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2006年10月23日の記事は以下のとおりです。

ニコマートELとELWの関係について

 先日,かねてから探してたニコマートELの不動品ジャンクを手に入れました。価格は3100円だったと思います。送料が結構かかったので約4000円というところでしょうか。

 このニコマート,ぱっとみの程度は今ひとつで,不動品であるのも無理はないと思わせるものでしたが,届いてから電池を入れてみるとちゃんと動きます。露出計も問題はありませんし,スローシャッターも切れていますので,一通りの動作はするのではないかと思います。

 そもそもこれを手に入れたのは,今私が持っているニコマートELを完全復活させるための部品が欲しかったからです。特にCdS。これはもうCdSの裸特性をそのまま利用している以上,互換品を探すのは無理と考えていました。

#その理由は以前にも書きましたが,露出計とシャッター速度制御がそれぞれ別の回路になっているせいで,一方にあわせ込んだらもう一方が調整範囲を超えてしまうという問題もありましたし,CdSのγだけではなく絶対値に依存した形で回路が構成されているため,調整でなんとかなるようなものではないわけです。

 欲しい部品はもう1つあって,それは露出計のメーターの指示板です。かつて修理を行うときに指示板を傷つけてしまい,非常に不格好になってしまったことから交換をしたいなと思っていました。

 もう1つ,手に入れたかった理由は,底面に存在するはずの基板が私のニコマートには存在しておらず,調整が不可能になっているのはその基板が何者かによって抜き取られているからではないか,という不安からです。

 とにかくもう1台手に入れてみて,それが基板なしならそういうものだと,基板ありならその配線を見てみて,自分のものと比較してみようと思ったのです。

 かくして,今回のニコマートの分解がはじまりました。

 わかったことは,どうもニコマートELにも,前期型と後期型があるようだということです。そして,私が現在所有しているものは後期型であり,今回届いたものは前期型であるということでした。

 何が違うかと言えば,前期型が資料や写真などでよく見かけるものであるのに対し,後期型はニコマートELWとの共通化が随所で図られているということです。

 ニコマートELWは,ニコマートELにワインダーの取り付けが可能になったモデルで,外観も構造もほとんど同じと言われていますが,巻き上げレバーで電源を入れたりする仕組みはワインダーとの両立が出来ずに変更されていますし,底板にモーターのカップリングや電気接点が追加されたことで,それなりの変更があったことは容易に想像できます。

 それで,まずこの写真。

ファイル 50-1.jpg

 これは巻き上げレバーとシャッターレリーズボタンの周辺の写真で,左が前期型,右が後期型です。

 丸で囲った部分の黒い突起ががレリーズボタンなのですが,後期型が丸であるのに対し,前期型は欠けており,半月のようになっています。

 それで,巻き上げレバーをたたむとレリーズロックがかかる仕組みも違っていて,前期型はこのレリーズボタンの切り欠きに金属のレバーが被さって,シャッターボタンが押せなくなります。この金属のレバーは向かって左側から右側に倒れてきます。

 一方後期型はレリーズボタンの左側にある金属のレバーが右側に飛び出してきます。レリーズボタンに切り欠きがないので被さることはありませんが,上カバーに取り付けられているシャッターボタンをロックするようになっています。

 特にロック用に金属のレバーの動きが逆向きになっているので,このあたりの機構は新しい設計になっているとみてよいでしょう。

 これは,ニコマートELの後期型はELWと共通化されているということの証ではないかと思います。

 次の写真。

ファイル 50-2.jpg

 これは底板を外した写真で,上が前期型,下が後期型です。

 前期型にはある基板が,後期型にはありません。前期型の基板につながる赤いケーブルは,後期型ではそのまま中に戻されています。よく見ると基板でも赤い配線は基板のパターンでつながっており,戻されている後期型の配線でも問題はありません。

 また,基板につながる緑のケーブルは,そもそもそれが後期型には出てきてきません。基板上ではトランジスタにつながっているのですが,これはきっと後期型では他の部分に移されたのでしょう。

 今度は巻き上げ機構を見てみます。写真の左側がそうなのですが,前期型が非常にプレーンな形状であるのに比べて,後期型はねじ穴など,明らかにワインダーのとカプラーを取り付けるための仕組みが用意されています。

 この点においても,やはりニコマートELの後期型はELWとの共通化が図られています。

 露出計のメーターには,製造か調整かを行った日付が刻印されているのですが,前期型には昭和50年の,後期型には昭和51年の刻印がありました。それぞれ1975年と1976年ですから,後期型はELWの発売と同じ時期であることがわかります。

 ということで,私のニコマートELは後期型であり,基板がないのは当然,製造時期は1976年以降ということがわかりました。

 このくらい古いものになると1年くらいの製造時期の差が程度の差につながることはありませんが,ELWになるにともなって設計変更が行われた際に,ELで懸案になっていたポイントを改良したという可能性は高く,その意味ではやはり完成度が高くなっていることは間違いないでしょう。

 そこで,どちらも完動品であることを考慮して,ひょっとしたら前期型をベースにすることも考えなくてはと思っていましたが,やはり後期型で修理することにしました。

 そんなわけで,修理レポートはまた後日。先に行っておきますが,実はもう修理が終わっています。試写が出来ていませんので,本当に直っているかは分かりませんが・・・

本日のディナー

 久々に胃を壊して,昨日は吐き気のためほとんど寝ていないことを友人に伝えたところ,ありがたいことに何か食べ物を持って行ってやると言ってくれました。

 買い物に出る元気もなかった私にとっては非常にありがたい申し出だったので,お言葉に甘えて「鍋焼きうどん」をお願いしました。

 ところが,アルミの鍋に入った鍋焼きうどんは売ってなかったらしく(というかそんなスーパーは駄目だろう),代わりに冷凍のうどんを買ってきてくれました。

 大げさな袋に入った,京風のうどんとのこと。そのまま鍋に入れて火にかけるとできあがりだそうで,水を入れたり,具を袋から出す手間もかかりません。

 そもそも,京風のうどんというのはどんなものか,関西人である私は恥ずかしながらさっぱりわからないのですが(大阪で京風のうどんというのは,探さないと食べられないんじゃないかと思います・・・),それはともかく,甘みがあってコクのある,でもあっさり味のうどんであることは間違いなさそうです。

 外側の袋を開封し,中をのぞき込んで,私はその美しさに絶句しました。

ファイル 49-1.jpg

 日本人の文化は,箱庭文化であると,何かの本で読んだ覚えがあります。日本人にとって箱庭というのは愛すべき存在。日本庭園は自然界を小さな面積に表現するものであり,その世界観と美意識は日本人の根底に横たわっているとかいないとか,まあそんなたぐいの話だったように思います。

 さてもこの冷凍のうどんの美しさたるや。まるで,うどんの箱庭です。

 とはいえ冷凍ですので,このまま愛でているわけにはいきません。いつもの鍋に入れたところ,まるで計ったように収まりました。

ファイル 49-2.jpg

 この5分後,うどんは大変においしく仕上がり,私の胃に,大いなる満足感を与えてくれたのでした。

 今度は自分で買ってこよう。

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