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クォーツ時計のムーブメントを交換してみる

 中学生の娘は腕時計をする習慣がありません。だからといって時間にルーズというわけではなく,相応に時間を気にして動いてはるのですが,特に通学時の時刻管理については,リュックにぶら下げたカラビナウォッチを常用しています。

 腕時計のバンドの代わりにカラビナを設けてあり,これを鞄にぶら下げて使うというものなのですが,腕に時計をするのが気に入らないけど時刻は気になるという,複雑な中学生の心理にマッチしているようです。

 いやいや自分の体にくっついてくるから意味があるんだろうと私などは思うのですが,それまで全く時計を持ち歩くことがなかった彼女が,祖母からの何気ないプレゼントであるこのカラビナウォッチをいたく気に入り,時計と共に行動することが日常になったと言うのは,なかなか興味深いところですし,大事にしたいことでもあります。

 その時計は,GY050という名称で,3000円弱で販売されているものです。針がスズランを模していて,短針と長針が葉,秒針が花になっています。針が湾曲しているので見にくいことこの上ないのですが,慣れれば問題ないのでしょう。

 で,ある時娘が「長針が12時の位置の時に短針が真ん中に来るのよ」とおかしな事を言い出しました。見せてもらうと,確かに短針が30分の位置にあります。多分ぶつけたかなにかでズレてしまったのでしょう。

 直せるというと喜んで修理を任せてくれたのですが,調べることもせずいきなり分解する私の悪い癖が出てしまい,壊してしまったのです。

 短針のズレを直そうと,針を外さず回したのが悪かったようです。いや,経験的にそれくらいのことは出来ると思いましたし,そうでないと短針と長針の位置決めってきちんと出来ないですよね・・・

 動かして見ると,短針の動きが変です。時々止まります。おかしいと思ってよくよくムーブメントを観察すると,なんとギアの歯が欠けていました。

 最初はこれが原因で短針の位置がおかしいのではと思ったのですが,冷静に考えると私が横着して長針を動かしたからで,こんなくらいで壊れてしまうのかと絶望すると共に娘に悪いことをしたと誤りました。

 このままではいかんと新しいものを買うことにしたのですが,改めてケースや風防を見ると傷だらけです。この傷も彼女の持ち物なんだよなあと思うと,新品を買って終わりに出来るようなものでもなく,本人が臨まない限り元の状態に戻すことをまず最初に考えないといけないと思いました。

 となると修理ですが,この手のクォーツ時計は安い汎用のムーブメントを使っています。交換すれば簡単に修理出来ることは分かっていたのですが,問題は交換可能なムーブメントを見つけて購入出来るかどうかです。

 ムーブメントには,Y121と刻印されていました。エプソンのY121シリーズだとすぐに分かるのですが,Y121にはいくつかのバージョンがあるので,そこを特定しないといけません。

 加えてamazonで調べてみると,Y121はあまり売られておらず,入手性が低いです。目に入ってくるのは業界標準で名高いミヨタの2035というムーブメントです。

 個人的にシチズンとミヨタには信頼を置いているので,この際このムーブメントに交換を考えてみました。外形には違いはありますが,寸法は同一で,今回の時計の内部のフレームにもぴったり合いそうです。

 ただ,針を取り付ける軸の直径が僅かに違うことと,Y121のどのバージョンか不明だったことで軸の長さが合わないことが心配でした。

 しかし,送料込みで700円弱で2035が買えると言うことで,勉強にもなるしと1つ買うことにしたわけです。

 果たして3日後届いた2035は,電池とリューズの軸が同梱されていました。この軸ははめ込む時計に合わせてカットしないといけません。

 切りすぎると取り返しがつかないので少しずつ短くしていきます。一応これでOKと言う長さになったら,針を取り付けます。

 簡単にできると思ったのですが,径の違いのせいで,全然はまりません。

 まず短針はY121の1.10mmに対し2035が1.20mm,長針はY121の0.656mmに対し2035が0.700mm,秒針はY121が0.2065mmに対し2035が0.170mmと結構違っています。

 0.1mmくらいなら押し込めばどうにかなると思ったのですが全然ダメで,やむなく針の穴を小さいヤスリで少しずつ削って広げました。おかげで短針はぴったり取り付けできました。

 長針はわずか0.05mmの差ですから,これこそ押し込めばと思いましたがやっぱりダメで,同じようにヤスリで広げるも削りすぎてしまい,固定できません。やってしまった,とうなだれるも,少し穴をかしめてなんとか固定できるようにしました。

 秒針については0.035mmとさらに差が小さい上,2035の方が細いのでそのまま取り付けできました。動作を確認して問題がないことを取り急ぎ確認出来たら,ケースに入れて様子を見ます。

 しかし,衝撃を加えると秒針がズレることがわかりました。なんどか衝撃を加えるととうとう外れてしまい,わずか0.035mmでもダメなものはダメだと,時計の世界をなめていたことを恥じました。

 もう一度分解し,秒針も少し軸を差し込む穴をかしめたのですが,あまりに小さいため穴を潰してしまいます。あわててコンパスの針を使って広げてはかしめ,広げてはかしめを繰り返して,どうにかきちんと固定できるようになりました。

 元通り組み立ててから何度か衝撃を加えますが,今のところ大丈夫みたいです。丸一日持ち出してテストを行っていますが,これも今のところ問題なさそうです。

 しかし,きちんと寸法があっておらず,かなり適当にはめ込んである針ですので,いずれ外れることは間違いないと思います。こういう場合接着剤で固定するのがよいのですが,適当な接着剤もないし,失敗した時にムーブメントごと壊してしまう可能性を考えて,今回は見送り,もし外れるなどしたらその時に使うことにしました。

 ということで,非常に細かい作業が続き疲れてしまいましたが,日本製ムーブメントが業界標準になっていること(ミヨタの2035など40年以上の実績です),使いやすく高精度で安価なムーブメントがあることで,デザイン重視の時計が低価格で買えるのだなあと,安心した次第です。

 また,ムーブメントによって微妙な違いがあることもわかりました。こんなの共通にしつぃまえば互換性もあっていいのにと思うのですが,そうもいかない事情があるんでしょうね。Y121と2035では電池寿命が全然違っていて,Y121は2年,2035は3年,ちょっと高価な2035の上位版なら4年も持つんだそうです。一般消費者にとって2年と4年では雲泥の差ですよね,やっぱりミヨタは優秀だなあ。

REALFORCE RC1 その後

 REALFORCE RC1ですが,いろいろ試した結果,現在はスペーサーが3mm,APCは1.5mmで落ち着いています。

 長くスペーサーを2mm,APCを2.2mmで使っていたのですが,コクっとした反応が返ってきてもキーが入力されていないという状況がどうしても我慢出来なくて,ミスをしないようなタイピングを心がけることでAPCを1.5mmにしました。

 APCを1.5mmにしたのなら,せっかくだからとスペーサーを3mmにしてみたところ,浅いストロークはなかなか快適だとわかりました。

 しかし,落ち着いて考えると,これはすでにREALFORCEとは別物。せっかくの静電容量式の心地よさが死んでいて,果たしてこれでいいのかと疑問がわいてきます。

 ふと思い出すのは,昔々の東プレには,キートップの薄い,ストロークの小さな物があったことです。もうどんなモデルだったか思い出せませんが,私が最初に買った89Uと同じような時期に売られていたものだと思います。今なら,きっとそれを選んでいたことでしょう。

 気が付くのは,確かに良いキーボードを買えば一生物ではありますが,年齢と共に,あるいは用途によって,理想とするキーボードには変化が出てくるという事です。

 用途については用途別に用意することで対応も取れると思いますが,好みが変わることについてはどうにもなりません。私もかつては深いストロークを好み,力一杯タイピングしていましたが,今はそんな派手なことはしません。

 弘法筆を選ばずといいますし,自動車も運転が上手い人というのは,大きな車から小さな車,左ハンドルも右ハンドルも,MTもATも難なく乗りこなします。ユーザーインターフェイスは重要ですが,人間は機械ではなく柔軟な生き物です。

 配列が変わってしまうのは論外かも知れませんが,キーボードによる打鍵感覚の違いを楽しむくらいに,むしろなりたいものです。

ubuntuでつくるDOSアプリ

 実は,先日からubuntuの導入に四苦八苦しておりました。

 今どきのLinuxだからなんの苦労もなく,イメージをダウンロードしてUSBメモリに書き込んでブートすれば1時間後には使えるようになってるだろうと思っていたので,四苦八苦していると「なにをやってるんだ私は???」と思う事もしばしばでした。

 といいつつ四苦八苦した理由は簡単で,古い古いMacBookAirをターゲットマシンにしたからです。MacBookAirのLate2010という今から15年の前マシンです。当時円高が進んで,10万円を割るというので,11インチという小ささを生かした,メールなどの生活マシンとして買いました。

 メインメモリは長持ちさせたいという理由で4GBにしましたし,キーボードもUSです。今も思うのですが,大きさといい重さといい,キーボードの感触といい,このマシンはとても使い心地がいいです。

 そんなですから,電池は交換してありますし,SSDも240GBにしてあります。しかし,OSのサポートが早々に打ち切られたことと,CPUパワーの不足もあって,現在はM1のMacBookAirです。(これも買ってから5年もたつのか・・・)

 しばらく死蔵していたのですが,先日PC-386BookLがらみのある事情から,ubuntuを入れて再出発させることを思い立ち,行動を起こしたと言うわけです。

 そのある事情というのが,PC-386BookLのメモリへの不安です。

 高速のディスクコピーのツールには,EMSを使うものがあります。ところが,EMSを使うとどうもデータが化けるらしく,コピーが正しく行われないのです。

 同種のディスクコピーツールを使っても同じ結果が出ますので,メモリが自作である私の場合,メモリテストを行わないと心配です。

 もちろん,プロテクトメモリとして実装してありますし,プロテクトメモリとしてのメモリチェックは何度も行ってエラーがないことはわかっていますが,仮想EMSドライバなど相性もあると思いますし,特定の条件下で出るエラーかも知れません。とにかくDOSで標準化された方法で,EMSへのアクセスが正しく行えているかは調べておく必要があるでしょう。

 で,そんなツールがないものかと探してみたら,ありました。

https://github.com/pc98user/EMStest

 バイナリがないので自分でコンパイルすることになりますが,コンパイルに,見慣れないia16-gcc-elfを使っています。ん?なんじゃこりゃ?

 MS-DOSのアプリですのでDOS上のコンパイラ(MS-CとかTurboCとかLSI-Cとか)でコンパイルする物と思っていたら,gccというじゃありませんか。gccって8086に対応してた?もし8086のコードが吐けてもDOSでの実行形式にするためのライブラリは?

 なんでも,少し前からLinux上でMS-DOSのクロス開発を行うための,16ビットコードを吐くgccやらライブラリやらの環境整備が行われて,数年前にDOSで動作するアプリケーションをLinuxで作るのが流行ったらしいのです。

 そんな面白い事があったのかと不勉強を恥じたわけですが,私の場合Linux環境から作る必要があるので,まずはこのソースをMS-CやTurboCに移植することを試みました。

 しかし挫折。全然コンパイルが通りません。さすがに30年も昔のコンパイラですので,エラーが連発しますし,なんとかねじ伏せても,実装すると暴走します。今さらTurboCを勉強しなおすのも面倒なので,これを機会にLinux環境を常備することにしたわけです。

 そこで白羽の矢が立ったのが,眠っていたMacBookAir2010です。古いとは言えメジャーなマシンでしたし,遅いとは言えLinuxならそれなりに動くでしょう。

 ということで,イメージをダウンロードします。選んだのはubuntu-desktopです。計量のLubuntuなんかも考えましたが,最初はとにかく普通の物を選んでおくことにしました。

 バージョンは一番安定していて長くサポートされることを期待して24.04.2LTSにします。これをUSBメモリに書き込み,MacBokAirから起動します。

 ・・・上手くいきません。

 起動にすごく時間がかかる(USB2.0であることを差し引いてもものすごく遅い)上に,画面が真っ黒です。ごく希にインストーラが起動するのですが,これをインストールを行っても,再起動するとやはり画面が真っ暗です。話になりません。

 のちにこれは,GPUのドライバが問題である事がわかりますが,この時はそんなこともわかりませんので,1つバージョンを落として22.04.5LTSにしました。

 これだと起動も正常,インストールも進み,再起動も可能でした,(画面の右端にチラチラとゴミが出ていますが)

 とまあ,ここまで実は丸2日かかっています。いろいろな種類のイメージのダウンロードには結構な時間がかかるし,インストールが終わるまで1時間ほどかかりますから,大変でした。

 22.04.5LTSで正常の画面が出たのは,GPUのドライバがnouveauドライバというオープンなものを使っていて,これがMacBookAir2010のGPUであるGeForce320Mを正常に動かすことが出来るからみたいです。24.04.2LTSではこれが未対応のようで,画面が真っ暗になったり崩れた表示になってしまうようでした。

 とにかく世界中でMacBookAir2010にubuntuを入れている人はいるだろうから,ここからコツコツやっていこうと腹をくくったのですが,プロプライエタリなドライバ(nvidia-driver-470)を入れてみると,表示のゴミはなくなったかわりに,輝度の調整が出来なくなり,輝度最大に固定されてしまいました。

 さすがにこれはつらいので対策を探しましたが,見つかったXorg.confの修正を行っても解決しません。ならばとnVidiaの公式でLinuxに対応したドライバのバージョンを特定してみました。するとnvidia-340というのが該当するというのでインストールを試みるも,すでに公式には存在せず入手は不可能です。

 ただ,他の方が残してくれているのでリポジトリに追加してインストールしましたが,なんと再起動後に画面が真っ暗になり,ubuntuのインストールからやり直しです。

 ここまでまた丸2日。他の環境設定もやりつつだったので,インストールのやり直しはかなり痛い手戻りになりました。

 結局GPUのドライバはいろいろなバージョンを試し,いろいろな設定を試しましたが解決せず,失敗した時のダメージが大きすぎるので断念し,nouveauドライバでいくことにしました。

 まあ,輝度調整が出来ないドライバというのも手だと思いましたが,つまりACPIでバックライトの制御が出来ない事を意味しているので,省電力設定でバックライトを消したりできませんから,やっぱり実用は無理があると思います。

 ついでに24.02LTSでもドライバの入れ替えなどで試行錯誤を行いましたが,こちらも問題は解決せず。とにかく正常に画面が出ませんので手探りでやるしかなく,あきらめました。

 ということは,このMacBookAir24.04.2LTSへの移行は出来なくて,従って2027年移行は使えなくなりますということです。あと2年か・・・Linuxにも見放されるといよいよ厳しいです。

 さて,環境設定を進めていきます。WiFiも標準のままで問題なく動作しているのでBroadcomのプロプライエタリなドライバを入れる必要はありません。(いれるとサスペンドからの復帰に失敗するという話もあります)

 キーボードのレイアウトを変更したり,.bashrcを書き換えたり,mozcの再コンパイル(初期状態が直接入力になっていて,初期状態をひらがな入力にするには設定を変えて再コンパイルしなければなりません)したりと,なかなかに手間のかかる作業をひととおり終えてみると,そこには普段使い可能なマシンが完成していたのでした。

 WEBのブラウザもサクサクとはいいませんが実用レベル,メールもOK。日本語入力も快適に出来ますし,コピーやペーストのショートカットも,タッチパッドのジェスチャによるワークスペースの切り替えも問題なく動いています。

 もともとのキーボードの心地よさもあって,ターミナルでのCUI作業は快適で,なにも我慢を強いられません。絶対的な速度の遅さに我慢が強いられる場合もありますし,その割には電池の減りが早いので,M1のMacBookAir2020の進化に改めて感動するのですが,それでも片手でひらひらと持ち運べるMacBookAir2010の身軽さに比べて,ずっしりと重いMacBookAir2020は,AppleがモバイルマシンとしてiPadを割り当てたことを再認識させられます。

 さて,ここまでくるのに5日。えらい時間がかかりました。

 では,投書の目的のEMStestをコンパイルしてみましょう。実は,ia16-gcc-elfをインストールして指示通りにコンパイルをしただけだと,全然コンパイルできなかったのです。

 見つかった記事はHello World!で問題なく実機で実効できたよ,というネタに過ぎず,今回のエラーであるdos.hがありません,なんていう問題の解決方法は,なかなか見つかりませんでした。

 ということで,当たり前過ぎて誰も解説しなかっただけの,おそらく初めての日本語によるコンパイルの手順です。

(1)リポジトリを追加し,アップデート
sudo add-apt-repository ppa:tkchia/build-ia16
sudo apt-get update

(2)gcc-ia16-elfをインストール
sudo apt-get install gcc-ia16-elf

(3)nasmをインストール
sudo apt-get install nasm

(4)ライブラリをインストール
sudo apt-get install libi86-ia16-elf

(5)ソースを展開し,コンパイル
ia16-elf-gcc emstest.c emslib.c -li86 -o emstest.com

(6)フロッピーに書き出し,実機に転送し実行


 今回はバイナリのサイズが30kB未満ということで,tinyモデルで十分です。そこで実行ファイルはemstest.comとして作成しました。

 で,これを実機に転送するわけですが,USBフロッピーディスクドライブをMacBookAir2010に接続すると,さくっと認識されて使えるようになりました。書き込みには管理者権限が必要なのでCUIでsudo cp~としないといけませんが,こんなに簡単に使えて,ubuntuは大したものです。

 ドキドキしながらPC-386BookLで実行。

 なんら問題なく実行されて,テストが進んでいきます。結局EMSとして使える1616kBは,全エリアエラーを出すことなく,テストをパスしました。

 ・・・大変でしたが,emstestを実行するためにDOSのコンパイラに移植を試みたところから考えると,3週間ほどかかってしまいました。

 ubuntuでDOSのアプリが最新のCで作る事が出来る(MS-CやTurboCのコメントが//ではなく/*でないとエラーになることを知ってめまいがしました)というのもいいし,HelloWorld!どころではないEMSのアクセスという結構難しい物がきちんと動作していることも興味深いです。

 そのためにubuntuを整備したことも収穫でしたし,その結果レシピを見るのにキッチンに置いておける小さくて,水がかかったりして壊れても困らないマシンとして,古いMacBookAir2010を用意出来たことも大きいです。

 そして,想像以上にubuntuが使い物になること,日常的な作業はこれでなんなくこなせるだろうということがわかった上に,UXも最新のものを取り入れようと貪欲であることも好感触で,もうちょっとしっかりubuntuを使い込んでいこうと思いました。


 あ,今偶然見つけたんですが,ia16-gcc-elfって,DOSのバイナリもあったんですね・・・動くんかなあ。

さらば懐かしきドコモよ

  • 2024/02/13 12:09
  • カテゴリー:備忘録

 先日,長年世話になったNTTどこ門い別れを告げました。

 思い越せば1997年初夏,PHSを呼ばれる日本生まれの移動体通信システムに加入,当時NTTパーソナルと呼ばれたキャリアとの契約をスタートしたのが始まりでした。

 PHSは私には何の不満もないシステムでしたし,特にPDAをネットに繋ぐには最適なシステムだったこともあり,これが消えるのは寂しい思いがあったのですが,時代は確実に移り変わり,私も2001年7月にはPDCと呼ばれた2G携帯電話に乗り換えるためNEEドコモと再契約,3Gに移行してからは今日までずっとガラケーと共にありました。

 3Gでは音声通話は専用の回線と交換網を使うことになっていたので信頼性が高いと勝手に思い込んでいて,スマホの時代が来てもガラケーを解約しなかったのですが,3Gのサービス終了の足音も聞こえる中,娘の進路が決まったことでこの際見直すことにしました。

 ガラケーの時代には激しい価格競争があり,1000円/月で家族間通話は完全無料だったので,私が2回線契約し,1つは母親に持ってもらっていました。これがスマートフォンだとこうも行かず,5000円/月はいくら何でも携帯電話嫌いの私には納得出来ないものがあり,ズルズルと今まで来てしまった感じです。

 もっとも,私もスマートフォンは使っていますが,IIJmioの格安SIMを使って800円/月ほどで維持している程度で,本音を言うとこれでも全然困っていません。

 ただ,こうやって整理をしないで時間だけが過ぎた結果,近いうちにやってくる3Gの終了に対応しにくくなっていることもまた事実でした。

 そんなわけで,娘がスマートフォンを持つようになることをきっかけに,このあたりの見直しをすることにようやく重い腰を上げたというわけです。

 もちろん,素直にガラケーからスマートフォンに機種変更するだけというのが一番簡単なのですが,それは急に料金が跳ね上がります。その割に出来る事は変わりません。

 昔話で申し訳ないですが,かつての携帯電話会社というのは,利益をきちんと研究開発に回して,世界をリードするような技術を生み出していました。面白い端末もメーカーと共同開発していましたし,操作性も信頼性もキャリアであるNTTドコモが保証してくれていたので,私は彼らの姿勢に納得して契約をしていたようなものです。

 それが今はどうでしょう,研究開発への投資は特許件数や国際規格への貢献で判断出来ますが,もはやかつての存在感はありません。

 端末の開発似ついては言うに及ばず,日本のメーカーが全滅するのも時間の問題ですし,海外メーカーは日本のキャリアのいう事など聞いてはくれません。

 そう,ここに至って,キャリアは完全に土管の維持会社に成り下がったのです。

 そして利益は,dポイントの原資です。

 バカバカしい,こんなことに長期契約者の利用料金が使われるなんて話になりません。私は27年間という長きにわたってお付き合いしてきたNTTドコモとの縁を切ることを決意するに至ったのでした。

 土管なら格安SIMで十分です。そこで現在何の不満もないIIJmioを使うことにします。

 あいにくこれまではデータ通信専用なので,これは廃止することにします。その代わり現在の電話番号でMNPを使ってIIJmioと契約,ここで安く買えたiPhoneSE(3rd)を娘に回して,娘は娘でIIJmioと新規契約です。

 プランは5GB,5分間の音声定額を付けました。これで1500円/月です。これまで音声に1300円,データに800円だったものを整理するとかえって安くなりました。

 家族割引目当てだった母親の回線は完全に解約。MNPでの移行する事も考えましたが,すでに母親には母親名義でスマートフォンへの移行を済ませてもらっていますし,その番号を誰かが引き継いでも気持ち悪いので,私名義の回線は解約するのが一番です。

 その結果1300円が浮きました。これを娘の通信料金に割り当てます。結局私と娘の合計は3000円/月程度になりますが,これまで2回線+データ通信で3600円/月を負担していたことを考えると,なかなか上手くまとまったと思います。

 IIJmioはキャンペーン中で,半年間は500円の割引中です。つまりざっと3000円の割引ですが,これは初期契約料金を無料にしてくれたと考える事が出来るので,その点でもすっきりします。

 大手キャリアはなにかとオプションが面倒ですし,値下げしたとは言っても光ファイバと一緒に契約しないといけなかったり,2年で端末を返す(というより交換する)必要があったりと,なにかと制度上の難しさがついて回ります。

 私が欲しいのは,日々の「繋がっている」という安心感です。毎日の繰り返しが欲しい中で,知らず知らずに積み重なった時間を記憶して,そろそろ端末を買い換えないと名後か,煩わしいのです。

 賢い人が知恵を絞った結果なのだと思いますが,私にはその賢い人の考えにはついて行けません。必要なサービスを妥当な価格で提供してくれることだけを私は望んでいるのです。

 少し残念だったのは,私のIIJmioのデータ通信も,実は契約10年だったことです。先の法改正もあり,IIJも長期契約者へのサービスが可能になりました。なにか検討しているという社長の発言もあり,本当は10年の契約を切ってしまうべきではないのかも知れません。

 しかし,こういう縛りがないことが格安SIMのいいところのはず。IIJmioは大きくなりすぎて,初心を忘れつつあるのかもしません。

 大手格安SIMでも,エンジニアがblogを書いてユーザーに情報を発信しているIIJ。私は彼らがMVNOとしての使命を忘れずに,長くお付き合いできることを望んでいます。

 

Walkmanの修理~その1~RQ-SX35編

 さて,オークションに出品されているポータブルカセットプレイヤーを見ていると,大別して高価な修理やメンテが済んだ完動品と,故障品に分けられるようです。

 私は修理が目的ですので自ずと故障品を買うことになりますが,故障と言ってもピンキリで,写りの悪い,数の少ない写真から,故障を見極めるのは難しいものがあります。

 消耗品であるベルトの破損は当然としても,それ以外の故障によっては,結局修理出来ないという事も考えられるからです。

 ヘッドの摩耗,キャプスタンのサビや変形,樹脂パーツの破損は,あきらめるしかありません。モーターが動かない場合も深刻です。電気回路の修理についても,ICの破損になるとお手上げですし,基板の断線もかなり難しい修理になります。

 さらに悪いことに,電池の液漏れが致命傷を与えることが多いです。電池の電解液はアルカリで,基板を含む金属を腐食してダメにしてしまいます。キャプスタンが電解液で錆びたり回らなくなってしまっていると本当にあきらめるしかありません。

 電池を入れっぱなしにしてある場合,ほぼ100%液漏れしています。基板やモーター,キャプスタンなどのメカに電解液が回り込んでいないことを祈るしかありません。

 こういう観点でみていくと,最終的な落札価格はどんどん上がっていきます。即決出来るもので,パナソニックのRQ-SX35というモデルをまずは手に入れる事にしました。ほらそこWalkmanじゃないとかいわない。

 もともと単三電池のアダプターが付属しているものを探していたのですが,皆さん考える事は同じようで,価格は高めになります。私はガム電池が好きですし,調べてみれば今でもamazonで新品が買えるようですから,ここは躊躇せず,素モデルを狙います。

 しかし,思いつきでやるもんじゃないですね,RQ-SX35は,リモコンがないとすべての機能が使えないと言う恐ろしいモデルでした。

 新品のカセットプレイヤーが買えないのは,現行のモデルにはDOLBY-Bがないことが理由です,RQ-SX35はもちろんDOLBY-Bがついていますが,なんとこれを有効にするにはリモコンが必要なんだそうです。

 そして,即決したRQ-SX35には,リモコンがありませんでした・・・

 とりあえず,分解です。液漏れしたガム電池を取りだし,内部を眺めてみますが,基板に少々電解液が回っていて,モーターにも基板から少しだけ染み込んでいるようです。幸い軸は無傷でしたし,他のメカも無事でした。ソレノイドの断線もなく,これなら修理出来そうです。

 ゴムベルトは溶けていましたが,手持ちの0.7mmから選んでみます。最初はベルトの掛け方がわからなかったのですが,小さいベルトを2本使うと言うことに気が付いて,使えそうなものを探して取り付けます。

 通電してみますが,モーターが回りません。

 モーターのコイルに電解液が染み込んでいたようなので,これで断線があるともう修理出来ません。ベルトを外して通電すると回転したので,とりあえずモーターは無事でした。

 するとベルトが問題なわけですが,0.7mmで回らないほど重いメカというのも考えにくく,よく調べてみるとモーターの一部にベルトが擦っていました。0.5mmなら擦らないような位置に,コイルのボビンがあるのです。

 これをギリギリまで削って,ベルトがスムーズに動くようにしてから組み立てます。書けば簡単そうですが,作業そのものは4時間ほどかかっています。

 ソレノイドとカムの初期位置が分からず組み立てに手こずりましたが,とりあえず音が出るとこまで来ました。しかし,ワウフラッターが大きくて,ちょっと使えそうにありません。

 調べてみると,このシリーズのメカはモーターのトルクがギリギリなので,ゴムが0.5mmよりも太いと,回転ムラが大きくなってしまうんだそうです。心配なことは,キャプスタンの掃除を行う時に,滑り止めをアルコールで一部剥がしてしまったことです。これは確実に回転ムラの原因になるでしょう。

 並行してDOLBY-Bを有効にする方法を考えます。リモコンの回路を解析して同じ物を作る,内部を改造して強制的に有効にするなどを考えましたが,下位機種のRQ-SX25にはリモコンが付属しておらず,本体にもう1つボタンがある事が判明しました。

 このスイッチ用にパターンも残っているので,ここにスイッチを取り付けると,最初は全く動いてくれなかったのですが,回路図を見てもう一度取り付けると動いてくれました。まずは1つ目の問題をクリアです。

 ベルトの方は,結局0.7mmでは無理なので,高価でしたが0.5mmのものを,直径25mmと31mmの2つ手配しました。

 電池はamazonで手配しましたが,実は液漏れしていた電池に充電が出来てしまい,十分に使えてしまうことがわかり,合計4本の体制ですべてフル充電が終わっています。

 後日ベルトを交換しましたが,ワウフラッターは小さくなり,A面とB面の再生速度の違いも小さくなりましたが,それでも満足出来るレベルにはありません。やはりキャプスタンの滑り止めを剥がしたのがいけなかったのかも知れません。

 DOLBY-Bのスイッチは,本体に穴を開け,タクトスイッチを分解して凸型の部品を取りだし,スイッチに被せて押しやすくしました。押し心地も問題なく,見た目も綺麗に仕上がりました。

 あとはテープスピードの調整を行って組み立てて完成です。

 RQ-SX35は1998年という随分後になって発売されたもので,ミニディスクが主役になっていた時期のモデルと言うこともあり,そんなにお金がかかってるようには見えないのですが,それでも当時のトレンドとして連続再生時間がアルカリ電池1本で51時間と,低消費電力化が進んでいます。だからこそモーターにトルクを与えられなかったのですが,この時間使えるならやむを得ないかも知れません。

 傷だらけ,しかもワウフラッターも大きくて,その上テープによってはリーダーテープの終わりで引っかかってテープが進まなくなってしまうというこのRQ-SX35は,ちょっと常用には難ありかも知れません。

 そして私は,いよいよ本物のWalkmanに手を出すのでした。ああ,もともと持っていたWM-EX60を捨ててしまったことが悔やまれます。

 

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