速さは力
- 2009/04/16 13:12
- カテゴリー:マニアックなおはなし
会社では辛抱をしながら,WindowsVistaを使っている私ですが,マシンもそれ程強力というわけではなく,平均的なダルな重さに加えて突発的に発生する引っかかりにイライラし,WindowsVistaって作ってる人は実はVistaを使っていないんじゃないか,と疑い始めたところです。
少しでも使いやすくなるように工夫をするのが,これ人類進化の原動力です。
ある日,そういえばVistaってフラッシュメモリを使って高速化するワザがあったよなと思い出して,ReadyBoostなる名前を強く意識しました。いわく,いわゆるキャッシュをフラッシュメモリに置いて,HDDへのアクセスを減らそうということらしいです。
うーん,しかしHDDの遅さでイライラする主要因はスワップの発生だよな,それがフラッシュメモリに置かれるのはフラッシュメモリに酷な話だし,だからといってアプリケーションのキャッシュを置いても,そんなに高速化されるとは思わないなあ,などと想像を巡らします。
とりあえずやってみるか,と3年ほど前に購入したグリーンハウスのPicoTurboというUSBメモリを差し込んで,試したところ,アプリケーションの起動に待つ時間が体感上随分短縮されました。
これは蜜の味ですね。もうReadyBoostを使わないという選択肢はこの段階でなくなりました。
普段余り使わないカードスロットを有効活用したい(むしろ私はUSBは足りない)ので,余っていた4GBのSDHCカードをReadyBoostに使おうとしたのですが,どうも速度が遅いようで使えないらしく, SDHCもHCとかclass6とか随分偉そうな称号を名乗る割には口ほどにもないな,と思ったりしていました。
ご承知の通りNANDフラッシュメモリは,何の工夫もしないと随分と遅いメモリです。メモリチップそのものの構造の違いに始まり,エラー訂正やウェアレベリングといった使いこなしのための技の優劣に至るまで,速度差を生む要因は,我々がアイコンをダブルクリックしてからその実態に届くまでの間に,何層にも重なって最後に大きな差となります。
自ずと高速のものは高価になり,安いか大容量か高速か,の3つのジャンルがフラッシュメモリには存在しますReadyBoostというのは実は3つがバランスしないと成り立たない世界ですので,あまりメジャーになれていないんだろうなと思いました。
それに,マイナーなVistaのマイナー機能であるReadyBoostを使うのに,速度によって使えるフラッシュメモリと使えないフラッシュメモリがあり,基本的には試して見るまでわからない,というバクチ要素がつきまといます。こんなの,普通の人がちょっとやってみるかとは,およそ思えないでしょう。
そんなこんなで先日,友人がchumbyを買う際,一緒に高速版のUSBメモリを買ったのですが,確か4GBでも1300円ほどだったよなと思いだし,1000円ちょっとで高速化できるなら安いしなんといっても面白そうだ,と判断,昨日会社の帰りに量販店でUSBメモリを買うことにしました。
で,会社の帰り道にある量販店に足を運びますが,まあわかりにくいったらありません。どのUSBメモリがReadyBoostに対応しているのか,よくよく見ないとわからないのです。どうやら,ReadyBoostに対応と,はっきり書いた品種は実はあまり多くないようです。
それもそのはず,速度の遅い売れ筋商品比べ,同じ価格なら容量は半分ですので,その速度的な価値が分かる人しか手を出さない,マニア向けのジャンルですから当然です。しかし,ReadyBoostは別にして,使うあてもない8GBを買うより,十分な大きさの4GBで高速なものを買った方が,普通は幸せになれるだろうと思います。
いろいろ迷って,結局SanDiskのcruzer color+の4GBを買いました。価格は1480円で,4GBでReadyBoost対応の中では最も安いものだったのですが,実はamazonにさえ価格で負けていることを後で知ることになります。
さて,私は2GBのPicoTurboを長く愛用しています。当時最速の評価を欲しいままにしたUSBメモリ界のスーパースターで,全く不満なく使っていたのですが,もし今回買った4GBが同等の速度であるならば,メモリセルの信頼性の観点からも置き換えをした方がいいと考えて,ベンチマークを取ってみることにしました。
実はベンチマークをきちんと取ることもなく,体感速度でPicoTurboの圧勝であることはなんとなく分かっていたのですが,それはそれ,やはり数字で議論です。
以下はフラッシュメモリのベンチマークで標準的に使われているソフト「CrystalDiskMark」による結果です。マシンは私が普段使っているVAIOノートのtypeGです。遅いマシンなのでこの数字は他の掲示板などで見る数字よりもかなり悪くなっていることは割り引いてやってください。
まず,私の愛機,グリーンハウスのPicoTurbo,GH-UFD2GTBです。GTBってのがいいですね,スパルタンな感じがして。
GreenHouse PicoTurbo2GB GH-UFD2GTB
CrystalDiskMark 2.2 (C) 2007-2008 hiyohiyo
Crystal Dew World : http://crystalmark.info/
Sequential Read : 18.733 MB/s
Sequential Write : 15.646 MB/s
Random Read 512KB : 18.706 MB/s
Random Write 512KB : 7.846 MB/s
Random Read 4KB : 4.246 MB/s
Random Write 4KB : 0.100 MB/s
本当は公称値であるリードで27MByte/secくらい出て欲しかったのですが,ホストマシンが遅いこともあるでしょうし,USBメモリが空っぽでないことも影響しているのでしょう。それに,実はこのメモリ,エラー多発によりローレベルフォーマットを3度ほどかけて復活させているので,そのせいかも知れません。
次にSanDiskのcruzer color+,SDCZ23-004Gです。
SanDisk cruzer colors+ 4GB SDCZ23-004G
CrystalDiskMark 2.2 (C) 2007-2008 hiyohiyo
Crystal Dew World : http://crystalmark.info/
Sequential Read : 18.547 MB/s
Sequential Write : 5.983 MB/s
Random Read 512KB : 18.470 MB/s
Random Write 512KB : 3.051 MB/s
Random Read 4KB : 3.847 MB/s
Random Write 4KB : 0.007 MB/s
リードはPicoTurboと同じで18.5MByte/secで飽和しているようですから,ホストマシンの性能限界でしょう。しかしライトが遅過ぎです。どう考えてもこれはMLCですね。
あと,4kBのライトが死ぬほど遅いです。大容量化したフラッシュに共通の傾向ですが,我々はそんなにでかいファイルばかりを作っているわけではありませんので,メーカーさんにはなにか工夫をお願いしたいところです。
この段階で,PicoTurboの引退はなし,ReadyBoostにはcruzer color+をあてることが決定しました。
ついでに口ほどにもないSDHCカードも測定してみました。カードスロットはホストマシンに内蔵のものをそのまま使います。
大阪のソフマップで投げ売りされていたSILICON POWERの4GBと,最近K10D用に買ったTrancendの8GBの2つを試して見ます。
SILICON POWER SDHC4GB class6
CrystalDiskMark 2.2 (C) 2007-2008 hiyohiyo
Crystal Dew World : http://crystalmark.info/
Sequential Read : 2.649 MB/s
Sequential Write : 7.689 MB/s
Random Read 512KB : 2.630 MB/s
Random Write 512KB : 2.131 MB/s
Random Read 4KB : 1.028 MB/s
Random Write 4KB : 0.022 MB/s
Trascend SDHC8GB class6
CrystalDiskMark 2.2 (C) 2007-2008 hiyohiyo
Crystal Dew World : http://crystalmark.info/
Sequential Read : 2.735 MB/s
Sequential Write : 6.433 MB/s
Random Read 512KB : 2.705 MB/s
Random Write 512KB : 2.172 MB/s
Random Read 4KB : 1.123 MB/s
Random Write 4KB : 0.025 MB/s
こりゃ,ReadyBoostで使えないはずです。基準を全く満たしていないほど遅いです。一応ライトはClass6を名乗る条件を満たしていますが,こんなにリードが遅いとは開いた口がふさがりません。
リードよりライトが高速というのはなかなか興味深く,さすがデジタルカメラをターゲットにしているだけあるなと思いました。
ただ,これらの原因は内蔵スロットのせいかも知れないので,カードそのものの良し悪しには直結しないと考える方が無難かも知れません。
ついでに,といってはなんですが,昔買ったMemoryStickProも調べて見ました。
SONY MemoryStickPro 256MB MSX-256S
CrystalDiskMark 2.2 (C) 2007-2008 hiyohiyo
Crystal Dew World : http://crystalmark.info/
Sequential Read : 6.576 MB/s
Sequential Write : 5.002 MB/s
Random Read 512KB : 6.553 MB/s
Random Write 512KB : 4.342 MB/s
Random Read 4KB : 4.515 MB/s
Random Write 4KB : 0.143 MB/s
意外に,というとなんですが,結構高速ですね。リードとライトの数字揃っているのは個人的には好感触です。ちゃんと調べていないので間違っているかも知れませんが,もしかするとSLCかも知れません。
ということで,フラッシュメモリに限らずおよそベンチマークなどというのは測定条件によって大きく結果が変わってくるものですから,あくまで参考値に過ぎません。ただ,同一環境においては傾向を見る道具として有用ですから,機会があればこうやって数字化するのは良いことだと思います。