Color munki displayは手軽で便利で信用出来る
- 2011/12/14 12:27
- カテゴリー:散財
子供が生まれてから,撮った写真を印刷することが増えました。1つに,私の母親がネットワークとかコンピュータとは無縁の生活をしている関係で,紙で欲しいと言われることがあります。
そうでなくても,写真と言えば紙,と言う世代の人には,データで渡すことを手抜きと思う節があります(まあ事実でもあるわけですが)し,そもそも「紙に焼いてこそ表現手段としての写真」と立派なことを私自身が言っている以上,プリンタの存在を軽く考えることは出来ません。
そこで無視できなくなるのがカラーマッチングです。色空間とかいろいろ難しい言葉はありますが,RGB各色8ビットの時に,例えば(34,77,109)で示される色が機械によって異なってしまうので,それをあわせないといけませんね,と言う話です。
これは,コンピュータで取り扱う色の情報が相対値であるからで,無理を承知で無茶を言えば,最初から絶対値で扱ってくれればこんな問題は出なかったのにと思ったりします。
そんなわけで,それぞれの入出力機器の物理的促成の違いから生じる色の違いをあわせ込んで,同じ色が表現されるようにすることを,カラーマッチングといいます。
本来はとても厳密なものですが,素人の世界で意識すべきは,まあディスプレイとプリンタの色を合わせて置きましょうという話くらいに考えておくのが,気が楽でよいと思います。
デジカメの写真をディスプレイを見ながら編集して,よーしこれで完璧だと意気揚々と印刷すれば,大きく色がずれてしまう事って誰にでも経験があると思うのです。
ところが,このカラーマッチングというのは,大変にお金がかかります。色の測定器を使わねばなりませんし,しかも相手はLCDだったり紙だったりしますので大変です。また経年変化もありますので,厳密には測定器を校正する必要も出てきます。
そこまでやることはアマチュアには必要なく,とりあえずディスプレイの色だけちゃんと合わせましょうという発想の安価なキャリブレーターが数年前から出てくるようになりました。
よく知られているのは,hueyです。カラーフィルタ式の色センサを画面に貼り付け,画面の色を調整するもので,実売15000円ほどと,破格の値段でした。
私もこれを導入して何年も使っていますが,当時から疑問を持って使っていました。どうも色が合っているように思えないのです。全体的に赤みがかっているというか,ピンク色になっています。でも,不思議と人間の目というのは慣れるもので,その画面で出てくる白色が,純白に見えてくるから不思議です。
でも,プリンタから出ている色とは大きく異なってしまい,いつも混乱していました。そんなですから,印刷することをなんとなく避けてきたのです。
しかし,そうも言ってられなくなった昨今,hueyもいい加減劣化してしまったはずで,そろそろ買い直そうかと思っていたときに目にしたのが,colormunki Displayという機種です。お値段は実売で2万円ほどです。
color munkiシリーズはphotoというバージョンが有名で,フィルタ式ではない分光器式のセンサを持ち,ディスプレイとプリンタの両方のマッチングを取る事が出来る優れものです。それでいてお値段は4万円台半ばと,この種のものとしてはリーズナブルです。
これをさらにアマチュア向けに安くしたのがDisplayというバージョンで,フィルタ式のセンサということと,対象がディスプレイだけなのですが,hueyよりも少し高いだけで,まともなものが手に入りそうだということで,買うことにしました。
ヨドバシの頼んで翌日に届いたcolormunki Displayを早速試してみます。hueyは吸盤で画面にくっつけるので跡が残りましたが,colormunki Displayはディスプレイにぶら下げるような感じなので大丈夫です。
また,Macでの話ですが,hueyは長くソフトがアップデートされておらず,コントロールパネルが32ビット専用になっていて,64ビット環境では32ビット環境に一度切り替わってから動き出します。実害はありませんが,今ひとつすっきりしないので,最新のソフトで動くcolormunki Displayはそれだけでも価値があります。
パラ-パッチの測定はhueyよりはちょっと時間がかかっている感じですが,hueyがRGBのガンマをそれぞれ測定しているだけのように見えたのが,colormunki Displayでは中間色も測定を行っているようで,なにやら頼もしい感じです。
さて,調整が終わってみると,全体的に黄色い印象です。でもちゃんと赤や肌色は深く発色していて,黒も浮いてきません。
調整前のデフォルトと比べてみると,青みが押さえられ,黒がぐっと沈んだ感じになります。非常に好印象です。それでhueyで作ったプロファイルと比べてみると,もう「なんじゃこりゃ」というレベルで,もう話にならないほどでたらめです。
今までこれでRAW現像をやっていたのか・・・でも,hueyを買ったときからこんなもんだったのです。また,どのマシンで調整しても,同じような色合いになったので,これははやり購入当時疑っていた,初期不良だったんだろうなあ,と思います。
なんか,この数年のだまされ加減に腹が立つやら呆れるやら・・・
colormunki Displayは,ディスプレイのバックライトの明るさを調整する機能もあります。これと手動調整との兼ね合いが分からなかったのですが,colormunki Displayでは,明るさを調整する仕組みは手動のものと共通らしく,手動で設定した値が変わっていました。
hueyでは,バックライトの明るさを調整する仕組みはありませんでした。もちろん,周囲の明るさを測定する機能はありましたが,あくまでガンマカーブを調整するための情報として使っているので,バックライトは自分であらかじめ調整しないといけません。というか,このあたりの管理が甘いです。
colormunki Displayは,色とバックライト明るさを別に管理してくれているので,信用出来ます。バックライトの明るさを一定にしてキャリブレーションを行うので,いつも最適な調整が出来るはずです。
で,colormunki Displayで調整したディスプレイでRAW現像し,プリンタに出してみました。ちょっとプリンタの方が暗い感じがありますが,色はほぼ一致しています。そして色がおかしな方向に転んでいないので,階調がなめらかで,とても綺麗に印刷されています。いやー,うれしいです。
huey?もうゴミですよ,こんなもん。インプレスがなんか無料プレゼントのキャンペーンをやってて,応募したら「外れた方に優待販売」とちょっとだけ安く売るという,なんか胡散臭い商売に,迂闊にのってしまった結果,初期不良品を掴まされたわけですから,こんな話もう恥ずかしくて,墓まで持っていかねばならんです。
ところで,colormunki Displayには1つ問題がありました。MacBookAirおMacBookProは問題なく使用できましたが,WindowsXPのマシンで使おうとすると,動いてくれませんでした。最初に明るさを計るのですが,測定のボタンを押した瞬間に「接続されていません」と一瞬だけ表示され,そのあと測定前の画面になっているのです。
明るさ測定を飛ばして色の測定を行うモードで試すと,LUTが上書きできないとエラーが出ます。LUTが未対応のマシンなのかなあと配布されているテストツールで確かめると,問題なく使えるとの判定です。おかしい。
どうも,センサーが動き出したときに一瞬未接続になっているようなので,電力不足なのかも知れません。ルートに繋いでも改善しないので余程なんだなあと思うのですが,本来100mAのUSBデバイスですので,突入電流が大きいのかも知れないですね。
どっちにしても,うちではWindowsへの適用はあきらめました。
ということで,ようやく私のマシンはカラーマッチングが出来ました。実はMacBookProのディスプレイは,そのままでも結構いい線行ってるんですね。無理にキャリブレーションを行わなくても,それなりに使えるという感じがします。
まあその,プリンタドライバに用意されたカラー補正機能をつかって,普通に印刷すれば,簡単で綺麗な写真が得られるような気がします。お金と時間と手間をかけて,やったことは結局「普通の印刷」ですしね,なんだかバカバカしい気もします。
それはともかく,コンピュータ上で試行錯誤を行い,結果を印刷するという流れを,かつては暗く湿った臭いのきつい部屋に籠もり,孤独な戦いを繰り広げた銀塩写真にくらべて,格段に快適に,より創造的になったものだと,改めて感じました。