ルンバの充電不良
- 2019/12/24 12:25
- カテゴリー:マニアックなおはなし
うちは年末年始に家電が壊れることが多く,年末の休みに掃除機の修理をしたり,年明けの初売りで電子レンジを買ったりと,面倒な事が起こります。
今年はなにが来るのかなと思っていたら,ルンバでした。
うちのルンバ770は2013年5月にやってきて,2017年3月に大修理を行っています。この時780の基板と入れ換えているのですが,ブラシの劣化でゴミ取り能力が低下しているとはいえ,それなりに使えていました。
ところが2週間ほど前から,充電が終わらずエラー5が出るようになりました。なるほど,充電も出来ていません。
エラー5を調べてみると,充電が出来ないエラーとあり,電池の端子の汚れか電池の劣化が原因のようです。前回の電池交換から3年ほど経過しているので,さもありなんと,新しい電池の手配をしました。
そのうち,充電そのものが始まらなくなって,スタンドに自分で乗っかることも出来なくなりました。なんだか悲しいですね,まるで飼っていた猫が歳を取って自分で水を飲めなくなっているような感じです。
ただ,本体にあるDCジャックに直接アダプタを差し込むと充電します。問題なく動作するので,最悪この形で使い続けることは出来そうです。
で,まず最初に疑ったのは電池ですが,届いた新しい電池に交換しても同じで,充電が始まりませんでした。ACアダプタの故障は,本体に差し込めば充電するのですから,これも違うでしょう。
そうすると充電スタンドの可能性が高いのですが,回路図もないのでよく分かりません。とりあえず本体と接触する電極間の電圧は約3Vで,充電出来るほどの電圧は出ていません。
なら,ここをONするFETが壊れたのかもと,似たような品種に交換しますが全く変化なし。冷静に考えて見ると,ここに金属のもの(例えばはさみとか)が乗っかってショートしたら事故になりますから,低い電圧で高いインピーダンスにしておいて,ショートしても安全なように作りますわね。
本体がつながったことを検出する方法は,本体に高めの抵抗を仕込んでおいて,これが電極に繋がった時の電圧がある範囲に入っていたら,スタンド側の電圧を一気に上げ,本体側もその電圧を検出して充電回路をONすれば,危険はなくなります。
ということで,壊れている可能性はスタンドと本体にあるのですが,どっちも回路図がありません。仕方がないのでまずは本体の基板を交換することにします。
で,交換してみましたが,全然変わらず。充電出来ません。充電出来ないので,本体がスタンドに到達しても止まってくれません。
そうなるともうスタンドだろうなと思うのですが,こちらは基板もないし,修理のしようもありません。仕方がないので,中古品を手配します。2500円ほどでした。ちょっと高いかなあ・・・
注文した直後に,もう一度試してみようとスタンドに置いて見ると,あれ,充電を始めました。何度やっても充電します。以前のように長時間の充電でエラーが出ることもありません。スタンドに戻ると充電を開始し止まってくれます。
あれ,なおった?
翌日タイマーで掃除してもらいましたが,帰宅するとおすまし顔で充電スタンドに座り,充電していました。
うーん,少なくとも充電が出来ているので,今はスタンドは悪くないでしょう。アナログ的な要因が大きな本体側の問題のように思いますが,すでにルンバ700シリーズは使い古された機種で,TipsもHackも世界中に散らばっているはずです。同じような問題が出ていないか調べてみます。
すると,ありましたありました。充電出来ないという問題が。
なになに・・・本体側のDCジャックの接触不良とな?
ルンバのDCジャックは,差し込まれればACアダプタがと充電回路が繋がりますが,抜かれればスタンドからの電源と充電回路が繋がるように,切り替わります。
この切り替えは,DCジャックが差し込まれることで機械的に行われるのですが,このスイッチ機構の接点が腐食して,接触しているのに導通しないと言うことがおこるのだそうです。
接触抵抗が高いと電流が十分に流れません。それで充電不良となりエラー5が頻発するようになり,やがて充電も出来なくなってしまいます。
さらに,DCジャックを何度か抜き差しすると接触面の酸化膜が剥がれ落ちて,導通が復活します。
で,この部品は基板ではなく,本体のシャシーに取り付けられているので,基板の交換では入れ替わりません。ずっと不良のジャックが使われ続けていたわけです。
なるほど,今起こっている現象が全部説明できました。
つまり,基板の交換は無意味,2500円出して用意した充電スタンドは無駄,電池も新しいものを買う必要はなく,分解することもしなくてよいことだった,という事になります。
ああ,なんと無駄な事を・・・
それでも,最近はあって当然のルンバが復活したことはうれしいことで,また我々家族の視線が彼に向かうきっかけになったのは事実です。電池は3年も持てば大したもので,そろそろ交換してもよいと思っていましたし,スタンドも万が一の為の予備だと思えばいいことにしましょう。