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デジット蔵出し詰合せ福袋2026

 今年は参戦しました,デジット共立電子産業の福袋。

 お目当てはデジット蔵出し詰合せ福袋です。思い起こせば昨年は病室で年を越したこともあり,それどころではなく,気が付いたときには完売しており,涙をのんだのです。

 その悔しさをバネに今年こそはと12月29日の15時,私はコタツにMacBookAirを広げてスタンバイ。ログインよし,住所よし,カードよし。さあこい。

 かくして,デジット蔵出し詰合せ福袋とデジットセレクションランダム部品福箱を1つずつ手に入れる事が出来ました。醍醐味袋(「大ゴミ袋」と変換したATOKに,うまいこというなあと感心したのは内緒です)はやめときました。なんとなく地雷な気がします。

 そして1月6日の夜,我が家に大阪からやってきた,2つの福袋。果たして福袋なのか,鬱袋なのか,事の経緯を知っている娘も興味津々です。

 中身が気になりよね?その前に,どんな福袋なのか確認しておきましょう。

デジット蔵出し詰合せ福袋 : 3500円
 玉石混交!デジット蔵出し特価品から厳選した商品を予算限界まで詰め込んだ福袋

デジットセレクション ランダム部品福箱 : 600円
 何が入っているかは開けてからのお楽しみ。まさに運試し、2026年の運勢を占うデジットらしさが詰め込まれた福袋

 つまりですね,前者は中身が毎週火曜日に更新される「デジット蔵出し」に出ているものになるわけで,ある程度事前に雰囲気がわかるわけです。なにが入っているかある程度分かり,それがお得になるよという話です。

 後者はなにが入っているかわかりません。私はこっちが本命かも。

 ですが,私は少し勘違いをしていたようです。前者の蔵出し詰め合わせは,ランダム部品箱のデラックス版,くらいに考えていたんですね,これが。例えば半端なもので商品化出来ないようなもので,でも600円の箱じゃ入れられないようなちょっといいものを,3000円の袋に入れるということを勝手に期待していたんですけど,結論を先に言えばそうではなく,あくまでデジット蔵出しからの福袋でした。

 さあ,まずはデジット蔵出し2026の中身です。右端に書いておいたお値段は蔵出しに登録された時の価格で,今もこの値段で買うことが出来ます。


・LED L-59SURKCGKW-20P 500円
 5mm砲弾型の2色LEDで,黄緑と赤色ですので,別に珍しい物ではありません。
 1つ25円は蔵出しと言うほど安い物ではないと思います。ちなみに秋月では同等品が10個150円です。星2つ。

・抵抗 AMRR-1/2W-100KΩF-10P 440円
 アムトランスのオーディオ用抵抗ということですが,現在このAMRRというシリーズは売られていません。聞けばカーボン抵抗のAMRGというクソ高い抵抗を安価にしたものらしく,メーカーへの採用を前提にしたような,コストダウン品という位置付けでした。
 それはそれとして,カーボンとは言え±1%品,しかもなにかと便利な100kΩですので,1つ44円はちょっとうれしいかも。星3つ。

・スイッチ M2022TNG03 110円
 日本開閉器のシーソースイッチです。NKKのスイッチは重厚で感触も良く,いいですよね。これはいいと思ったところが,実はAC100Vはダメで,最大定格はDC28Vでした。うーん。星2つ。

・LED MD0657C-R-20P 660円
 スタンレーの5x7のドットマトリクスLEDです。赤色です。1つで1文字表示出来そうなLEDで,これでディスプレイを作ったらなかなか味のあるものが作れそうです。ただ,20個しかないので,大した事は出来そうにありません。1つ33円なので安いかもと思っていたら,かつて110個1000円で売ってたことがあるんですよね。キーッ。デジットもおかしな事をする物です。よって星2つ。

・電源 VAA1012 550円
 コーセルのスイッチング電源で,12V0.9Aのオンボードタイプです。AC100V入力(DC110Vも入るそうです)ですし,よく使う12Vですから一見すると便利そうですが,冷静に考えると12V1AならACアダプタの方が安全だし楽ですし,むき出しの基板に100Vを突っ込んでまで電源を内蔵するというのも最近はしないなあと思います。それに12Vくらいなら別にシリーズレギュレータでもいいですし。星2つ。

・モーター LA3-472PB-20P 550円
 振動モーターです。携帯電話に入っているあれですが,重心のずれたおもりを無理に回すモーターに今ひとつ面白味を感じないのに,それが20個もあってもどうしようもありません。星1つ。

・VR 171P-S2H B10KΩ-20P 440円
 スイッチ付きのボリュームです。これはなにか使い道があるかもと思いましたが,10kΩとはいえBカーブ,しかも単連なのでステレオで使えません。加えてシャフトはDカットなので,ツマミも探さないとダメですし。まあ,マイコンと組み合わせて使うとなにかいいことがあるように思いますが,それにしても20個はいらないかなあ。星3つ。

・スイッチ B3W-4050-10P 300円
 アルプスのタクトスイッチです。キートップは別売りで1つ30円は普通だなあと思いますが,押し心地が柔らかい物で,今はこういうのが売っているんだなと思いました。ひょっとしたら交換用に役立つことがあるかも知れません。星4つ。

・LCD AG320240K 1100円
 320x240のLCDなんですが・・・今どき動いているものを見る事のない白と青のSTNモノクロ液晶で,当然コントローラなし。しかもバックライトはこれも過去の遺物である冷陰極管。ご丁寧にインバータ基板まで付属してくれています。
 コントローラなしで使うLCDはFPGAなんかでコントローラを作らないといけないですし,かなりハードルが高いです。そのハードルを越えたとしても,手に入るのは青白のモノクロSTNの表示です。
 もともとこのLCD,蔵出しに登録された時に1100円もして誰が買うのかなと思っていたことを思い出しましたが,まさかそれが我が家にやってくるとはゆめゆめ思いませんでした。これは本当に在庫減らしです。消費者をゴミ箱と思ってますね。星1つ。

・ラジオ LR-10 700円
 箱を開けて最初に目に入ったのがこれなんですが・・・大きな揺れを感知して自動的にONになる防災ラジオ,だそうです。
 調べてみると,2013年に発売開始のニュースがITmediaなんかにも載っていて,当時は5980円で売られていたようです。今もそのくらいの価格で手に入るみたいですが・・・
 専門的な知識もいらないので少しは役立つかもと,嫁さんに説明文を読み聞かせたところ「ただでさえ地震でパニックになっているところへ,大音量でラジオが鳴り響き,ライトがビカビカ光っていたら,ますます大混乱するやないか」と至極真っ当なお返事を頂きました。返す言葉もございません。娘もゲラゲラ笑っていました。
 他にも突っ込みどころは満載ですが,そもそも,こういう商品がデジットに流れ込んで700円でジャンクとして売られている(しかも大量に在庫があるらしい)あたり,もともとの企画意図が大コケして,存在そのものがなかったことにされている証なわけで,本来なら誰かがどこかで勇気を持ってやめる決断をすべきものでした。
 なごやかな一家団欒に貢献したことを評価しても,星1つ。

・uPD8085AHC-2 500円
 NEC製の8085です。CMOSではありません。NMOSです。8085は産業機器にはよく使われていて,お値段もちょっと高めです。ですので500円というのは8085としては安いんじゃないかと思ったのですが,実は若松通商でインテル謹製の8085が400円で売ってます。
 NEC製は1200円くらいするんですが,そもそも8085って使いますか,という話です。むしろ8080なんかの方がコレクターズアイテムなんじゃないのかと思います。
 うちのオーディオアナライザVP-7722Aが確か8085だったよなあ。補修部品ですかね。星2つ。

・スペーサ PLSP-M3L12-NJ-R-20P 110円
 M3の12mm,プラスチック製のスペーサとビスのセットです。これはこれで便利かも知れません。星4つ。


 ということで,合計5410円が3000円です。確かに予算限界に偽りなしなんでしょうが,いやはやなんとも本当の意味での福袋っぽいというか,なんというか・・・

 福袋って在庫処分の意味合いが強くて,手っ取り早く面倒な在庫が減っていく,売る側にとって気持ちのいい物です。特に今回の商品を見てみると,「まとめ売り大歓迎」と書かれてあって,在庫の大量があり数量割引の相談を受け付けているものが多いようです。特に320x240のLCDなんか,どう考えても売れそうにないのに大量の在庫を持っているようですし,しかも1100円と強気な値段から特別安く仕入れたわけでもないのでしょう。かつてのデジットらしくないですよねえ。

 そういう,仕入れた者からすると目障りなものがぱぱーっと減っていくんですから,本来の役目を果たす福袋らしい福袋と言えそうです。

 私にとってと言うより,普通に(あるいは無理に)使い物になりそうなものを並べてみると,

LED L-59SURKCGKW-20P 500円
抵抗 AMRR-1/2W-100KΩF-10P 440円
スイッチ M2022TNG03 110円
LED MD0657C-R-20P 660円
スイッチ B3W-4050-10P 300円
uPD8085AHC-2 500円
スペーサ PLSP-M3L12-NJ-R-20P 110円

合計2620円

 いやいや大赤字ですよ。しかもこれらは今でも普通に買えますからね。

 ということで,来年は買いません。

 

気象通報のおわり

 NHKのラジオ第2放送が来年2026年の3月末に廃止になることが決まったそうです。

 ラジオ第2は普段滅多に聞かないラジオの中でも,とりわけ聞く機会がないラジオで,私自身も廃止はやむを得ないかなと思うところがあります。

 驚くほど簡単な自作のラジオから出てくる声は,その電波の強力なNHKにほぼ限られ,さらに強力だったラジオ第2はゲルマラジオでも綺麗に受信出来ました。腕が上がって難しいラジオを作るようになればなるほど,ラジオ第2以外の放送局が増えていくという感じだったので,私のような子どもの頃からラジオを作ってきた人にとって,ラジオ第2というのは原体験というか故郷というか,そんなものじゃないでしょうか。

 さて,ラジオ第2は1931年に放送を開始したといいいますから,あと5年続けてくれていれば100周年というところだったのですが,中波ラジオの放送設備は規模も大きく維持もお金がかかりますので,民放はすでにAM放送をあきらめ,設備の軽いFM放送に移行しつつあります。ワイドFMという,わかったようなわからんキャッチで呼ばれているこのサービスですが,確かに音質もいいですし,実用面で言えばFMへの移行は悪い話ではないと思います。

 ただ,NHKだけは中波放送を続ける意向のようで,当分の間は小学生の夏休みの工作にゲルマラジオを作る事が出来そうです。(ただ,先日高速道路のトンネル内のラジオの再送信が廃止になるという話を見て,自動車のドライバーでさえもラジオを聞かなくなったのかと驚愕しました)

 ラジオ第2はもともと,すでに始まっていたラジオ放送から教育に関する放送を分離して立ち上げたもので,そういう経緯もあって現在も語学を中心とした番組が多いです。

 AM2波,FM1波という贅沢な媒体を維持し,様々な番組をもれなくカバーしていたNHKのラジオですが,リスナーの減少やラジオの役割の変化,そしてインターネットとスマートフォンの普及がとどめを刺すような形で,ラジオはとうとう削減に舵を切ったことになります。

 確かに,NHK-FMなどは,聞きたいと思う放送をやってないですもん。高音質という特徴を持つFMでは,放送の機材もエンジニアもスタジオも超一流。ライブ番組などは出演者も新人からベテランまで登場して頻繁に方法され,お金を出しても手に入らない音源が,それこそ垂れ流されていた時期が続いていました。なんと贅沢なことか。

 それが今や,トーク番組もばかりです。それだってインターネットラジオに移行していないだけましなのかもしれませんが,知らない音楽に出会うきっかけになったFM放送が,その役割を変えたのは,私は残念でなりません。

 こうして隙間の出来たFMに,ラジオ第2の番組の多くは移行する事になるそうです。語学番組がFMに移行するわけですが,これはこれで良いことかもしれません。発音は高音質で聴きたいですからね。

 そんななかで,移行されずに廃止されると言われている番組があります。1つは株式市況,もう1つは気象通報です。

 株式市況は1925年スタートしラジオ第2に移行して今日まで続く最長寿番組だそうで,すでに100年です。すごいなー。これは上場企業の株価を読み上げるだけの番組なわけですが,ネットでいつでも確認出来る株価を定時にラジオで放送する価値は確かに薄いように思いますし,同様の番組が他で放送されていることを考えると,そんなに悲観するようなことではないように思います。

 悲しいのはもう1つの,気象通報の廃止です。こちらは1928年に放送開始で,ラジオ第2に移行してから今日まで続く,これまた長寿番組です。聞いたことがないという人は実は少ないんじゃないかと思うのは,これ,天気図を手書きするための放送で,中学校の授業で聞かされたり書かされたりした経験のある人を以外に見聞きするからです。

 私もそうなのですが,私はもうちょっと濃い関係がありました。中学生の頃,電子工作(あわよくばパソコン,というかゲーム)がやりたくて入部した科学部で,まず最初にやらされたのが気象通報で天気図を書くことだったからです。

 お天気に全く興味がなく,天気図なんて新聞に出ているものをちょっと見る程度だった私が,いきなり白地図のような紙を渡され,お経のような声を聞き,理由もなく天気図を書けと突然言われたときの戸惑いを想像して頂きたいのですが,私以外の部員は何の疑問も持たずに,死んだ魚の目でその声を聞き,地図になにやら書き込んでいきました。

 雰囲気に飲まれた私も同じように,読み上げられた地名に風向,風速,天気,気圧,気温を書き込もうとするのですが,まずその地名がわかりません。石垣島?南大東島?ハバロフスク?アモイ?

 1つ分からなくなると,もうそこで置いていかれます。リアルタイム書き込みはそこで終了です。そうなると2回目,3回目の聞き直しを強要され,完成まで拘束され続けます。

 これが,部活の始まる16時からの,科学部の日課でした。

 ところが,中学生の柔軟性はすごいもんです。しばらくすると地名と場所は完璧に分かるようになり,読み上げの順番も覚えてしまうので,目と手が自然に次の地名に移動するようになります。

 とはいえ,天気がレアな「地吹雪」だったりすると,天気の記号がぱっと出てこずにリアルタイム書き込みから脱落することがありました。そんなとき,終わってから友人達と「いやー地吹雪はないわー」と文句を言い合うわけです。ああ,なんと不健全な中学生なことか!

 続いて船舶からの報告です。これは場所の指定を地名ではなく,緯度と経度で行います。当然毎日同じ場所からということはありません。これが始まる直前,皆にピリピリとした緊張が走ります。

 ここをなんとか切り抜けると,引き続き緊張を維持したまま漁業気象になるのですが,これは高気圧や低気圧の位置,前線の場所を読み上げていきます。聞き漏らさないようにゴリゴリと書き込んでいきます。

 そして最後の難関,等圧線です。等圧線は,その日の代表的な気圧の等圧線が通る緯度と経度を連続で読み上げていきます。素人はその緯度と経度に×印を付け,放送終了後に繋いで完成させるのですが,慣れてくるとリアルタイムに滑らかな等圧線を直接書くことが出来るようになっていきます。ここまできてようやく一人前。

 そして放送終了後の仕上げに,各地点の気圧と等圧線の関係から,他の気圧の等圧線を何本か滑らかに書いて完成となります。

 実のところ,私も半年ほどでここまですらすらと出来るようになっていました・・・

 出来るようになってしまうとこれがまた得意になるもので,あるとき理科の授業で天気図を気象通報から書く実習が行われたとき,同じクラスにいた私を含む3人の科学部員が,多くが脱落して行くのを尻目に,等圧線までリアルタイムで書いて行くのを見て,「すげー」と喝采を浴びたことを思い出します。

 そんな気象通報,中学三年間ずっと聞き続けていましたから,今でも親近感があります。娘にそんな話をしてもピンと来なかったようですが,中学生になり学校の授業で気象通報を聞かされて,ああこのことかと思ったらしく,私に「あれを聞いて直接地図に書き込めるなんておかしい」といってました。中学生の私に,将来そういう会話が自分の娘との間にあることを私は教えてあげたいです。

 もともとこの気象通報,天気図という画像情報を広範囲に確実に伝送するための唯一の方法でした。テレビもインターネットもなく,画像の伝送は新聞が最速だった時代において,新鮮な天気図を手に入れるには気象通報から天気図を書き起こすのが最も優れた方法だったのです。

 テレビが使える時代になっても,船舶で天気図を手に入れるのに気象通報は最善でした。テレビは遠距離で受信出来ませんし,受信出来ても詳しい天気図は出てきませんし,保存も出来ません。無線を使ったファックスは高価ですしいつも受信出来るとは限りません。一方で船舶の安全な航行には気象の情報は不可欠で,人の命がかかっているだけに,今日はまあいいや,というわけにはいきません。

 そこで気象通報です。毎日定時に確実に放送されますし,電波は中波のAMですから遠距離でも届きます。紙に書き起こした天気図は消えることはありません。じっくりこれからの天気の移り変わりを検討できます。

 いってみれば,天気図を書くために必要なパラメータを,あるフォーマットにエンコードしてシリアル通信で電波で送信し,受信者はデコードして元の天気図に戻すという作業を行うことで,画像伝送を行う仕組みだったわけです。

 そして私がやった訓練というのは,そのデコードをリアルタイムで行うだけの処理能力を身につける作業だったことになります。

 いってみれば特殊技能だったと思いますが,技術の進歩というのはそんな技能を陳腐化させていく歴史でもあります。スマートフォンがあればどこでも新鮮な天気図が手に入りますから,ここに至って気象通報の意味はなくなったといってよいでしょう。

 もちろん,すでに業務の無線では廃止されて久しいモールス信号による通信が,アマチュア無線では今になって主流になっていることを考えると,単に非合理的だからという理由だけで消えてなくなったりするわけではないのですが,趣味の話と業務の話はやっぱり別で,仕事の話は経済性が重要だと考えると,使う人が少なくなった気象通報を漫然とノスタルジーで続けるような話は,やっぱりないなあと思うのです。

 それともう1つ,これは当時の科学部の先生から聞いたんじゃないかと思うのですが,NHKのアナウンサーの教育にこの番組が使われると言う話でした。地名や数字をはっきりと,噛まずに正確に発音するだけではなく,聞き取りやすく,しかも20分という放送時間ぴったりに読み上げが終わるような速度でなければなりません。

 なので,アナウンサーの技術向上にもってこいだったらしいです。しかし,これも2016年頃に自動音声に切り替わってしまった事から,その役目をすでに終えていたことになります。

 
 そんな気象通報も,ラジオ第2放送の廃止と共に,終了の予定です。

 長く続いたなあと感心する一方で,さみしさというより,世代を超えた共通の話題がまた1つ減ることに,もったいないという気持ちがわいてきました。娘との共通の話題に間に合ったことは幸いなことでありました。

 最後の放送くらいは録音しておきましょうかね。

 

nanoKONTROL2を改造する

 nanoKONTROL2というガジェットを買いました。

 続にフィジカルコントローラという音楽制作のツールで,スライダやらツマミやらボタンが一杯ついている,物理的なコントローラです。

 ハードウェアをソフトで実現して統合した物がDAWのくせに,操作部分,つまり人間との接点はやっぱりハードウェアがよいという,なんだかおかしな話ではあるのですが,おもいおこせば1980年代,DX7を端緒としてボタンとLCDだけになったシンセサイザーが,その絶望的な音作りの面倒臭さゆえにスライダーをパラメータごとに備えた専用のプログラマーをオプションとして用意していたのと,同じようなお話だと思います。

 私もDAWを使うようになり,トラックパッドでのミキサーの操作に辛い肩凝りを誘発してしまい,フィジカルコントローラへの興味がこのところ出ていたのです。

 そこへ,microKEY Airに付属していたはずのバンドルソフトや音源のライセンスカードをなくしてしまい,探し回るよりもお金で解決するのが大人だろうと,同じコルグから出ていたnanoKONTROL2を買ったというわけです。

 でもこれ,10年ほど前に出た物がそのままのロングセラーですし,しかも当時の価格は5000円程度だったそうで,今の半額です。これだけ円安が進むとバンドルソフトの価格だけでも5000円を超えるだろうと思うので無理もないのですが,なんでも早めに買っておく方が得をするんだなと,物価高が本格的に庶民を襲う昨今の教訓にしないといけないところです。

 で,とりあえず手に入れたnanoKONTROL2ですが,これが1万円というのはちょっとどうかと思う安っぽさ。とりあえず便利になりそうですし,大きさも手頃で悪くはないのですが,これで満足かと言われればさすがに難しいでしょう。

 気に入らないのは大きく2つ。

 1つは,LEDの色,もう1つは今どきのmicroUSBであることです。

(1)左上の電源LEDが白なのは当時としては精一杯の贅沢だったのでしょうが,他のLEDが全赤というのは頂けません。せめて再生は緑にすることくらいできたんじゃないかと思います。

 そこで,フィジカルコントローラの標準色に交換を考えます。再生は緑,SOLOは黄色,MUTEはオレンジ,RECは赤とし,これ以外のLEDはオレンジで統一とします。

 幸いにも1608サイズの各色LEDが手持ちにあったので交換したのですが,黄色と緑が暗すぎて,光っているのかどうか分からない位です。オレンジもかろうじてというレベルで,赤に完全に負けています。

 そこで,LEDに入っている抵抗を下げました。もともと330Ωが入っていたのですが,これをとりあえず100Ωにします。するとオレンジはかなり明るくなって実用レベルになったのですが,黄色と緑が相変わらず厳しいです。

 ならばとこの抵抗を47Ωまで下げましたが,あまり明るさには違いが出ません。抵抗をパラ付けして23.5Ωまで下げましたが変化無しです。ダイアミックドライブですので元々抵抗は低かったのですが,さすがにこれくらい小さくしても明るさに変化がないとなると,電源電圧が3.3Vなので電流が頭打ちになるとか,そういう理由で意味がないことになりそうです。

 こうなってくると電流が少なくても明るいLEDにするのが対策で,緑色は純緑にしました。これだとさすがに明るく,赤色に負けないくらい光ります。

 しかし,黄色は高輝度タイプが手元にないので,このままとしました。白色に黄色の透明テープで対応することも考えましたが,1608の白色が全く手元にないのであきらめました。これは次回の課題です。


(2)microUSB

 個人的には嫌いじゃなく,microUSBよりはずっと気に入っていたminiUSBは,まさにこの時代の象徴であり,古くささの元凶でもあります。

 なにより,今どきminiUSBのケーブルなんて身近にはありません。ましてMacBookと直結するためのTypeCとminiUSBのケーブルなんて,探さないと入手さえ難しいでしょう。

 ならば,時代遅れのminiUSBをmicroUSBのコネクタに改装すれば解決します。

 ただ,基板のパターンまでコンパチなmicroUSBのコネクタは私の知る限りなく,当然手持ちもありません。なにより,microUSBはminiUSBに対し,オス側のサイズはそんなに変わらないのに,メス側のフットプリントがかなり小さい事が,製品の設計者にはありがたいわけです。

 私の部品箱を探すと,aitendoの福箱に入っていたmicroUSBコネクタが出てきました。これ,落とし込みタイプで,通常の表面実装の基板には使えませんし,当然アマチュアにも使い道がないのですが,私はこれを見てピンときました。

 miniUSBの代わりにこれをマウントし,配線は細い銅線で手配線するのです。手配線するなら基板に接した足よりは,基板からちょっと浮いている方がやりやすいわけで,まさに今回の作戦にはぴったりです。

 壊してしまう危険性もありましたが,最近涼しくなったこともあり,意を決して改造です。

 まず基板を壊さないようにminiUSBコネクタを外します。外れたら新しいmicroUSBコネクタの外側のスリープから出ている固定用の足を曲げて,基板に触れるくらいに調整します。

 この足の部分をminiUSBの固定用ランドにくっつけてハンダ付けします。位置を上手く調整して問題なく差し込めることもこの時確認します。

 終わったら,コネクタの端子と基板を配線します。5ピンのうち1本はIDですので,オープンかもしくはGNDですので,配線の必要はありません。オープンにしたままか,隣とくっつけてしまいます。

 案外上手くいったのでテストをすると,当然動作します。ケースに組み込んでも問題なくコネクタは刺さりますので,改造は成功です。

 これでnanoKONTROL2は,うちのMacBookとTypeC-microBのケーブルで直結出来るようになりました。

 miniUSB用の角穴がmicroUSBには大きすぎて不細工なのですが,便利さにはかないません。これですっきりしました。

 バンドルソフトもインストールし(使えそうな物はあまりなかったのですが),この件はこれで終了。環境の改善ばかりやってないで,いい加減に音楽を作らないといけません・・・

 ところで,これで気をよくした私は,他に残ったminiUSBの機器をmicroUSBに改造する計画を立てることにしました。この話は後日。

microKEY AirにMIDI OUT端子を増設する

 2年ほど前のことですが,Jupiter-Xmを弾いて憂さ晴らしをすることを続けていた時期がありました。

 とても楽しく弾いていたんですが,1つだけフラストレーションを感じたのが,鍵盤の音域の狭さでした。これほどの表現力を持つシンセサイザーが37鍵というのは厳しすぎる。せめてもう1オクターブ,49鍵なら文句はない(見た目も格好いいし)と常々思っていました。もしJupipter-Xmの派生モデルとして49鍵のモデルが出たら予約して買い換えます。

 まあ,そんな世の中にないものを期待して待ち続けるのもむなしいですから,当座49鍵のミニ鍵盤を外付けにしようと考えました。しかし,49鍵になるともう実質KORGのmicroKEYシリーズしか選択肢がありません。

 せっかくだからとワイヤレスMIDIを経験してみようと,microKEY Airを買ったのはいいのですが,結論からいうとJupiter-Xmには繋がってくれませんでした。

 BluetoothLEも,USBも,microKEY Airは「受け身」専用だからです。接続のためには,USBならHOSTが,BluetoothならSOURCEがいないと繋がりません。しかし,Jupiter-XmもmicroKEYもUSBはDEVICE,BluetootはSINK専用です。

 だーっ,もともとMIDIには主人も従者もなく平等でINとOUTを繋げば即動くのが利点だったのに,物理層がUSBやBluetoothになった途端に仕切るのはPCがやってくれるだろうと受け身になって,結局DEVICEやSINK機器だけが集まっては互いの顔を見合わせて途方に暮れることの,なんと多いことか!

 USBで繋がるMIDI機器がほとんどになったのですが,これもPCを核にしたシステムを前提としているからであり,鍵盤を音源を分離するというMIDIの最初の理念からは変質を遂げているのがわかります。もう,MIDIに期待される役割が変わってしまったということでしょうか。

 しかしですよ,せっかくハードウェアのシンセサイザーを鳴らすのに,わざわざPCを立ち上げて鍵盤を繋ぐなんて,そんなアホな話がありますかいな。

 と,憤りを強く感じた私が2年前に採った作戦が,Jupiter-XmにSOURCEになるBluetoothを装備することで,そのためにWIDI MasterというMIDI-Bluetooth変換器を買ったのでした。

 当時のの艦長日誌を見ると,これはこれで使いやすく,レイテンシも少ないとあります。便利だという事で使い続けることになるかと思えば,実は全然使っていません。

 というのも,他の機器との併用を考えると,もうなにがなにやらわからなくなってしまったからでした。microKEY Airを複数の機器とペアリングして使うと,以後はどの機器につながっているかわからない上に,選択的に接続機器を選ぶ手段もないのです。

 MIDIならケーブルを繋ぐだけなのに,ワイヤレスにすると繋いで音を出すだけでこんなに困るなんて,話になりません。WIDI Masterも設定にスマートフォンが必要だったりするのでとにかく面倒。ケーブルならINとOUTをさっと繋ぐだけなのに・・・

 ということで,microKEY AirもWIDI Masterも使うことはなくなりました。

 ですが今年,PRO-800を買ってから,事情が変わってきました。PRO-800から音を出すのに,音源を内蔵するJupiter-Xmを引っ張り出すのもおかしいですし,かといってPCを起動してmicroKEY Airと繋ぐのもバカバカしいです。私はただ,PRO-800で音を作りたいだけなのです。

 話は2年前と同じ道をたどります。USBホストとMIDIを変換するコンバーターを探してみると,さすがに2年の年月のおかげもあり,完成品も6000円弱で手に廃しそうですし,自作についてもRaspberryPiを使って簡単に作る事が出来そうです。

 しかし,私は2年前とは違う発想にたどり着きました。

 私がもしmicroKEY Airの設計者だったら,キットレガシーなMIDI信号を内部に持たせるだろう,なぜならデバッグやちょっとした実験に便利な上,その信号を用意することはとても簡単でコストもかからない・・・

 そこでさっさとmicroKEY Airを分解し,あちこちの波形を見てみました。するとMIDIの信号があっさり見つかりました。32usのタイミング,8ビットのシリアル。鍵盤を押したりベンダーを動かしたらバラバラと出てくる波形なので,間違いはないでしょう。

 ただ,振幅は3.3Vなので,このままではMIDI機器に繋ぐことは出来ません。5mAのカレントループであるMIDIインターフェースの物理層を作る必要があります。

 内蔵することを前提にチップ部品で物理層の回路を真面目に作り,これを介してバラックでPRO-800に繋いで実験してみると,あっさり音がなりました。やはりmicroKEY Airは内部にMIDI信号を宿しておりました。

 ここまでくると,microKEY AirにMIDI OUT端子を装備するための改造をきちんとやろうという気持ちになります。

 まず最初に端子をどこに出すかです。標準であるDINの5Pは取り付けられそうな場所がなく断念しました。3.5mmのジャックならなんとかなりそうです。幸いMIDIも正式に3.5mmや2.5mmのジャックによる接続も規格化されたので,ケーブルは新規に用意することになりますが,これで綺麗にまとめましょう。

 microKEY Airを分解し,左側のこの位置にジャックを取り付けました。

 20250929101249.jpg

 次に回路です。昨今,マイコンのポートの起動能力がそれなりにあるので,5mAのカレントループをマイコンのポートで直接実装することが一般的になっています。

 簡単で結構な方法なのですが,実は今回はMIDI OUTをBluetoothモジュールへの信号からもらう事になるので,ドライブ不足が心配です。そこで真面目にトランジスタでドライブすることにしました。

 教科書通りにオープンコレクタのトランジスタに電流を吸い込ませるわけですが,このトランジスタはmicroKEY Airの内部信号で直接駆動出来ません。と言うのも論理が反転しているからで,インバータが必要です。

 ここで,74HC04なんかを選んでしまうと,3.3Vで動かないのでアウトな訳ですが,手持ちのTC7S04Fは3Vから動くので問題なし。これと,やはり手持ちの汎用トランジスタである2SC2412で作る事にします。

 抵抗は供給側も吸い込み側も5V時代は220Ωでしたが,3.3Vではそれぞれ33Ωと10Ωです。低抵抗なので電力が心配ですが,5mAならチップ抵抗でもとりあえず問題ありません。(ただしショートを考慮すると0.5Wを見込まないといけないですから,正しい設計では御法度です)

 20250929101137.jpg

 上の写真が作った基板です。この大きさだと,ペダル用のジャックに貼り付けられるほどの大きさです。

20250929101139.jpg

 さて,信号ですが,以下の位置から取り出します。

20250929101138.jpg
 これを先程の基板に繋いで完成です。

 試しに3.5mmのTRSとDIN5Pの変換ケーブルを作って動作確認をしましたが,全く問題なし。49鍵のMIDI OUT付きミニ鍵盤が出来上がりました。見た目もPRO-800とマッチしています。

 ただ,本気で使うにはちょっと難ありで,microKEY Airの問題ではあるのですが,まず鍵盤の質が良くありません。指の腹の位置が支点から近く,ベロシティが調整しにくいのが致命的です。

 トランスポーズも専用ソフトからは出来るのですが,単体では出来ません。

 それでも,ちょっと音を出したい時,音を作りたいときには重宝するので,microKEY Airは以前よりもずっと活躍してくれそうです。


 ところで,ここまで出来るとちゃんとした3.5mmのMIDIケーブルが欲しいじゃないですか。ちょっと高いなと思いつつ,amazonで3.5mmのTRSとDIN5Pのオスのケーブルを900円ほどで買いました。

 ところがこれが全く動いてくれません。調べてみるとピン配置がデタラメで,全くMIDIとは違います。コネクタの配線を変更出来ないのでゴミになるところなのですが,どうせゴミならとDIN5Pのコネクタをカッターで分解し,配線を変更して使っています。

 ちょっと不細工ですが,大きくなったり太くなったりせず,普通に使えるようになったのでこのまま使い続けるつもりですが,それにしてもひどい話だと思います。ちゃんとMIDIケーブルと書いてあるんですよ,これ。

 

BOSSのMX-10を修理

 R100が動き出したのを確認し,ミキサー経由で使うことにしました。

 R100にはリバーブレベルの調整がありますので,単一の音源にかけるだけであれば,わざわざミキサーを使う必要はありません。しかしこの場合,原音も丸ごとサンプリングされてしまいますので,音質の劣化ははっきりわかるレベルです。

 特に豊かな低音を含むアナログシンセでは劣化が顕著で,出来たらリバーブを通さないおきたいわけです。

 そこでミキサーの登場な訳ですが,私がかつて使っていたヤマハのKM802は捨ててしまいましたし,未使用品をそのまま箱に入れてしまってあったBOSSのBX-8も廃棄。

 今手元にあるのはラインミキサーであるBOSSのMX-10だけです。これでもキーボード用のローカルミキサーには重宝していて,ハーフラックの手軽さから今も残してあるわけですが,10年ほど前に電解コンデンサの交換とOP-AMPの交換を行って以来使っていないので,ちゃんと動くかどうか怪しいところです。

 専用のACアダプタをなんとか探しだし,動かして見ました。とりあえず動いているようなのでR100に繋いでみたところ,どうもリバーブがかかりません。リターン端子からの入力はちゃんとミキシングされているようなので,どうもセンド入力に問題がありそうです。

 早速分解して確認しますが,目視では問題なし。波形の確認を行っても大丈夫なので,現場に戻すとこれがまたリバーブがかかりません。

 そんなことを2,3度やったところで我慢ならず,本格的な原因究明を始める事にしました。

 基板単体では問題なしでも,組み立てると問題が出るとか,ジャックをいじると音が出たり出なかったりするので,どうもジャックのハンダのクラックではないかと目途を立てて補修をします。

 でも,問題は完治せず。手で基板をゆがめたりしてストレスをかけたところ,どうも特定の部分をたわませると再現します。そのあたりのハンダ付けをやり直すと,ようやく症状が治まりました。

 この状態で組みたてて現場に戻しましたが,今のところ問題なし。しかし,当時の基板は片面のベークで,吸湿して信頼性も低いものです。外側は立派に作ってありますが,中身はこんなもん,というのもバブル期の機材の特徴かも知れません。そりゃ,今どきのガラエポの基板は信頼性抜群で長寿命ですよ。

 これで綺麗にリバーブもかかるようになりました。Matrix-1000もPRO-800も繋ぎっぱなしでOKですから,ちょっと音を出したい時にも便利です。

 ハーフラックのミキサーにハーフラックのリバーブです。当時はこれでも十分小さくまとまった物だったのですが,前回書いたように,今どき15000円のミキサーにリバーブが内蔵されているわけで,なんだかバカバカしくなってきました。

 とはいえ,ラックマウントのラインミキサーというジャンルはほぼ絶滅,ましてリバーブ内蔵で安価なものは皆無という状況ですので,MX-10にR100という組み合わせは,どれなりに理由があったりします。(R100ではなくSE-50やSE-70ならもっと良かったんでしょうけど)

 ただですね,実際にMatrix-1000にR100のリバーブをかけて以前のセッティングを再現してもみても,記憶とは違う音にしかならないんです。あれ,こんなに悪い音だったかな,そんな印象です。

 それでも,当時なら許されたレベルかも知れませんが,今の水準なら許されない音の悪さという感じです。オーディオインターフェースに繋ぐだけでDAWに取りこみ,高品位なリバーブをかけることが簡単な昨今,こんなことをやっていて何の意味があるのかと,寂しい気分になりました。

 

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