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さすがはCherry

 先日購入し,キー配列に満足したDN-915975ですが,使っているとやはり価格相応だなあと思う,気になる事が出てきました。

 それはキータッチの問題で,キーを押した時の感触,キーを離したときの感触,そして音です。

 3つとも,Gateoronのキースイッチに起因する問題で,キーを押し返すときのバネの品質に問題があるように思います。

 とにかく音が耳障りで,最初は音が大きいからだと考えて,静音リングなるものをはめ込んでみましたが,結果は全然ダメ。音が云々と言うよりも,ストロークが1.5mmも短くなってしまえば打鍵感覚が全然変わって来ます。それに,上段と中断ではキートップの厚みが大きく異なりますから,そこに1.5mmのリングなどを差し込めば,ストロークそのものが変わってしまいます。

 この状態で無理に使っていたら,急に肩が凝るようになってしまい,もう大変でした。

 CK-63CMB-RDJP1はCherryの赤軸ですが,同じ赤軸でもこういう不満はなく,静音リングを試そうと思うこともそもそもなかったですし,気持ちよくタイピング出来ることは変わらずでした。

 なら,もうキースイッチの違いだろうと,よくよく調べてみました。

 結論は,やはり戻りバネの品質です。特にキーを離すときに「ピーン」と甲高いバネの音が響いています。全体のガタも大きめですし,軸の摩擦も均等ではないので,引っかかったような感じも,僅かですが差があるように思います。

 押し込むときの反発力のかかり方にも違いがあり,スコンスコンと心地よく入っていくのはさすがにCherryです。Gateronはよく頑張っていますが,接点がコリコリとくっつく感覚や,バネが縮むときにビリビリと振動する感覚も,大きめに出ているようです。

 気のせいかも知れないと思い,Cherryの赤軸をために10個ほど買ってみて,1つ交換してみました。するともう全然違います。やはりCherryは偉大です。値段だけのことはあります。

 軸のブレがありません。キートップのどこを押しても同じ沈み方をします。押す場所によって力のいれ具合が変わってしまったり,キーが反応する力に差が出たりすることがありません。これは精度の差が原因でしょう。

 それと音です。CK-63CMB-RDJP1は鉄のプレートを使っているので音が元々響きにくいのですが,DN-915975はトップパネルがアルミなので,甲高い音がそのまま響きます。

 Cherryにするとピーンと言うバネの音がしなくなるので,耳障りな音がなくなります。快適です。

 ということで,これはもうCherryに全交換です。

 しかし,全交換するためにお金をかけるなら,最初からRealForceでも買っておけば良かったという話になるでしょう。

 なら,DN-915975とCK-63CMB-RDJP1のキースイッチを交換です。

 とはいえ交換には,あの大量のハンダ付け箇所をすべて外さなければなりません。キースイッチに2ヶ所,LEDに2ヶ所で合計4ヶ所,それが73ヶ所と63ヶ所で合計133ヶ所。これまでだとハンダ吸い取り線を使っていたのですが,さすがにこの数をハンダ吸い取り線で行うのは,コストを考えても作業効率を考えても無理があります。

 そこで今回は,新兵器を投入します。そう,ハンダ吸い取り機です。

 最初はその場しのぎで,手動の物を買うことにしていたのですが,今回は数が数だけに電動の物を買うことにしたのです。ハッコーのFR301というものです。

 私は以前,これと同じバキューム式のハンダ吸い取り機を持っていたことがあります。ポンプが外付けになっている大きな物だったのですが,両面スルーホールのハンダを取り除くことも出来ないくらい非力なものでした。

 私は中古品を譲ってもらったのですが,もともと10万円近くしたんじゃないかと思います。ピストル型の先端部は作業中にかなりの熱を持ちますし,電線とホースで繋がっているので取り回しが悪く,音も振動も大きくて,捨ててしまいました。

 そのイメージが残っていたので半信半疑だったのですが,現行製品が無鉛ハンダや両面基板も扱えないはずもないだろうと,思い切って買ってみたのです。

 2万円という価格は,それまでの値段を知っている私にとっては十分安すぎ,性能を疑う理由になり得るのですが,果たしてこのハンダ吸い取り機,買って良かったと思います。

 両面スルーホールは余裕で,4層くらいまでなら対応可能でしょう。多層基板への対応は熱容量が重要なのですが,最新式のヒーターとコントローラで,温度も高く,素早い熱回復性でその温度をしっかり維持することが出来るので,ハンダがしっかり溶けてくれます。

 吸引力も十分です。これが一体型で2万円の商品かと,驚くと共に,作業が楽しくて仕方がありません。あっという間に作業が終わってしまいました。

 ハンダくずをキャッチする仕組みも改良されています。それまではスチールウールにくっつけていたのですが,今回は冷えた金属にぶち当てて冷やして,固めてため込むようです。これならたくさんのくずをため込めますし,吸引力も落ちません。

 ハンダくずを捨てるときに熱い思いをしないといけないところは相変わらずですが,それでもこのスムーズな作業を仕上がりの綺麗さには,もう病みつきです。買って良かったとつくづく思いました。

 ということで作業手順は,まずキートップを外し,キースイッチとLEDの両方のハンダを一気に取り除きます。

 それから基板を慎重に外し,外れたらLEDを抜取ります。そうしてようやくキースイッチを枠から外すことが出来ます。そして外したスイッチを入れ換えて,逆の手順で組み立てると完成です。

 せっかくの大改造ですので,DN-915975の気に入らなかったもう1つの問題点,LEDも交換します。元々青色だったのですが,青色は気が散りますし,周囲の人にも迷惑です。

 何色にしようかなと思ったのですが,100本近い数を持っている3mm砲弾型のLEDなんて白色しかありません。昔秋月で100本900円で買った物です。

 1つだけ試してみたところ案外綺麗に光るので,これを採用。

 組み立てが完了して早速PCに接続します。

 お,LEDはかなり綺麗です。白色だとまぶしいかと思ったのですがそんなことはなく,上品ですし文字が見やすく,変な装飾という印象はなくとても実用的です。

 タッチは激変しました。これだけ違う物かと驚きです。やはキートップのどこを押しても同じ力,同じストロークで確実に入力が入ります。音も快適で,バネのピーンと言う音が全くなくなりました。カチャカチャという軽い音ではなく,カコカコという歯切れのいい音が,タイピングを邪魔しません。

 GateronをあてがわれてしまったCK-63CMB-RDJP1ですが,これはこれで案外悪くありません。キースイッチの枠が鉄製で重量がある事,基板も1.6mmの剛性の高いものでしっかりしているので,あのバネの音が残らないのです。

 確かに押し心地は違うのですが,我慢できないレベルではもともとなかったですし,キースイッチと実装方法との相性というのはあるんだなあとつくづく思いました。

 そんなわけで,どちらのキーボードも好ましい物になったと思います。Cherryのスイッチの良さを見直したと共に,Gateronなど中国勢はまだまだ頑張らないととも思いました。価格の安さは大切な要素ですが,それでもCherryを選ぶのが確実だと思います。

 これでキーボードの問題は解決です。

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