テレビを買い換えました
- 2018/08/28 15:33
- カテゴリー:散財
突然ですが,テレビを買い換えました,
東芝の55BM620Xです。そう,55型のレグザです。
これまで使っていたのが,日立のWoooの42インチのプラズマで,P42-XP035という型名です。2010年の4月に購入して,8年半ほど経過していました。当時,プラズマが底値になっていて,このチャンスを逃すと後悔すると12万円ほどで購入,このあと急激に市場から消え去ってしまいました。
最近輝度が落ちたなあと思ってはいましたが,何度店頭で最新のLCDテレビを見てみても,やっぱりプラズマを越えていないと思い直し,また自宅のテレビに見入る毎日を過ごしていました。
額縁の太い古いデザインであることと,レスポンスが悪いことを除けば全然不満もなく,壊れるまでこれでいこうと思っていた私が,急にテレビを買い換えることになるなどと,その日の前日にも想像出来ませんでした。
輝度が落ちたこと,遠距離から見ることが増えた最近,画面の文字が見えにくくなたこと以外に不満もなかったわけですが,それは突然,娘のおふざけから始まりました。
娘は折り紙を小さく切り刻んだ紙吹雪で遊ぶのが好きで,これをタッパーに入れてありました。このタッパーを振り回していたとき,手が滑ってテレビの画面にぶち当たったのです。
さすがパナソニック製のプラズマディスプレイ。こんなことくらいで割れたりしません。しかし,なにやら傷が付いています。以前からものを投げるなと言いつけていた私は現行犯で彼女を叱りました。
傷は幸い,タッパーの樹脂が溶けてくっついただけとわかり,拭き取ることが出来たのですが,悪いのはその先です。ついでだから汚れや指紋,手垢を拭き取ろうとアルコールでゴシゴシやったところ,すーっと傷が見えるようになりました。
まだ傷が残っていたのか,とさらにゴシゴシ擦ると,傷が増えていきます。
そう,この傷は私がアルコールで拭いたことによってついた,致命的な傷だったのです。
傷と言うより,映り込み防止の反射防止フィルムの表面のコーティングを削り取るような感じになっていて,ひどいところは太さ1mm,長さ30cmほどの溝になっています。
画面が消えているときは言うまでもなく,画面が点灯しているときでもかなり目立ちます。娘が付けた傷は簡単に取れたのに,私が不可逆な形で傷を付けてしまったことに絶望的な気分になったのですが,これはもうごまかすしかないと,よせばいいのに研磨剤を使ったりして傷が目立たなくなるように試行錯誤を繰り返します。
果たして結果は惨敗。傷は消えず,しかも面で反射率が変わった部分がドドンと出てきてしまい,もうどうにもならないくらい,見にくい画面になってしまいました。
うーん,これはもう画面の傷と言うより,すでに心の傷だなあと,くずおれて私はこの現実をどう解決するかを,考え始めました。
そう,大人が有する最大の力は,お金です。
修理はもう出来ないだろうと思いますし,高額の修理代で復活させてもあまりうれしくありません。ただ,改めてプラズマの画質を見ると,買い換えもあまり気乗りしませんが,こんなことでもないと買い換えないだろうと,もう強制的に買い換えモードに切り替えてしまいましょう。
ざっくり,予算は10万円。どうせ地デジしか見ないし,4kである必要もない,せいぜい50インチがいいところで,それ以上の画面サイズは欲しいとも思いません。
日本のメーカーならどこもそんなにかわりなく,十分高画質でしょう。今買えるテレビでお買い得なものを探して,さっさと買って楽になることにします。
そしてその夜,私はヨドバシ.comをみて驚きました。58インチ(58M510X)が13万円ほどです。55インチもそのくらいの値段で売っています。確かに10万円で50インチは手に入りますが,58インチが型落ちとはいえこの値段は安いですよね。
でも,58インチは大きすぎて,ちょっと現実感がありません。一晩考えて,翌朝まだ欲しいと思ったら買うことにして,その日は寝ました。
翌朝7時,やっぱり買おうと注文をしようとすると,売り切れていました。すごい。まさに争奪戦です。他のお店も探してみたところ,ヨドバシが売り切れたことで急に値上がりが起こり始め,1時間後には数万円の価格差が出ました。
それでもこの買う気満々な気持ちを鎮めることなどできない,と,ある店では注文の一歩手前までいったのですが,配送やリサイクルなどの費用が結果として大きく,型落ちをわざわざ買うのも馬鹿らしくなり,やめてしまいました。
とまあ,すでに買い換えることは一晩考えて決着していますので,やり直すのは機種選定です。今回は急がずじっくり考えましょう。(といっても調査不足が後で露呈するわけですが)
まず,メーカーはぜひ,自然な色と画質で評価の高い東芝を選びましょう。中国資本になったとかコストダウンがひどいとかいろいろ言われていますが,そういうことの影響はもう少し後になってから出てくるものです。
しかし,私が狙っている中級機のモデルチェンジは6月にあったばかりです。4K放送への対応が目玉になったモデルチェンジですから,私のようにBSすら見ていない人にとっては完全に無関係です。
値段も下がっていないのに,余計な機能が付いてくるものをわざわざ買うのも馬鹿らしいと思いつつ,値段を見ているとBM620Xシリーズという売れ筋ラインでは,50インチよりも55インチの方が安い値段が出ています。ただ取り寄せとなっていて,在庫があるわけではありません。
まあ,どうせ週末にしか受け取れないわけですし,今のテレビが壊れているわけでもないので,待つことは大丈夫です。ということで,シャープよりも東芝という選択の上で,55BM620Xという6月の新製品を注文しました。125550円にポイント10%です。いや,これは安いと思いますよ。
シャープの55インチも似たような値段だったのですが,シャープのテレビには昔から良い印象がなく,特に赤がどぎついのでやめました。しかし,後でわかったのはこのモデルのLCDは倍速駆動であり,55BM620Xとはもう基本性能が違うということです。
ヨドバシ.comで大型商品を買うのは初めてでしたが,電話で話をして不安も解消,配送料金やリサイクル料金なども妥当で,トータルの支払金額は競合よりも結局安く済んだのではないかと思います。
そして届くまでの数日の間に,レグザのフラッグシップモデルが発表になったり,取り寄せとなった55BM620Xの在庫が復活し,私の納期よりも早くに配達出来ると書かれていたりと,時々刻々と状況が変わっていくことにジリジリしましたが,お願いしていた通り,土曜日の度全中に届けてくれました。
古いテレビの搬出は無料でやってもらえるということで,2階から降ろしてもらいました。新しいテレビの搬入は2階だと3240円別途かかるということでしたが,サービスしてもらいました。うれしかったのでリサイクル料金を1000円ほど余計にお渡ししました。
ただし,スタンドの取付と設置は私の仕事です。嫁さんに手伝ってもらいながら,とりあえずラックに置きます。大きいだけで案外軽いので助かりました。
配線は元のテレビの通りにするだけで,5分でおわりです。事前に用意してあったHDDも取り付けて,セットアップも30分もかからず終了。いやはや簡単です。
ということで,インプレッションをまとめておきます。
(1)大きさ,重さ,外観
55インチとはいいながら,プラズマの42インチは額縁も太く,スタンドもしっかりしていたために高い位置に画面が来てしまうので,設置してみてもそんなに違和感がありません。もっと威圧されるかなとワクワクしていましたが,案外こじんまりとしたたたずまいで,拍子抜けしました。
今どきは当たり前なのですが,スタンドが固定式なので首振りしません。これも当たり前なのですが,上下にも動きませんので,綺麗に見るには人間がその場所に動かねばなりません。
少し上向きになっているのがとても気になってしまい,どうもあごを突き出されているような気分になってしまいました。これが一番綺麗に見える角度なんだろうなと思いますが,出来れば真っ正面にしてくれた方がうれしかったと思います。
正面のデザインはなかなかシャープで洗練されていて,さすがに今どきのテレビだなと思いました。画面はノングレアのフィルムを張り付けたもので,グレアが好きな私には少々残念ですが,映り込みは以前よりも減っていて見やすくなっています。
背面は低音を出すためのスピーカーが大きく出っ張っていて,壁掛けなどをする人には大変だろうと思いますが,うちは十分な奥行きがあるので,全く問題なしです。
(2)画質
画質については,比較の基準がプラズマである以上,過度な期待は出来ないと思っていましたが,最新の4kとはいえ,やはりVA方式のLCDだけあって,そのがっかり感は想像以上のものがありました。
視野角がせまく,コントラストが簡単に悪化してしまいますし,色がまともに見えるのはせいぜい画面の中央から左右3mほどが限界です。
人の顔など,輪郭しか見えなくなります。いかにもLCDという視野角の狭さです。
また,赤が強いチューニングも厳しく,階調を潰してでも発色を良くするという方針にはどうも同意できません。一日かけて調整を繰り返し,どうにか見やすくなるところに決着させました。
残像も大きく,動くものは厳しいと思っていますが,実は我が家ではサッカーを見ることはなく,このくらいの残像なら十分許せる範囲です。
で,嫁さんとも言っていたのですが,このテレビの画質は,アニメと4kのコンテンツが非常に良好です。アニメは地デジでもとても綺麗です。これは驚きでした。そしてBDプレイヤーの4kアップコンバートを使って4kにした物もとても美しく,4kテレビの底力を見た気がしました。
明るさはもう一息という気もしますが,プラズマを基準に考えると十分過ぎます。それより,周囲の明るさにあわせて輝度を調整する機能が大変良く出来ていて,以前は自動調整が当てにならず手動で一々変えていたものが,今回は完全に任せることが出来るようになりました。
ただし,これも輝度の自動調整の設定を,詳細設定でこまかくいじった場合に限ってです。室内の明るさを10段階ほどにわけ,それぞれでバックライトの輝度を調整して初めて,完全な全自動が実現しています。この細かい設定には手応えを感じます。
(3)使い勝手
リモコンが使いにくく,機能がメニューの階層に隠れていることには時々混乱しますが,基本機能も良くまとまっていますし,録画と再生もストレスなく行えます。
画質の調整も,ちゃんと「ヘルプ」が表示されるので,マニュアルを見なくてもかなり細かい調整にまで踏み込めます。
番組表も見やすく,レスポンスもいいです。録画予約もわかりやすいのですが,自動予約機能を「連ドラ予約」とするのは,ちょっと違うかなあと思いました。
画面表示の設定などで,細かいところで悔しいこともいくつかありましたが,総じて良く出来ていると思います。
(4)録画
レグザと言えば外付けHDDに録画というイメージですが,2.5TBのHDDをUSBで繋いで試しています。動いてしまえばなんの問題もないのですが,驚いたのは録画をするのに,トランスコードをやらないんですね。MPEG2-TSそのままで録画されるので,2.5TBでも200時間ほどしか録画できません。
ただ,追いかけ再生では,再生ボタンを押したら録画中のものを再生して欲しいわけですが,前回見た録画の続きを出されるのがちょっと予想外でイライラしました。まあこれは慣れですね。
(5)ネットワーク
あまり使わないだろうなと思う機能ですが,タブレットのYouTubeからこのテレビに表示する機能が大変便利でした。テレビでYouTubeを直接見る時には,検索の入力がネックになるわけですが,タブレットで検索して見るのはテレビという使い方がこれだけ簡単になると,YouTubeが個人から家族に開放されたような気分になります。
NASから再生することも一応出来るのですが,私の環境ではH.264は再生出来ず,MPEG2-TSしか再生出来ませんでした。これだとあまりメリットがないです。
(6)音質
音質はなかなか頑張っていると思います。声が聞きやすく,全体に自然な音で疲れません。これは気に入りました。
サラウンド機能も過度ではなく,適度にかかっています。私はテレビの疑似サラウンドには肯定的な人で,これがないとダメなのです。
そして自慢の低音です。これもなかなかいいです。やや協調しすぎかなと思いますが,中音域との繋がりが思った以上によいのと,この手のスピーカーにありがちなポンポンいう跳ねるような低音ではないのが,真面目さを感じさせます。
かといってテインが出ていないわけではなく,野球中継では鳴り物の太鼓がしっかり鳴って,臨場感も味わえます。
(7)リモコン
リモコンはどうも格好が悪いです。配置が慣れないのは仕方がないとしても,大事な機能が階層化されていることにも抵抗がありますし,真っ赤な赤い電源ボタンが増段の中央にあるというのも無粋だなあと思います。
それ以上に,反応が悪すぎませんか,これ。ソニーの多機能リモコンの方がよほど使いやすいです。
(8)ということで
画質については,想像以上に視野角が狭く,コントラストの変化が大きいには閉口するが,正面から見たときの画質は高く,アニメとBDでは十分満足です。
音質には不満なく,地デジに最も必要な「声が聞きやすい」ことを,低音をしっかり出すスピーカーをうまく使って実現している事に感心しました。
そして55インチは確かに大きいのですが,だからといって没入感がすごいかと言えばそうでもなく,このサイズが特殊ではなく,極めて一般的なものであることを感じました。
それにしても,4kの55インチが,ポイントまで入れると実売で12万円を切るなんて,なんとまあすごい時代になったものでしょう。
大きな画面はむしろテレビの周りに縛られない,どこにいてもどんな姿勢でもいいという自由さがメリットで,55インチでそれを味わうともうこれ以下のサイズには戻れません。
視野角がこれほど狭いと思わなかったのでIPSから探せば良かったと思ったことと,倍速駆動ではなかったことが少々悔やまれますが,以前からそこにあったかのような自然なたたずまいはいかにも東芝らしい上質なものですし,きちんと調整すれば画質も素晴らしいものを持っています。
4kチップの注文も済みましたし,気が向いたらBSも受信出来るようして,試してみてもいいかと思っています。
最後に,実際にLCDテレビに買い換えてみて,やっぱりプラズマは高画質だったんだなあと結論しました。OLEDの画質にも違和感がある私にとっては,プラズマはまさに唯一無二の存在だったと,つくづく思います。