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2018年05月の記事は以下のとおりです。

SIRUIのカーボン一脚は本当に素晴らしい

  • 2018/05/30 11:54
  • カテゴリー:散財

 少し前ですが,以前から欲しいと思っていた一脚をamazonのタイムセールで見つけて買いました。2500円ほどの安物で,アルミ製6段のものです。

 もしもの時のために持っていくという目的のため,何より小さく軽いことが重要だったのですが,価格も2500円ならまあ失敗してもいいかと,そういう風に考えてしまいました。

 届いたものは案外しっかりしており,携帯時の小ささといい軽さといい,案外使えるなあと思って喜んでいたのですが,いざ真面目に使ってみようとすると心配で本気では使えないと判断しました。

 1つは,簡単に壊れてしまったこと。誤解のないように言っておきますが,折れたり破損があったりと,完全に使えなくなってしまうほど壊れたわけではなく,使い方に気をつけないとまずいという感じです。

 この三脚は足をねじって固定するのですが,しっかり固定しようとするとそれだけ強くねじらないといけません。そうすると収納時には逆にねじって緩めるのに力がかかるのですが,すべての段で均等な力で緩むとは限らないので,ある段だけ緩まないという事が起きてしまいます。

 それでも足先を持ってひねれば大丈夫だと思っていたら,足先が外れてしまい,結局緩まないままになってしまいました。

 仕方がないのでここにシリコンスプレーをかけ,プライヤーで挟んでねじったのですが,ここでふと思いました。シリコンスプレーをかけてしまったら,簡単に滑って縮んでしまうじゃないか?

 それに,足先が緩まない程度にしかねじられないのであれば,軽いものしか支えられないんじゃないのか?

 ということで,伸ばした状態で上からぐいっと押してみると,簡単に縮んでしまったのです。

 もともとこの一脚はコンデジや小型のミラーレスを想定したもので,D850クラスをカバーしません。要するに私の期待が法外なものだったということに尽きるのですが,もしも緊急時にD850 + MB-D18 + AF-S70-200F2.8VR2なんかをこいつで支えたら,なんかの拍子にするすると縮んで転倒してしまうかも知れません。

 いやーこわいこわい。

 そういう危険性が分かっているのに,これを緊急用にと携帯しても意味がありませんわね。使えないもの,使えば事故になるものなんですから。

 でも,コンデジや小型ミラーレスで一脚が必要になるシーンて,私はちょっと想像がつかないです。一脚は三脚と違って誰かが支えていないといけないものですから,主な用途はブレ防止です。

 でも,コンデジもミラーレスも超望遠を扱う事は少ないでしょうし,軽いものだし手ぶれ補正もしっかりしているので,そもそも一脚などいらないんじゃないかと・・・

 まあ,そういう話を個々でしても仕方がないので,D850でも安心して使える,軽くて小さい一脚を買うことにします。

 前回の安いものは最大長がやや短く,D850ではかなり前屈みになってしまい,腰に悪いことも判明しています。自然なアイポイントにくるよう,もう少し長いものを選びたいところです。

 剪定の際に,ちょっと考えないと思う事がもう1つあり,それは中国のSIRUIというブランドの製品を選択肢に入れるという事です。

 中国ブランドで中国製の安いものは,やっぱりまだまだ安かろう悪かろうであることを否定できずにいて,作りが悪い,基本性能を満たさない,すぐ壊れる,使う側の歩み寄りを求めるといった問題が時にあり,このあたりはけっこう運の要素と,使う側の理解が求められるところです。

 カメラ本体やレンズは難易度が高いとしても,写真用品は技術的にはそんなに難しいものはなく,安さやアイデア勝負になるところがあり,最近ちょっとずつ中国製の評価が高まっています。

 そうはいっても,中国製でもよいものはそれなりに高価で,それなら日本のメーカーのものでいいんじゃないかとか,そういうこともあってこれまであまり中国ブランドの高級品を買うことはなかったのです。

 そんなおり,SIRUIというブランドの評判が高いことを知りました。三脚のメーカーで,カーボンの本格的な三脚が破格で売られています。それは国産のアルミ三脚よりも高いくらいなのですが,カーボンの三脚としてはとにかく安く,国産のアルミか中国のカーボンかで悩むという,新しい選択肢が誕生したのでした。

 もちろん,プロも使うハスキーやジッツオ,マンフロットがいいのは分かってますが,これらのカーボン製は非常に高価で,三脚の出番が少ないインドア派のアマチュアである私には,もはやサッカーボールやランニングシューズを買うくらい無駄なことです。

 一方,インドアな人ほど三脚が有効であり,体力的に持ち運びのため軽いことが求められるという矛盾もあって,いつもここで考えるのをやめてしまうのです。

 しかし一脚なら話は別。足が1本ですからもともと安いですし,軽くて小さい事は持ち運びが楽な事だけではなく,カバンにすっぽりと入ってしまい邪魔にならないという強力なメリットも生んでくれます。

 なら奮発するか,と言う話になると,やはり先程のSIRUIが気になってきます。

 調べてみると,P-326という製品が私にぴったりです。カーボン製の6段で,耐荷重10kg,長さは最大154cmで,重さはなんと400g。収納時には38cmまで縮むので折りたたみ傘くらいの感じです。

 これで価格は8760円に10%にポイント。アルミ製なら5660円なので3000円も安いので,これはこれで十分ありなのですが,その代わり100gほど重くなってしまいます。

 100gを3000円で買うかという判断なのですが,最初からカーボンを使ってみたいと思ったことと,それでも100gは大きいし,耐荷重もカーボンの10kgに対し8kgと2割も減り,アルミとカーボンでは強度が違うと考えて,ここは迷わずカーボンを選びました。

 冷静に考えると,中国製に安いとは言え9000円もする一脚を買うのですから,もし失敗したらどうしようかと心配だったのですが,注文後数時間というヨドバシのスピード配達がその心配を拭き飛ばしつつ,私の手元にSIRUIのP-326が届きました。

 早速試してみましたが,これ,いいんじゃないですか?


 まず,重さですが,400gは確かに軽いと思います。手に持ったときに「軽い!」という印象が簡単に沸くでしょう。これが500gだと「まあこんなもんかな」で終わったでしょうね。カーボンで正解でした。

 大きさは,最大長の154cmは私には十分な長さです。D850にMB-D18でも,無理のない姿勢でファインダを覗き込むことが出来ます。それにしなったりたわんだりせず,確かな剛性感があります。

 携行時の38cmはちょっと長い感じで,これだとカバンを選ぶだろうなと思いますが,それよりパイプが太いのでずんぐりとした印象が強く,むしろこっちが理由で持ち運びが心配になるような気がしました。

 加工精度といった品質については,まさにこれをここで書きたかったと思う程の満足感です。バリであるとかひっかかりといったようなものはなく,丁寧な仕事の結果だと思います。いや,この行き届いた感が中国ブランドにあるというのはうれしいです。

 ガタもないし,するすると伸び縮みするカーボンの足は加工精度も高く,ロックもしっかりとかかり,不安がありません。

 そして,案外適当に扱われることのある付属品などの部品ですが,カメラ台もしっかり精度良く作られていますし,ストラップやストラップを取り付ける金具も良く出来ているので,いい仕事をしていると感心しました。ただ,コンパスはいらんかなあと。

 また,ウレタンのグリップもよいものを使っているようで,握った感じがとても良いですし,足も可変石突になっていて,ゴム足とスパイクを使い分けられます。

 それとちょっとびっくりしたのは,本体の保証が6年なんですね。もともと安いものですから,6年も保証をしていたら赤字になるんじゃないかと思ったのですが,それだけ壊れないという確証があるんでしょう。大したものです。

 総じて満足度が高いです。この値段ならアルミよりカーボンがおすすめです。

 一脚も三脚もそうですが,使ってみてしみじみ実感するのは,しっかりしたものほど持ち運びが大変だということです。

 当たり前過ぎて失笑が漏れるほどですが,小さくたためるものは可動部が多く,ガタが増えますし剛性感も失われますし,軽いものは安定性に欠き,しなったり剛性感がなかったりします。

 この持ち運びとしっかり感は相反する要素なわけで,これを高い次元で両立しているのがカーボン製なわけです。しかし,これには3つ目の価格という要素が邪魔をします。

 そこにSIRUIという価格も解決するようなブランドの存在があり,我々は非常に良いものを手軽に買うことが出来るようになったのですから,わざわざアルミを選ぶ理由はないと思います。

 持ち運ぶときは小さく軽く,使う時は10kgまで支えられる剛性感を堪能する,これがこの値段です。素晴らしいと思います。

 このSIRUIと言うブランド,日本には2011年に入ってきているそうです。もう7年も日本で頑張っているのに,その間に値段が上がったりしませんし,品質やサポートで不評を買ったりもしていません。むしろその知名度はどんどん上がり,大手量販店でも売れ筋に入っています。

 安いものはそれなりだ,という私の考えは,どうもSIRUIには当てはまらないようです。同時に,中国の工業製品の本当の力を,今回は見た気がします。

 中国製品は我慢と理解で買うものではなく,積極的に選ぶに値するものになっていると,考えを改めることになった記念碑的製品が,この一脚であると私は記憶することになるでしょう。

 

ES-2でネガを取りこんでみる

 長期にわたる発売延期の末,さる3月末にようやく発売になったニコンのES-2。名前だけ聞いて「あああれか」と思う人とはじっくり呑みたいと思うのですが,多数の知らない方々のために少し説明をすると,D850のオプションとして用意された,フィルムのデジタイザです。

 デジタイザというからにはフィルムをデジタルデータ化するものなのですが,大げさなものではなく,マイクロニッコールでフィルムを等倍で撮影するための,フィルムを保持したりする小物群の総称です。

 これを使えばかつて高価だったフィルムスキャナと同じことが出来る(というよりもっと簡単にできる)わけですが,そもそもまともなフィルムスキャナが新品で手に入らない現状では,とてもありがたい製品です。

 仕組みはなにも大げさなものではなく,フィルムをマクロレンズを使って等倍で撮影するための,補助用具です。

 とはいえ,マクロレンズで等倍の複写を行うのって,やってみればわかるのですがなかなか難しいものです。平面を維持すること,均一でムラのない光源を用意すること,カラーなら演色性の高い光源が必要な事など,理屈は簡単でもなかなかうまくいかないものです。

 しかも今回はフィルムという小さなものが相手です。平面を維持して固定するだけでもなかなか大変ですし,フィルムは光を透過させて撮影しますから,面光源でなくてはなりません。

 そこでES-2は,フィルムを挟み込むホルダー,そのホルダーをマクロレンズと平行に固定する本体で構成されています。本体の後ろ側はすりガラスのような拡散板がついていて,面光源を作る役割を担っています。

 本体とマクロレンズの先端にねじ込むアダプタはある範囲で動くようになっていて,マクロレンズと平行を保ったまま,距離を固定することができます。

 こうした小物がいくつかで構成されたES-2で,確かにフィルムを「撮影」してデジタルデータ化することは出来るでしょう。しかしそれだけでは実用的ではなく,ミソはD850に内蔵されたネガポジ変換機能です。

 いや,単なるネガポジ変換などPCのソフトでどうにでもなるだろう,というなかれ。ネガフィルムはネガポジ変換(補色への置き換え)だけでは綺麗な色は出ません。これは,フィルムのベースがオレンジ色をしているからで,このオレンジかぶりを補正しないといけません。

 このネガポジ変換機能を本体の機能として組み込んでおくことで,手軽にカラーネガをデジタルデータに出来るというわけです。

 この手のものは昔からあるにはあって,ニコンもES-1という安価な製品を出しています。他社カメラのユーザーも買っている隠れた人気商品ですが,実のところデジタルカメラ本体の性能も良くないといけませんし,画像処理の手間を考えると,お遊びのレベルを超えてなかったように思います。

 フィルムスキャナが優れていたのはオレンジかぶりの補正もそうですが,カラーネガは適正露出から外れるとカラーバランスが崩れてくるので,露出の補正は明るさと色の補正を必要とし,これをきちんとやってくれることにもあります。

 さらに高級機(というより実用機)は赤外線を使ったゴミ取り機能も持っているので,手作業で行うゴミ消しのレタッチをしなくて済むという,大量の写真を処理する時には,そのありがたみを実感したものです。

 また,カラーネガにもポジにも言えますが,画像処理を細かく調整し,フィルムや撮影画像の個性をうまく引き出すような設定も可能になっています。

 D850とES-2の組み合わせで実現するフィルムのデジタイズは,カラーバランスの補正もゴミ消しもやってくれません。画像処理の設定も触れないので,基本的にはフィルムをセットしてシャッターボタンを押すだけの作業です。

 ところが,たったこれだけのことで,とてもうまくデジタル化が出来るのです。

 ところで,なんで「スキャナ」じゃないのか,と言う話ですが,フィルムスキャナは1次元のラインセンサを使い,1ラインずつフィルムを取りこんでいったのでスキャナ,一方でD850は2次元のイメージセンサを使い,一発で画像を取りこみます。

 だからスキャンはやっておらず,そこは生真面目なニコンのこと,スキャナではなくデジタイザなんですね。

 話を戻すと,ES-2はその品物を見ると,2万円は高価だと思います。先に言ってしまうと,得られる価値は2万円を優に超えると思いますが,これなら数千円で買えるES-1を使おうと思う人がいるのも無理はありません。

 しかしそのES-2,待たされた&高価なだけに,細かいところに気が利いて,とても良く出来ています。

 対応レンズはマイクロニッコールの60mm(AF-SとAIAFの両方)と,40mmの3本に正式対応です。とはいえ,レンズと連動する機構があるわけではなく,本体がES-2を認識して設定が自動的に切り替わったり,特殊な機能が発動したりといったギミックはありません。

 余談ですが,そういうギミックがあることを喜んだり,逆にギミックがないことを残念がったりするのが自然な発想のように思うものですが,見方を変えるとそうしたギミックがなくてもちゃんと便利に使えるものならそれが一番いい訳で,まずはそうしたシンプルで機能的に十分なものを考えていく必要があると私は思います。

 光源は各自で準備しないといけませんが,窓際で太陽光を使ってもいいくらいです。しかし,蛍光灯やLED電球の演色性の低いものを使ったり,最初から色味が付いている光源を使うと,発色が悪かったり,色が転んだりしますので注意が必要ですし,いくら拡散板があるとはいっても,やはり点光源だと明るさにムラが出てしまいますので,できるだけ面光源を確保したいところです。

 私の場合,昔買ったライトボックスを使いました。今はもう見る事のない冷陰極管を使ったもので,今どきのLEDのものに比べて見劣りしますが,実は冷陰極管は演色性が高い(ものを作れる)ので,このライトボックスはこういう用途には好ましいです。

 これをES-2と平行に置いて,平行光にします。

 フィルムホルダーにネガを挟み込み,本体に差し込みます。D850をライブビューにしてES-2本体を前後に動かしたり回転させたりして,ちょうどいい大きさで,まっすぐ取り込めるように位置を調整して,固定用のネジで動かないようにします。

 D850の設定から,ライブビューのネガの取り込みを選ぶと,さっとネガがポジに変化します。これはなかなか見事です。

 あとはオートフォーカスでフィルム面にフォーカスを合わせて,どんどん撮影していきましょう。1コマ撮影したら1コマずらして,あっという間に6コマ終わります。これは早いし楽です。

 F8まで絞り込まれるのでシャッター速度は1秒近くになり,手ぶれが心配になる課も知れませんが,カメラと一緒にフィルムも動くので,手ぶれはありません。とはいえ,手ぶれなどの振動でフィルムだけ別の動きをしたり,風があったりしたらぶれるので,出来るだけ早い方がいいのは確かです。光源が明るい方がノイズも少なくて好都合ですし。

 そんなわけで,1コマ1秒くらいで撮影出来るので,ネガの交換の手間を考えても,36枚撮りのフィルム1本を数分で処理できます。

 取りこんだ画像はなかなかよく,考えてみたら高性能なマクロレンズと4500万画素の高級機を使うのですから,かなりお金のかかったスキャナということが言えるわけで,この結果は当たり前といってもいいでしょう。

 実際,銀の粒子がきちんと描画されており,すでにネガフィルムの解像度をD850は越えていることが伺えます。

 期待していたのは,ネガフィルムの画質が今風になっていることだったのですが,そこはやっぱりネガフィルムらしさを残しているので,昔のネガフィルムを現代に甦られるというような使い方には厳しいと思います。

 ちなみに,フィルムのデジタイズ機能にはネガポジ反転を行うカラーネガフィルムだけではなく,そのままを取りこむポジや,モノクロネガを反転させるモノクロネガフィルムにも対応します。

 このうちポジの取り込みは通常の撮影と同じということもあり,RAWでも残せるし,ホワイトバランスも調整可能なのですが,カラーネガについてはネガポジ反転の処理をやる関係か,JPEGのみの出力です。これはちょっと残念です。

 とまあ,全部で8本のカラーネガを取りこんでみました。

・良い点

(1)スタンドアロンでカラーネガが取りこめる

 これは結構重要です。後述しますが,ディスコン前に意を決して購入したフィルムスキャナCoolScanVは,本体はまだまだ元気なのにPCのソフトが更新されず,現行のMacでは全く使うことが出来ません。

 Windowsでも裏技を使い自己責任で動くようにするのがやっとで,やはりPCを使うことが前提になると,案外早くに使えなくなってしまうものです。

 トータルの性能はPCの処理能力にも引っ張られますし,PCのメンテを怠るとサ行が止まることもしばしばですから,スタンドアロンで動くのであればそれが一番いいです。


(2)高速

 なんといっても,シャッターボタンを押すだけで取りこみ完了ですから,早いです。フィルムスキャナでは1コマに数分かかります。


(3)高画質

 素晴らしい解像度,素晴らしい発色,そして素晴らしい画質で,これがフィルムかと思うほどの高画質で取りこめます。安価なフィルムスキャナには,高速でも画質がビデオ並みというのもありますから,これはD850とマクロレンズの高性能が生かされた例だと思います。


(4)テレビに映してみんなで見られる

 そして,その高画質をHDMIでみんなでテレビで見られます。これもこれまで,出来そうで出来なかったことで,昔の写真をワイワイみんなで見るという楽しい使い方が出来ると思います。


(5)なかなかうまくネガポジ反転しているので色もいい

 オレンジベースのネガフィルムは単純な反転ではダメで,ちゃんと画像の処理をしないといけません。そこはやはり,かつてフィルムスキャナをやっていたニコンだけに,ノウハウが伝承されていると期待したいです。


(6)作業スペースが少なくていい

 小さい作業スペースがあれば十分で,これがフィルムスキャナにPCだと大ごとになっていました。電池で動くことも重要で,これでフィルムの取り込みが身近なものになったことは間違いないでしょう。


・悪い点

 大きく重くPCが不可欠で取り込みに時間がかかるフィルムスキャナとの比較でES-2と比較してみると,案外ES-2の欠点が見えてきます。

(1)ゴミ,ホコリ,キズに全く無力

 CoolScanVには,DigitalICEという赤外線を使って取りこんだ画像からゴミ,ホコリやキズを消す機能が備わっています。

 赤外線を使えばこうしたゴミやキズだけをスキャンできるので,これを元にゴミやキズの場所を特定し,消したりぼやかしたり出来るという機能です。

 ES-2を使って取りこむと,当然こうした機能の恩恵にあずかれません。キズもそうですし,案外面倒なのはホコリで,ポンポンとテンポ良く撮影して取りこんでも,あとで見返すと大きなゴミでやり直しになることが多く,うんざりします。

 それでもホコリはやり直せますが,キズはもうどうにもなりません。


(2)ホルダーが使いにくくて6コマごとのネガの交換に時間がかかる

 ES-1とは違って,ES-2では6コマのスリーブを連続して扱えるホルダーが使えるようになりましたが,このホルダーが案外くせ者で,なかなかうまくネガを挟めません。無理に挟むと傷を付けたりしますし,油断すると斜めになります。

 それに,古いカメラでは案外コマ間がばらつくので,結局1コマごとにいちいち確認して位置を合わせる必要があったりします。

 だから,取り込みそのものは1秒までで終わるのですが,フィルム1本を終わるのにかかる時間は案外多くて,30分ほどかかってしまいます。実は,これだとCoolScanVでかかる時間とそんなにかわりません。


(3)RAWで残せない

 これも問題です。私としては,ネガの画像もじっくり仕上げたいと思っていて,それは現像と言うよりもプリントという作業工程だと考えていました。ですが,ES-2ではJPEGしか出力出来ませんので,そこからの加工にほとんど自由度がありません。

 CoolScanVもRAWで残せない(残せるのだが現像ソフトで扱えず,しかもその実態はTIFFらしい)ので期待したのですが,その期待は裏切られてしまいました。

 ホワイトバランスや色の調整,トーンカーブの修正もしたいし,ノイズの除去,退色の補正は必要でしょう。ホコリやキズを自動で消せないなら,せめて手動で消すためにも,JPEGではなくRAWで残せるようにしてほしいと思いました。


(4)色の調整が出来ないので退色したネガには無力

 JPEGでの出力でも構わないのですが,なにせわずかな明るさの変更くらいしか調整がほとんど出来ないので,ネガを作品として仕上げるのはあきらめた方がいいかもしれません。

 D850はホワイトバランスが優秀なのでつい忘れがちですが,フィルムのホワイトバランスは太陽光で固定です。蛍光灯では緑にかぶりますし,適正露出から外れると色が転びます。さらに,経年変化でも色が変わっていきます。

 デジタルは,こうした色の修正などは得意技なのだから,取りこんだネガもある程度の自由度があると信じていましたが,ほとんど変更出来ません。JPEGでいじるとあっという間に破綻しますので実質無理だと割り切るしかなく,つまるところES-2はフィルムの写真を作品に仕上げるというより,手軽に見るのを楽しむものだというコンセプトだと,思い知らされました。


(5)電池の消耗が激しい

 ライブビューで長時間動かすわけですから,かなり電気を消費します。おかげで,フル充電の電池も2本ほどスキャンすればもう電池は半分以下になっています。


(6)光源の確保が難しい

 前述しましたが,演色性の高い面光源で,かつ長時間駆動が可能な光源って,ありそうでないものです。


 とまあこんな感じで,個人的にはES-2にはすごく期待したのですよ。もしかしたら家にあるたくさんのネガとポジを,これで全部取り込み直さないといけないかもと思うくらいの覚悟をしていたのです。

 しかし,結果は良く出来ているけどもう一歩で,作品として作り込むことも出来なければ,作品の素材としての素性も良くないので,結局ネガがテレビで鑑賞できてよかった,でおしまいになってしまいそうな感じです。

 この機能の搭載はまだまだ始まったばかりですし,今後さらに良くなっていくだろうと思いますが,現段階ではこの機能でどこまでをカバーしようとしているのか,今ひとつ見えないと思いました。

 大げさな準備もいらないし,場所も必要なく,簡単な作業で高画質が得られるので,今後も出番はあると思います。しかし,素材として取りこむとか,作品に仕上げるという場合にはこれではやはり物足りません。

 今回,ES-2を使った結果,CoolScanVも引っ張り出すことになってしまいました。Macではもう動かないのでWindows8.1で動かしてみましたが,最初は手間取ったものの案外簡単に動き出し,傷もホコリも消えて,おかしなクセもない,さすがフィルムスキャナという素材性の高い画像が得られました。

 今回は退色していないネガばかりだったのですが,CoolScanVには退色の補正機能も備わっていますから,やっぱり今の段階では,専用機が一番だなと見直しました。

 CoolScanVは時間のかかるスキャナですが,6コマのスリーブなら自動で給装してくれますし,その場に張り付いていないといけないわけではないので,案外負荷は軽いです。

 もちろん,そのCoolScanVはすでに入手出来なくなっています。安価なフィルムスキャナは論外として,今まともなフィルムの取り込み手段はこのES-2くらいしかありません。

 だから,それなりの高画質でフィルムをデジタルにすることが出来るものとして。このES-2には大きな価値があると思います。

 だからといって,フィルムスキャナがもうゴミになるかといえばそうではないということです。

 フィルムの面白さを支えるのは,フィルムスキャナです。まだまだCoolScanVには頑張ってもらうことになりそうです。

 

非球面のテレコンTC-20EIIIを買う

  • 2018/05/25 14:51
  • カテゴリー:散財


 どのお父さんもそうだと思いますが,小学校の運動会というのは一大イベントで,家電メーカーとしてもカメラやビデオが売れるので,これらを季節商品として位置づける向きもあるほどです。

 まあその,自分が小学生だったときを思い返してみると,とにかく運動が嫌いで,運動会もうれしくなく,それが記録に残るなんて憂鬱なことこの上ないという感じでしたから,父親が人混みを苦手とし,あまり写真を撮るのに頑張らない人だったことは,とても好都合でした。

 誰だって,自分のみっともない姿を撮られるのはいやなものです。

 うちの場合,見て欲しい,撮って欲しいという素直な子供だったりしますし,私もカメラを趣味とする人間である以上,子供が運動会で頑張る姿を放置するわけにはいかず,作戦をたてているところです。

 で,ゴール前に陣取るとか,応援席の最前列を奪い合うという,くだらない争いからは距離を置きたいと思っているので,これはもう超望遠を担いでいくしかないわけですが,あいにくうちで一番の長玉は300mmF4で,これでは全然戦えません。

 こういう時,ニコンには200-500mmという安いけど高画質なありがたいレンズがあるので,買ってしまってもいいかなと思ったわけですが,いかんせん大きいし重いので,片付ける場所にも難儀することうけあいです。

 そこで今年は,もう少しリーズナブルな方法を考えました。

 そう,2倍テレコンです。

 AF-S70-200mmF2.8とTC-20EIIIを組み合わせれば,400mmF5.6という超望遠が手に入ります。明るさはF5.6ですし,しかもVRが効くというのだから,かなり実用的です。

 画質もそんなに悪化しないという評判ですし,中古なら35000円ほどなので,使わない時の収納にも困らないという点でも,まず試したい選択肢です。

 昨夜届いたTC-20EIIIは,付属品はないのですが,程度はかなりよいもので,価格は36400円。

 早速試写しましたが,思った以上によいです。

 F5.6という明るさは十分実用的です。画質の劣化も思った以上に小さく,これならがっかりしないでしょう。さすが非球面です。

 そしてVR。私はVRをあまりあてにはしない人でしたが,さすがに400mmにもなると,ファインダー像の揺れも激しく,シャッタースピードを上げればいいという問題ではなくなってきます。

 これがVRでピタッと吸い付くように止まるので,実に快適です。望遠にはVRは必須かも知れません。

 10cmほど長くなるのはやむを得ませんが,ハンドリングもそんなに悪化せず,これならギリギリ対応出来るんじゃないでしょうか。もしダメなら,来年は200-500mmを買います。

 まあ,これで雨で中止とか,そういうオチもあったりするわけですが・・・

 

シュアのフォノカートリッジ生産終了を受けてアナログ祭り~その5

 カートリッジ祭りの最後は,どうしても試してみたくなった新しいカートリッジの話です。

 前回も書きましたが,私はシュアとオルトフォン,オーディオテクニカとデノンという当たり前のメーカーのカートリッジしか使っていませんでした。MCは言うに及ばず,MMのような量産品でも数多くのメーカーがその個性を競うカートリッジの世界は広く,楽しいものであるはずなのに,なんと私はもったいないことをしていることか。

 ただ,一方でOEMが多い世界でもあるので,メーカーは違うが中身は同じ,と言うものが多いのもまた事実です。あれこれと手を出すことの意味のなさも分かっているつもりです。

 そんな中で,カートリッジの老舗であるグラドが目に入ってきました。好むと好まざるに関わらず,売り上げを立てるのにDJ用は外せないカートリッジの世界において,グラドはDJ用途のものを作っていないんですね。

 かといって保守的な高価なものばかりかと言えばそんなことなく,1万円くらいから多くのラインアップを持ち,またモデルチェンジも頻繁にあって,都度新しい技術と音に挑戦しています。

 私などは「大丈夫かいな」と心配になってしまうほど,私のような庶民にはありがたい存在なグラドですが,つい先日まで「聞いたことはあるけど」という程度の認知度でした。

 しかし,1万円程度の安いMMカートリッジでも,周波数特性は50kHzまで伸びるというウソのようなスペックを謳っていますし,チャンネルセパレーションも他のカートリッジの頭一つ飛び抜けている値が書かれています。

 グラドはMMというよりMI型ばかりをラインナップしていますが,セパレーションが良好なのもMI型の個性の1つです。

 つい,この3月にエントリーレベルが新製品で一新された事も知り,ならば試してみる事にしました。改良を重ね最新の設計で楽しむアナログレコードというのも楽しいもので,現代のスピード感のある音がアナログで楽しめるかも知れません。

 たくさんあるラインナップのうち,私が選んだのはPrestige Blue2というものです。

 Prestigeシリーズはグラドのエントリーレベルのラインナップですが,数と言い価格レンジと言い,まさにグラドのメインストリームではないかと思います。

 最廉価のBlackは3ピースのカンチレバーで,GreenはBlackの選別品です。Blueは4ピースのカンチレバーで,選別品はRedになるそうなのですが,私はその価格差から選別までは必要なく,そのかわり4ピースという高級機と同じ構造の音を聞いてみようと思いました。

 聞けば,グラドは現代のMCカートリッジを発明した人なんだそうです。しかし今のグラドにMCのラインナップはなく,これはMCに限界があり,これを越えるのが彼の考案したMI型(FB型というそうです)だという結論に至ったから,らしいです。

 まあ,この手の話にはウソも混じるので真に受けるわけにはいかないのですが,ウソでもそこまでいうならぜひ聞いて見たいものです。

 ということで,それでも1万円ちょっとで手に入ったBlue2を早速試してみます。

 MIらしい芯のあるしっかりした骨組みに,ワイドレンジで密度の高い音がを均一に纏っている印象です。高解像度,高コントラストで鮮やかな音は現代的で,伝統的なカートリッジとはちょっと風味が違いますが,似た傾向のオーディオテクニカほど尖っておらず,多量の情報がすっすと頭に入ってきます。

 派手な音にありがちな歪みっぽさはなく,きめの細かい音がしており,それは大音量でも破綻せずしっかり粘ってくれます。目の前の霞やもやが一気に晴れたような感じがあり,からっとした湿気の少ない風のような心地よさです。

 ちょっとサ行がきついかなあと思いますが,欠点はそのくらいです。

 聴き疲れることもなく,かといってメリハリの強い音で常に興奮状態にあるわけでもなく,とても自然に鮮度の高いが耳に入ってくることは音楽を愉しむには理想的とも言え,個人的にはジャンルと問わないオールラウンダーだと思いました。

 あまりに楽しいので,一気に2枚ほどアルバムを楽しみました。この音がこの価格で買えてしまうのに,もっと話題になってもいいと思うのですが,そこはやっぱり保守的なアナログオーディオの世界だけに,シュアとオルトフォンとデノンでいいや,ということになっているのかも知れません。

 確かにこのあとM44Gと比べてみたのですが,M44Gの肉太な押し出し感の強い音は,それはそれでとてもエキサイティングで楽しいです。不思議なことに,PrestigeBlue2を聞いた後では,いつも感じるようなM44Gに対する物足りなさや一種の妥協のような感情が全く顔を出さず,心底「いい音だなあ」と聞き惚れてしまったのです。

 方や最新の設計による現代の音,方や半世紀を経た古典的設計の伝統的な音,しかしどちらもいい音だと,そんな風に思えることがとても面白く感じました。

 このあたり,レンズと似たようなものがあるかも知れません。古いレンズは解像度も低く,その時の製造技術で量産可能なもので妥協した設計をしていますが,それはそれで個性的で味わい深いものである一方で,最新の設計と高度な量産技術で磨かれた最新のレンズは,今のトレンドをきちんと掴んだ高解像度,高コントラストです。

 思うに,50年前の設計者も,きっと高解像度を目指していたんだろうけども,諸処の事情でそれが許されずに妥協を重ねたんだろうと思うのです。だからもし,その50年前の設計者に今の最新の設備と技術を提示したら,きっと現代的なレンズを作ると思うんですね。

 カートリッジも同じで,違うのは相手がLPレコードという古い伝統的なものであるということです。レンズが相手にする被写体はまさに目の前にある「最新」のものですから,このあたりはちょっと考え方が違うかも知れません。

 ちなみに,あまり聞いていなかったオルトフォンの2M REDも真面目に聞いてみました。なぜかうちではこのカートリッジは針圧を3g以上かけないと歪みが消えず,あまり長時間使えないなあと思ったわけですが,腰がしっかりと座った,いかにもMMという太い音を持ちながら,現代的な解像度の高い音がしていて,アンバランスさを感じるほどです。

 アンバランスさと書きましたが,このあたりPrestigeBlue2は見事で,MMの個性と現代的な音が一体感を持っており,不自然さが全くありません。素晴らしくまとまっています。良し悪しではありませんが,この点で2M Redはちょっと息苦しさがあります。(この重さは針圧が大きいことから来ている可能性もあり,針圧を軽くするともっと軽やかな一体感のある音になるのかも知れません)

 ということで,常用していたV15typeVxよりも澄んだ音が欲しい,DL-103よりも伸びのある音が欲しいと,常々思っていた所にPrestigeBlue2がこのすべてを満たして現れました。

 なんやかんやで最後にはV15TypeVxやDL-103に付け替えて終わるのに,PrestigeBlue2だけは2枚のアルバムを聴き通したわけで,これでもう常用決定という感じです。

 いつでも同じ音が出る信頼性や,セッティングによって音がどれくらい変化するかというセッティングの難しさなど,まだ分からない事も多いのですが,大変魅力的なカートリッジに出会いました。

 必ずしも高価である必要はなく,定評あるロングセラーでなくても,とてもいいものがあるということを,今回のPrestigeBlue2は私に教えてくれました。

 使いこなしの難しさがあるかも知れないのでまだ断言出来ませんが,この価格でこの音は大変素晴らしく,もしおすすめを聞かれたなら,このPrestigeBlue2を真っ先にあげることにします。

 

シュアのフォノカートリッジ生産終了を受けてアナログ祭り~その4

 V15typeVxMRの修理に際して久々に「カートリッジ大全」を開いて見ました。これがめっぽう面白いので,ついつい関係ないところも読んでしまいます。

 ここに,モノラルカートリッジの話が出ていました。そういえば,オーディオテクニカのAT-MONO3だけは値上がりせずに昔の値段のままだなあと思って読んでいると,そのメリットや存在理由が書かれています。

 これまでモノラルカートリッジなどに興味もなく,欲しいなどと思った事はなかったのですが,それはメリットを理解していなかったからで,縦方向の動きに対して電圧を発生しないというのは非常に大きなメリットを生むと分かりました。

 現在のLPレコードのステレオ方式である45-45方式は,モノラルとの互換性を高く持つ事で知られていますが,モノラルのレコードをステレオで再生してもちゃんと音が出ることがその特徴です。

 私もそう考えて,モノラルカートリッジなど欲しいと思わなかったのですが,冷静に思い出してみると,本来モノラルのはずなのに,妙にステレオっぽく聞こえたものです。これは,アンプのモノラル/ステレオスイッチを切り替えてみればはっきりわかるもので,この2つはモノラルレコードでも明らかな違いを持っていました。

 何でかなと考えてみると,音は確かに左右で同じであっても,ノイズは左右別々に出るので,これが左右を完全に一致させない理由になっているのですね。それゆえに我々の頭は,これを左右が異なる音としてステレオと認識するのでしょう。

 そうなると,せっかくのモノラルが不完全なステレオになってしまうわけで,これはとても残念です。やはりモノラルなら,ノイズもモノラルでないと。

 それを実現するのが,モノラルカートリッジです。

 調べてみると,デノンのDL102,オーディオテクニカのAT-MONO3,AT33MONOが手に入りやすいようです。価格はAT-MONO3だけ1万円ちょっと,それ以外は3万円くらいです。

 はっきりいって,どんなMCカートリッジでも実売1万円はこのご時世赤字なはずで,いつ値上がりするか分かりません。ということであわててAT-MONO3/LPを買いました。

 音を出してみたいのですが,そもそもうちにモノラルのLPなんぞあるんかいなと探してみると,1993年に復刻したビートルズ・フォー・セールのモノ版が出てきました。なんかいろいろ持ってるんですねえ,私は。

 これを早速聞いて見たところ,新たな感動がありました。ノイズもモノラルというのは,なんと聞きやすいものか。音に集中出来るというか,自然に耳に入ってくるというか,いかに左右でノイズが違うという状況が不自然であるかがよくわかります。

 でないとモノラルカートリッジなどとっくの昔に廃番になっているはずで,それが複数の選択肢から選べるというのですから,やっぱりマニアに支持されてるんですね。

 世の中には,オーディオマニアの行き着く先の1つに,モノラルというのがあるそうで,でっかいタンノイをわざわざ1本だけ買ってドンと真ん中に置いて音を浴びたりするんだそうです。まあ,考えてみるとSP盤マニアも蓄音機マニアも,自動的にモノラルマニアですわね。

 極端なマニアは別にしても,制作者が想定した再生装置で音を出すのが一番制作者が聞いて欲しい音なわけで,制作者の意図を理解するには,それが一番の近道でしょう。

 時代的な話が理由だとしても,モノラルを想定しているならモノラルで聞くのがよいだろうと思います。その点で,モノラルカートリッジを手に入れたことはささやかながら,その第一歩であったと思います。

 実のところ,我が家にはビートルズのLPのセットがありまして,ちゃんとモノラルなんですね。もったいなくてほとんど聞いていませんが,やはり今度聞くときはAT-MONO3で聞こうと思います。

 さて,これでアナログ祭りも最終回,と思ったのですが,ふとしたことからあるカートリッジに興味を持ち,そんなに高いものでもないのでこれも何かの縁と購入しました。

 そういえば私はカートリッジとオーディオに目覚めるきっかけをくれたシュア,自分で初めて1万円を越えるカートリッジを購入したオルトフォン,低価格カートリッジを大事にする姿勢に共感した現代的な優等生オーディオテクニカ,そしてNHK-FMを聞いて育った人には必ず必要なデノンのDL-103以外を買おうと思ったことが一度もありません。

 手作りの高級MCカートリッジは置いておくとして,ないないといわれつつMMカートリッジのメーカーはそれなりに存在しており,なのに私はそれらをほとんど知りません。でも,今生き残っているMMカートリッジですから,なにかしら個性があるに違いありません。

 そんな中,どうしても試したいものが出てきました。次回はそのお話です。


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