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RPi5とLakka5.0でうちのすべてのゲームを集めたマシンを

 RaspberryPi5がリリースされたのが昨年の秋,日本でもようやく普通に買えるようになってきました。

 私はRaspberryPiで高尚なことはなにもせず,Lakkaを入れてゲームマシンにすることで,その進化具合を味わうことにしていました。RPi3でガクガクしていたゲームがRPi4ではスムーズに動きゲームを堪能出来ると,そんな感じです。

 同じ話はGPiCaseにもあって,RPiZeroWだったものをRPiZero2Wに入れ換えて,あの小さな画面でアーケードゲームがグリグリ動く事に感激していました。

 そしてとうとうRPi5の登場です。数年前のノートPCくらいのパワーがあると言われているRPi5,どれくらい快適にゲームが出来るようになったのか楽しみにして,今年2月にいの一番に4GBモデルを購入しました。

 ところが,LakkaがRPi5にまだ対応していないことが発覚,安定版が出るまで待とうと放置していたら知らぬ間に正式版がLakka5.0と同時に4月末にリリースされていました。これはこのGWの仕事になるなと,ケースなどをぼちぼち集めて用意していました。

 果たしてGWがやってきて,死蔵していたRPi5をケースに組み込みテスト。問題ないことを確かめたら128GBのmicroSDにLakkaを入れて起動を試みますが,残念な事に起動しません。

 初回起動時にストレージを拡張する作業が入るのですが,どうもこれが走らないようです。詳しいことはわかりませんが,こういう問題はすぐに解決するだろうと数日待つも,全然解決しそうにありません。

 仕方がないのでnightly buildを試してみるとあら不思議,ちゃんと起動するではありませんか。この状態でアップデートをかけると正式な最新版になってくれるので,これで先に進めることにします。

 RPi4のLAKK4.3も起動して,ここからROMのデータをコピーします。RPi4もRPi5もGbitのEtherなので速くて助かります。

 ROMのコピーが終わったら早速評価に移ります。さっと確かめると,やはりパワーが上がっており,これまで苦しかったゲームがヌルヌル動き,もはや私が楽しんでいたゲームは全く問題なく遊べるようになっていました。

 ここでトラブル発生。画面が出なくなってしまいました。RPi5はRPi4と同じで,MicroHDMIで繋ぐのですが,私は変換コネクタを介してHDMIで繋いでいました。

 不思議なことに,RPi5は全く表示がでなくなりましたし,RPi4ではVGAでしか表示されなくなりました。このおかしな動作に半日悩んだのですが,もしかしてと変換コネクタを見ると,ピンが曲がっていました。

 こんなことってあるんですね,曲がったピンをピンセットで無理矢理伸ばして整形したところ,RPI5もRPI4も正常に表示されるようになりました。

 あわててamazonでMicroHDMIのケーブルを調達してこの問題は解決。

 さあこれでRPiのゲームマシン化はおしまいかなと思ったところで,ふと思ったのは,もしかしたらSegaSaturnやPlaystationも十分な速度で遊べるようになっているんじゃないかということです。

 手持ちのソフトをリッピングして試してみると,まったく問題なく遊べます。もう実機が壊れても構わないレベルです。

 さらに欲が出た私はDreamcastも試しましたが,こちらも全く問題なし。これで私の手持ちのSS,PS,DCのゲームが遊べるようになりました。素晴らしい。

 時間はかかりましたがリッピング,そして.chdに圧縮して転送,動作テストを行って,私は20年前に買った多くのゲームをまた遊ぶ機会に恵まれたのでした。

 さらにPlaystation2も遊びたいなと思って頑張りましたが,残念ながらこれは全く動作しません。起動すらしないのでもともとダメなのか,私の設定がまずいかなにかだと思います。全く動かないという報告を他でも見たので,ここは慌てないで時間が解決するのを待つことにしましょう。

 私がテストプレイと言いながら結構真面目にSegaSaturnのゲームで遊んでいると,中学生になったばかりの娘が興味深そうにやってきました。

 ダイナマイト刑事をみて,あまりの画像の悪さに文句の1つでも言うかなと思っていたらそうでもなく,ゲラゲラ笑ってみています。そう,ゲームの面白さというのが,グラフィックの良し悪しではないのです。

 あくまでグラフィックは脳への入力情報に過ぎず,我々が体験するゲームとはそこから保管されたイメージです。つまり,ゲームそのものがしっかり作られていて,見劣りするのがグラフィックだけならば,そんなものは人間の豊かな想像力によって,いかようにもなるということです。

 同じ事は,一世代前のゲームやパソコンに対して常に言われたことでした。モノクロのマシンに対しても,スプライトがないキャラクタベースのマシンに対しても,色数の少ないマシンに対しても,ポリゴンが出せないマシンに対しても・・・

 楽しさの本質は,画面の派手さではありません。楽しい物は時を超えて楽しいんだなとつくづく思いました。

 ぱずるだまって,こんなに難しかったかなあ・・・

CherryMX2Aに交換した結果

 キーボード(PCのやつです。楽器じゃないです。)に昔ほどのこだわりがなくなっている昨今ですが,毎日使う物ですから,やはり気持ちよく使いたいものです。

 今仕事用に使っているキーボードは上海問屋で買ったDN-915975という73キーのキーボードを改造したもので,もともとGateronの赤軸だったキースイッチを,元祖Cherryの赤軸に根性で交換した物です。

 改造したのが2020年の9月,今から3年半も前の話ですか・・・時間が経つのは早いものです。

 DN-915975というキーボード,当時5180円という破格値で売られていました。その後1500円ほど値上がりしているようですが,それにしても今では考えられないお値段です。

 ただ,今思えばGateronのキースイッチを持つキーボードの打ち心地は十分とは言えず,Cherryに交換してみて初めて,本物の良さを知る事になったわけです。

 配列も必要なキーが揃っていることも含めてですが,Cherryのキースイッチに交換したこのキーボードは,底打ちの時の音がカチャと大きい事以外は気に入って使っていて,会社においてあるRealForceよりも心地よいんじゃないかと思うこともあります。

でも,やっぱり音が問題です。自分でもこのカチャカチャという音はかなり耳障りで,ノイズキャンセリングヘッドフォンをしているとちょうどいいくらいです。

 自分でもこんなに気になるんだから,周りの人にはさぞや迷惑なことでしょう。

 なんとかしないとなあと思っていた所に,CherryMXの次世代品,CherryMX2Aが秋葉原で販売開始というニュースを目にしました。

 あのCherryMXの新製品です。気にならないわけはありません。見れば,ルブが最大のポイントみたいで,これまで自分でスイッチを分解して油を塗っていたマニアたちの苦労が,ようやく本家に伝わったということでしょう。

 スプリングの形状も変わったそうですし,精度も上がっているという話です。さらにズムーズな押し心地に高い信頼性と,試してみようと思うに十分です。

 そして,せっかく全数を交換するんですから,静音品を選んでみましょう。幸いお気に入りの赤軸には静音赤軸というバリエーションがあります。少し高いですが,これだと底を打ったときの音がかなり軽減されるそうです。(ただし噂ではステムがPOMではないらしいです)

 早速ヨドバシで注文。80個で8800円にポイント13%でした。73キーですので,70個では足りないんですよね。

 取り寄せという事で連休明けになるだろうと思っていたら,なんと数日で届いてしまいました。早速スイッチを見てみると,実にスムーズで期待が膨らみます。

 キースイッチの交換だけなら簡単で(簡単というわけではないんでしょうが,単純作業の繰り返しですので頭は使いません),すぐにも取りかかれる物なのですが,せっかくキースイッチを全部外すのですから,気になっていたキー配列の変更改造も計画しました。

 やりたいことは,スペースキーの左側にある無変換キーとその左にあるALTキーを交換するという物です。

 この変換/無変換キーは,私はCTRLキーに割り当てて,ショートカット用に使っています。MacでいうCMDキーなわけですが,これが一般の文字キーと同じ小さいサイズなことが気に入りませんでした。

 少し大きめだと,左手の親指が少々斜めになっても隣のキーに触れることもありません。親指の位置に自由度がないと,ショートカットキーが押しにくくて仕方がなかったのです。

 物理的なキーの入れ替えは大昔にもやっていて,PC-9801のキーボードで,Aキーの隣をCTRLだけにするという改造をやりました。この時はたまたまEWS-4800のキーボードも手に入り,ここから横長のCTRLキーのキートップを入手出来た事が大きいのですが,フレームを削り,基板にジャンパを飛ばして改造したキーボードが,実に使いやすくなったことを覚えています。

 ということで,物理的なキーの移動に抵抗のない私は,今回も改造を試みました。

 このDN-915975というキーボードは,アルミの天板がそのままフレームを兼ねています。キーを入れ換えるには穴を横方向に削り,スイッチをずらして固定する必要があります。そのためにはキースイッチを全部取り外し今が最適なタイミングです。面倒くさがっている場合じゃありません。

 まずはハンダ吸い取り機でLEDとキースイッチのハンダを吸い取ります。綺麗に吸い取れると基板だけを取り外す事が出来るので,基板が外れたらキースイッチをフレームから1つずつ外して行きます。

 フレームだけになったら無変換キーとALTキーの入れ替えを行う為に,寸法を出してヤスリで削ります。ALTキーの方が横に長いのですが,この2つを入れ換えただけですから,2つあわせて長さには変化はありません。

 削る作業は,柔らかいアルミですしヤスリを使って手でやっても良かったんですが,手間と労力と仕上がりの綺麗さから,ベルトサンダーを使うことにしました。

 2つの穴の左側を,右側のキーは2mmほど,左側のキーは1.5mほど削ります。実物をはめ込みながら慎重に手で削って位置を修正し,決まったところで1mmのアルミパイプを2本並べて右側の隙間を塞ぎ,接着します。

 我ながら上手く加工出来たところで,今後は基板です。スイッチの位置が変わるので基板はそのままでは使えません。まず4mmの大穴をそれぞれ左に広げて楕円にします。そうして位置が決まったら今度は新しいピンの位置に新しい穴をドリルで開けます。

 ここで失敗。続けてLEDの穴も開けないといけなかったんですがすっかり忘れてしまいました。後で気付いた時には,組み立てが終わってました・・・

 スイッチがおさまったら,他のスイッチも取り付け,基板をおいて一気にハンダ付けです。入れ換えたスイッチは穴を開けただけでハンダ付けは出来ませんから,そこはジャンパ線を使って配線します。

 で困ったのがLEDです。位置を交換したキーのLEDもずらす必要があることをすっかり忘れてしまいましたが,いろいろ考えて上側から1mmの取りつで足が通る穴を基板に開けることにしました。

 幸い,1本はこれまでのランドをそのまま使えそうなので,ハンダ付けによる位置の固定はできそうです。

 本当はFNキーとその左側のCTRLキーも入れ替えたかったのですが,ここはビスが通るため諦めました。しかし,FNキーも大きい方がよいので,となりのCTRLキーと並列に繋いで,どっちを押してもFNキーになるようにしておきました。

 そしてもう1つ,ずっと我慢していたことを解決しましょう。

 このキーボードは73キーと適度なキーが揃っているうれしいキーボードなんですが,標準で気に入らないことの1つにINSERTキーがないことがあります。

 INSERTキーなんか使わないという方も多いでしょうが,テキストの編集ではしばしば使いますし,アプリケーションによってはINSERTキーに機能を割り当てているケースもあります。私はこのキーをそれなりに使っていたので,FN+DELキーを押すことになれておらず,困っていました。

 一方で半角/全角キーは全く使わない(こんな変なキーがあるのはIBM互換機だけです)ので,それがINSERキーの場所にいることが許せずにいました。

 ただ,半角/全角キーはすでにESCキーとしてソフトウェアで割り当てを行っているので,半角/全角キーをINSERキーに割り当てることを,これまで断念してきました。

 しかし,物理的なキーの入れ替えをやると決めれば,これも解決しそうです。同様に使わないキーであるカナキーと半角/全角キーを物理的に入れ換え,カナキーにINSERキーをソフトウェアで割り当てるのです。

 こうすれば,DELキーの上という元の位置にINSERTキーが来ますし,カナキーは半角/全角キーとして,私の環境ではESCキーに割り当てられて機能することになります。

 この加工,なんでもないと思っていたのですが,実はそうでもなく,左右のキーを入れ換えるのと違って上下の段数も異なるキーの入れ替えなので,キーボードマトリクスのローとカラムの両方を入れ換える必要が出てくるのです。

 多くの場合,ローとカラムの両方が基板の片面に出てくることはなく,裏と表に配線されます。なので,基板をハンダ付けした今となっては,手が出せない場所のパターンをカットして再配線しないといけません,

 そこで,まずキースイッチの足のハンダを吸い取り,ここにビニルチューブを被せランドから絶縁,キースイッチの足に直接細い銅線をハンダ付けして再配線しました。

 テストも終わり,早速試し打ちです。

 おお,なんとスムースな打ち心地。まるでメンブレン式のキーボードのようなソフト感です。それいてストロークはしっかり確保されていて,さすがに静音だけあって底打ちの音もカチャンからポコ,という感じに調整されています。

 底を打つまでにキーが入るのも,メカスイッチの利点です。メンブレン式は底にぶち当たった時までキーが入ってくれませんから,ショートストロークのキーボードが主流になるのも頷けます。

 打ち心地に静音と,今回のキースイッチの交換は価値ある物になりました。いかにCherryとはいえ,油が塗布された部品の寿命や経年変化は気がかりですが,この心地よさが長く続いてくれることを願ってやみません。

 配列変更も快適そのもので,見た目のバランスの様さもようやく手に入りました。以前の赤軸の「かつーん」という底打ち感も懐かしいですが,とりあえず良かったよかった。これは癖になる打ち心地,REAL FORCEを越えたかも知れません。

 せっかくですからね,タイピングも楽しく心地よく,もっと触っていたと思うようなものに出会いたいものです。私のキーボードはすでに世の中に1つしかないオリジナルになってしまったわけで,そういう意味でも長く使いたいなあと思います。

DP-2000のメンテナンス

 私が長く愛用しているアナログディスクプレイヤーは,DENONのDP-2500です。

 DP-2500はDP-2000というターンテーブルとトーンアームをキャビネットに収めた完成品なのですが,私はトーンアームをグレースのGL-940に換装し,その後ようやくカートリッジの音の違いを堪能出来るくらいの性能に落ち着いてくれました。

 とはいえ,経年劣化からくる問題はまだすべて解決しておらず,今年の初め頃から最後の大修理を予定していました。

 ようやく暖かくなってきたこともあり,作業に取りかかったというわけです。

(1)インシュレータ

 DP-2500付属のインシュレータは,すでにゴムが劣化してグズグズになっていて,防振の役割をどころか,ダイレクトに振動を伝えてしまうようなひどい状態でしたし,高さも変わってしまったので水辺を出すのもおぼつかないという有様でした。

 まずはここから対策しないと思ってはいたのですが,レコードプレイヤー用のインシュレータというのは案外売られていないもので,どうしたものかと悩んでいました。

 どうもパナソニックのSL-1200MK3のインシュレータ(SFGC122-04Eという名将らしい)がそのまま使えそうだとわかり,手配を試みるもヨドバシあたりでは取り扱い終了でした。前回はここでくじけてしまったのですよ。(なんと1つ756円という破格値でした)

 今回はここから本気を出して,部品扱いで探してみると,

TGAX095
SL-1200G用
22490円(4個セット)

RKA0352-S
SL-1200GAE-S用
22150円(4個セット)

TGAX104
SL-1200GR用
15900円(4個セット)

TYL0296
SL-1200MK7用
9990円(4個セット)

 となりました。SFGC122-04EとTYL0296は基本的には同じ物でしょうから,3倍くらいに値上がりしていますね。とはいえ,もともとの値段が安すぎで,今の値段が妥当だとは思います。

 さて,どれも現行品ですので入手SOMOのは難しくないにせよ,値段がこれほど違うと悩む物です。私は結局SL-1200GR用のTGAX104を買いました。1つ4000円ですか・・・高いなあ。

 ところで,今はなきベスタクスのインシュレータも手に入るようです。しかし,DJ用ということで防振の特性が異なる可能性が高く,今回は見送りました。


(2)オイル

 DP-2000は言うまでもなくダイレクトドライブのターンテーブルで,基本的には注油は指示されていません。しかし,同じダイレクトドライブのターンテーブルであるSL-1000やSP-10では,定期的な注油が指示されているそうです。

 その指定オイルがSFW0010というもので,これはなんと今もヨドバシで買えます。880円です。安い!しかし,2022年の秋までは220円と,ゴミのような値段でした。

 これをDP-2000やDP-3000のメンテに使っている人も多いそうで,私もそろそろやってみようと手配しました。実はちょっとゴロが出ているように思うのです。

 注油には当然ターンテーブルの分解が必要です。ついでにコンデンサなども交換しておくことにしましょう。


 さて,(1)と(2)が揃ったところで(実際には暖かくなったところで),作業開始です。

 まずターンテーブルの分解。キャビネットからターンテーブルを外し,プラッタを外してひっくり返し,カバーを外します。

 中央部にDDモーターがありますので,本体から取り外さず,モーターのケースだけ取り外します。

 するとなかからローターが出てきます。これを慎重に抜いて,古いグリスを拭き取って軸受に注油します。いやもう,40年近いわけで,その間に一度も注油されていないんですから,動く方が不思議なくらいです。

 ところがここで大問題。なんと,軸受のステンレスボールが摩耗していました。それも犀利湯不可能なくらい,派手に削れていていて,スピンドル軸のお尻に入り込む部分では,円錐状に削れていました。グリスも固着していて,同じ場所ばかり擦れてしまったんだと思います。

 ゴロの原因はこれかも知れませんが,交換用のステンレスボールなど用意していません。とりあえず向きを変えて削れた部分がどこにも接触しないようにして組み立て直します。

 先に書くと,これでもきちんとサーボもかかって安定して回転してくれました。しかし,やっぱり交換したいじゃないですか。

 あいにくボールの直径を測るのを忘れてしまったのですが,そこは便利なamazoでステンレスボール詰め合わせセットを手配し,届いてから再度分解,交換しました。

 ボールの直径は実測で4mm,同じ直径のボールに難なく交換して作業終了です。

 次にコンデンサの交換です。ストロボスコープ用のコンデンサの劣化が早いので,これだけ交換することにしますが,取り外したコンデンサの容量を量ってみると2割ほど減っていました。回路が誤動作するような劣化ではないにせよ,ほっとくと早晩おかしくなるでしょう。交換して良かったです。

 後は劣化が進んだACコードを交換,さらに吊り下げられている電源トランスのゴムブッシュの劣化を補うために,シリコンゴムのリングをネジに通しておきました。

 再度組み立てますが,軸受を分解したので念のため,回転パルスを出すタメの磁気ヘッドの位置だしをやっておきます。

 無事に完成,テストを行いますが問題はありません。2時間ほど運転してからキャビネットに戻してセッティングです。この時例のインシュレータを交換します。

 さて,セッティングまで終わって試聴です。まず,インシュレータの効果は大きく,ラックに触った時に聞こえる振動が軽減されています。水平の調整も楽に出来ますし,ようやくまともになった気がします。

 続けてターンテーブルです。これもなかなかよくて,ゴロが減りました。回転ムラは以前から気にならない程度だったので,変化はありません。ゴロだけではなくS/Nが向上したのはすぐにわかるレベルで,これが本当のDP-2000の実力だったんだなあと思った次第です。

 もっと早くにやっておけば良かった。

 もしこれがダメだったら,新しいアナログプレイヤーを買うことを検討するつもりでした。買わずに済んだと言うよりも,捨てずに済んだ事がなによりうれしいですし,まだまだ私の中心的機材として活躍してくれそうです。

 

二度目のUPSの電池交換

 昨年11月,高校の時の友人達とオンライン飲み会をやっているときに,突然けたたましい電子音がなり始めました。友人達も「大丈夫か」と心配してくれたのですが,当の本人は酔いが回っていたこともあり,原因はおろか,どこで鳴っているのかもをなかなか特定出来ず,判明したのはオンライン飲み会が終わってからでした。

 発生源は,無停電電源のBX35XFVでした。電池の交換時期を知らせるアラームが鳴っていた,というのが原因でした。

 このUPS,そういえばかつて,確か正月だったか,同じような電池の交換時期の警告が出て交換したことがあったのですが,艦長日誌を調べてみるとなんとちょうど10年前,2013年の1月に交換をしていました。

 そこには2003年に購入したとあるので,前回の電離交換から10年,本体は実に20年も使っていることになります。いやー,20年ですよ,20年。

 今手元に20年前のものがありますか?ましてそれが現役だったりしますか?

 私が若い頃,20年前の物と言えばもう古くさくて使い物にならず,動いたとしても買い直した方が全然便利で安くつくというのが当たり前でした。色やデザイン,文字の形や商品名だって,一目で嫌になるくらい古くさく感じたものです。

 それがこのBX35XVFはどうです,現行の機種と見た目もそんなに変わらないじゃないですか。出来る事も変わりませんし,変わったのはお値段くらいのものです。

 こういうところでも,進歩のなかった日本を痛感するのです。ああ失われた30年。

 とりあえずブザー停止ボタンを押して警告音を止めて,同じボタンを長押しして手動テストを行ってみますが,警告は出ません。しかし次の警告に備えて新しい電池を要しておくことにしました。

 ところが交換用のBP50XFを探してみると,すでに廃番。どこにも売っていません。20年も前の本体ですから,すでに壊れたり置き換えられたりしているのが大半で,今さら交換用のバッテリーなどを用意するのはむしろ危険だったりするかもしれません。無理もないことです。

 しかし,あきらめが付かない私は,このサイズの小型シール鉛蓄電池を探して見ることにしました。自動車用の中国製バッテリーを売る会社のものがなかなか良い感じだったので手配したのですが,2つ必要だったことがわかり一旦キャンセル。3350円の電池が2つですので7000円ほど,これに処分のための回収必要まで考えるとお得とは言えない金額でした。

 さらに探してみると,現行機種用の交換用のバッテリーが見つかりました。経常や仕様は同じなのですが,どうもコネクタの形状が違うらしいです。12000円ほどもするので気にしてもいなかったのですが,あるサイトで9841円という特価を見つけてしまい,急いでこれが使えないかと検討を始めました。

 BP50XFで使っている電池は,規格としては6V7Ahの鉛シール蓄電池です。ユアサなんかではNP7-6と呼ばれているものになります。標準品なのでメーカーが違っていても大丈夫でしょうが,現在使っている物はパナソニックのものでした。

 さすがは日本製,10年も使えたんですからもう十分です。

 現行機種の交換用のバッテリーはBXB50Fというものですが,これも同じ仕様です。コネクタの違いは,旧品のケーブルごと入れ換えてしまえば問題ないはずで,一応オムロンが採用した電池ですし,廃電池の無料の引き取りサービスがあることを考慮すると,BXB50Fが9481円なら下位でしょう。

 果たして数日後に届いたBXB50Fは,大きさや電気的な仕様は全く同じ,話の通りコネクタだけが違っていましたが,あとはなにも変わりません。電池のメーカーは残念ながら中国のメーカーでしたが,それもまあオムロンのお眼鏡にかなっているのであれば,信じるに足るでしょう。

 実際の交換作業は次の警告が出てからと思っていたら12月末に警告がでました。この時も手動テストはパスしたのでそのまま使うことにしたのですが,さすがに今回も同じように警告が出てしまえば,もう諦めるしかないでしょう。

 さっさと電池を本体から外し,ケーブルを交換します。電池のターミナルに刺さっているだけのケーブルですから,交換などは簡単な作業です。

 電池の用意が出来たら本体にセット。こちらも問題なく終わって手動テストを行うとこれもパス。あっけなく作業は終わってしまいました。

 作業後,何気なく調べてみると現行品が新品で12000円ほどで買えたんですね。電池が10000万円ですから,2000円ちょっとで本体ごとの新品になるなら,その方が良かったかもしれません。

 そんなことを言っていても始まりません。すでに3回目の電池で運用は始まっています。本体も壊れる気配はありませんし,このまま使えるだけ使うことにしましょう。

 この電池も10年持つとうれしいのですが,そうするともう娘は成人しています。前回の交換では,アラームがお昼寝中の赤ちゃんの娘を起こしてしまいましたが,今回は小学生です。

 次は大人ですか・・・人の一生とはかくも短いものだなと,思います。

 

実に微妙なSEQTRAK

 毎年恒例のNAMM SHOWの足音が聞こえてくるこの時期になると,世界中の電子楽器メーカーから新製品が発表になります。ここ10年ほどは大きなメーカーではなく,小さなメーカーが発表する物にも面白いものがあり,油断なりません。

 そんな1月17日,日本が誇る総合楽器メーカーにして,電子楽器の最先端を走る,VOCALOIDの生みの親,ヤマハから,興味深い楽器が発表になりました。

 SEQTRAKです。

 姿形からはどんな楽器か想像できません。鍵盤はなく,ディスプレイもありません。光り物は存在をアピールせず,どちらかというとツマミ類が目立ち,それらがグレートオレンジというかわいらしい色に塗られた横長の筐体にならんでいます。

 お値段55000円。安くはないけど,高くもないという印象・・・

 なになに,直感的な操作でアイデアをすぐに形にするミュージックプロダクションスタジオ?よくわからん。

 こういう商品は何が出来るかを知るのはなかなか難しく,従ってスペックを見ていきます。とりあえずAWM2の128音ポリというのはわかった。4オペのFM温顔があることもわかった。で???

 パッと頭に浮かぶのはQYシリーズです。VHSカセット(といっても多くの方はわからんでしょうが)サイズにシンセサイザー,ドラムマシン,シーケンサーを統合して,いつでもどこでも電車の中でも音楽制作が可能なガジェットとして登場した初代QY-10を皮切りに,小型のオールインワン音楽制作マシンとしてよく使われたシリーズです。

 とはいうものの,MIDI機器を繋いで本気で音楽を作っている人やキーボードを自在に演奏出来る人は案外持っておらす,持っているのはギタリストなんかの非キーボーディストで,しかし結局彼らはQY-10の複雑な操作をマスターできずに,後輩に法外な値段で売りつけることが散見されたように思います。私の周りだけかも知れませんが。

 かくいう私もQY-10には興味を持ったものの,店頭で音を聴いて買うのをやめました。その後QYシリーズは何世代か出たようですが,その頃にはすっかり興味を失っており,気が付いたら新品を買うことは出来なくなっていたのです。

 そう思うとQYシリーズを買わなかったことが悔やまれてきます。実際,大げさなMacなりPCを立ち上げてケーブルを配線し,大きな鍵盤に向かい合って「やるぞーいっぱーつ」と音楽を作ることはなかなか面倒になっています。

 見ればSEQTRAKなるものは小さく,電池で動き,音もなかなか良さそうな感じです。しかも128音ポリですから,同時発音数のやりくりをしなくても済みそうです。

 予約開始は1月19日,発売は1月26日という事ですが,きっと初回は売り切れ必至でしょう。QYシリーズも迷っているうちに買い逃しているわけですから,ここは買って後悔するべきではないかと予約をし,あれよあれよという間に1月26日に品物が届いてしまいました。

 もちろん,購入(予約)までのマニュアルは目を通し,動画も見てはみましたが,やっぱりよく分かりません。私の疑問は主に2つ,シンセサイザーのトラックが2つ,FM音源を入れても3つしかないのにどうやって音楽をつくるんだという点と,パターンを16個しか並べることの出来ないシーケンサーでは窮屈過ぎて音楽なんか作れないだろうということでした。

 ついでにいうと,ベースとメロディをどうやって打ち込むのかもさっぱりです。

 でもまあ,BluetoothMIDIにも対応するし,USBもついているんだから,最悪MICRO KEY2 Airを繋いでスタジオ用最小セットとして練習に使えるかもなと,割と簡単に考えていました。

 届いたところで私は,途方に暮れてしまいました。

(1)このマシンはループ音楽を作るものだった

 なにを今さら,な話で恥ずかしいのですが,このマシンはループで音楽を作る繰り返し演奏マシンです。さらにいうと自動演奏を行うためのマシンではなく,バッキングを延々ループで演奏させ,プレイヤーはリアルタイムで音色を変化させたり並べるパターンを変更して「パフォーマンス」する道具です。

 なので,アイデアを形にといっても,そのアイデアが荘厳なオーケストレーションだったり,複雑なコードプログレッションだったり,100年に一度のメロディラインだったり(大げさですが閃いた瞬間は本当に100年に一度と勘違いするものです)すると,このマシンでは全然形に出来ません。


(2)実は何にも繋がらない

 少なくともV1.10では,BluetoothMIDIもWiFiもUSBも,外部のキーボードやシンセサイザーに繋がりません。あくまでPCやスマホの専用アプリと接続するためのものと割り切った方が良さそうな感じです。

 以前にも書きましたが,私はコルグのMICRO KEY2 Airを持っています。しかし,USBかBluetoothでしか繋がらないという制約が弱点となり,ほとんど使い物になっていません。(キーそのものも弾き心地が悪いですが)

 これがSEQTRAKで使えると便利だと思ったのですが残念ながらBletoothでもUSBでも接続出来ませんでした。

 ならばとMIDIとBluetoothMIDIを変換するコンバータをSEQTRAKに付けてみたのですが,あいにく電源供給の問題から機能せず,こちらもアウト。

 こういう時,レガシーなMIDIというのは繋げばとりあえず音が出るという汎用性があり,信頼出来るんですよね。

 結局,MacをハブにしてSEQTRAKとMICRO KEY2をそれぞれUSBで繋ぎ,ようやくSEQTRAKに鍵盤を繋ぐことが出来たのでした。

 ここで分かった事があるのですが,リズムトラックのMIDIチャネルがちょっと使いにくくて死にそうでした。

 SEQTRAKはトラックごとにチャネルを分けています。このルールで行けばKICKはCH1,SNAREはCH2と言う具合になるのもわかるのですが,伝統的にリズム楽器は同じチャネルでノートで鳴らし分けますから,本当にトラックごとに楽器を分けられてしまうと打ち込む気が失せてしまいます。

 出来ればチャネル10にリズムキットを組んでもらって,GM準拠の配列でノートに振り分けておいて欲しいです。アップデートに期待です。

 それからシンセパートです。こちらもトラックが2つしかないので2つのチャネルしか使えません。これだと実質2つの音色しか使えませんから,ベースとコードを割り当てたらもうメロディーを割り当てられません。これじゃーマルチ音源としても使い物にはならないです。128音ポリが泣きます。


(3)音は結構すごかった

 そのシンセパートですが,音の良さに正直驚きました。AWM2は音が薄くて私は気に入りませんでしたが,それはもう昔の話。クオリティも高いですし,波形編集のセンスも抜群で,使える音がバンバン入っています。ストリングスもブラスも素晴らしいですが,トランペットやバイオリン,ギターと言った単独の楽器がこれほど使える音で入っているとは思いませんでした。バンドを始めた高校生は迷わずヤマハの10万円クラスのシンセサイザーを買うのが良いと思います。

 それからFM音源です。4オペといえばOPNやOPMのイメージしか持っていなかったので,これほどしっかりしたいい音が出るとは思ってませんでした。すみません。

 というのも,おそらくですがエフェクトの品位が良いからだと思います。個人的に,ヤマハのエフェクターは昔から好きで,空間系のエフェクトが好みでした。それは今回のSEQTRAKでも変わらないと思います。

 これにミニ鍵盤を組み合わせて鞄に突っ込めば,持ち運びに困らない練習セットが完成するでしょう。音も抜けがいいのでアンサンブルでも負けないと思います。


(4)アプリは必須,でも重すぎ

 操作系が独特で,ヤマハの狙いはこんな操作系でもマニュアルを見ずにサクサク操作できて思い通りに使える事にあったのでしょうが,それはどだい無理な話で,何をやっているのかさっぱりわかりません。

 ボタンもツマミも多すぎるし,今どんな状態にあるのかもわかりません。LCDなどのディスプレイをあえて搭載しなかったのはシンプルさを追求したかったんだと思いますが,ではなぜもともとディスプレイを持たなかった電子楽器に,今は巨大なディスプレイが搭載されるようになったのかを,本家本元らしく考え直して欲しいと思います。

 で,そのディスプレイの代わりとなるのが,アプリです。私はMac版を使いましたが,もう重いのなんの。M1を搭載したmacBookAirなのでまだまだ現役だと思っていますが,それでこの重さはもう市場に出したらダメなレベルです。

 しかし,このアプリがないと効率が悪くてなにもする気が起きません。ないと困るのに使うと困るという最悪の状態は真っ先に解決されねばならないでしょう。

 なお,接続はBluetoothでもOKなのですが,データのやりとりにWiFiを使うので,結局WiFiの世話になることになります。面倒くさくて死にそうです。


(4)てことで

 自分で鍵盤を弾ける人にとっては苦行です。自分のやりたいことがさっと出来ない事へのフラストレーションは想像以上の苦しさで,なにゆえこんな窮屈な仕組みに従って自分の好きな音楽を作らねばならんのだと怒りさえ感じました。そもそもこれは制作なのか,演奏なのか?

 思うに,良かれと思って作った箱があまりにきっちりしすぎていて,そこからはみ出すようなことは全く出来ません。そういう制約を超えたところにハック魂がみなぎる物なんでしょうが,それってこの商品のコンセプトとしては完全にハズレです。

 私は結局,MacでDP11を立ち上げ,MICRO KEY2とSEQTRAKをUSBで繋いで,SEQTRAKの内蔵音源を楽しみ,そこから沸いたインスピレーションで音楽を作り始めました。結局時間切れで完成しなかったのですが,いったい私はこのマシンで何をやっているだろうと,なんだかバカバカしい気分になりました。

 いやね,16パターンしか並べる事の出来ないこの手のマシンだからこそ,出来る音楽があります。無限トラックかつ無限小節はあまりに制限がなさ過ぎて,手の付けようがないものです。

 だから音源には妥協せず,パターンとトラックに「繰り返し」に特化した制限を与えたSEQTRAKは一つの解だとは思いますし,私だって仕組みに従えば,自分一人では決して作る事のない種類の音楽を作ることが出来る事を,すでにSEQTRAKで実際に体験済みです。

 でも,これって,AメロがあってBメロがあってサビの部分でドドーンとストリングスで盛り上げて,みたいな全体の進行や構成を作り上げるという,一番の楽しみが失われているように思いません?

 マニュアルを見ていれば,キーやスケールを編集できるのはもちろんのこと,コードの構成音を自由に変更出来たりするので,実はかなり奥深い事まで可能です。

 しかし,シンセサイザー2トラックに16パターンという一番厳しい枠は絶対に越える事が出来ず,はっきりいって128音ポリも細かい編集機能も,全部オーバースペックじゃないかと思います。これ,本当に楽しいですか?

 しかも入力された音には強弱がつきません。MIDI経由なら大丈夫ですが,単体で出来ることは同じベロシティ,ジャストタイミングの無機質な音を出すだけです。それが個性となる音楽なら何も問題はありませんし,それはそれで楽しいでしょう。

 でも,やっぱりアイデアを形にするには,制限が厳しいように思います。

 小節数は120小節くらい,コードをそこに並べていく事の出来るモードが欲しいなあと思いますが,多分それはSEQTRAKのあり方を根本的に変えてしまうので,無理な注文でしょう。

 音の良さは抜群だと思うので,惜しいです。

 KORGのkaossilatorも結局イライラして終わったなあ。ああ,やっぱり,この買い物も失敗か・・・

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