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さらばBlackQueen,あなたは私には厳しすぎた

  • 2020/09/07 15:36
  • カテゴリー:散財

 新型コロナとの共存を「なんとなく」目指している社会が強いる,可能な限り「元に戻そう」という半ば根性論のような空気感に漠然とした不安を感じるこの頃,それでも変わらないだろうなと思うのが,テレワークの日常化です。

 もともとオリンピックによる社会的混乱から逃げるための作戦として,以前からPCがあれば仕事出来る環境に意識して移行してきた私としても,それがまさか未曾有のウイルス危機に役立つとは思っていなかったわけで,テレワークが始まった当初はそれが暫定的な物として考えていましたから,会社がメイン,自宅はバックアップくらいに考えていたのです。

 自ずと設備や機材もそうした位置付けになるわけですが,気が付いてみれば3月から始めたテレワークも,もう半年です。その間会社に行ったのは僅かに一日だけですが,こんなことならお気に入りのRealForceを持って帰ってくるんだったと後悔しています。

 4月末には耐えかねてCherry赤軸のキーボード,CK-63CMB-RDJP1を購入して使うようにしました。テンキーレスの小型キーボードが好みの私は,ぱっと見たときにピピッと感じて買うことにしたのですが,当初不安だったメカニカルキーの打鍵感覚の問題ではなく,配列とコンビネーションに悩むことになったのでした。

 まあ,慣れの問題だと軽く考えていたのですが,配列以上にFnキーによるコンビネーションが深刻で,これがなかなか体に染み込みません。

 なにがダメかと言えば,カーソルキーとDELキーとINSキー,それからPageUpとPageDownキーが独立していないことでした。

 いっぱしのvi使いを気取っていた私ですから,そんな物がなくても全然平気と信じていましたが,実際Windowsの環境で使ってみれば苦痛で苦痛で仕方がありません。

 確かにviなら平気でしょうが,ここはWindowsの世界です。特に私が使っているメールクライアントは,メールの削除がDEL,メールの取り込みがINSです。これがコンビネーションになっているCK-63CMB-RDJP1は,とにかく頻繁にFnキーを押さねばならず,本当に効率が悪いのです。

 日本語入力もそうです。いや,それこそCTRLキーでいいだろうと思うでしょ,でも文節の伸縮については,CTRLとSHIFTの併用が必要になるので,これはなかなか苦痛なのです。

 ここに普段からDELキーとBSキーを使い分けている私としては,DELキーが独立していない事に対するイライラが爆発,もうだめだ,コイツは私には合わないとあきらめてしまいました。

 そんな中,偶然目に付いたのが,上海問屋のDN-915975というキーボードの新製品紹介記事でした。

 私が独立していて欲しいキーを選び抜いたように,独立してくれています。

 

 3月に始まったテレワークも,すでに半年が経過しています。当初は暫定的だと考えて,マウスもキーボードも一時しのぎのもので間に合わせていましたが,長期化し,やがてこのままずっと定着するのではないかと思うようになって,出来れば会社と同じかそれ以上のマウスやキーボードを揃える事の必要性を感じるようになっています。

 手っ取り早いのは会社から引き上げることですが,いつまた会社で仕事をするようになるかわかりませんし,そうなるとRealForceを持って家と会社の間を何度も往復したくもないわけで,家用の物をきちんと揃えるのがベストという事になります。

 とはいえ,会社で使っているキーボードは長年東プレのRealForce。これと同じ物を家で使うには,ちょっとお金がかかりすぎな気がして,躊躇します。

 なので,当座をしのぐものとして,英語配列のHHKBLteを使っていたわけですが,Windowsが日本語と英語の配列を上手く判断してくれないので不便で仕方がありません。

 テレワークの長期化が見えてきたので,この際だからと4月下旬に買ったのがCherry赤軸のCK-63CMB-RDJP1でした。

 これで4ヶ月粘って見ましたが,どうしても体が慣れてくれません。そう,キーコンビネーションがどうもだめなのです。

 CK-63CMB-RDJP1はDELキー,INSキー,カーソルキー,そしてPageUp/DownのキーがFnキーのコンビネーションになっています。どれも私は多用するキーで,CK-63CMB-RDJP1を買うときにも不安はありました。

 ただ,vi使いで,日本語入力でファンクションキーなど一切使わない私は,きっと次第に慣れていくだろうと思っていたのです。3ヶ月もあれば十分だと。

 しかし,甘かった。viはUNIXだからですし,日本語入力も文節の伸縮ではカーソルキーはやっぱり使うのでした。

 普段からDELキーとBSキーを使い分けている私は,次第にDELキーを避けるようになってしまいました。そう,fnキーのコンビネーションというのは,普段は使わないけど,なくすと困るキーを仕方なく割り当てるものなのです。

 私のように,DELキーを便利に使う人はFnキーに追いやられてしまうことでそのメリットが薄れてしまい,最初からなかったことにしてしまいます。そうなると,「ない」ことに対するストレスが溜まってしまいます。

 これがINSキーやPageUp/Downでも起きるわけで,3ヶ月どころか4ヶ月でも手が慣れてくれませんでした。このままでは業務の効率が落ちてしまいます。

 そんなおり,上海問屋のDN-915975というコンパクトキーボードが紹介されているのを偶然見ました。

 カーソルキーだけではなく,私が多用するキーの大半が独立しています。私が使わないキーはFnキーのコンビネーションですので,これは好都合です。Cherry互換で知られる中国Gateronの赤軸を採用しており,価格は激安の5180円。

 私は赤軸が好き(と言うよりこれが最低ライン)なので,まさに私のために作られたようなキーボードであるということで,すぐに買うことにしました。安いし失敗しても悔しくありませんし。

 調べてみるとこれ,安価で評判のいい中国のMagicForceというキーボードのOEMらしいです。悪い評判は聞きませんし,日本のメーカーが日本人の目で品質や性能を判断してくれているならば,まず大丈夫です。

 実はこのキーボードは1年前に出ていた同じ配列のキーボードのアップデート版にあたる新製品で,変更点はスペースキーやエンターキーのバンパーにグリスが塗られているかどうかくらいの差しかありません。

 なんで4月の段階で買わなかったのだろうかと後悔するほど良い商品で,非常に気に入って使っています。

(1)キーのタッチ

 同じ赤軸ということですが,激安の理由は肝心のキースイッチが中国Gateron製だからで,そこは本家Cherryと比べると可愛そうだと思っていました。

 しかし,驚いた事に,比べれば精度や剛性感に違いがあることもわかりますが,それだけで使っていればGateronになんの不満もないくらい,良く出来ているのです。いやはや,大したものですよ,これは。

 私はもともと,ここ数年の中国製品の品質向上に信頼を寄せていて,もう中国製だからと言う理由で避けることも,日本製を選んで買うこともしなくなっているのですが,Gateronのキースイッチも感触は本家Cherryの良いところをちゃんと引き継いでおり,とても心地よくタイピングできます。

 キーボードというのは酷な製品であって,キースイッチが100も200も並んでいる製品なので,1つ1つのキーのバラツキがすぐにばれてしまうものです。しかし,Gateronキーは優秀で,音やぐらつき,重さなどもよく揃っており,精度の高さを思わせます。

 耐久性,あるいは長寿に差が出るのだろうと思いはしますが,それは今すぐわかることでもありませんし。このバラツキの少なさから推測するに,そんなに簡単にダメになるような感じはしません。(もっとも,ある日を境に連日ボロボロとキーが効かなくなっていくのだろうとは思います)

 Cherryの赤軸と比べてみましたが,やはり多少Gateronの方がガチャガチャという感じです。Cherryよりもわずかに軽いような感じもしますし,接点の軽さというか確実感も本家に負けていて,ピンピンというバネの音も聞こえる下品さがありますので,そうした点でのチープさは否めません。

 しかしそれでも十分な感触で,特にCherry寄りも軽く感じるというのは,Cherry赤軸よりももっともっと軽いキーを欲しいと思っている私には好都合なくらいです。

 値段以上にいいですよ,などと負け惜しみは言いません。値段を考えなくても,このキーはいいですよ,と言っておきたいです。

 そうそう,それとスペースキーと左SHIFTキー,そしてENTERキーに備わっているバンパーですが,グリスアップされているということで,とてもしなやかで,高周波の音が消えてとても心地よく,まさに私が求めていた感触になります。願わくばすべてのキーでこの感触になって欲しいのですが,バンパーがないのでそれは難しい注文でしょう。


(2)配列とコンビネーション

 まず配列からです。私は特に配列で文句を言う人ではないのですが,最下段の列びに,レギュラーサイズの横幅を持つキーを置くのは良くないと思います。基本的にこの段のキーは親指は小指で押されるものですし,いわゆる装飾キーですから,小さいと他のキーを押すときに無理を強いられます。

 どのみち私は最下段のキーはほとんどCTRLキーにアサインするので別にどうでもいいといえばいいのですが,ショートカットを多用する人としては,CTRLキーは小さいと不便だと思います。

 CK-63CMB-RDJP1はこのあたり,変換キーや無変換キーを最初から搭載しないことで,見事に割り切っていました。その分CTRLキーやスペースキーを大きくしていて,使い心地も見た目も綺麗だったと思います。

 次にコンビネーションです。カーソルキー,DELキー,INSキー,PageUp/Downキーが独立していて,そもそもFnキーの世話になることがほとんどなくなりました。これは快適です。そう,これらのキーはとても便利で,使わなくてもどうにかなるが,使えるようになると実に快適になるキーだと思っています。

 CK-63CMB-RDJP1でFnキーとのコンビネーションでこれらのキーを駆使できればそれが一番よかったのでしょうが,さすがにSHIFTとの併用をすることになると,3つのキーの同時押しを行う必要が出てきてしまいます。残念な事に3つのキーの同時押しは日常的ではないので,他の指の可動範囲が狭くなってしまい,かなりタイピングスピードが低下します。

 そう,全角キーがDELキーの上に置かれているのが私は気に入りません。もともと1の左側をESCキーから奪って居座った全角キーが流浪の旅に出るのは当然の報いだとしても,私がこよなく愛するINSキーの場所を奪うというのは言語道断です。

 INSキーとの入れ替え機能と交換用キートップが付属しないことには不満がありますが,このE/Jと書かれた不細工なキーは,キー入れ替えソフトによってINSキーとして活躍してもらう事にしました。

 私が使っているメーラーは,カーソルキー,DELキー,INSキー,PageUp/DownキーにEnterキーだけで,マウスを使わずメールの取得と閲覧と削除が右手だけで出来るようになります。左手はパンをぱくついてもいいですし,ショートカットのためにCTRLで待機するのもよいです。とにかく,右手だけで操作できるかどうかは,結構重要なポイントなのです。

 Fnキーが右側と場所が悪く,入れ替えが可能でも1つしか用意されないことで使いにくいだろうという気もしていましたが,先程も書いたようにそもそもFnキーを使うようなコンビネーションがほとんどないので,別に気にならないこともうれしい誤算でした。


(3)大きさ,質感

 大きさはやや大きいですが,カーソルキー独立でこの大きさは立派です。

 たわみもなく,重さも十分でグラグラしませんし,厚さも適度です。

 剛性感も十分ですし,安定感もあるのですが,CK-63CMB-RDJP1と違って重量も精度も違いますから,キーが底に当たったときの感触や音は,やはり軽いです。

 ところでこのキーボード,外周部に壁がない,といいますか,枠がないのです。板の上にキースイッチが並んでいるのが横から見ればむき出しになっていて,LEDの光もそこから漏れているのです。

 わざとだと思うのですが,個人的にはどうもこういう光の漏れ方はだらしないと思うので,どうにかならんかなと思っています。


(4)LED

 最近のキーボードはLEDによる電飾が派手で,私は暗い所でうっすら光ってくれればそれでいいと思うのですが,このキーボードはブルーのLEDが仕込まれています。

 明るさも調整可能,もちろん消灯もできますが,押したところだけ光るとか,広がるように光るとか,いろいろ選べるのは楽しいです。とはいえ,結局最後には上店頭に戻してしまいました。

 LEDの色も,青だけというのが心配だったのですが,青と言うよりシアンニ近い色のLEDです。これはこれで上品だと思います。個人的にはピュアグリーンかアンバーがいいのですが,まあ仕方がありません。

 残念なのは,ここで選んだ発光パターンや明るさ,動作速度などの設定が記憶されず,USBを一度抜いてしまうと初期状態に戻ってしまうことです。


(5)ケーブル

 私はキーボードは有線派なのですが,底面のケーブルガイドが抜けやすいのがとても残念です。このガイドからケーブルが外れてしまうと,キーボードとUSBケーブルを繋ぐminiBコネクタが抜けてしまうのです。

 そのケーブルガイドも,左だし,右だし,真ん中だしの3つを用意して欲しかったと思います。

 
(6)まとめ

 まず,小型メカニカルキーボードの範疇で,カーソルキーだけではなくDELキーとPageUp/Downキーが独立しているだけで,もう私は100点です。この文章を書いている間に,Fnキーの複雑なコンビネーションに少し慣れてきた手が,すっかり元通りになってしまい,サクサクと文章を書けるようになっています。

 Gateronの赤軸は思った以上に良い感触ですが,やはりピンピンという高周波音が精度や耐久性でCherryにかなわないことを暗示しており,そこは価格なりの物と割来る必要があるといいつつ,5000円でこのキーボードが買えるという事実に,まずもって驚くほかありません。

 カナを廃したキートップの印刷には全く同意しますし,ギラギラ感のない上品なLEDも厳しいコスト面での制約の中での激しい攻防を彷彿とさせます。

 もう1つ予備を買おうかと思わせるほどの良い製品ですが,前述のように4月の段階でこの前の製品を買っておけば良かったと後悔しています。ただ,それもCherryで調べたから候補に出てこなかったわけで,Gateronというキースイッチの良さを知らなかった当時なら,それは仕方がない事だったといえるかも知れません。

 中国製品の面白さは,海外製品に品質面で追いついてからが本領発揮です。Cherryにない独自の個性をもつキースイッチがいくつかすでに出ていますが,さらに個性的で面白いもの,出来る事なら静電式のキーに似せたキースイッチなどが出てくると,すごく面白い事になるんじゃないかとワクワクします。

 このキーボード,私はすっかり気に入りました。

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