PC-386BookL,まさかの復活
- 2026/03/13 15:04
- カテゴリー:マニアックなおはなし, make:
キーボードのフレキが切れて使用不能となった私のPC-386BookL,まさかの復活です。
うちのPC-386BookLは内蔵LCDが死んだことから,アナログRGBで繋いだカラーLCDに換装してあります。初期設定は内蔵LCDですので,換装したカラーLCDに表示をさせてかったら,リセット時のHELPキーで起動する設定メニューから切り替えるか,DOSを起動してからCTRL+GRPH+Lで切り替えるまで,ディスプレイなしの状態で操作しなければなりません。
いずれにしてもキーボードがないと切り替えできないわけで,HELPキーが死んでいたらメニューは起動しませんし,リターンキーが死んでいたら設定の変更を行うことが出来ません。
GRPHキーやCRTLキーが死んでいてもキーコンビネーションで切り替えが出来ない訳ですから,とにかくキーボードない事はこのマシンの死を意味するということです。
PC-386BookLのキーボードユニットはミツミ製で,接点とパターンを銀ペーストで印刷したシートの間に丸い穴の開いたスペーサーを挟み込んだ3層構造で,キートップとスプリングが連結されたラバーカップがシートを押し,上下の接点が接触するという仕組みです。
リモコンなんかによくある,ラバーカップにカーボンの接点があり,これがパターンをショートするものとは違っています。
パターンはそのままコネクタの接点になっていて,この部分はカーボン塗料で保護されているのですが,こいつがなかなかくせ者で,何度も抜き差しをやっていると剥げてしまうのです。
シートは樹脂製ですので熱に弱く,銀の部分もカーボンの部分もハンダ付け出来ません。切れてしまったり剥がれてしまったら,もうその段階でおしまいなのです。
分解を繰り返したうちのPC-386BookLのキーボードがダメになるのは時間の問題だったわけですが,先日とうとうダメになってしまったのでした。
もう一台ジャンクを買おうにもオークションには出ておらず,他に入手方法も思い浮かばないので頓挫,まさに万策尽きてあきらめたのです。
電源ユニットの破損,基板のパターン切れ,レギュレータICの破壊,LCDの破損,FDDのエラー,CPU換装と,幾多の死地を乗り越えてここまできたPC_386BookLと,いよいよお別れするときが来たと,覚悟を決めたのですが,もうどうせダメなのなら,壊す覚悟でやるだけやってみようと,気分を入れ換えました。
切れたパターンの修復や,コネクタのカーボンの剥げなら,導電塗料を使えば修復できるかも知れません。手元にある銀ペーストのEジスペンが使えるならいいですし,最近だとウレタン塗料ベースの導電塗料や,固化すると接着力を維持出来る導電接着剤もあります。これらを使えるかも知れません。
まずは一晩寝て,それから取りかかったことは,一体どの部分がどんな風に壊れてるのかを正確に把握することです。
キーボードを分解し,コネクタのどの端子にどの接点がつながっているかを調べます。すると,DキーやESCキー,Dキーといった,最初に壊れたキーが同じ端子に繋がっていることがわかりました。やはり断線だったみたいです。
コネクタに頼るのも怖いので,細いポリウレタン線をEジスペンでコネクタに接着し,これを本体にハンダ付けする作戦を立てましたが,あいにくEジスペンには接着力はなく,ポリウレタン線は簡単に外れてしまいました。
ということは,やはりコネクタを再利用するほかありません。
そこでEジスペンを面相筆に含ませ,コネクタに塗りました。また,折れたところで切れている可能性も高いので,この部分にもしっかり塗りつけました。
ドライヤーで乾かしてから導通を見たところ,ちゃんと導通が復活しました。念のため下側のシートのコネクタにも同じ処置を行い,乾かしておきます。
翌日,ダメモトで本体に接続したところ,なんとほとんどのキーが復活しました。ただしカーソルの下キーやNUMキーが動かず,これはどうも一番右の端子が繋がっていないようでした。
そこでもう一度Eジスペンを塗り直して導通を確認しました。念のためこの端子とその隣のHELPキーなどが繋がる端子は,銅箔テープとシートのパターンを直接Eジスペンで繋いで,万が一コネクタとの接触がダメになった場合でも,この銅箔から導線で引っ張り出し,直接本体にハンダ付け出来るようにしておきました。
これで試すと,すべてのキーが動くようになっていました。ただ,一部のキーでは,2文字出てしまうものが出てきてしまいました。
調べてみると,下のシートから出ている端子に塗布したEジスペンがはみ出していて,隣の端子とショートしているところがありました。カッターで削り落としてもう一度試すと,今回は問題なくすべてのキーが正常です。
ところが,筐体を閉じるときにキーボードのフレキがぐっと押されて変形するんですね。そのせいでHELPキーやリターンキーの端子がまた接触不良を起こしてしまいました。
もう一度コネクタから外してEジスペンを塗布するのも手ですが,他の端子がダメになることも怖かったので,念のためにと引っ張り出しておいた銅箔にハンダ付けして,本体の基板と接続しました。
これでフレキを変形させても導通が切れたりしません。せっかくですので筐体を組み上げて使ってみました。今の頃問題なくキーボードは動いています。
いつまで使えるのか分かりませんが,あまり使い道がないなあと思っていたEジスペンのおかげで復活出来たことはありがたいやらうれしいやら。
苦手だったフレキの修理が導電性の塗料で修復できるという話は耳にしていましたが,そんな上手くもいかないだろうとあまり気にしていませんでした。しかし実際に修理出来るようになると,これが理由でもうあきらめる必要もなくなると,前向きな気持ちになります。
耐久性は心許ないですし,いずれ同じ問題が発生するだろうとは思いますが,銀ペーストで修理出来ることが分かった以上はそれを繰り返せばよいでしょうし,どうしても心配ならこまめにジャンクのPC-386BookLを探しておけばよいでしょう。
今のうちは全く問題なく動いていますので,しばらくこれで様子を見たいと思います。