいなら,トリガがなんたるかを全く理解していません。切れ味云々以前の話です。トリガがまず最初にかかって,その後に画面に表示されるからこそ,波形の変化部分を拡大して見ることが出来るわけで,それが出来ないというのは話にならないと思います。

 測定はあらかじめ設定しておいた電圧や周波数は表示されますが,なんとカーソル測定がありません。これも言語道断です。立ち上がり時間や特定のパルスの幅を測定出来ないなんていうことになると,オシロスコープとしての使い道が極端に狭まります。

 さらに致命的なのは,設定の記憶です。画面の明るさやBEEP音などの初期設定は覚えておいてくれるのですが,x10やDCカップリングといった設定や,垂直軸のオフセットやレンジといった操作上の設定が電源を入れ直すとリセットされます。せめてユーザーセッティングのセーブとロードがあれば毎回の起動時にロードする手間をかけても設定が復帰出来るのでまだましなのですが,スカッと消えてしまわれれば,実使用上かなり厳しいです。

 付属品ですが,100MHzでも1本1000円という激安プローブで知られたTP6100という中国製のプローブの,さらにコピーと思われる素性の分からない程度の悪いプローブがついてきました。

 一応矩形波による調整は出来たので故障はないと思いますが,本当に100MHzの帯域を持っているのかどうかは怪しいです。

 さて,問題の周波数帯域です。一応内蔵された発振器による1MHzの矩形波は綺麗に見えましたので,10MHzくらいの帯域はあるようなのですが,先人の解析によると30MHzがいいところだそうで・・・

 私が実際にSGから入力を入れて確認してみると,-3dBになる周波数は36MHzでした・・・

 まあ,そりゃそうか,1万円で本当に120MHzだったらすごいなと思いましたが,そんなはずはあるわけなく,実力は35MHz程度ということでした。もうここまで嘘だとすがすがしいですよね。

 しかしこれも考えようによっては,100MHzのオシロでも20MHzの帯域制限を設けて低い周波数の観測を行いやすくする機能があるくらいですから,もともと30MHzで帯域制限されたオシロスコープだと思って使えば,5MHzくらいのクロックの古いシステムだったら十分にデバッグ出来るのではないでしょうか・・・

 この時気が付いたのが,周波数表示の誤差の大きさです。10MHzを入れたら10.8MHzと測定値が表示されるのですが,これって8%もの誤差があります。これだと40MHzを突っ込んだら43.2MHzとなるわけで,もう違う周波数を示しているといっても言い過ぎではありません。消費税かいな!

 スペックで規定された誤差は6%で,これもかなり大きいなあと思う訳ですが,そのスペックさえも満たしていないというのは話にならんという感じです。

 そうなると垂直軸の誤差も気になります。5Vを突っ込んでみたところ,表示された電圧は4.75Vでした。誤差5%ということで,一応スペック内に入っていますが,5Vで4.75Vというのはちょっと現実的には厳しい感じがします。

 そして500Msps/sというスペックですが,これも嘘っぽいです。波形の取り込みをSTOPしてから波形を拡大する機能がない(これはこれで話にならない)ので直接確かめる方法がなくはっきりしないのですが,先人の解析でも使われているADコンバータがAD9288のクローンなので最高でも100Msps/sが限度で,ICのランクによっては80Msps/sや40Msps/sというものもあるので,最悪40Msps/s程度の可能性もあると思います。

 しかし,説明書に「ソフトウェアによる500Msps/s」とありますので,等価サンプリングを行っているのは間違いないと思います。実際,50MHzの正弦波も正弦波として表示出来ていましたから,100Msps/s以下でのサンプリングということはないと思いますし,一方で12MHz程度の矩形波も矩形波っぽく表示されているので,60Msps/s程度の実サンプリングが行われていると考えて良いように思います。

 ということで,まとめてみると,帯域幅は35MHz程度,誤差は大きい,波形そのものは35MHzの範囲であれば意外にまとも,でした。

 しかしトリガは全然だめで,1画面取りこんで変化する部分があればそこでトリガ,という仕組みでは掃引速度を上げて取り込むことで変化部分を拡大するというアナログオシロスコープのころから当たり前のように出来た事が出来ませんし,かといって取りこんでから拡大というデジタルオシロで当たり前のことも出来ないのでは,変化部分を見ることが出来ないオシロスコープということになってしまっています。

 さらにいうと,強制同期でとにかく波形を出すということも出来ず,波形が全然出てこないということになると,波形が出ているかどうかもはっきりしない訳ですから,これはもう強制同期式の昔々のオシロ以下,ゴミレベルです。

 それでも,ファームウェアのアップデートがあれば改善されてるかもと期待したのですが,先人の解析によるとMCUがロックされており,ファームウェアの書き換えは出来なくなっているとのこと。それでも彼はオープンソースのファームウェアを作って公開するという強烈な仕事をやってのけていますが,これも新品のMCUに載せ替えるという作業が先に必要です。

 よって派生機種やコピー機種が多数あるにもかかわらず,ファームウェアのアップデートは出来ず,大改造をしない限りはこのまま使うことを余儀なくされます。

 これは,大失敗かも。1万円を本当に無駄遣いしたかも知れません。

 正直に言って,途中でやる気が失せて評価や確認作業を一度打ち切ってしまいました。これは3000円でもいらないです。

 そんなことを言っていても仕方がないので,なんとか使い道を考えます。まず電池駆動で小型ですので,フィールドで使える事は間違いないでしょう。帯域はそれでも35MHzほどありますからクロックで5MHzや8MHzくらいならなんとか見えるでしょう。ただし波形の拡大は出来ないので,立ち上がり時間などは観測出来ませんが,よく考えたら帯域が30MHz程度では立ち上がり時間の測定など最初から出来ないので,そこは割り切りです。

 クロックが発振しているか,PWM出力が出ているか,GPIOが動いているかなどの確認は出来そうですが,これまで散々述べたように,トリガの制約からキャプチャされない理由が信号が来てないからなのかトリガをかけ損なっているからなのかがわかりませんので,確認には使えません。うーん。

 カーソル測定が出来ないので周期的な波形の観測に限定されるとして,それだともうオーディオ帯域の観測にしか使えません。つまり3000円ほどで売っているキットのポケットオシロか,PCのオーディオ入力を使ったソフトオシロで出来る事しか出来ないでしょう。

 テスタ代わりに電圧や時間の測定に使おうと思えば誤差が大きすぎるのでこれもアウト。

 うわー,これはホントにゴミですわ。私が買う前に残り7台,その後ずっと6台残ったままになっていることからも,そのゴミっぷりがうかがえます。みんなよく知っていますねぇ。

 ちょっと小さめの扱いやすいサイズで帯域が35MHzというあたりをメリットと考えて使い潰すしかありません。

 ということで最後に,実測した波形です。Si5351Aを使って作成した12.288MHzを,比較的まともなオシロスコープであるHO102と比較してみました。左側が今回のオシロスコープ,右側がHO102です。

 20230310142314.JPG

 HO102は帯域制限なしで,オーバーシュートもアンダーシュートも比較的良く見えています。周波数測定も波高値も十分実用になる精度だと思います。

 これに対して今回のオシロスコープはというと,波形そのものは30MHz程度で帯域制限がかかっていると考えればそれなりに頑張っていると思いますが,周波数表示は13.3MHzと8%もの誤差があります。

 ただ,12.288MHzでちゃんと矩形波っぽいものが出ていると言うことなので,実サンプルレートはその4から5倍くらいはありそうです。このあたりを頭にいれて使う分には,結構使い道があるかも知れないです。

 

PC-1251のレストアと18kBメモリ

 PC-1251の話を先日書きましたが,同時に入手したCE-125はあてにせず,常用機として程度の悪いPC-1251を修理して使おうと画策して入手したものが手元にありました。

 LCDは持病で真っ黒けですのでこれは交換するとして,メモリをどうするかが問題です。PC-1255相当の10.2kBもよいですし,オリジナルの4.2kBでも実は十分です。

 ですが常用機ですので,ここはMAXの18.2kBで行きましょう。幸いPC-1245で256kbitのSRAMを1つだけ使って18.2kBにする方法を確立してありますので,やることはおなじです。

 まず動作確認です。画面が真っ黒ですが,RUNモードでBEEP 1と打ち込んでピーと音が出れば,まず動作していると考えて良いです。ここはきちんと音が出たのでOK。

 そうなると次はLCD交換です。これもいちいち説明の必要もないほど簡単で,作業そのものは30分ほどで完了です。しかし,あとになって組み立てに失敗していることに気が付きました。

 最初に気が付いたのは,MEM[ENTER]と入力した時です。メモリサイズが右側に表示されますが,この時左側にもなにやら模様が出てしまっています。あちゃー,なにか失敗しているようです。

 Aという文字を連続して入力すると,20文字までは正常,21文字目は左から4文字目に,22文字目は3文字目,23文字目は2文字目,24文字目は1文字目と言う具合に,模様が出てくる上に右側の文字も抜けるようになります。

 これ,おそらくですが導電ゴムのショートです。セグメントは左右で共通,これをカラムで切り替えている訳ですが,どうも同じセグメントがONになってるようです。残念なのは,LCDを分解せず,基板を本体から取り外して付け直すだけで,この症状が治まってしまうのです。

 しかし1時間もすればまた復活。これでは確認に時間がかかりすぎ,どうにも対策が捗りません。

 意を決して金属フレームを取り外し,LCDの付け直しをします。この時思い出したのが,導電ゴムの問題です。電池の液漏れか水が被ったのか,ビニルケースの可塑剤が染み出したのか分かりませんが,とにかく導電ゴムと基板の間に染み込んだ液体が基板を腐食し,金メッキを剥がしていました。

 剥げた金メッキは導電ゴムに付着しているのですが,簡単にしか取り除かなかったのです。よく考えてみると,それだと隣のパターンにショートすることもあり得ます。

 そこで今回は完全にこれらののゴミを除去しました。そして慎重に組み立てます。

 しかし,現象は再現しました。原因はこれじゃないかも知れません。その途中でフレームの爪を折ってしまい,仕方がないのでハンダ付けで固定するなど,もう失敗の道へ突き進んでいるのがわかります。やばいですよ,展開。

 少しましになったところで深追いせず,もうここらで妥協しようと一晩放置したところ,翌朝にはなんと症状が治まっていました。その後一度もおかしなゴーストは出ておらず,なんとまあ完治してしまったのです。自然治癒か・・・生き物か。

 ということで,PC-1251のLCD交換をなめていました。前回は簡単で一発で交換出来ましたが,本当にいろいろあるもんだなと思います。

 続けて風防を磨く作業です。真っ白になっていたのですが,これはどうもCE-125のケースの蓋の裏側に密着していたせいらしく,ビニル素材から染み出た可塑剤だろうと思うのですが,これが透明なスチロールの表面を侵してしまい,真っ白に濁っているものだと思います。

 こういう場合,あまり強く押すと割れてしまうので,押しすぎないように1500番から2000番くらいの耐水ペーパーで磨きます。最初水だけで磨いたのですが,すぐにペーパーがダメになってしまいました。

 ハンドソープを使って磨くと目詰まりもせず,綺麗に磨けます。

 ある程度表面が磨けたら,次は研磨剤で磨きます。私はこういう場合の定番であるサンエーパールを使いましたが,もともと柔らかい素材ですし,20分ほどで研磨完了です。かなり透明になってくれました。

 あちこち磨いてあとは組み立てです。さっと組み立ててメモリ基板を取り付け起動確認も終わりました。順調です。

 さて,次はメモリの増設改造です。これも相当手こずりました。

 この個体はPC-1251なのですが,別のPC-1251とは異なるメモリ基板が入っていました。見比べると,今回のメモリ基板は黒い樹脂によるカバーが1箇所だけで,よく見るとカバーの下に5mm角くらいのチップが2つ,うっすらを見えています。16kbitのSRAMが2つ,直接チップが基板にマウントされて,樹脂で封止されているのだと思います。珍しい。

 古い方はフラットパッケージの16kbitのSRAMが2つマウントされていて(このうち1つを64kbitに置き換えてPC-1255相当に改造してありますが),今回の基板では元のRAMを剥がせませんので,置き換えが出来ないようです。

 これは困りました。そこで今回の基板は比較的程度の良い保存機に入れ,保存機に入っていたPC-1255相当の基板を使って18kByteの改造を行います。

 先のPC-1255相当のメモリ基板が動くかどうかを確かめますが,どうも不安定で今回入手した個体との組み合わせでは,なかなか起動してくれません。何度もネジを締め直しをして,ようやく動く状態を探し出せた感じです。

 不安もありますが,先に進みます。今回は18kByteを256kbitのSRAM1つでまかないますので,2チップあるSRAMをすべて取り外します。そしてこのうち1つの場所に256kbitのSRAMを置き,配線をしていきます。

 終わったら動作確認ですが,これがなかなか上手くいきません。配線にミスがあるのか,回路そのものに問題があるのか,それとも接触不良で動かないのか,よく分かりません。

 一度だけ起動しこのとき18kByteになっていることを確認出来たので,回路のミスはないと思います。しかし基板を傷めて動作が不安定になっている可能性も,コネクタ部分が接触不良になっていることも考えられるので,なかなか面倒です。

 なんどか取付を繰り返して,なんとか18.2kByteの認識が上手くいき,その後は安定するようになりましたので,もうこれでよし。

 とりあえずPC-1251のメンテはこれで決着。外観の汚さはこれはこれで愛着もわきますし,動作が安定してくれていればそれでもう満足ですので,このまま安定してくれればいいなあと思っています。

 さて次はCE-125です。

 実はPC-1251とCE-125のセットは曰く付きだった事に加えて,結構高い値段だったのです。もっと程度の良いものがもっと安く落札されていることが多く,どうも私ともう一人が値段をつり上げている感じです。で,最初から高価な値付けがされていたものを私だけがその値段で入札しそのまま落札,と言う感じで,残念な事に私ばかりが貧乏くじを引き当てている感じがします。

 おっと,余談でした。とにかくCE-125です。CE-125はぱっと見で手がかかりそうになかったのですが,甘かったです。今もってすべての問題が解決しているわけではないのですが,決着したら続きを書きましょう。

 

PC-1246の復活

 さてさて,先日届いたPC-1246用のLCDですが,早速交換してみました。
作業そのものはPC-1245やPC-1211などと違い,鉄製のフレームに両面テープでガラスのLCDががっちり接着されているということがないので,とても簡単に済みます。

 しかし,ちょっと難しい問題がいくつか。

 シャープのポケコンのLCDは,一番手前にある偏光板がLCDに接着されておらず,風防を兼ねていることも多いです。PC-1246もまさにそれで,偏光板が剥き出しです。

 問題は,PC-1246の場合,ベゼル(枠のことです)が白いプラスチックの板で作られており,ここにPROやRUNなどの文字が印刷されていることです。

 あれ,ベゼルって白だっけ?と思った方はするどい。そう,ベゼルはグレーで,本体の基調カラーである青みがかったグレーと共通の色です。ですが,これは真っ白なベゼルの上に偏光板が被っている結果のグレーであって,偏光板が風防も兼ねているからこその配色になっています。

 ですから,交換用の新しいLCDのように,LCDのガラスの上に偏光フィルムを直接貼り付けてあるような一般的なものだと,風防を兼ねた偏光板を外さねばならず,ベゼルは真っ白となってしまうわけです。

 もちろん厚みも変わってくるので,導電ゴムと基板との接触圧も変わって来ます。なかなか難しい修理になるというのがPC-1246のLCD交換の実際です。

 方法として,偏光板ではないスモークのフィルムをベゼルに貼り付ける,あるいはクリアグレーで着色するということを考えたのですが,前者は表示部分を綺麗に切り抜くのが難しいでしょうし,後者はいい色に着色するのも難しいですし,最悪の場合文字が消えてしまうかも知れません。

 スモークのプラ板を風防として取り付ければ厚みの問題も解決しますが,いい色のプラ板を見つけることが出来ず,これも断念。それに表示部分が暗くなって見にくくなるのは避けられません。

 元の偏光板を流用するのが最善では,と思ったのですが,そのままでは偏光板の角度の問題で表示が真っ黒になることがわかり断念。ならばと表示部分を切り抜いてみましたがやはり綺麗に切り抜くことが難しくこちらもあきらめました。

 いろいろ考えましたが,結局落ち着いたのは,新しい偏光板を用意し,表示が最も見やすくなるような角度で取り付けることです。表示部も切り抜きませんので暗くはなりますが,見た目が一番綺麗です。

 ポケコンは表示が小さいので,まさに画面を隙間から覗き込むような感じですから,その外側の印象が強いので,この部分を綺麗に仕上げることも重要だと考えたことから,今回はこの方法でいきましょう。

 くるくると回して表示が最も見やすくなる部分で,元の偏光板を同じ大きさに切り出した新しい偏光板を用意します。これを本体ケースの内側に置き,その上のベゼル,そして基板を置くと言うだけの作業です。冬は換装しているので静電気が発生しやすく,ゴミがなかなか取り切れませんが,そこはまあ根気よく作業を続けて行きます。

 交換が終わってオリジナルと並べて比べて見ると,ベゼルは同じ色ですが画面の暗さははっきりわかります。表示も見にくくなっていることは否めません。ただ,完全にアウトかといえばそんなこともなく,表示部のグレーも濃くなって格好良くなったと言えなくもありません。

 ということで,もう1台も交換し,2台のPC-1246が復活しました。改めてみるとどちらのPC-1246も傷だらけですし,使い込まれていますので修理する意味などあったのかなあと思いますが,PC-1246は結構使いやすいマシンですので,大事にしていきたいと思っています。

 話は変わって,実はPC-1251の故障品をCE-125と共に手に入れています。このPC-1251,入手までにはいろいろ曰く付きだったのですが,品物そのものは問題なく,LCDの交換でそこそこ動くようになるんじゃなかろうかと思っていました。

 特にCE-125と組み合わせで長期保管されていたPC-125xは,CE-125のNi-Cd電池の液漏れでCE-125もろとも死んでいることが多いのですが,CE-125は汚いけど液漏れなし,PC-1251は本体の電池であるCR2320の液漏れで本体の塗装が融けて剥がれていたことと,風防が真っ白になっていたこと,そして持病のLCDを除けば,問題はありません。

 外観がアレですので18kB改造を行って常用機に出来ればなと思っていたのですが,これがなかなか苦労しています。結果は後日。

 

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