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2009年04月の記事は以下のとおりです。

24時間どこでも繋がっている安心感を980円で買う

  • 2009/04/27 15:02
  • カテゴリー:散財

 今さらですが,WILLCOMが提供するデータ通信サービスに加入しました。

 iPhoneだLTEだXGPだWiMAXだと,24時間接続のブロードバンド普及が飽和し,次なるマーケットを狙って群雄割拠するモバイル通信にあって,もはや長老と言うべきPHS。

 コードレス電話の子機を外で使えるようにする,という原点を持つPHSは,小さい,安い,電池を食わないという個人向け移動体通信の柱として期待されましたが,サービスエリアの小ささから支持を得られず,PHSに見劣りしないレベルにまで小さく安く電池が持つようになった携帯電話に敗北を喫しました。

 しかし当時の携帯電話に比べ通信速度が高速だったことを活かし,データ通信に活路を見いだして,ガジェット好きなモバイラーに支持されてしぶとく生き残って来ました。

 DDIポケットの流れを汲むWILLCOMも,速度の遅さという常について回る問題を,価格の安さや魅力的なスマートフォンの導入で何度もしのいできたのですが,イーモバイルやUQ WiMAXの登場に加えて,iPhone3Gが現れ,通信速度と価格,そしてスマートフォンの魅力という面でも,いよいよピンチを迎えているように思います。

 そんなWILLCOMですが,なんとゴールデンウィークのキャンペーンということで,月々3880円の「新つなぎ放題」を,端末費用込みで月々980円にするという話が発表になりました。これはもしかすると激安では,と思ったのですがやはりその通りのようで,すでにWILLCOMの契約者になっている人の中にも,一度解約して新規契約した方が得だ,と言う人が出る始末です。これで元が取れるとはちょっと思えない価格です。

 ちょうど,連休中に実家に戻る私は,常時接続環境がない実家でどうやってメールを見るのか思案していた時期でした。なにせ連休中だけの話ですので,毎月高額費用が発生するのは割が合いません。

 1年でのべ10日くらいしか必要ではないが,必要なときは一日中繋がっていて欲しい,という誠に厄介な話に悩むのが長期休暇前の恒例行事になっている私にとって,結局アナログ電話のダイアルアップが最善策というつまらない結論を毎回出す事が,とてもうんざりだったのです。

 まぁ出せて毎月1000円までだな,と思っていた私は,今回のWILLCOMのプランは,もしかするとものすごく現実的な話なんじゃないかと気が付きました。

 iPhone3Gは確かに面白そうです。端末価格も今なら実質タダです。しかし,毎月5000円以上の負担は大きく,ソフトバンクに2年縛られるのも気分的に良くありません。

 その他いろいろ考えて見ましたが,私は速度より24時間繋がっていることが重要なのだと判断,この980円のプランにのってみることにしました。

 私が選んだのは,WS002INという機種です。USBとW-SIMを繋ぐアダプタとW-SIMがセットになった通信カードで,MacもWindowsもOKです。費用の内訳はこうです。

 新つなぎ放題のプランをW-VALUE SELECTで申し込むと,端末価格は16800円になります。本来の月々の通信料金は3880円ですが,ここにW-VALUE SELECTでの割引3600円が入り,毎月280円になります。

 端末価格を2年間で分割すると月々700円となり,毎月の支払合計は980円という仕組みです。新規登録料は4月30日までは無料,ウィルコムストアの送料も新規の場合は無料ですので,全く支払いが発生しません。恐ろしいことです。

 提供されるのは通信回線だけですから,プロバイダは別に用意しないといけませんが,幸いなことに私がADSLで使っているプロバイダはWILLCOMのパケット通信のアクセスポイントを無料で使わせてくれます。よって追加費用の発生もありません。

 こんなおいしい話があるんだろうか,と思いつつ昨日カードが手元に届きました。特に引っかかることもなく,MacとWindows両方で設定も完了。

 x4までしか対応しないW-SIMですから,128kbpsというMP3のビットレート並みの遅さで,WEBのブラウジングなどではさすがにイライラしますが,その他は全然大丈夫です。そもそもFOMAで通信しても,私の場合はパケットだとものすごく高額になるプランなのでパケットではない64kでしか恐ろしくて繋げません。それに比べれば快適な上に,時間も気にせず使えるのですから,それはまるで背中に羽が生えたような気軽さです。

 私は非常にありがたいと思っていますが,そもそも期間限定とは言え,なぜ980円にするのか。いろいろ邪推しました。

 まず,現金が欲しいのではないかという事。毎月毎月980円とはいえ決まった金額が入ってくるというのは,かなりありがたいでしょう。しかもレガシーなPHSシステムに対しての新しい設備投資は基本的には発生しないわけですし。

 しかし,2年後に3880円に戻ってしまうわけですから,この段階で多くが解約するでしょう。これはWILLCOMにとって死活問題になるはずです。

 ここは2つの考えがあります。1つはXGPのサービスが軌道に乗り,2年後にはXGPに乗り換えてくれることが期待できるということ,もう1つはXGPのサービス開始後,従来のパケット通信については大幅値下げを行い,980円程度にすることで,2年後の解約を阻止できるはず,という考えです。

 XGPが始まっても,従来のPHSの設備をすぐに停止できる訳ではなく,しばらく維持する必要があります。格安でも提供できれば維持費用の無駄を押さえることができます。

 XGPの価格をおそらく決めかねているんではないかと思うのですが,その場合に決まった収入と設備があるWILLCOMは,後発でありながらもそれなりの基礎体力を持っていることになるのですから,布石として980円のプランで加入者を今のうちに集めておくという作戦は,それなりに説得力があります。

 しかしあくまで前提は2年後にXGPが立ち上がっていることです。それまでにWiMAXに敗れたり,資金が底をついてしまうようなことがあったら,もうオシマイです。1280円や1580円でも良かったはずなのに,あえて980円という価格を出してきたことが,吉と出るか凶と出るか,なかなか微妙なラインなんじゃないかと心配になります。


 さて,数年前は1万円近くの費用がかかったモバイル向け常時接続環境ですが,遅ればせながら私も憧れだった環境を手に入れることが出来ました。私は素直にうれしいです。

 W-ZERO3[es]を中古で手に入れるのもよし,休眠状態のVAIO Uをメンテして持ち出すのもよし,ネットブックを買ってしまうのもよし,月々980円で手に入れたインフラを,どうやって活用するのかまさに思案のしどころです。

 しかし現状では,全く使い道がないのも事実。有効活用の方法を模索したいと思います。

VCオリジナルeSATAカードは放棄する

 さて,MacBookProにeSATAで外付けHDDを繋ぐ大作戦,ですが,VintageCompterさんが初期不良の可能性があるので返送せよ,ということで送り返したところまでここに書きました。

 その後,のお話です。

 まず,返送後1週間ほどして,突然発送連絡がメールで届きました。ただ単にVCオリジナルeSATAカードを送りました,という内容のもので,結局初期不良だったのかどうか,そして送られてくる品物がどういう素性のものなのか,全く触れていません。

 困ったなあ,結構いい加減な会社なのかなあ,と思いつつ,こちらからメールで問い合わせをしてみると,連絡が漏れていたみたいで,結論としては初期不良,新品を送りました,ということが,謝罪と一緒にメールされてきました。

 先方で初期不良が確認出来た,と言うことと,その初期不良が起きない新品を送ってくれた,と言うことは,かなり期待できそうです。

 そのうち,ちょうどこないだの日曜日に品物がはるばるアメリカから届きました。

 実は安定動作をしているかのように思っていたSil3132のカードも,2週間のうちに何度かカーネルパニックを引き起こしています。ケースを介さずeSATAカードとHDDを直結すると安定したように思えたので,そういう状態で現在使っています。

 あまり警戒することもなく,届いたカードをカードスロットに差し込んでみます。

 すると,メニューバーにカードのアイコンが出てきます。とりあえず認識はしているみたいです。ここまでは前回のカードを全く同じです。

 次にHDDの電源を入れておき,eSATAカードにケーブルを差し込みます。ここですぐにマウントされれば問題なし,と行きたいところなのですが,期待に反して何も起こりません。これはおかしい。

 仕方がないのでカードを抜き,eSATAケーブルを差し込んだ状態でカードをMacBookProに差し込んでみます。

 すると,あっさりカーネルパニックが発生。嫌な気分です。

 うなだれながら再起動し,何度かカードを先に差し込んでケーブルを挿す,あるいはさしてからHDDの電源を入れるなどやりましたが,マウントせず。カーネルパニックもなし。つまり何の反応もなし。

 以前より悪くなっています。

 HDのインターフェースは1.5Gbps設定にしてありますから,以前なら少しずつでもコピーが進み,カーネルパニックなどは起こさないはずだったのですが,今回はマウントしませんし,しても即座にカーネルパニックですから,全く使い物になりません。

 私としては,以前のような大がかりな検証を行うのはもう嫌ですし,カーネルパニックによって作業が止まり,HDDの検査に何十分もかかった上,ファイルが壊れる(実際にpalm関係のファイルが壊れました)という事態まで招き,その上またあの会社と不毛なやりとりをしないといけないかと思うともううんざりなので,この爆弾のようなカードは封印し,処分しようと思います。

 5000円ほど無駄にしますし,時間も1ヶ月ほどふいにしましたが,やむを得ません。


 ところで,Sil3132のカードも調子がいいとはとても言えません。いつも日曜日の夜に起こるのですが,今回も昨日の日曜の夜,HDDにデータをコピーしようとマウントしたらその瞬間にカーネルパニックです。

 先週は毎日のようにHDDを使ったので安心していたのですが,がっかりです。うまく動いていたときと,カーネルパニックを起こしたときの違いは,VCカードを一度差し込んだかどうか,と腕palmをHotSyncしたかどうか,の2つくらいです。

 前者はカーネルのキャッシュの関連があると思いますし,HotSyncのマネージャはPowerPCのコードで動作しているので,怪しいと言えば怪しく,とりあえずONYXというフリーウェアでカーネルキャッシュをクリアし,再起動。その後は問題は出ていません。

 こんな感じで,単純な初期不良ということではなく,やはり相性の問題というとてもすっきりしない着地をしなければならないような感じです。無保証自己責任の人柱なら笑って済ませるんですが,今回はMac用と銘打っている商品を選んで買っただけに,それでもダメだったということはなかなか認めたくない事実です。

 ハードウェアも複雑化していますし,MacOSXも以前のMacOS9に比べるとはるかに見えない部分があります。大昔のSCSIにも随分手を焼きましたが,それでも原因を1つ1つ潰していくと,最後には確実に動かすことが出来るようになっていました。

 そこへ行くと最近は,一件関係なさそうに見える原因が複数重なって起きている事も多く,1つ2つ原因を取り除いても問題の解決には至らないことが多いように思います。今回の問題も,おそらくそんな感じの,決して1つや2つのわかりやすい理由で起きているのではないのでしょうね。

 SCSIの時代からそうでしたが,理由が分からない人は,「相性」という言葉を使います。今目の前で起こっていることは事実なのに,その原因がわからない,いわば神様や幽霊のような存在と同じレベルで,相性という言葉を使っていたのですね。

 私は技術者ですから,相性という言葉は使わないように努力をしていました。原因を調べて,再現性を確実にすることがなにより大事なことだと思っていましたし,また工業製品である以上それは必ず可能に出来ると信じていました。

 当時の私のスキルはなんとか最前線に立てていたのでしょうが,早い話が私も「相性」という言葉を使い始めたという事は,もう今時の技術の先端にはいられなくなっているのだ,ということなのでしょうね。寂しいことですが・・・

 とりあえず,Sil3132のカードをこのまま使って様子を見ます。カーネルキャッシュのクリアは結構効き目がありそうなので,期待大です。

イタズラ電話で考えたこと

 昨夜22時半過ぎに突然電話が鳴り,何事かと思って電話に出ました。有り体に言えば,不動産屋のセールスの電話だったわけですが,

  要件はなんだ -> 聞いてくれればわかります
  もう寝るんだが -> 聞いてくれないと寝れませんよ
  私には話を聞く理由がないんだが -> こちらにはあるんです
  なんであなたの事情を考えないといかんのだ -> 電話しているからです

てな,まるでちょっと賢い小学生と話をしてるような,かみ合わない会話でした。
しまいには,相当頭に来ていた私の口調を,おどけてオウム返しするような子供っぽいことを彼はやってましたが,それでも彼はこれまできちんと周りに話を聞いてもらってきたのでしょうから,随分恵まれた境遇だったんだなと,うらやましくなります。

 言葉遣いは非常にきっちりしてたので,さすが不動産屋とは思いましたが,言葉遣いとやってることのギャップがあまりに大きく,正直に言うと何度か思わず笑ってしまいました。

 今考えて見ると,腹が立つと言うより,真面目に応対したことが失敗だったなと。一種のイタズラ電話だったと考えれば,まあ水に流してあげられます。

 終止私を「ご主人は」と名前で呼ばず,どっかの名簿を買ってかけてきたんでしょう。ググってみると,それらしい不動産屋が近隣にありました。要注意ですね。

 不動産業界は今とても大変らしく同情もしますが,こんなことをやっても逆効果ですよ。景気が悪いときこそ効率を追求しないと,私に費やす時間で3人は電話できたでしょう。勧誘の電話は数ですよ数。ダメだと思ったら深い追いしないのがコツです。

 それはそうと,携帯電話のように相手の電話番号をブロックしようと考えたのですが,有線の電話は,相手の電話をブロックするどころか,相手の電話番号さえもわからないシステムになっていることに気が付きました。

 相手の電話番号を知る事は,毎月の追加料金と電話機の買い換えで対応できますし,迷惑電話おことわりサービスなる月々600円のサービスを申し込めば,一応遮断は可能ですが,外側からしたい放題の無防備な状態がデフォルトで,結構な金額の別料金で少しだけまともな状態になる,というのも,携帯電話やPC,ネットの世界に慣れていると,よくもこんな仕組みが成り立っていたもんだと,あきれてしまいます。

 悪いことをする人を占めだし,割に合わないことだと悪いことそのものをなくしていくことで全体を良くするという思想ではなく,悪い目にあった人を単独で保護すればそれでよい,というその場限りの発想も,いささか古い考え方のように思えます。

 つまるところ,有線の電話は,進化が完全に止まっているということです。セキュリティ意識も低いし,顧客を守るという思想も希薄で,ますます有線電話の商品価値は低下していくし,それに気が付かない人が増えることでしょう。

 昨日,私は電話を切った後にもしつこくかけてくる相手に対抗するため,電話線を抜いて寝ることになったのですが,このことで私の電話機はノードから外れてしまいました。

 電話は1台では何の意味もなく,2台以上あって初めて価値が生まれます。電話は台数が増えるほど価値が増大するものですから,私の電話機が外れれば,それだけ価値が低下するということになります。(初期のskypeを思い出して下さい。かけたい相手にskype入れてくれとわざわざお願いした経験はありませんか?)

 わかりやすい話で,私に電話をして勧誘すれば,私が引っかかるようなサービスだってあったかも知れないわけですし。でも,その可能性は電話線を外した瞬間にゼロになりました。

 当のNTTはなにをやっているかと言えば,有線電話の価値を上げるようなことは最近なにもやってません。Dモードも中止になりましたし,逆に携帯電話料金に維持費用の一部を負担してもらっている体たらくです。

 信頼性と確実性の維持をNTTは自慢し,それが売りだといっていますが,いってみればインフラですから当たり前の話で,ずっと以前からそれが売りであったことを考えると,維持されて当然の商品でです。現状の維持だけで先に進もうとしない,進化が止まったというのはこういうことです。

 今すぐにイタズラ電話を遮断する仕組みがない,このことに気が付いた昨夜の私は,改めてイタズラ電話で嫌な思いや怖い思いをしてきた人を気の毒だと思うようになりました。人生何事も経験ですね。

 私が高校生だったときの師は「電話は暴力だ,こちらの都合を考えない」と私に説きましたが,その究極の事態がイタズラ電話なんだなと思った次第です。

速さは力

 会社では辛抱をしながら,WindowsVistaを使っている私ですが,マシンもそれ程強力というわけではなく,平均的なダルな重さに加えて突発的に発生する引っかかりにイライラし,WindowsVistaって作ってる人は実はVistaを使っていないんじゃないか,と疑い始めたところです。

 少しでも使いやすくなるように工夫をするのが,これ人類進化の原動力です。

 ある日,そういえばVistaってフラッシュメモリを使って高速化するワザがあったよなと思い出して,ReadyBoostなる名前を強く意識しました。いわく,いわゆるキャッシュをフラッシュメモリに置いて,HDDへのアクセスを減らそうということらしいです。

 うーん,しかしHDDの遅さでイライラする主要因はスワップの発生だよな,それがフラッシュメモリに置かれるのはフラッシュメモリに酷な話だし,だからといってアプリケーションのキャッシュを置いても,そんなに高速化されるとは思わないなあ,などと想像を巡らします。

 とりあえずやってみるか,と3年ほど前に購入したグリーンハウスのPicoTurboというUSBメモリを差し込んで,試したところ,アプリケーションの起動に待つ時間が体感上随分短縮されました。

 これは蜜の味ですね。もうReadyBoostを使わないという選択肢はこの段階でなくなりました。

 普段余り使わないカードスロットを有効活用したい(むしろ私はUSBは足りない)ので,余っていた4GBのSDHCカードをReadyBoostに使おうとしたのですが,どうも速度が遅いようで使えないらしく, SDHCもHCとかclass6とか随分偉そうな称号を名乗る割には口ほどにもないな,と思ったりしていました。

 ご承知の通りNANDフラッシュメモリは,何の工夫もしないと随分と遅いメモリです。メモリチップそのものの構造の違いに始まり,エラー訂正やウェアレベリングといった使いこなしのための技の優劣に至るまで,速度差を生む要因は,我々がアイコンをダブルクリックしてからその実態に届くまでの間に,何層にも重なって最後に大きな差となります。

 自ずと高速のものは高価になり,安いか大容量か高速か,の3つのジャンルがフラッシュメモリには存在しますReadyBoostというのは実は3つがバランスしないと成り立たない世界ですので,あまりメジャーになれていないんだろうなと思いました。

 それに,マイナーなVistaのマイナー機能であるReadyBoostを使うのに,速度によって使えるフラッシュメモリと使えないフラッシュメモリがあり,基本的には試して見るまでわからない,というバクチ要素がつきまといます。こんなの,普通の人がちょっとやってみるかとは,およそ思えないでしょう。

 そんなこんなで先日,友人がchumbyを買う際,一緒に高速版のUSBメモリを買ったのですが,確か4GBでも1300円ほどだったよなと思いだし,1000円ちょっとで高速化できるなら安いしなんといっても面白そうだ,と判断,昨日会社の帰りに量販店でUSBメモリを買うことにしました。

 で,会社の帰り道にある量販店に足を運びますが,まあわかりにくいったらありません。どのUSBメモリがReadyBoostに対応しているのか,よくよく見ないとわからないのです。どうやら,ReadyBoostに対応と,はっきり書いた品種は実はあまり多くないようです。

 それもそのはず,速度の遅い売れ筋商品比べ,同じ価格なら容量は半分ですので,その速度的な価値が分かる人しか手を出さない,マニア向けのジャンルですから当然です。しかし,ReadyBoostは別にして,使うあてもない8GBを買うより,十分な大きさの4GBで高速なものを買った方が,普通は幸せになれるだろうと思います。

 いろいろ迷って,結局SanDiskのcruzer color+の4GBを買いました。価格は1480円で,4GBでReadyBoost対応の中では最も安いものだったのですが,実はamazonにさえ価格で負けていることを後で知ることになります。

 さて,私は2GBのPicoTurboを長く愛用しています。当時最速の評価を欲しいままにしたUSBメモリ界のスーパースターで,全く不満なく使っていたのですが,もし今回買った4GBが同等の速度であるならば,メモリセルの信頼性の観点からも置き換えをした方がいいと考えて,ベンチマークを取ってみることにしました。

 実はベンチマークをきちんと取ることもなく,体感速度でPicoTurboの圧勝であることはなんとなく分かっていたのですが,それはそれ,やはり数字で議論です。

 以下はフラッシュメモリのベンチマークで標準的に使われているソフト「CrystalDiskMark」による結果です。マシンは私が普段使っているVAIOノートのtypeGです。遅いマシンなのでこの数字は他の掲示板などで見る数字よりもかなり悪くなっていることは割り引いてやってください。

 まず,私の愛機,グリーンハウスのPicoTurbo,GH-UFD2GTBです。GTBってのがいいですね,スパルタンな感じがして。

GreenHouse PicoTurbo2GB GH-UFD2GTB

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22世紀にも持続可能な世界

 先日読んだ,ある技術雑誌に面白いコラムがありましたので,紹介します。

 雑誌は「電源回路設計2009」で,P.77からの「太陽光発電を活かして22世紀を迎えるために」という記事です。著者の松本吉彦さんはずっと昔からトランジスタ技術誌などを舞台に高い専門性と的確な内容で活躍された大ベテランで,私も学生の頃から,この方の記事にお世話になった記憶があります。


 要点をかいつまんでいくと,

・数億年かけてストックされた化石燃料を燃やして成り立つ生活は,使い始めて200年,大量に使い始めて50年という短さの,異常行動である。

・化石燃料は増えない。従って省エネで10%使用量を減らしても,30年の寿命が33年になるだけである。省エネへの努力は間違いではないのか。

・そんなことより,無限のエネルギーである太陽光を利用するべきだ。

・太陽電池は,それを作るのに必要だったエネルギーが,それが寿命を迎えるまでに生み出すエネルギーを上回っていたが,現在,生み出すエネルギーが必要なエネルギーの10倍にまでなっている。

・コストも下がっていて,油田を掘り,原油をくみ上げ精製するコストを下回る可能性が遠からずある。

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 さて,この段階で非常に大事なことがわかります。1つは太陽電池は,すでに投じたエネルギーよりも大きなエネルギーを得られる「打ち出の小槌」になっているということです。これは人類史上初めてのことです。

 もう1つ,それが技術的にも経済的にも現実的であるということです。打ち出の小槌には高速増殖炉も期待されていましたが,太陽電池の根本的な違いは,まさにこの点にあるわけです。

 この数字は私は未検証です。正しいと仮定すると知らぬ間にえらいことが起こっていたのだと驚きます。


 著者は続けます。

・火力発電所など,機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する装置を含むシステムは,大きいほど効率がよい。従ってエネルギーの発生箇所には局所性がある。

・局所性のあるエネルギーを消費地に回すには,電力の場合送電が必要で,「グリッド」と呼ばれるこの技術によって,現在のエネルギー供給は成り立っている。

・しかし太陽電池による発電は,規模と効率は無関係であり,太陽の光さえあればどこでも同じように発電が可能。よってエネルギーの局所性はない。

・もし現在の送電システムに,局所性のない太陽電池による発電を組み込もうとすると,非効率的,高コストで,合理的ではない。

・そこで,これに変わる新システムを構築する必要がある。その柱は太陽電池,電力貯蔵,そして電力制御を行うパワーエレクトロニクスである。

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 なるほどなるほど,なぜ発電所はあんなに大きいのか,なぜわざわざ遠方から高圧で送電しなくてはならないのか,太陽電池となにが根本的に違うのか,が明らかにされました。


 そして,

・技術の革新は,その時々の当事者以外から行われることが多い。トランジスタの発明は真空管屋ではなく,コンピュータは電子屋ではなく,マイクロプロセッサはコンピュータ屋ではなく,インターネットは通信屋ではなかった。

・電力についても,電力屋以外から革新される時代が来た。電子屋,IT屋は,電力分野に進出してでっかい仕事をぜひやろう!

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 と結びます。


 電子工学や情報工学のエンジニアに,電力やエネルギーの仕事をやろうと呼びかけていますが,もう1つ裏側に主張があるように思います。

 それは,エネルギーとか電力とか,そういうインフラを抱き込む巨大な産業には,どうしても既得権があって,自らが今やっているビジネスを根底から変えるような変革を,最終的にするはずがないということでしょう。

 昨日だったか,太陽光発電の割合を国の目標レベルに引き上げると,天候によって総発電量が大きく変動して停電するんじゃないか,という意見に対し,国が実証実験を行うことにしたというニュースが出ていました。

 こういう懸念はもっともでしょうが,先のコラムを読んだ我々は,すでにこの懸念の根源が,エネルギーの局所性と19世紀の偉大な発明「グリッド」を引きずった故に出てきたものであることに気が付きます。

 そこで,これら前提の否定から入ろう,それには彼らのようなしがらみのない,電子分野,情報分野のエンジニアが挑戦しないといけない,と鼓舞しているわけです。

 こういう,指数関数的に拡大する理論というのは,胸のすくよな爽快感がありますね。先日もシェルが「これはペイ出来ない」と風力発電への投資を中止しましたが,これなどもやはり既得権を持つ者の性でしょう。

 しかして,電子屋,IT屋がこれらに進出するのは時間の問題だと思われます。すでにこれらの技術者は,電気自動車の分野に進出し,パワーエレクトロニクスを自分の庭として認識し,その世界観を共有しつつあります。

 技術に永遠はなく,常にスクラップ&ビルドです。19世紀の送電システムは偉大な発明でしたが,これとて同じです。永遠はありません。

 ただし,このコラムには1つ視点が欠けています。太陽光発電は,太陽電池以外の方法や太陽電池の黎明期にかかった膨大なコストによって現在があります。

 化石エネルギーは,初期の開発投資がそれほど大きくなかったと想像できるわけですから,そもそもそこが前提として違います。太陽光発電が地球と人類の負担にならないといえるのは,それら初期のコストをきちんと精算してからになるでしょう。しかし,私はその精算は,どんなに頑張っても当分終わりそうにないと思います。

 つまり,人類は,やはり「打ち出の小槌」を手に出来なかった,ということです。

 もっとも,このまま化石燃料に頼ることは不可能です。生き残るために現時点の収支を見て,何に投資するのが得策かを考えねばなりません。

 化石燃料は,燃やしてエネルギーにする以外に,プラスチックや化学薬品の原料にもなります。こうした「化石燃料でしかできないこと」のために大事に使うのが本来の姿であり,考えて見るとこれをただ単に燃やして使うなどと言うのは,100年後200年後の子孫たちにとって,卒倒するようなことではないでしょうか。

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