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2013年01月の記事は以下のとおりです。

WP34Sの書き込みについて

 WP34Sが面白いです。

 現在進行形のオープンソースっていうのは,毎日プロジェクトの様子を確認しないとお尻がムズムズするのですが,新しいビルドが出ていたりすると何が変わったのか確かめる必要があったりして,キャッチアップするのが大変です。

 WP34Sの最新ビルドはV3.2_3363です。安定版としてダウンロード出来るものから既にバージョンが0.1上がっていますが,今のところこれで深刻な問題は出ていないように思います。

 それはそれとして,ようやく本体へのファームウェア書き込みが安定してきました。ついつい手順を忘れてしまうので,ここにメモしておこうと思います。


(1)用意するもの

・FT232RLを使ったUSB-シリアル変換モジュール(秋月のAE-UM232R)
・FT232RLのWindows版ドライバ(CDM 2.08.24 WHQL Certified.zip)
・Windowsが動くPC
・MySamBa(WP34Sのプロジェクトからダウンロード)
・最新のファーム
 (32kHzのクリスタルをつけている場合はcalc_xtal_full.bin)
・本体


(2)本体とAE-UM232Rの接続

・以下のように接続する
  本体 - FT232RL
   RxD - TxD
   TxD - RxD
   Vcc - 3V3
   GND - GND

・AE-UM232Rのジャンパ
 J1 - 右側をショート
 J2 - ショート

・本体のERASEとRESET端子については,一度でもWP34Sを書き込めばオープンでよい

・私の場合,本体にピンをハンダ付けし,コネクタで接続するようにしたが,ポゴピンが手に入るなら無改造でOK。というかこんなにしょっちゅう書き込むならポゴピンでないと大変。


(3)PCの準備

・AE-UM232RをPCに接続,ドライバをインストールする。デバイスマネージャを確認し,COMポートの番号を覚えておく。

・MySamBaを解凍し,起動。COMポートを設定し,用意したファームを指定する。


(4)本体の操作

・あらかじめ各種設定やプログラムをフラッシュメモリに保存しておくと便利なので,P.FCNからSAVEを選んでセーブしておく。

・電源が入っているときでも入っていないときでもよいが,ONキーを押しながらDキーを押すと,デバッグモードに入る。(ちなみにもう一度Dを押すとデバッグモードから抜ける)

・デバッグモードに入ったら,ONキーを押しながら6キーを押す。SAN-BA? bootと表示されるので,6キーだけ指を放し,再度6キーを押す。ここで表示が消えるが慌てない。

・背面の背面のリセットを押し,コネクタを取り付ける。


(5)書き込み

・本体のONキーを押す。表示はなにも出ないが,慌てなくていい。

・MySamBaのSendFileを押す。

・うまくつながるとプログレスバーが進み,約24秒で書き込みが終了。

・MySamBaを終了し,背面のリセットを押して,コネクタを抜く。

・ONキーを押すと,少し間があってから表示が表れる。設定をSAVEしてある場合にはRestoredと表示され,自動的に元の設定が書き戻される。ただし,日付と時刻は再設定が必要。

・X.FCNからVERSコマンドを選びバージョンを確認。「34S3.2T3363」という表示は,Version3.2ビルド3363,32kHzのクリスタル実装済み,という意味。


 こんな感じです。

 一度もWP34Sを書き込んでいない場合はERASE端子を配線し,内蔵フラッシュを消去してからSAM-BAモードで起動する必要があったりするのですが,私はすべて書き込み済みですので,現在用意しているケーブルはERASE端子を配線してありません。

 とはいえ,大げさな話でもなんでもなく,ERASEとVccをつないで背面のリセットを押してやるだけです。これで次の起動時にフラッシュが消去され,SAM-BAモードで起動します。リセットを押した後はもうERASEとVccをつないでなくても構いません。

 ところで,MySamBaでつながらないという場合が厄介だったりするんですが,配線が切れていないか,ちゃんとつながっているかを確認して,それでもだめならCOMポートの番号が正しいかどうかも見てみましょう。

 SAM-BAモードの時は表示も消えていますのでわかりにくいのですが,SAM-BAモードはあくまで電源が入っているときの状態ですから,リセットを押した後ONキーで電源を入れてあげないといけません。電流計を繋げば6mAから8mA程度の電流が流れることを確認出来るので,表示が出ていなくてもわかります。

 ということは,表示が出ていないので気が付かないけれども,すっと電源が入ったままになってしまう状態が起こるわけですね。CR2032は最大で220mAh,HP20bやHP30bは2つ並列ですのでこの倍ですから440mAhとして,8mAだとざっと55時間で切れる計算ですが,気が付かずに放置しておくと4日ほどで電池が切れます。

 電池が切れると当然うんともすんとも言わなくなりますから,表示が出ない状態だとますます混乱に陥ります。気をつけないといけないですね。

 そうそう,やっぱりもとの状態に戻したい,という場合ですが,HP20bについてはオリジナルのファームが公開されており,これを書き込めば元に戻せるはずです。しかし上位機種のHP30bについてはファームは公開されておらず,元に戻すことができません。

 HP30bはプログラムが可能になったりと,HP20bの上位機種にふさわしい機能を持っています。キーも液晶もHP20bより良いものなのでWP34Sにすればメリットは当然ありますが,元に戻せない改造であることは知っておく必要があります。


 WP34Sを実戦投入して1週間ほど経過していますが,キーの反応が普通の電卓よりも若干遅いことを除けば,実に手に馴染むよい電卓だと思います。高機能ですのでどこにバグが潜んでいるかわかりませんし,使いこなしも難しいのでマニュアルはしばらく読み込まないといけませんが,それだけの価値のあるものだと思います。

逆ポーランド電卓はWP34Sを常用することに決定

  • 2013/01/28 15:11
  • カテゴリー:散財

 HP20bという逆ポーランド記法の電卓を3500円で買ったのが2010年11月。すでに2年以上の時間が経過しているのですが,まともな活用法もないまま,引き出しにしまい込まれておりました。逆ポーランド記法であるということは最大の特徴ですが,もともと金融用の電卓なので,科学技術用の計算には向かず,使い道がないという状況だったのです。

 以前書きましたが,このHP20bはHPという大手メーカーの電卓なのに,回路図もファームウェアも公開されていて,ATMELのARM7コアのSoCを使ったプラットフォームとしては破格の存在でした。しかしこれに挑む勇者は数少なく,大して盛り上がらないうちに下火になってしまったように思います。

 ですが,1つだけ特筆すべき物があります。WP34sというプロジェクトです。

 これは,HP20bとその上位機種であるHP30bのファームを,科学技術計算向けのオリジナルなものに書き換えてしまおうという大したプロジェクトなわけですが,その結果得られる電卓というのがまた素晴らしく,HP42s相当の基本科学技術計算,HP16Cばりの2,8,10,16の基数変換,数学関数や統計関数,単位変換の追加が行われており,普段使いではHP35sを越える使い心地です。特に電気設計者には手厚い配慮がある感じがします。

 しかも,オプションの32kHzのクリスタルを取り付ければRTCが常に時刻を刻みます。これを生かしたストップウォッチも実装されています。

 WP34sを知ったのが昨年の今頃で,書き換えをしようかといろいろ画策していましたが,バタバタして結局取り組む機会を逸していました。しかし,当時まだまだ不安定だったVersion3が安定してきたという事もあり,1月12日からの連休に意を決して挑戦することにしました。

 細かい事を書くのは面倒なので省略しますが,新しいファームを書き込むのが大変でした。元々のファームはERASEしてしまったので,もう電卓として機能しませんし,書き込みツールであるMySambaでは本体に接続してくれないので,新しいファームを書くことも,古いファームに戻すことも出来ない状態に陥り,一時は完全にゴミになるところでした。

 あれこれ試行錯誤を行って,ATMELが配布するSAM-BAを使って書き込みが出来たときには,久々にガッツポーズでしたよ,ホント大変でした。

 書き込みを済ませ,動き出したWP34sの使い心地は素晴らしく,気が付いたら逆ポーランド記法を難なく使いこなしている私がいました。特にdBへの変換が一発で出来たりするのが,とても便利です。

 バグもちらちらあって,計算結果に誤りがあったりするそうですが,複素数や行列の特定の条件で発生するそうですので,当面は問題ないでしょう。

 速度も比較的速く,今のところ「アレが出来ればいいのになあ」という残念な印象を持つ事はありませんでした。いやはや,良く出来ています。

 そうなってくると欲しいのはオーバーレイです。

 HP20bに比べてWP34sのキーアサインは大幅に変わっているので,そのままでは使いにくくて仕方がありません。そこで本体やキーに張り付けるオーバーレイが用意されています。

 プリンタで印刷して張り付けるのも手ですが,良い品質の完成品が6ドルで販売されているのでこれを使う人も多いようです。

 私の場合,まずは印刷したものを張り付けてみました。配布されている画像ファイルを600dpiで印刷するとぴったりなサイズになるようで,これをステッカー用の印刷用紙に印刷します。

 キーの部分はくりぬいて張り付けるのですが,これがまた大変な作業でした。

 散々手間をかけた割には,見た目も悪く,大失敗。ないよりマシ,と言う程度の仕上がりに私もがっかりです。

 不細工でもとりあえず張り付けたオーバーレイによってちょっと触ってみたところ,想像以上の良さでした。これはビビビときますね。

 このままでは惜しい。実に惜しい。

 観念してオーバーレイを買うという手もありますし,作り直そうという気もします。どうしたものか・・・と悩んだのですが,どう考えても有償で配布されているオーバーレイには勝てないと悟り,予備も含めて2枚注文しました。

 さあ,ここまで来るともう止まりません。

 家と会社で便利に使いたいと思った瞬間,もう1台欲しいと思ったわけですが,先日HP20bとHP30bは国内の在庫が払拭していることを確認済みで,こうなるとアメリカのamazon.comあたりから買うしかありません。

 28ドル程度ですので,送料までいれて日本円で5000円までなら即買い,と決めてHP30bを探してみると,あろうことか日本のamazonの在庫が復活,価格は計ったように4900円でした。

 そして,これを眺めてしばし,腕を組んで考え込みます。

 HP30bはキーの感触も良いそうだし,高級感が高いそうです。これが主力機になることは目に見えていますが,そうなった場合に,壊れたらどうしよう・・・代わりはないし・・・ええい,もう1台追加だ。

 ということで,2台買いました。なんということか・・・

 それでもですね,2台で9800円です。

 WP34sは抵抗の並列(コンデンサの直列でもいいんですが)の値を求める計算をメニューに押し込むようなことはせず,貴重なキーにアサインしてあるくらい,電気屋さんとって便利になっています。

 余談ですが,dBの計算や抵抗の並列の値などは,別にちょこっとプログラムを組めば済む事で,試しにHP-15C LEでプログラムを組んでキー一発で呼び出せるようにラベルを割り当てたら,とても快適な使い心地になりました。よく使う機能がぱっと呼び出せるかどうかは,とても大事な事だとわかります。

 聞くところによれば今のキーアサインには反対意見もあるそうですが,かたくなに専用キーに割り当てられている状況をみるに,どうもWP34sの開発者は電気屋さんなんじゃないかと思います。

 こんな電卓,どこにも売ってません。ゆえに壊れたりなくしたりしたときにダメージは大きいと予想され,「あああのときもう一台買っておけば良かった」などと後悔するくらいなら,「2台も買うことなかったなあ」と後悔するほうがよっぽどよいように思えてきました。と,自らの行為を正当化しておきましょう。

 オーバーレイを3枚買わなかったことを今さら悔やむわけですが,まあ1台は予備機ですし,いざというときに部品の移植が出来ればそれでいいので,オーバーレイは2枚でもなんとかなります。

 さらに,せっかくですから最新のファームを用意しましょう。先日のHP20bでは正式公開版のV3.1build3311を書き込みました。昨年11月の公開です。

 開発中のバージョンを見ていると,すでにV3.2になっているようで,1月23日現在の最新版はV3.2build3360ですので,これをダウンロード,手に入れたHP30bに書き込みを行います。

 一度WP34Sを書き込むと,以後はデバッグモードに入ることによって,少しは簡単に書き込みができるようになりました。Dを押しながら電源を入れ,ONキーを押しながらSを押し,もう一度Sを押すと,Samba Bootモードに入ります。ここでMySambaを使えば,わずか24秒で書き換え完了です。

  32kHzのクリスタルと18pFのコンデンサの取り付けも終わって動作の確認を一通り行った後で,オーバーレイを張り付けていきます。

 2台のHP30bと1台のHP20bの書き換えが終了,ほぼ同時に届いた2枚のオーバーレイはそのまま2台のHP30bに貼り付け,HP20bについてはもう一度プリンタで印刷して,綺麗に張り付けてみました。

 さすが専用のオーバーレイだけに,綺麗に張り付けられました。まるで市販品のような仕上がりです。

 自分で印刷した物は,全開と打って変わって綺麗に張り付けられたのですが,シールが分厚いらしくて曲がったところから剥がれてきます。これは残念です。もう少し薄いシールを探して貼り替える必要があるかもしれません。

 HP30bとHP20bを交互に使ってわかったのですが,違うのはキーの感触だけじゃないんですね。HP30bの液晶のコントラストはHP20bよりも高く,見やすいです。また液晶にカバー(風防と言います)が付いていますので,傷や破損にも強いです。

 キーのタッチは,HP30bの方が良いというのが一般論ですが,HP20bもそんなに悪いわけではないと思います。HP30bの方がチャタリングもあるし,押した感触はあっても入力されていないなどのトラブルがあって,どうも信用出来ないという印象もあります。

 そうこうしているうちに,カチッという感触がなくなってしまったキーが見つかりました。また,強く押すベキっと音がして,キーが壊れてしまいました。

 こうなるともう分解しかありません。戻せなくなる可能性もありますが,このまま置いておいても仕方がありませんので,分解します。

 HPの電卓はキーの下側が支点となり,上側だけが押し込まれるような特異な構造をしています。これが独特の押し心地を作っているのですが,HP30bのキーはこれを簡略化した構造で,すべてのキーが下側で枠にぶら下がったような構造になっています。

 このつながった部分がしなって,独特の反発力を作っているようなのですが,基板上にあるメタルドーム(ペコ板といいます)を押すために,キーの裏側から直径1mm程のピンが出ており,これがゴムのシートを介して,ペコ板を押し込むようになっています。

 今回の故障は,このピンが折れてしまっていたことでした。完全に折れてしまったのであれば復活は難しいのですが,曲がっているようでしたので,これを慎重に引き起こします。

 どうも,キーを強く押したことで曲がってしまったようなのですが,こういうのって日本のメーカーの品質基準だと,ちょっと出荷できないんじゃないかと思うくらい,やわな感じがします。2009年に発売になった電卓ですので,本来だったら改良されてしかるべきだと思うのですが,そうならないところに,おおらかさを感じます。

 予備機を買っておいて正解でした。

 一方で,HP20bはゴムのメンブレンの上にキートップが被さるような,よくある普通の構造です。押し心地は確かに良くないかもしれませんし,ストロークも大きく使いにくいのですが,丈夫そうと言うのは大きなメリットだと思います。

 この手の物って,機能とか値段とか(もしくは完全なる趣味性の高さとか),そういう文脈で語られることも多いのですが,結局最後には「もっと使っていたい」と思わせる吸引力が勝負です。

 それはボタンの感触かも知れませんし,ぱっと見た目の格好良さかも知れません。最終的には「好みの問題」で片付けられる要素でもあるわけですが,とはいえヒット商品というのはそれが大多数の人々に支持された結果であるのですから,軽く考えるわけにはいかない,重要な部分じゃないかと思います。

 そしてWP34sには,それがあると私は思います。

 キーや形状などのハードウェアデザインはHP20bやHP30bそのものですから,ソフトウェア(と強いて言えばオーバーレイ)がその使い心地を決めていますよね。HP20bもHP30bも,決してハードウェアとしては良く出来たものではなにもかかわらず,この心地よさですので,個人的にはよい勉強になりました。組み込みソフト屋さんには,もっと頑張ってもらわないといけません。

 ところで,HP20bをWP34Sにすることに始まり,HP30bを買って改造,HP15CLEも引っ張り出して使って見たり,HP35sを使ってみたりと,ここしばらくHPの電卓を触ってきましたが,それぞれに個性があるもので,全然使い心地が違います。入力方法が同じと言うだけで,もう別物だといっていいでしょう。

 確かにWP34Sは使いやすい多機能な電卓ですが,実はHP15CLEが一番使いやすいなと感じたりしています。ぱっと見るとキーも少ないし,7セグメントのLCDですので不便そうに思うのですが,良く出来ているので,ストレスなく入力出来ますし,表示も十分に寝られていて,これで困ることはありません。未だに愛用者が多いというのも,なるほど頷けます。

 HP15CLEはもったいないので常用しません。WP34Sをガンガン使う事にしましょう。

マルチクイックMR730ccを買いました

  • 2013/01/17 12:09
  • カテゴリー:散財

 先日,離乳食を作るために茹でた小松菜を包丁でトントンと細かく刻んでいる嫁さんを見て,こういう作業こそ機械化すべきじゃないのか,と言う問題意識がぐいっと頭をもたげて,調理家電を探してみることにしました。

 いわゆるフードプロセッサーのたぐいになるわけですが,これははっきりいって,とっても面倒な代物です。そこそこ大きいので使うためにも保管するにも場所を取る,電源の確保が大変,お手入れに手間がかかる,案外うるさい,ということで,それこそ一日中みじん切りをやってる人ならいざ知らず,結局包丁でやった方が楽だし早いということになりかねません。

 裏を返すと,これらの問題が解決すれば導入してもよいわけで,フードプロセッサーの欠点として何十年も語られているのに改良されていないはずはないと,ちょっとamazonを見てみることにしました。

 そうすると,ありました。タイムセールをやっていて,しかもキャッシュバックがあるというので,とりあえずポチりました。

 ブラウンの「マルチクイックMR730cc」です。お値段は9500円。泡立て器付きです。

 この商品,いわゆるブレンダーです。どかっと設置して使うのではなく,50cm程の棒状の本体の先端に,花びらのように開いた部分があり,ここに高速回転するブレードが付いています。液体を混ぜるのはもちろん,ちょっとしたものなら回転するブレードですりつぶすことも可能です。

 しかも,この先端部はステンレス製で,調理直後の熱い物でも冷まさずに処理できます。飛び散ると危ないと思いますが・・・

 先端部を外して付属のスライサーに本体を差し込むと,みじん切りが可能です。もちろん特別に付属する泡立て器を使えば,結構面倒な泡立ても楽ちんです。

 ま,このくらいなら別に普通の商品ですが,このMR730ccが素晴らしいのは,コードレスであることです。

 この手の調理家電は電動工具と同じで,結局ACで動くものに,コードレスタイプはかなわないというのが,私の認識でした。ところがえらいもんですね,最近のコードレスは。

 パワーも十分,連続動作時間もAC機と変わらない時間を確保し,使いたいときにさっと手にとって使う事が出来る格別の便利さと見事に両立しています。使わない時は専用スタンドに立てて置くと,いつも満充電です。

 しかし,使って見るまで油断は禁物です。

 先週末実際に使ってみました。

 まずブレンダーです。ブレンダーを使う作業の定番はなんといっても,自家製マヨネーズです。

 小学校の家庭科の授業で油を徐々に入れるべき所を,1回の投入量をどこまで増やすことが出来るかというゲームを始めたバカ男子(もちろん私が筆頭です)が,しきい値を超えた油の量に突然分離してしまい,女子に怒られたあげくにお通夜のように無口で食することになってしまったあの一件以来,マヨネーズを作るなんてことは考えないようにしてきました。

 説明書にあるように,材料を揃えます。油・・・これはオリーブオイルでもよいそうです。面白そうです。酢・・・酸っぱければよいということで,レモン汁(というかポッカレモン)でいきましょう。塩とコショウは私の気持ちを込めて,多めに入れておきます。

 最初に卵を付属のカップに入れて,他の材料を投入していきます。そしてブレンダーを黄身を潰すように回転させます。

 おー,みるみる乳化していきます。小学生の私に見せてやりたいです。

 味見をしましょう・・・うえぇ,ゲロマズ-。

 オリーブオイルの味しかしません。酸味はさわやかと言うより,そのまんまレモンです。塩もコショウもたくさん入れたつもりでしたが,個性的な油と酸味が強烈過ぎて,全然足りない印象です。

 これはマヨネーズではなく,オリーブオイルとレモン汁だと思って食べようという事になりました。よく言われるように,マヨネーズは油の味がそのまま出てきます。美味しい油と言われてもピンと来ません。

 嫁さんの「普通の油と普通の酢でやったら?」という心ないコメントに,「それなら味の素のマヨネーズでええやんけ」と涙目で返すのが精一杯でした。

 気を取り直し,みじん切りです。こちらが本命ですね。みじん切りと言えば玉葱,玉葱と言えばカレーです。

 私は玉葱を2玉使うのですが,玉葱を1/4に切ってスライサーに入れます。あれ,2玉入りません。仕方がないので1玉半だけにしておきます。

 スイッチON!ぐいーんとブレードが回転し,玉葱が細かくなっていきます。しかし,量が多すぎたのか,全体に細かくならず,細かい層と荒い層が分かれてしまいました。

 これではいかんと,荒い層まで細かくなるよう,しぶとく電源を入れ続けます。ああ,やり過ぎて細かくなりすぎました。

 フタを開けると,あわれ,玉葱おろしが出来上がっておりました。ドロドロです。

 ま,まあいい,最終的には玉葱は溶けてしまうんだから,これでいいんだよ,と自分に言い聞かせますが,これだけドロドロだと,きつね色になるまで炒めることが出来ない事に気が付きました。油と混ぜて熱を加えるだけです。

 ここで失敗を悟った私は,ばれないようにさっさと煮込みに移行します。

 完成後,口に入れて,私は嫁さんに謝りました。

 まず,玉葱のつーんとした味が強烈です。そしてあの独特の甘みが全くなく,コクもありません。その上,カレーがまるですり下ろした山芋でも入っているかのように,ネバネバしています。

 やっぱあれですね,みじん切りにして十分な熱を加えて甘みを出すことをしないと,さっぱり美味しくありません。

 ちなみに,半玉残った玉葱は,うまくみじん切り出来ました。要するに,量が多すぎたことが失敗だった,と言う話ですね。1玉が限界だと覚えておきましょう。

 MR730ccは単純な家電だけに,使いこなしが必要です。そこが面白さでもあるわけですが,私は完全になめてました。

 ということで,まとめておきましょう。


・よいところ

 なんといってもコードレス。いちいち電源を用意することもなく,作業中に邪魔にならず,これはもう別の商品といっても良いくらいです。

 ブレンダー,スライサー,泡立て器の3点セットで,主な調理はほとんど可能です。しかもほとんどのパーツは食洗機で洗うことが出来るので,片付けも簡単です。

・わるいところ

 結構大きく,重たいです。片手で握って使うのですが,小さい手の女の人にとっては,やや使いづらいんじゃないかと思います。子供なんかが使う事を想定していないのかも知れないですね。

 スライサーは処理量の限界を超えると失敗します。逆に少量過ぎても処理できません。適量は失敗をしながら覚えておくしかないかも知れません。それに,元々期待していた小松菜は水分量が少なく,スライサーではきちんと粉砕できなかったらしいです。

 お手入れは楽なのですが,すべてのパーツが食洗機対応ではないので,何を食洗機で洗ってはいけないかを覚えなければなりません。失敗すると壊れます。

 スタンドに立てて置くといつでも充電された状態でさっと使える便利さはあるものの,案外設置面積があるのと,背が高いので結構な存在感があります。スタンドに引っかけるのは、見えないに位置にある穴にきちんと合わせないと外れて転んでしまいますので,適当に置くという気軽さはありません。


 単純な道具故に,使いこなさねば役に立ちません。慣れてくれば手放せなくなるほど便利になることは間違いなさそうですし,なんと言ってもコードレスですから,根本的に問題となる煩わしさはかなり解決しています。ここで面倒になってしまうと,ずっと使わなくなってしまいますから,最初は嫌でも無理に使うくらいの気持ちの方が良いかもしれません。

 ところでこれ,嫁さんへのプレゼントです。いや,なにもええ話ではないんですよ,クリスマスのプレゼントをもらったのに,私は用意をしておらず,針のむしろにいるような気分で年を越さねばならなかったのですが,これはいわば,その自責の念から逃れるための手段という側面もあったりするのです。


 

NSpire CAS with TouchPadを買いました

  • 2013/01/15 12:59
  • カテゴリー:散財

 円安が進行しています。1ドル80円は昔の話,90円も目前という急転直下っぷりに,株価も踊っています。

 ここしばらくの円高と,実はアメリカ製の商品が大変に魅力的なものになってきているという現状に加え,それらを入手する方法が昔に比べてはるかに楽になったことがあって,結構気軽にアメリカ製の商品を買うことがあったのですが,円安になるとそういう訳にもいきません。

 ということで(なにがということでだ),TIの電卓,Nspire CAS with TouchPadを買いました。9500円でした。

 なんで今さら電卓,しかもTIなのよ,とツッコミがありそうですが,まあ聞いて下さい。アメリカでは,TIは教育機関向けのビジネスを本気でやっているメーカーで,電卓もその部門の管轄です。

 単なる電卓ではなく,電卓を使った教育環境を揃えていて,例えば今回のNSpireは生徒一人一人に配り,先生は先生専用のNSpireで指導をする,というシステムが販売されています。

 よく言われることですが,アメリカでは電卓,それも関数電卓が高等数学の学習に積極的に取り入れられており,答えを導き出すためのプロセスを訓練します。日本ほど記憶力と計算力を試されるわけではなく,そこは機械に任せましょうというのが,かの国の考え方のようです。

 また,アメリカでは各種の公的な資格試験に関数電卓の持ち込みが許されています。実質的には,関数電卓無しで試験に挑むのは無理と言われるほど,大事なアイテムです。日本でも一部の試験には認められていますが,それほど重要でもなければ,数も多くはありません。

 という事情もあって,アメリカでは電卓が現在進行形の商品なのです。日本のように吊しで数百円とか,あるいは景品でもらったとか,高機能な電卓やポケコンは死滅したとか,そんなことはなく,きちんと進化して新製品が販売されています。

 そしてこの世界の覇者が,Teaxs Instrumentなのです。

 TIの電卓は日本ではほとんど見かけませんが,それは日本で売れないからです。TIの電卓は世界中で売られています。しかも最新の技術を使って,どんどん進化しています。最新のNSpireCXというモデルは,QVGAの65000色表示可能なTFT-LCDに,CPUはARM9をおごり,SDRAMとNANDフラッシュを装備した,かつてのPDA並の重装備です。USBも搭載,電池はリチウムイオン電池を内蔵していています。

 こういう進化を遂げた電卓は日本にはないのですが,それでも日本ではポケコンという独自の文化が花開いており,こちらもやはり高等教育機関で用いられていましたが,それももう廃れてしまいました。

 前置きが長くなりましたが,私は小さくてボタンがいっぱいついていてディスプレイが付いているものには目がありません。これまでにもポケコンや電卓をちょくちょく買ってきましたが,不思議なことにTIの電卓には手を出してきませんでした。

 避けていたわけではないのですが,別にRPNでもない普通の電卓をわざわざ海外製で買うこともなかろうと考えてのことですが,普通じゃないとわかれば俄然欲しくなるのには,困ったものです。

 私が魅力的に感じたのは,CASという機能でした。数式をそのまま処理するというやつです。中学生の頃,文字を使った数式の計算を覚えた時に,電卓やその高級版であるパソコンで,数字を計算することしか出来ないことに疑問を感じていました。やりたいことは式を変形し文字を残したまま方程式を解くことだったのに,実際の数しか出てこないなんてのは,所詮は計算機だなあと思っていました。

 それが,Mathematicaに出会ってから,意識が大きく変わりました。しかし高価なソフトです。個人で持つことなど出来ずに,ここまで来てしまいました。

 ですが,アメリカではこの数式処理が,電卓で出来て,学生が個人で使える環境が出来ているんですね。それがこのCASという機能です。

 あのMathematicaが1万円で使える,という話で一気に盛り上がり,折からの円安の影響が出る前にさっさと購入に至ったのが,このNSpire CAS with TouchPadです。

 カラー版でかつ最新のNSpire CXにはあえてしませんでした。カラーである必要を感じなかったこと,充電池内蔵だと使いたいときに電池が切れているともうお手上げになってしまうこと,モノクロの機種でも出来る事は同じであるということで,NSpire CAS with TouchPadにしたのです。

 さて先日届いたNSpire CAS with TouchPadですが,嫁さんの最初の一言は,「サイビコみたい」でした。

 いやー,サイビコなんて,普通の人はしらんよ・・・

 たしかにそういう印象はありますが,こっちはCASを持っているんですよ,もう桁違いです。失敬な。

 電池を入れ,OSを最新の物にアップデートし,ちょっと使って見ます。とはいえ使い方がよくわかりません。

 CASですから,例えば式を入れてENTERを押すと,式を解いてくれます。計算結果を出してくれません。試しに,電気回路では定番の計算である,20*log(2)と打ち込みENTERを押すと,20*log(2)と出てくるだけです。

 つまり,このNSpireにとって,20*log(2)は20*log(2)だけが正解であり,これを計算して数字にしてしまうことは,近似値を求めているだけのことなのです。

 もちろん,NSpireは近似値も計算できます。CTRLキーを押してからENTERを押せば,6.020599913と計算結果が出てきます。でもこれは正解ではないんですね。

 入力が数式の近い形でできるし,大きな画面は入力した式がそのまま残っていて,履歴もたどることができます。これはいいですね。

 それと,CAS機能のお約束で,二次方程式の解の公式を求めてみます。おー,あっさり答えが求まります。ついでに三次方程式の解の公式は・・・えらい時間がかかってますな,どれどれ・・・こんなに複雑な答えなら無理もないです。


 ようやく,リファレンスマニュアルに目を通したところです。もう高校や大学の数学など忘れてしまっていますが,少しずつ思い出しながら,この唯一無二の機能を楽しんでみようと思います。

UPSの電池を交換する

  • 2013/01/07 16:27
  • カテゴリー:散財

 正月があけて,ぼーっとした頭で1階にいると,娘をお昼寝させていた2階から嫁さんが降りてきて「サーバーがピーピー言ってるよ」と言い出しました。

 なにせ,電子音があふれる現代社会のことです。しかも私の家は,電子機器の吹きだまりです。ピーピーというブザーなど,もはやどれが音を出しているのかわからず,すでに警告の意味を成していません。

 ぼーっとしたまま2階に上がると,ようやく寝付いた娘の近くで,ピーピー音がします。この1kHz前後の矩形波というのは,またどこからなっているかよくわからん音でもあるんですね。

 おろおろしながら,NASを見てみるとこれは異常なし。うーん,ぼーっとした頭を少しだけ回転させて,視線をしたに動かすと,発振源が見つかりました。UPS,無停電電源です。

 そういえば1ヶ月ほど前にも,帰宅するとピーピーなりまくっていたなあと思いだし,反射的に2つあるボタンのうち1つを押しますが,鳴り止みません。もう1つを慌てて押すと,ブザーも停止しましたが,NASの電源も落ちました。さらに慌てて同じボタンをもう一度押すと,NASも起動しましたが,PCも起動しちゃったりなんかして,もう軽くパニックです。

 とりあえず冷静になって事態を収拾しましたが,おかげさまで娘は深いまどろみから目を覚まして,私を恨めしそうに見つめていました。

 つまりです,UPSの電池が,もう劣化しているという,その警告です。1ヶ月前にも警告がなりましたが,手動テストを行うとパスしてしまい,警告も収まったので油断していました。忘れていたのですが,オムロンのBX35XFSというこのUPSは,1ヶ月に一度,自動でテストを行う仕様になっていました。

 えーと,このUPSはいつ買ったんだっけなあ・・・艦長日誌を見てみると,2003年2月に購入したとあります。えー,10年前かあ。

 そりゃ劣化するわなと納得した次第ですが,当時の艦長日誌を見ると,姉妹機種のBX35XFVは1000円高いだけなのにバッテリーの寿命が4~5年,私が買ったBX35XFSの2~3年に比べると倍も長持ちすると買ってから発覚し,己の馬鹿さ加減に子供の如く地団駄を踏んでいます。

 ですが,結果として10年持ちました。最後の数年は本当にバックアップ出来たのかどうかあやしいものですが,警告も出ていますし,さすがにここら辺が潮時でしょう。

 UPSを新調するという手もあるのですが,面倒ですので素直に電池だけを交換しましょう。

 当時の艦長日誌を見ると,直販サイトで6400円とあります。今見ると1万円もします。10年で鉛の価格が上がった事が影響していると思いますが,それにしてもデフレというのは,顧客の強い視線が原動力になって意識的に頑張らないと起きない物で,物の値段というのはほっとけば勝手に上がる物なんだなと,つくづく思いました。

 で,ヨドバシを見てみると,8400円にポイント10%です。ちょっと高いなあと思いつつ,他に方法もありませんからこれを買います。記念すべき2013年の初散財が,保守パーツの購入とは私も落ちぶれたものです。

 届いた電池を交換する前に,ちょっとスケベ心を出して電池の形式とスペックをメモして,寸法を測ります。

 この手の小型シール蓄電池というのは,ある程度規格化されているし,それなりの需要もあるので,安い店を探すことは可能だろうと思ったわけです。

 ところが残念な事に,ぱっと頭に浮かんだ秋月には,この寸法の電池はありません。似たような電池(寸法が合わないので交換は出来ない)を見れば,結構高価です。純正の電池とそんなに違いません。

 いやいや,もっと探してみようと,これと同等の電池を探してみましたが,大体どこも1つ6000円ほどします。この電池を2つ使っていますので,実に12000円。1つ4000円ほどで購入出来る純正の電池は,かなり頑張っているということでしょうか。

 新しい電池の型番はBP50XFというそうです。対応機種にはBX35XFSもXFVも書かれていますが,XFVの電池寿命と同等でなければ交換部品としては失格ですので,長寿命品が使われていると思います。

 実際に新しい電池の型番から電池の仕様書をgoogle先生に尋ねてみると,長寿命タイプのようです。まあ10年は無理でも,7年くらいもってくれれば御の字かなあと思いつつ,電池を交換します。

 テストを行って問題ないことを確認し,この作業は終了。一安心です。

 しかし,古い電池をどうするかです。鉛蓄電池はリサイクルが必要な電池ですし,さりげなく(というか悪意をもって)ゴミ捨て場に置かれた鉛蓄電池が自治体に回収されず,朽ち果てて行くのを度々見ますが,それくらい鉛蓄電池は大きくて重たく,私に言わせれば処分が面倒な電池です。
  
 オムロンは電池の無料回収を行ってくれていて助かりますが,当然送料は元払いです。福岡の工場に送るので,普通に送れば1000円はかかるでしょう。

 すっかり起動した頭でちょっと考えてみたのですが,このサイズと重さは,ちょうどレターパックに入る感じです。調べてみると500円のレターパックの場合,4kg以内という縛りがあるだけで,封筒内に入れば大丈夫でした。

 まさにこのバッテリーを送るために用意されたと思うくらいおあつらえ向きな私は,買い物に出るという嫁さんについでを頼み,レターパックを買ってきてもらいました。

 そして早速梱包し,ポストに入れてきました。レターパックはこれが便利です。

 ポストって,4cmくらいの隙間しかないんですね。途中で引っかかってしまい,押し込む事も引き抜くことも出来なくなって,大慌てです。ポストと真正面を向いて格闘するオッサンを,正月早々見た近隣の人はさぞや怪しく思った事でしょう。

 それはともかく,無責任な言い方をすれば,ポストに入れた瞬間に私の手を離れたわけで,実にすっきりした気分で帰宅して数時間,郵便局から電話がかかってきました。

 むむ,追跡された!と怯える私。

 平静を装いつつ,相手のいう事を聞いてみると,電池という事だが飛行機に乗せられないので陸送になるけどいいですか,という親切な電話です。

 私としては別にゆっくりでも全然構わないわけで,大丈夫ですと返事をしてそれでおしまいです。あと何日かすると工場に到着し,これで私の仕事は完全に終わります。

 先の震災で,UPSの需要が高まり,アキバのお店でも在庫が払拭したりしたそうです。あれから時間も経過し,世界的にも高品質で知られる日本の電力事情に,ついつい電気がないことへの厳しさを忘れがちになりますが,電気が来なくなることより,突然の停電でデータが吹っ飛ぶことが怖いわけで,やっぱりUPSは必要だというのが,私の結論です。

 あれ,ノートPCを使えば,UPSなんかいらなくなるんですね。

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