前回,キーロックスイッチで電源をOFFにするという運用が完成形に至ったと書きましたが,この手のガジェットの環境設定は,飽きるまでやってしまうものです。やめときゃいいのに余計なことをやって,はまりまくるのが常です。
今回は,キーロックスイッチをOFFにして電源を入れたときに,JWezWmという気象情報取得ソフトを起動し,自動的にデータを取得後にToday画面の表示を反映,後に自動的にアプリが終了するという流れを実現することになりました。
前回までの方法では,キーロックスイッチがONになっているときは,とにかく電源を切る,ということだけを実現すれば良かったので,どんなときでも自分を起動しておけば済みました。キーロックスイッチがOFFになっているときは「なにもしない」からこそ出来た方法です。
しかし,今回は同じ起動したときでも,キーロックスイッチのONとOFFで処理が違ってくるので,キーロックスイッチがOFFの場合の記述も必要です。
そこで,RegcondExec.iniを以下のように書き直します。
[KeyLockOn]
triggerNegate=false
triggerKeyName=HKEY_CURRENT_USER\Software\Sharp\PhoneStatus\Status0
triggerKeyState=exists
triggerKeyType=DWORD
triggerKeyValue=0x0001
checkType=both
polling=200
exec=\Program Files\MortScript\PowerOff.mscr
exec=\Program Files\RegCondExec_v010\RegCondExec.exe| -execmode=open -section=KeyLockOff
[KeyLockOff]
triggerNegate=false
triggerKeyName=HKEY_CURRENT_USER\Software\Sharp\PhoneStatus\Status0
triggerKeyState=exists
triggerKeyType=DWORD
triggerKeyValue=0x0000
checkType=current
exec=\Program Files\JWezWM\JWezWm.exe|auto
exec=\Program Files\RegCondExec_v010\RegCondExec.exe| -execmode=open -section=KeyLockOn
onUnmatch=\Program Files\MortScript\PowerOff.mscr
onUnmatch=\Program Files\RegCondExec_v010\RegCondExec.exe| -execmode=open -section=KeyLockOff
前回と同じように,RegcondExec.exeのショートカットをスタートアップフォルダに置き,起動オプションを -section=KeyLockOnとしておくことで,[KeyLockOn]の記述に従ってキーロックスイッチを監視します。
キーロックスイッチの状態が変化したら,PowerOff.mscrというMortScriptを実行します。このスクリプトは実行後6秒後に電源を切るものですが,実はlock2suspendも常駐させているので,まずLCDの表示が消え通信が切断されて,終わった頃に電源が切られるという仕組みです。これは前回同様です。
そして,前回は再び[KeyLockOn]で監視に入った流れを,今回は[KeyLockOff]という別の流れで監視することになります。
[KeyLockOff]では,その時のキーロックスイッチの状態を監視します。変化は監視しません。電源が入った時の状態が,もしキーロックスイッチOFFなら通常の起動ですので,JWezWmを起動し,気象情報を取得します。済んだら今度は[KeyLockOn]でキーロックスイッチを監視します。キーロックの状態がどうなっているかで,動かす監視の方法を変えるというわけですね。
もし,キーロックスイッチがONなら,それはきっと電源ボタンが不意に押されて電源が入ってしまったということでしょうから,[KeyLockOn]の時と同じように電源を落とすスクリプトを呼び出し,[KeyLockOff]でキーロックスイッチを監視するようにします。
この流れでいけば,キーロックスイッチをON,OFFそれぞれで好みの処理をさせることが可能になりますし,間違って押された電源ボタンも無効に出来ます。
今回,随分はまったのは,RegCondExec.exeの起動オプションでした。-execmodeはデフォルトではtoggleになっています。[KeyLockOn]しかなかったときには,このオプションを省略してtoggleになっていても,なぜかきちんと動作してくれていました。
今回,[KeyLockOff]というsectionを追加して使い分けたのですが,KeyLockOnからKeyLockOffを起動すると,異なるsectionを起動することになるので,デフォルトのtoggleでは常駐解除が出来ずに,無効なsectionというエラーが発生していました。
そこで,-execmode=openとし,そのsectionで起動するように強制すると,問題なく動くようになりました。
いや-,実はよく分からないのです。topggleで同一のsectionの起動がエラーにならない前回の場合,常駐の解除がなされないといけません。でも実際には常駐されています。つまり,そのsectionの動作は終了し,そこから起動がかかっているという解釈です。
しかし,この解釈なら実行後に終了して別のセクションを起動しているわけですから,エラーなど起きるはずがありません。微妙なタイミングなのかも知れませんが,どちらにしてもopenで起動すれば,思った通りの動作になってくれます。
こうして,めでたくキーロックスイッチの操作で気象情報を自動取得する仕組みが追加できました。私は通話にアドエスを使わないので常に電源を切っておけるのですが,こういう使い方をするのは珍しいのか,あまりgoogleでも引っかかりません。
さて,この作戦で運用に入ったのですが,その後もいろいろ苦労しました。
(1)WEBの閲覧でフリーズ
リセット直後は問題ないのですが,一度電源をOFFにすると,次からWEBをみようとブラウザを起動すると,いつまで経っても「接続中」の表示が出たまま,終了することも出来なくなる。結局最終的にはすべてのアプリが固まるので,リセット(それも電池ブタを開けて)するしかない。
メールも天気情報も同じ条件でちゃんと取得できるので,本当にWEBの時だけ起こるのだが,OperaもIEも他のブラウザも同じように発生するのが謎であった。
数日間の試行錯誤の結果,「Pocketの手」のIEの設定を起動すると,接続に関係するチェックボックスが3つとも解除されてしまうというバグがあり,これが原因でずっと接続中のままになってしまうことが分かった。
改めてIEの設定から接続に関するチェックボックスを3つとも設定すると,これまでの問題がウソのように,快適に動くようになった。やれやれ。
(2)RealVGA
アドエス最後のカスタマイズ,RealVGA化。せっかく800x480ドットのLCDにもかかわらず,196dpiに設定されたアドエスは,表示される内容がQVGA並みとなる。その分文字は高品位だが,小さいLCDに多量の情報が表示されている間隔は便利だし気持ちのいいもので,これを本当にVGAとして使うべく,128dpiや96dpiに設定することを,ReakVGA化と呼んでいる。
ところが,入力パネルのdllが,196dpiの物以外に用意されておらず,単に設定を変えただけでは入力パネルが出てこないだけではなく,最悪の場合はリセット後に再起動しなくなる。私はここにはまり,5,6回フォーマットをする羽目になった。
そこで,xxxをyyyしてzzzすることで128dpiと96dpiの入力パネルを入手し,今のところ問題なく動作するようになった。文字が小さく,多くの情報が手に入るようになったことで使い勝手は向上したが,フォントの見やすさがさらに求められることになってしまった。
また,画面が暗いままだと文字が読みにくいため,バックライトの輝度を1段上げることになってしまったのと,一部アイコンや設定画面が崩れたり拡大されて表示されるなど,おかしな表示なってしまうという弊害もある。
はっきりいって,私はもう元の解像度には戻せない。
(3)GoogleTalk
GoogleTalkを常用する私としては,OctraTalkの使い勝手が悪い癖に有償という状況に辟易していたところ,偶然にもtalkonautというアプリを見つけた。やや動作が重いが,日本語も通るし,使い勝手も悪くはない。実質JabberをWindowsMobileで使うための唯一の解でもあるので,こちらをえらんでOctraTalkはさっさと削除。
(4)メイリオ
真のClearTypeであるメイリオは,個人的にはWindowsVistaにおける最大の功績であると評価をしている(印刷フォントとしてはナニでも,液晶表示フォントとしては見やすさと軽快な印象で私は好きです)のだが,これをアドエスに入れてみる。
Pocketの手からフォントリンクを変更して,システムフォントをメイリオにしてみたが,残念な事にメール(PocketOutlook)の受信したメールのフォントが変えられない。
ところがなんと先人達の偉大なことよ。PocketOutlookが使用する,msgothic.ac3を,同じファイル名でサイズゼロのファイルで上書きしてやると,PocketOutlookは仕方がないからシステムフォントを使うことにするらしい。よってOutlookでもフォントの置き換えが可能になるとのこと。
やってみると,なんと見やすく,美しいことか。情報量の多さが窮屈な感じにならず,実に涼しい画面になっているので,画面を眺めていることが苦にならないどころか,楽しいとさえ思える。賛否両論あるカスタマイズではあるが,私はRealVGA化と同時に行う事をおすすめしたい。
(5)ActiveSyncのBluetoothによる同期
Bluetoothを使ってActiveSyncを使う事は,最初はいろいろ苦労したが,出来てしまえば実に簡単なことで,これほど手軽にActiveSyncが出来る事に感激した次第。昔,シリアルポート経由で行っていた頃,なかなかうまく接続できずにイライラしたものだが,環境は確実に良くなっていると思う。
はっきりいって,アドエスのような端末こそ,Bluetoothが内蔵されているべき。
(6)ブラウザの評価
OperaとPocketIEの調子が悪いときに,他のブラウザをいろいろ試した。
・SkyFire・・・重たいし,これまでのブラウザとあまりにUIが違うので却下。ついでに高解像度にも対応しないのでみにくくて仕方がない。
・IrisBrowser・・・WebKitらしい軽さと再現性は大いに結構だが,やはりスクロールなどのUIがこれまでのブラウザと違うし,それが必ずしも使いやすいわけではないため却下。特にzoomの設定値を覚えてくれないというのは,致命的。
・OperaMini・・・Javaベースの小さいブラウザで,速度もまずまずだったのだが,起動するのにいちいちJavaを起動しないといけなかったり,Java独特のもっさいりしたメニューにげんなりし,速攻削除。
・LunascapeMobile・・・エンジンを切り替えられるタブブラウザとしてそれなりの評価を得ているLunascapeではあるが,WindowsMobile版ではIEのコンポーネントを流用しているので,単にIEがタブブラウザになっただけ。ホームページを変更できないなどかなりしんどいが,IEはそもそも軽く使いやすいので,今のところこれで決定。
・NetFrontv3.5・・・無償版がダウンロード出来るのだが,あろう事か使用期限が5月31日までとなっており,この段階で評価する気にならず放置。
・minimo・・・ダウンロード出来ず。Firefoxのモバイル版のリリースも当分先な感じ。もはや期待しないことにする。
結局,Opera8.7とLunascapeMobileの使い分けで落ち着くことになりそう。
というわけで,多少の問題と妥協はありつつ,なんとか運用できるところまできたかなという印象です。いつも,こうしたガジェットの環境構築は,終わった後ではもう二度とごめんだと思うのですが,結局新しい機械を手に入れるとまたやっちゃうんですよね。
アドエスがどこまで使い物になるか,先人達の偉業を味わいながら,試していこうと思います。