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2013年05月の記事は以下のとおりです。

ようやくGRがデジタルに

  • 2013/05/29 13:57
  • カテゴリー:散財

 4月末に予約をしていたGRですが,お店がしっかりしていたこともあって,発売日に無事に入手することが出来ました。

 GRは非常に前評判が高く,品薄になることは予想されたのですが,それでも国内だけで数千台が初回に用意されると聞いていたので,高価なカメラですし,そんなに入手困難になるとは思っていなかったのです。

 ところが,連休が明けた頃にはすでに大手の量販店で発売日の引き渡しが出来ない事がアナウンスされていましたし,どうも予約が想像以上に多いという雰囲気になっていました。

 そんな中で,私が予約したお店からは,発売日である5月24日分で割り当てできると連絡がありました。このお店からは,例えば予約特典である赤リングが,本体付属から別途送付になったとか,そういう情報もこまめに入り,とても安心して待っていることが出来ました。

 確かに,待てば値段も下がるし,ファームのバグ対策や設計変更などで,商品の品質も上がっていることでしょう。初物に飛びつくのが損だというのは,納得出来る話ではあります。

 しかし,この品薄状態ならそんなに簡単に値段が下がることはないでしょうし,すでに上がっているサンプル画像を見ている限り,設計そのものに起因する問題は(少なくとも致命的なものは)なさそうです。

 ということでここ数日,その軽快なレスポンスを楽しんでいます。

 そんなに触っているというわけではありませんが,レビューです。


(1)外観,質感

 大きさは銀塩時代のGRと同じということですので,入手前にある程度イメージできていたつもりだったのですが,改めて手に取ってみると,どうしてだか「大きいなあ」という第一印象を持ちました。

 確かに縦横厚みと,銀塩GRと同じサイズには違いないのですが,銀塩GRではレンズ収納時はツライチだったレンズ部分の飛び出しがあるぶん,見た目に大きいという気分になるんだろうと思います。

 銀塩GRのソフトケースに入れて使うのも面白いかなと思っていましたが,このレンズ部の厚みが邪魔になり,断念しました。

 仕方がないので,純正のソフトケースGC-5を手に入れて使う事にしたのですが,これがまた随分と大きい,分厚いなあと感じるのです。カメラはそんなに大きいわけではないのに,ケースに入れるとすごく大きくなるのは納得出来ないなと思いましたが,それもこれもレンズ部の出っ張りが原因なんでしょうね。

 改めて銀塩GRを手に取ってみましたが,やっぱり小さいです。GRDigitalに慣れた人の印象はまた違っていると思いますが,銀塩GRを見慣れた人でも,今回のGRは大きいと感じるのではないでしょうか。

 操作系は,当たり前の事ですが銀塩GRとは全然違っていて,銀塩GRではダイアルでモードと絞り値を設定出来たのに,GRではモードの切り替えだけです。絞り値は手前のコマンドダイアルを併用して設定する事になります。

 この手のマニアックなカメラは,設定項目がやたらと多くて,いつも苦労させられるのですが,GRはよくまとまっていて,設定項目の過不足は感じません。設定を確認すると「あれ,もうおしまい?」と思うくらい少ないと思うのですが,なんでこれが設定出来ないのだ,と思うことは僅かで,無理をしていないなと思います。

 メニューはヌルヌルと動き,レスポンスも良いので苦になりません。とはいえ,特にOKとキャンセルという,すべての項目で共通に使われるキーが項目によって違うキーにアサインされているので,OKを押す前に一瞬の確認が必要になるなど,決して洗練されているとはいえません。

 想像以上に便利だったのはMYセッティングです。SnapShooterを掲げるGRですから,シームレスにスナップに適した状態になることを期待しましたが,残念ながら私の望むものにはなってくれず,スナップ向きの設定をMYセッティングに入れて解決しました。

 Avモードで絞りはF5,6,MFにして被写界深度が無限大に届くような距離に固定します。これでモードダイアルからパンフォーカスになります。

 私の場合,一気にシャッターボタンを押してAFを無効にする機能は,どうもボタンの押し加減がわからずブレが多くなるのでOFFにしました。

 それと,親指の位置にAFに関係するボタンがあります。AFロックとC-AFをレバーで切り替えるアイデアは秀逸で,小さなカメラに一眼レフ相当の操作系を盛り込むには,なかなか素晴らしいです。このレバーのデザインも気に入っていて,背面にある鍵穴のようなレバーは,とても格好がいいと思います。


(2)撮影

 シャッターボタンが銀塩GRと同じサイズ,同じ形で,ストロークや硬さもほとんど同じですので,銀塩GRでの動作を無意識に予想した私の脳みそは,キビキビとした動作をしているGRを目の当たりにし,良い意味での違和感を感じてしまいました。

 秒間4コマの連写速度を支える全体の連携の滑らかさは,高級一眼レフほどではないにせよ,十分な心地よさを与えてくれます。

 高速な連写速度を実現するには,ただただ速度を上げれば良いという話ではなく,それぞれの部分の動きが綺麗に無駄なく連携して動く事も不可欠で,撮影者はそうしたものをキビキビ感として受け取ります。

 D800の時にも書きましたが,連写をする必要が全くないからといって,連写速度というスペックを軽く見ると,撮影感覚というところで差になるものです。GRは,銀塩GRにはない,キビキビ感をもっていると思います。

 このキビキビ感を支配する大きな要素として,AFの速度があります。銀塩GRのAFはお世辞にも速い,賢い,というものではなかったです。全然合わずにあきらめることもしばしばですし,全然違うところにフォーカスが合っている写真が連発することもあって,私は信用していませんでした。

 今回のGRはさすがにそういう鈍くさいことはありません。高速で,賢く,ストレスはありません。しかも結果はLCDにちゃんと出てきますから,銀塩GRのように後でがっかりということはありません。

 とはいえ,暗いところでは結構AFは迷うんですね。それに,顔認識AFはAUTOモードでしか使えないようで,PやAモードでは駄目です。これもちょっとがっかりなのですが,基本的にはAUTOモードでもPモードとほとんど変わらない動作をしてくれますので,普段はAUTOモードで使う事になりそうです。ただ,AUTOモードが画像を勝手にいじるようなら,使えませんが・・・


(3)画質

 GRの面白さは,光学性能を上げて,出来るだけ画像処理に頼らないようにするという大方針があることでしょう。小型化,低コスト化には,光学性能を割り切って,画像処理で補うことが有効ですし,コンパクトデジカメではそれがもはや当たり前です。

 誤解を恐れずに言えば,デジタルの恩恵を受けない非合理的なレガシーな手法なわけです。ですが,センサーに入った段階で,すでに情報を失ったり,歪んだりすれば,それから作り出される画像は,所詮推測で作られた画像に過ぎません。

 推測でも全然大丈夫な場合がほとんどでしょうが,ちゃんと情報を持っていれば推測などしなくてもよいわけです。ただ,そのために支払うコストが割に合わないので,みんなやらないだけです。

 GRは,一声10万円のカメラです。こういう割に合わないことも出来たりするから,この高性能レンズが搭載可能になります。レンズにお金をかけ,画像処理の負担を減らすことは,高級なデジカメには望ましい選択肢でしょう。

 果たして,その画像は,実に素晴らしいものでした。

 絞り開放でも十分ですが,周辺光量とコントラストは,1段絞ればぐぐっと向上し,解像度も素晴らしく,まさに切れ味抜群です。歪曲収差もほとんどないし,周辺光量も落ちません。周辺のもやっとしたボケもなく,隅々まで透明感のある画像を出力してくれます。

 その上,色の再現性が素晴らしいです。ちゃんと色が乗っていて,バランスもとてもよく,特に人の肌を自然に綺麗に移してくれます。

 APS-Cのセンサは,さすがにゆとりがありますね。APS-Cで1600万画素のCMOSセンサは今最も美味しい旬のセンサで,性能とコストのバランスに秀でており,ノイズも少なく,圧倒的な情報量を吐き出してくれます。なにせ,画像処理エンジンの関与が他のコンデジに比べて小さいですから,人工的に作られた画,という感じがしません。素材性を重視した一眼レフに近い感覚で,とても好印象です。

 28mm相当のレンズはマクロモードで10cmまで寄ることが出来ます。広角レンズは寄れるようになっているとぐっと面白さが増すものですが,GRはその点でも合格です。

 高感度特性は,抜群に良いという感じはないにせよ,ISO400くらいまでは全く差がありませんし,ISO800までは十分な高画質を得ることが出来ます。ISO1600くらいまでは,RAW現像の時点で工夫をすれば全く常用域ですが,ISO3200になると苦しいかなという感じです。

 個人的な印象では,案外高感度特性は良くないなと思います。ISO3200くらいまでは実用域にあって欲しかったのですが,ノイズも多いし色もくすみ,コントラストも大きく下がります。これでは使えないという感じです。

 ホワイトバランスについては,昔は太陽光に固定していたのですが,D800以降はオートにしました。オートでもそんなに外さなくなったのが一番の理由ですが,GRもそんなに外さないようなので,オートにしています。

 RAWならホワイトバランスを手動で調整出来ますが,最近のデジカメでは当たり前になった動画撮影では,太陽光に固定すると室内でおかしな色になります。だからオートに出来るならその方が望ましいと思います。

 発色については,私がリコーのデジカメを使ったことがないのでなんともいえませんが,ペンタックスの発色と大きくずれていないように思います。ペンタックスは過度な補正をせず,素材性をそれなりに残した処理を行い,色も自然な感じになっていますが,GRもこれに準じているので,安心です。

 実は,DP1Sが気に入らないのが,ちょっと嘘っぽい発色なのです。FOVEONの素晴らしさは分かっていますが,データに含まれる色情報が原理的に少ない(言い換えると分離が難しい)ので,どうもくすんだ色になりがちです。これを無理に画像処理で補うので,私にとってのFOVEONは解像度は素晴らしくとも,色はさっぱり,と思っています。最新のDP1Mなんかがどうなっているのかは,とても興味があります。

 GRは,ローパスレスであることもあって,解像度も抜群,色も自然と,全く不満がありません。すばらしいと思います。


(4)気になるところ

 充電器が別になっていないので,充電中は本体が使えません。USBから充電出来る事はメリットのように思いますが,USBと本体との接続ケーブルは専用のもので,汎用のUSBケーブルではありませんから,どこでも充電出来るようにしたいなら,ケーブルを持ち歩くことになります。でも煩わしいですよね。

 そこで,私は充電器と予備の電池を買いました。6500円ほどかかりましたが,なんとDPxMerrilの電池と充電器がそのまま使えるんですね。これだと半額くらいになるので,失敗したなあと思います。

 あと,ソフトケースくらいは付属しておいて欲しかったです。出来れば銀塩GRと同じテイストのものが入っていると,思わずにやっとしてしまったんじゃないかと思います。

 
(5)まとめ

 私が銀塩の初代GRを買った動機は,小さいコンパクトカメラなのに,絞り優先AEがあることでした。高画質をうたっていて,かつ小さく軽いというものポイントでしたが,実際に使ってみた感じでは,残念ながら一眼レフの足下にも及ばず,ちっとも楽しく撮影出来ませんし,撮影結果についても,あまり感心することはありませんでした。

 ですから,後年GRが高い評価を受け,伝説の名機になっていることに驚きましたし,違和感もありました。熱烈なファンがいることも知っていましたが,コンタックスTやミノルタTC-1ならいざ知らず,GRの良さが私には分からずじまいでした。

 ですが,デジタルカメラにようやく進化したこのGRを手にして,そのすべてに満足しています。ここまで来たか,という感慨もありますし,これを持ち歩けば最高ではないかも知れないが,私の期待に十分応えてくれるという安心感が心強いです。

 ようやく,満足な結果が出る,どこでも使えるカメラを手に入れました。長く使っていこうと思います。

我が家でルンバが踊っている

  • 2013/05/28 17:04
  • カテゴリー:散財

 掃除機が自動で動き,人間に変わって掃除をしてくれるなんて,科学技術に夢を託していた時代の,見通しの甘い願望に過ぎず,そんな未来はいずれやってくるとしても,自分が生きているうちに訪れるとは,おそらく多くの人が信じていません。

 仮に,私が外宇宙からきた超知的生命体と秘密の契約をして,完璧な自立型お掃除ロボットの開発に成功しても,それはきっと受け入れられる事はないでしょう。私が思うに,技術の進化は,大衆の想像の範囲でなければ,認められないものなのです。

 ロボット掃除機のルンバは,アメリカ生まれです。例えばこれが,ホンダ製,パナソニック製,ソニー製だといえば,多くの日本人は「結構いけるかもな」と感じたでしょうが,アメリカ製の製品に馴染みがなく,まして有名メーカー製でもないルンバを信じることが出来ないのは,至極当たり前のことです。

 しかし,本当にそれが良いものであれば,時間はかかっても,クチコミで評判は広がっていきます。ロボット掃除機というこれまでに市場がなく,何にも比較されない新しいものは,使った人の意見しか頼るべきものがありません。

 かくして,ルンバは10年かかって,ようやく人々の「次に欲しい家電品」リストに加わることになりました。

 気が付くと,ルンバの値段も随分下がっています。日本上陸の頃は10万円もしました。10万円もすれば,失敗出来ないです。もしまともな掃除をしてくれなかったら,10万円が完全に無駄になります。

 それが,今では3万円台で買うことが出来るものもあります。これなら,多少の失敗があってもなんとか目を瞑ることができるでしょう。3万円なら多少ゴミが落ちていても許されますが,10万円なら許されないものです。

 前置きが長くなりましたが,ルンバを買いました。700シリーズの中級機である,770です。最近円安が進んでいるので最も安かった年末頃に比べると随分高くなったと思いますが,これ以上待っても値下がりは期待出来そうにないと,買うことにしました。

 1つに,新居のフローリングが濃い色で,僅かなホコリでも目立ってしまうことがありました。それで気になって掃除機をかけるのですが,これまで30分もあればすべての部屋を掃除機出来たのに,新居では部屋数が増えたこともあり,1時間ほどかかるようになりました。

 土曜日と日曜日に掃除機をかけるのは私の仕事。貴重な土日でのべ2時間も掃除にかかってしまうのは,確かにもったいないなと思っていました。しかも平日の帰宅後に掃除機をかけることはできず,結局ホコリが渦巻く住んでいるという気分が抜けきれません。

 嫁さんも似たような気分でいたようなのですが,素直に「ルンバ買って~」といえばいいものを,やれ「ルンバは働く女性の三種の神器」だの「共働き夫婦には必須」だのと,あくまで私に買わせようとします。

 まあ,私が掃除の担当ですので,私が楽をするのに私が費用の負担をするのは至極当然なことですから,やや引っかかるものがありつつも注文,先週の金曜日の夜に届きました。

 ルンバは,部屋の大きさや間取り,どんなものが部屋に置かれているかによって,その効果に差があると思います。ですのでいつものようにレビューを書いても余り参考にはなりませんが,あくまで私の個人的感想として,書こうと思います。

(1)大きさ,重さ

 写真ではわかりにくいのですが,ルンバは結構大きいです。時々猫が乗っている動画を見ますが,まさにあんなかんじの大きさです。部屋にあると,かなり存在感があり,はっきりいえば邪魔にもなります。

 重さについてはもっとわかりにくいと思うのですが,よっこいしょと声をかけるほどの重さです。ニッケル水素電池とモーターが重いのでしょうね,ずっしりとした重さです。


(2)音

 かなり大きいです。普通の掃除機と違って高速回転する部分がありませんから,音はラジコン戦車のような音ですが,かなり耳障りです。確かに動いているルンバを見るのは楽しいのですが,音がうるさいので基本的には外出時に掃除をさせるものだと,改めて思います。


(3)掃除にかかる時間

 部屋の大きさやレイアウトによって違うと思いますが,概ね1時間から1時間30分ほどで掃除を終わります。そりゃ,人間が掃除をした方が早いし綺麗になると思いますが,ルンバは人間の数倍の時間をかけて,ゆっくりゆっくり掃除をするものです。

 短時間で掃除から解放されたい従来の掃除機が,吸引率の向上を第一に改良されてきたことを考えると,吸引力ではなく時間をかけるというアプローチで掃除を行うルンバは,とても画期的であると言わざるを得ません。

 嫌な掃除を時間をかけて行うには,掃除を人間がやらない,留守のうちに行うというこの2つが前提になるわけですから,ルンバは理にかなっています。とはいえ,掃除を人間がやらないという条件を克服するのがとても大変なわけで,これにチャレンジしたメーカーは,私は偉いと思います。


(4)動作と仕上がり

 動きをずっと見ていましたが,ぶつかったら向きを変えて進むという基本的なアルゴリズムです。ただし,向きを変えるときに,ほんの少しずらして反転することで,それまでの経路とは少しだけずれた経路で進むようです。

 その結果,前回なら椅子の脚にぶつかったものが,今回はギリギリつうかと言うことが起こり,結果として部屋中を掃除してくれるわけです。

 ルンバにとって,ぶつかったことを知る衝突センサは,高さ方向を認識しません。ルンバよりも高いものは,それがゴミ箱だろうが壁だろうが,ルンバが乗り越えられない以上はすべて壁です。また,椅子の4本の足にゴチゴチぶつかり,しかも間隔が狭くて足の間をすり抜けられないなら,その椅子はルンバには角柱に見えるのです。

 いろいろレイアウトやスタート位置を試行錯誤してみましたが,まず必要なのは「ルンバになった気持ちで見てみる」ということです。人間にとってあっさりまたげるもの,人間なら通り抜けられる隙間も,ルンバには壁になります。

 人間には向こう側が見えていても,ルンバにはカメラがないので見えません。壁の向こうを知ることが出来る人間と,全く分からないルンバの間には,圧倒的な情報量の差があるといえます。

 ですから,ルンバになりきって,綺麗に部屋を巡回するにはどうすれば良いかを考える事には,意味があります。床にものを置かないことはルンバオーナーの基本ですが,これもルンバにとってどうか,という観点で考えると,すんなり納得出来るものです。

 ルンバは結構力がありますので,ゴミ箱などは自分で押して場所を動かしてしまいます。動く事でゴミ箱にぶつかる機会が増えてしまいますが,このことがルンバには,元の大きさよりもはるかに大きなゴミ箱に見えるようになるのではないかと思います。

 こういう場合,ゴミ箱はテーブルや椅子の上に置いておく方がよいです。

 仕上がりですが,ちゃんと巡回してくれた部分は確かに綺麗になっていると思います。特にカーペットは念入り得意なようで,かなり綺麗になっていると思います。

 しかし,何らかの理由で巡回できなかった場所は,当然ですがゴミが全然取れていません。なぜ巡回できなかったのかを考えるときに,「ルンバにとっての壁」を意識する必要があります。

 人間なら悠々通れる所でも,ルンバには壁が見えています。ルンバにとって壁にならないように,うまくレイアウトを考えないといけません。

 ところで,ルンバが階段から落ちたという話をしばしば耳にしますが,うちでは一度もそんなことはありません。階段を検出する段差センサは有効に機能しているようです。


(5)失敗談

 まず,スケジュールの設定です。月水金の午前中に設定したのですが,なぜか土曜日に動き出しました。設定のミスだったのですが,ルンバのUIは決して優秀とはいえませんので,設定は慎重にしないといけないようです。

 次に行き倒れ。掃除が終わってからホームベースに自分で戻って充電を始めるルンバですが,うちではしばしば行き倒れ,部屋の真ん中でじっとしていることがあります。

 見てみると,ホームベースの位置が変わって,隅っこに追いやられています。ルンバが自分で動かしたんでしょうね。ホームベースをテープで固定して,ようやく戻るようになりました。

 最後に,子供が怖がったという話です。光るものに興味がある娘は,おもむろにホームベースにたたずむルンバのボタンを押してしまいました。突如大きな音がして,自分の方向にゆっくり,なにやらブラシを回転させて向かってくるではありませんか。

 最初はなんだ?と思っていた娘ですが,次第に覚えた表情にかわり,後ずさりを始めましたが,ルンバはゆっくり自分の方に向かってきます。

 そして,泣き出しました。

 怖かったんでしょうね。以後,ルンバについうっかり手を伸ばしても,すぐに引っ込めます。触ってはいけないものだと学習したようです。


(6)ランニングコスト

 ルンバは消耗品の交換が必要で,それなりにお金がかかります。掃除機にランニングコストという考え方はあまり馴染まないのですが,ルンバは掃除機である前にロボットですから,やむを得ません。

 まず,ニッケル水素電池です。700シリーズになって1年半が交換時期になったとはいえ,1万円もする電池を1年半ごとに交換すると,さすがにそのコストは無視できません。

 電池以上にフィルターの交換もバカにならない感じです。3から4ヶ月で交換と言うことですから,年に4回ほどの交換ですが,これってコスト以上に手間がかかります。


(7)結論としては

 完璧を求めるのは無理ですし,過度な期待はすべきではありませんが,土日の掃除がほとんど必要なくなった事実はあり,よく言われるようにお金で時間を買ったことになると思います。

 もう1つ,これもよく言われていることですが,ルンバを買うと,ルンバが効果的に掃除できるよう,床にものを置くことがなくなります。従って床がすっきりし,気持ちいいです。ものが減ったわけではないので,床にあったものはどこかにしまい込まれたに過ぎませんが,忘れてはならないことは,ルンバにとって過ごしやすい部屋は,人間にとっても過ごしやすいのだということです。

 ということで,やや高価な買い物でしたが,ルンバによって土日が有効に使えるようになりました。掃除かは開放される気分的なゆとりも想像以上です。また,ルンバの性能そのものは評判通りですから,ルンバ以外のものを買わなかったことも正解だったと思います。

 問題はランニングコスト,消耗品の入手,故障などサポートの問題,そしていずれやってくる寿命と買い換えです。洗濯機や普通の掃除機のように,買い直すことに何の不安も感じない家電品ならいざ知らず,ルンバはアメリカの家電品ですし,大手メーカーではありません。撤退した,倒産した,日本での代理店がなくなったなどで,入手出来なくなることは案外簡単に起こります。

 他のメーカーが参入していれば良いのですが,シャープも東芝も,韓国メーカーもぱっとしませんし,それらが末永く続けてくれそうには思えません。そうなると,せっかくこの便利さを手にした我々は,数年後にはまたルンバのない生活に戻らなければならないかも知れないのです。

 ルンバのようなロボット掃除機が,当面克服できそうにない問題は,フロアを越えられないということです。3階建ての家に住んでいる人は,家中すべてを1台のルンバで掃除できないことになりますから,本当に自動化するなら3台買うしかありません。

 かように,ルンバは一家に一台ではなく,一フロアに一台ですから,普通の掃除機よりも数が出る可能性だってあるのです。

 そのためには,まだまだ子供以下のアルゴリズムを改良すること,そしてそれが一般の人にも注目されるくらい,適度な未来性を持つようになることが大事でしょうか。

 いずれにせよ,10年後にもルンバがあるという未来を想像出来ない私は,一過性のおもちゃでおわるか,それとも死ぬまで世話になる家電品になるか,まったく想像が出来ません。それは,今後ルンバがどういう進化をするかによって,決まることと思います。

とうとうSSGを買ってしまいました

  • 2013/05/22 09:44
  • カテゴリー:散財

 F-757というパイオニアのFMチューナーは,バブル末期に登場した高級FMチューナーの1つです。CDが登場するまでの間,FM放送は高音質ソースとしてLPレコードやテープデッキと列んで一定の地位を占めていました。

 もちろん,ラジオであればそこそこの音質でしょうが,ここに相応の物量を投入したHiFiコンポーネントとしてのFMチューナーを起用すれば,かなりの高音質が得られます。

 私の場合,お金を出しても買うことの出来ないライブなどのオリジナル音源が放送されることに大変な魅力を感じて,FM放送を出来るだけよい音で受信し,録音することにこだわった時期がありました。

 無論,料金がかからないFM放送のことですから,そのCDを買うべきかどうかを品定めするサンプラーとしての役割も大きかったですし(今でしたらYouTubeなんでしょうね),今まで聞いたことのないような音楽に触れるきっかけにもなっていました。

 DJだってAMラジオと違って,音楽の好きな人が聞いていることを前提にしたものになっているので,とても楽しい物です。

 そんなわけで,20歳頃のこと,念願の購入チューナーを買うことにしました。定価で5万円以上であることを目標にしていましたが,そんなに高価なものは買えず,結果として型落ちだったF-757を買いました。

 F-757は私にとって初めてのシンセサイザーチューナーでしたから,高音質もさることながら,周波数安定度も抜群で,もうこれでFMチューナーを買い換えることはないと思いました。

 時は流れ,高級なFMチューナーが絶滅し,現在入手出来るものはラジカセ内蔵程度のものになってしまいました。FMが好きなおっさん達は,かつての高級チューナーを貴重品として高価な値段で取引しては,FM放送のポテンシャルの高さに唸っています。

 F-757は高級機として登場しましたが,検波回路が中級機種並みのクアドラチュア検波で,人気は今ひとつです。それでも縁あって私の手もとにやってきて,長年にわたって私に仕えた老兵です。

 今から5年ほど前でしょうか,毎年秋に行われている東京Jazzの生中継を聞くのに,F-757を再調整しようと思い立ったのは良かったのですが,標準信号発生器なんて気の利いた測定器もなく,FMトランスミッタICの評価基板を使ってやっつけで調整をしたままになっていました。そういえば歪率計もなくて,PCのスペアナソフトを使うという有様でした。

 歪みのひどさはマルチパスだけではなさそうですが,しかし調整をやり直すにも機材がありません。

 せっかくFMアンテナが良い状態の電波をつかまえるようになったのに,肝心なFMチューナーがひどいままでは気分が悪いです。メーカーに調整をしてもらうか,新しいチューナーを買うか,あるいは自分でちゃんと調整出来る環境を整えるか,迷いました。

 といいますか,迷うもなにも,自分で調整する環境を整えるかどうか迷っただけで,そんなもんものの数秒で払拭しました。買うんですよ,標準信号発生器を。

 まともに買えば100万円,中古で買っても10万円という測定器です。設計開発用と言うより,工場での生産設備の1つとして大量導入された標準信号発生器,略してSSGは,ジャンク品扱いであれば数万円で買うことが出来ます。

 ただ,いろいろなメーカーが多くの品種を出しており,スペックの違いからなかなか良いものを選ぶのも難しい世界です。私は高周波が苦手ですので,余計にわかりません。

 欲張らず,FMチューナーの調整が出来ればそれでよいので,PLLで100MHz程度,ただしFMステレオモジュレータは内蔵していて欲しいところです。パナソニックならVP-8174AやVP-8175A,リーダーなら3216,目黒ならMSG-2570あたりでしょうか。

 ジャンク品は,最近は店頭よりも,オークションの方が手軽です。早速探してみますと,なかなか出ていないものです。FMステレオモジュレータなしのSSGはちらほらあるのですが・・・

 ええい,FMステレオモジュレータなどどうにでもなるわ,と,勢い余ってVP-8191AというSSGを買ってしまいました。2万円程度だったので,ちょっと高かったかなと反省です。

 まー,こればっかは代用品もありませんし,ラジオを作ったり調整するにはあった方が楽で便利な測定器ですから,この際買ってしまうというのも,悪くない判断だったと思います。

 VP-8191AはFMとAMのSSGですが,ステレオモジュレータは内蔵していません。周波数は100kHzから135MHzで,出力レベルは-17.9~126dB EMF(0dB=1uV)です。内蔵の1kHzと400Hzの発振器の出力を変調した信号も出すことが出来ますし,外部入力から入れた信号を変調することもできます。要するに,高精度な微少出力送信機,です。

 連休中に届いたVP-8191Aは,特別程度が良いというわけではありませんが,想定していた程度のもので,これでちゃんと動けば問題なしかなと思うレベルです。通電してみますが,あれ,表示が出ず,うんともすんともいいません。

 やられた!

 ちょっと焦る私は,一度電源を切り,もう一度電源を入れ直します。

 おー,動いた。

 VP-8191Aはメモリーバックアップのバッテリーが干上がると,内蔵のマイコンのリセットがうまくかからないそうです。以後この症状は出ていませんが,私のVP-8191Aも,バッテリーが切れかかっているのかもしれませんね。

 ちょっと波形を見てみましたが,周波数のズレもなく,変調もちゃんとかかっています。うん,大丈夫そうです。

 ですが,外部変調入力のコネクタの部分に「EXT FM MOD」とシールをわざわざ貼ってあります。なんかおかしいなあと思っていたのですが,謎が解けました。ここに発振器を繋いで波形を見ていたのですが,外部入力からの変調が,FMだけしか出来ません。AMでは全く変調がかからないのです。

 わざわざシールを貼ってあるのですから,きっとメーカーが特別に改造したものなんだろうと思います(背面の機銘板にMOD.Fと改造を意味していると思われる表示があった)が,なんの意味があるのかよくわかりません。

 気になったので,元に戻してみようと検討を開始です。

 まず,内部を見てみると,ジャンパがあるわあるわ。AF&I/Oという基板で,ここはアナログスイッチとDAコンバータが多数搭載されており,マイコン〈8085です)から制御される部分です。

 低周波発振器もここにあるので,どうもこのあたりの改造であることは間違いなさそうです。

 ジャンパはアナログスイッチ(サービスマニュアルによるとTL191)にいっぱい付いています。でも,どうも改造によるジャンパではなさそうです。VLLという端子の電圧が,15Vから5Vにしてあります。

 しかも,アナログスイッチはIH5043に置き換わっています。多分,TL191(オリジナルはDG191)から置き換えた際の,改造でしょう。

 基板の裏側を見てみます。パターンを3箇所カットしてあります。これだ,これに間違いないと,切れたパターンを元に戻していざ通電です。

 ・・・だめでした。中途半端な変調がかかり,操作しても波形に変化が出なくなりました。

 ということで,もう一度基板を見てみます。内心,もう外部変調はFMだけでいいやーと,あきらめていたんですが・・・

 で,ふと背面に,見慣れないBNCコネクタがあるのに気が付きました。あれ,こんなのあったっけ?

 コネクタの下には,シールで「EXT AM INPUT」とあります。ぴーんときました。このコネクタから伸びる配線をたどると,基板のある抵抗につながっています。そして,その手前でパターンがカットされています。

 なるほど,標準仕様では,外部変調の入力はAMとFMで共用で,切り替えていたんですね。しかし,本来AMとFMの変調入力は別の回路であり,入力も別です。ですが共用にするためにこの2つの入力が基板上でつなげてあったのですね。

 これを分離すれば,AMとFMの外部変調入力を分けることが出来ます。同時に2つの外部入力をかけることはできないと思いますが,AM用の信号とFMようの信号を,それぞれ別に用意しておき,常時繋ぎっぱなしに出来ることは確かに製造現場では重宝しそうです。

 そうと分かれば,パターンを繋いで通電です。よしよし,問題なし,AMもFMも,切り替えて外部変調をかける事が出来るようになりました。晴れてシールを剥がすことができます。

 なんだか随分回り道をしましたが,結果はこれで上々です。なお,背面の元AM外部変調入力はその機能を失っていますが,記念に残しておくことにします。結局この改造に関係なかった他のジャンパについては,回路図を見る限り,やはりIH5043への置き換えに伴って必要になった改造のようです。ここは元に戻しておきました。

 他にも,ツマミも標準のものとは違っています。黒でやや小振りのツマミがついているはずなのですが,私のものは白でやや大きめの後継のツマミです。

 中の部品を改めて見てみると,1996年頃のものと判明。15年近く前ですが,それでも新しい方でしょう。しかも,2008年10月に修理を行ったと言うシールが貼られていました。ということは,性能保証の状態から4年半しか経過していません。こいつはなかなかいいかも知れないです。

 早速F-757の調整にかかりたいところですが,なかなか時間がなくて,先日ようやく取りかかりました。といっても,まずは練習みたいなものです。

 前回はSiliconLabのFMトランスミッタICの評価ボードにPCのスペアナソフトでしたから,今回のようなSSGに自作とはいえちゃんとした歪率計を使って調整出来るというのは,大変うれしいことです。

 まず,バリキャップの電圧調整です。SSGの出力を止めて,90MHzでTP1の電圧が24.0VになるようにL18を調整します。以前は海外仕様のサービスマニュアルを見て調整したので,ここが21Vになっていました。無茶苦茶です。

 この結果,76MHzでは7.5Vと規定の電圧になっています。うむ。

 次にトラッキングです。76MHzを受信し,TP10の電圧が最大になるようにL1,T1,T2を調整します。そして90MHzを受信し,TC1,TC2,TC3を調整し,TP10が最大になるようにします。これを何度か繰り返します。私の場合,4.2V程度が最大でした。

 次はIF調整です。83MHzを受信し,T3,T101,T102,T103を調整し,TP10が最大になるようにします。ここはそれほど狂っていませんでした。

 さて,次はいよいよ検波の調整です。83MHzを受信し,T201AとVR208を調整し,オーディオ出力の歪率が最も低くなるようにします。続けてTP4とTP5の間の電圧が0Vになるよう,T201Bを調整します。

 これを何度か繰り返します。ところがですね,どれだけ頑張っても1.3%以下にならないのです。いくらなんでも1%以下にならないのはおかしいので,T201Aを思い切って回してみます。

 すると,ぐっと歪率が悪化してから,すーっと下がるポイントが見つかりました。これだとVR208の中点付近で最小にできます。T201Bのコアを前回割ってしまっていて,慎重に調整をします。

 しかし,歪率はどれだけ追い込んでも0.6%弱です。0.3%以下にしろということですし,カタログスペックではCDに迫る歪率ですので,ちょっと悪すぎかなあと思います。

 以前の1.3%は聞けば歪みっぽさが分かる程度でしたし,0.6%でも随分良くなっていることは間違いないのですが,もっと良くなると思っていただけに,ここは不本意な結果です。

 可能性の問題として,SSGの不良というのがあります。低歪みの外部発振器から正弦波を入れても歪率は下がらなかったので,内蔵発振器の問題という話はないのでしょうが,変調の部分で故障している可能性は拭えません。しかし,これを確かめる方法は,歪率が分かっている(しかも低歪みで高性能な)FMチューナーを使って測定をしてみるという方法しかありません。FMチューナーの調整をするのに,さらに高性能なFMチューナーを入手するというのは,さすがに抵抗があります。

 次にSメーター調整です。VR202を調整し,45dBの出力でTP10を5Vにします。今度はVR101を調整し,75dBでTP2が1.4Vになるようにします。そしてVR201を調整し,12dBでミューティングかかかるようにして,RFの調整はおしまいです。

 VP-8191Aで出来る調整はここまでです。ここから先は,ステレオ復調の調整ですので,ステレオモジュレータが必要です。

 一応,入り口の部分だけやっておきましょう。83MHzを受信し,TP3が最小になるように,VR203を調整します。次に変調をかけず83MHzを受信して,TP7が38kHzになるよう,VR601を調整します。

 続けて,19KHzのパイロット信号の漏れを最小にする,セパレーションや歪率を調整するなどがひかえていますが,これはVP-8191Aでは出来ません。

 さて,ついでにAM部も調整してみましょう・・・取りかかって見ましたが,どうもうまく調整出来ませんでした。そんなに狂っていた様子もないので,もう適当な所でやめておきます。

 さて,ここまで行ってF-757はモノラルなら調整済みというステータスになったはずなのですが,どうも音質はよくありません。こんなもの,といえばそうなんでしょうが,これだけよい電波を捉えているのに,この妙な歪みっぽさはなんだという感じがします。

 特にステレオ放送の歪みっぽさが問題で,慌てず冷静にステレオモジュレータ内蔵のSSGを買えば良かったかなあと,ちょっと後悔です。

 うむ,やむを得ません。ステレオモジュレータを自作してみましょう。

 そして調整はこれが完成してから,やり直すことにしましょう。

変態テレビアンテナ配線と笑えない俺

 先日,テレビのアンテナの話を書きました。結局ブースタを使う事なく,なんとかなったと言う話でした。

 ところが,その後録画に失敗していることがチラホラ出てくるようになりました。そういうこともあるよと気軽に考えていたのですが,どうも気持ちが悪いので,真面目に調べてみました。

 結論から言うと,やはりレベルの不足が原因でした。

 レベルそのものは大丈夫だったはずです。しかし,ダブルチューナーの機材を繋いだ場合には内部で分配を行っているので減衰があること,しかも私の機材は2つのチューナーで感度差があることを忘れていました。ただの劣化なのかも知れませんが・・・

 それで,感度の低い方のチューナーに,出力の弱い地方UHF局が割り当てられた場合に,録画に失敗するという事が起きたようなのです。

 うーん,これはさすがにわからんなあ。

 そこで,チューナーの手前にブースタを置いて見たところ,2つのチューナーのレベルがちゃんと稼げるようによって,録画にも失敗しなくなりました。やはり,ブースタは必要という結論になりそうです。

 くっそー,あの素人電気屋めっ,と今頃ジタバタしても仕方がありませんし,ごねるのも面倒なので,ここから先は自分で頑張って見ます。

 まずブースタをどこに設置するか,です。チューナーの直前に設置すると,ブースタを室内に置くことが出来ます。各部屋の分配器が設置されている屋根裏は,5月だというのに灼熱地獄です。もし私がケミコンだったなら,すでに臓物を吹き出して死んでいたことでしょう。

 しかし,ふと思い出すと,和室のレベルはもっと低かったんですね。ここだと普通のテレビもアウトかも知れません。そうすると,やはり各部屋への分配が行われている屋根裏にブースタを置き,和室もレベルアップして上げた方がよさそうです。

 一方で,リビングはブースタをいれる必要がありません。ここは単独で分配されているので,そんなに減衰していないはずですし,レベルも十分確保出来ています。

 ところが,私が持っているブースタは,VHFの信号を通過させません。ということは,せっかく混合したFMの信号が通らなくなってしまうということです。ですから,UHFとFMを混合する前に,UHFだけブースタを通して増幅しておかねばならないということになります。

 むー,ややこしい。

 試行錯誤を行った結果,結局以下の通りになりました。

・UHFアンテナから2分配器に繋ぐ。出力の1つはリビングへそのまま送る。

・もう1つの出力をブースタに入れる。ブースタはアンテナ取り付けタイプのDPW02を使用する。これを使った理由は,電源部が別になっていること。

・ブースタの出力を混合器のUHF入力に入れ,FMアンテナを混合器のVHF入力に入れる。

・出力を和室に送る。和室からは分岐器で検討部屋に送られる。

・検討部屋では,2分配器を使って,1つは地デジチューナーに繋ぐ。もう1つは間に電源ユニットをはさみ,FMチューナーに繋ぐ。


 これで,FMには影響を与えず,地デジのレベルアップが出来ました。もちろん小さかった和室も他の部屋並みのレベルになっています。これならもう大丈夫でしょう。

 しかも,電源器を室内に置くことにしましたので,屋根裏の書くな環境から守ってやることができそうです。もちろんブースタ本体は屋根裏にありますが,もともと屋外設置用のものなので,そこそこタフなはずです。熱に弱い部品も入っていないでしょう。

 ですが電源部は熱に弱く,わざわざ屋内用と書かれているほどです。すぐに壊れるわけではなくても,10年持つところが,3年で壊れるなどいうことが起きるのが,環境の悪さです。

 なんだか釈然としませんが,地デジチューナーを遠慮なく増やせる気分的なゆとりや,和室でも問題なくテレビが見られそうだという安心感もありますので,もうこれはこれでよいことにしましょう。

 

新居のテレビアンテナがこんなにおかしいわけがない

 先日,テレビのアンテナの顛末を書きましたが,これには後日談があります。

 当初,アンテナから3つの部屋に分岐させるため,3分岐器を使っていましたが,このうち検討部屋への配線が途中でショートしてしまい,使えなくなりました。

 そこで,和室から分岐させ,検討部屋へ持って来るという対策を行ったまでが,前回までのお話です。

(1)念願の多素子FMアンテナ

 一連の作業の過程で,屋根裏を覗いてみたのですが,案外広いのです。さすがに人が入れるほどの高さもないし,木くずだらけですので積極的に入ろうとは思いませんが,ここを屋外とみなせば,念願のFMアンテナを設置できる事に気が付きました。

 マルチパス妨害を防ぐには,指向性の鋭いビームアンテナが効果的です。指向性が鋭いほど効果がありますし,ゲインを稼げばそれだけS/Nも上がります。

 とはいえ,屋根裏に設置できないほど大きなアンテナでは困ります。さすがに位相給電型や3素子八木程度ではもったいないのですが,5素子八木はちょっと大きすぎて不安があります。

 すると4素子八木というのがあるんですね。安いし,これにしようと思っていたのですが,どうも評判がよろしくありません。見れば,サイズがFMの周波数に対してかなり小さいのです。

 しかも,メーカーの公開しているスペックに,ゲインが出ていません。サイズを無理に小さくしてテレビのアンテナ並にした結果,ゲインが皆目取れなくなったんじゃないでしょうか。レビューを見ても3素子の方がましだという意見があるほど散々です。

 うーん,かなり危険が伴いますが,これはもう5素子八木にトライするしかありません。実家にいたころに上げたアンテナと同じです。大きさは2mを越えます。

 ですが,迷っていても仕方がないので,早速注文。FMとUHFの混合器も一緒に注文しました。最近,この手のVHFとUHFの混合器って少なくなっているんですね。需要がないから当たり前でしょうけども,こうして気が付かないうちに,当たり前だったパーツがなくなっていくのです。

 さて,まるで×××なビデオを注文して準備万端受け取りを待っていたら,ちょっとトイレにいった隙に嫁さんに受け取られてしまって,大変バツが悪かったのと同じように,今回の巨大なアンテナも嫁さんにちらっと見られてしまい,「どーすんのよ」と詰め寄られる一幕はありましたが,こういうときは視界から消し去ることが肝要,さっさと屋根裏に運びました。

 そして組み立てしてとりあえずスカイツリーの方向に向けて設置してみました。うん,大丈夫です。十分なスペースがあります。八木アンテナは大きいですが,骨組みだけですので,そんなに容積があるわけではありません。工夫次第でどうにかなるものです。

 そして,FMチューナーを持ち込んで,アンテナの向きの調整です。Sメーターが大きく振れ,マルチパスが出ないところを探して設置します。FMアンテナはほとんどHNK-FMのために設置するようなものですが,成果は上々です。

 これとUHFを混合器で混合,そして分配器を繋ぎます。Sメーターが1つ下がりますが,問題ないレベルです。

 チューナーを検討部屋に持って行き,ここで受信してみますが問題なし。さらに地デジも確認しますが,混合器によるロスが2dBほどある以外は,問題なしです。

 そして分配器を使ってFMと地デジを繋ぎます。さらに3dBほど下がりますが,やむを得ません。地デジはギリギリ大丈夫な感じです。もう3dBほど欲しいですところですが,まあ大丈夫でしょう。

 後日書きますが,実はFMチューナーであるF-757の性能を生かすため,SSGを中古で買ったのです。これで調整をすれば,現在私が思いつく環境としては,まずまずのものになるはずです。


(2)3分配器でええのんか?

 ある日,ふと思ったのですが,検討部屋への配線が死んでいるため,屋根裏にある3分配器の出力が1つあいているんです。これって無駄ですよね。

 分配器は,一口あたり2dBの減衰があるとされています。2分配なら4dB,3分配なら6dB,8分配なら8dB,それぞれの口から出る電波は減衰します。

 ですから,使っていないのに3分配なんてことをしておくと,2dBも損をします。うーん,これくらいのこと電気屋さんも気が付けよなぁ。

 仕方がないのでじぶんでやります。金属ケースに入った2分配器をamazonで探すと,数百円で買えるようです。早速注文し,届くのを待ちます。

 連休中に届きましたので,早速作業開始です。といっても,屋根裏の分配器をこう関すだけの話ですので,5分で終わりです。

 結果,2dBアップしました。地デジはマージンも確保出来たし,FMもSメーターがMAXになりました。


(3)分岐器でええのんか?

 和室にある分岐器は,私の希望としては分配器でした。そうでないと,和室での損失が大きすぎると思ったからです。

 結局分配器なのか分岐器なのかはっきりしなかったので,和室のコンセントを開けて中を見てみました。すると,金属製の分岐器が出てきました。

 ほぼ同じ大きさの2分配器を買ったので,これに交換して試してみましょう。

 結果,和室は6dB以上のアップ。一方の検討部屋は4dBほどダウンします。

 ここで冷静に考えます。和室は現在テレビを設置していません。仮に設置しても,テレビしか設置しないので,分岐器でも大丈夫でしょう。

 一方で検討部屋は,地デジとFMチューナーに分配を行っています。タダでさえロスが大きいのに,入ってくる時点でさらに小さくなってしまうと言うのは,ちょっとまずいです。

 そこで,しゃくですが分岐器に戻しました。


 というわけで,ようやくアンテナの件は解決です。いろいろ大変でしたが,最終的にはテレビもFMも満足できる形にまとまりました。FMなんてのはかなり大型のアンテナが必要ですし,設置が大変な割には結局「ラジオ」ですから,なかなか普通は用意しようなどと思いません。

 しかし,設置が大変な分,その効果は絶大であり,FMが好きな人にとって,いつかは手にしたいものの一つです。アパートだからマンションだから,とあきらめていた私も,今ようやく気兼ねなく設置できることになり,素直にうれしいです。

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