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2008年06月の記事は以下のとおりです。

スカパーから離脱

 スカパーを解約しました。惰性とはいうのは怖いもので,ろくに見てもいないのに10年近くもお世話になっていました。

 最盛期は複数のチャネルを見ていましたが,最近は解約するのがもったいないという理由で一番安い300円のチャネルを1つだけ残し,基本料金とあわせて毎月800円程度で「維持」していました。

 毎月800円ですから,もったいないと思いつつもそのままになっていましたが,この300円のチャネルも近々値上げされ,毎月1000円を超えてしまうことが分かりました。

 大した増額ではないのですが,やはり1000円を超えると見過ごせません。かといってこのチャネルを解約すると,基本料金を支払う意味も全くなくなってしまいます。それならこの際解約です。すでにアンテナの向きも曲がっていて,どのみち満足に受信できない状態ですし・・

 1回目,1分10円かかる電話で長々と説明を受けたのですが,結局2週間の無料お試しで全チャネルを見られるようにする+情報誌を送るということで,解約を思いとどまりました。

 で,結局スカパーを見たのはゼロ回。情報誌もぱらぱらと目を通して捨ててしまいました。なんというか,本当にテレビって見るものがない時代になったんですね。有料放送でもこの有様なんですから,もうテレビはだめでしょう。

 それで,2週間後にもう一度1分10円の電話をかけ,解約の手続きをすることにしました。理由としてはもうテレビを見なくなりました,ということに尽きるわけですが,今さら通信衛星から飛んでくる微弱な電波をパラボラでつかまえてブロックノイズだらけの低ビットレートSD映像を見るのもどうかと,内心思っていました。(光接続でHD映像の配信も行われていますが,私のような旧世代のユーザーに対してのロードマップが今ひとつ周知されていない気がするわけですよ)

 解約の理由はすでに研究されているようで,機材の故障なのか,アンテナの整備不良なのか,見る物がなくなったのか,他のサービスへの鞍替えなのか,とにかくいろいろ聞かれました。私の場合は純粋なテレビ離れが理由の大半ですから,さすがに相手も打つ手がなかったようです。

 しかしスカパーあなどりがたし,解約後1年は契約手数料無しで再開できるとのことです。つまり,実質1年間は「休止」という状態になっているんですね。これで「やっぱりもういちどみたいなあ」と思った場合の敷居が下がります。

 こういう商売は実にうまく,一度つかまえた客を簡単に逃がさないという姿勢は実に正しい方法です。再開の敷居が低いということは,休止にされる敷居も低いという諸刃の剣ですので,あまり大々的に宣伝できませんが,解約したいという人にこそっと知らせると効果があるのは間違いないでしょう。

 大多数の顧客の中の一人ですが,こうした一人一人を粗末にせずきちんとフォローすることが,大きなビジネスに繋がります。去った顧客を「他にもお客はいるさ」と切り捨てることは,安易に誰でもやってしまう間違いですが,お客さんと向き合う姿勢は他のちょっとしたことにも出てきてしまうものなので,最終的に多くのお客さんから見放されてしまいます。

 ということで,6月いっぱいで解約です。

 そもそも,弟が当時のDirecTVを見ようと機材を揃えたところ,アンテナの設置の関係で受信できず,もったいないからと譲ってもらったことが始まりだったわけですが,DirecTVが会社を清算し,スカパーに吸収される際に無償で機材が提供され,契約料も無料だったことなど,いろいろあったことを思い出しました。

英語キーボードで心も体もスッキリ

  • 2008/06/25 13:26
  • カテゴリー:散財

ファイル 201-1.jpg

 
 MacBook Proですが,英語キーボードに交換しました。先週末に無事アメリカから手元に届き,早速交換作業です。

 その前に,届くまでの物流に感心しました。以前海外のお店で買い物をした際,なにかと時間がかかったりしたものですが,時間的な事以上に現在のステータスが随時確認出来るようになっているんですね。

 日通航空で配達されるのですが,WEB上で確認できます。しかも,

日付
6 月 13 日
出発・到着
LOS ANGELES =>
NARITA

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念願のMacBook Proを買いました

  • 2008/06/13 14:06
  • カテゴリー:散財

ファイル 200-1.jpg

 念願のMacBook Proを買いました。MB134J,通称竹と呼ばれているモデルです。スペックなどもはや意味もないのですが,45nm世代のCore2Duoの2.5GHzで2次キャッシュは6MB,メモリは667MHzで2GByteを標準装備,HDDはSATAの2.5インチ,5400rpmで250GByteです。標準価格は約30万円です。

 いやー,高い買い物でした。私も大概パソコンは昔から触ってきた人ですが,20万円を越えるマシンを買ったのは今回初めてです。ということは,これまでで一番高いパソコンを買ったことになります。

 ただ,言い訳するとこのMacBookProは,買い足す物がなにもありません。かつてはマシンを買うと同時にメモリを買い足す必要がありましたし,無線LANもオプションだったりしましたから,本体価格にプラス数万円を見込む必要がありました。

 しかし,最近のマシンはもうてんこ盛りです。オーディオの入出力1つとっても,すでにデジタルI/Oがついています。HDDも余裕の250GByte。これまでのiBookG4では120GByteですでにカツカツでしたから,このゆとりは気分がよいです。

 ということで,とりあえず必要になるものは本当に何もなく,購入価格の約23万円はそれなりにペイすると考えています。

 早速インプレッションといきたいところですが,平日に届いたのであまり使っていません。現時点で思ったことをいくつか書きます。

 参考までにこれまで使ってきたのがiBookG4-12inch(1GHz)でした。3年半ほど使ってきましたが,これはこれで十分なマシンでしたし,今でもお気に入りのマシンです。


・第一印象
 でかい,薄い,質感が高い,その割には軽い,相変わらず箱からすでに格好いい。


・眺めてみる
 袋から出してフタをあけ,液晶を見て,その大きさにまず満足しました。iBookから買い換えたい理由の1つが液晶の大きさでしたから,これは思った以上の満足感です。私はディスプレイはどんな物でもグレアが好きな人なので,アンチグレアの液晶にはちょっと抵抗があったのですが,画面が大きいのでグレア液晶では映り込みも随分気になってしまうでしょうから,これはこれで良かったのかも知れません。

 キーボードは当たり前ですが日本語キーボードです。私はどうもMacを使うときは英語キーボードでないとダメな人で,これまでのマシンはすべて英語キーボードだったのですが,今回は「そういうわがままを言っていてはいかん」と日本語キーボードに慣れることにしました。

 実際日本語キーボードを目の前にすると,なんというか壁が立ちはだかる感じがします。足がすくむといいますか。実家にある初代iBookは日本語キーボードなのですが,やっぱりミスタイプを連発しますし,思い通りに動かせないストレスがすごいので覚悟してはいたのですが・・・

 少し使ってみると,やっぱりダメ。@の位置が違う,Enterキーがでかすぎる,そしてなによりスペースキーが短く,左右に余計なキーがあり邪魔で仕方がない,最悪なのはバックスペースキーが小さすぎる。Macを使うときは,反射的にショートカットを使うので,押し間違いに気が付く前に手が勝手に違うキーを押しているのですから,防ぎようがありません。

 ここで,慣れるまで訓練するのがいいのか,それとも負けを認めて英語キーボードを買うのか,迷いました。しかし,MacBookProはパームレストを交換しないでもよい構造なのでMacBookやAirよりも英語キーボードが安く買え,ここで我慢をするのがばからしくなってしまいました。

 よって,以前iBookG4の時にもお世話になったお店に,英語キーボードを注文してしまいました。


・電源を入れてみる

 ステレオのスピーカから出てくる起動音にびびりつつ,大きな画面にどどーんと広がる起動画面。バックライトがLEDになったモデルですので,輝度の低さやムラを心配したのですが,これは杞憂でした。必要以上に明るく,またムラも小さいと思います。実は,某ソニーのVAIOのLEDバックライトがどうしようもなくダメで,LEDバックライトの印象は地に落ちていたのですが,さすがアップル,さすがMac,さすがPro仕様です。

 Macのウリにはいろいろありますが,実はこの「環境移行アシスタント」が本当に素晴らしいのです。初めてMacを買う人にはありがたみもないでしょうが,買い換えの人にとってはこれは本当にありがたいです。

 FireWireで2つのマシンを接続し,これまで使っていたiBookG4をターゲットモードで再起動するように促されます。容量の計算を行って実行すると,私のiBookG4の環境がほんとにそのまま,新しいMacBookProに移行します。

 私は伝統的にiTunesのデータを別のパーティションに置いていたのですが,さすがにこれはコピーされないだろうと思っていました。ところが,きちんとiTunesのデータもコピーされています。すばらしいです。

 結局,移行アシスタントが出したエラーはネットワークの設定の固定IPが重複するという当たり前のものだけで,あとは今のところ完璧です。もっとも,CPUなどハードウェアの違いに依存するドライバ類は移行されないものもあるようですし,物理的に存在しないもの(モデム)関連も移行できません。あと,これも当然ですがPhotoshopCS3のように再ライセンス登録や,iTunesStoreで購入した曲を再生するなど,手続きが必要なものも,そのままというわけにはいきません。

 ちなみに,約100Gbyteほどのデータを移行するのに要した時間は2時間ちょっとでした。結構かかっていますが,ほっとけばいいので楽です。


・使ってみる

 iBookG4からちょっと変わっているところも多いので,日本語キーボードであることも含めて,まずはそこに慣れることが必要だけに,その速さを実感するようなことはまだ実はありません。

 昔のMacはの,CPUが変わる,グラフィックボードが変わると,もう触った瞬間に速さを体感できたもんなんじゃがな・・・
 
 iBookG4では,普通のテキストやメールを扱うのにも,少し間があります。OSがLeopardだからという話もあるでしょうが,特にスクロールは遅いです。WEBはSafariが元々サクサクなこともあって,速度的な不満はあまりありませんでしたが,これがMacBookProになると,当たり前ですが全然ストレスがありません。

 画面のでかさがまた快適で,そこをストレスなく操作できるウィンドウがいくつも開いています。そして,速度の低下がありません。iBookG4では実質シングルタスクなマシンだったのですが,MacBookProだとそこを気にすることは一切ありません。これは快適です。

 ただ,アプリケーションの起動速度などはあまり変わらないように思いました。HDDの速度が足を引っ張っているのかも知れませんが,逆に言うと,MacOSXは遅いマシンでも起動速度が短くなるようにうまく作られていると言えるかも知れません。

 液晶はなかなか綺麗です。hueyで色を合わせて見ると,かなり発色も良く,見やすい液晶です。ただし,バックライトの明るさが周囲の明るさで変化するのは使い物になりませんでした。センサーがキーボードの左右にあるので,手の影になると急に明るさが変化して驚くことになります。私はOFFにしました。

 あとキーライトです。これはiBookG4のころから欲しい機能だったので,部屋を暗くして試したところ,実に快適でした。標準装備にならないものかと思います。

 キーボードの感触はなかなかよく,剛性もあるのでたわんだりしません。配列が若干変わっていることで戸惑うこと,英語キーボードでないためにミスタイプすることもありますが,それ以上にややこしかったのはファンクションキーでした。Exposeを私は多用する人なのですが,iBookG4ではF9,F10,F11にアサインしてありました。MacBookProでは,こういうアサインになっていないんですね。Fnキーと同時押しにする必要もあって,実に面倒。

 Fnキーを押した場合と機能を入れ替える設定もあるのですが,そうすると今度は輝度や音量を変えるのにFnキーを押してやらねばならず,こちらも非常に面倒です。どうしたものかしばらく考えますが,これもやっぱり慣れないとダメなような気がします。


・IntelのCPUとRosetta

 私にとって初めてのIntelMacではありますが,OSXが動いてしまえばどんなMacもただのMacです。いつも思うのですが,CPUの違いという非常の大きな差が,ここまで分からなくなるというのはすごいことだと思います。

 68040からPowerPCへの移行もそうでしたし,そこから今回Core2Duoへの移行です。同じバイナリがそのまま動き,それが実用的な速度であるという困難な事を,その歴史の中で一度ならず二度まで可能にしたことは,大変なこだと思います。

 とはいえ,いかにRosettaが優れていても,MacBookProの真価はx86のコードで書かれたもので発揮されます。それにDualCoreを使い切るためには,コンパイラの進歩も必要でしょうし,ソフトを設計する人の考え方がごろっと切り替わるのを待たないといけません。

 今のところ,メモリのバンド幅が拡大すること,CPUのクロックが向上すること,キャッシュメモリが増えることで処理速度の向上を期待できていますが,ここから先はマルチスレッドを指向したソフトが揃うことが大事なんだと思います。


・MagSafeはSafeではない

 MacのACアダプタは,本体との差し込みの部分が「MagSafe」というものになっています。MagSafeが登場した時には絶賛されたものですが,私は当初から懐疑的でした。

 MagSafeの目的は,ACアダプタのコードに足を引っかけて,本体を落としてしまわないことにあります。もし本体から外れても,バッテリで駆動していれば問題はないので,本体が落っこちてしまうことを防ぐという考え方は納得できます。

 ただ,貧乏くさい話ですが,私は電池を抜いて使っています。本体に付けっぱなしにすると,1年ほどで電池が劣化してしまうこと,消耗品といってもよいその電池の価格は決して安くはないこと,そしてまれに甚大な被害を出す事故が発生することが,私が電池を外す理由です。

 おかげさまでiBookG4の電池は,3年半経った現在でもほとんど新品同様です。持ち歩くような時に,電池が劣化して1時間ほどで電池切れ,なんてのはあまりにもったいないです。自宅で使うときには電池はいらないわけですから,私はこの使い方は合理的だと思っています。

 今回もそういう運用を始めたのですが,やっぱりやってしまいました。ACアダプタが本体から簡単に抜けてしまうのです。異常終了はやはり気分のいい物ではないので,どうも私はMagSafeが好きにはなれません。


・感じた事

 確かにProの名に恥じないマシンだとは思いますが,全体的にノートPCの値段が下がっている現状では,果たして30万円で買うべきマシンなのか,ちょっと考え込んでしまいます。似たようなクロックのMacBookはこの半額で売られていて,普通の用途では実はこれで十分です。

 MacBookProのアドバンテージは,大きな液晶,グラフィックアクセラレータを搭載,キーライト,Expressカードスロットくらいなわけで,いずれも必要な人には不可欠でも,その数は決して多くないという感じです。

 MacBookとの価格差のうち,小さくないと思うのがグラフィックアクセラレータの有無でしょうけど,これもゲームをするわけではないし,あまり恩恵を受けるわけではありません。OSも画面描画に使っているのであった方がよいのは事実ですが,なくても困らない程度だろうと思います。SnowLeopardでは,GPUを汎用の演算器として使う環境がOSレベルで整備されるという話もあるので,将来は期待できるかも知れません。

 私の場合,大きな液晶が必要で買い換えました。クロックも大事ですがキャッシュのサイズがマシンのトルクを決めるので,キャッシュが6MByteのモデルを狙いました。しかし,それでMacBookの倍出す価値があったかというと,ちょっと複雑な気持ちもあります。

 パソコンが日用品になって久しく,高いとはいえ昔なら50万円はしただろうスペックのマシンが20万円ちょっとで買えた(だから私のような人でもMacBookProを買えた)時代には笑い話にしかならないのですが,MacBookProはやっぱり「持つ事がうれしい」マシンなのかも知れないなと思います。

 下位機種のMacBookとは倍近い価格差があり,どうしても必要な人しか手を出せない価格設定です。それを乗り越える理由がないと,本来はMacBookProは手を出してはいけないマシンなのかも知れません。

 実は,私もこのマシンをどうやったら使い切れるか,深く考えていません。2000万画素のデジカメの画像を現像したりレタッチするわけでもなく,ハイビジョン動画を編集するわけでもなく,ソフトシンセを使い倒す訳でもありません。せっかくですから,そういう分野に手を出してみてもいいかもしれませんが,それもすぐにというわけではありませんから,どうしようかなあと思っているところです。

 MacでLTspiceなんかが動いたりすると面白いんですけどね。・・・使いこなしでいうと,BootCampでWindowsをインストールするのが一番いいのかなあ。

 普段の作業にストレスがないことはとにかく重要です。そういう観点でペイ出来る価格かどうかは別にして,ここから5年くらいはこのマシンを使っていこうと思います。

 まずは英語キーボードを待ちましょう。

バナナ存亡の危機

 ちょっとした雑談。

 バナナが絶滅の危機なんだそうです。

 その昔高級品だったというバナナがそこら辺で安価に手に入る果物になって随分経つわけですが,そのバナナがまさか絶滅とは。

 現在食べられているバナナは,昔食べられていた種類のバナナとは違うのだそうですが,昔のバナナはなんと病気(パナマ病といってバナナのガンと言われているんだそうです)によって絶滅したんだそうです。

 それでバナナ栽培の会社がなんとか探し出して,その病気に耐性のある種類のバナナを作るようになったとのこと。ところが最近,今のバナナにも耐性がなく,治療法もない新パナマ病が流行しているらしく,主な生産地であるラテンアメリカへの上陸も時間の問題ということです。

 今年の春には中国でも大きな被害をもたらしましたし,発生地であるマレーシアから徐々にその被害は拡大しているそうですが,こういう話ってもっときちんと報道して欲しいなあと思うわけです。

 バナナを食べたときのことを思い出して欲しいのですが,種がありませんよね。食用のバナナは種なしなのです。つまり種では増えないということです。

 現在のバナナは,挿し木で増やされたもので,いわばクローンです。突然変異も耐性獲得も全く期待できないのはそのせいです。

 厄介なのはこの新しいパナマ病は,他の種類のバナナにも広がる可能性があったりするそうで,もし本当ならバナナ存亡の危機です。

 一方,バナナは遺伝的な多様性が乏しく,病気や環境の変化に対応するのが下手くそという意見もあり,ほんとかどうかは別にして,もはや遺伝子操作で強いバナナを作るしかないという意見も出る始末です。

 私個人はバナナが好きではないのですが,栄養価の高さ,独特のおいしさ,手軽さから見た実用的価値に加え,プランテーションの代表的品種であり,列強の支配と植民地の搾取の歴史の生き証人として,バナナが消えることには寂しいどころか,かなり問題だなあと思います。

入射光式の露出計を買う

  • 2008/06/02 15:54
  • カテゴリー:散財

 少し前の話になるのですが,入射式の露出計を買いました。GOSSENのデジシックスというものです。少し前にとあるWEBサイトでも紹介されていたので,ご存じの方も多いでしょう。

 露出計は言うまでもなく,露出を測定する道具です。フィルムへの露光量は一定ですので,周りの明るさに合わせて,シャッター速度や絞りを適切に調整しないと写真は撮影できません。

 その露出計にも,2つの種類があります。入射光式と反射式です。

 反射式はカメラに内蔵されている露出計がその代表格ですね。被写体に当たって反射した光の強さを測定するもなのですが,写真というのは反射した光を写し取っているのですから,これが一番理屈に合っているように思えます。

 一方の入射光式というのは,被写体に届く光の強さを測定するものです。

 それぞれに一長一短があるのはお約束です。反射式は,被写体から距離が離れていても測定が出来ます。もし一眼レフに内蔵されたものなら,レンズや絞りを通過した光を測定しますから,それらを含んだ形での測定が可能です。

 入射光式は,被写体に入り込む光を測定するのですから,被写体のそばまで行かなければ測定できません。数メートルならいいですが,望遠レンズを使った撮影などはどう考えてもお手上げです。

 それでも入射光式が不可欠な露出計として存在するには理由があって,それは被写体の色に左右されない,のです。

 反射型の露出計は,被写体に当たった光の反射光を測定します。被写体が白い場合には反射光は強くなりますから,露出計は実際よりも明るいという指示を出します。

 露出が自動のカメラの場合,本当はもっと暗いはずなのに明るいと判断され,実際よりも暗めの露出となります。いわゆるアンダーになるわけですね。

 被写体が黒い場合にはこの逆で,実際よりも暗いと判断されてしまい,露出がオーバーになるのです。

 反射型露出計の場合,反射率18%のグレーの時に適性露出になるよう調整がなされています。グレーカードなるものが売られていますが,あれがその18%のグレーです。

 こういう事がありますから,被写体の反射率を考えつつ,露出の補正を行ってあげないといけないわけですね。これが初心者が失敗写真を量産する最大の理由になっていた時代もあり,今でも必ず「露出補正」は初心者脱出の必修科目になっているのです。

 ところが入射光式の場合には,こうしたことが起きません。当たり前ですね,反射する光を測定するのではなく,差し込む光の量を測定するのですから,被写体の反射率などには一切関係がありません。

 その上,被写体の真そばで測定しますから,背景の明るさ(逆光やら影やら)にも引っ張られません。これが今でも入射光式の単体露出計が活躍できる理由です。

 ということはですね,18%の反射率のグレーカードを被写体とした場合,両者の示す値は全く同じになるはずだという事です。


 前置きが長くなりましたが,入射光式の露出計はそれなりに高価です。理由はよく分かりませんが,やっぱり数が出ないことが理由なんだと思いますし,それに一応測定器ですからあまりいい加減なことも出来ないんでしょう。

 3万円4万円は当たり前,2万円までの安い物はアナログ式で昔ながらのものだったりするので,私はちょっと躊躇していたのですが,今回買ったデジシックスは実売2万円弱でデジタルと,他に競合する物がないものです。

 これが2万円か-,とがっかりするような質感のなさ,作りのちゃちさはこの際目をつぶりましょう。また,ディスプレイにはEV値を表示するだけで,実際の絞り値やシャッター速度への換算は,機械式のローターを星座板のようにくるくる回して行います。

 質感のなさだけではなく,全体の操作感に頼りなさがありつつも,機能的には問題なしでしょう。小さく電池の消費もわずかで,操作も案外簡単です。常に測定しているのではなく,ボタンを押した瞬間のEV値を表示し続ける仕組みになっているので,明るさに合わせてリアルタイムに表示が変化したりはしませんが,そのおかげで電池寿命はとても長く,CR2032という小型のコイン電池で十分実用になるのでしょう。

 実際の測定結果ですが,なんとも不思議な結果になりました。

 *istDLを使って,約18%の反射率と思われるグレーのカーペットを撮影したのですが,2/3EVほぼずれてしまいました。*istDLの露出計ではジャストになっていたのに対し,デジシックスではオーバー気味です。

 これで信用できるのかいな,と不安になりつつ,次にこれを使って撮影するのはどういうときだろうかと,その機会をうかがっているところです。

 2万円とやや高価ですが,反射率に左右されない絶対的指標を得ることの心強さ,そして私のようにカメラを修理する人の基準測定器として,このサイズと価格なら辛抱することはないでしょう。さっさと買って,悩みから解放されるべきですね。

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