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2012年10月の記事は以下のとおりです。

ドリル?サンダー?ジグソー?丸鋸?

  • 2012/10/31 15:56
  • カテゴリー:散財

 男の子は基本的に道具マニアです。子供の頃に憧れた道具は,大人になってある程度の経済力が手に入ると,ついついそうした物を買っては悦に入ってしまいます。

 道具という言葉の範疇には,のこぎりやドリルのような工具は当然として,テスターやオシロスコープのような測定器,カメラやナイフといった趣味性の強い物,腕時計なんかの宝飾品としての機能を持つものも含まれると思います。

 コンピュータは計算や記憶の道具であることに誰も疑問を持たないでしょうし,携帯電話は物理的距離を超えて意思疎通を図る道具です。

 さらに極論すれば自動車も航空機もそうですし,特殊車両だってそうでしょう。戦車やミサイルなんかの兵器も含まれると思いますが,これらはさすがに個人所有は不可能ですから,まあ除外しましょうか。

 私も道具は好きで,なんでかなあとつくづく考えると,道具によって自分に出来る事が増える事の心地よさと,道具としての機能を高めるためにちりばめられた知恵と工夫にぽんと膝を打つ,あの感覚がたまらないからだと思います。

 道具は,自分の能力を拡大するものです。シロスコープは電子の動きをつかまえる新しい視覚ですし,電動工具は力と持久力を飛躍的に高める新しい筋肉です。コンピュータは単純な計算を膨大な回数の繰り返しで正確にこなし,かつ膨大な記憶力を持つ新しい脳ですし,携帯電話は距離に影響を受けないゼロの新しい耳と口です。

 これらは体の中に埋め込まれれば「サイボーグ」を構成するわけですが,今の我々はすでにサイボーグになることと同じくらい,人間本来の能力をはるかに超える存在に発達したと言えるかも知れません。

 話が逸れますが,ならばサイボーグに対する畏敬の念の源泉は,おそらくサイボーグに「なってしまう」ことによる,非可逆な身体的変化とそれに伴うリスクの大きさを越えてまで手に入れるという,その覚悟に対する憧れにあるのではないでしょうか。

 話が大きくなりすぎました。

 自分に出来る事が増えるだけではなく,綺麗に出来る,素早く出来る,という実用性が拡大する事も道具の素晴らしさです。生まれて初めて1mmの鉄の板に穴を開けねばならないとき,なにも持っていなければ穴を開けることすら出来ずに終わったでしょう。

 私の場合は偶然家にあった木工用ドリルビットとハンドドリルで,なんとか穴を開けることができましたが,1つの穴に10分以上もかかり,しかもドリルビットは使い物にならなくなりました。穴の仕上がりも汚いものでした。

 これが,電動のドリルと鉄鋼用のドリルビットを手に入れる事で,わずか数秒で穴を開け,しかも仕上がりは綺麗になりました。道具が自分の能力を高めてくれた瞬間です。

 もちろん,効き目の大きな道具ほどリスクも大きく,危険な場合もしばしばです。私が最初に手に入れた電動ドリルはAC100Vで動作する強力なもので,速度調整も出来ない安物でした。おかげで指をどれほどケガしたかわかりません。ばっくり割れた大きな切れ目から血がドバドバ出る時の,ちっとも痛くないのに頭の中が真っ白になるあの感覚は今でもゾッとします。

 それでも,高校生の時にようやく念願かなって手に入れたリョービのMD-10という電動ドリルには随分助けてもらいました。5980円だったように思います。

 やがてAC100Vは強烈過ぎる上,電源コードの煩わしさもあって,安いコードレスドリルを買ったのですが,確か7.2VのNi-Cd電池が内蔵された非力な安物でした。電動ドライバとしては十分だったのですが,ドリルとしてはパワーも足りず,電池も早く切れて仕事になりません。充電は何時間もかかって,思いつきで作業が出来ないもどかしさもありましたし,なによりチャックの精度が低くて,センターがぶれるのが困った奴でした。

 2005年の夏でしたか,近所の東急ハンズが閉店するというので処分価格で出ていたそれなりにちゃんとした電動ドリルをようやく買ったのですが,台湾製のノーブランド品です。取り外し可能な12VのNi-Cd電池を使ったもので,60分で充電可能な急速充電器が付属していて,思いつきの作業にも使えました。

 パワーもそこそこありますし,精度も安い割には十分で,これも随分助けてもらったのですが,2年ほど前に変速ギアのレバーが壊れてしまい,ギアが外れやすくなりました。使っていると突然ギアが抜けることがあるくらいで,別に使えなくなったわけではないのですが,大きなトルクのかかるハンドツールですので,怖いなと思いながら使っていました。

 買い換えないといけないなあと思っていたのですが,先日目に付いた電動工具に,私は「これだ!」と確信し,数秒以内にポチっていました。

 ブラックアンドデッカーの,multievoです。

 このmultievo,みんなが夢見た,アタッチメント方式の電動工具です。ドリルになったりジグソーになったり,サンダーになったりするのです。

 それぞれの機能に最適化された専用工具はさすがに使いやすいのですが,それなりの値段がしますし,滅多に使わない工具だったりすると邪魔になるものです。私は100Vで動くサンダーを10年前に買いましたが,今までに一度も使ったことがありません・・・

 しかし,合体ロボットで育った子供は,大人になる過程でアタッチメントや合体は,結局専用機に負けるという事実を学ぶことになります。いかに工夫をしようと,便利さと引き替えに,本来の機能を犠牲にしてしまうのが,1台X役,という触れ込みの道具なわけです。

 だから,muitievoを見た時,いかにそれがブラックアンドデッカーの製品であっても,やっぱり駄目だろうという気しか起こりませんでした。

 ところが,最終的に私がポチってしまったのは,アタッチメントに丸鋸があったからです。丸鋸は木の板を,まっすぐ,直角に切り出すためには絶対に必要な道具です。しかし,危険性が高く,板と一緒に指まで切り落としてしまうことは普通に起こります。

 怖い物知らずの私が電動丸鋸にビビって手を出さなかったことで,もしかすると私の指は10本揃っているのかもしれないと思うほどです。

 しかし,手動ののこぎりで綺麗に木の板を切り出すのは不可能に近いです。安全で,小型で,出来れば電池で動く程度のパワーでの丸鋸があったら欲しいなあと,そんな風にずっと思っていた所に,このmultievoを見たわけですから,もう止まりません。

 しかも,本来別売りの丸鋸が,今なら誰でもわかるクイズに正解するだけで,無料でもらえます。スターターキットが2万円,これを買えばドリル/ドライバー,ジグソー,サンダーが手に入り,しかも予備の電池パックと充電器,キャリングケースが付いてきます。

 半年先には引っ越しもあり,組み立て家具を買うこともあると思ってましたから,電動ドライバーはどちらにせよ用意しておく必要があります。ブラックアンドデッカーのブランドで,18Vのリチウム二次電池で動作する万能工具は,私の今求めている物にバチッとはまったのです。

 とはいえ,それぞれの能力が中途半端なら無駄な買い物です。ちょうど新発売ということでレビューが出ていましたが,どれも実用性抜群で,しっかり作ってあるとの評価です。特に使用頻度の高いと思われるドリル/ドライバーは,チャックの精度がきになるところですが,そこも問題なしとの話です。

 しかし,ブラックアンドデッカーは,総じて動作音が大きくて,うるさいんですよ。家がでかくて近所迷惑になりにくく,DIYもお互い様というアメリカの会社だけあって,その辺は余り頓着しないようです。日本ではDIY=変人の趣味という印象もままあり,近所迷惑もあってあまりおおっぴらに電動工具をブイブイ言わせないものですから,不安もありました。

 果たして,我が家に届いたmultievoは,どうだったか。

 結論から言うと,これはいいです。これが2万円なら,もうアマチュアにはこれ以外の選択肢はないんじゃないでしょうか。

 それぞれのアタッチメントはしっかり作ってあり,不安はありません。精度もきちんと出ているようですし,使いにくかったり限界が低かったりという話はなさそうです。

 本体との勘合部分もしっかりしており,十分な耐久性がありそうです。ただ,カメラのレンズのように,取り外しがスムーズでまるで吸い込まれるように行われるわけではなく,そこは2万円という安価で無骨な工具だけに,過度な期待は禁物です。

 トリガーによる無段階調速が可能ですが,ドリル/ドライバーには変速ギアの切り替え器機構はありませんので,ちょっと使い勝手が悪化しそうです。でも,握りやすくてふらふらしない秀逸なグリップ感は,微妙な操作も十分可能になると思います。

 ただし,必ずしも操作がしやすく,使いやすいわけではありません。クラッチの調整ダイアルは指のかかる場所がないので回しにくく,数字を合わせる指標もありません。私はぐっと握って回した時に,親指を他の突起部分に擦ってしまい,皮を剥いてしまいました。

 夜でしたので,実際の作業は行っていませんし,ジグソーは取り付けることも出来なかったのですが,音はそんなに大きなものではなく,ごく普通という感じです。なにより,この1つだけでおよそ木工のほとんどが綺麗に出来てしまうと言うワクワクした感覚が,とても心地よいです。
 
 軽くて大容量のリチウム二次電池が電動工具に使われるようになったのは10年ほど前で,それは大電流を泰時間で引っ張ることの出来る全く新しいリチウム二次電池が開発されたからなのですが,以後特に家庭用,DIY用の工具はほとんどがそれまでのNi-CdやNi-MHにかわって,メリットの大きいリチウム二次電池を使うようになりました。

 multievoも18Vのリチウム電池パックを使ったコードレスタイプなのですが,電圧が高い性もあってパワーは十分です。前述のように予備の電池までありますから,作業が止まらずに済むのはありがたいです。

 惜しいのは,アタッチメントがまだまだ少ないなあということです。ドリル/ドライバーとジグソーに丸鋸があればほとんど揃ったようなものですが,これだけ完成度の高いシステムなら,いろいろなアタッチメントをついつい期待してしまいます。

 アタッチメントも,1つ5000円程度ですので,妥当な価格とは思いますが,安い物なら同じような価格で買える工具もありますから,難しい所です。

 そんなわけで,欲しいアタッチメントを書いてみます。あれば買うなと思う,本当に欲しいアタッチメントを書こうと思っていましたが,後半は結構無理矢理です。


・ベルトサンダー

 まずはこれ,ベルトサンダーです。サンダーとなにが違うの,と思うかも知れませんが,これはベルト状になった布ヤスリをぐるぐる回転させるサンダーです。サンダーはまさに紙やすりを電動でかけるものですが,ベルトサンダーは普通の棒状のヤスリを電動でかけるものです。

 角穴を仕上げる,角材を削る,バリを取るなど,金属加工を中心に行っている私にとって,棒ヤスリの出番はとても多いのですが,これを電動化するベルトサンダーをはじめて使った時には,その便利さに感動しました。結局小型の物を1つ買ったのですが,とてもうるさくて便利なことは分かっていても,なかなか使えません。

 しかし,multievoで使えるようになったら,きっと使用頻度も上がるでしょう。


・ニブリングツール

 ハンドニブラーという工具をご存じでしょうか。握ると刃が金属の板を噛み込んで切断し,自由な形に切り抜くことの出来る工具ですが,これはなかなか手が疲れてしまうのです。

 真空管のアンプを作るときには,トランスの角穴を開ける必要がありますが,これをチマチマとドリルの小穴を繋いで開けるというのは,時間もかかるし綺麗に仕上がりません。シャシーの板厚が1.5mmにもなると,もう絶望的な気分になります。

 そこでハンドニブラーですが,これもかなり疲れます。私はこれを動力化したニブリングツールを買いましたが,AC100Vで動作するもので,かなりの速度でガシガシ切り進んでいくパワーを誇りますが,ベルトサンダー以上に騒音が激しく,滅多に使えません。まるで金槌でガンガン叩くような音がします。

 multievoでは電池駆動ですし,高速動作は難しいでしょう。ギアで減速して,1秒間に1回か2回ほどのゆっくりしたストロークで,じっくり切り進んでいくようなタイプだと,そんなにひどい音もせず,とても使いやすくなるでしょう。是非欲しいです。


・コンプレッサー

 模型の塗装用のコンプレッサーです。空気入れとは違います。空気入れなら空気圧が変動してもよいですが,塗装用ですから空気圧にムラがあっては困ります。

 圧力は,贅沢は言いませんが0.1MPaくらいあるとかなり普通に使えます。出来ればレギュレータも内蔵しておいてくれるとうれしいですが,multievoには致命的な問題が・・・

 モーターの回転をずっとONにしておく方法がないのです。トリガの押し具合で回転数の調整が出来るのはよいのですが,指を放せば止まってしまうので,コンプレッサーとして使うには致命的でしょう。

 この部分はアタッチメントに関係ない,本体の機能ですから,残念ながらなにか特別な部品を取り付けるしかありません。安全性を考えるとそれもないなあと思うので,結局のところコンプレッサーが用意されることはないように思います。


・噴霧器

 除草剤を散布するための噴霧器ですが,買えば結構な値段がします。噴霧器といっても本当に霧状にされると困るので,電動のジョウロという感じでも十分です。


・せん定はさみ

 ボッシュから安価な物が出ていますが,ボタンを押すとはさみが閉じるやつです。せん定ってやってみれば分かるのですが,とにかく疲れます。枝は結構太くてかたいですから,電動で動くと思いの外楽ちんなのです。


・植木バリカン

 これも革命的な植木用具ですね。以前は生け垣のせん定を植木はさみで行っていたものですが,これもなかなか綺麗に出来るわけではなく,特に直線が出ないものです。ところがバリカンを使うとあっという間に綺麗に揃った生け垣が完成します。

 しかし,これも期待薄ですね。バリカンを実現するにはちょっとパワーが足りないように思います。バリカンの長さが25cm程度でも十分便利だと思いますから,ぜひ出て欲しいなあと思います。


・リューター

 リューターとして使う場合には,完全い動力部である本体は据え置きで使い,ここから動力伝達を行うチューブを引っ張って手もとのリューターを回転させるしかないでしょうけど,結構お金がかかりそうで,フットスイッチも付かない上に,ちゃんとしたリューターだってそんなに高価ではありませんから,これは最初からないですね。


・旋盤,ボール盤,フライス盤

 ここまでくると無茶苦茶だなあと思いますが,本体を手で持たずに据え置きの動力源とすれば,もうなんでもありです。

 ただ,ボール盤やフライス盤は別にしても,横置き可能な旋盤は案外可能性があるように思います。その代わり,お値段は5000円程度というわけにはいかないでしょう。アタッチメントの方が本体よりも大きくて,アタッチメントに本体を差し込むようなイメージですが,これはこれでありなんじゃないでしょうか。

 仮に2万円で小型旋盤のアタッチメントが手に入ったら,これは絶対買いますね。
 


 とまあ,そんなわけで,電動工具歴25年にして,ようやくまともなメーカーの,まともな電動工具を買いました。しかも最新のアタッチメント型です。今後どんなアタッチメントが登場するのか,そういう楽しみもあります。

 ますます工作が楽しくなりそうです。

KのレンズをQに

  • 2012/10/29 16:02
  • カテゴリー:散財

 この夏に発売予定とされていた,PentaxQ用のKマウントアダプターがとうとう発売になりました。

 私はPentaxQのレンズ資産を一気に拡大すべく,高価でしたが速攻で予約し(最近速攻ばっかりです),予定通り10月26日に手もとにやってきました。

 この手の商品としては比較的高額な25000円なのは,ちゃんとメカシャッターが組み込まれているからです。

 単純にマウントを変換するだけなら1万円くらいで出来たかも知れませんが,PentaxQはレンズシャッター機ですので,ボディにはシャッターがなく,そのままではローリング歪み(こんにゃく歪み)が出ます。

 これを防ごうと,メカシャッターを高くなっても入れようというのが,Pentaxの良心だと私は解釈しました。もともと,こんな酔狂なオプション,そんな売れるはずもないでしょう。普通ならボツになる(だって焦点距離が5.5倍になるんですよ,使い道なんかそんなにないですよね)ような商品ですし,出ただけ万歳という感じです。

 というわけで,早速試してみます。レンズは絶対に試したかった,FA43mmF1.8Ltdです。35mm換算で,236.5mm相当ですか・・・こりゃ狭い我が家には厳しいです。

 さすがに,デジカメ1つ買えてしまうくらいのマウントアダプタだけに,作りはしっかりしています。ただ,Kマウント側レンズを取り付けると,結構ガタガタします。このあたりはちょっと残念です。
 
 PentaxQに取り付けると,かなりアンバランスで格好は良くないです。FA43mmとのデザインも今ひとつマッチングしていないので,なんだか違和感が否めません。

 気を取り直しましょう。本体のファームのバージョンをアップしないと,手ぶれ補正を最適化できません。安定性も増すというので事前にアップデートをしておきました(設定が全部初期化されるという罠にはまって涙しました)が,おかげで焦点距離入力はスムーズです。

 せっかく変な焦点距離のレンズをラインナップするメーカーなのですから,43mmや77mm,31mmなどは最初から入れておいて欲しかったのですが,プリセットでは案外普通の焦点距離しか入っていません。でも心配無用,手動で設定したものはちゃんと記憶されて,次からはワンタッチで選ぶ事が出来ます。

 絞りについては,FA43mmはちゃんと絞りリングがありますから,無理にマウントアダプタ側の絞りリングで操作することはありません。しかし難しいのは,230mmの望遠でF1.9だと,もうピントが合わないので全然だめですし,かといって絞ると暗くなってしまいますから,画質も劣化して痛し痒しです。

 ピントを合わせるときには絞りは開放し,撮影時には絞り込むという一連のアクションを,手動でしないといけないのも新鮮です。50年前にタイムスリップです。

 ですので,FA43mmの絞りリングを決めた値に固定し,マウントアダプタ側の絞りリングを1番と7番で交互に切り替えるという運用がよいでしょうね。これって,懐かしのプリセット絞りってやつですよ。

 でも50年前と違うのは,絞り込んでもLCD画面ではちゃんと増感されて,真昼のように明るくなっています。ノイズもひどくて白飛びや黒つぶれもありますが,ライブビューのカメラはこれが素晴らしいです。

 さて,実際に撮影をしようとしますが,これがなかなか大変でした。

 PentaxQの便利な機能の1つに,マニュアルフォーカス時に自動で拡大され,ピント合わせが楽になるというものがあります。これはなかなか便利で私は常用している機能なのですが,フォーカス操作が行われたかどうかを検出出来ないマニュアルフォーカスのレンズやマウントアダプタを経由してレンズを装着した場合は,当然自動で拡大されることはありません。

 OKボタンを押して拡大出来るのですが,慣れていないのでモタモタしてしまいます。まあ,もともと200mmオーバーのレンズで,拡大済みのようなものだからと軽い気持ちでマニュアルフォーカスにチャレンジしますが,これが結局大失敗です。

 全然ピントが合いません。

 ピントが合わないだけでなく,被写界深度が浅くてちょっと動けばボケボケになり,しかももともとフィルム用のレンズだけに収差も残っていて,絞って改善を試みればISO感度が上がって画質が劣化します。

 また,レスポンスがかなり遅いです。シャッターボタンを押してからシャッターが落ちるまでの時間が長く,標準のレンズに比べると一呼吸遅れます。また,結構振動も大きくて,いつものPentaxQのつもりでいると,面食らいます。きっと手ぶれも盛大に出ていることでしょう。

 出来上がった写真は,そりゃもうひどい物でした。しかもなんだかカラーバランスもおかしくて,青色に転んでいます。

 あの,豊かな階調を持っている,あの肌色をとても優しく取り込むkとの出来る,あの背景のボケ方がとても美しいFA43mm/F1.9Ltdが,全くふるいません。これはがっかりです。

 あまりのがっかりさに,FA77mmを試す気力さえ失い,かのマウントアダプタは箱に再び舞い戻ってしまいました。

 いや,そもそも室内で236.5mmは無茶ですわね。屋外でどれくらい使えるかを試す前に結論を出すのは早いと思います。77mmだってきっと楽しいし,デジタル専用の望遠レンズ(シグマの望遠ズーム)で1000mmオーバーの世界に突入するのも面白そうです。タクマーレンズを放射能バリバリで使うのも,ちょっとマニアックです。

 ・・・ここで,25000円も払うんだったら,PentaxQの標準ズームを1つ買っておけば良かったとか,そんな風に思ってはいけません。そう,いけないです。

 なんとか使い道を考えないといけません・・・ぞうだなあ,お月さんでも撮影してみますかね。

 それにしても,Pentax自らの手で,AFカプラーを持つKAFでもなければ,電気接点を持つKAマウントでもない,すっぴんのKマウントが発売されるとは,私はとても感慨深いです。

 現段階では,満を持して発売されたマウントアダプタではありますが,残念ながらおすすめ出来る品物ではありません。特に,手持ちのレンズの資産を有効に活用しようなどと貧乏くさいことを考えていると,完全に裏切られます。

 PentaxQは,本体内の画像処理エンジンで収差を補正することを前提に,レンズ設計の制約を緩和したことがコンセプトになっています。画像処理エンジンをあてに出来ないフィルム用のレンズは,すべての収差をなんとか両立出来るようにバランスしてあるわけで,いわばすべての収差が「中途半端」と言えます。

 そんなレンズを使って,標準のレンズに迫る画質はどう考えても期待出来ません。つまり,そういう収差の残った甘いレンズを,表現として使い切ることが,このマウントアダプタの真骨頂なんだろうと思います。

 うーん,失敗したのかなあ。

Kindleが日本にやってくる

 来るぞ来るぞといわれても,ちっとも来なかったKindleの日本上陸が,とうとう昨日発表されました。

 e-Inkを搭載するKindlePaperWhiteが3Gありとなしで2バージョン,タブレットであるKindleFireが2機種の,計4機種が導入されます。これに先だって,本日からKidleStoreがオープンし,電子書籍を購入することが出来るようになりました。

 端末がまだなのに?と思った方,違うんですよ,Kindleというのはいわばサービスを含む全体の名前です。Kindleストアで購入した電子書籍を読む事は,PCやMac,android版のリーダーアプリがあれば可能です。

 端末が手に入った暁には,先に購入したコンテンツを端末で読む事が出来るようになります。

 おおむね,端末の発売日に対してコンテンツ側の準備というのは遅れる物ですので,Kindleが先にコンテンツの販売を行い,端末は後からと言うのは,ちょっと珍しいなあと個人的には思っています。普通に考えれば,最大の難題と言われたコンテンツ配信に対する出版社の抵抗は,すでにもう過去の話になっているという,その証になるのではないでしょうか。

 不可解なのは端末が早い物でも1ヶ月ほど遅れてリリースされることです。

 Paperwhiteの国内発売は11月19日ということです。しかし,海外ではすでにリリースされていますし,海外版でも日本語のサポートはあるという話ですから,今回の日本導入に際して大変な作業があったとは考えにくく,サービスインにハードウェアが間に合わないというのは,なんとも解せない話です。

 邪推すれば,Paperwhiteは海外でもよく売れていて,品薄になっています。生産能力から考えた場合に,日本向けの台数を確保するのに,これだけの時間がかかったと考えるのが自然かも知れません。

 Paperwhiteの一番安いWiFiモデルは8000円台,3G搭載でも13000円弱です。通信費用や契約が必要ないというKindle最大の利点は日本版でもきちんと継承されましたから,やっぱamazonは黒船だなあと感心します。

 KindleFireも安いですね。先日googleがNEXUS7を19800円で発売して話題になりましたが,これが霞んで見える価格です。アメリカでの販売価格を為替レートで換算してもさらに安い価格ですので,このあたりもamazonの本気を感じます。

 そういえば,ヨドバシ.comがNEXUS7の取り扱いを中止したときに,ちょっとした憶測が流布しましたが,今にして思えばiPadminiとKindleFireに対する防御策だったのかと思います。とはいえ,NEXUS7は純粋なandroidタブレットですから,iPadともKindleFireとも比べようのない製品なわけで,直接関係ないと思うのですが・・・

 さて,私はKindleDXと3rdGenのKindle(以下Kindle3)をamazon.comから買ってほぼ毎日使っています。稼働率から言えば,KindleDXが圧倒的です。これは,画面サイズとピクセル数の関係から,文字の潰れが文芸書くらいまでならほとんど気にならないからです。

 Kindle3は文庫本を読むならなんとか我慢して読めるかどうか,というレベルだと思います。でも,文庫ならわざわざKindleで読む必要はなくて,紙のままカバンに突っ込んでいけば解決です。

 自炊をする私にとって,持ち歩くのが億劫になる分厚い本,あるいはハードカバーの文芸書を,小さく軽く持ち歩くことは最も期待する点であり,こうしたサイズの大きな本を,文字の潰れを気にせず気分よく読むためには,KindleDXでないと駄目だということがわかりました。

 ちょっと計算して見ましょう。

 文庫本をA6サイズ(105x148mm),文芸書をB6サイズ(128x182mm)としましょう。文字の潰れを,実際の紙の決まった範囲を何ピクセルで構成できるかという数字で表現出来ると考えます。

 9.7インチのKindleDXのピクセル数は832x1280ピクセルです。この画面にB6を表示してみると,紙の上で1cmの直線は約70ピクセルで表現され,画面上では約1.13cmに拡大されます。紙の上の1cmを70ピクセルで構成した場合を見慣れたdpiで換算すると,177.8dpiです。

 一方,6インチのKindle3のピクセル数は600x800ピクセルです。この画面にA6を表示してみると,1cmの直線は約54ピクセルで表現され,0.82cmに縮小されます。そして同様に見慣れたdpiで書けば,137dpiと換算されます。

 それでは,このKindle3でB6を表示するとどうなるか,1cmあたり約44ピクセルしか使われず,約0.7cmに縮小されてしまいます。かなり小さくなりますね。そしてdpiで書くと111.8dpiです。

 この結果から,文字の潰れがないようにするには,紙の上の1cmを最低54ピクセルで表現せねばならないことがわかります。Kindle3で文芸書を読むのは,かなり辛いことが数字からもなんとなく分かって頂けると思います。

 しかし,KindlePaperwhiteは,この根本問題を解決してくれそうです。パネルの解像度が,6インチモデルとしては唯一,768x1024ピクセルというXGAなのです。より白い色になったとか,フロントライトが付いたとか,そういうことも大事な進化ですが,解像度にも手が入ったことは,amazonもe-inkも,決して600x800ピクセルで満足していたわけではないことを示すもので,私はほっとした次第です。

 早速同じような計算で比較してみましょう。KindlePaperwhiteは6インチで768x1024ピクセルです。ここにA6を表示してみると,1cmの直線は約69ピクセルで表現され,0.82cmに縮小されます。見慣れたdpiで書くと175dpiとなります。

 続けてKindlePaperwhiteでB6を表示した場合です。1cmの直線は約56ピクセルで表現され,約0.7cmに縮小されますね。dpiで書けば142dpiです。

 なんだかよく分からない計算をやっているようになってしまいましたが,結果を見れば,商事が縮小されてしまうことを割り引けば,かなりKindleDXに近い品質の表示になってくれそうな期待があります。

 私は,日本導入の前にまたamazon.comから買おうかと思っていたのですが,日本導入が近いという噂も聞いていたので,ちょっと辛抱することにしたのです。

 聞けば,amazon.comのアカウントと統合されるので,amazon.comで買ったコンテンツも読めるようになるそうですが,アカウントを統合した後はamazon.co.jpからしか買えなくとのことです。

 これが即座に問題になることはないと思いますが,それもWiFiでの話です。3Gではamazon.comで買った海外版を国内で使うことは一応出来ない事になっていますから,3Gを使いたい人は日本版を買うしかありません。

 私は3Gで使いたいと,早速3G版を予約しました。amazonによると,日本語のフォントにもこだわったということですので,より白く,より高解像度になったKindlePaperwhiteが届くのが,とても楽しみです。

トランジスタの入手を巡る動き

 ディスクリート部品,特にリードタイプの定番トランジスタの入手がいよいよ難しくなり,値段も上がっているようです。

 とはいえ,代わりに使えるトランジスタは世界中にゴロゴロしていますし,これまで「鎖国状態」だった国産トランジスタの世界が,いよいよ開国したと考えれば何の心配もないのですが,一方で1つ3円で買える汎用品の2SC1815が,オーディオ用トランジスタよりローノイズだったりするという国産品に対する厚い信頼というのは,なかなか消えないだろうなとも思います。

 聞けば,秋月でこれまで200個入り600円だった2SC1815が1900円に値上がりしたのが今年の夏とのことで,今はカタログからも消えています。私は昨年買いましたが,まとまった数が確保出来なくなりつつあるんだろうなあと,そんな風に感じます。

 代わりに海外製の汎用トランジスタが安価に入手出来るのですが,まずピン配置が違いますし,単なるスイッチングなら大丈夫でも,2SC1815の懐の深さをあてにした用途だと,必ずしも同じ結果が得られないのではないかなと思います。

 まあ,本当に欲しい人はすでに買いだめをしているでしょうし,これからの人はこんな昭和時代のトランジスタを血眼になって探すという不毛なことはしないで,今手に入る美味しい部品を使いこなすことを覚えた方が,技術力もアップしてとっても前向きでしょう。

 トランジスタがディスコンになるには,いくつかの理由があります。

 1つは新しい部品で置き換えられる場合。AMのトランジスタラジオも,その昔は当然ゲルマニウムトランジスタで作られていたわけですが,それがシリコントランジスタに置き換わってディスコンになりました。さらにシリコントランジスタも,IC化されてしまってディスコンです。

 1つは,そのトランジスタが使われていた製品が市場から消えてしまう場合。入手困難・価格高騰でその筋には有名な三菱の2SC1971は,CB無線をターゲットにした送信用の出力トランジスタですが,CBなんてとっくに死滅しましたし,そもそもVHFで5Wクラスの出力の無線機なんて市場がありません。この場合,後継品種も出てこないので,一部のマニアは右往左往するわけです。

 最後に儲からないからやめてしまう場合。これはメーカーの都合ですが,例えば2SC1815,2SC945,2SC458,2SC2320は,どれも差し替え可能なメーカー違いのトランジスタですが,ただでさえトランジスタの市場が小さくなっているのに,似たような品種でパイの食い合いをしても損なだけです。単価も利幅も小さく,設備の維持も面倒臭い昨今,先にやめた方が勝ちです。

 結局の所,使われなくなったというのがすべてに共通する背景なのですが,2SC1815のような超ド汎用なトランジスタを含む,TO-92のトランジスタが東芝から消えるというのは,さすがに寂しいものがあります。

 こうしたディスコンに慌てふためくのが,オーディオマニアとアマチュア無線マニアです。どちらもIC化が進み,市場も小さくなって,昔の製品を修理するにも復刻するにも,肝となるトランジスタが手に入らないとどうにもなりません。

 それに,この種のマニアというのは概ね年寄りで,金もあるし時間もあるしで,いきおい買い占めに走ります。余命を考えて買い占めなぞやめて,死ぬまでに使い切れる分だけにして欲しいと私などは思うのですが,まあそれは個人の自由です。

 オーディオは特に金田式DCアンプで使われているものが昔から珍重されています。TO-3というごっついメタルパッケージに入ったパワートランジスタなど,偽物が出回るほどです。1970年代に生産されてとっくの昔にディスコンになったトランジスタなのに,NECのロゴが丸っこい新ロゴになってるなんて噴飯物です。

 偽物でも,それなりに互換性があって動く物なら良心的なのですが,悪徳業者がそんな親切なことをするわけはなく,定格もピン配置さえも違う,形がかろうじて似ているだけのものを刻印し直すのですから,大事故につながりかねません。

 アマチュアはメーカーのように,部品の受け入れ検査をするのに限界があります。検査などしないでいきなり作って動かすこともしばしばですから,信用第一なんですね。だから,アマチュアが利用する部品店が,堂々と偽物を売っているというのは,いくら何でもひどいんじゃないかと私は思います。

 部品店は基本的に交換や返品を受けないのが慣例ですが,偽物を売りつけておいて購入者に全責任を負わせるというのは,まあ詐欺ですね。

 どうしてこんなことを書くかと言えば,先日古本で,1969年に発行された「東芝トランジスタ回路集」なるものを買ったのです。トラ技の向こうを張るプロ向けの雑誌「電子展望」の別冊扱いですが,なにせ東芝のトランジスタの本ですので,広告も当然東芝です。

 中に,東芝のトランジスタをぜひ工作に使ってみて下さい,お近くの販売店で売ってます,2SB56は定価100円です,と,アマチュアに対する広告も存在するのです。

 1969年の100円ですから随分高いんですが,40年以上前の本をパラパラと見てみて,とても活気があって面白いなあと感じたのです。

 当時はゲルマニウムからシリコンへの移行期で,シリコントランジスタもどんどん品種が拡大し,価格も下がって使いやすくなっていった時代です。ICも登場して,ようやく軍事一辺倒から民生品に使われ始めたときではないでしょうか。

 これまでは懐かしい,くらいの印象だったこれらの本も,トランジスタが入手出来なくなると一気に古めかしく,実用度を失った,完全に過去の本となります。真空管も,ブラウン管も,過去の技術というのはすべからくそういうものだから仕方がないのですが,比較的緩やかに進行していたトランジスタの終息は,案外近いうちに来るのかも知れません。

 ところで,そんな話もある中で,ちょっと面白い話です。

 日立のパワーMOS-FETと言えば,2SK134/2SJ49です。1970年代後半に登場した画期的なデバイスで,オーディオ用のパワートランジスタとしてはとても有名です。

 TO-3のメタルパッケージに入ったこの品種はとっくにディスコン。モールドパッケージのTO-3Pになった後継品種の2SK1058も実はディスコンになっていて,日立のオーディオ用パワーMOS-FETは絶滅したかに見えました。

 ところが,あるところにはあるんですね。イギリスのあるメーカーが,互換品を作っています。どうやら現行品です。TO-3のメタルパッケージですから,2SK134と完全互換という触れ込みです。なにやらスイスの超高級オーディオメーカーで採用とか。

 入手は難しいでしょうが,頑張れば手に入るわけですから,これはこれでありがたい話なんじゃないでしょうか。

LaCie d2 QuadraをFireWireで使う作戦

 先日のLaCie d2 Quadraですが,eSATAで運用すれば2.5TBのドライブを認識して使う事が出来るという結論は,ちょっとまずいのではないかと思うようになりました。

 確かに認識してはいますし,ブリッジチップの中でやっていることは単にeSATAとHDDをスルーで繋いでいるだけの話ですから,トラブルは起きないんじゃないかと思いますが,USBやFireWireで2.2TB以上のドライブを正しく認識出来ない以上,やっぱりなにがあってもおかしくありません。

 こわいですね。例えばですね,ブリッジチップが自らなにかHDDに書き込むようなことがあると,今繋いでいる2.5TBのHDDは壊れてしまうかも知れないわけですね。

 そもそも,この問題は2.2TBの壁というよく知られた問題で,これまでの1セクタあたり512kByteで,32bitのアドレスという方式だと2.2TBまでしかアクセス出来ないという問題です。

 そこで,アドレスを64bitに広げることでこの壁を乗り越えるわけですが,なんといっても管理方法が根本的に変わってしまうので,不具合が出ても仕方がありません。

 ということで,なんとかしないといけないなあと思ったわけです。

 とはいえ,先日書いたようにLaCieの純正のアップデータはどうやっても動かすことが出来ませんでした。そもそもLaCie d2 Quadraに対応していると一言も書いていないので,駄目でも元々なわけですけども,それにしてもこの製品には3TBのものも存在するわけですから,出し惜しみしないで欲しいよなあと,思います。

 次に考えたのは,禁断の作戦です。

 LaCie d2 Quadraのブリッジチップは,OxfordのOXUF934DSBです。FireWire800に対応した数少ないチップですが,動作も安定し,速度も速いですから,定評があります。FiewWireに対応したHDDやHDDケースには,これが搭載されていることが多いです。

 このチップは,2.2TBの壁などなかった時代の製品ですが,後に内蔵のファームウェアがアップデートされて,2.2TBを越えるHDDを繋ぐことができるようになりました。

 ところがチップメーカーはファームウェアを公開していません。探し回ったところ,あるHDDケースのメーカーがファームを公開していました。

 このメーカーはご丁寧に,ファームウェアをアップデートした場合の弊害についても触れています。現在出荷されているHDDケースは2.2TBを越えられるものだが,これはFireWireからのブートが出来ないので,どうしてもFireWireからブートしたければ,古いファームウェアを書き込んで使えとあります。親切ですね。

 ただし,このファームウェアというのは結構くせもので,LaCieのようなベンダーだと,自分達の独自機能のためにベンダー独自のファームウェアを作っています。ベンダー名のカスタマイズくらいならよいのですが,ブリッジチップのGPIOを制御するような物だったりすると,ハードウェアとの兼ね合いもあるので,他社のファームウェアを無理に書き込めば,機能が失われるばかりか,最悪壊れてしまいます。

 かなり危険です。

 その,危険なファームウェアが,目の前にあります。付属のリリースノートを見れば,このバージョンは2.2TB越えに対応とあります。

 ということで,危険を承知でやってみることにしました。ファームウェアの書き込みに失敗すれば,8000円のHDDケースはただのゴミになります。無事に書き込めてもちゃんと動く保証はありません。LaCieの独自機能である自動電源ON/OFFについては,完全にアウトではないかと思います。

 本来なら,元に戻す方法を用意してから実行すべきですが,元に戻す方法は見つかりません。片道切符でGo!です。

 で,結果ですが,駄目でした。ファームウェアの書き換えすら出来ませんでした。当たり前と言えば,当たり前ですわね。バカバカしい。

 で,結局どうしたかというと,2TBのHDDに入れ替えました。NASには当初Pogoplugで使っていた2TBを入れていましたが,先日3TBに入れ替えたときに,1つ余ったものがあるのです。

 これに入れ替えると問題なくFireWire800で認識し,読み書きも当然問題なく出来ます。2,5TBのHDDからしょーもないデータを消し,2TBにコピーをして,早速運用を開始しました。2.5TBはもったいないので,動画関係を詰め込んでおきます。ただ,私の経験では,2TBまでなら安定して動いても,それ以上のHDDはどうも不安定で,安心して使えないのです。なかなか認識しないとか,フリーズするとか,そういう心配です。

 ですから,大事なデータを保存するには気が気でならないものがありました。2TBにすることで安心出来るなら,まあよかったんじゃないかと思います。

 とはいえ,HDDの価格はすでにタイの洪水前の水準まで下がって来ています。3TBも1万円を割るのが当たり前になっている現状で2TBという足かせがあるのは,ちょっと窮屈で嫌な感じです。

 しかも,D800のデータが強烈です。ちょっと撮影するとすぐに30GBを越えます。容量が大きいことは確かにお金で解決することではありますが,データの軽いD2Hとのハンドリングの違いは歴然で,D2Hに比べて慎重にシャッターを切るようになりますから,自ずとこの2つで撮影スタイルにまで大きな違いを生むことになります。

 まあ,そのうちFireWireも使えなくなるでしょうし,その時にはUSB3.0への移行を考えるようにしましょう。そのころにはD800も,普通のカメラになってくれるように思います。

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