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2008年09月の記事は以下のとおりです。

PE-101Aを買いました

  • 2008/09/30 13:56
  • カテゴリー:散財

 最近のパイオニアはどうしたものかと,外側にいる私は非常に好印象を持っています。

 私にとってのパイオニアはスピーカーでも単品コンポでもなく,レーザーディスクとカーナビ,そしてミニコンポのメーカーで,いわゆるピュアオーディオからは遠い存在でした。

 いろいろ良くない噂も耳にしますが,それでもそれなりの価格のアンプやSACDプレイヤーを本腰を入れて作ったこと,割とまともなカセットデッキが最近まで売られていたこと,FMチューナ-がちゃんとラインナップされていることなど,かつてオーディオマニアだった人たちとこれからオーディオに入る人たちに,良質かつ広い入り口を用意してくれる,そんなありがたいメーカーになっています。

 SACDプレイヤーだって,100万円以上の超高級機以外はカス,という空気が強い中で,ヤマハとパイオニアの20万円弱の製品が一定の評価を受けている事実を考えると,やはり量産が得意な日本のオーディオメーカーが本気を出せば,この価格でこの内容のものが買えるのだと,我々が忘れていた80年代までの「常識」をふと思い出させてくれたりします。夢があっていいですね。

 パイオニアは元々,HI-Fiスピーカーでスタートしたメーカーですが,自作派のマニアにもスピーカーユニットを提供し続けた良心が基本的に生き続けているようで,彼ら自身もそうした歴史を「良い歴史」と捉えている節があるようです。

 今年の70周年を記念して,かつての名機「PE-101」が復刻,「PE-101A」として販売されることが決まったというニュースを聞いたのは8月の中頃でした。

 価格は1つ11800円と,10cmフルレンジとしてはなかなか高級です。自作派がガンガン作るためのユニットという感じではなさそうで,その辺はやはりアニバーサリーモデルなんだなあと思ったのですが,実は30年前のPE-101の価格もそれなりに高くて(5500円だったそうです),物価上昇を考慮すると今回の価格がべらぼうに高価であるとは言えないようです。

 それだけに変に妥協したりグレードアップして欲しくないところですが,当時の素材を使うなど,可能な限りの復刻を目指してくれているようで,そういう方針はありがたい話です。

 聞くところによると,パイオニアとしても普通の人には絶対に売れないこの手の商品を発売するのが久々で,全く数が読めないんで困っているんだということでしたが,やはり初回出荷分は完売の様子で,次は10月中旬になってしまうらしいです。

 ところが30年前とは違います。きちんとしたエンクロージャを作ることの出来る人は限られていますし,もっと手軽にPE-101Aの音を楽しみたいと考える人も多いでしょう。そこでパイオニアは,PE-101Aにあわせたエンクロージャの完成品を別売しました。

 1つ14000円ですが,これがなかなか高級感があり,「これを14000円で売ってしまえるというのはやはりメーカーはすごい」とため息をついた自作マニアがいるとかいないとか。

 さて,以前からスピーカの自作を考えていた私としては,PE-101Aという素晴らしい素材が手に入るこの機会を逃すのも惜しいと考えて,すぐに予約をしました。9月24日は手に入れていたのですが,肝心なエンクロージャをどうするか,現物を手に入れた時でも考えあぐねていたのです。

 パイオニアのホームページには,推奨エンクロージャの図面がいくつか出ています。バスレフやバックローデッドホーンという定番の中に,フロントローデッドホーンというちょっと見慣れないものが含まれています。

 見た目はあのアルテックのA7を小さくしたような感じのものですが,バスレフとの併用で低域を出そうとしているようです。高さも30cmほどとかわいらしい容姿で,置いておくだけでもさまになりそうな感じです。

 今や市販品でもほとんど目にすることがないフロントローデッドホーン,しかも30cm程のミニサイズで,ユニットはPE-101Aと来れば,もう自作以外に存在しません。これはやるしかない,と思って計画を練っていました。

 ただ,私は木材の加工が下手くそで,どうも精度を出すことが出来ません。工具類も木工用のものはほとんどありませんし,材料の入手も近所にホームセンターがないこともあって,手軽というわけにはいきません。

 また,確かにフロントローデッドホーンは効率を向上させ,低域を豊かにする力がありますが,高さ30cm程度の小型のものでどれほど効果があるのか,ちょっと疑問もわいてきます。結局ホーンは飾りでバスレフが支配的になるのであれば,良い素材と良い作りの完成品のエンクロージャが最適ということになるでしょう。

 それに自作だってそんなに安くはありません。板だけで2本分で15000円ほどもかかるでしょうか。工具や接着剤,塗料や端子などを買えば,2万円を越えるのは確かでしょう。

 見た目が悪い,精度が出ていないなどというのは,自作ならではの個性でもあるし,良いことであるとも思うのですが,加工精度の悪さがPE-101Aのポテンシャルを引き出せないのだとしたら,これはもったいない話です。自作をしたという満足感と,実際よりもいい音に聞こえるという心理的な効果を割り引くと,実は実用品としての自作には,それほど魅力がないのではないかと,そんな風に思ってきました。

 決め手になったのは,届いたPE-101Aが壊れていないか確認するのに,裸でならして見たときの音の良さです。箱に入れていませんから低音も全く出てこず,中音域にもおかしなクセがあるのですが,それでもボーカルがしっかり真ん中に浮かび上がってきます。このスピーカーの目指すところが分かった気がしたのですが,そのためにはおかしな自作のエンクロージャではなく,まずはメーカーが用意したものをきちんと使ってみようと,そう決心しました。

 どうせこういう事になるなら一緒に注文しておけばよかったのですが,すでに本日の時点で発送されたとの連絡を受けています。早いですね。

 最近のスピーカーはエッジを柔らかくし,ストロークを大きくした,いわゆるハイコンプライアンス型が主流です。口径が小さくともストロークが大きければ,多くの空気を動かすことが出来るという点でどちらも同じと見る事が出来るのだそうですが,小さい口径のスピーカーがしっかり低音を再生できているというのは,部屋の大きさに限りがある我々庶民にはありがたいことです。

 ところが,その結果として効率が下がってしまいます。効率が低いと,同じ電力を入れても音圧が上がりません。最近のスピーカーが真空管アンプで駆動しにくいのは,こういう事情もあるからですが,なるほど今から40年も50年も前の名機と呼ばれるスピーカーには,音圧レベルが100dBに達するものがあるのも納得です。

 また,ストロークの深さは,必ずしも入力電力に比例してくれません。だから大音量時に歪みが増え,破綻してしまう傾向があると言われます。大口径のスピーカーならこういうことは起こらないのですが,口径が大きい分だけ2次振動や3次振動が発生しやすくなりますし,高音が出にくくなるので2wayや3wayにしないと成立しません。

 PE-101Aというのは,基本設計が30年前のものだけに,この辺の無理をしていないようです。これが素直で整った音を出している理由だという人もいます。その代わり低域と高域の物足りなさ,レンジの狭さを嫌う人もいたりします。

 オーケストラのような壮大な音楽は,どうせ10cmのフルレンジではどうにもならないでしょうから,このスピーカーではボーカル,小さな編成のジャズを楽しむのが正しい使い方ではないかと思いますし,逆にそうした音楽が堪能できれば,私としては全く問題はありません。

 ということで,とにかく完成品のエンクロージャーが届くのを楽しみにしています。
 

読書灯で知ったLED照明の明るい未来

  • 2008/09/29 12:58
  • カテゴリー:散財

 私は本と本屋と図書館が好きで,毎日のように本屋に立ち寄り,ぐるっと一周するのが楽しいという人です。しかし,およそ読書が趣味,と言い切るほど高尚な本を読んでいるわけではない(そもそもこういう高尚な本が手に入りづらくなっているのもまた事実)ので,私をよく知る人たちだけが,私が本好きであることも知っているという感じでしょうか。

 もっぱら寝る前に活字を読んで眠りに就くというのが長年の私の生活パターンなのですが,部屋の照明は今ひとつ暗い上に,仰向けになって本を読むと影になってしまい,結局暗いままです。

 しかも,夏は暑い。天井から吊された蛍光灯は結構熱を出すものです。そこで,手元に置いておける読書灯が以前から欲しかったのですが,従来の蛍光灯や白熱灯ではそこそこ大きく,やっぱり熱がかなり出ることに抵抗がありました。LEDが照明器具として実用的になることを心待ちにしていたのです。

 そして,その時が2008年秋にやってきました。

 ツインバードの「LE-H222B」です。某サイトで紹介されていたのでご存じの方も多いと思いますが,まさにこれが私の考えていた読書灯にぴったり当てはまったのです。

 ただ,どうも人気商品のようで,在庫のあるお店が意外に少なく,私も入荷を1週間ほど待つことになりました。秋の読書シーズンに間に合って欲しいなと思っていましたが,9月初旬には手に入っていました。

 届いて現物を触っていると,畳に布団を敷いて寝る私の枕元に,どうやってこれを置くのかと,考え込んでしまいました。

 LE-H222Bはクランプでいろんなものに固定できます。挟んだものを傷つけないようにウレタンフォームも付いていて,よく考えられているなあと感心するのですが,いろいろ試した結果,頭上にある引き戸の端をクランプで挟むことにしました。軽いし小さいからこうした芸当も可能なんですね。

 照明が当たる角度もかなり自由度があるのですが,私が取り付けた向きではちょうど下向きに出来ず,逆向きに一周回してやる必要があったりします。これは少々面倒ですが,仕方がないです。

 あと,明るさの調整が2段階しかないのですが,明るいときと暗いときの落差が大きく,結局暗いときの明るさでは本を読むことは出来ません。ここで無段階で明るさを調整出来たりすると,さすがLEDだなあと思えたことでしょう。残念です。

 で,使ってみて1ヶ月,これはかなりよいです。レンズで集光してあるためにちょうど読書に適当な面積だけが明るく,他が明るくなる事もありません。十分すぎる明るさに加えて,発光色も電球色であるため,蛍光灯よりも見やすいという印象です。

 そして頭の真上にあるにもかかわらず,ほとんど熱くありません。消費電力が低いことも,電球を交換しなくてもよいことも,気が楽で結構なことです。

 電池で動く物もある中で,この商品はAC電源です。小型のACアダプタから電源が供給されていますが,本体とは直づけされているので,AC専用機と考える必要があります。しかし,電池で動く物は明るさが足りないですし,こうしてAC専用機になることでまぶしいくらいの明るさが確保され,しかも電池切れの心配もないというのは,私にとっては好都合です。

 この読書灯で読了したのが,1000ページほどある分厚い文庫本でした。暗いところで読書すると,疲れて読み進めることが難しく,結果的に目を悪くすることもあるのですが,さすがに読書灯を使えば疲れ知らずでどんどん先に進めます。

 まず読書灯のような用途からLEDが使われていくんだと思いますが,今回私はこの「第3の照明」を初めて日々の生活に取り込み,10年後,20年後の生活がより快適になっているであろうと想像することが出来ました。

 おそらくですが,この商品のヒットを受け,他の会社からもいろいろなタイプのものが出てくると思います。ACで動く物から選べばそんなに外すことはないと思いますが,値段も下がってくることが予想され,もう少しするといろいろ選ぶことも出来るでしょう。

 寝る前に5分でも10分でも本を読む習慣のある人は,その読書が快適になるように,1つLEDの読書灯を検討してみてはいかがでしょうか。

SB-400を買いました

  • 2008/09/12 13:10
  • カテゴリー:散財

 先週の土曜日,久しぶりに秋葉原に出かけ,次期真空管アンプの部品を買ってきました。大きなスケールの音が欲しいので,EL34プッシュプルで,50W+50Wを狙おうと思っています。

 で,秋葉原が億劫になっている私としては,せっかく意を決して行くんですから,なにか他に必要なものも買っておこうと考え,小型のストロボを買うことにしたのです。

 高校の頃から親しくしている友人がいよいよ(とうとう)結婚することになり,11月に招待されています。私を含め高校時代の友人4名で,今でもメールを回しているのですが,ここでちゃんとしたカメラを持っていくよ,と宣言した手前,あんまりちゃちな機材では申し訳ない気がして,D2Hを持っていくことに決めました。しかし問題はストロボです。

 社外品ですが,サンパックのPZ5000AF(ガイドナンバー54)を2年ほど前に中古で手に入れていますが,F5の世代のストロボですから,D2Hでは満足な調光が出来るとは思えません。最悪外部調光で使いこなせるとは思いますが,ニコンのストロボの調光は業界トップの実力と評価されていて,ニコンに限って言えば最新のストロボをボディと一緒に買うことがおすすめ,という話はよく耳にします。

 また,最近は特に複雑な制御を行う関係で,ストロボは純正に限る,というのも良く聞く話です。確かに,ストロボの撮影をしたいという理由でニコンを選ぶ人がいたりしますし,ニコンもかなり積極的にストロボ撮影の能力の高さをアピールしています。こんなメーカーも珍しいですね。

 ですが,やっぱり高いんです,純正は。それに持ち歩くには大きいです。SB-600でも単三4本ですから,電池だけでも重いしかさばります。

 そうすると社外品かなあと思っていたところへ,サンパックからRD2000というストロボがちょうど出たとのこと。小型でお値段も安く,ニコンの最新の調光方式i-TTLにも対応と,私の今のニーズにぴったりです。

 いろいろ考えてアキバのヨドバシカメラに向かったのですが,冷静に考えると純正でもSB-400が似たような値段であったはずです。やや大きいと思っていたのですが,実物を見ると想像よりも小さくて,好印象です。

 一気に分が悪くなったRD2000ですが,店頭には出ておらず,ガラスケースに在庫が2台ほど置かれているだけです。

 最初の店員さんに声をかけると,自分はニコンの人間なので,他社さんのことはわからんと,逃げようとします。それなら誰が知っているのか,とバトンタッチを期待したのですが,他の店員に聞いてくれとそのままピューと去っていきました。少し待ってみましたが,私から遠ざかってふらふらしています。逃がしてしまいました。

 ヘルパーさんだと思いますが,こういうのを売り場に出すのは,混み合った売り場では邪魔になるだけなんだけどな,と思いつつ,別の店員さんに声をかけます。

 なかなか気のよさそうな方だったのですが,事情を話すとSB-400を薦められました。やはりニコンなら純正品がよいですよ,と。RD2000が気になるというと,展示が出ていないので,在庫を出してみましょうか,という話になりました。

 実物を見せてもらうと,想像以上に大きいという印象を持ったことと,大した特徴もないものだとわかり,1000円安いだけで非純正品を買う理由が見あたらず,あっさりとSB-400にすることにしました。

 わざわざ箱から出してもらったことに感謝し,なかなか的確に商品のアドバイスをしてくれた店員さんに,(最初の人がひどかっただけに)非常に良い印象をもちました。プロですね。私の接客中に,近くに来た若手の店員のために,レジのバーコードリーダーをさりげなく彼の近くにさっと置いたあたり,なかなかよく気が付く人だと思いました。

 さて,家に帰って早速テストです。

 スピードライト(ニコンではストロボはスピードライトと言います。純正品を買ったわけですから,以後スピードライトと書きます)が小さくて,一方のD2Hは巨大なため,アンバランスなことこの上ないのですが,逆に言うとそれほどスピードライトを意識しなくて済むということでもあるので,なかなか好ましいことです。

 単三2本ですので軽いですし,電源スイッチしかない操作部は気分的にも楽です。

 撮影を始めてみますが,確かに調光は素晴らしい。白飛びもなく,黒くつぶれることもありません。色もさすがにホワイトバランスと連携するだけに自然です。

 ただ,シャッタースピードが上がりません。おかしい,普通はシンクロ速度で固定されるはずなのに・・・

 調べて見ると,D2Hの設定の問題らしいです。シンクロ速度の上限を下げてあったためで,ここを1/250にしておけば周りが明るい場合,D2Hの限界である1/250までシャッタースピードが上がってくれます。

 うーん,D2HはFPシンクロが可能な機種のはず。1/8000まで全速同調じゃなかったかなあと思って調べると,これはSB-900,800,600の機能で,SB-400にはないんだそうです。

 でもまあ,SB-600とは価格差もあるし,大きいので私は最初から論外でしたから,これはそれほど惜しくはありません。1/250まで同調することで十分と言えますし,スローシンクロや後幕シンクロにも完全に対応し,精度の高いi-TTLがなにも気にせず使えるというのはありがたいくらいです。

 もう1つ,SB-400は外部調光が出来ません。受光素子がなく,TTLでしか調光できないのですが,ディジタルカメラ用ですので,フィルム面の反射を測定するわけにもいかず,それでプリ発光を行う仕様です。

 つまり,すでにスピードライトはボディのマイコンと通信をし,あたかもボディの一部として動作することが前提になっているのですね。社外品だと精度が落ちるというのも,わかる話です。

 かくして,SB-400はうちではD2H以外には全く使えないスピードライトとして戦力に加わることになりましたが,その代わりD2Hとの組み合わせでは文句なしです。面白いほど調光が決まります。

 少し大きな部屋だとバウンズには光量が足りない可能性もありますが,普通の部屋なら十分でしょう。

 露出がはまれば,ぎょっとするような高画質を吐き出すこともあるD2Hですが,実はスピードライトを常用することで,より確実な写真が撮影できるようになるのではないかと,そんな風に思いました。

 邪魔にならないくせに,あるのとないのとでは雲泥の差があるSB-400。値段も安いので,内蔵スピードライトにいまいちな印象を持っている方は,一度試してみる価値があると思います。もちろんスピードライトが内蔵されていない機種を持っている方も,あまり見栄を張らずに,素直にその恩恵にあずかりましょう。

胃を悪くした顛末

 6月中旬,作ったカレーがあまりにおいしくて食べ過ぎたことをきっかけに,胃を悪くしてしまいました。

 私は胃は丈夫な方なのですが,2年ほど前から長期間,気分の悪さに悩まされることが起こるようになりました。

 大体1年に2から3回ほど,期間はざっと3ヶ月程度,喉のあたりで食べ物がつかえているような感じがして気分が悪く,食欲も出ません。

 油のものを食べるとその日のうちに下痢をし,アルコールも御法度です。

 今回で3度目なのですが,決まって3ヶ月すると症状が治まり,ウソのようにすっきりとして,楽になります。

 ただ,気分が悪い3ヶ月の間,本当に辛く,夜もぐっすり眠ることが出来ないこともあります。食べ物に制限を受けるだけではなく,日常的に気分が悪いことがあらゆる行動に制約を付けてしまうのです。

 3回目の今回,1ヶ月ちょっと経過した7月中旬に,諦めて病院に行くことにしました。この時私は,胃の病気を覚悟していました。しかし,私は人間ドックでもお医者さんから「こんな健康な人は見たことがない」と絶賛されるほど健康だった人です。こういう人に限ってややこしい病気に突然かかってあっさり死ぬんだよなー,などと思いながら,病院に向かいます。

 待っている間に検温をすると,37.5度。なるほどだるいはずです。私は健康と言われつつ,37度くらいの微熱が続き,その間体がだるくて仕方がないということがよくあります。もし今回の診察で,胃が炎症を起こしているのなら,この微熱を説明する有力な理由になるかも知れません。

 その日,消化器の専門の先生が外来を見る日になっていたのですが,看護師さんは,消化器の先生は混雑していて,今からだとお昼を過ぎる。別に他の先生でもいいよね,と言います。

 まぁ典型的な症状の私は,普通の内科の先生でも十分だろうと,okをしました。思えばこれが失敗だったわけですが・・・

 対面した先生は,私よりも若い女の先生でした。なかなかきりりとした先生なのですが,特に血圧を測るのでもなく,触診をするのでもなく,私に少し質問をして,それで終わりになりました。

 それがなかなか煮え切らない先生で,検査をするにも薬を出すにも,私に「どうしましょう」と結論を求めるのです。私は弱っていましたし,そもそも自分で判断出来れば医者など来ません。

 このままではなにも結論のでないままになると思った私は,「とにかく今気分が悪くて日常生活に支障をきたしているんです,それを取り除いてもらいたいのです」と,やっとの思いで彼女に話すと,少し彼女は態度変えて,薬を出しましょうということになりました。

 その時の診断は,逆流性食道炎もしくは十二指腸潰瘍,ということでした。出た薬は胃の動きを抑える薬と,胃酸を押さえる薬です。

 1週間ほど薬を続けましたが,全く改善しません。

 次に同じ先生に「さっぱりよくならない」と伝えると,それなら胃カメラをやりましょう,ということになりました。しかし予約は2週間先,しかも検査の結果を聞くのはお盆休みの関係で3週間先まで待たねばなりません。

 8月10日,生まれて初めて胃カメラを飲んだのですが,これがもう辛いのなんの。詳しいことは書きませんが,もう二度とやりたくないです。

 検査のあと,軽く結果について話をしてくださったのですが,意外なことにどこも悪くない,とのことでした。胃も食道も綺麗なもので,過去の潰瘍や炎症の後も全く見られないらしいのです。

 ならこの気分の悪さはなんだ,と聞くと,胃の動きの問題か,胃の周囲の臓器が悪いかのどっちかだね,と言われます。

 とりあえず,心身ともにダメージを受けた私は,それ以上の質問をする気もなく,帰ることにしました。

 翌週,検査結果を聞きにいつもの女の先生のところにいくと,「私は専門家ではないのでー,わかりません。なのでー,専門の先生にバトンタッチしますー。」とあっさり言われてしまいました。

 時間と費用の無駄でした。苦痛と不便な日常生活もしなくてよかったのかも知れません。でも,これが日本の医療の現実なんだなあと,しみじみ思いました。

 今度の先生は,なんと胃カメラの担当の先生でした。薬は効いてますか,と聞かれたので,正直楽になったと思ったことはありませんと答えると,ぶっちゃけ効いてないわけね,と笑って言います。

 血圧や触診を一通りやって,実は以前より随文楽になったのです,というと,直ってしまったかあ,と少し残念そうです。

 今回だそうと思っていた薬は漢方薬なんだけどね,どうしますか,というので,また悪くなるかも知れませんから,飲みますと答えました。

 ただし,2週間ほど続けてようやく効き目が出てくる薬なので,途中でやめるというのはなしよ,と釘を刺されましたが,いい具合に力の抜けた,専門家としての余裕を感じさせる先生でした。

 そして現在,すっかりよくなってしまいました。念のためとあと1ヶ月分の薬をもらっているのですが,薬を飲まなくなるとぶり返してしまう可能性を否定できないので,しばらくは飲み続けておくことにしました。

 先生曰く,おそらく胃の動きが悪いんでしょう,胃は綺麗なので何を食べても大丈夫だけども,一度に食べる量を少なめにすることが1つ,一般論としてアルコールや辛いものなど胃の負担になるようなものは避けるて下さい,とのことでした。

 良くなって毎度思うのですが,おいしく食べられること,普段を快適に過ごせることが,どれほど幸せなことか。やはり暴飲暴食を慎むこと,これに限ると思いました。

一流のJazzをご家庭で

 2008年8月29日から31日まで,好例の「東京Jazz2008」が有楽町で行われました。今年もなかなか面白そうで,特に最終日の夜のFourplayのライブは見たかったなあと思ったりしています。

 今年も30日の13時から22時まで,9時間連続の生中継がFM放送で行われます。毎年東京Jazzはテレビでも放送されるのですが,生中継には「まさに同じ時刻にやっている」という強烈な一体感があって,そこがたまらない魅力です。

 FMアンテナを用意したり,FMチューナーを調整したりと,この日のために仕込みをしていた私は,朝から最終確認を続けておりました。

 しかし,どうも受信状態がよくありません。マルチパスが原因と思われる歪みは耳障りなほどありますし,ピーというノイズも出ています。

 アンテナの向きを調整していたのですが,なかなか解決しません。これはまずいなと思っていたのですが,アンテナを真上に向けるという荒技が一番綺麗に聞こえるとわかり,専門家が見れば全く理解できない方向に,無理に取り付けました。

 それでもノイズが多くて,果たしてこれで録音しておくだけのクオリティになるかどうか,疑問が残ります。

 今回,録音はiBookG4ではなくて,MacBookProです。MacBookProでは,SPDIFのディジタル入出力が標準で用意されているので,DATのA-Dコンバータでディジタルに変換された後のデータを取り込むのに,USB経由で接続する必要もありません。

 それで,今年はフランスとの国交が始まって150周年なのだそうで,フレンチジャズが大きく取り扱われていました。私はフレンチジャズにまで手を伸ばすほどジャズに明るい人でもなく,どっちかというとその独特の雰囲気に抵抗がある人でもあるわけですが,有楽町の国際フォーラムの野外特設ステージでは,そのフレンチジャズを延々やっていたようです。それがホールでのライブの合間に放送されて,なんとなく一体感がないなあという印象が残りました。

 特に楽しみにしていたアーティストがいたわけではなかったのですが,やはり圧巻はNHK交響楽団とハンク・ジョーンズ,そしてロン・カーターという夢の競演です。Over the RainbowやPogy and Bethといったわかりやすい演目で,そこが物足りないような気が最初はしたのですが,そこは超一流の仕事です。驚いたのはNHK交響楽団の圧倒的なうまさでしょう。

 普通,こうした甘い曲をオーケストラが演奏すると,ばらばらとまとまりのない,いかにも大人数でやってます,という感じがジャズの対極にあったりして緊張感に欠け,つまらないと思うものなのですが,NHK交響楽団はフルオーケストラにも関わらず,ぴしっと音が揃っていて緊張感が漂い,それはもう本当にジャズなのです。

 これにはさすがの私も驚きました。

 インタビューでは,NHK交響楽団の方が,ハンク・ジョーンズとロン・カーターのお二人は,ジャンルは違っても我々にとっては憧れの存在であり,その方と競演できるということがどれほどすばらしいかと,思っているのですとおっしゃっていました。
このコメントの格好良さが,演奏のレベルの高さを証明していたように思います。
 
 オーケストラの演奏家が,あるいはジャズメンがみんなそうだとは言いませんが,ジャンルによらず,尊敬と憧れを持つ事の出来る公平さこそ一流の証であると,そんな風に感じました。

 あれから1週間,まだ編集をしてないのですが,早めにしたいと思います。そういえば10月にはテレビでも放送するらしいので,楽しみです。

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