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2023年05月の記事は以下のとおりです。

スタンバイ電流が極端に多いPC-1251

 私が所有するPC-1251のうち,最後に入手した,最も程度の悪い(ゆえに常用機)の電池が切れてしまいました。

 まあ,電池が切れることそのものは普通の事なのですが,その電池の減りが随分早いのです。修理してまだ2ヶ月ほど,その間ほとんど使っていないわけで,それでこれだけ早く電池が切れてしまうと,1年間に6回も電池を交換しなければならなくなります。

 これはおかしいと調べてみると,スタンバイ電流がやっぱり120uAと大きな値を示しています。正常なPC-1251は大体20uAから多くても30uAくらいですから,これはやはり多すぎます。

 動作そのものに問題はないので,どこかにリークしているのでしょう。これはなかなか厄介です。

 ちょっと難しい修理になるだろうと思いつつ分解します。目処を立てたのは,LCD周りです。このPC-1251は,付けっぱなしになっていたCE-125のNi-Cd電池の液漏れと,ケースからの謎の液体の染み出し(おそらく可塑剤)によって「汁まみれ」になっていて,かなり基板にも被害が出ていた個体です。LCDも水没に近い状態になっていて,基板の金メッキも剥がれていました。LCDを交換した時もなかなか上手く表示が出てこず,散々苦労した覚えがあります。 

 圧電ブザーを外して分解,この段階でスタンバイ電流は少し減って60uAから80uA程度。続けてLCDを取り外し,導電ゴムを交換します。古いものは粘り気が出ていて,もしかしたら絶縁不良からリークが出ているかも知れないと思ったからです。しかし結果はNG。交換してもスタンバイ電流は減りません。しかもまた表示不良です。いやー,困った。
 
 導電ゴムはこのままオリジナルを使うこととし,今度はLCDとベゼルを固定する両面テープの厚みを稼ぐために,テープを貼ることにしました。両面テープは剥がしてあるので,その分だけ厚みが減っています。なので,よく似た厚さのテープを貼って厚みを調整するわけです。

 もともと基板は薄く,しかもベークの安い両面基板です。ここに液体が染み込んでいるので厚紙みたいにふにゃふにゃになっていますから,ベゼルを無理に固定すると,基板がたわんで端子が浮いてしまいます。

 なんどか調整を行って取り付け完了。一応表示は出るようになりました。(後述しますが,時間が経過すると表示が乱れたりする問題が後になって出てきました。)

 さて,スタンバイ電流が多い理由はLCDではなかったわけで,ここからがリーク探しの旅になります。次に疑ったのは基板の不良です。電解液によるレアショートが原因になることが多いので,まずは目視です。しかし,見た限り金メッキの腐食箇所も大丈夫そうです。

 さらにチェックを進めます。テスターで手当たり次第に抵抗値を見ていきます。ここで1MΩ以下になっている箇所が見つかったら,回路図と照合してその値が正しいかどうかを確認していきます。すると,拡張コネクタの隣り合う端子の両端の抵抗が1MΩ以下になっている箇所が見つかりました。

 コネクタの外観は問題ないのですが,実はこのコネクタには液体が染み込んでいて,CE-150側のコネクタはレアショートしていて,プリンタが動かなくなっていました。本体側のコネクタも内部でショートしているのではかいかと思います。

 そこでコネクタを基板から取り外して再度抵抗値を測定,やはり1MΩ以下になっています。IPAにつけ込んで揺すると,青いサビがポロポロと出てきました。コイツが端子間をショートさせていたんでしょう。

 洗浄後に抵抗値を測定すると,600MΩ以上。これで絶縁は保たれました。このコネクタを外した状態で本体のスタンバイ電流を測定すると40uAから60uAくらいで,少し減っています。これが原因だったことは間違いなさそうです。

 これで組み上げて再度測定したところ,なぜか80uAから100uAに増えていました。スタンバイ電流は不安定なのでこれくらいは増えるかもなあと思ったのですが,冷静に考えると100uAならやはり数ヶ月しか電池が持ちません。他の個体が20uAから30uAですので,まだどこかおかしいはずです。

 そして問題がまだ2つあります。10分ほどすると表示がおかしくなる問題と,メモリが化けるもんです。短いプログラムは問題ないのですが,大きなプログラム,特にマシン語をロードすると暴走します。

前者はベゼルのカシメを少しずつ緩めてなんとか解決しました。2つ目はメモリ基板とメイン基板を繋ぐ導電ゴムを面倒くさがらずにその都度アルコールで拭くことと,内部のフレームをきちんと取り付け,かつ圧電ブザーの配線を上手く取り回して,部品で挟んでしまわないようにすることで,メモリ基板を浮かないように取り付けることで,なんとか解決しました。これ,なかなか大変です。

 ROMのアドレスと低位のRAMアドレスがきちんと繋がっていれば,とりあえずマシンは起動します。しかし,高位のアドレスへのアクセスが発生すると暴走するわけですから,とりあえず起動しました,ではダメなのです。

 メモリ基板の取り付け方でもスタンバイ電流が変わります。メモリのエラーが出るときは多めですし,上手く取り付けられた時などは20uA程度まで下げる事が出来たりしますが,こういう時はメモリエラーは出ません。アドレスが浮いたりするんでしょう。

 スタンバイ電流が30uAくらいになってきたので,いよいよ本格的に組み上げます。しかし,最終チェックで60uAから80uAに戻ります。一晩経つと100uAを越えているので,絶望的な気分になりました。

 スタンバイ電流が増えたときの差分を冷静に考えると,圧電ブザーを取り付けたのが差になっています。もしやと思い,圧電ブザーを付けたり外したりすると,やはりスタンバイ電流が大きく変わります。

 さらに元々の圧電ブザーの直流抵抗を測定すると,数百キロΩと異常に低い値です。正常なものは無限大でなければなりません。

 たぶんこれが原因です。新品の圧電ブザーに交換するとスタンバイ電流は20uA程度になりました。この後,メモリチェックも完了,ようやく修理が完了しました。

 結果として,リークはコネクタのレアショートと,圧電ブザーの不良でした。基板やLCDには問題がなかったということになります。どちらも単純な構造の部品ですし,寿命はないようなもので,壊れてしまうことも想像しなければ,壊れた後に何が起こるかは,接触不良や音が出ない程度の想像はできても,スタンバイ電流が増えるという事まで想像出来る人は少ないでしょう。そもそも圧電ブザーって壊れるんですねぇ。

 今回も苦労しました。液漏れが本体のあらゆる箇所を蝕むという,恐ろしい病気のような元凶になっていることをまざまざを見せつけられました。多くのポケコンがこうした深刻な事情で故障しているkとをを考えると,修理など一筋縄ではいかず,結局修理出来ていないまま使われているものや市場に流れているものも多いのではないでしょうか。

 世の中には,ジャンクのポケコンを修理して売って小遣い稼ぎをする人がいるようですが,彼らがここまできちんと見ているとは思えませんし,仮に見ていたとしても修理出来るだけのスキルを多くの人が持っているとも思えません。

 もし,ポケコンが欲しいなら,やっぱり自分で修理出来るだけの技術を持つことが重要だなあと思いました。

 

PB-100をPCに繋げる

 PB-100の新鮮な使い心地を楽しんでいますが,そうなってくると必要なのはプログラムのロードとセーブを行う仕組みです。苦労して入力したプログラムを保存する,OCRで雑誌のプログラムを入力するなど,ロードとセーブは使いこなしの第一歩です。

 PB-100のロードとセーブは,原則的にカセットインターフェースで行いますが,専用のカセットインターフェースは高価ですし,滅多にお目にかかれません。ならば自作となるわけですが,PB-100のカセットインターフェースはカスタムICが搭載されているので,入手が容易な部品でさっと作るわけにはいきません。

 それは12ピンの拡張端子が特殊なプロトコルであるからですが,ここを解析してP`B-100からはカセットインターフェースに見える,シリアルポートを作った人が海外にいます。

 いやー,こういうのは助かります。PB-100くらいだと波形を見ていればなんとなく解析も出来て,マイコンでさっと作る事も出来るかも知れませんが,時間も手間もかかりますし,何より本物のカセットインターフェースを持っていなくては解析が出来ません。

 作例ではAT90S2313という,これまた懐かしいAVRを使っています。私も手持ちが2つほどあり,使い道がなくて正直どうしようかと思っていた所だったので,好都合でした。

 オリジナルは,外部のEEPROMへの読み書きやプリンタインターフェースも持つ重装備でしたが,私はとりあえずシリアルポートさえ出ていればよかったので,回路を大幅に削減し,最低限のものだけにしました。するとAVR意外には抵抗が数個,10MHzのクリスタルにコンデンサが3つほどと,本当に簡単なものになってしまいました。AVRとクリスタル以外はチップを使ったので表からは見えません。

 20230517182048.jpg

 30分ほどで組み立てが終わり,AVRの書き込みもデジットのAVRWRTでさっさと済ませて,完成です。USB-シリアル変換基板をくっつけてテストをします。

 ところが,なかなか上手くいきません。最初はTeraTermでの送受信もおぼつかない状況でしたが,これはフロー制御をXon/Xoffにすることで解決。これでSAVEコマンドで読み込んだプログラムをLOADコマンドで書き戻せるようになったのですが,あくまでこれはバイナリでの話。

 バイナリをテキストに変換し,編集してまたバイナリに戻して転送という目標を達成するには,専用のツールを作られた方がいるのでこれを使います。

 しかし,これも複数のエリアにまたがる変換には対応しないなど,なかなか大変でした。ある方が修正版を出してくださっていたので,これを使ってどうにかやりたいことが出来るようになりました。(とはいえ複数のエリアへの書き込みは手動で一部テキストを修正しないといけないのですが・・・)

 しかしそれでも,実行すると原因不明のエラーで止まりますし,場合によってはリセットをしないと復活しないこともあります。しばらく悩んだのですが,結論はPB-100のバグでした。

 なんでも,変数のクリアを行うVACコマンドにはいろいろ深刻なバグがあるらしく,この命令の後にマルチステートメントでコマンドを書いてしまうとエラーになったり暴走したりするんだそうです。

 こんなバグは後のモデルでは解消されていると思いますが,これもPB-100ならではです。分かってしまえばなんということはありませんし,むしろ味わい深い個性です。

 ということで,PB-100がPCと繋がり,プログラムの保存が可能になりました。これが出来ないと実用に供することは現実的に不可能で,PB-100がそのハードルを越えてくれたことがうれしいです。

 

ようやくPB-100を手に入れた

 中学生の時に選んだポケコンがシャープのPC-1245だったことで,今日に至るまでポケコンはずっとシャープのものを使ってきました。もう1つのポケコンメーカーであるカシオのものは,結局一度も使う事はありませんでした。

 1980年代のパソコンブームがやってきても,5万円も10万円も,もちろん20万円もするパソコンを大した目的もなく買ってもらえる子どもはそう多くなく,ゲームがやりたいなら15000円のファミコンが最善の選択肢になることは,子どもにとっても親にとっても必然だったと言えます。

 しかし,プログラムを作るという目的に目覚めた子どもたちは,どうしてもパソコンを欲することになるわけで,そこには価格と携帯性という2つの高い壁が立ちはだかっていました。

 この2つを一気に打開するのが,ポケコンでした。関数電卓に端を発するBASICでプログラムが出来るポケコンは,もともとビジネスツールとしての性格が強く,価格も高いし子どもたちが目にするような場所にはありませんでした。

 しかし,カシオがPB-100という革命的なモデルを発売したことで,子どもたちの選択肢が1つ増える事になりました。価格は14800円,文字通りポケットに入る小型のマシンであり,しかもカシオの電卓を売っているところならどこでも買えるという入手性の良さもあり,パソコンは無理でもこの値段ならと,買ってもらった子どもたちが多くいました。

 実はBASICの走るポケコンはシャープの方が早く,PC-1210がその第一号と言われています。カシオも追随してプログラム関数電卓の発展型としてfx-602pを発売するのですが,前者はビジネス向け,後者は理系学生やエンジニア向けという特殊なマシンで,子どもたちの目に触れることはありません。

 これが一変したのがPB-100で,子どもたちが目にする雑誌にも広告が掲載されたり,テレビCMが頻繁に放送されたりと,子どもに対するアピールが行われるようになったのです。

 ライバル機であるPC-1245を知らない子どもも多く,実際私もお店で買うまでPC-1245の存在を知りませんでした。

 私の親はPB-100を渇望していた私を無視し,やがてPC-6001,数年後にPC-1245を買い与えることになるわけですが,あのときPB-100を買っていたらマシン語で遊ぶことも,ハードウェアの改造を行うこともなかったわけで,偶然とは言えシャープのマシンを選んだことは幸いだったと思います。

 シャープのファンからみたPB-100は,とにかく安かろう悪かろうなマシンという印象です。PC-1245が17800円,PB-100が14800円で,その差は3000円もありましたが,この差はスペックの差を考えると十分おつりが来ます。

 メモリはPC-1245の半分しかなく,PC-1245並に増設すると6000円もかかります。しかも標準のメモリでは足りないシーンがほとんどで,増設しないという選択肢はありません。

 表示桁数はPC-1245が16桁あるのに対しPB-100は12桁です。電卓なら十分ですが,文字やゲームではかなり厳しいです。

 BASICの仕様についても,PC-1245あ上位機種のPC-1250とほぼ同じの強力なものを搭載していたのに対し,PB-100は命令数も絞り込まれていていましたし,PC-1245には上下キーがありプログラムの編集が楽に出来たのに,PB-100ではいちいちLIST命令でリストを表示させる必要がありました。

 PC-1245はVRAMへのアクセスが許されていたのでグラフィック表示が可能だったのですが,PB-100は完全なキャラクタベースのマシンでした。表現力が圧倒的に違いました。

 極めつけがマシン語です。PC-1245では非公式にマシン語が使えて,高速なゲームはもちろん,コンパイラやアセンブラなどの開発ツールも作られました。PB-100は基本的にBASICのみで動かすマシンでしたので,高度な使いこなしが出来ず,マシンの限界がすぐに来てしまいます。

 ハードの改造もそうです。PC-1245はメモリの増設や周辺機器の製作などがマニアの間で行われていましたが,PB-100にはそうした手を入れる余地がなく,ハードウェアを触ると言う文化が育ちませんでした。

 総じて,PB-100は電卓の延長,PC-1245はそれでもパソコンを踏襲するアーキテクチャを持つもので,PB-100の対抗機種としてPC-1245が17800円で登場したことは,その内容を考えるとかなりのお買い得だったと言えると思います。

 PB-100が優れていたのは,BASICで作ったプログラムが高速で動いたことでしょうか。PC-1245は当時から遅いマシンと言われていましたから,PB-100のサクサクとした動作は,初心者がゲームを作るには最適だったと思います。

 個人的には,MODEが整理されていないことが嫌でたまりませんでした。RUNとWRTがMODEに分かれていることはよいとして,なぜ小文字の入力やグラフィック文字の入力にMODEの切り替えが必要なのか,DEGやRADの切り替えがモードで切り替わることも納得が出来ず,とにかく雑多な機能の切り替えをただただ割り当てただけという乱暴な設計がどうにも馴染めませんでした。

 PC-1245はその辺が綺麗に整理されていましたから,悩むことも忘れることもありません。このあたりも計算機上がりのPB-100との違いだったように思います。

 そんなわけで,ポケコンの人気を二分するシャープとカシオですが,私はシャープのポケコンに不満を感じることなく,現在まで使い続けています。

 しかし,カシオのポケコンにもファンが多くいます。PB-100で育った人たちは今どんなポケコンを使うのか,そんなにファンが多いマシンなら,きっとなにか魅力的なところがあるに違いないと,新品でVX-4を買ってみましたが,やっぱり馴染めずにほとんど触っていません。

 それでもPB-100は評価の高い大ヒットモデルです。VX-4がPB-100から(UIやアーキテクチャ,設計思想などひっくるめて)建て増ししてきたことから使いにくくなっているだとしたら,PB-100なら楽しく使えるかも知れません。なにより,評価の高い大ヒットモデルで,私自身もあれほど欲しかったマシンです。一度はきちんと使ってみなければ,その実力を公平に測ることはできないでしょう。

 そこで出来ればオリジナルをと,PB-100を探してみました。程度の良いものは少ないですし,値段もやや高めで,カシオの人気というのも根強いものがあるなと感じました。

 ふとしたことから,某オークションで2台落札,先に届いた1台は程度が悪く,動作試験をするも裏側を軽く抑えないと表示の一部がかけてしまいます。

 嫌な予感もしますが,分解掃除を行います。再度組み立てますが,表示されない部分が更に増えています。

 何度も組み直しを行っているうちに,どんどん表示されない部分が広がっていきます。もうどうにもなりません。もったいないですが,廃棄することにしました。

 なんとまあ,脆弱なことよ。シャープのマシンはこのくらいの分解掃除でダメになったりすることはあり得ません。今回の破損の原因はLCDと基板を繋いでいるカーボンフレキの断線です。切れやすく,交換不可能,基板だけ,あるいはLCDだけを再利用することも出来ず,本当に困った部品です。

 このあたりも電卓上がりなんだよな,と悪態をつきつつ,私はふと高校生の時に同じような失敗をしたことを思い出しました。

 友人が,PB-80を私に譲ってくれたことがありました。なんでも一部のキーが効かず,捨てるというので周できるかもともらってきたものです。

 PB-80はさらにコストダウンを行ったモデルで,キーはフィルムキーです。これが壊れているなら,もう修理方法はありません。

 この時は効かないキーを銅箔テープかなにかで動くように出来たのですが,LCDのカーボンフレキを傷つけてしまい,結局廃棄したのです。その時もPC-1245に比べて壊れやすい,分解したらもうおしまいだ,と言う印象を持ったのです。

 同じことを30年も経ってから思い出すことになりました。つくづくカシオのマシンには縁がないものです。

 気を取り直してもう一台のPB-100が届くのを待ち,こちらを本命としました。

 届いたもう1台のPB-100は非常に程度が良く,ソフトケースも付属してきたことから,いつもケースに入れて使われてきたんだろうなあと思わせるような,綺麗さでした。

 そもそも,このソフトケースも綺麗で,傷んでいません。ということはあまり使われなかったのかも知れないですね。

 ただ,LCDの偏光フィルムは劣化が進んでいるようで,中央部だけ色が変わっていますし,コントラストも下がっています。

 分解前に動作確認をしますが,全く問題ありません。そこで早速分解,丁寧に作業を行い,まずはRAMを移植します。さくっと作業を済ませてテストをすると,ちゃんとRAM容量が増えています。これでOR-1内蔵のPB-100になりました。

 続けて分解してハンドソープで洗浄します。キーの程度も良くて日焼けがほとんどありません。いやー,気持ちのいいものです。

 すべてを洗浄し終えたら今度こそ慎重に組み立てて完成。今度は問題なく組み立てることができました。

 ソフトケースも若干臭いがあったので洗浄したので,これで気持ちよく使えるようになりました。

 さて,実際にPB-100を使ってみると,まず処理速度が速いことにびっくりします。これだとアクションゲームをつくることも確かに簡単です。

 計算の精度については,PB-100の方が上という声もあるようなのですが,どちらも基本的には電卓ベースですし,内部は当然BCD演算ですので違いがあったら困ります。表示文字数の関係で表示桁数に違いがあるのは確かなようですが,内部の演算はどちらもきちんと行われているはずですので,私は同じようなものだと考えています。(でも,有効桁数を設定して四捨五入を行うことができるのはPB-100の勝ちですね)

 それから慣れないと面倒だったプログラムエリアの考え方ですが,これも慣れてしまえば結構便利です。SHIFT+数字キーですぐに実行可能,異なるプログラムエリアからジャンプしたりできることも便利,ただし変数はグローバル変数というのが悲しいですが,バッテリーバックアップでメモリが保存され,電源ONですぐ動かせるというポケコンの特色は,小さい便利なプログラムをさっと使える事にあるわけで,これが10本も登録出来るというのはなかなか便利な仕組みでしょう。

 もちろんPC-1250でもこうした運用は可能なのですが,プログラムエリアという考え方がありませんので,単一のプログラムのジャンプ先をキーに割り付けることで一発で実行するという仕組みを取ることになります。どっちも結局同じようなものなのですが,どっちが便利かというと実は私はPC-1250の方が便利だと思っています。

 とまあ,カシオらしい独特のキーの押し心地が実は一番気に入っているんですが,12桁しかないLCDでこれだけ面白いゲームが出来ているというのもすごいことで,もう少し真面目に使い込んでみようと思っています。

 その際に必要になるのは,やはり外部との通信手段です。せっかく打ち込んだプログラムが消えてしまう,PCからプログラムを流し込みたい,雑誌のプログラムもOCRで一発!という話は,PB-100が外とやりとりが出来るようになっていることが前提です。

 そこで必要になるのが,カセットインターフェースです。PB-100の12ピンの拡張端子に差し込むオプションですが,PC-1250のようにレベルコンバータだけの簡単なものではなく,専用のLSIが乗っかっています。高価なのはそのせいです。(余談ですが,PB-100の拡張メモリは汎用の非同期SRAMではなく,特殊なプロトコルのメモリで,端子数は少なくて済むのですが,高価でした。PB-100は本体価格が安いのに,オプション類が高価だったのは,こういう理由があるのだと思います)

 しかし,世の中にはこのカセットインターフェースを解析してUSBでPCと繋いでしまう人もいるんですねえ,すごいです。私も手持ちのAVRを使ってさっさと作ってしまうことにしました。続きは後日。

PC-1210をあえて味わう

  • 2023/05/10 11:02

 連休中のポケコンについては,実はPC-1210も復活させています。

 少し前にPC-1246のLCDを注文した時,同時にPC-1210用のLCDも追加で注文してありました。すでにPC-1211は復活させていますが,不動品がもう2台あり,そのうち1台がPC-1210ということで,ぜひこの最初期モデルを復活させようと考えたのです。

 PC-1210はPC-1211とならんで,シャープのポケコンの初代モデルです。両者はメモリの大きさが異なり,PC-1211は1.5kByte,基本モデルのPC-1210はわずか0.5kbyteしか搭載していません。(プログラム可能なステップ数はわずか400ステップですよ)

 しかし,PC-1210やPC-1211が処理速度や貧弱なBASICであることからすでに実用性はないと見るべきで,もはや1kByteの搭載メモリの差など意味はありません。どちらかというとわずか400ステップしかないメモリを味わうことこそが,このモデルの価値でしょう。

 そんなわけで,残った部品から1台分の部品をかき集めて,LCDの交換を済ませます。仮組みして動く事を確かめたら組み上げるのですが,問題になったのはコントラスト調整用のボリュームです。

 実はPC-1211を数年前に復活させたとき,このボリュームを壊してしまいました。そいこで部品取りの基板から取り外して移植したのですが,移植の時にもう1つ壊したらしく,結局2つ分の基板のどれにもボリュームは残っていませんでした。

 もともとPC-1210のコントラストは半固定であり,一度調整したら,あとはもう調整をしないものになっています。温度の変化に合わせてコントラストを自動で調整する仕組みがあるからですが,それならここを固定抵抗にしてしまえばいいということで,新しいLCDにあわせて抵抗を決めて,動くようにしました。

 ということで,PC-1210とPC-1211が揃いました。デザインも質感もキーの押し心地も,私の中では最高峰で,電池もLR44が4個というのもなかなか面白いです。

 LCDは24文字表示が可能でPC-1245よりも情報量は多いですし,フォントが独特で見ていて飽きません。LCDの色はオリジナルは黄土色で,これがまた趣があるのですが,新しいLCDでは深い緑色となっていて,これはこれでレトロっぽい雰囲気があります。

 ただ,実用マシンとして使えないと思っているのは,電源ONからキーの入力が有効になるまでに1秒ほどの間があることで,電卓代わりにさっと使えない事が致命的なことと,PROモードとRUNモード切替がスムーズではなく,途中でDEFモードとRESERVEモードを必ず通らねばならないという煩わしさがあることです。

 これらの問題点は第2世代のPC-1250できちんと解決しているわけですが,1970年代のテイストをもつPC-1210がもう少し使えるモデルだったらなあと,残念な気分です。

 ちなみに,nCrという,組み合わせの計算を行うプログラムを走らせてみましたが,40C9なんかの計算をさせると10秒ほどダンマリです。同じプログラムをX-07で行うとほぼ一瞬ですので,この性能差は大きいなあと思いました。

 

PC-1261のLCDを交換

 PC-1261を入手した話を少し前に書きましたが,シャープのポケコンの持病であるLCDの劣化がこのモデルにも例外なく発生していて,それで比較的安価に入手出来ました。

 表示エリアに劣化が進んでおらず,しばらくは実用になるとふんで購入したわけですが,劣化は進むものでもあり,いずれダメになることがわかりきっている以上,他のモデルと同様に交換用のLCDが登場することを待ち望んでいました。

 すると連休の直前,日本の有志がPC-1261用のLCDを作成し頒布していることを知りました。価格は6200円と少々高めですが,それでもこの値段でPC-1261が完全に修理出来るなら安いものです。迷うことなく注文しました。

 連休の間に届いたLCDに早速交換してみました。作業そのものは他のモデルと同様ですので心配はないのですが,今回はちょっと失敗をしました。

 LCDの取付位置をきちんと記録していなかったのです。

 これまでは,古いLCDを取り外す前に,LCDとLCDを貼り付けている枠の位置関係を,枠に傷を付けて印をつけていました。しかし今回はうっかりそれを忘れてしまい,かなり適当な位置に固定することになってしまいました。

 問題になるのは左右の位置ずれです。これがズレると接点の位置もズレてしまうので,最悪表示が出なくなってしまいます。これだけは間違ってはいけないと慎重に作業を進めたのですが,これに気を取られてしまい上下方向の位置は正確な記憶もなく,適当にせざるを得ませんでした。

 取り付けてから電源を入れると問題なく表示が出たので安心して組み上げますが,完成してから気が付いたのはDEGやRADの表示を行うドットが低い位置にきすぎて閉まっていたことでした。

 ドットがベゼルの下側に一部潜り込んでいる感じで,角度を変えるとドットが薄く見えてしまうほど隠れています。これはさすがに気になります。

 そこでもう一度分解し,LCDの位置を上に目一杯にずらして固定しました。するとドットとベゼルの間に隙間が出来たのはいいんですが,上が結構ギリギリです。もう0.5mm程下にした方が良かったかなあと思うのですが,さすがにもう一度分解すると壊しそうですし,鉄の枠からLCDを取り外すときにかなり無理をしたので,割れてしまうことも心配です。ですので,もうこれで良いことにします。

 新しいLCDにすることで,くっきりはっきりの表示が美しいですし,SHIFTやカナの表示も出ているのはとてもありがたいのですが,なによりこれ以上劣化が進むことを心配しなくていいのが素晴らしいと思います。

 一方で,やっぱりオリジナルのLCDへの未練というか憧れも残っていて,一番いいのはオリジナルのまま,交換はあくまで修理という位置付けであり,アップグレードとして新品のLCDに交換するという選択肢はないなあと思いました。

 PC-1261は関数電卓とほぼ同じ大きさと厚みを持つ真のポケットコンピュータであり,その中でもっとも高機能なモデルです。ハードウェアの改造の余地が残っていないのでつまらないと言えばそれまでですが,PC-125x系のマシンとしては最も完成度が高く,今でも人気は高いです。

 以前も書いたと思いますが,なぜこれをPC-1245の後継機種として当時買わなかったのかと後悔していて,PC-1245のように日常的に持ち歩いて使っていればもっと楽しかっただろうなと思います。今手に入れたこともうれしいですが,やはり当時道具として使い込むことに勝るものはないでしょう。

 

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