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2007年06月の記事は以下のとおりです。

トロいかんといてくれ

  • 2007/06/25 17:37
  • カテゴリー:散財

ファイル 140-1.jpg

 私はフィギュアにはさっぱり詳しくないのですが,「リボルテックヤマグチ」シリーズについても「少々しってる」「店頭で見たことがある」という程度の知識しかありません。

 ただ,プロポーション抜群のカッコイイロボットの関節がガンガン動く,という点については,大したものだと見ていたわけですが,リアルロボット路線に一石を投じる作品が,「どこでもいっしょ」のトロの発売です。

 6月17日の発売で,私はその1ヶ月ほど前に偶然知ったのですが,最初の発表時に驚きを持って迎えられ,こんな物まで動かすのか,とため息が漏れたという話です。

 そんなことは私にとってはどうでもよくて,やはりトロですよトロ。

 トロのキャラクターグッズは多数出ていて,数十年後には日本の著作権法が改正されるのではないかと言われるほど有名なキャラクターになったトロですが,私もいい歳してトロは好きです。

 忘れもしません,最初のどこいつで,会社から深夜に帰宅し,ポケステをPSにつないで起動すると,トロはさよならと言い出しました。慌ててデータのセーブを試みますが,あいにくメモリーカードは満杯になっています。

 私は車に飛び乗り,隣町のツタヤに出向き,メモリーカードを探しますがあいにく売り切れ,さらにそこからもう2駅先のツタヤまで走って,ようやくメモリーカードを手に入れたのでした。あの時は必死でした・・・

 そんなトロも,PSPで本当の意味で「どこでもいっしょ」となりましたが,個人的にはポケステで遊ぶのが楽しかったなあと思うわけです。

 話を戻します。

 発売日に届くように予約してあったトロですが,なんだかパッケージを開けるのも惜しくて1週間ほどそのままにあいてありました。先日ようやくあけて,ちょっと触ってみたのですが,ゲームで見たトロのポーズがきちんと再現できるので,これはたまらんと思った次第です。

 特に,宅急便を受け取りに玄関に走るトロが好きで,これを再現してみると,なかなかいい感じになります。横から見ても破綻がないというのはうれしい限りです。

 ラチェット式の間接は素晴らしいと思いますが,それ以外の可動部分に渋いところがあって,ぽきっと折れてしまうのではないかと思うような箇所もありました。結果として折れてしまうことはなかったのですが,このあたり,なれた人には分かっていても,私のように初めて買う人にとってはよくわからんのです。ある意味での敷居の高さを感じました。

 不思議なことに,この手のおもちゃはすぐに飽きてしまい,邪魔になってしまうものなのですが,これはそんな風に思えません。ふと目をやれば,ここに置いておくかと思ってしまうのです。

 しかし,トロって,顔だけ見れば全然猫じゃないなあ・・・

宝探し

 実家も建て直しをしてそれなりの時間が経過しました。以前の家から運び出した荷物のうち,一度も開けたことがない箱もいくつか残っており,そろそろ中身を確認しないと,そういう箱が存在することすら忘れてしまいそうになったので,宝物探しか遺跡の発掘調査の気分で開けてみることにしました。

 最初に言っておくと大したものはなにも出てきておらず,ただ面白かったということだけでした。

・ハンドヘルドコンピュータのたぐい
 PC-8201,HC-20,PC-1600K専用のプリンタとフロッピーディスクドライブが出てきました。電源は入れていませんが,PC-8201はかなり程度が悪くなっており,本当に動くかどうか怪しいところもあります。
 PC-8201はB5サイズ,大型液晶にフルスペックのBASIC言語を搭載したパソコンで,単3電池4本で動作します。当然CMOSで作る必要がありますが,当時はZ80のCMOSは存在せず,唯一沖電気製の8085があったのみで,PC-8201が8085を使っていたのはそのせいです。
 RS-232Cを標準で持っているので,大学時代はシリアル端末として使っていたこともあります。今でも使えるはずですが,日本語が全く駄目ですので使い道が限られますね。
 PC-1600Kのオプションは,A4サイズの80桁カラープロッタプリンタPC-1600Pがまずあり,これの左下にポケットドライブという小型フロッピーが備わっています。このポケットドライブ,一見するとクイックディスクのように見えるのですが,ランダムアクセスが可能なので,一応フロッピーディスクみたいです。予備のメディアも全くないので,ついてきた1枚だけが頼りですね。
 HC-20は説明の必要もないくらい有名なハンドヘルドです。一度内蔵バッテリを交換してあるのですが,またダメになっていることでしょう。

・A-450のメインベルト
 私のエアチェックを支え続けたカセットデッキ,TEACのA-450。友人から譲ってもらって使い始めたときには製造後既に15年が経過していたのですが,フライホイールとモータをつなぐゴムベストが伸びてしまい,滑るようになりました。交換しようとTEACに相談したところ,100円かそこらで売ってくれるというので2本購入,1本は修理にすぐ使ったのですが,もう1本が行方不明になっていました。それが発掘されたという話です。ぱっと見たところ劣化もないので,安心しました。

・メタルテープ
 すでに世界中どこを探しても生産がされていないと言われるメタルカセットテープ。3.8mmの幅でで4トラック,4.8cm/secという低いテープ速度でハイファイには無理と言われたカセットテープが,音質という観点で棲み分けできていたオープンリールやエルカセット(こちらは棲み分けできていたか疑問ですが)を完全に駆逐したのは,メタルテープの登場があったからだと言われます。
 80年代後半に技術的頂点を極めたカセットデッキとメタルテープの組み合わせは圧倒的な音をたたき出しますが,いかんせんメタルテープが手に入らず,マニアの手元で余生を送る多くのカセットデッキはその性能を持て余している状態です。
 いきおいメタルテープの取引価格は上昇を続けており,高値で取引されているSuperMetalMasterやMA-XGなどがまとまって出てきたら一財産作れると言われているほどです。そして田舎にある個人経営の電気店に眠るデッドストックを求め,マニア達は明日も彷徨うのです。
 私も大量にカセットテープをストックしていたのですが,ほとんど使うことがなくなって以降,どこに新品をしまい込んだか忘れていました。
 発掘されたメタルテープは全部で100本近く。TDKのMA,MA-X,AIXAのAU-IVx,PA-Metal,MaxellのMXやMetal-UDが出てきました。ソニーが全然ないのは品質が悪く信用してなかったから全く買わなかったためです。
 特にAU-IVxなど,10本入りカートンがそのまま未開封になっていました。60分未満の短いテープはあまりなく,ほとんどが74分や80分などのテープです。
 先日,今手元にあるA&DのGX-Z9100EVにMAの組み合わせで録音してみましたが,その音の良さにちょっと驚きました。CDそのままとは言いませんが,比べてようやく分かるレベルという感じでしょうか。

・山盛りの半導体
 焼き海苔の缶に山盛り入っていた半導体を見たときには,その重さもあって正直引きました。死屍累々とはまさにこのこと・・・思い出してみると,実家を壊すとき,多くのパソコンやゲームの基板を処分するのに,半導体だけ外して取っておこうと試みたことがありました。
 しかし,4層スルーホールの基板から多ピンパッケージのLSIを外すのは至難の業。そこで庭でカセットコンロであぶって根こそぎ外すという暴挙に出たわけです。
 ガラスエポキシに火が移り,毒ガスにまみれながら何千個ものLSIを外したことを覚えています。やけどもしましたが,今なら異臭騒ぎで事情聴取されたでしょう。
 ざっと見ると,68000-10MHz,uPD7261,uPD3301,uPD72065,68B09,68B50,uPD7220,DRAM各種,YM2151,YM2203,MB8877,uPD70116,i8087というあたりです。
 PC-98RL,FM-77,そしてセガのSystem24を生け贄に捧げた記憶が蘇ります。

・ソノシートとレコード
 雑誌の付録によくついていたソノシートの大半は,Beepの読者であった弟のものではあるのですが,管理を一括しようということから,レコードプレイヤーの近くのレコード置き場にまとめてありました。
 ここが引っ越しの際に私の担当箇所になっており,中身を見ずにまとめてしまってあったことをすっかり忘れており,なにやら分厚い紙袋の中身を見て,その保存状態の良さにびっくりしました。
 あったソノシートは,Beepの付録,PIOの付録,RAMの別冊でムーグシンセサイザで演奏されたオーケストラのソノシートです。Beepのソノシートも,復刊時にCDになりましたから今時珍しいものではありません。
 ただ,ドーナツ盤が1つ出てきました。
 私が最初に買った(買ってもらった)ビートルズは,このシングルでした。80年代初期に売られていたオリジナルとは全く異なるシングルで,A面がYesterday,B面がI should have known betterという,謎のカップリングです。
 入っているバージョンもアルバムのそれと同じですのでレア度はゼロでしょうが,私の音楽の歩みがこの1枚からスタートしたことは確かであり,「人に歴史あり」と唸ってしまいました。

・YMOのビデオ
 「YMO伝説」というタイトルのビデオです。こんなの買ったかなぁと首をかしげたのですが,あまりにも記憶がないので調べてみると,1993年に発売になったビデオで散解コンサートのビデオだそうです。そういや恥ずかしい格好の人たちが粋がって鍵盤弾いている映像をかすかに覚えていますが,おそらくはこれでしょうね。
 DVDになっていないということで期待しましたが,カスみたいな値打ちしかないとわかり,燃やしてしまおうかと考えましたが,何をするかわからんことで知られるYMOフリークに背中を刺されることを恐れてやめました。

・自作のパソコンパワーアップ基板
 私が愛したX1turboは基本的には弟の所有物であり,優先権は弟にありましたし,改造などもってのほかということで,X1Fを中古で買い,これを改造して自らの鍛錬を行っていたのですが,その時自作したパワーアップキットがいろいろ出てきました。
 まずMIDIボード。Z80SIOとZ80CTCという贅沢仕様でMIDI機器と繋がる基板です。拡張スロットに入れます。Z80CTCはturboのアドレスにあわせたと思うので,CTCを使ったタイマ割り込みの恩恵にあずかることが出来ます。しかし,MMLでMIDIを扱えてもそれ程うれしくないことを知り,ほとんど使わずに終わりました。
 次はZ80DMA基板。Z80CPUを外し,ここにDMAとCPUを搭載したドータボードを差し込みます。Z80DMAは拡張スロットには取り付けできないのでこうするしかなかったのですが,当然turboと同じ使い方が出来ますので,Z80DMAというCPUをも黙らせる強力なICを使うという,まさにノーマルX1ユーザーの夢を叶える逸品でした。
 しかし,2HDドライブやHDDをサポートしないX1でDMAを使ってうれしいシーンはなく,,結局私も爆速スクロールをやっただけでした。
 あと,弟が格安で手に入れてきたPC-9801VM2のオプションVRAMの自作互換基板も出てきました。いやはや,こんなものはもうゴミ以下ですね。41464が4つだかついていて,128kByteのボードです。これで4096色中16色が使えるようになったのですが・・・

・5インチフロッピーディスクドライブ
 真っ先に壊れるフロッピードライブも,捨ててしまうに忍びず,取ってありました。FD-55BV,FD-1157C,FD-1157Dといったあたりが10台近く出てきました。動くのかどうか分かりませんが,これだけあれば80年代のパソコンの修理は安泰です。ところで,さすがに500円で買ってきたフルハイトの2DドライブYD-274は捨ててしまってました。

・フロッピーディスク
 そしてフロッピーディスクも大量に発掘。なんと5インチ2Dのノーブランド10枚入り未開封が発掘されました。いやー,今時の若者はノーブランドなど聞いたことも見たこともないじゃろうな。白い箱にはいっておるのじゃぞ。当たり外れが大きくてな,ワシぐらいになると箱を見ただけでどんな中身かわかるのじゃ。
 書き込み済みのものもいろいろ出てきて,Apple][のProDOS,FM-7用のOS-9やBASIC09,PC-8801用のCP/MやMS-FORTRANなど,8ビット全開でした。もちろん2D。
 さらに日立が開発し,5インチ2Dとの論理的互換性を持っていた3インチコンパクトフロッピー版X1のシステムディスク(CZ-8FB01)が出てきたりしました。
 未だに謎なのですが,Verbatimのもので,堅いジャケットで保護されて,シャッターで窓が閉じられている,3.5インチのような5インチフロッピーが出てきました。容量は9,3MByteと書かれていたように思うのですが,こんなもの調べても全然ひっかかりません。何が書いてあるんだろう・・・ソ連のスパイが持ち出したFBIとかCIAの最重要国家機密だったりしたらどうしようとか心配になるところです。

・PC-PR405用JIS第二水準漢字ROMボード
 PC-PR405という24ドットのプリンタを格安(9800円)で手に入れて,とりあえずX1turboを日本語ワープロとして使えるようになったのですが,このPC-PR405,第二水準が入っていません。
 NECの24ドットプリンタは伝統的に160dpiであったため,24ドットといいつつ22ドットくらいで文字を構成していましたから本質が低く,一見してNECのそれと分かるものでした。そこへいくとEPSONのVPシリーズなどはちゃんと180dpiで,非常に美しい文字を印字できたのですが,このPC-PR405は異端で,180dpiの熱転写プリンタでした。文字も綺麗で,当時の標準的なワープロと比べても遜色なしです。
 まあ,アホな高校生だった私は第二水準など使うわけもなく困ってなかったのですが,ある時どうしても旧字体が欲しくなり,仕方がないので外字として登録することにしたところ,デザインが思った以上に難しく,あまりの不格好さに悔しい思いをしたのです。
 しばらくして,Oh!MZの巻末に毎号広告を載せていたアイビット電子さんで9800円で処分されているのを見つけ,購入したのがこれなのですが,さすがに自力でデザインしたフォントに比べて格段に美しい印字が得られたときには軽い感激を覚えました。

・AppleKeyboard
 Macintosh用のキーボードです。といっても星の数ほど種類がありますから特定していきますが,ADB,標準キーボード,MacintoshSEの時代のものといえば分かるでしょうか。これが新品で2つ,1つは元箱入りで出てきました。あとADBのExtendedKeyboardIIが1つ。これも新品だったはずです。元箱入り。
 今となってはゴミにもならないんじゃないかと思われますが,フロッグデザインによる美しいデザインとお金のかかったメカニカルスイッチは今なお輝きを放っていました。ADBでなければ使うんですけどね。そういえばHDDなしのSE/30も1つ発掘されました・・・

・自作ワンボードマイコン
 ワンボードマイコンといいつつ,アルミのケースに入っているのですが,プリント基板を作ることから始めて自作したマイコンが出てきました。とはいえ,初歩のラジオに出ていた記事をそのまま作ったもので,作ったときにはなにも分からず,ただコピーをしただけのものです。
 その名をSR-05。今も時々名前をお見かけする松本悟先生の設計によるもので,Z80-1MHz,2kByteのSRAM。これだけ。モニタはもちろんBootloaderなどありませんので,スタックポインタの初期化を忘れるとまず暴走します。
 パラレルI/Fには8255が使われ,メモリへのアクセスはずらっとならんだトグルスイッチによりDMAで直接SRAMに書き込んでいきます。おかげさまで2進-10進-16進数の変換が縦横無尽に出来るようになり,まさに「指が覚えた2進数」という感じでした。それでも,2kByteというメモリ空間の砂漠のようなとてつもない広さに愕然とした覚えがあります。
 私は少し大きめのケースに電源と8255からのパラレル信号,そしてZ80のバスをそのまま出したコネクタを2つ用意して,拡張性に留意しました。8x8のLED表示器やカセットインターフェースなどを作りましたが,ソフトウェアが全く入っていないコンピュータだけに,ユーザーの知らないところで設定されたり用意されたりしたものが一切ないものでしたから,少しずつ確実に動かしていく実感のわくものでした。
 作ったときには確かになにも分かっていなかった私も,作ってから学んだことがあまりに多く,マイコンとは何か,メモリのアクセスはどうするのか,など,非常に根源的な事項からきちんと理解して積み上げたことは,まさに今の私の原点となっています。
 そういえば,バッテリバックアップ用の単5電池を交換するのを忘れました。液漏れしてるだろうなあ・・・


 とまあ,いろんなもんが出てきました。これまで存在を忘れていても誰も何も困らなかったので,おそらくこのまま処分されても気が付かないだろうと思われるものばかりですが,一応どこに何があったかを再確認したので,これからは覚えておこうと思うわけです。

 改めて思うのは,20年前の物でも,ゴミはゴミ以下にしかならん,という事でしょうか。なにに値打ちがで来るのかわからん世の中ではありますが,少なくとも私の持っているものは,現在の基準でも「くだらないもの」であることだけははっきりしました。

COOLPIX S6

  • 2007/06/20 16:55
  • カテゴリー:散財

 先週末,所用で実家に戻っていたのですが,それにあわせて母親にデジタルカメラを買ってあげることにしました。

 昨年に買ってあげた携帯電話は,本来の機能では余り利用されず,むしろ手軽に使える小型デジカメとして活躍しているようでして,その被写体は母が世話をしている庭の草木です。

 いくらか見せてもらったのですが,QVGAで圧縮率大に設定されていた関係で非常に画質が悪く,母はそれを自分の腕前の悪さと諦めていたようです。そもそもメール添付で誰かに写真を送りつけるようなことを始めた場合に,送る側も受け取った側もパケ死することを恐れた私が最初に設定しておいたのですが,そのことが母の記録を台無しにしてしまったと悔やみました。

 そういうことなら,と最高画質に設定したことで母は十分に満足していたようですが,そうはいってもオートフォーカスもないおまけ程度のカメラですから,記録を残すという観点で見たときに不十分な物であることは確かです。

 母に聞いてみると,ボタン1つで写真が撮れるという気軽さが大事であって,いくら画質が良くてもデジカメまでは使いこなせないからいらん,と話でした。まあ,母にとってはD2Hが「デジカメ」なので,あんなもんをプレゼントされたらかなわん,と警戒したのかも知れません。(しかし母はフルマニュアル一眼レフであるPENTAXのSPを使いこなしていた人ですから,絞りやシャッター速度の調整はもちろん,フォーカスも自分で楽々あわせていましたので,苦手意識は虚像であると考えるのが妥当です)

 ただ,いい写真が撮れた場合に写真屋さんでプリントしてもらうこともあるだろうし,他の人に見せることもあるでしょうから,やはり高画質なデジカメを使うことに超したことはありません。

 ただ,あまり高価だと母は恐縮してしまいますし,使いこなさねばと言うプレッシャーに潰されるので,安くてよいものを日頃から探していました。

 大きすぎないこと,画質が水準以上であること,設定項目が少なくボタンを押すだけで十分な撮影が可能なこと,マクロモードを持たず自動でマクロに切り替わってくれること,レスポンスが良いこと,液晶画面が大きいこと,格好がいいこと,欲を言えば質感も高く,持ち歩くことが楽しくなることを満たし,かつ価格は1万円台。

 涼しい顔をして見栄っ張りな母はメーカーにさりげなくこだわるので,カメラ専業メーカーの製品がベスト。いくら性能が良くてもカシオやソニーはダメです。かといってコダックなどは論外です。

 そんな条件で見つかるかいな,と思っていたのですが,結構ある物です。先日ニコンが直販サイトの1000円クーポンをくれたのですが,ついでに特価品を探してみると,COOLPIX S6というカメラが送料込み17800円。クーポンを使えば1000円引きで16800円です。数量限定というわけではないのですが,カラーがホワイトという直販限定の色なので,きっとたくさん作って余ってしまったんでしょう。これは安い。

 COOLPIX S6は2005年の秋に発売になったモデルで,デジカメとしてはかなり古く,型落ちもいいところです。しかしスペックは600万画素,35mm-105mmのズーム(生意気にEDニッコール!),屈折光学系でレンズが飛び出さず,非常に端整なデザインを身に纏っています。

 液晶は背面いっぱいと言っていいほど大きな3.0型,付属のクレイドルにのせるだけで充電が出来る手軽さ,ボタンを押すだけでとりあえず撮影の出来る簡単操作と,考えてみるとこれほど条件にぴったりなカメラもありません。

 S6は無線LANを内蔵していることが最大の売りですが,無線LANはおろかインターネット接続環境がない実家には無用の長物で,ここはもったいない思いましたが,無線LANを内蔵しないS5の在庫があったときには15000円ほどだったと言いますから,まあ3000円ほどの差で無線LANがついていると考えれば,悪い話ではないと考えて納得しました。確かにすぐに使うことはないでしょうが,役に立つこともあるかも知れません。

 マクロモードは自動では切り替わりませんが,考えてみるとそういう機種は非常に少ないので,ここにこだわっていては仕方がないと諦めました。

 ちょうど私が実家にいる間に届くように手配をしたところ,予定通り実家で受け取ることが出来ました。

 ちょっと使ってみたのですが,箱を開け,こぢんまりと収まっているその姿を見た瞬間に「おお」と軽い感動を覚えました。久々ですね,こういう感激というのは。

 手に取ると,思ったより小さく,しかし思ったより分厚い感じがします。ひんやりとした質感はかなりよくて,自然に丁寧に扱おうという気持ちになります。しかし左右にあるメッキがなされたプラスチックは非常に指紋がつきやすく,その汚れが目立ちます。

 母も,これはいいなと喜んでいる様子。「Nikon」のロゴに,おそらくキャパやダンカンが死と隣り合わせでファインダーをのぞき込んでいる姿を重ね,思いをはせているのでしょう。

 とここまでは思惑通りです。充電をして初期設定を確認,手持ちの1GBのSDカードをフォーマットし,テスト撮影をします。

 電源のON/OFFのレスポンスはお世辞にも良いとは思えず,特にOFFにするときの遅さは「あれ」ともう一度ボタンを押してしまうほどです。そのボタンも小さくて押しにくく,母も本当に押せたかどうかわからん,とぼやいていました。これではピューリッツァ賞など到底ねらえません。

 シャッターレスポンスは取り立てて良いわけでも悪いわけでもありませんが,AFがそんなに高速なわけではないので,一呼吸必要でしょう。ただこれはS6に限った話ではありませんから,人間様が歩み寄ることにします。

 非常にがっかりしたのは,すぐにストロボを使いたがるんですね。ISO感度は50がデフォルトで,オートではISO200まで増感されますが,それよりもストロボに頼ることを優先するので,光が差し込む日中の室内でも,問答無用でストロボが光ります。

 コンパクトカメラのストロボですから光が厳しく,撮影結果は点光源のギラギラが目立ち,十分に光が回っていない,がっかりなものを連発するのです。

 ストロボを発光禁止にすると期待通りの写真が撮れますが,ノイズが想像以上に多く,色もくすんでしまうので,これがこのカメラの実力なのでしょう。ストロボでごまかすというのは,基礎体力のなさを物語っています。

 発色は比較的派手で,素材としてより「撮って出し」のカメラです。その割にやや眠い画像には期待はずれな感じもしましたが,塗り絵のような色ではないし,不自然なシャープネスもかかっていないので,ニコンらしさはあると思います

 おそらく屋外ではいい結果が得られるのでしょうが,室内ではすぐにストロボが発光しますし,だからといってストロボを使わないとがっかりしてしまうので,どんなシーンでもこなせるわけではないんだなあと,ちょっとがっかりしました。

 使い方は簡単で,複雑な設定はありませんし,写真を見たり消したりする作業も直感的ですぐに飲み込めます。母も安心していたようですが,繰り返しますが母はフルマニュアル一眼レフを手足のように使いこなしていた人なのでだまされてはいけません。

 色が特別色のホワイトなのですが,文字の色と近いため,小さい文字で元々書かれていることと相まって,大変に見にくいです。私が読みにくいと感じるくらいですから,老眼の母にはほとんど見えないんではないかと思います。これはかなり深刻です。よく考えていただく必要があると思います。

 意外に驚いたのは動画性能です。VGAで30fpsといえば一昔前のビデオカメラ並です。確かにビデオカメラとして使うにはいろいろ問題がありますが,ちょっとした動画であれば十分すぎると感じました。

 カメラとしての作り込みはさすがにニコンで,それはD2シリーズなんかを見ても分かるのですが,電気周りは一歩遅れているなあというのが正直な感想です。D2シリーズもS6も同じ印象を持ってしまうわけですから,良くも悪くもニコンの傾向なんだと思います。

 実はこの話を世話になってる友人にしたところ,暗に自分も欲しいと要求されてしまったので,日頃の感謝の気持ちに応えるべく,もう1台買ってプレゼントしました。自分の手元にあるわけではありませんが,気になったことをすぐに試せる距離ですので,もう少し使ってみてから最終的な実力を判断したいと思いますが,画質はやや不満,それ以外はかなり満足というのが,現時点の評価です。

 そうなんです。特にデザインと質感はよいと思います。持ち歩くにはやや重いかなという気もしますが,薄いのでかさばらず,苦にならないと思います。撮影時にもレンズが飛び出さず,持ちやすいので,自分用に1つ欲しいと思ったほどです。

 使いこなしを思案する必要もなく,ボタン1つで撮れるカメラとしては十分なものを持っているわけですから,大事なことは撮影しようという気持ちを強く出来るかどうかです。ぱっと見て撮影意欲が失せてしまってはその段階でダメですし,使ってみよう,持ち歩いてみようと思わせる気持ちが持続できなければ,いい写真は残せません。

 その点で,S6は非常にありがたいカメラであると思います。母の行動範囲は狭く,いろいろなものを撮影するとは思えませんが,同じ表情を二度と見せることがない庭の草花を切り取って残すために楽しんで使ってくれることを,期待したいと思います。

フラットベッドスキャナを買う

  • 2007/06/11 16:46
  • カテゴリー:散財

 突然ですが,フラットベッドスキャナを買いました。CanoScanLiDE70という機種です。価格は8000円ちょっとです。

 フラットベッドスキャナは私にとって3代目になります。最初はNECのPC-IN503H,2代目はAppleのColorOneScannerだったと思います。スキャナは他に代わるものがないので,必要になると買うしかないものではあるのですが,使用頻度の低さと場所ふさぎであることにばかばかしさを感じ,もう二度と買わないと誓ってここまできました。

 複合機を買わずにいたことも意地のようなものがあったわけですが,場所という点と使用頻度という点で,ScanSnapまでは許せると,言い訳を考えて購入したのでした。

 しかし,ScanSnapやフィルムスキャナを買った今,今さらフラットベッドスキャナを買うのは気分的に許し難い物があります。便利だろうなとか考えたことは何度かありましたが,ずっと辛抱してきたのです。

 先日,ある書籍を分解せずにPDFにする必要が生じ,考え込んだのです。

 ScanSnapでPDFにすればそれが一番よいのですが,これだと書籍を分解することになり,廃棄しなければなりません。

 では,一度コピーを取ってからScanSnapで取り込めばうまくいきそうですが,私が所有しているコピー機(FC-310)では,200ページをコピーするのに約1時間かかり,コストも1枚あたり5円ほどかかります。それに,カラーはおろかグレイスケールを再現することが出来ないので,白黒2値で破綻するようなものはお手上げです。

 デジカメを使って取り込むことも考えました。D2HでB5を取り込むとちょうど300dpiくらいの解像度になります。レンズの性能を考えても十分でしたが,平面を出すためのガラス板の調達が面倒だったことと,表面の反射がどうしても取り切れないことが分かったため断念しました。

 調べてみると,安いスキャナは1万円未満です。悩むより買ってしまった方が幸せになれることは間違いありません。

 ということで,とにかく安くて文書の取り込みを目的にしたスキャナを探したところ,おあつらえ向きのものが見つかったのですが,それがCanoScanLiDE70でした。

 小さく薄く,軽く,立てておけることもメリットですし,実売9000円以下,USBバスパワードでACアダプタが必要なし,Macも対応という事なら,私のニーズにぴったりです。

 他にこの値段で買えるスキャナ物ないことから,思い切って買いました。

 届いてセッティングを始めたのですが,最初に躓きました。ドライバがインストール出来ないのです。

 インストーラを起動してインストールを始めても,途中で止まってしまいます。複数のユーティリティを個別にインストールしたのですが,肝心のドライバだけ途中で止まるのです。

 止まった場所がどこか分かりませんが,付属のドキュメントを見ると,アンインストールの際に削除するファイルは1つだけで,そのファイルは私のマシンにきちんと存在していています。

 それに,実際にスキャナを認識しているということは,とりあえずインストールは出来ていたということだろうと勝手に考えて先に進みます。

 いろいろな設定があるのですが,ScanSnapが400dpiだから,これも400dpiにするべきだと試してみると,画質は十分だったのですが速度があまりにも遅い。はっきり行って愕然としました。

 300dpiまで落とすと随分ましになります。試行錯誤の結果,白黒の300dpiが最速のようで,これ以下の解像度にしても速度の向上は見られません。

 スキャン速度も遅いですが,深刻なのは付属ソフトの遅さです。スキャンボタンを押してからスキャンが始まるまで7秒程かかります。スキャンが終わってから次のスキャンを始めるボタンが出てくるのに6秒ほど,ボタンを押してからスキャンが始まるまでまた7秒ほどかかります。

 スキャンが10秒ほどかかっているので,トータルで20秒以上。結局200ページで1時間半から2時間という時間が必要です。

 しかも,この待ち時間は簡単に長くなってしまい,この2倍ほどかかることもざらです。マシンをリブートすればまた短くなりますが,非常に面倒です。付属ソフトの出来は最悪だといってよいでしょう。ハングアップがないのが唯一の救いです。

 それでもコツコツをスキャンを行って見ましたが,遅いことを除けばおおむね満足です。安さ,小ささはスキャンにこだわりのない私にももったいないという気分がしませんし,その割にしっかりとした画質は期待以上のものがありました。

 裏移りの防止,画像をまっすぐにする機能など,PDFにするときには欲しい機能も用意されていて,さすがに文書のファイリングを目的としたスキャナをだなと思います。

 カラー画像の質も高く,ちょっとした用途なら十分にこなしてくれそうです。

 ただ,何度も言いますが,遅いことが本当に致命的。昔の機種に比べれば随分速いとは思いますが,写真のスキャンではなく文書のスキャンを目指しているなら,速度はこの2倍出てないとだめでしょう。ハードウェアの改良が無理でも,ソフトウェアは十分な水準に達していないと思います。

 それにしても,使い終わった後の,あの片付けにくさといったら,うんざりです。使わないときにこれほど邪魔になる周辺機器は,プリンタと双璧です。実物大の紙を相手にするから小型化は難しいのですが,それなら個人でこれらの機器を所有することは,やはり無理があるのかも知れません。

 CCD方式と違って,被写界深度の浅さから,現行を密着させないとダメというのが面倒という声もあるようですが,綺麗なスキャンを得るには原稿を密着させる必要があることを考えると,これで私は良いと思います。

 それにしても,8000円で買えてしまうことは驚きですね。そんなに数が出る商品でもないと思うのですが,安いことは大歓迎とはいえ,これを販売する価値や理由があるのかなあと,余計な心配をしてしまいます。

鈴蘭堂が消えた

 シャシーやケースで知られた鈴蘭堂が,廃業したようです。

 2004年にオリジナルケースの製造から撤退し,法人向けとラジオデパートの店舗の営業に縮小して存続していましたが,それも限界に達したということでしょう。

 数年前には一部に限って生産を再開していたようですし,2005年には定番シャシーのSLシリーズがタカチとの提携で復活し,秋葉原では在庫を持っているお店もそこそこあるようです。(かくいう私も買いました)

 これでとりあえず一安心と思っていたところに,廃業です。ホームページには5月10日に廃業という話が書かれていますが,小売りの店舗は4月に既に閉店となっていたようです。

 私が買ったSLシリーズのシャシーはタカチの段ボール箱に入っていましたし,通販で購入する場合はメーカー直送になるので,タカチから送られてくると言う話を聞きました。提携といいつつ,実際には生産委託だったのは確かでしょう。少しうれしいのは,タカチでの型番が「SRDSLシーズ」となっていて,頭に鈴蘭堂がオリジナルであることをさりげなく付けてくれてあることでしょうか。

 とりあえず,買い逃した物があったり,今後困るなあというようなことはなさそうなのですが,ここでも何度か書いたように,一人前になったら鈴蘭堂のケースに入れるというのが私の夢でしたので,一抹の寂しさは拭いきれません。

 鈴蘭堂のトップページにもありますが,実に60年間も堅実に仕事を続けても,こういう結末がやってくるんですね。私のような「とりあえず困らない」という人が増えてしまったことも理由の1つでしょうし,ひょっとしたら経営者の体調や,後継者の問題なんかもあったりするかも知れません。

 電子パーツの入手ルートの淘汰が進み,これからどうなっちゃうんだろうなあと心配になるのですが,まずはご苦労様でしたと,労をねぎらいたい気分です。

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